(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092246
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】消費電力削減システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240701BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20240701BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240701BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240701BHJP
A47F 3/04 20060101ALI20240701BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240701BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20240701BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240701BHJP
F24F 110/22 20180101ALN20240701BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20240701BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
F24F11/46
F24F11/64
F25D11/00 101E
A47F3/04 Z
H02J3/14
F24F110:12
F24F110:10
F24F110:22
F24F110:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208039
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】下町 浩二
【テーマコード(参考)】
3B110
3L045
3L260
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
3B110AA03
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045MA20
3L045PA02
3L045PA04
3L260BA41
3L260BA74
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA32
3L260CA33
3L260FA02
3L260FB65
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB21
5G064DA05
5G066AA02
5G066KA12
5G066KB03
5G066KB07
(57)【要約】
【課題】消費電力を好適に削減することができる消費電力削減システムを提供する。
【解決手段】内部に陳列された商品を冷却するショーケース10と、室内空間の空気調和が可能な空調装置20と、が配置された建物2の消費電力を削減可能な消費電力削減システム1であって、建物2の外部と、室内空間と、の温度及び湿度を取得可能な温湿度センサ40と、温湿度センサ40の取得結果を含む情報に基づいて、ショーケース10及び空調装置20の両方を運転した場合の消費電力の推定値である第一の消費電力と、ショーケースのみを運転した場合の消費電力の推定値である第二の消費電力と、を算出し(ステップS106、ステップS111)、第一の消費電力及び第二の消費電力を比較した結果に基づいて、空調装置20を運転するか否かの判定を行う(ステップS112)制御装置50と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に陳列された商品を冷却するショーケースと、室内空間の空気調和が可能な空調装置と、が配置された建物の消費電力を削減可能な消費電力削減システムであって、
前記建物の外部と、前記室内空間と、の温度及び湿度を取得可能な温湿度取得部と、
前記温湿度取得部の取得結果を含む情報に基づいて、前記ショーケース及び前記空調装置の両方を運転した場合の消費電力の推定値である第一の消費電力と、前記ショーケースのみを運転した場合の消費電力の推定値である第二の消費電力と、を算出し、
前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力を比較した結果に基づいて、前記空調装置を運転するか否かの判定を行う制御装置と、
を具備する消費電力削減システム。
【請求項2】
前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力は、基準となる時から所定の第一期間経過後の推定値であり、
前記制御装置は、
前記第一期間ごとに前記空調装置を運転するか否かの判定を行う、
請求項1に記載の消費電力削減システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第一期間よりも短い第二期間ごとに、前記ショーケースが除去する熱量及び前記空調装置が除去する熱量の推定を、前記基準となる時から第一期間が経過するまで繰り返した推定結果を用いて、前記ショーケース及び前記空調装置の両方を運転した場合の除去熱量の合計である第一の総除去熱量を算出すると共に、前記第一の総除去熱量に基づいて前記第一の消費電力を算出し、
前記第二期間ごとに、前記ショーケースのみが除去する熱量の推定を、前記基準となる時から第一期間が経過するまで繰り返した推定結果を用いて、前記ショーケースのみを運転した場合の除去熱量である第二の総除去熱量を算出すると共に、前記第二の総除去熱量に基づいて前記第二の消費電力を算出する、
請求項2に記載の消費電力削減システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第一の総除去熱量に、前記ショーケース及び前記空調装置のエネルギー消費効率を考慮して前記第一の消費電力を算出し、
前記第二の総除去熱量に、前記ショーケースのエネルギー消費効率を考慮して前記第二の消費電力を算出する、
請求項3に記載の消費電力削減システム。
【請求項5】
前記温湿度取得部は、前記ショーケースに対応する位置と、前記空調装置に対応する位置と、のそれぞれに配置されている、
請求項1に記載の消費電力削減システム。
【請求項6】
前記空調装置を具備し、
前記制御装置は、
前記空調装置を運転するか否かの判定結果に基づいて、前記空調装置の運転を制御する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の消費電力削減システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力削減システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陳列された商品を冷却するショーケースが設置された建物の消費電力を削減する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、ショーケースの運転制御を行うことで、消費電力を削減する運転制御装置が開示されている。
【0004】
ここで、ショーケースが設置された室内空間は、空調装置による空調が行われる。空調装置により冷房を行う場合、空調装置の運転による消費電力は発生するが、室内空間の温度の低下に伴いショーケースの消費電力を削減することができる。一方、空調装置の運転を行わない場合、空調装置の消費電力は削減されるが、ショーケースの消費電力は比較的増加する。
【0005】
このことから、ショーケースや空調装置のエネルギー消費効率(COP)によっては、ショーケース及び空調装置の両方を運転させる場合の方が、ショーケースのみを運転させる場合より、全体の消費電力が小さくなる場合がある。このため、空調装置の消費電力を考慮して、ショーケースが設置された建物の消費電力を好適に削減することができるシステムが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、消費電力を好適に削減することができる消費電力削減システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、内部に陳列された商品を冷却するショーケースと、室内空間の空気調和が可能な空調装置と、が配置された建物の消費電力を削減可能な消費電力削減システムであって、前記建物の外部と、前記室内空間と、の温度及び湿度を取得可能な温湿度取得部と、前記温湿度取得部の取得結果を含む情報に基づいて、前記ショーケース及び前記空調装置の両方を運転した場合の消費電力の推定値である第一の消費電力と、前記ショーケースのみを運転した場合の消費電力の推定値である第二の消費電力と、を算出し、前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力を比較した結果に基づいて、前記空調装置を運転するか否かの判定を行う制御装置と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力は、基準となる時から所定の第一期間経過後の推定値であり、前記制御装置は、前記第一期間ごとに前記空調装置を運転するか否かの判定を行うものである。
【0011】
請求項3においては、前記制御装置は、前記第一期間よりも短い第二期間ごとに、前記ショーケースが除去する熱量及び前記空調装置が除去する熱量の推定を、前記基準となる時から第一期間が経過するまで繰り返した推定結果を用いて、前記ショーケース及び前記空調装置の両方を運転した場合の除去熱量の合計である第一の総除去熱量を算出すると共に、前記第一の総除去熱量に基づいて前記第一の消費電力を算出し、前記第二期間ごとに、前記ショーケースのみが除去する熱量の推定を、前記基準となる時から第一期間が経過するまで繰り返した推定結果を用いて、前記ショーケースのみを運転した場合の除去熱量である第二の総除去熱量を算出すると共に、前記第二の総除去熱量に基づいて前記第二の消費電力を算出するものである。
【0012】
請求項4においては、前記制御装置は、前記第一の総除去熱量に、前記ショーケース及び前記空調装置のエネルギー消費効率を考慮して前記第一の消費電力を算出し、前記第二の総除去熱量に、前記ショーケースのエネルギー消費効率を考慮して前記第二の消費電力を算出するものである。
【0013】
請求項5においては、前記温湿度取得部は、前記ショーケースに対応する位置と、前記空調装置に対応する位置と、のそれぞれに配置されているものである。
【0014】
請求項6においては、前記空調装置を具備し、前記制御装置は、前記空調装置を運転するか否かの判定結果に基づいて、前記空調装置の運転を制御するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、消費電力を好適に削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る消費電力削減システムを模式的に示した側断面図。
【
図2】消費電力削減システムが実行する制御を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向及び上下方向を定義して説明を行う。まず、本発明の一実施形態に係る消費電力削減システム1について説明する。
【0018】
本実施形態に係る消費電力削減システム1は、ショーケース10が設置された建物2で使用される電力を削減可能なものである。本実施形態では、建物2の一例として、スーパーマーケットやドラッグストア等の商業施設を想定している。
【0019】
以下では、まず、
図1を用いて、建物2について説明する。建物2は、壁3や天井、床によって区画された室内空間を有する。壁3は、建物2の外部(室外)と室内空間を区画する外壁である。建物2の室内空間には、商品の陳列に用いられる陳列棚4が配置されている。
【0020】
また、建物2には、商品を冷蔵可能なショーケース10や、室内空間の空気調和(空調)が可能な空調装置20が設けられる。
【0021】
ショーケース10は、内部に商品が陳列されると共に、電力を消費して陳列された商品の冷蔵(冷凍)を行うものである。ショーケース10は、冷熱(冷気)を発生させるためのコンプレッサ(不図示)等を具備する。ショーケース10は、商品を出し入れ可能な開口を有している。本実施形態では、ショーケース10として、水平方向(図例では前方)に向けて開口する縦型のショーケースを採用している。なお、
図1では1つのショーケース10を示しているが、ショーケース10は、室内空間に複数設置可能である。
【0022】
ショーケース10は、開口が常時開放されている。ショーケース10は、内蔵されたファンにより、開口に気流(エアカーテン)を発生させることができる。上記エアカーテンにより、ショーケース10の内部の冷気を漏れ難くすることができる。
【0023】
本実施形態に係るショーケース10は、内部の温度(設定温度)を設定可能に形成されている。また、ショーケース10は、内部の温度を検出する温度センサ(不図示)を有すると共に、温度センサの検出結果に基づいて運転の制御を実行可能である。具体的には、ショーケース10は、温度センサの検出結果が所定の設定温度(閾値)を上回った場合に、所定の設定温度となるような運転を実行可能である。
【0024】
空調装置20は、電力を消費して建物2の室内空間の空調(冷房や暖房)を実行可能なものである。空調装置20は、建物2の天井に配置される。空調装置20は、室内空間の空気を吸込み可能な吸込口(不図示)や、室内空間へ空気を吹き出し可能な吹出口(不図示)を有する。上記吸込口及び吹出口は、天井において露出するように形成される。
図1では1つの空調装置20を示しているが、空調装置20は、室内空間に複数設置可能である。
【0025】
空調装置20は、リモコン30によりオンオフ、及び空調の設定温度(空調設定温度)のコントロールが行われる。リモコン30は、建物2の所定箇所に設置される。
【0026】
空調装置20は、室内空間の温度を検出する温度センサ(不図示)を有すると共に、温度センサの検出結果に基づいて運転の制御を実行可能である。具体的には、空調装置20は冷房を行う場合には、温度センサの検出結果が所定の空調設定温度(閾値)を上回った場合に、所定の設定温度となるような運転を実行可能である。
【0027】
上述したようなスーパーマーケット等の商業施設の建物2では、ショーケース10を常時(24時間)運転させる一方、空調装置20については閉店時に停止する(閉店時にはショーケース10のみを運転する)場合がある。空調装置20により冷房を行う時期(例えば夏季)においては、空調装置20を停止した場合には室内空間の温度が上昇する。この際に、例えばエアカーテンの空気の巻き込み等で、ショーケース10の外部の比較的温度が高い空気が侵入した場合、ショーケース10は内部の温度が上昇する。この場合、ショーケース10の負荷が大きくなることから、消費電力が増加する。このように、閉店時に空調装置20を停止し、ショーケース10のみを運転する場合には、空調装置20の消費電力は減少するが、ショーケース10の消費電力は増加する。
【0028】
一方、ショーケース10及び空調装置20の両方を閉店時も運転させる場合、空調装置20の消費電力は増加するが、室内空間の温度が低下することから、ショーケース10の負荷が小さくなり、ショーケース10の消費電力は減少する。
【0029】
ここで、ショーケース10と空調装置20とでは、エネルギー消費効率(COP(Coefficient Of Performance))に差がある。具体的には、ショーケース10のCOP(例えば1程度)よりも空調装置20のCOP(例えば3程度)の方が高い。このため、合計の消費電力(ショーケース10及び空調装置20を合わせた消費電力)としては、ショーケース10及び空調装置20の両方を運転させる場合の方が、ショーケース10のみを運転させる場合よりも値が小さい場合がある。
【0030】
本実施形態に係る消費電力削減システム1は、空調装置20を運転させた場合の消費電力の推定値と、空調装置20を運転さない場合の消費電力の推定値と、を比較し、消費電力が小さい方の運転態様を採用する制御を実行可能である。
【0031】
以下では、
図1を用いて、消費電力削減システム1について説明する。消費電力削減システム1は、ショーケース10、空調装置20、リモコン30、温湿度センサ40及び制御装置50を具備する。なお、ショーケース10、空調装置20及びリモコン30の構成については上述したため、以下では説明を省略する。
【0032】
温湿度センサ40は、設置箇所の温度及び湿度を検出可能なものである。温湿度センサ40は、室内外(建物2の内外)にそれぞれ設置される。温湿度センサ40には、第一温湿度センサ41、第二温湿度センサ42及び第三温湿度センサ43が含まれる。
【0033】
第一温湿度センサ41は、室内空間のうち、ショーケース10に対応する位置に設置される。本実施形態では、第一温湿度センサ41を、ショーケース10の開口の付近に設置している。第二温湿度センサ42は、室内空間のうち、空調装置20に対応する位置に設置される。本実施形態では、第二温湿度センサ42を、空調装置20の付近に設置している。第三温湿度センサ43は、建物2の外部(室外)に設置される。なお、ショーケース10を複数設置した場合には、複数の第一温湿度センサ41を、各ショーケース10に対応する位置にそれぞれ設置することが望ましい。
【0034】
制御装置50は、空調装置20の運転に関する制御を行うものである。制御装置50は、CPU等の演算処理装置、RAMやROM、HDD等の記憶装置等により構成される。
【0035】
制御装置50は、リモコン30に接続され、リモコン30を介して空調装置20のオンオフ等を制御可能である。また、制御装置50は、温湿度センサ40に接続され、温湿度センサ40(第一温湿度センサ41、第二温湿度センサ42及び第三温湿度センサ43)の検出結果を取得することができる。また、制御装置50には、入力部(不図示)を介して各種の情報を入力可能である。
【0036】
以下では、
図2のフローチャートを用いて、消費電力削減システム1が制御において実行する処理について説明する。消費電力削減システム1による制御は、閉店時に実行される。
【0037】
まず、ステップS101からステップS106までの処理について説明する。ステップS101~ステップS106において、制御装置50は、空調装置20を所定の第一期間(本実施形態では、1時間)に亘って運転した場合の消費電力(ショーケース10及び空調装置20の合計の消費電力)の推定値を算出する。制御装置50は、前記第一期間が経過する毎に、次の前記第一期間の消費電力の推定値の算出を行う。また、本実施形態において、制御装置50は、前記第一期間の消費電力の推定値を算出するため、ステップS101からステップS104までの処理を、所定の周回数繰り返し実行する。なお、上記処理の繰り返しの詳細な説明は後述する。
【0038】
ステップS101において、制御装置50は、「ショーケース10の顕熱・潜熱除去量計算」を行う。すなわち、制御装置50は、「ショーケース10の顕熱除去量」及び「ショーケース10の潜熱除去量」を算出する。
【0039】
「ショーケース10の顕熱除去量」とは、ショーケース10内で除去される顕熱の熱量である。「ショーケース10の顕熱除去量」は、以下の数1の数式で表される。
(数1)
Qss(t)=ρi×ci×Vs×(Ti(t)-Ts)×Δt
ここで、
Qss(t):ショーケース10の顕熱除去量(J)
ρi:室内空気密度(kg/m3)
ci:室内空気比熱(J/kgK)
Vs:ショーケース10の漏れ風量(m3/h)
Ti(t):室内温度測定値(K)
Ts:ショーケース設定温度(K)
Δt:第二期間(微小時間)
【0040】
上記数1の数式の「室内空気密度」は、室内空間の空気の密度である。「室内空気比熱」は、室内空間の空気の比熱である。「ショーケース10の漏れ風量」は、ショーケース10の開口から漏れる風の風量である。「室内温度測定値」は、室内空間の温度の測定値である。「ショーケース設定温度」は、ショーケース10の内部の設定温度である。「第二期間」は、第一期間よりも短く設定された微小時間(例えば1分(60秒))である。なお、以下の数式の説明では、すでに記載した値の説明については適宜省略する。なお、上記数1の右辺に、単位調整のための計算(例えば3600で除算する等)を適宜追加してもよい。また、後述する数式(例えば数2~数7等)についても同様に、単位調整のための計算を追加してもよい。
【0041】
上記数1の各値のうち、「室内温度測定値」は、室内空間に配置された温湿度センサ40(第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42)による測定値が用いられる。「室内温度測定値」としては、第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42の両方の測定値(例えば両方の測定値の平均値等)が用いられる。なお、「室内温度測定値」として、第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42のうちの一方を用いることも可能である。また、上記数1の各値のうち、「室内温度測定値」を除く他の値は、予め設定された値である。なお、他の値の一部(例えば「ショーケース設定温度」等)に測定値を用いるようにしてもよい。
【0042】
また、「ショーケース10の潜熱除去量」とは、ショーケース10内で除去される潜熱の熱量である。「ショーケース10の潜熱除去量」は、以下の数2の数式で表される。
(数2)
Qsl(t)=ρi×H×Vs×(Xi(t)-Xs)×Δt
ここで、
H:室内空気蒸発潜熱(J/kg)
Xi(t):室内絶対湿度測定値(kg/kg’)
Xs:ショーケース内絶対湿度(kg/kg’)
【0043】
上記数2の数式の「室内空気蒸発潜熱」は、室内空間での蒸発に必要な熱である。「室内絶対湿度測定値」は、室内空間の絶対湿度の測定値である。「ショーケース内絶対湿度」は、ショーケース10内の絶対湿度である。
【0044】
上記数2の各値のうち、「室内絶対湿度測定値」は、室内空間に配置された温湿度センサ40(第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42)による測定値が用いられる。「室内絶対湿度測定値」としては、第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42の両方の測定値を用いてもよく、第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42のうちの一方を用いてもよい。また、上記数2の各値のうち、「室内絶対湿度測定値」を除く他の値は、予め設定された値である。なお、他の値の一部(例えば「ショーケース内絶対湿度」等)に測定値を用いるようにしてもよい。
【0045】
制御装置50は、ステップS101の処理を実行した後、ステップS102の処理へ移行する。
【0046】
ステップS102において、制御装置50は、「空調装置20の顕熱・潜熱除去量計算」を行う。すなわち、制御装置50は、「空調装置20の顕熱除去量」及び「空調装置20の潜熱除去量」を算出する。
【0047】
「空調装置20の顕熱除去量」とは、空調装置20により除去される室内空間の顕熱の熱量である。「空調装置20の顕熱除去量」は、以下の数3の数式で表される。
(数3)
Qas(t)=ρi×ci×Va×(Ti(t)-Ta)×Δt
ここで、
Qas(t):空調装置20の顕熱除去量(J)
Va:空調装置風量(m3/h)
Ta:空調吹出温度(K)
【0048】
上記数3の数式の「空調装置風量」は、空調装置20が吹き出す風の風量である。「空調吹出温度」は、空調装置20が吹き出す風の温度である。
【0049】
上記数3の各値(「空調装置風量」及び「空調吹出温度」)は、予め設定された値である。なお、「空調装置風量」及び「空調吹出温度」に測定値を用いるようにしてもよい。
【0050】
「空調装置20の潜熱除去量」とは、空調装置20により除去される室内空間の潜熱の熱量である。「空調装置20の潜熱除去量」は、以下の数4の数式で表される。
(数4)
Qal(t)=ρi×H×Va×(Xi(t)-Xa)×Δt
ここで、
Qal(t):空調装置20の潜熱除去量(J)
Xa:空調吹出絶対湿度(kg/kg’)
【0051】
上記数4の数式の「空調吹出絶対湿度」は、空調装置20が吹き出す風の絶対湿度である。
【0052】
上記数4の値(「空調吹出絶対湿度」)は、予め設定された値である。なお、「空調吹出絶対湿度」に測定値を用いるようにしてもよい。
【0053】
制御装置50は、ステップS102の処理を実行した後、ステップS103の処理へ移行する。
【0054】
ステップS103において、制御装置50は、「貫流・換気・内部発熱による顕熱・潜熱取得量計算」を行う。すなわち、制御装置50は、「貫流による顕熱取得量」、「換気による顕熱取得量」、「換気による潜熱取得量」、「内部発熱による顕熱取得量」及び「内部発熱による潜熱取得量」を算出する。なお、「貫流による潜熱取得量」は、「換気による潜熱取得量」に比べて微小であるため、本実施形態では「貫流による潜熱取得量」の算出は省略する。
【0055】
「貫流による顕熱取得量」とは、壁3や窓等を介して室内空間に入る顕熱の熱量である。「貫流による顕熱取得量」は、以下の数5の数式で表される。
(数5)
Qts(t)=A×U×(To(t)-Ti(t))×Δt
ここで、
Qts(t):貫流による顕熱取得量(J)
A:外皮面積(m2)
U:外皮平均熱貫流率(W/m2K)
To(t):外気温度測定値(K)
【0056】
上記数5の数式の「外皮面積」は、建物2のうち熱的境界となる外皮(屋根(天井)や壁3、床等)に接している面の面積である。「外皮平均熱貫流率」は、建物2の内部から、外皮を通過して外部へ逃げる熱量(熱損失量)を「外皮面積」で除算した値である。「外気温度測定値」は、建物2の外部の気温(外気)の温度の測定値である。
【0057】
上記数5の各値のうち、「外気温度測定値」は、第三温湿度センサ43による測定値が用いられる。また、上記数5の各値のうち、「外皮面積」及び「外皮平均熱貫流率」は、予め設定された値である。
【0058】
「換気による顕熱取得量」とは、室内空間の換気に伴い、室内空間に入る顕熱の熱量である。「換気による顕熱取得量」は、以下の数6の数式で表される。
(数6)
Qvs(t)=ρi×ci×Vv×(To(t)-Ti(t))×Δt
ここで、
Qvs(t):換気による顕熱取得量(J)
Vv:換気機器風量(m3/h)
【0059】
上記数6の数式の「換気機器風量」は、建物2の室内空間を換気する機器(不図示)の風量である。「換気機器風量」は、予め設定された値である。
【0060】
「換気による潜熱取得量」とは、室内空間の換気に伴い、室内空間に入る潜熱の熱量である。「換気による潜熱取得量」は、以下の数7の数式で表される。
(数7)
Qvl(t)=ρi×H×Vv×(Xo(t)-Xi(t))×Δt
ここで、
Qvl(t)換気による潜熱取得量(J)
Xo(t):外気絶対湿度測定値(kg/kg’)
【0061】
上記数7の数式の「外気絶対湿度測定値」は、建物2の外気の絶対湿度の測定値である。「外気絶対湿度測定値」は、第三温湿度センサ43による測定値が用いられる。
【0062】
「内部発熱による顕熱取得量(J)」は、室内空間における内部発熱により取得される顕熱の熱量である。「内部発熱による潜熱取得量(J)」は、室内空間における内部発熱により取得される潜熱の熱量である。ここで、「内部発熱」とは、室内空間内の機器や照明、人体からの発熱を指す。
【0063】
「内部発熱による顕熱取得量(His)」及び「内部発熱による潜熱取得量(Hil)」としては、予め設定された値が使用される。なお、「内部発熱」の値(例えば照明に関する値)は、日中と夜間とで異なることが想定される。このため、「内部発熱による顕熱取得量」及び「内部発熱による潜熱取得量」については、日中と夜間とで異なる値を用いることが望ましい。
【0064】
制御装置50は、ステップS103の処理を実行した後、ステップS104の処理へ移行する。
【0065】
ステップS104において、制御装置50は、「微小時間後の室内温湿度計算」を行う。すなわち、制御装置50は、「微小時間後の室内温度」及び「微小時間後の室内湿度」を算出する。
【0066】
「微小時間後の室内温度」は、ある時点から微小時間である第二期間(1分)が経過した時点の室内空間の温度の推定値である。ここで、「ある時点」とは、ステップS104の処理が1周目である場合は、1周目の処理を開始時を指し、ステップS104の処理が2周目以降である場合は、1つ前の周の処理で算出した推定値に対応する時(2周目であれば、1周目の処理の開始時から1分後)を指す。「微小時間後の室内温度」は、以下の数8の数式で表される。
(数8)
Ti(t+Δt)=Ti(t)+(Qts(t)+Qvs(t)+His+Qss(t)+Qas(t)/(ρi×ci×V))
ここで、
Ti(t+Δt):微小時間後の室内温度(K)
His:内部発熱による顕熱取得量(J)
【0067】
上記数8の「内部発熱による顕熱取得量」は、ステップS103の処理で得られた値である。
【0068】
「微小時間後の室内湿度」は、ある時点から第二期間(1分)が経過した時点の室内空間の湿度(絶対湿度)の推定値である。「微小時間後の室内湿度」は、以下の数9の数式で表される。
(数9)
Xi(t+Δt)=Xi(t)+(Qvl(t)+Hil+Qsl(t)+Qal(t))/(ρi×H×V)
ここで、
Xi(t+Δt):微小時間後の室内湿度(kg/kg’)
Hil:内部発熱による潜熱取得量(J)
【0069】
上記数9の「内部発熱による潜熱取得量」は、ステップS103の処理で得られた値である。
【0070】
上述したように、制御装置50は、ステップS101からステップS104までの処理を、所定の周回数繰り返し実行する。なお、上述した例(1周目の処理)では、ステップS101及びステップS102の処理において、温湿度センサ40のリアルタイムの測定値である「室内温度測定値(Ti(t))」及び「室内絶対湿度測定値(Xi(t))」を用いていた。本実施形態では、2周目以降の算出においては、上記測定値に代えて、1つ前の周にステップS104で算出された推定値である「微小時間後の室内温度(Ti(t+Δt))」及び「微小時間後の室内湿度(Xi(t+Δt))」を用いて、ステップS101及びステップS102の処理を行う。なお、上記推定値に代えて、2周目以降の算出においても測定値を用いることも可能である。
【0071】
また、2周目以降のステップS103の処理においては、「外気温度測定値(To(t))」及び「外気絶対湿度測定値(Xo(t))」として、1周目の処理で用いた温湿度センサ40(第三温湿度センサ43)の測定値を用いることができる。なお、上記態様に代えて、2周目以降においても、第三温湿度センサ43のリアルタイムの測定値を用いることも可能である。
【0072】
制御装置50は、上記各処理(ステップS101からステップS104までの処理)を繰り返すことで、第二期間(1分)ごとの各処理の算出結果を取得することができる。すなわち、制御装置50は、前記第一期間(1時間)の消費電力の推定値を算出するために、当該1時間の間における1分経過する毎の室内空間の温度等の、各処理の算出結果を順次取得していく。各処理の算出結果は、記憶装置に蓄積される。制御装置50は、第二期間ごとの各処理の算出結果を、第一期間(1時間)分取得した場合、ステップS105の処理へ移行する。
【0073】
ステップS105において、制御装置50は、第一期間分のステップS101からステップS104までの処理の算出結果を用いて、「ショーケース10の総除去熱量(顕熱・潜熱)」及び「空調装置20の総除去熱量(顕熱・潜熱)」を算出する。
【0074】
「ショーケース10の総除去熱量(顕熱・潜熱)」は、基準となる時(以下では「基準時」と称する)から第一期間後のショーケース10の顕熱除去量及び潜熱除去量の総量である。ここで、「基準となる時」とは、第一期間ごとの消費電力の推定値の算出を開始するタイミングである。「ショーケース10の総除去熱量(顕熱・潜熱)」は、以下の数10、数11の数式で表される。
(数10)
Qsa(t)=Qss(t)+Qsl(t)
ここで、
Qsa(t):ショーケース10の総熱除去量(顕熱・潜熱)(J)
(数11)
Qsa total=ΣQsa(t)
【0075】
「空調装置20の総除去熱量(顕熱・潜熱)」は、基準時から第一期間後の空調装置20の顕熱除去量及び潜熱除去量の総量である。「空調装置20の総除去熱量(顕熱・潜熱)」は、以下の数12、数13の数式で表される。
(数12)
Qaa(t)=Qas(t)+Qal(t)
ここで、
Qaa(t):空調装置20の総熱除去量(顕熱・潜熱)(J)
(数13)
Qaa total=ΣQaa(t)
【0076】
制御装置50は、ステップS105の処理を実行した後、ステップS106の処理へ移行する。
【0077】
ステップS106において、制御装置50は、「ショーケース10及び空調装置20を両方運転した場合の消費電力換算値」を算出する。ここで、「消費電力換算値」とは、総熱除去量(ステップS105で算出した総熱除去量(顕熱・潜熱))を、エネルギー消費効率(COP)で除算した値である。「ショーケース10及び空調装置20を両方運転した場合の消費電力換算値」は、以下の数14の数式で表される。
(数14)
Was=Qsa total/COPs+Qaa total/COPa
ここで、
Was:ショーケース10及び空調装置20を両方運転した場合の消費電力換算値
COPs:ショーケース10のCOP
COPa:空調装置20のCOP
【0078】
上記数14の各値のうち、「ショーケース10のCOP」及び「空調装置20のCOP」は、予め設定された値である。
【0079】
制御装置50は、ステップS106の処理を実行した後、ステップS112の処理へ移行する。
【0080】
次に、ステップS107からステップS111までの処理について説明する。ステップS107~ステップS111において、制御装置50は、空調装置20を運転しない場合(ショーケース10のみを運転する場合)の消費電力の推定値を算出する。
【0081】
ステップS107~ステップS111の処理は、空調装置20に関する算出を行わないことを除いて、上述したステップS101~ステップS106の処理と概ね同様である。従って、以下の説明では、ステップS101~ステップS106の処理の説明と重複する点については適宜省略する。
【0082】
ステップS107~ステップS109の処理は、ステップS101、ステップS103及びステップS104の処理と同様であるので、説明は省略する。制御装置50は、ステップS107からステップS109までの処理の算出結果を、第一期間(1時間)分取得するまで、第二期間ごとに繰り返し実行する。制御装置50は、上記処理の繰り返しを行った場合、ステップS110の処理へ移行する。
【0083】
ステップS110において、制御装置50は、「ショーケース10の総除去熱量(顕熱・潜熱)」を算出する。ステップS110における「ショーケース10の総除去熱量(顕熱・潜熱)」の算出方法は、ステップS105における「ショーケース10の総除去熱量(顕熱・潜熱)」の算出方法(数11、数12)と同様であるので、説明は省略する。
【0084】
制御装置50は、ステップS110の処理を実行した後、ステップS111の処理へ移行する。
【0085】
ステップS111において、制御装置50は、「ショーケース10のみを運転した場合の消費電力換算値」を算出する。「ショーケース10のみを運転した場合の消費電力換算値」は、以下の数15の数式で表される。
(数15)
Ws=Qsa total/COPs
ここで、
Ws:ショーケース10のみを運転した場合の消費電力換算値
【0086】
制御装置50は、ステップS111の処理を実行した後、ステップS112の処理へ移行する。
【0087】
ステップS112において、制御装置50は、空調装置20を運転するか否かの判定を行う。制御装置50は、ステップS106の処理で算出した「ショーケース10及び空調装置20を両方運転した場合の消費電力換算値(Wa)」と、ステップS111の処理で算出した「ショーケース10のみを運転した場合の消費電力換算値(Ws)」と、を比較すると共に、Was≦Wsであれば、空調装置20の運転を行う。すなわち、制御装置50は、ショーケース10及び空調装置20を両方運転した場合の消費電力の推定値が、ショーケース10のみを運転した場合(空調装置20を運転しない場合)の消費電力の推定値以下である場合には、空調装置20の運転を行う。
【0088】
上述のように、消費電力削減システム1によれば、所定の第一期間(1時間)ごとに、空調装置20を運転した場合の消費電力換算値と、空調装置20を運転しない場合の消費電力換算値と、を推定し、上記推定結果に基づいて空調装置20を運転するか否かの判定を行う。また、消費電力削減システム1は、上記判定結果に基づいて、空調装置20の動作を制御する。
【0089】
上述した処理を行うことで、ショーケース10及び空調装置20を両方運転した場合と、ショーケース10のみを運転した場合と、のうち、消費電力を削減可能な方の運転態様を採用することができる。これにより、ショーケース10が設置された建物2の消費電力を削減することができる。また、本実施形態では、比較的取得し易い測定値である温湿度センサ40の測定値に基づいて、消費電力換算値の推定を行う構成を採用している。
【0090】
以上、消費電力削減システム1について説明した。なお、本実施形態に係る制御は一例であり、消費電力削減システム1が実行する制御は上述した例に限定されるものではなく、任意の処理を追加又は変更してもよい。また、上記説明で例示した具体的な数値は一例であり、任意に変更することが可能である。
【0091】
例えば、上述した処理では、ステップS112において、Was≦Wsであれば、空調装置20の運転を行うと判定する例を示したが上記態様に限定されない。例えば、Was<Wsであれば、空調装置20の運転を行うと判定するようにしてもよい。
【0092】
以上の如く、本実施形態に係る消費電力削減システム1は、
内部に陳列された商品を冷却するショーケース10と、室内空間の空気調和が可能な空調装置20と、が配置された建物2の消費電力を削減可能な消費電力削減システム1であって、
前記建物2の外部と、前記室内空間と、の温度及び湿度を取得可能な温湿度取得部(温湿度センサ40)と、
前記温湿度センサ40の取得結果を含む情報に基づいて、前記ショーケース10及び前記空調装置20の両方を運転した場合の消費電力の推定値である第一の消費電力と、前記ショーケースのみを運転した場合の消費電力の推定値である第二の消費電力と、を算出し(ステップS106、ステップS111)、
前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力を比較した結果に基づいて、前記空調装置20を運転するか否かの判定を行う(ステップS112)制御装置50と、
を具備するものである。
【0093】
このように構成することによって、消費電力を好適に削減することができるという効果を奏する。すなわち、ショーケース10及び空調装置20を両方運転した場合と、ショーケース10のみを運転した場合と、のうち、消費電力を削減可能な方の運転態様を採用することができる。これにより、ショーケース10が設置された建物2の消費電力を好適に削減することができる。
【0094】
また、前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力は、基準となる時から所定の第一期間経過後の推定値であり、
前記制御装置50は、
前記第一期間ごとに前記空調装置20を運転するか否かの判定を行うものである。
【0095】
このように構成することによって、建物2の内外の温湿度の変化に応じて、第一期間ごとに空調装置20を運転するか否かの判定を行うことができ、消費電力をより好適に削減することができる。
【0096】
また、前記制御装置50は、
前記第一期間よりも短い第二期間ごとに、前記ショーケース10が除去する熱量及び前記空調装置が除去する熱量の推定を、前記基準となる時から第一期間が経過するまで繰り返した推定結果を用いて、前記ショーケース10及び前記空調装置20の両方を運転した場合の除去熱量の合計である第一の総除去熱量を算出すると共に、前記第一の総除去熱量に基づいて前記第一の消費電力を算出し(ステップS101~S106)、
前記第二期間ごとに、前記ショーケース10のみが除去する熱量の推定を、前記基準となる時から第一期間が経過するまで繰り返した推定結果を用いて、前記ショーケース10のみを運転した場合の除去熱量である第二の総除去熱量を算出すると共に、前記第二の総除去熱量に基づいて前記第二の消費電力を算出するものである(ステップS107~S111)。
【0097】
このように構成することによって、第二期間ごとの推定結果を用いて第一の総除去熱量及び第二の総除去熱量の推定を行うことができ、推定の精度を向上させることができる。
【0098】
また、前記制御装置50は、
前記第一の総除去熱量に、前記ショーケース10及び前記空調装置20のエネルギー消費効率を考慮して前記第一の消費電力を算出し、
前記第二の総除去熱量に、前記ショーケース10のエネルギー消費効率を考慮して前記第二の消費電力を算出するものである。
【0099】
このように構成することによって、エネルギー消費効率を考慮して、消費電力をより好適に削減することができる。
【0100】
また、前記温湿度センサ40(第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42)は、前記ショーケース10に対応する位置と、前記空調装置20に対応する位置と、のそれぞれに配置されているものである。
【0101】
このように構成することによって、ショーケース10及び空調装置20が設置された室内空間の温度及び湿度を好適に測定することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る消費電力削減システム1は、
前記空調装置20を具備し、
前記制御装置50は、
前記空調装置20を運転するか否かの判定結果に基づいて、前記空調装置20の運転を制御するものである。
【0103】
このように構成することによって、消費電力を削減するように、空調装置20の運転を制御することができる。
【0104】
なお、本実施形態に係る温湿度センサ40は、本発明に係る温湿度取得部の実施の一形態である。
【0105】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0106】
例えば、本実施形態では、ショーケース10として縦型のショーケースを採用した例を示したが、上述した例に限定されない。ショーケース10としては、平型のショーケース等、種々の態様を採用可能である。
【0107】
また、本実施形態では、第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42を、ショーケース10の開口及び空調装置20の付近に設置した例を示したが、上述した例に限定されない。第一温湿度センサ41及び第二温湿度センサ42の設置位置は、適宜設定可能である。また、室内空間に設置される温湿度センサ40の数についても、適宜設定可能である。
【0108】
また、本実施形態では、温湿度取得部として、温度及び湿度を測定可能な温湿度センサ40を採用した例を示したが、このような態様に限られない。温湿度取得部としては、温度及び湿度を取得可能な種々の構成を採用可能である。例えば、第三温湿度センサ43を用いて建物2の外の温度や湿度を測定する態様に代えて、気象に関する公共の機関等、外部の機関から送信される気象予測情報(天気予報等)から、温度や湿度を取得する構成も採用可能である。
【0109】
また、本実施形態では、ショーケース10や空調装置20を消費電力削減システム1に含めた例を示したが、このような態様に限られず、ショーケース10や空調装置20を消費電力削減システム1に含めなくてもよい。
【0110】
また、本実施形態では、消費電力削減システム1が適用される建物2を、スーパーマーケットやドラッグストア等の商業施設とした例を示したが、このような態様に限られない。建物2としては、ショーケース10及び空調装置20が配置される種々の建物を採用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 消費電力削減システム
10 ショーケース
20 空調装置
40 温湿度センサ
50 制御装置