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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092272
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208085
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】末道 亮
(57)【要約】
【課題】重なり合うと均すのが容易でない物品に対しても好適に均し処理が可能な組合せ秤を提供する。
【解決手段】トラフ6aを振動させて、該トラフ6a上の物品を搬送する直進フィーダ6を備える組合せ秤であって、トラフ6a上の物品を均す均し機構12を備え、トラフ6aは、その底面が物品の搬送方向に向かって先下がり傾斜する傾斜段部dを有し、均し機構12は、トラフ6aの傾斜段部dの上方で、循環軌跡に沿って移動することによって、物品に接触して均す均し部材27を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラフを振動させて、該トラフ上の物品を搬送する直進フィーダを備える組合せ秤であって、
前記トラフ上の物品を均す均し機構を備え、
前記トラフは、その底面が前記物品の搬送方向に向かって先下がり傾斜する傾斜段部を有し、
前記均し機構は、前記トラフの前記傾斜段部の上方で、循環軌跡に沿って移動することによって、前記物品に接触して均す均し部材を有する、
ことを特徴とする組合せ秤。
【請求項2】
前記循環軌跡は、前記物品の搬送方向の上手側の上方に向かう軌跡を含む、
請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
前記物品は、長手方向を有する形状であり、
前記傾斜段部の前記物品の搬送方向に沿う長さが、前記物品の長手方向の長さ以上である、
請求項2に記載の組合せ秤。
【請求項4】
前記トラフの前記底面には、前記物品の搬送方向に沿って延びる直進搬送通路を、前記搬送方向に直交する幅方向に2分する仕切り壁が立設され、
前記均し部材は、2分された前記直進搬送通路のそれぞれに対応する一対の均し作用部を備えている、
請求項3に記載の組合せ秤。
【請求項5】
前記均し部材は、前記一対の均し作用部を、前記物品の搬送方向の異なる位置に備えている、
請求項4に記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ秤に関し、更に詳しくは、供給される物品を均す機能を備えた組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤としては、例えば、特許文献1に示されているように、分散フィーダで分散搬送した物品を、分散フィーダの周囲に放射状に並列配備した複数の直進フィーダに搬出し、各直進フィーダによって物品を直線的に振動搬送して供給ホッパへ送り込むようにしたものが知られている。
【0003】
組合せ秤においては、目標量が小さくて、供給ホッパへ物品を少量ずつ搬送する必要があるような場合、あるいは、物品の性状や形状によって、物品が嵩高くまとまって搬送されやすいような場合には、物品が供給ホッパへ過剰に供給されることがある。
【0004】
このように物品が過剰に供給されると、組合せ演算における組合せが成立し難くなって、計量処理能力や歩留りの低下を招くおそれがある。
【0005】
そこで、上記特許文献1では、直進フィーダの搬送トレイ上に、ウレタンゴムなどの弾性材からなる層厚規制板を垂下し、搬送される物品の層厚を調整して、供給ホッパヘ適当少量ずつ物品を送り込むようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-326023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、弾性材からなる層厚規制板では、その弾性変形の度合いによって、物品の通過量が規制されるので、物品の通過量を、一定量に安定して規制するのは容易ではない。
【0008】
また、積層しても崩れ易い物品には有効であるが、扁平で細長いような物品、例えば、「きぬさやえんどう」や短冊状にカットしたパプリカ、などは、重なり合うと崩れ動きにくくなる。このため、層厚規制板では好適に層厚を規制することが困難である。
【0009】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、重なり合うと均すのが容易でない物品に対しても好適に均し処理が可能な組合せ秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0011】
(1)本発明に係る組合せ秤は、トラフを振動させて、該トラフ上の物品を搬送する直進フィーダを備える組合せ秤であって、
前記トラフ上の物品を均す均し機構を備え、前記トラフは、その底面が前記物品の搬送方向に向かって先下がり傾斜する傾斜段部を有し、前記均し機構は、前記トラフの前記傾斜段部の上方で、循環軌跡に沿って移動することによって、前記物品に接触して均す均し部材を有する。
【0012】
本発明に係る組合せ秤によると、重なり合った物品が傾斜段部に至ると、上層の物品に均し部材が接触して流下前進するのが抑制されるのに対して、下層の物品は傾斜段部に沿って流下前進することになり、上下の物品が引き離されて均されてゆく。
【0013】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記循環軌跡は、前記物品の搬送方向の上手側の上方に向かう軌跡を含んでいる。
【0014】
この実施態様によると、重なり合った物品が傾斜段部に至ると、上層の物品は、均し部材で物品の搬送方向の上手側の上方に向けてすくい上げられるので、傾斜段部に沿って下手側へ流下前進する下層の物品から確実に引き離される。
【0015】
(3)本発明の一実施態様では、前記物品は、長手方向を有する形状であり、前記傾斜段部の前記物品の搬送方向に沿う長さが、前記物品の長手方向の長さ以上である。
【0016】
この実施態様によると、上層の物品が均し部材ですくい上げられる間に、傾斜段部に沿って流下前進する下層の細長いような物品は、その全長が傾斜段部の上端から速やかに移動し、後続する物品の移動の妨げとなることがない。
【0017】
(4)本発明の他の実施態様では、前記トラフの前記底面には、前記物品の搬送方向に沿って延びる直進搬送通路を、前記搬送方向に直交する幅方向に2分する仕切り壁が立設され、前記均し部材は、2分された前記直進搬送通路のそれぞれに対応する一対の均し作用部を備えている。
【0018】
この実施態様によると、2分した直進搬送通路の通路幅を、長手方向を有するような細長い物品の幅に対応して設定しておくことで、物品を搬送方向に沿った縦向き姿勢で2列に振り分けて搬送しながら、各直進搬送通路での均しを的確に行うことができる。
【0019】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記均し部材は、前記一対の均し作用部を、前記物品の搬送方向の異なる位置に備えている。
【0020】
この実施態様によると、長手方向を有するような細長い物品が、物品の搬送方向に交差する横向き姿勢で搬送されてきても、一対の均し作用部の内、物品の搬送方向の上手側に位置する一方の作用部が、物品の一部に先行して接触して、物品の一端側を、搬送方向の上手側へ向けることで、物品は搬送方向に沿った縦向き姿勢に矯正される。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明に係る組合せ秤によれば、底面が物品の搬送方向に向かって先下がり傾斜する傾斜段部を有するトラフと、このトラフの傾斜段部の上方で、循環軌跡に沿って移動して物品に接触して均す均し部材とによって、重なり合った物品の内、上層の物品は均し部材に接触して流下前進が抑制されるのに対して、下層の物品は、傾斜段部に沿って流下前進することになり、上下の物品を引き離して均すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は本発明の一実施形態の組合せ秤の側面図である。
図2図2図1の組合せ秤の概略平面図である。
図3図3図1の組合せ秤の概略正面図である。
図4図4図1の組合せ秤の直進フィーダの一部と均し機構を示す斜視図である。
図5図5図1の組合せ秤の直進フィーダの一部と均し機構を示す縦断側面図である。
図6図6は上段直進フィーダの均し機構を示す正面図である。
図7図7は下段直進フィーダの均し機構を示す正面図である。
図8図8は下段直進フィーダにおける均し機構の作動を示す概略縦断側面図である。
図9図9は下段直進フィーダにおける均し機構の作動を示す概略平面図である。
図10図10は計数排出部の斜視図である。
図11図11は計数排出部の縦断側面図である。
図12図12は計数用ケースの平面図である。
図13図13は図12におけるA-A断面図である。
図14図14は計数用ケースの分解斜視図である。
図15図15はリジェクト機構の通常状態を示す側面図である。
図16図16はリジェクト機構の作動状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤の全体側面図、図2はその概略平面図、図3はその概略正面図である。
【0024】
この実施形態の組合せ秤は、組合せ計数を行うものであり、例えば、茹でた「きぬさやえんどう」や短冊状にカットしたパプリカなどの扁平で細長い物品、この例では茹でた「きぬさやえんどう」を目標個数、例えば、2個組合せ計数して排出するのに好適である。この実施形態の組合せ秤では、重量管理を行うことなく、個数管理のみを行うものである。
【0025】
この組合せ秤は、床面上に据付け固定される台枠1を備えている。この台枠1の後方上部に、計数対象である物品を貯留する貯留ホッパ2が図1に示すように設置されている。
【0026】
また、台枠1の上部には、貯留ホッパ2から送り出された物品を複数列(この例では4列)の直進搬送通路に沿って前方(図1及び図2の左方)へ振動搬送する直進フィーダ3が、横方向(図1の紙面に垂直方向、図2の上下方向)に並列配備されている。更に、台枠1の前面外側には、各直進フィーダ3から個別に物品の供給を受ける複数連(この例では4連)の計数排出部4が装備されている。
【0027】
貯留ホッパ2は、図2の仮想線で示すように、複数の直進搬送通路の全幅に亘る横幅を有している。この貯留ホッパ2は、上記のように直進フィーダ3の後方始端部の上方に配置されている。詳細な構造は省略されているが、この実施形態では、貯留ホッパ2は、ガスダンパが組み込まれたリンク式の昇降機構に脱着可能に連結支持されている。これによって、直進フィーダ3の後方始端部に臨む上方の物品供給位置と、作業しやすい下方の物品補給位置とに亘って手動で軽く昇降できるようになっている。
【0028】
直進フィーダ3は、物品の搬送方向の上手側の上段直進フィーダ5と、物品の搬送方向の下手側の下段直進フィーダ6とが、物品の搬送方向に向けて縦列配置して構成されている。上段直進フィーダ5は、物品を樋状のトラフ5aに載置して前方へ振動搬送する。下段直進フィーダ6は、上段直進フィーダ5からの物品を、樋状のトラフ6aに載置して更に前方へ振動搬送する。
【0029】
上段直進フィーダ5及び下段直進フィーダ6の各トラフ5a,6aは、図1に示す台枠1内に収納配備された搬送通路毎の各加振機構5b,6bによってそれぞれ振動駆動される。各加振機構5b,6bは、図示しない制御部によってそれぞれ駆動制御される。この制御部は、後述の組合せ演算を行うと共に、各部を制御する。
【0030】
図2に示すように、各トラフ5a、6aの物品の搬送方向の終端側の底面には、直進搬送通路幅の全幅に亘る横長スリット状の貫通した水抜き孔7、8がそれぞれ形成されている。物品から分離した茹で水等の水を、水抜き孔7、8から流下排出して、図1に示すように、トラフ下方に配備した回収容器9、10に流下回収するようになっている。なお、回収容器9,10で集められた水は、図示されていない排水ホースを介して装置外に排出される。
【0031】
図2に示すように、下段直進フィーダ6におけるトラフ6aの底面には、直進搬送通路を幅方向である左右に二分する仕切り壁6cが山形に立設されている。トラフ6a毎に、この仕切り壁6cによって、物品が左右2列で搬送されて、次の計数排出部4に送り込まれるようになっている。ここで、2列に区分された直進搬送通路のそれぞれは、長手方向を有する細長い物品が搬送方向に沿った縦向き姿勢で一列に搬送される横幅に設定されている。
【0032】
直進フィーダ3を構成する上段直進フィーダ5と下段直進フィーダ6には、それぞれ均し機構11、12が配備されている。この実施形態の均し機構11、12は、直進フィーダ3における直進搬送通路の物品の搬送方向の上手側と物品の搬送方向の下手側の前後2箇所において、物品の搬送厚さを均して、扁平で細長い物品をできるだけ一層状態にして一列で計数排出部4に送り込むためのものである。
【0033】
図4は、直進フィーダの一部と均し機構を示す斜視図であり、図5は、直進フィーダの一部と均し機構を示す縦断側面図であり、図6は、上段直進フィーダの均し機構を示す正面図であり、図7は、下段直進フィーダの均し機構を示す正面図である。また、図8は、下段直進フィーダにおける均し機構の作動を示す概略縦断側面図であり、図9は、下段直進フィーダにおける均し機構の作動を示す概略平面図である。
【0034】
これらの図に基づいて、均し機構11、12の詳細な構造を説明する。
【0035】
4列の直進フィーダ3群の左右両脇には、図6図7に示すように、サイドフレーム13、14が立設されている。これらサイドフレーム13、14に亘って均し機構11、12が装備されている。
【0036】
上段直進フィーダ5に作用する均し機構11には、一方のサイドフレーム13に水平支点pを中心にモータ駆動可能に軸支された駆動クランクアーム15、他方のサイドフレーム14に前記水平支点pを中心に遊転自在に軸支された遊転クランクアーム16、及び、駆動クランクアーム15の遊端と遊転クランクアーム16の遊端に亘って水平に支持連結された作動軸17が備えられると共に、両クランクアーム15,16の下方において、両サイドフレーム13、14に亘って水平に支持固定された支点軸19、等が備えられている。
【0037】
作動軸17には、複数の均しアーム18の上端部が遊転自在に挿通支持されている。各均しアーム18の下端部には、板材を屈折形成してなる均し部材20が、高さ調節可能にボルト連結されている。
【0038】
各均しアーム18には、左右方向に貫通する案内溝21がアーム長手方向に沿って形成され、この案内溝21に支点軸19が挿通係合されている。
【0039】
上段直進フィーダ5の均し機構11は以上のように構成されている。この均し機構11では、駆動クランクアーム15が一定方に回転駆動されることで、図5に示すように、駆動クランクアーム15と遊転クランクアーム16とに亘って支持連結された作動軸17が、水平姿勢を維持したまま、水平支点pを中心とする円形軌跡に沿って平行に回動移動する。
【0040】
これによって、作動軸17に上端部を遊転支持された均しアーム18は、上下移動しながら支点軸19を中心にして前後に揺動される。これによって均しアーム18に取付けられた均し部材20の下端が、一定の循環軌跡rを描いて移動することになる。
【0041】
均し部材下端の循環軌跡rは、トラフ5aの底面より少し高い所定位置において、軌跡下半部が、物品の搬送方向の上手側に向けてすくい上げ移動するように設定されている。従って、均し部材20の循環作動によって、上段直進フィーダ5で搬送される物品が掻き均されて、所定厚さの層状となって次の下段直進フィーダ6に送り込まれる。
【0042】
下段直進フィーダ6に作用する均し機構12も、上段の均し機構11と同様に構成されている。すなわち、一方のサイドフレーム13に水平支点qを中心にモータ駆動可能に軸支された駆動クランクアーム22、他方のサイドフレーム14に前記水平支点qを中心に遊転自在に軸支された遊転クランクアーム23、及び、駆動クランクアーム22の遊端と遊転クランクアーム23の遊端に亘って水平に支持連結された作動軸24が備えられると共に、両クランクアーム22,23の下方において、両サイドフレーム13、14に亘って水平に支持固定された支点軸26、等が備えられている。
【0043】
作動軸24には、複数の均しアーム25の上端部が遊転自在に挿通支持されている。各均しアーム25の下端部の前後面に、一対の均し部材27が高さ調節可能にボルト連結されている。また、また、各均しアーム25には、左右方向に貫通する案内溝28がアーム長手方向に沿って形成されると共に、この案内溝28に支点軸26が挿通係合されている。
【0044】
各均し部材27の下端部には、物品の搬送方向の上手方向に屈折された均し作用部27a、27bが形成されている。これら均し作用部27a、27bが、前後及び左右の異なった位置で作用するようになっている。
【0045】
下段直進フィーダ6の均し機構12は以上のように構成されている。この均し機構12では、駆動クランクアーム22が一定方に回転駆動されることで、図5に示すように、作動軸24が水平姿勢を維持したまま、水平支点qを中心とする円形軌跡に沿って平行に回動移動し、この作動軸24に上端部を遊転支持された均しアーム25は、上下移動しながら支点軸24を中心にして前後に揺動する。これによって均しアーム25に取付けられた前後一対の均し部材27の下端の均し作用部27a、27bがそれぞれ一定の循環軌跡sa、sbを描いて移動することになる。
【0046】
ここで、下段直進フィーダ6のトラフ6aは、図4に示すように、その底面に、物品の搬送方向に向かって先下がり傾斜した前下がりの傾斜段部dが形成されている。均し作用部27a、27bの循環軌跡sa、sbの下半部が、傾斜段差dの形成箇所のやや上方において、物品の搬送方向の上手側に向けて掻き上げ移動するように均し機構12が設置されている。すなわち、均し部材27の均し作用部27a、27bの循環軌跡sa、sbは、物品の搬送方向の上手側の上方へ向かう軌跡を含んでいる。
【0047】
従って、図8に示すように、扁平で細長い物品wが積み重なって傾斜段部dにさしかかると、上層の物品wが均し部材27で物品の搬送方向の上手側の上方に向けてすくい上げられるのに対して、下層の物品wは、傾斜段部dに沿って搬送方向の下手側へ流下前進することになり、上下の物品wが確実に引き離されて均されてゆく。
【0048】
物品wが、例えば、茹でた「きぬさやえんどう」のような場合には、茹でた水が付着して重なると一層分離しにくくなるが、この実施形態によれば、傾斜段部dに沿って流下前進する下層の物品に対して、上層の物品を、均し部材27によって、物品の搬送方向の上手側の上方に向けてすくい上げるようにして効果的に引き離すことが可能である。
【0049】
ここで、傾斜段部dの搬送方向に沿う長さ、すなわち、傾斜段部dにおける物品の搬送方向の上手側の始端(上端)から搬送方向の下手側の終端(下端)までの傾斜段部dに沿う長さは、物品wの長さ以上に設定されるのが好ましい。こうすることによって、上層の物品wが均し部材27ですくい上げられる間に、傾斜段部dに沿って流下前進する下層の細長い物品wは、その全長が傾斜段部dの上端から外れるまで速やかに移動し、後続の物品の移動の妨げとなることがない。
【0050】
つまり、傾斜段部dの物品の搬送方向に沿う長さが、物品長さより短いと、物品wの前端部が傾斜段部dの下端に到達した時点で、物品wの後端部が傾斜段部dの上端からはみ出てしまう。このため、物品wの前端部が傾斜段部dの下端を越えて前進移動して、後端部のはみだし部分が、傾斜段部dの上端から離れて低くなるまでは、後続の物品の移動を妨げることになる。一方、傾斜段部dの物品の搬送方向に沿う長さが、物品wの長さ以上であると、傾斜段部dに沿って流下する物品は、その後端部が傾斜段部dの上端から離れるまで一挙に移動することとなり、傾斜段部dの上端から物品wの後端部がはみ出ている時間が短くなる。
【0051】
また、各均し部材27の均し作用部27a、27bは、前後及び左右に位置をずらして配備されている。これによって、図9に示すように、細長い物品wが仕切り壁6cに載り上がって横向き姿勢で搬送されてくると、物品の搬送方向の上手側に位置する均し作用部27aが先行して物品wに作用して、搬送方向の上手方向に移動させることになり、これによって横向き姿勢の物品wは、物品の搬送方向に沿う縦向き姿勢に矯正される。
【0052】
このように、下段直進フィーダ6においては、均し機構12によって物品が1層の状態に掻き均され、かつ、扁平で細長い物品wが搬送方向に沿った縦向き姿勢となって2つの直進搬送通路に分けられて搬送され、次の計数排出部4に送り込まれる。
【0053】
なお、均し機構11、12における各均しアーム18、25の作動軸17、24に対する取付け端部は分割されて、ヒンジ式に開閉可能となっている。図4に示す締結金具(パッチン錠)29、30を操作して開放回動することで、均しアーム18、25を作動軸17、24から取り外して、均し部材20、27の取り替えや洗浄、等を容易に行うことができる。また、作動軸17、24の均しアーム取付け箇所には、図6図7に示すように、アーム横幅に相当する間隔をもってストッパリング31、32が一対ずつ装着され、作動軸17,24に遊嵌された均しアーム18、25の横方向での位置決めがなされる。
【0054】
また、均し機構11,12における支点軸19、26を上下に位置調節することで、均しアーム18、25の前後への揺動振幅を変更して、前後方向での均し作用域を調整することができる。また、均しアーム18、25に対する均し部材20、27の取付け高さを調節することで、均す物品の層の厚さを調整することができる。
【0055】
図10は、計数排出部4の斜視図であり、図11は、その縦断側面図である。また、図12は、計数排出部4の計数用ケース41の平面図であり、図13は、図12におけるA-A断面図であり、図14は、計数用ケース41の分解斜視図である。
【0056】
計数排出部4には、下段直進フィーダ6のトラフ6aの終端に臨む計数用ケース41、その直下方に臨むホッパ42、ホッパ42に目標個数を超える物品が供給されたとき、そのホッパ42の物品を排除する図1に示すリジェクト機構43、等が備えられている。
【0057】
計数用ケース41は、上下に貫通開放された角筒状に形成されており、その後側(物品の搬送方向の上手側)の側壁が、センサボックス44によって構成されている。
【0058】
計数用ケース41における外側壁41aの内面には、横長の反射板45が取付けられると共に、計数用ケース41における外側壁41aの上端には、3つの仕切り部材46a、46b、46cが上方から差込み装着されている。
【0059】
仕切り部材46a、46b、46cは、図12図13に示すように、計数用ケース41の内部に、左右2つの物品の落下供給路fを形成するよう所定の左右間隔をもって配置される。物品の各落下供給路fの上端部が、下段直進フィーダ6のトラフ6aの上記仕切り壁6cによって仕切られた左右の直進搬送通路の終端に臨設されている。
【0060】
センサボックス44は、外向きに開放された浅い箱状ケース44aの内部に、左右一対の投受光器47が、図12に示すように、左右の物品の落下供給路fに臨むよう並列装備される。センサボックス44の箱状ケース44aの外面は、透明カバー44bで封止されている。
【0061】
投受光器47は、図11に示すように、横幅が一定の光ビームbを、物品の落下供給路fを通して反射板45に向けて照射する投光部47aと、反射板45からの反射光を受光する受光部47bとが、上下に所定間隔をもって装備されている。
【0062】
この実施形態では、物品の落下供給路fを挟んで対向する一方側に配置された投受光器47と、対向する他方側に配置された反射板45とによって、回帰反射型の光センサが構成されている。この光センサは、計数用ケース41によって囲まれた物品の落下供給路fを検知領域としている。このように計数用ケース41によって、光センサの検知領域が囲まれているので、計数用ケース41外からの影響を受けるのを防止することができる。
【0063】
下段直進フィーダ6のトラフ6aの終端から落下供給される物品が、計数用ケース41内の物品の落下供給路fを通過移動してホッパ42に投入される際に、物品が投受光器47の光路を一瞬遮ることで、受光部47bでの受光量が減少して検知出力が変化する。この検知出力の変化に基づいて、物品の通過個数を計数することができる。
【0064】
なお、直進フィーダ3のトラフ5a,6aの終端に至る途中に、上記の水抜き孔7、8を備えることで、物品から分離した茹で水等の水滴が、トラフ5a,6aの終端の途中の水抜き孔7、8から流下排出される。これによって、水滴が、トラフ5a,6aの終端から計数用ケース41に流下することを回避することができ、水滴の通過を物品の通過として誤検知することはない。
【0065】
各ホッパ42には、前側(図1の左側)へ開く前ゲート42aと、後側(図1の右側)へ開く後ゲート42bとがそれぞれ独立して開閉制御可能に装備されている。
【0066】
4個のホッパ42の下方には、図3に示すように、左右2個ずつのホッパ42に対応して横方向に2列、また、図1に示すように、前後方向に2列、都合4個の角筒状の集合シュート48が配置されている。これら4個の集合シュート48の下方には、下端が円形に窄められた4個の集合ファネル49が、各集合シュート48にそれぞれ対応するように配置されている。
【0067】
上記構成を有する本実施形態に係る組合せ秤では、貯留ホッパ2の下端から送出された物品は、上段直進フィーダ5によって前方へ振動搬送され、下段直進フィーダ6によって更に前方へ振動搬送される。
【0068】
ホッパ42から物品が排出されて空になると、下段直進フィーダ6が所定時間駆動されて物品が、ホッパ42へ落下供給される。このとき、下段直進フィーダ6のトラフ6aの終端からホッパ42へ落下供給される物品が、計数用ケース41に配備された光センサによって検知される。
【0069】
この光センサの検知出力に基づいて、上記制御部は、ホッパ42に供給される物品の個数を計数する。ホッパ42に供給された物品の個数が、目標個数を超えていないときには、制御部は、ホッパ42の物品の個数に基づいて、組合せ演算を行なう。
【0070】
この組合せ演算は、図3に示される横方向に隣接する4個のホッパ42を、左右2個ずつのホッパ42に区分し、すなわち、左側の2個のホッパ42と、右側2個のホッパ42に区分し、各2個ずつのホッパ42を単位として組合せ演算をそれぞれ行う。
【0071】
この組合せ演算では、2個のホッパ42の物品の個数を組合せて、目標個数となるホッパ42を選択する。
【0072】
左側の2個のホッパ42の組合せ演算によって選択されたホッパ42からの物品は、横方向の2列の集合シュート48の左側の集合シュート48へ排出される。右側の2個のホッパ42の組合せ演算によって選択されたホッパ42からの物品は、横方向の2列の集合シュート48の右側の集合シュート48へ排出される。
【0073】
このとき、集合シュート48は、前後方向に2列あるので、組合せ演算によって選択されたホッパ42から排出される物品は、組合せ演算の度に、前後方向の2列の集合シュート48に交互に排出される。
【0074】
4個の集合シュート48へ排出された物品は、対応する4個の各集合ファネル49で集合されて下方へ排出される。
【0075】
この実施形態では、4個の集合ファネル49の下方には、例えば、各集合ファネル49に個別的に対応する4つ収容カップを装備した搬送トレイ(図示せず)が搬入される。この搬送トレイの前記各収容カップに、4個の集合ファネル49から排出される物品が収容される。各収容カップに物品を収容した搬送トレイは、集合ファネル49の下方位置から搬出される。搬送トレイが搬出されると、新たな搬送トレイが搬入されて、同様の動作を繰り返す。
【0076】
ホッパ42に供給された物品の個数が目標個数を超えるときには、上記制御部は、ホッパ42及びリジェクト機構43を制御して、そのホッパ42の物品を、通常の排出経路から排除する。このリジェクト機構43は、図1に示すように、可動リジェクトシュート50、固定リジェクトシュート51、回収容器52、等が備えられている。
【0077】
可動リジェクトシュート50は、図15及び図16に示すように、エアシリンダ53によって前後にスライド移動可能に支持されている。この可動リジェクトシュート50は、通常時は、図15に示すように、集合シュート48から後方に外れた退避位置にある。また、ホッパ42に目標個数を超える物品が供給されたときには、可動リジェクトシュート50は、図16に示すように、前方の集合シュート48へ入り込む排出位置にまで進出する。
【0078】
ここで、後側の集合シュート48は、平面形状が後向きに開放されたコの字形に形成されている。可動リジェクトシュート50には、後側の集合シュート48のコの字形の開口を埋める側壁部材54が取り付けられている。図15に示す通常時には、退避位置にある可動リジェクトシュート50の側壁部材54によって、後側の集合シュート48に平面形状が矩形の物品案内経路が形成されるようになっている。
【0079】
上記のように、ホッパ42に目標個数を越える個数の物品が供給されると、可動リジェクトシュート50が進出移動して後側の集合シュート48に入り込み、ホッパ42の後ゲート42bが開放されることで、過剰な物品が排出されて回収容器52に流下排出される。回収容器52は適時搬出され、回収した物品は貯留ホッパ2に戻される。
【0080】
上記のように本実施形態によれば、下段直進フィーダ6のトラフ6aからホッパ42に落下供給される物品を、光センサによって検知して計数するので、ホッパに供給された物品の重量を計測して、単重値で除算して個数を算出する必要がない。
【0081】
したがって、ホッパに落下供給される物品の重量が安定するまで待つ必要がなく、ホッパ42に供給される物品の個数を高速で計数することができる。これによって、組合せ秤による処理能力、すなわち、組合せ秤の生産能力を高めることができる。
【0082】
更に、上記のように、物品が積み重なってトラフ6aの傾斜段部dに至ると、上層の物品は、均し部材27によって搬送方向の上手側の上方に向けてすくい上げられるのに対して、下層の物品は、傾斜段部dに沿って下手側へ流下前進するので、上下に重なった物品を効果的に引き離してホッパ42に供給することができる。これによって、ホッパ42に物品が過剰に供給されるのを抑制し、処理能力が低下したり、歩留まりが低下するのを防止することができる。
【0083】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0084】
(1)上記実施形態の組合せ秤は、物品の個数を計数する計数組合せ秤であったが、本発明の他の実施形態として、ホッパ42をロードセル等の重量センサに連結支持し、ホッパ42に投入される物品の重量を計量し、組合せ演算によって、所定重量範囲となるホッパ42の組合せを選択して物品を排出する計量組合せ秤としてもよい。
【0085】
また、計数組合せ秤では、ホッパで計量した物品の重量値を、物品1個当たりの重量である単重値で除算することによって、ホッパに供給された物品の個数を計数するようにしてもよい。
【0086】
更に、上記実施形態の組合せ秤のように、重量による管理が不要であって、個数管理のみを行う機能をオプション機能として選択できるようにしてもよい。
【0087】
すなわち、通常は、複数のホッパ42によって供給される物品の重量を計量し、その重量値に基づいて組合せ演算を行って所定重量範囲となるホッパを選択して排出する計量組合せ秤として稼働させる。個数管理のみを行うときには、上記実施形態の機能をオプション機能として選択し、計数組合せ秤として稼働させるようにしてもよい。
【0088】
また、物品の個数と重量値とを組合せて、例えば、目標個数以上であって、所定重量範囲となるホッパの組合せを選択して物品を排出するようにしてもよい。
【0089】
(2)均し部材20、27の材質としては、金属板、樹脂板、等を物品の性状や大きさに合わせて任意に選択することができる。
【0090】
(3)上記実施形態では、下段の均し機構12には、均しアーム25の前面及び後面にそれぞれ均し部材27を取り付けたが、他の実施形態として、均しアーム25の前面あるいは後面のいずれか一方に、1枚の均し部材27を取付けると共に、この均し部材27に、前後および左右に位置ずれした2つの均し作用部27a、27bを形成してもよい。
【0091】
(4)物品の種類によっては、均し機構12における均し作用部27a、27bを、2分された直進搬送通路に対して前後位置ずれの無い状態で配備してもよい。この場合、幅広い1枚の均し部材27の下端辺に、仕切り壁6cを避ける切欠きを形成して、2分された直進搬送通路に作用する2つの均し作用部27a、27bを切欠きの左右に備えたものにすることもできる。
【0092】
(5)均しアーム18、25を循環作動させる駆動手段としては、上記実施例のようにクランク構造を利用する手段の他に、カム機構を利用することも可能である。
【0093】
簡易には、トラフ上方に、水平支点を中心にして回動駆動される均しアームを配備し、この均しアームに取付けた均し部材の均し作用部を、前記水平支点を中心とする円形の軌跡で回動させ、その円形軌跡の下半部ですくい上げ均し作動させることで、上記と同様な機能を発揮させることも可能である。
【0094】
(6)上段側の均し機構11の駆動クランクアーム15と、下段側の均し機構12の駆動クランクアーム22は、それぞれ個別にモータ駆動してもよいが、一方をモータ駆動し、他方をチェーンあるいは歯付きタイミングベルトを介して一方に連動駆動することもできる。
【0095】
(7)本発明は、複数台の直進フィーダ3を横方向に直列配備した横配列型の組合せ秤に好適であるが、円錐状の分散フィーダを中心に、その周囲に多数の直進フィーダを放射状に配備した円形配列型の組合せ秤に適用することもできる。
【符号の説明】
【0096】
3 直進フィーダ
4 計数排出部
5 上段直進フィーダ
6 下段直進フィーダ
11 均し機構
12 均し機構
15 駆動クランクアーム
17 作動軸
18 均しアーム
19 支点軸
20 均し部材
22 駆動クランクアーム
24 作動軸
25 均しアーム
26 支点軸
27 均し部材
27a 均し作用部
27b 均し作用部
d 傾斜段部
sa 循環軌跡
sb 循環軌跡
w 物品
図1
図2
図3
図4
図5
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