特開 2024-92240 電動アクチュエータ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024092240

(43)【公開日】2024-07-08

(54)【発明の名称】電動アクチュエータ

(51)【国際特許分類】

   H02K 7/116 20060101AFI20240701BHJP

【ＦＩ】

H02K7/116

【審査請求】未請求

【請求項の数】9

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022208026

(22)【出願日】2022-12-26

(71)【出願人】

【識別番号】000220505

【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100141139

【弁理士】

【氏名又は名称】及川 周

(74)【代理人】

【識別番号】100188673

【弁理士】

【氏名又は名称】成田 友紀

(74)【代理人】

【識別番号】100179833

【弁理士】

【氏名又は名称】松本 将尚

(74)【代理人】

【識別番号】100189348

【弁理士】

【氏名又は名称】古都 智

(72)【発明者】

【氏名】白井 寛

(72)【発明者】

【氏名】加藤 瞬

【テーマコード（参考）】

5H607

【Ｆターム（参考）】

5H607AA04

5H607BB01

5H607CC03

5H607DD03

5H607EE33

5H607KK07

5H607KK08

(57)【要約】      （修正有）

【課題】突出部と貫通孔部の内側面とが衝突する際の衝突音を低減できる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】モータシャフトを有するモータと、減速機構と、出力シャフトと、カバー部材と、を備える。減速機構は、環状の外歯ギヤと環状のフランジ部とを有する。フランジ部は外歯ギヤと軸方向に間隔をあけて配置される。外歯ギヤはモータ軸を囲んで配置される複数の貫通孔部を有する。フランジ部にはフランジ部から軸方向に突出し、モータ軸を囲んで配置される複数の突出部が設けられる。複数の突出部は複数の貫通孔部のそれぞれに挿入される。カバー部材の弾性率は、外歯ギヤ、フランジ部、および突出部それぞれの弾性率よりも小さい。カバー部材は、筒状部と、軸方向と交差する方向に広がる環状部と、を有する。筒状部は貫通孔部の内側面と突出部の外側面との間に配置される。軸方向において、環状部は外歯ギヤとフランジ部との間に配置される。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトに連結される減速機構と、
軸方向に延び、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフトと、
少なくとも１つのカバー部材と、
を備え、
前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置し、
前記減速機構は、
前記モータシャフトに連結され、前記モータシャフトの回転が減速して伝達される環状の外歯ギヤと、
前記外歯ギヤの回転を前記出力シャフトに伝達する環状のフランジ部と、
を有し、
前記フランジ部は、前記外歯ギヤと軸方向に間隔をあけて配置され、
前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方は、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方を軸方向に貫通し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の貫通孔部を有し、
前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方には、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方から軸方向に突出し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の突出部が設けられ、
複数の前記突出部のそれぞれは、複数の前記貫通孔部のそれぞれに挿入され、
前記カバー部材の弾性率は、前記外歯ギヤ、前記フランジ部、および前記突出部それぞれの弾性率よりも小さく、
前記カバー部材は、少なくとも軸方向一方側に開口する筒状の筒状部と、前記筒状部の外側面から軸方向と交差する方向に広がる環状の環状部と、を有し、
前記筒状部は、前記貫通孔部の内側面と前記突出部の外側面との間に配置され、
軸方向において、前記環状部は、前記外歯ギヤと前記フランジ部との間に配置され、且つ、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部と接触する、電動アクチュエータ。

【請求項2】

前記筒状部は、前記貫通孔部の内側面に固定される、請求項１に記載の電動アクチュエータ。

【請求項3】

前記筒状部は、前記突出部の外側面に固定される、請求項１に記載の電動アクチュエータ。

【請求項4】

前記環状部の外径は、前記貫通孔部の内径よりも大きい、請求項１から３のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項5】

軸方向に見て、前記環状部の外縁は、前記環状部が囲む前記突出部が挿入された前記貫通孔部を囲む、請求項４に記載の電動アクチュエータ。

【請求項6】

前記カバー部材は樹脂製であり、前記外歯ギヤ、前記フランジ部、および前記複数の突出部は金属製である、請求項１から３のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項7】

複数の前記カバー部材を備え、
複数の前記貫通孔部のそれぞれの内部に、複数の前記カバー部材それぞれの前記筒状部が配置される、請求項１から３のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項8】

前記カバー部材は、前記筒状部の内部を軸方向他方側から塞ぐ天壁部を有する、請求項１から３のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項9】

前記モータ、前記減速機構、前記出力シャフト、および前記カバー部材を内部に収容するケースを備え、
前記モータシャフトは、前記モータ軸と平行な第２軸線を中心とする円形状の外周面を有する偏心軸部を有し、
前記外歯ギヤは、前記偏心軸部の外周面にベアリングを介して連結され、
前記減速機構は、前記外歯ギヤの径方向外側に配置され、前記ケースに固定される環状の内歯ギヤを有し、
前記内歯ギヤの内周面に沿って設けられる内歯歯車部の一部は、前記外歯ギヤの外周面に沿って設けられる外歯歯車部の一部と噛み合う、請求項１から３のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、電動アクチュエータに関する。

【背景技術】

【0002】

モータの入力軸と、入力軸と連結される減速機と、減速機を介して入力軸の回転が減速して伝達される出力軸と、を備えるアクチュエータが知られている。例えば、特許文献１には、減速機が有するサンギヤが入力軸に対して公転および自転を行い、サンギヤが有する突出部が、出力軸に形成された穴部の内壁を周方向に押し出すことによって、入力軸の回転を出力軸に減速して伝達するアクチュエータが記載されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１６－１０９２２６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記のようなアクチュエータにおいては、突出部と穴部の内壁とが衝突する際に衝突音が発生するため、アクチュエータの駆動時における騒音を低減することが困難であった。

【0005】

本発明は、上記事情に鑑みて、突出部と貫通孔部の内側面とが衝突する際の衝突音を低減できる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに連結される減速機構と、軸方向に延び、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフトと、少なくとも１つのカバー部材と、を備える。前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置する。前記減速機構は、前記モータシャフトに連結され、前記モータシャフトの回転が減速して伝達される環状の外歯ギヤと、前記外歯ギヤの回転を前記出力シャフトに伝達する環状のフランジ部と、を有する。前記フランジ部は、前記外歯ギヤと軸方向に間隔をあけて配置される。前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方は、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方を軸方向に貫通し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の貫通孔部を有する。前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方には、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方から軸方向に突出し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の突出部が設けられる。複数の前記突出部のそれぞれは、複数の前記貫通孔部のそれぞれに挿入される。前記カバー部材の弾性率は、前記外歯ギヤ、前記フランジ部、および前記突出部それぞれの弾性率よりも小さい。前記カバー部材は、少なくとも軸方向一方側に開口する筒状の筒状部と、前記筒状部の外側面から軸方向と交差する方向に広がる環状の環状部と、を有する。前記筒状部は、前記貫通孔部の内側面と前記突出部の外側面との間に配置される。軸方向において、前記環状部は、前記外歯ギヤと前記フランジ部との間に配置され、且つ、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部と接触する。

【発明の効果】

【0007】

本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、突出部と貫通孔部の内側面とが衝突する際の衝突音を低減できる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、第１実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。

【図2】図２は、第１実施形態の伝達機構を上側から見た図である。

【図3】図３は、第１実施形態の電動アクチュエータの外歯ギヤ設置工程を示す断面図である。

【図4】図４は、第１実施形態の電動アクチュエータの変形例を示す断面図である。

【図5】図５は、第２実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。

【図6】図６は、第２実施形態の伝達機構を上側から見た図である。

【図7】図７は、第２実施形態の電動アクチュエータの外歯ギヤ設置工程を示す断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

各図においてＺ軸方向は、正の側（＋Ｚ側）を上側とし、負の側（－Ｚ側）を下側とする上下方向である。各図に適宜示すモータ軸Ｊ１の軸方向は、Ｚ軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、モータ軸Ｊ１の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸Ｊ１を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸Ｊ１を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。

【0010】

本実施形態において、上側は「軸方向他方側」に相当し、下側は「軸方向一方側」に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。

【0011】

＜第１実施形態＞
図１に示す本実施形態の電動アクチュエータ１は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ１は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。電動アクチュエータ１は、ケース１０と、モータ２０と、減速機構３０と、出力シャフト４６と、第１ベアリング５１と、第２ベアリング５２と、第３ベアリング５３と、基板８０と、回転センサ８１と、センサマグネット４５と、カバー部材６１と、を備える。第１ベアリング５１、第２ベアリング５２、および第３ベアリング５３は、例えば、ボールベアリングである。

【0012】

ケース１０は、モータ２０、減速機構３０、出力シャフト４６、およびカバー部材６１を含む電動アクチュエータ１の各部を内部に収容する。ケース１０は、ケース本体１１と、蓋部材１２と、を有する。ケース本体１１は、モータ軸Ｊ１を中心とする円筒状である。ケース本体１１は、上側に開口する開口部１１ｈを有する。ケース本体１１は、第１収容部１１ａと、第２収容部１１ｂと、を有する。

【0013】

第１収容部１１ａは、ケース本体１１の下側の部分である。第１収容部１１ａは、下側に位置する底部１１ｃと、底部１１ｃの径方向外縁部から上側に延びる周壁部１１ｄと、を有する。底部１１ｃには、底部１１ｃを軸方向に貫通する孔部１１ｅが設けられる。孔部１１ｅは、モータ軸Ｊ１を中心とする略円形状の孔である。孔部１１ｅの上側の部分は、第１ベアリング５１を保持する第１ベアリング保持部１１ｆを構成する。第１ベアリング５１は、第１ベアリング保持部１１ｆに保持されることで、ケース本体１１に保持される。

【0014】

第２収容部１１ｂは、ケース本体１１の上側の部分である。第２収容部１１ｂは、第１収容部１１ａと軸方向に繋がる。第２収容部１１ｂは、上側に開口する筒状である。第２収容部１１ｂの内周面には、上側を向く段差面１１ｇを有する段差が設けられる。段差面１１ｇは、軸方向と直交する面である。段差面１１ｇには、基板８０が固定される。

【0015】

基板８０は、径方向に広がる板状である。基板８０の板面は軸方向を向く。基板８０には、基板８０を軸方向に貫通する貫通孔８０ａが設けられる。貫通孔８０ａは、モータ軸Ｊ１を中心とする略円形状の孔である。図示は省略するが、基板８０には、モータ２０に電力を供給するインバータ回路が設けられる。

【0016】

基板８０には、回転センサ８１が取り付けられる。回転センサ８１は、出力シャフト４６の回転を検出するセンサである。本実施形態において、回転センサ８１は、磁気センサである。回転センサ８１は、例えば、ホールＩＣなどのホール素子である。本実施形態において回転センサ８１は、基板８０の上側を向く面うち貫通孔８０ａの周縁部に取り付けられる。

【0017】

蓋部材１２は、ケース本体１１の上端に固定される。蓋部材１２は、ケース本体１１の開口部１１ｈを上側から塞ぐ。蓋部材１２は、開口部１１ｈを上側から塞ぐ蓋本体部１２ａと、蓋本体部１２ａから下側に突出する第２ベアリング保持部１２ｂと、を有する。第２ベアリング保持部１２ｂは、モータ軸Ｊ１を中心とし、下側に開口する円筒状である。第２ベアリング保持部１２ｂの内周面には、第２ベアリング５２が保持される。

【0018】

モータ２０は、ロータ２１と、ステータ２２と、を有する。ロータ２１は、モータシャフト２３と、ロータ本体２４と、を有する。モータシャフト２３は、モータ軸Ｊ１を中心として回転可能である。モータシャフト２３は、モータ軸Ｊ１を中心とし、軸方向に延びる略円筒状である。モータシャフト２３は、中空シャフトである。モータシャフト２３は、軸方向の両側に開口する。モータシャフト２３は、第１収容部１１ａの内部と第２収容部１１ｂの内部とに跨って延びている。モータシャフト２３は、本体部２３ａと、偏心軸部２３ｂと、を有する。

【0019】

本体部２３ａは、モータシャフト２３の上側の部分である。本体部２３ａの外周面にはロータ本体２４が固定される。本体部２３ａの上側の端部は、第２収容部１１ｂの内部に位置する。本体部２３ａのうち上側の端部以外の部分は、第１収容部１１ａの内部に位置する。本体部２３ａの上側の端面は、上側を向く第３対向面２３ｄである。第３対向面２３ｄは、モータシャフト２３の上側の端面である。軸方向に見て、第３対向面２３ｄは、モータ軸Ｊ１を囲む円環状である。

【0020】

偏心軸部２３ｂは、モータシャフト２３の下側の部分である。偏心軸部２３ｂは、本体部２３ａと軸方向に繋がる。偏心軸部２３ｂは、第１収容部１１ａの内部に配置される。偏心軸部２３ｂは、ロータ本体２４の下側に配置される。軸方向に見て、偏心軸部２３ｂの内周面は、モータ軸Ｊ１を中心とする円形状である。軸方向に見て、偏心軸部２３ｂの外周面は、モータ軸Ｊ１に対して偏心した第２軸線Ｊ２を中心とする円形状である。第２軸線Ｊ２は、モータ軸Ｊ１と平行である。偏心軸部２３ｂの外周面には、第３ベアリング５３の内輪が嵌め合わされて固定される。これにより、第３ベアリング５３は、モータシャフト２３に固定される。

【0021】

ロータ本体２４は、本体部２３ａの外周面に固定される。ロータ本体２４は、第１収容部１１ａの内部に収容される。ロータ本体２４は、本体部２３ａの外周面に固定される円環状のロータコア２４ａと、ロータコア２４ａに固定されるロータマグネット２４ｂと、を有する。

【0022】

ステータ２２は、ロータ２１と径方向に対向して配置される。ステータ２２は、ロータ２１の径方向外側に、ロータ２１と隙間を介して配置される。ステータ２２は、第１収容部１１ａの内部に収容される。ステータ２２は、ロータ本体２４を径方向外側から囲む環状のステータコア２２ａと、ステータコア２２ａに装着されたインシュレータ２２ｂと、インシュレータ２２ｂを介してステータコア２２ａに装着された複数のコイル２２ｃと、を有する。ステータコア２２ａの外周面は、周壁部１１ｄの内周面に固定されている。これにより、ステータ２２は、ケース１０に固定される。

【0023】

減速機構３０は、第１収容部１１ａの内部に収容される。減速機構３０は、ロータ本体２４およびステータ２２の下側に配置される。減速機構３０は、モータシャフト２３および出力シャフト４６に連結される。減速機構３０は、モータシャフト２３の回転を減速して出力シャフト４６に伝達する。減速機構３０は、外歯ギヤ３１と、内歯ギヤ３２と、フランジ部４２と、複数の突出部４３と、を有する。

【0024】

外歯ギヤ３１は、第２軸線Ｊ２を中心とする略円環状である。外歯ギヤ３１は、第３ベアリング５３の外輪に嵌め合わされる。これにより、外歯ギヤ３１は、モータシャフト２３の偏心軸部２３ｂに第３ベアリング５３を介して連結される。外歯ギヤ３１は、第２軸線Ｊ２周りにモータシャフト２３と相対的に回転可能である。本実施形態において、外歯ギヤ３１は、金属製である。図２に示すように、外歯ギヤ３１は、複数の貫通孔部３１ｂと、外歯歯車部３１ｃと、を有する。また、図１に示すように、外歯ギヤ３１は、第１対向面３１ｅを有する。第１対向面３１ｅは、外歯ギヤ３１の下側を向く面である。

【0025】

複数の貫通孔部３１ｂは、それぞれ、外歯ギヤ３１を軸方向に貫通する孔である。図２に示すように、複数の貫通孔部３１ｂは、それぞれ、円形状の孔である。複数の貫通孔部３１ｂは、モータ軸Ｊ１を囲んで配置される。より詳細には、複数の貫通孔部３１ｂは、第２軸線Ｊ２を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態において、貫通孔部３１ｂは、８つ設けられる。

【0026】

外歯歯車部３１ｃは、外歯ギヤ３１の外周面に沿って設けられる。外歯歯車部３１ｃは、外歯ギヤ３１の外周面に沿って並ぶ複数の外歯歯部３１ｄを有する。

【0027】

内歯ギヤ３２は、外歯ギヤ３１の径方向外側に配置される。内歯ギヤ３２は、外歯ギヤ３１を径方向外側から囲む。内歯ギヤ３２は、モータ軸Ｊ１を中心とする環状である。図１に示すように、内歯ギヤ３２は、ケース１０に固定される。より詳細には、内歯ギヤ３２の外周面は、周壁部１１ｄの内周面に固定される。図２に示すように、内歯ギヤ３２は、内歯歯車部３２ａを有する。

【0028】

内歯歯車部３２ａは、内歯ギヤ３２の内周面に沿って設けられる。内歯歯車部３２ａは、内歯ギヤ３２の内周面に沿って並ぶ複数の内歯歯部３２ｂを有する。内歯歯車部３２ａは、外歯歯車部３１ｃと噛み合っている。より詳細には、内歯歯車部３２ａの一部は、外歯歯車部３１ｃの一部と噛み合っている。

【0029】

図１に示すように、フランジ部４２は、外歯ギヤ３１の下側、すなわち軸方向一方側（－Ｚ側）に配置される。フランジ部４２は、外歯ギヤ３１と軸方向に間隔をあけて配置される。フランジ部４２は、モータ軸Ｊ１を中心として径方向に広がる円環状である。フランジ部４２は、出力シャフト４６のうちモータシャフト２３よりも下側の部分に固定される。本実施形態において、フランジ部４２は、金属製である。フランジ部４２には、複数の突出部４３が設けられる。

【0030】

本実施形態において、複数の突出部４３のそれぞれは、フランジ部４２から軸方向に突出している。より詳細には、複数の突出部４３のそれぞれは、フランジ部４２から上側、すなわち軸方向他方側（＋Ｚ側）に突出している。本実施形態において、複数の突出部４３とフランジ部４２とは、同一の単一部材の一部である。本実施形態において、複数の突出部４３のそれぞれは、金属製である。複数の突出部４３のそれぞれは、円柱状である。図２に示すように、複数の突出部４３それぞれの外径は、複数の貫通孔部３１ｂそれぞれの内径よりも小さい。より詳細には、複数の突出部４３それぞれの外径は、複数のカバー部材６１の後述する筒状部６１ａそれぞれの内径よりも小さい。複数の突出部４３は、モータ軸Ｊ１を囲んで配置される。複数の突出部４３は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態において、突出部４３は、８つ設けられる。図１に示すように、複数の突出部４３のそれぞれは、複数の貫通孔部３１ｂのそれぞれに下側から挿入される。図２に示すように、各突出部４３の外周面の一部は、カバー部材６１を介して、貫通孔部３１ｂの内側面と接触する。各突出部４３は、カバー部材６１および貫通孔部３１ｂの内側面を介して、外歯ギヤ３１をモータ軸Ｊ１周りに揺動可能に支持する。

【0031】

図１に示すように、フランジ部４２は、第２対向面４２ａを有する。第２対向面４２ａは、フランジ部４２の上側を向く面である。第２対向面４２ａは、内歯ギヤ３２の第１対向面３１ｅと軸方向に間隔をあけて対向する。

【0032】

出力シャフト４６は、電動アクチュエータ１の駆動力を出力する。出力シャフト４６は、軸方向に延びる。出力シャフト４６は、モータ軸Ｊ１周りに回転可能である。出力シャフト４６には、減速機構３０を介してモータシャフト２３の回転が減速して伝達される。出力シャフト４６は、モータシャフト２３の内部を軸方向に通される。出力シャフト４６の少なくとも一部は、モータシャフト２３の内部に位置する。出力シャフト４６は、モータシャフト２３から軸方向両側に突出している。なお、出力シャフト４６とフランジ部４２とは、同一の単一部材の一部であってもよい。出力シャフト４６は、出力シャフト本体４１と、出力シャフト本体４１の外周面に固定される取付部材４４と、を有する。

【0033】

出力シャフト本体４１は、軸方向に延びる。出力シャフト本体４１は、第１ベアリング５１および第２ベアリング５２によって、モータ軸Ｊ１周りに回転可能に支持される。出力シャフト本体４１は、連結部４１ａと、延伸部４１ｂと、を有する。

【0034】

連結部４１ａは、出力シャフト本体４１の下側の部分である。連結部４１ａは、モータ軸Ｊ１を中心として軸方向に延びる円筒状である。連結部４１ａは、下側に開口する。連結部４１ａの下側の端部は、孔部１１ｅの内部に挿入されている。連結部４１ａの上側の端部は、偏心軸部２３ｂの内部に挿入されている。連結部４１ａは、第１ベアリング５１によってモータ軸Ｊ１周りに回転可能に支持される。

【0035】

連結部４１ａの内部には、下側から被駆動シャフトＤＳが挿入可能である。被駆動シャフトＤＳの外周面に設けられたスプライン部が、連結部４１ａの内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされると、連結部４１ａと被駆動シャフトＤＳとが互いに連結される。これにより、モータシャフト２３の回転が、出力シャフト４６を介して、被駆動シャフトＤＳに伝達される。これにより、電動アクチュエータ１は、被駆動シャフトＤＳをモータ軸Ｊ１周りに回転させることができる。

【0036】

延伸部４１ｂは、出力シャフト本体４１の上側の部分である。延伸部４１ｂは、モータ軸Ｊ１を中心として軸方向に延びる円柱状である。延伸部４１ｂは、連結部４１ａと軸方向に繋がる。延伸部４１ｂは、モータシャフト２３の内部を軸方向に通される。延伸部４１ｂの上側の部分は、モータシャフト２３よりも上側に突出し、基板８０の貫通孔８０ａを軸方向に通される。延伸部４１ｂの上側の端部は、第２ベアリング５２によってモータ軸Ｊ１周りに回転可能に支持される。延伸部４１ｂの下側の端部は、偏心軸部２３ｂの内部に位置する。

【0037】

本実施形態において、延伸部４１ｂの外径は、モータシャフト２３の本体部２３ａの内径よりも僅かに小さい。延伸部４１ｂは、本体部２３ａの内部に隙間嵌めされる。延伸部４１ｂと本体部２３ａとの間の径方向の隙間は、延伸部４１ｂによって、モータシャフト２３をモータ軸Ｊ１周りに回転可能に支持できる程度に小さい。なお、延伸部４１ｂと本体部２３ａとの隙間には、例えば、潤滑油を配置してもよい。

【0038】

取付部材４４は、延伸部４１ｂの外周面のうちモータシャフト２３よりも上側の部分に固定される。取付部材４４は、固定筒部４４ａと、対向部４４ｂと、を有する。固定筒部４４ａは、モータ軸Ｊ１を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。固定筒部４４ａは、延伸部４１ｂの外周面に固定される。対向部４４ｂは、固定筒部４４ａの下端から径方向外側に広がる略円環板状である。対向部４４ｂの板面は、軸方向を向く。対向部４４ｂの下側を向く面は、第４対向面４４ｄである。第４対向面４４ｄは、モータシャフト２３の第３対向面２３ｄと軸方向に隙間をあけて対向する。

【0039】

センサマグネット４５は、モータ軸Ｊ１を囲む環状である。センサマグネット４５は、固定筒部４４ａの外周面に固定される。センサマグネット４５の径方向外縁部は、対向部４４ｂよりも径方向外側に位置し、回転センサ８１と軸方向に対向する。回転センサ８１は、センサマグネット４５の磁界を検出することでセンサマグネット４５の回転を検出する。これにより、回転センサ８１は、出力シャフト４６の回転を検出する。

【0040】

本実施形態では、軸方向におけるモータシャフト２３の第３対向面２３ｄと出力シャフト４６の第４対向面４４ｄとの間に、ワッシャ６２が配置される。ワッシャ６２は、延伸部４１ｂを径方向外側から囲む円環板状である。本実施形態において、ワッシャ６２は、例えば、スリップワッシャである。ワッシャ６２の板面は、軸方向を向く。ワッシャ６２の下側を向く面は、第３対向面２３ｄと接触する。ワッシャ６２の上側を向く面は、第４対向面４４ｄと接触する。これにより、出力シャフト４６に対するモータシャフト２３の軸方向の位置が決まる。また、第３対向面２３ｄと第４対向面４４ｄとが直接的に接触する場合と比較して、モータシャフト２３と出力シャフト４６との間の摩擦力を低減できる。したがって、電動アクチュエータ１の出力効率を高めることができる。

【0041】

カバー部材６１は、外歯ギヤ３１に取り付けられている。本実施形態において、カバー部材６１は、樹脂製である。カバー部材６１の弾性率は、外歯ギヤ３１、フランジ部４２、および複数の突出部４３それぞれの弾性率よりも小さい。より詳細には、本実施形態において、カバー部材６１の体積弾性率は、外歯ギヤ３１、フランジ部４２、および複数の突出部４３それぞれの体積弾性率よりも小さい。よって、カバー部材６１に外力が加わる際における、カバー部材６１の弾性変形量を大きくできる。さらに、カバー部材６１の縦弾性率および横弾性率は、外歯ギヤ３１、フランジ部４２、および複数の突出部４３それぞれの体縦弾性率および横弾性率より小さくてもよい。図２に示すように、本実施形態において、カバー部材６１は、複数設けられる。本実施形態において、カバー部材６１は、８つ設けられる。すなわち、本実施形態では、少なくとも一つのカバー部材６１が設けられる。各カバー部材６１は、モータ軸Ｊ１を囲んで配置される。各突出部４３は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。図１に示すように、各カバー部材６１は、筒状部６１ａと、環状部６１ｂと、を有する。

【0042】

筒状部６１ａは、軸方向に突出する円筒状である。本実施形態において、筒状部６１ａは、上側、および下側、すなわち軸方向一方側（－Ｚ側）に開口する。図２に示すように、各カバー部材６１の筒状部６１ａのそれぞれは、互いに異なる貫通孔部３１ｂの内部に配置される。各筒状部６１ａのそれぞれは、互いに異なる貫通孔部３１ｂの内側面と、突出部４３の外側面との間に配置される。各筒状部６１ａそれぞれの内部には、互いに異なる突出部４３が軸方向に挿入されている。本実施形態において、各筒状部６１ａそれぞれの外側面は、貫通孔部３１ｂの内側面に、例えば、圧入によって固定されている。これにより、各カバー部材６１は、外歯ギヤ３１に固定される。なお、各筒状部６１ａは、例えば、接着等の他の方法によって、貫通孔部３１ｂの内側面に固定されてもよい。軸方向に見て、各筒状部６１ａの内側面の一部は、各突出部４３の外側面と接触する。各筒状部６１ａの内側面の他の部分は、各突出部４３の外側面と隙間をあけて対向する。

【0043】

図１に示すように、環状部６１ｂは、筒状部６１ａの外側面の下端から軸方向と交差する方向に広がる環状である。本実施形態において、環状部６１ｂは、筒状部６１ａの外側面の下端から軸方向と直交する方向に広がる。図２に示すように、本実施形態において、環状部６１ｂは、軸方向に見て、円環状である。各カバー部材６１それぞれの環状部６１ｂは、互いに異なる突出部４３を囲む。図１に示すように、軸方向において、各環状部６１ｂは、外歯ギヤ３１とフランジ部４２との間に配置される。より詳細には、各環状部６１ｂは、外歯ギヤ３１の第１対向面３１ｅとフランジ部４２の第２対向面４２ａとの間に配置される。各環状部６１ｂの上側を向く面は、第１対向面３１ｅと軸方向に接触する。各環状部６１ｂの下側を向く面は、第２対向面４２ａと軸方向に接触する。

【0044】

よって、本実施形態によれば、各環状部６１ｂを介して、外歯ギヤ３１に対するフランジ部４２の軸方向の位置が決めることができる。また、上述のように、外歯ギヤ３１は、第３ベアリング５３を介してモータシャフト２３と連結され、フランジ部４２は、出力シャフト４６と固定される。そのため、各環状部６１ｂを介して、出力シャフト４６に対するモータシャフト２３の軸方向の位置を決めることができる。そのため、軸方向において、モータシャフト２３と出力シャフト４６との間に隙間を設けることができ、モータシャフト２３と出力シャフト４６とが軸方向に直接的に接触することを抑制できる。したがって、モータシャフト２３と出力シャフト４６との間の摩擦を抑制できるため、電動アクチュエータ１の出力効率を高めることができる。

【0045】

また、本実施形態によれば、筒状部６１ａが貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３の外側面との間に配置されるため、電動アクチュエータ１の駆動時において、筒状部６１ａが径方向および周方向に移動することを抑制できる。これにより、カバー部材６１が径方向および周方向に移動することを抑制できるため、環状部６１ｂを外歯ギヤ３１とフランジ部４２との間に安定して配置でき、外歯ギヤ３１とフランジ部４２とが直接的に接触することをより好適に抑制できる。したがって、外歯ギヤ３１とフランジ部４２との間の摩擦をより好適に抑制できるため、電動アクチュエータ１の出力効率をより好適に高めることができる。

【0046】

また、本実施形態では、カバー部材６１は、樹脂製であり、外歯ギヤ３１、およびフランジ部４２は金属製である。よって、樹脂製の環状部６１ｂを介して、金属製の外歯ギヤ３１と金属製のフランジ部４２とを接触させることができるため、外歯ギヤ３１およびフランジ部４２が直接的に接触する場合と比較して、外歯ギヤ３１およびフランジ部４２との間の摩擦力を低減できる。したがって、電動アクチュエータ１の出力効率をより好適に高めることができる。

【0047】

図２に示すように、各環状部６１ｂの外径は、各貫通孔部３１ｂの内径よりも大きい。よって、本実施形態によれば、各環状部６１ｂが、貫通孔部３１ｂの内部に入り込むことを抑制できるため、各環状部６１ｂを外歯ギヤ３１およびフランジ部４２により安定して接触させることができる。したがって、外歯ギヤ３１とフランジ部４２とが直接的に接触することをより安定して抑制できるため、外歯ギヤ３１とフランジ部４２との間の摩擦をより安定して抑制できる。そのため、電動アクチュエータ１の出力効率をより安定的に高めることができる。また、本実施形態では、各環状部６１ｂの外径は、貫通孔部３１ｂの内径よりも大きいため、各環状部６１ｂの面積を大きくし易い。よって、各環状部６１ｂと、外歯ギヤ３１およびフランジ部４２のそれぞれとが接触する面積を大きくし易いため、各環状部６１ｂが、外歯ギヤ３１およびフランジ部４２から受ける軸方向の圧力を低減し易い。したがって、各環状部６１ｂが摩耗等により劣化することを抑制し易い。

【0048】

軸方向に見て、各環状部６１ｂの外縁は、各環状部６１ｂが囲む突出部４３が挿入された貫通孔部３１ｂを囲む。よって、本実施形態によれば、各環状部６１ｂの外縁全周を、外歯ギヤ３１の第１対向面３１ｅに接触させることができるため、環状部６１ｂによって、外歯ギヤ３１を安定して軸方向に支持できる。したがって、外歯ギヤ３１とフランジ部４２とが直接的に接触することをより好適に抑制できるため、電動アクチュエータ１の出力効率をより好適に高めることができる。

【0049】

なお、本実施形態において、カバー部材６１が設けられる個数は８つに限定されず、少なくとも１つのカバー部材６１が設けられていればよい。カバー部材６１の個数が７個以下の場合、筒状部６１ａが固定されない貫通孔部の半径は、筒状部６１ａが固定された貫通孔部の半径よりも、筒状部６１ａの厚さの寸法だけ小さいことが好ましい。これにより、筒状部６１ａが固定されない貫通孔部の内径と、筒状部６１ａの内径とが同じ寸法になるため、各突出部４３それぞれの外側面を、筒状部６１ａが固定されない貫通孔部の内側面または筒状部６１ａの内側面のいずれか一方に接触させることができる。これにより、各筒状部６１ａに加わる応力を抑制できるため、筒状部６１ａの摩耗等によって劣化することを抑制できる。なお、カバー部材６１の個数が７個以下の場合、筒状部６１ａが固定されない貫通孔部に挿入される突出部の半径を、筒状部６１ａが固定された貫通孔部に挿入される突出部の半径よりも、筒状部６１ａの厚さ寸法だけ大きくしてもよい。この構成においても、各突出部それぞれの外側面を、筒状部６１ａが固定されない貫通孔部の内側面または筒状部６１ａの内側面のいずれか一方に接触させることができる。

【0050】

モータ２０に電力が供給されてモータシャフト２３がモータ軸Ｊ１周りに回転されると、偏心軸部２３ｂは、モータ軸Ｊ１を中心として周方向に公転する。偏心軸部２３ｂの公転は、第３ベアリング５３を介して外歯ギヤ３１に伝達され、外歯ギヤ３１は、貫通孔部３１ｂに固定された筒状部６１ａの内周面と突出部４３の外周面との接触する位置が変化しつつ、周方向に公転する。このとき、筒状部６１ａは、突出部４３との衝突および離間を繰り返しつつ、外歯ギヤ３１と共に周方向に公転する。これにより、突出部４３と貫通孔部３１ｂの内側面とが直接的に衝突することを抑制できる。外歯ギヤ３１が周方向に公転すると、外歯ギヤ３１の外歯歯車部３１ｃと内歯ギヤ３２の内歯歯車部３２ａとが噛み合う位置が、周方向に変化する。これにより、外歯ギヤ３１を介して、内歯ギヤ３２にモータシャフト２３の駆動力が伝達される。

【0051】

上述のように、内歯ギヤ３２は、ケース１０に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギヤ３２に伝達される駆動力の反力によって、外歯ギヤ３１は第２軸線Ｊ２周りに回転する。このとき外歯ギヤ３１の回転する向きは、モータシャフト２３の回転する向きと反対向きになる。また、外歯ギヤ３１の回転は、モータシャフト２３の回転に対して減速される。すなわち、外歯ギヤ３１には、モータシャフト２３の回転が減速して伝達される。

【0052】

外歯ギヤ３１の第２軸線Ｊ２周りの回転は、貫通孔部３１ｂの内側面、筒状部６１ａ、および突出部４３を介して、フランジ部４２に伝達され、フランジ部４２がモータ軸Ｊ１周りに回転する。このとき、筒状部６１ａは、突出部４３の外周面との衝突および離間を繰り返しつつ、外歯ギヤ３１と共に第２軸線Ｊ２周りに回転する。これにより、突出部４３と貫通孔部３１ｂの内側面とが直接的に衝突することを抑制できる。なお、モータ軸Ｊ１周りに回転するフランジ部４２の回転速度は、外歯ギヤ３１の回転速度とほぼ同じ速度であり、フランジ部４２が回転する向きは、外歯ギヤ３１が回転する向きと同じ向きである。上述のように、出力シャフト４６はフランジ部４２と固定されるため、出力シャフト４６は、フランジ部４２とともにモータ軸Ｊ１周りに回転する。すなわち、フランジ部４２によって、外歯ギヤ３１の回転は出力シャフト４６に伝達される。このようにして、出力シャフト４６には、減速機構３０を介してモータシャフト２３の回転が減速して伝達される。これにより、出力シャフト４６の回転トルクは、モータシャフト２３の回転トルクよりも大きくなる。また、出力シャフト４６が回転する向きは、モータシャフト２３が回転する向きと反対向きである。

【0053】

本実施形態によれば、外歯ギヤ３１にはモータシャフト２３の回転が減速して伝達され、外歯ギヤ３１の回転はフランジ部４２に伝達される。よって、外歯ギヤ３１とフランジ部４２との間の相対的な回転速度差を小さくできるため、環状部６１ｂに加わる摩擦力を低減できる。したがって、電動アクチュエータ１の出力効率を好適に高めることができる。

【0054】

本実施形態によれば、電動アクチュエータ１は、少なくとも一つのカバー部材６１を備え、外歯ギヤ３１は、外歯ギヤ３１を軸方向に貫通し、モータ軸Ｊ１を囲んで配置される複数の貫通孔部３１ｂを有し、フランジ部４２には、フランジ部４２から軸方向に突出し、モータ軸Ｊ１を囲んで配置される複数の突出部４３が設けられ、複数の突出部４３のそれぞれは、複数の貫通孔部３１ｂのそれぞれに挿入される。カバー部材６１の弾性率は、外歯ギヤ３１、外歯ギヤ３１、および突出部４３それぞれの弾性率よりも小さく、カバー部材６１は、少なくとも軸方向一方側に開口する筒状の筒状部６１ａを有し、筒状部６１ａは、貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３の外側面との間に配置される。よって、電動アクチュエータ１の駆動時において、外歯ギヤ３１が周方向に公転する際、および外歯ギヤ３１が第２軸線Ｊ２周りに回転する際に、少なくとも１つの筒状部６１ａを介して、外歯ギヤ３１の少なくとも１つの貫通孔部３１ｂの内側面を突出部４３に衝突させることができる。カバー部材６１の弾性率は、外歯ギヤ３１および突出部４３それぞれの弾性率よりも小さいため、係る衝突の際に、少なくとも１つの貫通孔部３１ｂの内側面から筒状部６１ａおよび突出部４３に加わる力によって、筒状部６１ａは弾性変形し易く、筒状部６１ａの弾性変形によって、突出部４３に加わる力を低減できる。そのため、少なくとも１つの貫通孔部３１ｂにおいて、貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３に衝突する際の衝突音を低減できる。したがって、電動アクチュエータ１の駆動時における騒音を低減できる。

【0055】

また、本実施形態では、カバー部材６１は、筒状部６１ａの外側面から軸方向と交差する方向に広がる環状の環状部６１ｂと、を有する。軸方向において、環状部６１ｂは、外歯ギヤ３１とフランジ部４２との間に配置され、且つ、外歯ギヤ３１およびフランジ部４２と接触する。よって、カバー部材６１が軸方向に移動することを抑制できるため、筒状部６１ａを貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３の外側面との間に安定して配置できる。したがって、少なくとも１つの貫通孔部３１ｂにおいて、貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３に衝突する際の衝突音を安定的に低減できるため、電動アクチュエータ１の駆動時における騒音を安定的に低減できる。

【0056】

本実施形態によれば、環状部６１ｂの外径は、貫通孔部３１ｂの内径よりも大きい。よって、上述のように、環状部６１ｂが、貫通孔部３１ｂの内部に入り込むことを抑制できるため、カバー部材６１が軸方向に移動することをより好適に抑制できる。そのため、筒状部６１ａを貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３の外側面との間により安定して配置できる。したがって、少なくとも１つの貫通孔部３１ｂにおいて、貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３に衝突する際の衝突音をより安定的に低減できるため、電動アクチュエータ１の駆動時における騒音をより安定的に低減できる。

【0057】

本実施形態によれば、カバー部材６１は樹脂製であり、外歯ギヤ３１、および複数の突出部４３は金属製である。よって、カバー部材６１の弾性率を、外歯ギヤ３１および突出部４３それぞれの弾性率よりも好適に小さくし易いため、貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３に衝突する際に、少なくとも１つの貫通孔部３１ｂの内側面から筒状部６１ａおよび突出部４３に加わる力によって、筒状部６１ａをより好適に弾性変形させ易い。したがって、少なくとも１つの貫通孔部３１ｂにおいて、貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３に衝突する際の衝突音をより好適に低減できるため、電動アクチュエータ１の駆動時における騒音をより好適に低減できる。

【0058】

また、本実施形態では、樹脂製のカバー部材６１の筒状部６１ａを介して、金属製の外歯ギヤ３１の貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３とが接触するため、金属製の外歯ギヤ３１の貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３とが直接的に接触する場合と比較して、貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３との間の摩擦力を低減できる。したがって、電動アクチュエータ１の出力効率を高めることができる。

【0059】

本実施形態によれば、電動アクチュエータ１は、複数のカバー部材６１を備え、複数の貫通孔部３１ｂのそれぞれの内部に、複数のカバー部材６１それぞれの筒状部６１ａが配置される。よって、電動アクチュエータ１の駆動時において、筒状部６１ａを介して、外歯ギヤ３１の全ての貫通孔部３１ｂの内側面を、突出部４３と衝突させることができる。したがって、各貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３と衝突する際の衝突音をより好適に低減でき、電動アクチュエータ１の駆動時における騒音をより好適に低減できる。

【0060】

また、本実施形態では、複数のカバー部材６１の環状部６１ｂのそれぞれを、外歯ギヤ３１およびフランジ部４２に接触させることができるため、軸方向において、外歯ギヤ３１とフランジ部４２とが直接的に接触することをより安定して抑制できる。したがって、外歯ギヤ３１とフランジ部４２との間の摩擦をより安定して抑制できるため、電動アクチュエータ１の出力効率をより安定的に高めることができる。

【0061】

次に、本実施形態の電動アクチュエータ１において、外歯ギヤ３１および複数のカバー部材６１をフランジ部４２に設置する外歯ギヤ設置工程について説明する。外歯ギヤ設置工程は、電動アクチュエータ１の製造工程の一部である。なお、以下の説明において、「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。

【0062】

図３に示すように、外歯ギヤ設置工程では、まず、作業者等は、あらかじめ第１ベアリング５１、出力シャフト本体４１、フランジ部４２、および内歯ギヤ３２が組み付けられたケース本体１１を、開口部１１ｈを例えば上側に配置した状態で治具等に固定する。次に、作業者等は、第３ベアリング５３を介して、モータシャフト２３に外歯ギヤ３１を取り付け、外歯ギヤ３１の複数の貫通孔部３１ｂのそれぞれに、カバー部材６１の筒状部６１ａを固定する。次に、作業者等は、係る外歯ギヤ３１を、ケース本体１１の上側から下側に移動させて、開口部１１ｈを介して、ケース本体１１の内部に挿入する。図示は省略するが、各筒状部６１ａの下側、すなわち軸方向一方側（－Ｚ側）の開口を介して、各筒状部６１ａの内部に各突出部４３を軸方向に挿入しつつ、各カバー部材６１の環状部６１ｂの下側を向く面と、フランジ部４２の第２対向面４２ａとが、軸方向に接触するまで外歯ギヤ３１を下側に移動させると、外歯ギヤ３１および各カバー部材６１は、フランジ部４２に設置され、外歯ギヤ設置工程は終了する。

【0063】

本実施形態によれば、筒状部６１ａは、貫通孔部３１ｂの内側面に固定される。よって、外歯ギヤ設置工程において、各カバー部材６１の筒状部６１ａを貫通孔部３１ｂに固定した外歯ギヤ３１を下側に移動させる作業のみによって、各筒状部６１ａの内部に突出部４３を軸方向に通すことができるとともに、外歯ギヤ３１および各カバー部材６１をフランジ部４２に設置できる。また、上述のように、各筒状部６１ａを貫通孔部３１ｂの内側面に固定できるため、外歯ギヤ３１を下側に移動させる際に、筒状部６１ａが貫通孔部３１ｂから外れることによって、外歯ギヤ３１からカバー部材６１が脱離することを抑制できる。これらにより、外歯ギヤ設置工程の簡易化を図ることができるため、電動アクチュエータ１の製造工数が増大することを抑制できる。

【0064】

また、本実施形態では、上述のように、筒状部６１ａは、貫通孔部３１ｂの内側面に固定されるため、各筒状部６１ａと各貫通孔部３１ｂとの同心度を高め易い。よって、外歯ギヤ設置工程において、各カバー部材６１が固定された外歯ギヤ３１を下側に移動させて、各筒状部６１ａの内部に各突出部４３を軸方向に挿入する際に、各筒状部６１ａと各突出部４３とが干渉することを抑制できる。これにより、外歯ギヤ設置工程の簡易化を図ることができるため、電動アクチュエータ１の製造工数が増大することを抑制できる。

【0065】

なお、外歯ギヤ設置工程では、あらかじめ第１ベアリング５１、出力シャフト本体４１、フランジ部４２、内歯ギヤ３２、第３ベアリング５３、モータシャフト２３、外歯ギヤ３１、およびカバー部材６１を一体に組み立てた後に、これらをケース本体１１の開口部１１ｈを介して、ケース本体１１の内部に上側から挿入し、ケース本体１１に固定してもよい。

【0066】

また、本実施形態では、筒状部６１ａは、貫通孔部３１ｂの内側面に固定されるため、カバー部材６１が軸方向に移動することを抑制でき、筒状部６１ａを貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３の外側面との間により安定的に配置できる。したがって、少なくとも１つの貫通孔部３１ｂにおいて、貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３に衝突する際の衝突音を安定的に低減できるため、電動アクチュエータ１の駆動時における騒音を安定的に低減できる。

【0067】

これに対して、本実施形態では、筒状部６１ａは、突出部４３の外側面よりも曲率半径が大きい貫通孔部３１ｂの内側面に固定されるため、筒状部６１ａの内側面の曲率半径を大きくし易く、筒状部６１ａと突出部４３との接触面積を大きくし易い。そのため、筒状部を介して、貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３と衝突する際に、筒状部６１ａ加わる圧力を小さくし易いため、筒状部６１ａの摩耗することおよび塑性変形することを抑制できる。

【0068】

＜第１実施形態の変形例＞
図４は、第１実施形態の変形例の電動アクチュエータ１０１を示す断面図である。以下の説明において、上述の第１実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。

【0069】

本実施形態の電動アクチュエータ１０１が備える、複数のカバー部材１６１のそれぞれは、筒状部６１ａと、環状部６１ｂと、天壁部１６１ｃと、を有する。天壁部１６１ｃは、軸方向と直交する方向に広がる板状である。軸方向に見て、天壁部１６１ｃは、略円形状である。天壁部１６１ｃの外縁は、筒状部６１ａの上端と繋がる。天壁部１６１ｃは、筒状部６１ａの内部を上側、すなわち軸方向他方側から塞ぐ。天壁部１６１ｃは、突出部４３の上側に配置される。本実施形態において、天壁部１６１ｃは、突出部４３と軸方向に隙間をあけて配置される。天壁部１６１ｃは、突出部４３の上端と軸方向に接触してもよい。

【0070】

よって、本実施形態によれば、天壁部１６１ｃによって、各突出部４３を上側から覆うことができるため、駆動装置１０１の駆動時において、各筒状部６１ａと各突出部４３との摩擦によって発生する各筒状部６１ａおよび各突出部４３それぞれの摩耗紛が、モータ２０側に移動することを抑制できる。よって、ロータ２１とステータ２２との間に係る摩耗粉が噛み込まれることを抑制できるため、電動アクチュエータ１０１の動作の安定性を高めることができる。

【0071】

＜第２実施形態＞
図５は、第２実施形態の電動アクチュエータ２０１を示す断面図である。以下の説明において、上述の第１実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。

【0072】

本実施形態の電動アクチュエータ２０１が備える、複数のカバー部材２６１は、筒状部２６１ａと、環状部２６１ｂと、を有する。筒状部２６１ａは、軸方向に突出する円筒状である。本実施形態において、筒状部２６１ａは、上側、および下側に開口する。図６に示すように、各筒状部２６１ａのそれぞれは、互いに異なる貫通孔部３１ｂの内側面と、突出部４３の外側面との間に配置される。各筒状部２６１ａそれぞれの内部には、互いに異なる突出部４３が軸方向に挿入されている。本実施形態において、各筒状部２６１ａそれぞれの内側面は、突出部４３の外側面に固定されている。これにより、各カバー部材２６１は、フランジ部４２に固定される。軸方向に見て、各筒状部２６１ａの外側面の一部は、各貫通孔部３１ｂの内側面と隙間をあけて対向する。各筒状部２６１ａの外側面の他の部分は、各貫通孔部３１ｂの内側面と接触する。

【0073】

図５に示すように、環状部２６１ｂは、筒状部２６１ａの外側面の下端から軸方向と直交する方向に広がる環状である。図６に示すように、環状部２６１ｂは、軸方向に見て、略円環状である。軸方向において、各環状部２６１ｂは、外歯ギヤ３１とフランジ部４２との間に配置される。各環状部２６１ｂの上側を向く面は、第１対向面３１ｅと軸方向に接触する。各環状部２６１ｂの下側を向く面は、第２対向面４２ａと軸方向に接触する。カバー部材２６１のその他の構成等は、上述の第１実施形態のカバー部材６１のその他の構成等と同一である。

【0074】

よって、本実施形態によれば、電動アクチュエータ２０１の駆動時において、上述のように、少なくとも１つの筒状部２６１ａを介して、外歯ギヤ３１の少なくとも１つの貫通孔部３１ｂの内側面を突出部４３に衝突させることができる。また、上述の第１実施形態と同様に、カバー部材２６１の弾性率は、外歯ギヤ３１および突出部４３それぞれの弾性率よりも小さい。そのため、少なくとも１つの貫通孔部３１ｂにおいて、貫通孔部３１ｂの内側面が突出部４３に衝突する際の衝突音を低減できる。したがって、電動アクチュエータ２０１の駆動時における騒音を低減できる。

【0075】

また、本実施形態では、上述の第１実施形態と同様に、樹脂製のカバー部材２６１の筒状部２６１ａを介して、金属製の外歯ギヤ３１の貫通孔部３１ｂの内側面と金属製の突出部４３とを接触させることができるため、貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３との間の摩擦力を低減できる。

【0076】

また、本実施形態では、上述の第１実施形態と同様に、各環状部２６１ｂを介して、出力シャフト４６に対するモータシャフト２３の軸方向の位置を決めることができるため、モータシャフト２３と出力シャフト４６との間の摩擦を抑制でき、電動アクチュエータ２０１の出力効率をより好適に高めることができる。

【0077】

次に、本実施形態の電動アクチュエータ２０１において、外歯ギヤ３１および複数のカバー部材２６１をフランジ部４２に設置する外歯ギヤ設置工程について説明する。外歯ギヤ設置工程は、電動アクチュエータ２０１の製造工程の一部である。

【0078】

図７に示すように、外歯ギヤ設置工程では、まず、作業者等は、あらかじめ第１ベアリング５１、出力シャフト本体４１、フランジ部４２、および内歯ギヤ３２が固定されたケース本体１１を、開口部１１ｈを例えば上側に配置した状態で治具等に固定する。次に、作業者等は、フランジ部４２の各突出部４３に各カバー部材２６１の筒状部２６１ａを、例えば、圧入によって固定する。次に、作業者等は、第３ベアリング５３を介して、モータシャフト２３に外歯ギヤ３１を取り付ける。次に、作業者等は、外歯ギヤ３１を、ケース本体１１の上側から下側に移動させて、開口部１１ｈを介して、ケース本体１１の内部に挿入する。図示は省略するが、各貫通孔部３１ｂの内部に各突出部４３および各筒状部２６１ａを軸方向に挿入しつつ、外歯ギヤ３１の第１対向面３１ｅと各カバー部材２６１の環状部２６１ｂの上側を向く面とが、軸方向に接触するまで外歯ギヤ３１を下側に移動させると、外歯ギヤ３１および各カバー部材２６１は、フランジ部４２に設置され、外歯ギヤ設置工程は終了する。

【0079】

本実施形態によれば、筒状部２６１ａは、突出部４３の外側面に固定される。よって、外歯ギヤ設置工程において、各筒状部２６１ａと各突出部４３との同心度を高め易いため、各カバー部材２６１が固定されたフランジ部４２の上側から外歯ギヤ３１を下側に移動させて、各貫通孔部３１ｂそれぞれの内部に各筒状部２６１ａおよび各突出部４３を軸方向に挿入する際に、外歯ギヤ３１と各筒状部２６１ａとが干渉することを抑制できる。これにより、外歯ギヤ設置工程の簡易化を図ることができるため、電動アクチュエータ２０１の製造工数が増大することを抑制できる。

【0080】

なお、外歯ギヤ設置工程では、あらかじめ第１ベアリング５１、出力シャフト本体４１、フランジ部４２、カバー部材２６１、内歯ギヤ３２、第３ベアリング５３、モータシャフト２３、および外歯ギヤ３１を一体に組み立てた後に、これらをケース本体１１の開口部１１ｈを介して、ケース本体１１の内部に上側から挿入し、ケース本体１１に固定してもよい。

【0081】

また、本実施形態では、筒状部２６１ａは、突出部４３の外側面に固定されるため、カバー部材６１が軸方向に移動することを抑制でき、筒状部２６１ａを貫通孔部３１ｂの内側面と突出部４３の外側面との間により安定的に配置できる。したがって、筒状部２６１ａが固定された突出部４３に貫通孔部３１ｂの内側面が衝突する際の衝突音を安定的に低減できる。したがって、電動アクチュエータ２０１の駆動時における騒音を安定的に低減できる。

【0082】

また、本実施形態では、筒状部２６１ａを貫通孔部３１ｂの内側面に固定する場合と比較して、軸方向に見て、筒状部２６１ａの内径および外径を小さくできるため、筒状部２６１ａの体積および重量が増大することを抑制できる。したがって、各カバー部材２６１それぞれの製造コストおよび電動アクチュエータ２０１の製造コストが増大することを抑制できる。

【0083】

以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。

【0084】

例えば、カバー部材の筒状部は、外歯ギヤの貫通孔部または突出部と固定されていなくてもよく、この場合、筒状部の外径は貫通孔部の内径よりも小さく、且つ、筒状部の内径は突出部の外径よりも大きくてもよい。カバー部材を構成する材料は、樹脂に限定されず、例えばゴムなどの他の材料によって構成されてもよい。カバー部材のうち少なくとも筒状部がゴム製である場合、筒状部の弾性率を小さくし易いため、筒状部を介して、外歯ギヤの貫通孔部の内側面が筒状部に衝突する際の衝突音をより好適に低減できる。
また、環状部の外径は、貫通孔部の内径より小さくてもよい。カバー部材は、環状部を有していなくてもよい。
また、貫通孔部の個数および突出部の個数は、それぞれ、８つに限定されず、７つ以下でもよいし、９つ以上であってもよい。

【0085】

減速機構の構成は、モータシャフトの回転を減速して出力シャフトに伝達できるならば、特に限定されない。例えば、複数の突出部とフランジ部とは別体であってもよい。この場合、複数の突出部のそれぞれは、フランジ部を貫通する複数の孔のそれぞれに圧入等によって固定される。

【0086】

また、例えば、複数の突出部が外歯ギヤに設けられ、複数の貫通孔部が出力フランジ部に設けられてもよい。この場合、複数の突出部のそれぞれは、外歯ギヤから出力フランジ部に向かって、すなわち下側に向かって突出し、貫通孔部に挿入される。この場合、上側が軸方向一方側であり、下側が軸方向他方側になる。

【0087】

本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。

【0088】

なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
（１） モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに連結される減速機構と、軸方向に延び、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が減速して伝達される出力シャフトと、少なくとも１つのカバー部材と、を備え、前記出力シャフトの少なくとも一部は、前記モータシャフトの内部に位置し、前記減速機構は、前記モータシャフトに連結され、前記モータシャフトの回転が減速して伝達される環状の外歯ギヤと、前記外歯ギヤの回転を前記出力シャフトに伝達する環状のフランジ部と、を有し、前記フランジ部は、前記外歯ギヤと軸方向に間隔をあけて配置され、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方は、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか一方を軸方向に貫通し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の貫通孔部を有し、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方には、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部のいずれか他方から軸方向に突出し、前記モータ軸を囲んで配置される複数の突出部が設けられ、複数の前記突出部のそれぞれは、複数の前記貫通孔部のそれぞれに挿入され、前記カバー部材の弾性率は、前記外歯ギヤ、前記フランジ部、および前記突出部それぞれの弾性率よりも小さく、前記カバー部材は、少なくとも軸方向一方側に開口する筒状の筒状部と、前記筒状部の外側面から軸方向と交差する方向に広がる環状の環状部と、を有し、前記筒状部は、前記貫通孔部の内側面と前記突出部の外側面との間に配置され、軸方向において、前記環状部は、前記外歯ギヤと前記フランジ部との間に配置され、且つ、前記外歯ギヤおよび前記フランジ部と接触する、電動アクチュエータ。
（２） 前記筒状部は、前記貫通孔部の内側面に固定される、（１）に記載の電動アクチュエータ。
（３） 前記筒状部は、前記突出部の外側面に固定される、（１）に記載の電動アクチュエータ。
（４） 前記環状部の外径は、前記貫通孔部の内径よりも大きい、（１）から（３）のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
（５） 軸方向に見て、前記環状部の外縁は、前記環状部が囲む前記突出部が挿入された前記貫通孔部を囲む、（１）から（４）のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
（６） 前記カバー部材は樹脂製であり、前記外歯ギヤ、前記フランジ部、および前記複数の突出部は金属製である、（１）から（５）のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
（７） 複数の前記カバー部材を備え、複数の前記貫通孔部のそれぞれの内部に、複数の前記カバー部材それぞれの前記筒状部が配置される、（１）から（６）のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
（８） 前記カバー部材は、前記筒状部の内部を軸方向他方側から塞ぐ天壁部を有する、（１）から（７）のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
（９） 前記モータ、前記減速機構、前記出力シャフト、および前記カバー部材を内部に収容するケースを備え、前記モータシャフトは、前記モータ軸と平行な第２軸線を中心とする円形状の外周面を有する偏心軸部を有し、前記外歯ギヤは、前記偏心軸部の外周面にベアリングを介して連結され、前記減速機構は、前記外歯ギヤの径方向外側に配置され、前記ケースに固定される環状の内歯ギヤを有し、前記内歯ギヤの内周面に沿って設けられる内歯歯車部の一部は、前記外歯ギヤの外周面に沿って設けられる外歯歯車部の一部と噛み合う、（１）から（８）のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【符号の説明】

【0089】

１，１０１，２０１…電動アクチュエータ、１０…ケース、２０…モータ、２３…モータシャフト、２３ｂ…偏心軸部、３０…減速機構、３１…外歯ギヤ、３１ｂ…貫通孔部、３１ｃ…外歯歯車部、３２…内歯ギヤ、３２ａ…内歯歯車部、４２…フランジ部、４３…突出部、４６…出力シャフト、５３…第３ベアリング（ベアリング）、６１，１６１，２６１…カバー部材、６１ａ，２６１ａ…筒状部、６１ｂ，２６１ｂ…環状部、１６１ｃ…天壁部、ｃ…モータ軸、Ｊ２…第２軸線

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】