(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092261
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】重要事項説明個人情報保護システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240701BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20240701BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F21/62 345
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208062
(22)【出願日】2022-12-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】519342965
【氏名又は名称】株式会社ホリケン
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】堀 峰也
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB67
5L049BB67
(57)【要約】
【課題】
法律に基づく重要事項説明に関わる個人情報保護を効率的に実施する。
【解決手段】
法律に基づく重要事項説明に関する機密情報を、WEBサーバー、クラウドサーバー、端末によってネットワークを構成し、契約者の認証、重要事項説明書の情報を分散管理して効率的に照合、確認を実行するとともに、個人情報保護を身分証明書内の文字列を視認できない態様により実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
法律に基づく重要事項説明情報のサービスを行うシステムサーバと、
契約者と被契約者がそれぞれ有する端末機器と、
を有してなり、
インターネット回線により前記システムサーバと前記端末機器が接続された重要事項説明個人情報保護システムであって、
前記契約者の前記端末機器は、
前記重要事項説明情報を、前記システムサーバにアップロードするアップロード手段、
を備え、
前記システムサーバは、
前記契約者の会員登録の可否を判定する会員登録判定手段と、
前記アップロードされた前記重要事項説明情報を、前記被契約者の前記端末機器に送信する送信手段と、
を備え、
前記被契約者の前記端末機器は、
前記重要事項説明情報を、前記システムサーバから受信する受信手段と、
前記重要事項説明情報を、表示する表示手段と、
前記被契約者が前記重要事項説明情報を確認した意思を示したことの証明として所定の操作を受け付ける手段と、
を備え、
前記重要事項説明情報は、
重要事項説明書類、
を含み、
前記アップロード手段は、前記重要事項説明書類から変換されたPDFデータを、前記システムサーバにアップロードする、
ことを特徴とする重要事項説明個人情報保護システム。
【請求項2】
前記サーバーにアップロードされる前記契約者および前記被契約者の身分証明画像は、
前記契約者および前記被契約者の個人情報文字列が視認できない態様で保存され、
前記契約者および前記被契約者の前記端末機器に表示される、
請求項1記載の重要事項説明個人情報保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要事項説明における個人情報保護システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
重要事項説明は、不動産取引・建築設計受託・銀行取引・M&A契約・証券契約・保険契約など、契約に際し契約者から被契約者に対し契約内容や免責事項などの重要事項を口頭説明および重要事項説明書により相互理解し、契約に関する相互確認をすべきことを、宅地建物取引業法、建築士法、保険法、証券取引法等により義務として定めている。
重要事項説明とは、契約において、契約者が被契約者に対して契約上重要な事項を説明することをいう。また、その際に、説明の内容を記載して被契約者に交付する書面を、重要事項説明書という。
たとえば、不動産取引においては、宅地建物取引業法で、不動産業者は不動産購入および賃貸申込者に対し、重要事項説明という設備・条件・制限事項などの契約内容に関する重要な事柄を説明する義務がある。また、この説明は宅地建物取引士が宅地建物取引士証を提示した上で直接対面にて実施し、そしてその内容を書面にして取引申込者へ交付しなければならない。他の契約時においても同様の重要事項説明が行われている。
【0003】
重要事項説明とは、概して「契約前」に行われる重要事項の説明であり、当該契約を締結するか否かを判断する為のものである。また、契約をめぐる紛争の殆どは「そんなことは聞いてない」という事から発生する。この「聞いてない」の殆どが重要事項の説明に関係する事であり、本当に「聞いてない」という場合もあれば「聞いたけど忘れた」、「聞いたかもしれないけど良く理解できなかった」など理由はさまざまである。このような「聞いてなかった」という事を原因とする紛争を防止する為に「重要事項説明書」を口頭説明し、且つ「確かに重要事項の説明を聞いた」という意味で被契約者は重要事項説明書に記名押印をする。
【0004】
重要事項説明は、契約が成立するよりも前に行なわなければならない。契約者は説明する重要事項をすべて書面に記載し、その書面(重要事項説明書)を交付する必要がある。代理・媒介などで複数の契約者が関与する契約の場合は、それぞれの契約者が、それぞれの立場から重要事項の説明をする義務を負う
【0005】
しかしながら、この重要事項説明は、契約者と被契約者が直接面談し説明する義務があり、面談に際し長時間となる可能性が高い。多忙で重要事項説明を受ける余裕がない場合は、代理人を立てて説明を受けさせることや最近ではネット回線を通してオンラインで重要事項説明を受けられるようになったが、いずれにしろ対面で実施することとなり、面談の長時間化を解決する合理的な方法は開発されていない。
【0006】
また、重要事項説明においては、契約人および被契約人は自身の身分を証明するためマイナンバーカード、健康保険証、自動車免許証、パスポート等の身分証明書を提示する必要がある。インターネット等のネットワークによる重要事項説明の場合は、身分証明書画像等の登録やアップロードをし、お互いを確認する必要がある。
【0007】
しかしながら、身分証明書には様々な個人情報が記述されており、当該契約には必要のない重要な情報もあり、不必要な情報を黒塗り等の加工を施し登録やアップロードをしており、加工の手間がかかることによる手続の煩雑さや個人情報の漏洩リスクは解決出来ていない。
【0008】
上記技術分野において、特許文献1には、契約等を効率的に管理する技術が開示されている。特許文献2には、重要事項説明書データを自動的に生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-086857号公報
【特許文献2】特開2015-022652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
各法律に規定されているように、重要事項説明は対面による面談にて行わなければならない。しかしながら、対面による面談は長時間を必要とするだけでなく、重要事項説明の誤認識や内容の未確認等のトラブルを防ぐ方法が乏しい。
契約者は被契約者に対し法律に規定されている身分証明書を提示し、その後の書類説明や書類郵送はオンラインシステムにより、契約者と被契約者双方の時間短縮や内容理解度の向上を実現することが求められている。
また、オンラインシステムの場合の身分証明書データ内の個人情報を保護する必要がある。
【0011】
本発明の目的は、上述の課題を解決するWEBサーバー、クラウドサーバー、各種端末によって個人情報登録認証、重要事項説明についての共有認知、確認などの統合システムにおける個人情報保護の非視認可技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
重要事項説明に関する情報はWEBサーバー、クラウドサーバー、各種端末を統合システムによって運用する。
各種端末は携帯される情報端末であって、契約者と被契約者が操作する。重要事項説明書等の機密情報はクラウドサーバーのみに保存し運用され、重要事項説明書への押印および書類郵送、書類受取後はクラウドサーバーより当該データは削除される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、契約に関する重要事項説明情報を基に、被契約者と契約者との間で取引を効率的に成立させることができる重要事項説明支援システムおよびその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る重要事項説明個人情報保護システムについて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る重要事項説明個人情報保護システムの全体構成図である。
図1に示すように、重要事項説明個人情報保護システムは、例えば、被契約者端末10、契約者端末20、WEBサーバー30およびクラウドサーバーDB40を有する。
被契約者端末10は、契約を検討している被契約者が利用する端末である。
契約者端末20は、契約者が利用する端末である。
【0016】
被契約者端末10および契約者端末20は、スマートフォン等であってもよい。
WEBサーバーおよびクラウドサーバーDB40は、重要事項説明個人情報保護システムの運営者が運用するサーバーによって実現される。
【0017】
WEBサーバー30は、被契約者端末10および契約者端末20からネットワークを介してアクセスされる。
【0018】
WEBサーバー30は、クラウドサーバーDB40にアクセスを行い、被契約者端末10および契約者端末20からの表示要求に応じた情報をクラウドサーバーDB40から取得する。
【0019】
クラウドサーバーDB40への重要事項説明情報の書き込みおよび重要事項説明資料のアップロードは、契約者が行う。
【0020】
本発明は、契約の重要事項説明で実施される。重要事項説明に関わる伝達と受理は厳正であることが求められる。
【0021】
以下は一般化された用語例にもとづいて説明する。
端末は携帯端末であることが望ましく、スマートフォン・PC他任意である。端末は当該重要事項説明情報(以下各種データを含む。)を送受信する手段(機能)を備える。例として端末を操作する者(契約者と被契約者)の人的認証、重要事項説明書などの確認すべき事項を相互に送受信してチェックする。
【0022】
具体的な例として、契約者と被契約者のチェックに適用され、契約者の属性(顔、氏名、年齢、身分証明書など)が認証される。重要事項説明情報は契約者によってサーバー(以下クラウドなどを含む。)に送信され保存される。契約者によって生成されたIDは、被契約者と共通で使用する。PWは、それぞれが登録し、システムへのアクセスのログイン情報として使用する。
【0023】
機密性、資格などをID、暗証番号などを組み合わせて所定の操作、機能によって当該設備がチェックする。
【0024】
ひとつの例として、WEBサーバー(クラウドを含む。)と端末が送受信してチェックすることもできる。
【0025】
被契約者が重要事項説明事項を了解し、確認した意思を示したことの証明として所定の操作を求めることがよい。携帯端末のディスプレイ上でのタップや指定番号の入力など、所定の入力や操作などによることもできる。
【0026】
動画視聴前(重要事項説明)に契約者の顔写真を表示ことによりウェブ上でのサインインだけではなく、被契約者は契約者を把握確認できる。
また、契約者および被契約者の身分証明書として、健康保険証・自動車免許証・パスポート・マイナンバーカードなど顔写真のある書類画像をアップロード等をする機能を実装することもできる。その際に身分証明書内の個人情報文字列を画像認識技術や人工知能技術を用い、字消しや暗号化などを視認不可能な状態で保存し、個人情報保護機能を実装することもできる。
【0027】
WEBサーバー30は、第三者端末の操作者が、契約者でも被契約者でもない第三者であることを、ログイン時の第三者端末からの認証情報に基づいて特定する。その上で、WEBサーバー30は、身分証明書に表示されている個人情報文字列が視認できない態様で、第三者端末に身分証明書を表示する。
【0028】
図3~6は、端末に表示される加工された身分証明書の例を示す模式図である。
同図に示される身分証明書の表示内容は、アップロードされた身分証明書の表示内容と同じである。ただし、図に示された身分証明書に表示されている個人情報文字列は、図の身分証明書ではたとえば墨塗等にされている。その結果、同身分証明書を閲覧する者は、被契約者と同一人物であるなどは確認できるものの、墨塗等をされた個人情報などを視認できない。身分証明書を人工知能やプログラムを用いた画像認識により、個人情報文字列を特定し、その文字列等を黒塗り等の色塗り・暗号化・文字消去などにより視認できないような様態のデータとして保存することにより、システム内では個人情報を保護する。
【0029】
重要事項説明情報などを基に契約書を自動作成することもできる。また、この契約書にオンライン署名することにより契約を締結することもできる。
【0030】
重要事項説明を携帯電話(スマートフォン)等のモバイル端末で事前に行うことによって時間を短縮でき、効率よく重要事項説明を理解することができる。
【0031】
契約者は重要事項説明情報などをPDF(Portable Document Format)に変換し、そのPDFデータをアップロードすることにより、被契約者に重要事項説明情報を確認させることができる。被契約者はその重要事項説明情報を確認しないと終了できない。
【0032】
スマートフォン(携帯端末)等で重要事項説明動画を事前に確認する事が出来ることにより重要事項説明書の理解・確認に掛かる時間を短縮出来る。
【0033】
重要事項説明書類アップロード機能により、その書類をスマートフォン等の入力機器で閲覧することによって、重要事項説明書類のネットワーク上での入力、記入、またその確認が利用者間で可能になる。複合機器、コピー機、プリンター等印刷機器と当システムを連動することによって、アップロードされた書類(PDF)を出力することができる。
【0034】
被契約者が端末等で重要事項説明動画確認済み画面を表示する事により契約者は被契約者の重要事項説明完了を素早く確認する事が出来る。
【産業上の利用可能性】
【0035】
契約において、ネットワークを利用することによって、重要情報への自由なアクセスや時間の節約、重要情報の誤解によるトラブルの予防などの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0036】
10 契約者端末
20 被契約者端末
30 WEBサーバー
40 クラウドサーバーDB
50 第三者端末
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
法律に基づく重要事項説明情報のサービスを行うシステムサーバと、
特定の契約者と、特定の被契約者と、特定の第三者それぞれの端末機器と、
を有してなり、
インターネット回線により前記システムサーバと前記端末機器が接続された重要事項説
明個人情報保護システムであって、
前記契約者の前記端末機器は、
前記重要事項説明情報と前記契約者の第1身分証明画像とを、前記システムサーバにアップロードする第1アップロード手段、
を備え、
前記システムサーバは、
前記第1アップロード手段によりアップロードされた前記重要事項説明情報を、前記被契約者の前記端末機器に送信する送信手段と、
前記第1身分証明画像と前記被契約者の第2身分証明画像との一部を視認不可能にするマスキング手段と、
を備え、
前記被契約者の前記端末機器は、
前記第2身分証明画像を、前記システムサーバにアップロードする第2アップロード手段と、
前記重要事項説明情報を、前記システムサーバから受信する受信手段と、
前記重要事項説明情報を、表示する表示手段と、
前記被契約者が前記重要事項説明情報を確認した意思を示したことの証明として所定の
操作を受け付ける受付手段と、
を備え、
前記重要事項説明情報は、
重要事項説明書類、
を含み、
前記第1身分証明画像と前記第2身分証明画像それぞれは、
文字列情報と、
非文字列情報と、
を含み、
前記第1アップロード手段は、前記重要事項説明書類から変換されたPDFデータを、前記システムサーバにアップロードして、
前記マスキング手段は、前記第1身分証明画像と前記第2身分証明画像それぞれの前記文字列情報のみを視認不可能にして、
前記システムサーバは、前記文字列情報が視認不可能にされた前記第1身分証明画像と前記第2身分証明画像それぞれを、前記契約者と前記被契約者と前記第三者それぞれの前記端末機器に、表示して、
前記システムサーバが前記第三者の前記端末機器に前記第1身分証明画像と前記第2身分証明画像とを表示するタイミングは、前記システムサーバが、前記第三者の前記端末機器の操作者が前記第三者であることを、前記第三者の前記端末機器から受信した認証情報に基づいて、特定した後である、
ことを特徴とする重要事項説明個人情報保護システム。