(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092268
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】食器用の液体洗浄剤組成物、スポンジの防汚又は防臭方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20240701BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20240701BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20240701BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240701BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/02
C11D1/88
C11D3/20
C11D3/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208076
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 洋介
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB19
4H003AB28
4H003AB31
4H003AC15
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA17
4H003DA19
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB22
4H003EB41
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA16
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】洗浄具の臭気発生を抑制し、かつ洗浄具への油汚れの残留を抑制できる食器用の液体洗浄剤組成物。
【解決手段】(A)成分:アニオン界面活性剤(但し、石鹸を除く)と、(B)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくも1種と、(C)成分:カチオン性高分子と、(D)成分:下記式(d1)で表される化合物及び下記式(d2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物と、を含むことよりなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:アニオン界面活性剤(但し、石鹸を除く)と、
(B)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくも1種と、
(C)成分:カチオン性高分子と、
(D)成分:下記式(d1)で表される化合物及び下記式(d2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物と、を含む、
食器用の液体洗浄剤組成物。
【化1】
(式(d1)において、Xは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Yはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子であり、ZはSO
2H、NO
2、又は炭素数1~4のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ独立に0又は1~3の整数であり、dは0又は1であり、mは0又は1であり、nは0又は1である。)
【化2】
(式(d2)において、V、Wは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基、jはAOの平均付加モル数を表す0~4の数であり、Rは水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基、水酸基である。)
【請求項2】
前記(C)成分/前記(D)成分で表される質量比は0.1~10である、請求項1に記載の食器用の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(A)成分/(前記(C)成分+前記(D)成分)で表される質量比は5~150である、請求項1又は2に記載の食器用の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(A)成分の含有量は、食器用の液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~20質量%である、請求項1又は2に記載の食器用の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の食器用の液体洗浄剤組成物をスポンジに塗布し、前記スポンジを用いて被洗浄物を洗浄する、スポンジの防汚又は防臭方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器用の液体洗浄剤組成物、スポンジの防汚又は防臭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄用の洗浄具であるスポンジは、多種多様化している。食器洗浄用のスポンジとしては、例えば、ポリウレタン単一素材の単層スポンジ、ポリウレタン素材の単層スポンジの片面にたわし層を有する二層構造のスポンジたわし、単層スポンジをネットで覆ったネットスポンジ等がある。たわし層は、ナイロン製の不織布等で構成されている。ネットはアクリル樹脂やポリポリエステルで構成されている。たわし層、ネットは、機械的な洗浄(擦り洗い)の際に、高い洗浄力を発揮する。しかし、たわし層やネットの素材は疎水的であるため、スポンジの内部に食材や疎水性の汚れ(油汚れ等)が残留しやすい。スポンジの内部に食材や汚れが残留すると、食材や汚れが変質して、悪臭の原因となる。
【0003】
こうした問題に対して、特許文献1には、特定の界面活性剤と、特定の1価アルコールと、特定の金属と、を特定の比率で含有する食器用の液体洗浄剤組成物が提案されている。特許文献1の発明によれば、スポンジへの食材臭の残留防止を図っている。
特許文献2には、特定の界面活性剤と、ダイクロサンとを特定の質量比で含有する食器用の液体洗浄剤組成物が提案されている。特許文献2の発明によれば、スポンジへの汚れの残留の抑制、悪臭の発生の抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-11342号公報
【特許文献2】特開2018-184494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、食器を繰り返し洗浄した場合には、スポンジに汚れが徐々に蓄積していく。このため、食器洗浄に繰り返し使用したスポンジにおいては、臭気発生の抑制が不十分である。特に、たわしスポンジやネットスポンジにおいては、繰り返して使用した際の臭気発生を抑制できない。スポンジに残留した食材等の変質を防止するために、ダイクロサン等の殺菌剤又は抗菌剤の配合量を単に増やすと、油汚れに対する洗浄力が低下し、スポンジ内への油汚れの残留量が増加するという課題がある。
そこで、本発明は、洗浄具の臭気発生を抑制し、かつ洗浄具への油汚れの残留を抑制できる食器用の液体洗浄剤組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
<1>
(A)成分:アニオン界面活性剤(但し、石鹸を除く)と、
(B)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくも1種と、
(C)成分:カチオン性高分子と、
(D)成分:下記式(d1)で表される化合物及び下記式(d2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物と、を含む、
食器用の液体洗浄剤組成物。
【化1】
(式(d1)において、Xは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Yはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子であり、ZはSO
2H、NO
2、又は炭素数1~4のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ独立に0又は1~3の整数であり、dは0又は1であり、mは0又は1であり、nは0又は1である。)
【化2】
(式(d2)において、V、Wは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基、jはAOの平均付加モル数を表す0~4の数であり、Rは水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基、水酸基である。)
<2>
前記(C)成分/前記(D)成分で表される質量比は0.1~10である、<1>に記載の食器用の液体洗浄剤組成物。
<3>
前記(A)成分/(前記(C)成分+前記(D)成分)で表される質量比は5~150である、<1>又は<2>に記載の食器用の液体洗浄剤組成物。
<4>
前記(A)成分の含有量は、食器用の液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~20質量%である、<1>~<3>のいずれかに記載の食器用の液体洗浄剤組成物。
【0007】
<5>
<1>~<5>のいずれかに記載の食器用の液体洗浄剤組成物をスポンジに塗布し、前記スポンジを用いて被洗浄物を洗浄する、スポンジの防汚又は防臭方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の食器用の液体洗浄剤組成物によれば、洗浄具の臭気発生を抑制し、かつ洗浄具への油汚れの残留を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(食器用の液体洗浄剤組成物)
本発明の食器用の液体洗浄剤組成物(以下、単に「液体洗浄剤組成物」ということがある)は、(A)~(D)成分を含有する。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、アニオン界面活性剤(但し、石鹸(高級脂肪酸塩)を除く)である。液体洗浄剤組成物は、(A)成分を含有することで、油汚れに対する洗浄力を高め、洗浄具への油汚れの残留を抑制できる(防汚)。
【0011】
(A)成分としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩が好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩がより好ましい。
【0012】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩としては、例えば下記式(a1)で表される化合物が挙げられる。
R1-O-(EO)p-SO3-M+ ・・・(a1)
[式(a1)中、R1は炭素数8~18の直鎖アルキル基であり、且つ酸素原子と結合している炭素原子は第一炭素原子である。EOはエチレンオキシ基であり、pはEOの平均付加モル数を示し、0<p≦4である。M+は水素イオン以外の陽イオンである。]
【0013】
M+は、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、プロトン化したエタノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。アルカリ土類金属イオンとしては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられる。プロトン化したエタノールアミンとしては、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩が挙げられる。なお、M+が2価以上の陽イオンの場合、M+の数は1/価数を乗じた数で-Ot結合しているものとする。例えば、M+がマグネシウムイオンの場合、M+の数は1/2である。M+としては、アルカリ金属イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましい。
【0014】
R1の炭素数は、10~14が好ましく、12~14がより好ましい。また、R1は、油脂原料由来のアルキル基であることが好ましい。
特に好ましい(A)成分は、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩である。
なお、「ポリオキシエチレン」に続く()内の数値は、オキシエチレン基の平均繰り返し数(即ち、エチレンオキシドの平均付加モル数)である。また、「C12」等の「C」の後の数字は炭素数である。
【0015】
アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩としては、炭素数10~20のアルカンスルホン酸又はその塩が挙げられ、炭素数14~17のアルカンスルホン酸又はその塩が好ましく、炭素数14~17の第2級アルカンスルホン酸(SAS)又はその塩が特に好ましい。SAS塩としては、ナトリウム塩等が挙げられる。
【0016】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8~16の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が10~14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が特に好ましい。LAS塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0017】
これらの(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0018】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~20質量%が好ましく、2.5~15質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記範囲内であれば、洗浄具における油汚れの残留をより抑制し、洗浄具における臭気発生をより良好に抑制できる。
【0019】
<(B)成分>
(B)成分は、半極性界面活性剤((b1)成分)及び両性界面活性剤((b2)成分)から選ばれる少なくとも1種である。本発明の液体洗浄剤組成物は、(B)成分を含有することで、洗浄具における臭気の発生を抑制できる(防臭)。
【0020】
(b1)成分は、半極性結合(無極性結合及び極性結合の中間の性質を有する結合)を有する界面活性剤である。(b1)成分は、溶解する溶液又は分散する分散系のpHにより、カチオン性、又は非極性を示す。
(b1)成分としては、例えば、アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤、アルキルアミドアミンオキシド型半極性界面活性剤が挙げられる。
【0021】
(b1)成分としては、例えば、下記(b1)式で表される化合物が挙げられる。
【0022】
【0023】
式(b1)式中、R21は炭素数8~18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は炭素数8~18の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基であり、R22、R23はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、R24は炭素数1~4のアルキレン基である。Aは-CONH-、-NHCO-、-COO-、-OCO-又は-O-であり、rは0又は1の数である。
【0024】
アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤としては、炭素数8~18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドが好ましく、炭素数12~14のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドがより好ましい。アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ヤシ油ジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
これらの(b1)成分の中でも、アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤が好ましく、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ヤシ油ジメチルアミンオキシドがより好ましく、ラウリルジメチルアミンオキシドがさらに好ましい。
【0025】
(b2)成分としては、例えば、カルボベタイン系両性界面活性剤、アミドベタイン系両性界面活性剤、スルホベタイン系(ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系)両性界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系両性界面活性剤、ホスホベタイン系両性界面活性剤、アミノプロピオン酸系両性界面活性剤が挙げられる。
【0026】
カルボベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。
アミドベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタインが挙げられる。
スルホベタイン系両性界面活性剤として、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルジメチルスルホベタインが挙げられる。
【0027】
これらの(b2)成分の中でも、カルボベタイン系両性界面活性剤、アミドベタイン系両性界面活性剤、スルホベタイン系両性界面活性剤が好ましく、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインがより好ましい。
【0028】
上述の(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。(B)成分としては、(b1)成分を含むことが好ましく、(b1)成分が好ましい。
【0029】
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、1~20質量%が好ましく、2.5~15質量%がより好ましく、4.5~10質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力をより高め、ヌル付きをより抑制できる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液安定性を高められる。
【0030】
液体洗浄剤組成物において、(B)成分に対する(A)成分の質量比であり、(A)成分/(B)成分で表される質量比(A/B比)は、0.25~2が好ましく、0.8~1.7がより好ましい。A/B比が上記下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力をより高め、スポンジの臭気をより抑制できる。A/B比が上記上限値以下であると、油汚れに対する洗浄力をより高め、スポンジの臭気をより抑制できる。
【0031】
<(C)成分>
(C)成分は、カチオン性高分子である。液体洗浄剤組成物は、(C)成分を含有することで、洗浄具の臭気発生を良好に抑制できる。
カチオン性高分子とは、カチオン化度が0.1質量%以上で、分子量1万以上の高分子である。
【0032】
(C)成分としては、例えば、カチオン化セルロース、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)重合体、カチオン化グアーガム、カチオン化澱粉等が挙げられ、中でもカチオン化セルロース、DADMAC重合体が好ましい。
【0033】
(C)成分であるカチオン化セルロースとしては、例えば、下記(c1)式で表される化合物((c1)成分)、下記(c2)式で表される化合物((c2)成分)、下記(c3)式で表される化合物((c3)成分)、下記(c4)式で表される化合物((c4)成分)等が挙げられる。これらのカチオン化セルロースとしては、ヒドロキシトリメチルアンモニオプロピルヒドロキシエチルセルロースクロリド、ヒドロキシエチルセルロースジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体等のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの中でも、カチオン化セルロースとしては、洗浄具における臭気の発生をより良好に抑制できる観点から、下記(c4)式で表される化合物(疎水変性カチオン化セルロース)が好ましい。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
(c1)式中、s、t、uは、()内の繰り返し単位の繰り返し数を表す数である。
(c2)式中、q、rは、[]内の繰り返し単位の繰り返し数を表す数である。
(c4)式中、w、x、v、y、()内の繰り返し単位の繰り返し数を表す数である。
(c1)成分の質量平均分子量は、1万~数百万である。
(c2)成分の質量平均分子量は、1万~数十万である。
(c3)成分の質量平均分子量は、1万~数十万である。
(c4)成分の質量平均分子量は、1万~数百万である。
【0039】
カチオン化セルロースとしては、例えば、商品名「レオガードGP(第4級窒素含有率1.8質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「レオガードMGP(第4級窒素含有率1.8質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「レオガードMLP(第4級窒素含有率0.6質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「UCARE JR125(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル社製)」、商品名「UCARE JR400(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル社製)」、商品名「UCARE LR30M(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル社製)」等が挙げられる。これらの中でも、洗浄具における臭気の発生をより良好に抑制する観点から、「UCARE JR125」、「UCARE JR400」が好ましく、「UCARE JR125」がより好ましい。
【0040】
DADMAC重合体としては、DADMACの単独重合体(DADMAC単独重合体)、DADMAC・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・DADMAC・アクリルアミド共重合体、DADMAC・二酸化硫黄導入共重合体、マレイン酸・DADMAC・二酸化硫黄導入共重合体、アクリル酸・メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)・アクリルアミド共重合体等が挙げられる。
DADMAC単独重合体はDADMACから誘導される繰り返し単位のみを有する単独重合体である。DADMAC・アクリルアミド共重合体は、DADMACから誘導される繰り返し単位と、アクリルアミドから誘導される繰り返し単位を有する共重合体である。アクリル酸・DADMAC・アクリルアミド共重合体は、DADMACから誘導される繰り返し単位と、アクリルアミドから誘導される繰り返し単位と、アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有する重合体である。
【0041】
DADMAC単独重合体としては、下記(c10)で表される化合物((c10)成分)が挙げられる。
【0042】
【0043】
(c10)式中、βは、DADMACから誘導された繰り返し単位の繰り返し数を表す数である。
【0044】
アクリル酸・DADMAC・アクリルアミド共重合体としては、例えば、下記式(c11)で表される化合物((c11)成分)が挙げられる。
【0045】
【0046】
(c11)式中、αはアクリル酸から誘導された繰り返し単位の繰り返し数を表わす数である。βは、DADMACから誘導された繰り返し単位の繰り返し数を表す数である。γ、アクリルアミドから誘導された繰り返し単位の繰り返し数を表す数である。
(c11)成分は、ランダム共重合体でもよいし、ブロック共重合体でもよい。
【0047】
DADMAC重合体の重量平均分子量は、3千~200万が好ましく、4千~150万がより好ましく、5千~130万がさらに好ましい。
【0048】
DADMAC重合体としては、MERQUAT100(商品名、(c10)成分、重量平均分子量15万、ルーブリゾール社製)、Merquat295 Polymer(商品名、(c11)成分、重量平均分子量19万、ルーブリゾール社製)、Merquat740 Polymer(商品名、(c11)成分、重量平均分子量12万、ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
【0049】
(C)成分のカチオン化度は、0.5~3.5質量%が好ましく、1.5~2.5質量%がより好ましい。カチオン化度が上記範囲内であれば、洗浄具における臭気の発生をより良好に抑制できる。
ここで、「カチオン化度」とは、(C)成分の分子中に占める、カチオン化剤に由来する窒素原子の含有率(質量%)、すなわち、(C)成分の総質量に対する窒素原子の含有率を意味する。
【0050】
(C)成分のカチオン化度は、特定された化学構造に基づいて計算により求めることできる。(C)成分における構成単位の比率が不明な場合等、(C)成分の化学構造が特定されない場合には、(C)成分のカチオン化度は、実験的に求めた窒素含有率から算出される。(C)成分の窒素含有率の測定方法としては、ケルダール法を用いることができるが、便宜的に他の方法により測定してもよい。
【0051】
25℃における(C)成分の2質量%水溶液の粘度は、50~35000mPa・sが好ましく、70~500mPa・sがより好ましく、70~200mPa・sがさらに好ましい。(C)成分の2質量%水溶液の粘度が上記範囲内であれば、洗浄具における臭気の発生をより良好に抑制できる。
粘度は、25℃の(C)成分の2質量%の水溶液をB型粘度計で測定した値である。粘度の測定条件は、以下の通りである。
【0052】
測定条件:
[ローター]
測定対象の粘度に対応するローター番号、ローター回転数は、下記の通りである。
・粘度が500mPa・s未満:ローター番号No.2、回転数60rpm。
・粘度が500mPa・s以上2000mPa・s未満:ローター番号No.3、回転数60rpm。
・粘度が2000mPa・s以上10000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数60rpm。
・粘度が10000mPa・s以上50000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数12rpm。
[数値の読み取り]
ローターの回転の開始から60秒後。
【0053】
上述した(C)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0054】
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.05~2.5質量%が好ましく、0.1~1質量%がより好ましく、0.1~0.6質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲内であると、洗浄具の臭気の発生をより良好に抑制できる。
【0055】
(C)成分に対する(A)成分の質量比であり、(A)成分/(C)成分で表される質量比(A/C比)は、10~150が好ましく、25~50がより好ましい。A/C比が上記下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力をより高め、スポンジの臭気をより抑制できる。A/C比が上記上限値以下であると、スポンジの臭気をより抑制できる。
【0056】
<(D)成分>
(D)成分は、式(d1)で表される化合物(化合物(d1))及び式(d2)で表される化合物(化合物(d2))から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物である。液体洗浄剤組成物は、(D)成分を含有することで、スポンジにおける臭気発生を良好に抑制できる。
【0057】
≪化合物(d1)≫
化合物(d1)は、式(d1)で表される化合物である。
【0058】
【0059】
式(d1)において、Xは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Yはそれぞれ独立に塩素原子又は臭素原子であり、ZはSO2H、NO2、又は炭素数1~4のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ独立に0又は1~3の整数であり、dは0又は1であり、mは0又は1であり、nは0又は1である。
【0060】
化合物(d1)は、Xが酸素原子又はメチレン基であり、aが1である2-ヒドロキシジフェニル化合物が好ましい。
2-ヒドロキシジフェニル化合物の具体例としては、Xが酸素原子又はメチレン基であり、Yが塩素原子又は臭素原子であり、mが0であり、nが0又は1であり、aが1、bが0、1又は2であり、cが0、1又は2であり、かつdが0である化合物が挙げられる。
【0061】
化合物(d1)は、下記化合物(d1-1)~(d1-4)がより好ましい。
化合物(d1-1):式(d1)において、Xが酸素原子、aが1であり、Yが塩素原子、b又はcの一方が1で他方が0であり、dが0、mが0、nが0であるモノクロロヒドロキシジフェニルエーテル。
化合物(d1-2):式(d1)において、Xが酸素原子、aが1であり、Yが塩素原子、bが1、cが1、dが0、mが0、nが0であるジクロロヒドロキシジフェニルエーテル。
化合物(d1-3):式(d1)において、Xが酸素原子、aが1であり、Yが塩素原子、b又はcの一方が1で他方が2であり、dが0、mが0、nが0であるトリクロロヒドロキシジフェニルエーテル。
化合物(d1-4):式(d1)において、Xがメチレン基、aが1であり、Yが塩素原子、bが0、cが1、dが0、mが0、nが0であるベンジルクロロフェノール。
【0062】
化合物(d1)の好適な具体例として、化合物(d1-2)である5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(慣用名:ダイクロサン)、化合物(d1-3)である5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(慣用名:トリクロサン)、化合物(a-1-4)であるo-ベンジル-p-クロロフェノール(慣用名:クロロフェン)が挙げられる。
【0063】
化合物(d1)は、ダイクロサン又はトリクロサンを含むことが好ましく、ダイクロサンを含むことがより好ましい。
【0064】
≪化合物(d2)≫
化合物(d2)は、式(d2)で表される化合物である。
【0065】
【0066】
式(d2)において、V、Wは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基、jはAOの平均付加モル数を表す0~4の数であり、Rは水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基、水酸基である。
【0067】
(d2)成分としては、エチレングリコールモノフェニエーテル、イソプロピルメチルフェノール、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0068】
化合物(d2)としては、Vが水素原子であり、Wが水素原子であり、jが1であり、Rが水素原子である化合物が好ましい。
【0069】
上述した(D)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0070】
(D)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が上記範囲内であると、洗浄具における臭気の発生をより良好に抑制できる。
【0071】
(D)成分に対する(C)成分の質量比であり、(C)成分/(D)成分で表される質量比(C/D比)は、0.1~10が好ましく、0.4~5がより好ましい。C/D比が上記下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力をより高め、スポンジの臭気をより抑制できる。C/D比が上記上限値以下であると、スポンジの臭気をより抑制できる。
【0072】
(C)成分と(D)成分との合計に対する(A)成分の質量比であり、(A)成分/((C)成分+(D)成分)で表される質量比(A/(C+D)比)は、5~150が好ましく、10~50がより好ましく、20~35がさらに好ましい。A/(C+D)比が上記下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力をより高め、スポンジの臭気をより抑制できる。A/(C+D)比が上記上限値以下であると、スポンジの臭気をより抑制できる。
【0073】
<任意成分>
液体洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)~(D)成分以外の任意成分を含有してもよい。
【0074】
任意成分としては、食器用の液体洗浄剤組成物に用いられる成分であればよい。任意成分としては、水、(A)成分及び(B)成分以外の界面活性剤(任意界面活性剤)、高級脂肪酸又はその塩、ハイドロトロープ剤、防腐剤、pH調整剤、キレート剤、香料、色素、増粘剤等が挙げられる。
【0075】
水は、液体洗浄剤組成物の溶媒として機能する。水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、40~85質量%がより好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。水の含有量が上記下限値以上であれば、ゲル化が抑制され、液の均一性が高まる。水の含有量が上記上限値以下であれば、粘度が低くなりすぎず、使用性に優れる。
【0076】
キレート剤としては、アミノカルボン酸型キレート剤((E)成分)、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、酒石酸、カルボキシメチル酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸及びこれらの塩等の有機酸及びその塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩が挙げられる。
キレート剤としては、(E)成分がより好ましい。
【0077】
(E)成分としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ヒドロキシエチレンイミノジ酢酸(HIDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β-アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、N-ラウロイルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA-OH)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジカルボキメチルグルタミン酸(CMGA)、(S,S)-エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)及びこれらの塩等が挙げられる。(E)成分の塩の形態としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
(E)成分としては、MGDA、GLDA、EDTA、HEDTA、DHEG、HIDA、DTPAが好ましく、MGDA、GLDA、EDTAがより好ましく、さらにMGDAが好ましい。これらの(E)成分を含有することで、洗浄具における臭気の発生をより良好に抑制できる。
これらの(E)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0078】
(E)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.2~5質量%が好ましく、0.5~2.5質量%がより好ましい。
【0079】
上述のキレート剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
キレート剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~5質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
【0080】
任意界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
ハイドロトロープ剤としては、オルトトルエンスルホン酸、メタトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、又はこれらの塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、エタノール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
【0081】
液体洗浄剤組成物が高級脂肪酸又はその塩を含有していると、消泡性が高まる。なお、「消泡性」とは、液体洗浄剤組成物を用いて洗浄し、水道水等ですすいだ際、泡が消失する性質のことである。
高級脂肪酸又はその塩としては、炭素数8~20の脂肪酸又はその塩が挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の単一脂肪酸又はその塩;ヤシ脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸又はその塩等が挙げられる。
高級脂肪酸の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
高級脂肪酸又はその塩は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0082】
pH調整剤としては、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤、無機酸等が挙げられる。
無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
有機アルカリ剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン等のアミン化合物等が挙げられる。
無機酸としては、塩酸、硫酸等が挙げられる。
有機酸としては、酢酸等が挙げられる。
【0083】
<物性>
本発明の液体洗浄剤組成物の25℃でのpHは、6~8が好ましい。液体洗浄剤の25℃でのpHが上記範囲内であれば、ヌルつきをより抑制できる。
液体洗浄剤組成物のpH(25℃)は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値である。
【0084】
本発明の液体洗浄剤組成物の25℃における粘度は、10~200mPa・sが好ましく、50~150mPa・sがより好ましい。粘度が上記下限値以上であれば、容器の注ぎ口からの液だれを良好に抑制できる。粘度が上記上限値以下であると、容器から液体洗浄剤組成物をより容易に吐出できる。
【0085】
液体洗浄剤組成物の粘度は、水の含有量、増粘剤の添加等により調整できる。
液体洗浄剤組成物の粘度は、測定対象を25℃とし、B型粘度計を用いて、ローター番号No.1、ローター回転数60rpmで、ローターの回転の開始から60秒後に測定される値である。
【0086】
(製造方法)
本発明の液体洗浄剤組成物は、従来公知の製造方法によって製造される。
液体洗浄剤組成物の製造方法としては、例えば、(A)~(D)成分を水の一部に添加し、混合し、pHを調整した後に水の残部を加える方法が挙げられる。
【0087】
(使用方法)
液体洗浄剤組成物の使用方法としては、例えば、液体洗浄剤組成物を洗浄具に塗布し、この洗浄具に液体洗浄剤組成物を泡立て、泡立てた洗浄具で洗浄物を擦り洗う方法が挙げられる。あるいは、液体洗浄剤組成物を水に溶解して洗浄液とし、洗浄液に被洗浄物を浸漬しつつ、洗浄具で擦り洗う方法が挙げられる。
この際、液体洗浄剤組成物が洗浄具に浸透して、洗浄具への油汚れの残留を防ぎつつ、(D)成分が洗浄具内に滞留して、食材の変性に起因する臭気の発生を抑制する。
いずれの方法においても、擦り洗った被洗浄物を水ですすぎ、その後、被洗浄物の水切りを行う。
【0088】
洗浄具としては、単層スポンジ、スポンジたわし、ネットスポンジ等のスポンジが挙げられる。
【0089】
被洗浄物としては、陶磁器、金属製器具等が挙げられる。陶磁器としては、皿、茶わん、丼等の食器類が挙げられる。金属製器具としては、フォーク、スプーン等の食器、ステンレス製のシンク等が挙げられる。
【0090】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分を含有することで、油汚れに対する洗浄力を高め、かつ洗浄具への油汚れの残留を抑制する。
本発明の液体洗浄剤組成物は、(B)成分を含有することで、スポンジにおける油汚れ、食材の残渣の量を減らし、臭気の発生を抑制できる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、(C)成分を含有することで、スポンジに残留した食材の変質を防止して、臭気の発生を抑制する。これは、(A)成分と(C)成分とが会合体を形成し、スポンジ内への(D)成分の浸透、滞留を促し、食材の変質の発生を抑制できるためと考えられる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、(D)成分を含有し、C/D比が特定の範囲であることで、洗浄具における油汚れの残留をより抑制し、臭気の発生をより抑制できる。これは、(C)成分と会合体を形成していない(A)成分が(D)成分の溶解を促し、スポンジ内への(D)成分の浸透、滞留を促し、食材の変質の発生を抑制できるためと考えられる。
加えて、本発明の液体洗浄剤組成物は、従来の液体洗浄剤組成物では臭気の発生の抑制が困難であったスポンジたわし又はネットスポンジにおいても、臭気の発生を良好に抑制できる。
【実施例0091】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0092】
(使用原料)
<(A)成分>
・A-1:BRES(1)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、天然アルコール(P&G社製の商品名「CO-1270」)に1モル相当のEOを付加したAES、ライオン社製。
・A-2:SAS、第2級アルカンスルホン酸、商品名「SAS30」、クラリアント・ジャパン社製。
・A-3:LAS、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、商品名「ライポンLS-250」、ライオン社製。
【0093】
<(B)成分>
・B-1:C12-AX、アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤、商品名「カデナックスDM12D―W」、ライオン社製。
・B-2:CAPB、コカミドプロピルベタイン、商品名「オバゾリンCAB-30」)、東邦化学工業社製。
【0094】
<(C)成分>
・C-1:カチセル、カチオン化セルロース、商品名「UCARE JR-125」、ダウ・ケミカル社製。
・C-2:疎水カチセル、疎水変性カチオン化セルロース、商品名「SoftCAT SX-400H」、ダウ・ケミカル社製。
・C-3:DADMAC単独重合体、商品名「MERQUAT100」、ルーブリゾール社製。
【0095】
<(D)成分>
・D-1:ダイクロサン、商品名「TinosanHP100」、BASF社製。
・D-2:トリクロサン、商品名「トリクロサン」、富士フイルム和光純薬社製。
・D-3:EGMPE、エチレングリコールモノフェニエーテル、商品名「2-Phenoxypropanol」、東京化成工業社製。
・D-4:IPMP、イソプロピルメチルフェノール、商品名「4-イソプロピル-3-メチルフェノール」、富士フイルム和光純薬社製。
・D-5:PGMPE、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、商品名「2-Phenoxypropanol」、東京化成工業社製。
【0096】
<(D’)成分>(D)成分の比較品
・硫酸亜鉛。
【0097】
<任意成分>
≪(E)成分≫
・E-1:MGDA、メチルグリンジ酢酸3ナトリウム、商品名「TrilonM Max BioBased L」、BASF社製。
・E-2:GLDA、グルタミン酸ジ酢酸4ナトリウム、商品名「GLDA-4Na40%水溶液」、昭和電工社製。
≪共通成分≫(各成分の後ろに記載の割合は、液体洗浄剤組成物の総量に対する割合である)
・BIT:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(クラリアント・ジャパン社製、商品名「NIPACIDE BIT20」)、5質量ppm。
・メチルイソチアゾリノン:MIT、関東化学社製、5質量ppm。
・色素;緑3号、3質量ppm。
・ノニオン界面活性剤:Lutensol XP-100、5質量%。
・ハイドロトロープ剤:エタノール、2質量%。
・ハイドロトロープ剤:パラトルエンスルホン酸、pTS-H、2質量%。
・キレート剤:クエン酸、2質量%。
・香料:0.3質量%。
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:BDG、1質量%。
・pH調整剤:水酸化ナトリウム、適量(液体洗浄剤組成物をpH7にするのに必要な量)。
・水、イオン交換水:バランス(液体洗浄剤組成物の全量を100質量%とするのに必要な量)。
【0098】
(評価方法)
<スポンジ防汚(汚れの残りにくさ)効果についての評価>
スダンIV(関東化学株式会社製)濃度が1質量%となるように着色した牛脂(和光純薬株式会社製)1gを、縦10cm×横15cm×高さ5cmのプラスチック製の容器(岩崎工業株式会社製、商品名「ネオキーパー」)の内側の全面に均一になるように塗布し、汚垢モデルとした。縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム株式会社製、商品名「スコッチブライト」)に、水道水35gと各例の液体洗浄剤組成物3gとをとり、10回手で揉んだ。このスポンジで、上記の汚垢モデルについて、汚垢モデルの底面を10回、側面を1回、四隅を5回擦り、その後、スポンジを水道水で充分にすすいだ。すすぎ後のスポンジを目視にて観察し、以下の評価基準にてスポンジの汚れ残りを評価した。
≪評価基準≫
◎:スポンジに着色された牛脂の汚れ残りが目視で認められない。
○:スポンジに着色された牛脂の汚れ残りが目視でほとんど認められない。
△:スポンジに着色された牛脂の汚れ残りが目視で認められる。
×:スポンジに着色された牛脂の汚れ残りが目視でかなり認められる。
【0099】
<スポンジ防臭効果についての評価>
フードミキサーを用いてキャベツとサンマを1:1の質量比で混合したものと、混合油(バター/ラード/牛脂/オリーブオイルを3/3/2/1の質量比で溶解させたもの)とを1:1の質量比で混合した混合物2gを皿に載せ、これを試験皿とした。縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(※下記参照)に、水道水38gと食器用洗浄剤組成物3gをとり、10回手で揉んで泡立てた。このスポンジで、試験皿5枚を連続して洗浄した。なお、3回繰り返し評価では同様の作業をさらに2回(計3回)繰り返した。
洗浄工程を1回もしくは3回経たスポンジをチャック付きのビニール袋に入れて密閉した後、40℃で放置した。24時間経過した後のスポンジの臭いを官能により、下記に示す5段階の評価基準に従って評価した。評価は、専門パネラー2人の平均値を求めることにより行った。なお、バターとしては雪印メグミルク株式会社製の「雪印北海道バター」を用い、ラードとしては雪印メグミルク株式会社製の「雪印ラード」を用い、牛脂としては和光純薬工業株式会社製のものを用い、オリーブオイルとしては味の素株式会社製の「OLIVE OIL EXTRA VIRGIN」を用いた。
【0100】
≪使用したスポンジ≫
(1)スポンジたわし(張り合わせスポンジ):住友スリーエム株式会社製、商品名「スコッチブライト」、材質:ポリウレタン+ナイロン不織布。
(2)単層スポンジ:太陽油脂株式会社製、商品名「パックスナチュロン キッチンスポンジ」、材質:ポリウレタン。
(3)ネットスポンジ:株式会社オーエ、商品名「クリーンキーピング ネットスポンジ」、材質:ポリウレタン+ポリエステルネット。
【0101】
≪評価基準≫
◎◎:全く臭い残りがない。
◎:非常に弱い臭いを感じるが、何の臭いか判別できない。
〇:食材の臭いをわずかに感じる。
△:食材の臭いをはっきり感じる。
×:食材の臭いを強烈に感じる。
【0102】
(実施例1~22、比較例1~3)
表1~2に示す組成に従い、(A)~(E)成分及び任意成分を水に加え混合して、pH7の各例の液体洗浄剤組成物を調製した。
なお、表中の配合量は純分換算値である。また、表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。
各例の液体洗浄剤組成物について、スポンジ防汚性、スポンジ防臭を評価し、その結果を表中に示す。
【0103】
【0104】
【0105】
表1~2に示すように、実施例1~22は、スポンジの種類を問わず、スポンジ防汚及びスポンジ防臭のいずれもが「〇」~「◎◎」であった。
(C)成分を欠く比較例1は、ネットスポンジのスポンジ防臭(3回繰り返し)の評価が「×」であった。
(D)成分を欠く比較例2、3は、貼り合わせスポンジのスポンジ防臭(3回繰り返し)、ネットスポンジにおけるスポンジ防臭(3回繰り返し)の評価が「×」であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、スポンジの種類を問わず、スポンジの臭気発生を防止できることを確認できた。