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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092254
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】物品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B65G47/14 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208052
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道端 善之
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA30
3F080AA34
3F080BA02
3F080BC01
3F080BF04
3F080CB02
3F080CC03
3F080CE01
3F080DA01
3F080FA01
3F080FA03
(57)【要約】
【課題】物品供給装置において簡易な構成で種々の形状およびサイズの物品に対応可能な共用範囲を広くする。
【解決手段】回転容器110は、周方向に回転可能である。環状スロープ120は、回転容器110の外縁に内縁が沿いつつ回転可能に設けられ、内縁から外側下方に向かって延在する。螺旋部材130は、螺旋状案内部130gを有して回転容器110の上方に固定され、回転容器110の回転によって回転容器上の物品を螺旋状案内部130gに沿って外周側上方に移動させて環状スロープ120上に移行させる。周壁部140は、環状スロープ120の外周に設けられ、環状スロープ120上の物品を排出可能な排出口141が形成されている。整列構造150は、環状スロープ120上において排出口141より環状スロープ120の回転方向の上流側の位置に配置され、環状スロープ120の外縁側から内縁側に向けて突出して環状スロープ120上の物品を整列させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に回転可能な回転容器と、
前記回転容器の外縁に内縁が沿いつつ回転可能に設けられ、前記内縁から外側下方に向かって延在する環状スロープと、
螺旋状案内部を有して前記回転容器の上方に固定され、前記回転容器の回転によって前記回転容器上の物品を前記螺旋状案内部に沿って外周側上方に移動させて前記環状スロープ上に移行させる螺旋部材と、
前記環状スロープの外周に設けられ、前記環状スロープ上の前記物品を排出可能な排出口が形成された周壁部と、
前記環状スロープ上において前記排出口より前記環状スロープの回転方向の上流側の位置に配置され、前記環状スロープの外縁側から内縁側に向けて突出して前記環状スロープ上の前記物品を整列させる整列構造とを備える、物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤フィーダの構成を開示した先行技術文献として、特開2015-23969号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された薬剤フィーダは、央部が固形の薬剤をランダム収容しうるように凹んでおり且つ周縁部が上記薬剤を円弧状に並べて置けるようにフランジ状になっている軸回転可能な回転容器と、上記回転容器の外周に沿って設けられた固定の外壁と、上記回転容器の中の上記薬剤を上記央部から上記周縁部へ案内する整流案内部材と、上記外壁を貫く形で設けられていて上記外壁に沿って上記回転容器の上記周縁部の上面で運ばれて来た上記薬剤を導出物として上記周縁部の上から外へ導く導出部と、上記導出部の手前で上記導出物の高さを規制する高さ規制部材とを備えている。薬剤フィーダには、上記導出部に具備された内外対向部材のうち外周側に配された揺動部材からなり揺動にて上記回転容器の上記周縁部の上面の空き幅を拡縮することにより上記導出物の幅を規制する幅規制部材と、上記内外対向部材のうち内周側に配されたベルト送り機構からなり上記回転容器の上記周縁部の内側に至っていて上記導出物を上記幅規制部材とで挟持して上記回転容器の回転時の上記周縁部よりも高速で送る挟持送出機構とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-23969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬剤フィーダのような物品供給装置には、簡易な構成で種々の形状およびサイズの物品に対応可能な共用範囲の広いことが求められる。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で種々の形状およびサイズの物品に対応可能な共用範囲の広い、物品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく物品供給装置は、回転容器と、環状スロープと、螺旋部材と、周壁部と、整列構造とを備える。回転容器は、周方向に回転可能である。環状スロープは、回転容器の外縁に内縁が沿いつつ回転可能に設けられ、上記内縁から外側下方に向かって延在する。螺旋部材は、螺旋状案内部を有して回転容器の上方に固定され、回転容器の回転によって回転容器上の物品を螺旋状案内部に沿って外周側上方に移動させて環状スロープ上に移行させる。周壁部は、環状スロープの外周に設けられ、環状スロープ上の物品を排出可能な排出口が形成されている。整列構造は、環状スロープ上において排出口より環状スロープの回転方向の上流側の位置に配置され、環状スロープの外縁側から内縁側に向けて突出して環状スロープ上の物品を整列させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物品供給装置において簡易な構成で種々の形状およびサイズの物品に対応可能な共用範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一形態に係る物品供給装置の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一形態に係る物品供給装置において、回転容器および環状スロープの各々が正転している状態を示す斜視図である。
図3】本発明の一形態に係る物品供給装置の構成の一部を示す分解斜視図である。
図4】本発明の一形態に係る物品供給装置の構成の一部を透視および断面視して示す斜視図である。
図5】本発明の一形態に係る物品供給装置の回転容器の内周面に形成されている溝部の形状を示す平面図である。
図6】回転容器の溝部の第1壁面と螺旋状案内部の外側面とのなす角が鋭角である第1比較例における荷重負荷方向を示す図である。
図7】本発明の一形態に係る物品供給装置の環状スロープの上面に形成されている溝部および整列構造の形状を示す平面図である。
図8】環状スロープの溝部の第1壁面と整列構造の内側面とのなす角が鋭角である第2比較例における荷重負荷方向を示す図である。
図9】本発明の一形態に係る物品供給装置において回転容器上の薬剤が、螺旋状案内部の外側面に沿いつつ始端部側から終端部側に向けて搬送された後、回転容器の外縁を超えて環状スロープ上に乗り移される状態を示す斜視図である。
図10】本発明の一形態に係る物品供給装置において環状スロープ上の比較的小さな薬剤を整列構造によって1列に整列させている状態を示す斜視図である。
図11】本発明の一形態に係る物品供給装置において環状スロープ上の比較的大きな薬剤を整列構造によって1列に整列させている状態を示す斜視図である。
図12】本発明の一形態に係る物品供給装置の回転容器の中心部の周囲を示す斜視図である。
図13】本発明の一形態に係る物品供給装置の回転容器の中心部の周囲を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る物品供給装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。本実施形態においては、物品供給装置として、錠剤およびカプセル剤などの薬剤を供給する薬剤供給装置について説明するが、物品供給装置が供給するのは、薬剤に限られず、菓子などの食品または工業用部品などであってもよい。物品供給装置は、単一種類の多数の物品を一度に収容し、その多数の物品を1つずつ供給するものであってもよく、あるいは、形状およびサイズが互いに異なる複数種類の多数の物品を一度に収容し、その多数の物品を1つずつ供給するものであってもよい。
【0010】
図1は、本発明の一形態に係る物品供給装置の構成を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の一形態に係る物品供給装置100は、回転容器110と、環状スロープ120と、螺旋部材130と、周壁部140と、整列構造150とを備える。物品供給装置100は、蓋部材160をさらに備える。図1においては、蓋部材160を透視して図示している。
【0011】
図2は、本発明の一形態に係る物品供給装置において、回転容器および環状スロープの各々が正転している状態を示す斜視図である。図2においては、蓋部材160を取り外した状態を示している。図3は、本発明の一形態に係る物品供給装置の構成の一部を示す分解斜視図である。図4は、本発明の一形態に係る物品供給装置の構成の一部を透視および断面視して示す斜視図である。
【0012】
図1図4に示すように、回転容器110は、物品供給装置100に投入された薬剤を収容する容器である。回転容器110は、鉢状または半球状の形状を有している。回転容器110は、軸中心に回転可能である。すなわち、回転容器110は、周方向に回転可能である。本実施形態においては、回転容器110の中心軸が鉛直方向に対して平行に位置するように回転容器110が配置されているが、この配置に限られず、回転容器110の中心軸が鉛直方向に対して斜めに傾いて位置するように回転容器110が配置されていてもよい。
【0013】
回転容器110は、図2に示す正転方向D1に回転可能である。回転容器110は、正転方向D1および正転方向D1とは逆方向の逆転方向の両方に回転可能であってもよい。回転容器110は、図示しないモータなどの第1回転駆動部と接続されており、第1回転駆動部によって回転駆動される。
【0014】
回転容器110は、軸中心上に位置する突出部112、突出部112の周囲に位置する底面部113、および、底面部113上から内周面の外縁114まで延在する溝部111を有する。突出部112は、尖塔円柱形状を有している。突出部112の上端面には、放射状に延在して周方向に並ぶ複数の溝が形成されている。溝部111は、底面部113から回転容器110の外縁114に近づくにしたがって正転方向D1の上流側(後ろ側)に位置するように斜めに延在している。
【0015】
環状スロープ120は、回転容器110の外縁114に内縁122が沿いつつ回転可能に設けられている。環状スロープ120の内縁122は、回転容器110の外縁114とほぼ同一の高さである。詳しくは、環状スロープ120の内縁122は、回転容器110の外縁114のうち溝部111の底面に対応する部分よりも高く、回転容器110の外縁114のうち溝部111間の凸部の上面に対応する部分よりも低い。環状スロープ120は、図2に示す正転方向D2に回転可能である。環状スロープ120は、正転方向D2および正転方向D2とは逆方向の逆転方向の両方に回転可能であってもよい。環状スロープ120は、内縁122から外側下方に向かって外縁123まで延在している。すなわち、環状スロープ120は、回転容器110と同軸の仮想円錐の側面に沿う形状を有している。環状スロープ120は、図示しないモータなどの第2回転駆動部と接続されており、第2回転駆動部によって回転駆動される。
【0016】
環状スロープ120の上面には、内縁122から外縁123まで延在する溝部121が形成されている。溝部121は、外縁123から内縁122に近づくにしたがって正転方向D2の上流側(後ろ側)に位置するように斜めに延在している。
【0017】
螺旋部材130は、螺旋状案内部130gを有して回転容器110の上方に固定されている。螺旋状案内部130gは、回転容器110の上面に沿いつつ円錐螺旋状に延在している。螺旋状案内部130gは、始端部131から終端部132まで繋がっている。始端部131および終端部132の各々は、螺旋状案内部130gの他の部分よりも厚い。
【0018】
始端部131の内側面は、回転容器110の突出部112の周面に沿うように配置される。始端部131の外側面が回転容器110の突出部112の周面に接近するように、始端部131の先端は細くなっている。終端部132の外側面は、回転容器110の外縁114の近傍に達するように配置される。
【0019】
螺旋状案内部130gの上面から複数の支柱133が互いに間隔をあけて突出している。複数の支柱133の先端に、螺旋部材130を蓋部材160に固定するための雌ねじ134が形成されている。
【0020】
螺旋部材130は、回転容器110の回転によって回転容器110上の薬剤を螺旋状案内部130gに沿って回転容器110の外周側上方に移動させて環状スロープ120上に移行させる。具体的には、回転容器110が正転方向D1に回転することにより、回転容器110上の薬剤は、螺旋状案内部130gの外側面に沿いつつ始端部131側から終端部132側に向けて搬送された後、回転容器110の外縁114を超えて環状スロープ120上に乗り移される。
【0021】
周壁部140は、環状スロープ120の外周に設けられている。周壁部140の内周面は、環状スロープ120の外縁123を取り囲む仮想円に沿って位置している。周壁部140には、環状スロープ120上の薬剤を排出可能な排出口141が形成されている。図4に示すように、周壁部140の上面に、複数の穴部142が形成されている。穴部142の内部に、磁石が固定されている。
【0022】
図2に示すように、排出口141の近傍に、薬剤が排出口141の直前に到達したことを検出する第1センサ170が配置されている。第1センサ170の下方に、排出口141から排出された薬剤の数量をカウントする第2センサ180が配置されている。第1センサ170および第2センサ180の各々は、反射型または透過型の光学式のセンサである。
【0023】
第2センサ180は、排出口141から排出される薬剤の長さ以上、排出口141から離れた位置に配置されていることが好ましい。これにより、排出口141から完全には排出されていない薬剤が第2センサ180によって検出されてしまうことを防ぐことができる。薬剤は、排出口141から完全に排出された後に、第2センサ180によって検出される。
【0024】
図2に示すように、整列構造150は、環状スロープ120上において排出口141より環状スロープ120の正転方向D1の上流側の位置に配置されている。整列構造150は、環状スロープ120の外縁123側から内縁122側に向けて突出して環状スロープ120上の薬剤を1列に整列させる。具体的には、整列構造150は、周壁部140の内周面から環状スロープ120の上面に沿いつつ周壁部140の内周側に凸状に湾曲して延出している。
【0025】
図3および図4に示すように、蓋部材160は、平板状の形状を有し、周壁部140上に配置されている。蓋部材160は、回転容器110を覆うように周壁部140に対して着脱可能に取り付けられている。蓋部材160に複数の孔部161が形成されている。孔部161の内部に、鉄などの磁性体190が固定されている。本実施形態においては、孔部161は、雌ねじ形状を有し、磁性体190は、皿ビス状の形状を有するねじ部材であり、孔部161と螺合している。
【0026】
磁性体190が周壁部140の穴部142に埋め込まれた磁石と引っ付くことにより、蓋部材160が周壁部140に取り付けられる。これにより、蓋部材160が周壁部140に対して着脱可能に取り付けられている。なお、周壁部140の穴部142に磁性体が埋め込まれて、蓋部材160の孔部161の内部に磁石が固定されていてもよい。周壁部140の穴部142に埋め込まれた磁石と磁性体190との間に、磁性体から形成されたシムを挿入することにより、周壁部140に対する蓋部材160の取付高さを変更することができる。
【0027】
蓋部材160には、螺旋部材130を取り付けるための複数の貫通孔162、薬剤投入用の開口163、および、整列構造150の上方に位置する開口164が形成されている。図4に示すように、貫通孔162にそれぞれ挿入されたボルト191が螺旋部材130の雌ねじ134と螺合することにより、螺旋部材130が蓋部材160に固定される。このように、螺旋部材130は、蓋部材160から吊されている。周壁部140に対する蓋部材160の取付高さを変更することにより、螺旋状案内部130gと回転容器110の上面との間隔を薬剤の形状およびサイズに対応して調整することが可能である。
【0028】
薬剤投入用の開口163は、回転容器110の中心軸に対して偏心した位置に形成されている。具体的には、薬剤投入用の開口163は、回転容器110の中心軸に関して排出口141側とは反対側に偏った位置に形成されている。開口164は、環状スロープ120の上方に位置するように円弧状に延在している。
【0029】
以下、本実施形態に係る物品供給装置による薬剤の搬送動作および各構成部材の詳細な構造について説明する。
【0030】
図5は、本発明の一形態に係る物品供給装置の回転容器の内周面に形成されている溝部の形状を示す平面図である。図5に示すように、溝部111は、底面部113から回転容器110の外縁114に近づくにしたがって正転方向D1の上流側(後ろ側)に位置するように斜めに延在しているため、溝部111の延在方向L1と、螺旋状案内部130gの外側面の接線方向L2との、なす角θ1は、鈍角になっている。
【0031】
溝部111において、正転方向D1の上流側(後ろ側)に位置する第1壁面111a、および、正転方向D1の下流側(前側)に位置する第2壁面111bの各々は、第1壁面111aと第2壁面111bとの最短距離が上方に行くにしたがって広くなるように、回転容器110の内周面に対して傾斜している。すなわち、溝部111は、溝部111の延在方向L1から見て、逆ハの字状の形状を有している。第1壁面111aの傾斜角度は、第2壁面111bの傾斜角度より小さい。
【0032】
回転容器110が正転方向D1に回転した際、回転容器110上の薬剤は、第1壁面111aから押されて図5中の矢印方向に荷重F1を受ける。溝部111の延在方向L1と螺旋状案内部130gの外側面の接線方向L2とのなす角θ1が鈍角であることにより、薬剤が第1壁面111aと螺旋状案内部130gの外側面との間で挟み込まれることを抑制することができる。
【0033】
図6は、回転容器の溝部の第1壁面と螺旋状案内部の外側面とのなす角が鋭角である第1比較例における荷重負荷方向を示す図である。図6においては、各構成の形状は本実施形態の形状を図示している。
【0034】
図6に示すように、溝部111の延在方向L3が回転容器110の径方向に沿っている第1比較例においては、溝部111の延在方向L2と螺旋状案内部130gの外側面の接線方向L2とのなす角θ2が鋭角であることにより、薬剤が第1壁面111aと螺旋状案内部130gの外側面との間で挟み込まれる可能性がある。
【0035】
図7は、本発明の一形態に係る物品供給装置の環状スロープの上面に形成されている溝部および整列構造の形状を示す平面図である。図7に示すように、整列構造150は、環状スロープ120の上面に沿いつつ最も内周側に位置する内側面151と、内側面151の上方において環状スロープ120の周方向に円弧状に延在しつつ内側面151より外周側に凹んだ凹部152とを含む。すなわち、整列構造150は、段付形状を有している。
【0036】
溝部121は、外縁123から内縁122に近づくにしたがって正転方向D2の上流側(後ろ側)に位置するように斜めに延在しているため、溝部121の延在方向L4と、整列構造150の内側面151の接線方向L5との、なす角θ3は、鈍角になっている。
【0037】
溝部121において、正転方向D2の上流側(後ろ側)に位置する第1壁面121a、および、正転方向D2の下流側(前側)に位置する第2壁面121bの各々は、第1壁面121aと第2壁面121bとの最短距離が上方に行くにしたがって広くなるように、環状スロープ120の上面に対して傾斜している。すなわち、溝部121は、溝部121の延在方向L4から見て、逆ハの字状の形状を有している。第1壁面121aの傾斜角度は、第2壁面121bの傾斜角度より小さい。
【0038】
環状スロープ120が正転方向D2に回転した際、環状スロープ120上の薬剤は、第1壁面121aから押されて図7中の矢印方向に荷重F3を受ける。溝部121の延在方向L4と整列構造150の内側面151の接線方向L5とのなす角θ3が鈍角であることにより、薬剤が第1壁面121aと整列構造150の内側面151との間で挟み込まれることを抑制することができる。
【0039】
図8は、環状スロープの溝部の第1壁面と整列構造の内側面とのなす角が鋭角である第2比較例における荷重負荷方向を示す図である。図8においては、各構成の形状は本実施形態の形状を図示している。
【0040】
図8に示すように、溝部121の延在方向L6が環状スロープ120の径方向に沿っている第2比較例においては、溝部121の延在方向L6と整列構造150の内側面151の接線方向L5とのなす角θ4が鋭角であることにより、薬剤が第1壁面121aと整列構造150の内側面151との間で挟み込まれる可能性がある。
【0041】
図9は、本発明の一形態に係る物品供給装置において回転容器上の薬剤が、螺旋状案内部の外側面に沿いつつ始端部側から終端部側に向けて搬送された後、回転容器の外縁を超えて環状スロープ上に乗り移される状態を示す斜視図である。
【0042】
図9示すように、螺旋状案内部130gの終端部132は、螺旋状案内部130gの他の部分135よりも厚い。これにより、終端部132側に搬送された薬剤Mが、終端部132に乗り上げて滞留することを抑制して、図9中の矢印で示すように、薬剤Mを確実に環状スロープ120上に乗り移させることができる。
【0043】
図10は、本発明の一形態に係る物品供給装置において環状スロープ上の比較的小さな薬剤を整列構造によって1列に整列させている状態を示す斜視図である。図10に示すように、環状スロープ120上の比較的小さな薬剤MSは、整列構造150を通過する際に内側面151に沿いつつ環状スロープ120の正転方向D2に搬送される。
【0044】
環状スロープ120の内縁122と整列構造150の内側面151とが最も接近している箇所においては、環状スロープ120上の薬剤MSが1つずつ通過可能となっているため、図10に示すように環状スロープ120上にて環状スロープ120の径方向に重なって薬剤MSが搬送されてきた場合、内側に位置する薬剤MSは矢印で示すように回転容器110内へ落下する。その結果、整列構造150を通過した薬剤MSは、環状スロープ120上において1列に整列されている。
【0045】
図11は、本発明の一形態に係る物品供給装置において環状スロープ上の比較的大きな薬剤を整列構造によって1列に整列させている状態を示す斜視図である。図11に示すように、環状スロープ120上の比較的大きな薬剤MLは、整列構造150を通過する際に内側面151に沿って環状スロープ120の正転方向D2に搬送される。
【0046】
環状スロープ120の内縁122と整列構造150の内側面151とが最も接近している箇所においては、環状スロープ120上の薬剤MLの一部分が凹部152内に入り込んだ状態で1つずつ通過可能となっているため、図11に示すように環状スロープ120上にて環状スロープ120の径方向に重なって薬剤MLが搬送されてきた場合、内側に位置する薬剤MLは矢印で示すように回転容器110内へ落下する。その結果、整列構造150を通過した薬剤MLは、環状スロープ120上において1列に整列されている。
【0047】
なお、回転容器110の中心軸が環状スロープ120の中心軸に対して整列構造150側に傾いて位置するように回転容器110が配置され、これによって整列構造150が配置されている範囲において回転容器110の外縁114が環状スロープ120の内縁122より下方に位置していてもよい。詳しくは、整列構造150が配置されている範囲において、回転容器110の外縁114のうち溝部111間の凸部の上面に対応する部分が、環状スロープ120の内縁122より下方に位置していてもよい。この場合、環状スロープ120の径方向に重なって薬剤が搬送されてきたときに、整列構造150によって内側に位置する薬剤を回転容器110内へ落下しやすくすることができ、整列構造150によって薬剤を1列に整列しやすくすることができる。
【0048】
図12は、本発明の一形態に係る物品供給装置の回転容器の中心部の周囲を示す斜視図である。図13は、本発明の一形態に係る物品供給装置の回転容器の中心部の周囲を示す平面図である。
【0049】
図12および図13に示すように、底面部113の上面は、回転容器110の軸中心から離れるにしたがって下方に位置するように傾斜している。底面部113には、互いに周方向に間隔をあけて放射状に延在する複数の溝部113gが形成されている。
【0050】
図13に示すように、始端部131の先端131eの外側面は、回転容器110の突出部112の周面の接線方向L7に延在している。始端部131の先端131eから軸中心に180°の範囲に位置する部分である始端部131の厚みは、螺旋状案内部130gの他の部分よりも厚い。
【0051】
薬剤が投入されて物品供給装置100が正転駆動されているとき、回転容器110の正転方向D1の回転速度は、環状スロープ120の正転方向D2の回転速度より小さい。これにより、回転容器110から環状スロープ120へ移動する薬剤同士の間隔を大きくすることができる。そのため、排出口141から複数の薬剤が一緒に排出されることを抑制することができる。また、薬剤同士の間隔が確保できていることにより、環状スロープ120上において環状スロープ120の径方向に重なって薬剤が搬送されることを抑制することができる。
【0052】
第1センサ170によって排出口141の直前に到達した薬剤が検出された際には、回転容器110の正転方向D1の回転速度が環状スロープ120の正転方向D2の回転速度より小さい関係は維持しつつ、回転容器110および環状スロープ120の回転速度を低下させる。これにより、環状スロープ120による薬剤の搬送時間が必要以上に長くなることを抑制しつつ排出口141から複数の薬剤が一緒に排出されることを抑制することができる。
【0053】
なお、排出口141から薬剤が排出された後、次の薬剤が排出口141から一定時間内に排出されない場合は、回転容器110内にて薬剤の詰まりが発生した可能性があるため、回転容器110は一定時間だけ逆転方向に回転駆動される。これにより、回転容器110内での薬剤の詰まりを解消することができる。なお、逆転方向に回転駆動される時間は、薬剤のサイズおよび形状などに対応して設定される。具体的には、薬剤のサイズが大きくなるほど、逆転方向に回転駆動される時間は長くなる。上記一定時間経過後、回転容器110および環状スロープ120は正転駆動される。
【0054】
本発明の一形態に係る物品供給装置100は、回転容器110と、環状スロープ120と、螺旋部材130と、周壁部140と、整列構造150とを備える。回転容器110は、周方向に回転可能である。環状スロープ120は、回転容器110の外縁114に内縁122が沿いつつ回転可能に設けられ、内縁122から外側下方に向かって延在する。螺旋部材130は、螺旋状案内部130gを有して回転容器110の上方に固定され、回転容器110の回転によって回転容器上の物品を螺旋状案内部130gに沿って外周側上方に移動させて環状スロープ120上に移行させる。周壁部140は、環状スロープ120の外周に設けられ、環状スロープ120上の物品を排出可能な排出口141が形成されている。整列構造150は、環状スロープ120上において排出口141より環状スロープ120の回転方向の上流側の位置に配置され、環状スロープ120の外縁123側から内縁122側に向けて突出して環状スロープ120上の物品を整列させる。これにより、物品供給装置において簡易な構成で種々の形状およびサイズの物品に対応可能な共用範囲を広くすることができる。
【0055】
本発明の一形態においては、螺旋部材130は、複数の支柱133を通じて蓋部材160に締結されている。これにより、螺旋部材130全体の剛性を維持して、螺旋部材130がよじれることを抑制することができる。
【0056】
本発明の一形態においては、蓋部材160が周壁部140に対して着脱可能に取り付けられている。これにより、回転容器110の内部を容易に清掃することができる。
【0057】
本発明の一形態においては、蓋部材160が周壁部140に対して磁力によって固定されている。これにより、蓋部材160を容易に着脱することができる。
【0058】
本発明の一形態においては、螺旋部材130が蓋部材160にねじによって締結されている。これにより、螺旋部材130の歪みを矯正することができる。ひいては、螺旋状案内部130gと回転容器110の上面との間隔を維持して、螺旋部材130と回転容器110の上面とが接触することを防止することができる。
【0059】
本発明の一形態においては、回転容器110の溝部111は、底面部113から回転容器110の外縁114に近づくにしたがって正転方向D1の上流側(後ろ側)に位置するように斜めに延在しているため、溝部111の延在方向L1と、螺旋状案内部130gの外側面の接線方向L2との、なす角θ1は、鈍角になっている。これにより、薬剤が第1壁面111aと螺旋状案内部130gの外側面との間で挟み込まれることを抑制して、薬剤が破損することを抑制することができる。
【0060】
本発明の一形態においては、第1壁面111aの傾斜角度は、第2壁面111bの傾斜角度より小さい。これにより、薬剤への負荷が逃げやすくすることができるため、薬剤が破損することを抑制することができる。
【0061】
本発明の一形態においては、環状スロープ120の溝部121は、外縁123から内縁122に近づくにしたがって正転方向D2の上流側(後ろ側)に位置するように斜めに延在しているため、溝部121の延在方向L4と、整列構造150の内側面151の接線方向L5との、なす角θ3は、鈍角になっている。これにより、薬剤が第1壁面121aと整列構造150の内側面151との間で挟み込まれることを抑制して、薬剤が破損することを抑制することができる。
【0062】
本発明の一形態においては、第1壁面121aの傾斜角度は、第2壁面121bの傾斜角度より小さい。これにより、薬剤への負荷が逃げやすくすることができるため、薬剤が破損することを抑制することができる。
【0063】
本発明の一形態においては、整列構造150は、環状スロープ120の上面に沿いつつ最も内周側に位置する内側面151と、内側面151の上方において環状スロープ120の周方向に円弧状に延在しつつ内側面151より外周側に凹んだ凹部152とを含む。これにより、整列構造150を通過した種々のサイズの薬剤を環状スロープ120上において1列に整列させることができる。
【0064】
本発明の一形態においては、薬剤投入用の開口163は、回転容器110の中心軸に関して排出口141側とは反対側に偏った位置に形成されている。これにより、開口163が回転容器110の中心軸上に位置する場合に比較して、薬剤が螺旋状案内部130gの終端部132寄りの位置に投下されるため、環状スロープ120上に薬剤が搬送されるまでの時間を短縮しつつ、投入された薬剤が直接排出口141から排出されることを抑制することができる。
【0065】
本発明の一形態においては、回転容器110の底面部113の上面は、回転容器110の軸中心から離れるにしたがって下方に位置するように傾斜している。これにより、回転容器110の底面部113上の薬剤を螺旋状案内部130gへ寄せることができる。
【0066】
本発明の一形態においては、底面部113には、互いに周方向に間隔をあけて放射状に延在する複数の溝部113gが形成されている。これにより、回転容器110の底面部113上の薬剤を周方向に移動させることができる。
【0067】
本発明の一形態においては、始端部131の先端131eの外側面は、回転容器110の突出部112の周面の接線方向L7に延在している。始端部131の先端から軸中心に180°の範囲に位置する部分である始端部131の厚みは、螺旋状案内部130gの他の部分よりも厚い。これにより、回転容器110の中心部上に位置する薬剤を、回転容器110の周面上に移動させることができる。
【0068】
本発明の一形態においては、回転容器110の突出部112の上端面には、放射状に延在して周方向に並ぶ複数の溝が形成されている。これにより、回転容器110が回転した際に、回転容器110の中心部上に位置する薬剤を破損することなく撹拌することができる。
【0069】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0070】
100 物品供給装置、110 回転容器、111,113g,121 溝部、111a,121a 第1壁面、111b,121b 第2壁面、112 突出部、113 底面部、114,123 外縁、120 環状スロープ、122 内縁、130 螺旋部材、130g 螺旋状案内部、131 始端部、131e 先端、132 終端部、133 支柱、134 雌ねじ、135 部分、140 周壁部、141 排出口、142 穴部、150 整列構造、151 内側面、152 凹部、160 蓋部材、161 孔部、162 貫通孔、163,164 開口、170 第1センサ、180 第2センサ、190 磁石、191 ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13