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特開2024-92293ナレッジグラフ管理装置及びナレッジグラフ管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092293
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ナレッジグラフ管理装置及びナレッジグラフ管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240701BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208125
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】折井 靖光
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 修一
(72)【発明者】
【氏名】森下 夏希
(72)【発明者】
【氏名】金田 北洋
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】真正なナレッジグラフを管理するためのナレッジグラフ管理装置及びナレッジグラフ管理方法を提供する。
【解決手段】グラフ管理サーバ1は、知識間のつながりをグラフの構造で表現するナレッジグラフを、ナレッジグラフを識別するグラフID及びナレッジグラフの作成者を識別する作成者のユーザIDに対応付けて記憶するデータ記憶装置4のグラフ記憶部を備え、グラフ記憶部に記憶されたナレッジグラフに対する証明情報を付与し、証明情報が付与されたナレッジグラフを、利用者が用いるユーザ端末5dに提供し、提供されたナレッジグラフの証明情報と、利用者のユーザIDとを含む、ナレッジグラフの提供に関する履歴を、データ記憶装置4の履歴記憶部に記憶する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
知識間のつながりをグラフの構造で表現するナレッジグラフを、前記ナレッジグラフを識別するグラフ識別情報及び前記ナレッジグラフの作成者を識別する作成者識別情報に対応付けて記憶するグラフ記憶装置と、
前記グラフ記憶装置に記憶された前記ナレッジグラフに対する証明情報を付与する証明付与手段と、
前記証明付与手段により前記証明情報が付与された前記ナレッジグラフを、利用者が用いる利用者端末に提供するグラフ提供手段と、
前記グラフ提供手段により提供された前記ナレッジグラフの前記証明情報と、前記利用者を識別する利用者識別情報とを含む、前記ナレッジグラフの提供に関する履歴を、履歴記憶装置に記憶する履歴登録手段と、
を備え、
前記履歴記憶装置は、分散型取引台帳により構成される、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記利用者端末から前記ナレッジグラフの利用に係る価値情報を受信する価値受信手段と、
前記価値受信手段が受信した前記価値情報のうち少なくとも一部を、前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフに係る権利者に対して分配する価値分配手段と、
を備える、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフの所在を含む、前記ナレッジグラフの状態を監視するグラフ管理手段を備える、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記履歴登録手段は、前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフが他の利用者に移転したことを前記グラフ管理手段が検知した場合に、前記ナレッジグラフの移転に係る履歴を前記履歴記憶装置に記憶し、
前記価値受信手段は、前記他の利用者の前記利用者端末から前記ナレッジグラフの利用に係る前記価値情報を受信し、
前記価値分配手段は、前記価値受信手段が受信した前記価値情報の少なくとも一部を、前記ナレッジグラフの移転前の前記権利者に対して分配する、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項5】
請求項3に記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記証明付与手段は、前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフを用いて作成した新たなナレッジグラフを前記グラフ管理手段が検知した場合に、前記新たなナレッジグラフに対する前記証明情報を新たに付与し、
前記新たなナレッジグラフを、前記グラフ識別情報及び前記作成者識別情報に対応付けて前記グラフ記憶装置に登録する更新グラフ登録手段を備え、
前記履歴登録手段は、前記証明付与手段が付与した前記新たなナレッジグラフに対する前記証明情報と、前記ナレッジグラフの所有者を識別する所有者識別情報とを含む、前記新たなナレッジグラフの登録に係る履歴を、前記履歴記憶装置に記憶する、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項6】
請求項3に記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記グラフ記憶装置は、前記ナレッジグラフに対して前記作成者による複製可否情報をさらに対応付けて記憶し、
前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフの複製を前記グラフ管理手段が検知した場合に、複製が許可されるものであるか否かを確認する複製確認手段を備え、
前記証明付与手段は、前記複製確認手段が許可されるものであると確認できた場合にのみ、複製された前記ナレッジグラフに対する前記証明情報を新たに付与し、
前記履歴登録手段は、前記証明付与手段が新たに付与した前記証明情報を含む、前記ナレッジグラフの複製に係る履歴を、前記履歴記憶装置に記憶する、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記履歴記憶装置に記憶された前記履歴を、前記作成者及び前記利用者を含むユーザのユーザ端末に出力する履歴出力手段を備える、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記ユーザのユーザ情報を、前記ユーザ情報についての開示の可否を含めて記憶するユーザ情報記憶部を備え、
前記履歴出力手段は、前記ユーザ情報記憶部に基づいて開示可能な前記履歴を、前記ユーザ端末に出力する、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記作成者が作成した前記ナレッジグラフを、前記作成者識別情報と共に作成者端末から受信するグラフ受信手段と、
前記グラフ受信手段が受信した前記ナレッジグラフを、前記グラフ識別情報及び前記作成者識別情報に対応付けて前記グラフ記憶装置に登録する新規グラフ登録手段と、
を備え、
前記履歴登録手段は、前記作成者識別情報を含む前記ナレッジグラフの登録に係る履歴を、前記履歴記憶装置に記憶する、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項10】
請求項9に記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記グラフ受信手段は、前記ナレッジグラフの提供態様をさらに含む前記ナレッジグラフを受信し、
前記提供態様を判別可能な状態で、前記ナレッジグラフに係る情報を前記利用者端末に出力する提供画面出力手段を備える、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載のナレッジグラフ管理装置において、
前記グラフ記憶装置に記憶された前記ナレッジグラフの評価情報を取得する評価取得手段と、
前記評価取得手段が取得した前記評価情報と、前記ナレッジグラフとを、前記利用者端末から閲覧可能に出力する情報閲覧手段と、
を備える、ナレッジグラフ管理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行するナレッジグラフ管理方法であって、
知識間のつながりをグラフの構造で表現するナレッジグラフを、前記ナレッジグラフを識別するグラフ識別情報及び前記ナレッジグラフの作成者を識別する作成者識別情報に対応付けて記憶するグラフ記憶装置に記憶された前記ナレッジグラフに対する証明情報を付与する証明付与ステップと、
前記証明付与ステップにより前記証明情報が付与された前記ナレッジグラフを、利用者が用いる利用者端末に提供するグラフ提供ステップと、
前記グラフ提供ステップにより提供された前記ナレッジグラフの前記証明情報と、前記利用者を識別する利用者識別情報とを含む、前記ナレッジグラフの提供に関する履歴を、分散型取引台帳により構成される履歴記憶装置に記憶する履歴登録ステップと、
を含む、ナレッジグラフ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナレッジグラフ管理装置及びナレッジグラフ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを使用した電子商取引が、様々な分野で行われている。電子商取引では、買い手が必要とするものを売る(提供する)場が必要になる。また、売り手にとっても、売るための場があると便利である。
化合物、医薬、バイオといった化学系の分野は、その種類が多種にわたり、また、構造的に類似した類似化合物等が多く存在する。そのため、買い手が必要とするものが提供する場にあるとは限らない。
そこで、顧客からの化合物の問合せに関して有用な情報を複数の売り手先に提示し、顧客と売り手先との間の商取引を仲介するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-163553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在では、MI(マテリアルズインフォマティクス)という新たな試みがなされている。MIとは、最先端のデータ処理技術と材料科学を融合した材料開発技術であり、特に、材料や化学の分野において、膨大な実験データや論文等のデータを、コンピュータを用いて分析することをいう。
そして、分析結果から作成されるナレッジグラフは、例えば、革新的な新材料の発見等、未知の材料や用途を教示してくれるものである。作成したナレッジグラフは、使用方法によっては、さらに新たな発見等をすることができるものであり、広く一般に使用されることが望まれる。他方、不正な行為によって作成されたナレッジグラフは、排除しなければならない。そのため、真正なナレッジグラフの管理が大事になってくる。
【0005】
本発明は、真正なナレッジグラフを管理するためのナレッジグラフ管理装置及びナレッジグラフ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、知識間のつながりをグラフの構造で表現するナレッジグラフを、前記ナレッジグラフを識別するグラフ識別情報及び前記ナレッジグラフの作成者を識別する作成者識別情報に対応付けて記憶するグラフ記憶装置と、前記グラフ記憶装置に記憶された前記ナレッジグラフに対する証明情報を付与する証明付与手段と、前記証明付与手段により前記証明情報が付与された前記ナレッジグラフを、利用者が用いる利用者端末に提供するグラフ提供手段と、前記グラフ提供手段により提供された前記ナレッジグラフの前記証明情報と、前記利用者を識別する利用者識別情報とを含む、前記ナレッジグラフの提供に関する履歴を、履歴記憶装置に記憶する履歴登録手段と、を備え、前記履歴記憶装置は、分散型取引台帳により構成される、ナレッジグラフ管理装置に関する。
【0007】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記利用者端末から前記ナレッジグラフの利用に係る価値情報を受信する価値受信手段と、前記価値受信手段が受信した前記価値情報のうち少なくとも一部を、前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフに係る権利者に対して分配する価値分配手段と、を備えてもよい。
【0008】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフの所在を含む、前記ナレッジグラフの状態を監視するグラフ管理手段を備えてもよい。
【0009】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記履歴登録手段は、前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフが他の利用者に移転したことを前記グラフ管理手段が検知した場合に、前記ナレッジグラフの移転に係る履歴を前記履歴記憶装置に記憶し、前記価値受信手段は、前記他の利用者の前記利用者端末から前記ナレッジグラフの利用に係る前記価値情報を受信し、前記価値分配手段は、前記価値受信手段が受信した前記価値情報の少なくとも一部を、前記ナレッジグラフの移転前の前記権利者に対して分配してもよい。
【0010】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記証明付与手段は、前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフを用いて作成した新たなナレッジグラフを前記グラフ管理手段が検知した場合に、前記新たなナレッジグラフに対する前記証明情報を新たに付与し、前記新たなナレッジグラフを、前記グラフ識別情報及び前記作成者識別情報に対応付けて前記グラフ記憶装置に登録する更新グラフ登録手段を備え、前記履歴登録手段は、前記証明付与手段が付与した前記新たなナレッジグラフに対する前記証明情報と、前記ナレッジグラフの所有者を識別する所有者識別情報とを含む、前記新たなナレッジグラフの登録に係る履歴を、前記履歴記憶装置に記憶してもよい。
【0011】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記グラフ記憶装置は、前記ナレッジグラフに対して前記作成者による複製可否情報をさらに対応付けて記憶し、前記グラフ提供手段が提供した前記ナレッジグラフの複製を前記グラフ管理手段が検知した場合に、複製が許可されるものであるか否かを確認する複製確認手段を備え、前記証明付与手段は、前記複製確認手段が許可されるものであると確認できた場合にのみ、複製された前記ナレッジグラフに対する前記証明情報を新たに付与し、前記履歴登録手段は、前記証明付与手段が新たに付与した前記証明情報を含む、前記ナレッジグラフの複製に係る履歴を、前記履歴記憶装置に記憶してもよい。
【0012】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記履歴記憶装置に記憶された前記履歴を、前記作成者及び前記利用者を含むユーザのユーザ端末に出力する履歴出力手段を備えてもよい。
【0013】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記ユーザのユーザ情報を、前記ユーザ情報についての開示の可否を含めて記憶するユーザ情報記憶部を備え、前記履歴出力手段は、前記ユーザ情報記憶部に基づいて開示可能な前記履歴を、前記ユーザ端末に出力してもよい。
【0014】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記作成者が作成した前記ナレッジグラフを、前記作成者識別情報と共に作成者端末から受信するグラフ受信手段と、前記グラフ受信手段が受信した前記ナレッジグラフを、前記グラフ識別情報及び前記作成者識別情報に対応付けて前記グラフ記憶装置に登録する新規グラフ登録手段と、を備え、前記履歴登録手段は、前記作成者識別情報を含む前記ナレッジグラフの登録に係る履歴を、前記履歴記憶装置に記憶してもよい。
【0015】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記グラフ受信手段は、前記ナレッジグラフの提供態様をさらに含む前記ナレッジグラフを受信し、前記提供態様を判別可能な状態で、前記ナレッジグラフに係る情報を前記利用者端末に出力する提供画面出力手段を備えてもよい。
【0016】
また、ナレッジグラフ管理装置において、前記グラフ記憶装置に記憶された前記ナレッジグラフの評価情報を取得する評価取得手段と、前記評価取得手段が取得した前記評価情報と、前記ナレッジグラフとを、前記利用者端末から閲覧可能に出力する情報閲覧手段と、を備えてもよい。
【0017】
また、本発明は、コンピュータが実行するナレッジグラフ管理方法であって、知識間のつながりをグラフの構造で表現するナレッジグラフを、前記ナレッジグラフを識別するグラフ識別情報及び前記ナレッジグラフの作成者を識別する作成者識別情報に対応付けて記憶するグラフ記憶装置に記憶された前記ナレッジグラフに対する証明情報を付与する証明付与ステップと、前記証明付与ステップにより前記証明情報が付与された前記ナレッジグラフを、利用者が用いる利用者端末に提供するグラフ提供ステップと、前記グラフ提供ステップにより提供された前記ナレッジグラフの前記証明情報と、前記利用者を識別する利用者識別情報とを含む、前記ナレッジグラフの提供に関する履歴を、分散型取引台帳により構成される履歴記憶装置に記憶する履歴登録ステップと、を含む、ナレッジグラフ管理方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、真正なナレッジグラフを管理するためのナレッジグラフ管理装置及びナレッジグラフ管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るグラフ管理システムの全体構成を示す図である。
図2】本実施形態に係るグラフ管理サーバ及びデータ記憶装置の機能ブロックを示す図である。
図3】本実施形態に係るグラフ管理サーバの各記憶部の項目例を示す図である。
図4】本実施形態に係るデータ記憶装置の各記憶部の項目例を示す図である。
図5】本実施形態に係るグラフ管理サーバにおけるグラフ登録処理を示すフローチャートである。
図6】本実施形態に係るグラフ管理サーバにおけるグラフ利用処理を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係るグラフ管理サーバにおけるグラフ監視処理を示すフローチャートである。
図8図7の続きである。
図9】本実施形態に係るグラフ管理サーバにおけるグラフ照会処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(実施形態)
〔グラフ管理システム100の全体構成〕
図1は、本実施形態に係るグラフ管理システム100の全体構成を示す図である。
図2は、本実施形態に係るグラフ管理サーバ1及びデータ記憶装置4の機能ブロックを示す図である。
図3は、本実施形態に係るグラフ管理サーバ1の各記憶部の項目例を示す図である。
図4は、本実施形態に係るデータ記憶装置4の各記憶部の項目例を示す図である。
【0021】
図1に示すグラフ管理システム100は、会員登録をしたユーザ(者)が作成し、登録したナレッジグラフをグラフ管理サーバ1が管理し、他のユーザに提供されたナレッジグラフの使用状況を監視するシステムである。
ナレッジグラフは、対象とするデータに係る知識とその関連性を体系化することで、新たな知見を得ることができる、事実相関を表現したグラフである。ナレッジグラフは、技術文書データと、知識辞書とを用いて作成することができる。
技術文書データとは、技術論文や技術資料、公共データベースのデータ等をいい、技術資料には、例えば、特許文献、百科事典、実験データ、SDS(Safety Data Sheet)、商品カタログ、COA(Certificate of Analysis)等を含む。
【0022】
また、知識辞書とは、専門用語辞書と、カテゴリ及びその関連性を示すモデルとにより生成され、専門用語をカテゴリによりまとめたものであり、各カテゴリに対する関連付けをも含む。知識辞書は、1以上の技術分野に係る技術文書データを解析し、解析結果に基づく技術文書データへのタグ付けに用いられる。
そして、ナレッジグラフは、知識辞書を用いて付与された技術文書データのタグ及び関連性情報をノード及びエッジによって示すことで、データ間の関係性を視覚的に表したものである。
以降の説明において、ナレッジグラフを、単にグラフという。
【0023】
グラフ管理システム100は、グラフ管理サーバ1(ナレッジグラフ管理装置)と、データ記憶装置4(グラフ記憶装置、履歴記憶装置)と、ユーザ端末5aから5eまで(作成者端末、利用者端末)とを備える。なお、以下において、ユーザ端末5aから5eまでを特定しない場合には、単に、「ユーザ端末5」として説明する。
グラフ管理サーバ1とデータ記憶装置4とは、例えば、通信ネットワーク(図示せず)を介して接続されていてもよい。
また、グラフ管理サーバ1とユーザ端末5とは、各々通信ネットワークを介して通信可能になっている。通信ネットワークは、例えば、インターネット等の通信回線網等である。通信ネットワークは、構内通信網(LAN)や、仮想プライベートネットワーク(VPN)や、広域通信網(WAN)等を含むものであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0024】
ここで、図1を用いて、グラフ管理システム100におけるグラフ管理についての概要を説明する。
図1は、グラフ管理の一例である。
グラフの作成者であるユーザは、グラフ管理サーバ1に対して作成したグラフの登録を依頼し、グラフ管理サーバ1は、データ記憶装置4にグラフを登録する。この例では、ユーザ端末5aのユーザが依頼したグラフKG01を登録し、ユーザ端末5bのユーザが依頼したグラフKG02を登録し、ユーザ端末5cのユーザが依頼したグラフKG03を登録している。
【0025】
他のユーザである第1ユーザからの購入依頼があった場合に、グラフ管理サーバ1は、作成者から得たグラフを、(2)料金(価値情報)の支払(受信)を条件として、(1)第1ユーザに販売する。図1の例では、グラフ管理サーバ1は、3つのグラフを第1ユーザに販売したものである。
グラフを購入した第1ユーザは、購入したグラフをユーザ端末5dから利用でき、例えば、(3)複数のグラフを結合させる等の更新を行って、新たなグラフを作成することもできる。図1の例では、第1ユーザは、購入した3つのグラフを結合させ、さらにノード及びエッジを追加した新たなグラフを作成し、登録している。
【0026】
第1ユーザは、作成した新たなグラフを、さらに他のユーザである第2ユーザに対して売却することで、グラフ管理サーバ1は、(5)料金の支払を条件として、(4)新たなグラフを第1ユーザから第2ユーザに移転する。
第1ユーザからグラフを購入した第2ユーザは、購入したグラフをユーザ端末5eから利用でき、購入したグラフを用いてさらに新たなグラフを作成することもできる。また、第2ユーザは、更なる他のユーザに対してグラフを売却等することも可能である。
【0027】
(6)グラフ管理サーバ1は、料金の少なくとも一部を報酬額として、グラフに係る権利者に還元する。報酬額の還元先は、販売や移転したグラフに含まれる各グラフの作成者等である。つまり、この例の場合、最初のグラフの作成者には、グラフが移転される度に報酬額が還元される。また、(5)の支払によっては、最初のグラフを用いて新たなグラフを作成した第1ユーザを、報酬額の還元対象に含んでもよい。
【0028】
上記で説明した処理をするにあたって、グラフの作成者であるユーザは、グラフ管理サーバ1に対して作成したグラフの登録を依頼する際に、グラフの提供態様として、販売又は移転を指定する。ここで、本明細書において、販売とは、グラフの提供を複数のユーザに対して可能とするものをいう。販売によりグラフの提供を受けたユーザは、グラフを利用する権利を有する。また、移転とは、グラフの提供を1ユーザにのみ行うものをいう。移転によりグラフの提供を受けたユーザには、当該グラフの移転前ユーザが有する権利が移転される。
【0029】
次に、グラフ管理システム100を構成する各装置について説明する。
〔グラフ管理サーバ1〕
グラフ管理サーバ1は、ユーザ(作成者)が作成したグラフが登録されると、当該グラフを管理対象とし、ユーザ(利用者)によるグラフに対する利用を管理する。また、グラフ管理サーバ1は、ユーザによるグラフの利用に際して、グラフの購入に係る費用の少なくとも一部を、当該グラフを作成したユーザ等に還元する。
グラフ管理サーバ1は、例えば、ウェブサーバにより構成される。グラフ管理サーバ1は、1台のコンピュータで構成されていてもよいし、複数台のコンピュータで構成されていてもよい。複数台のコンピュータを用いる場合には、これらのコンピュータは、例えば、通信ネットワークを介して接続される。また、グラフ管理サーバ1は、例えば、クラウド上に設けられる仮想サーバ(仮想マシン)として構成してもよい。
【0030】
図2に示すように、グラフ管理サーバ1は、制御部10と、記憶部30と、通信IF(インタフェース)部39とを備える。
制御部10は、グラフ管理サーバ1の全体を制御する中央処理装置(CPU)である。制御部10は、記憶部30に記憶されているオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0031】
具体的には、本実施形態では、プログラムをコンピュータに実行させることによって、グラフ管理サーバ1を実現する態様を例にあげて説明する。プログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、ROM(Read Only Memory)、EEOPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的(non-transitory)情報記録媒体に記録することができる。この情報記録媒体は、コンピュータとは独立して配布及び販売することができる。
【0032】
一般には、コンピュータは、非一時的情報記録媒体に記録されたプログラムを、記憶部30に含まれる一時的(temporary)記憶装置であるRAM(Random Access Memory)に読み出してから、制御部10としてのCPUが読み出されたプログラムに含まれる指令を実行する。
なお、プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、通信ネットワーク等の一時的伝送媒体を介して、プログラム配布サーバ等(図示せず)からコンピュータ等へ配布及び販売することができる。
【0033】
また、プログラムを、電子回路の動作レベル記述用のプログラミング言語によって記述することも可能である。この場合には、電子回路の動作レベル記述用のプログラミング言語によって記述されるプログラムから、電子回路の配線図やタイミングチャート等、各種の設計図が生成され、当該設計図に基づいて、上記のグラフ管理サーバ1を構成する電子回路を作成することができる。例えば、電子回路の動作レベル記述用のプログラミング言語によって記述されるプログラムから、FPGA(Field Programmable Gate Array)技術によって再プログラム可能なハードウェア上に、上記グラフ管理サーバ1を、構成することができるほか、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)技術によって、特定用途専用の電子回路を構成することも可能である。
【0034】
グラフ管理サーバ1は、制御部10が以下に示す各構成部を制御することにより、本実施形態に説明する各処理を実行するように構成される。
制御部10は、グラフ受付部11(グラフ受信手段)と、グラフ登録部12(新規グラフ登録手段、更新グラフ登録手段)と、証明付与部13(証明付与手段)と、グラフ提供部14(グラフ提供手段)と、グラフ管理部15(グラフ管理手段)と、複製確認部16(複製確認手段)と、履歴登録部17(履歴登録手段)と、報酬処理部18(価値受信手段、価値分配手段)と、履歴出力部19(履歴出力手段)と、提供画面出力部20(提供画面出力手段)とを備える。
【0035】
グラフ受付部11は、作成者が作成したグラフを、作成者のユーザID(IDentification)(作成者識別情報)と共にユーザ端末5から受信する。また、グラフ受付部11は、販売又は移転に関する提供態様に係る提供態様情報と、グラフの複製を許可するか否かの複製情報(複製可否情報)についても、ユーザ端末5から受信する。
グラフ登録部12は、グラフ受付部11が受信したグラフを、グラフID(グラフ識別情報)及び作成者のユーザIDに対応付けて、グラフ記憶部41に登録する。また、グラフ登録部12は、グラフ提供部14が提供したグラフを用いて作成した新たなグラフを、グラフID及び作成者のユーザIDに対応付けて、グラフ記憶部41に登録する。
さらに、グラフ登録部12は、グラフ提供部14によりグラフが作成者から他のユーザに移転がされた場合に、作成者のユーザIDを、移転先のユーザIDに更新する。
【0036】
証明付与部13は、グラフ記憶部41に記憶されたグラフに対する証明情報を付与する。具体的には、証明付与部13は、グラフ提供部14が提供するグラフに対して証明情報を付与する。また、証明付与部13は、次に説明するグラフ提供部14が提供したグラフを用いて作成した新たなグラフに対する証明情報を新たに付与する。さらに、証明付与部13は、後述する複製確認部16により確認された、複製されたグラフに対する証明情報を新たに付与する。
ここで、証明情報は、当該証明情報が付与されたグラフが真正なものであることを示すものであり、例えば、デジタル署名が該当する。証明情報は、その他、作成者により指定がされた複製可否に関する情報を含んでもよい。
【0037】
グラフ提供部14は、例えば、利用者のユーザ端末5からグラフの利用に係る操作を受け付けることで、証明付与部13により証明情報が付与されたグラフを、利用者が用いるユーザ端末5に提供する。ここで、グラフ提供部14は、例えば、グラフに係るデータをユーザ端末5にダウンロードさせてもよい。また、グラフ提供部14は、例えば、クラウド上でグラフに係るデータを扱えるようにしてもよい。その際、グラフ提供部14は、例えば、報酬処理部18がグラフの利用に係る料金(価値情報)の支払を、利用者が用いるユーザ端末5から受け付けることで、利用者による操作に対応したグラフを利用可能に、利用者のユーザ端末5に提供する。
【0038】
グラフ管理部15は、グラフ提供部14が提供したグラフの所在を含む、当該グラフの状態を監視する。
複製確認部16は、グラフ提供部14が提供したグラフの複製可否を、例えば、グラフの証明情報に基づいて確認する。
【0039】
履歴登録部17は、作成者のユーザIDを含むグラフの登録に係る履歴を、履歴記憶部42に記憶する。また、履歴登録部17は、グラフ提供部14が提供したグラフの証明情報と、利用者のユーザIDとを含むグラフの提供に関する履歴を、履歴記憶部42に記憶する。さらに、履歴登録部17は、グラフが他の利用者に移転した場合に、グラフの移転に係る履歴を履歴記憶部42に記憶する。また、履歴登録部17は、証明付与部13が付与した新たなグラフに対する証明情報と、グラフの所有者のユーザIDとを含む、新たなグラフの登録に係る履歴を、履歴記憶部42に記憶する。さらにまた、履歴登録部17は、証明付与部13が新たに付与した証明情報を含む、グラフの複製に係る履歴を、履歴記憶部42に記憶する。
【0040】
ここで、新たなグラフに対する証明情報は、例えば、アグリゲート署名の方式を用いるとよい。アグリゲート署名とは、異なるグラフに対する証明情報を1つにまとめることができ、検証時には、まとめた署名である新たなグラフに対する証明情報に対して1回検証をするだけで、まとめる前のグラフの検証情報の検証が可能な方式である。
【0041】
報酬処理部18は、利用者のユーザ端末5からグラフの購入に係る料金の支払情報(支払額)を受信する。そして、報酬処理部18は、受信した支払情報に含まれる料金のうち少なくとも一部を報酬額として、グラフの作成者等であるグラフに係る権利者に対して分配するため、報酬額記憶部33にレコードを追加する。報酬処理部18は、グラフIDに基づいてグラフ記憶部41を参照することで、権利者を特定できる。報酬処理部18は、報酬額を一律の金額を設定してもよいし、又は、料金に対する一定の割合として決めてもよい。
履歴出力部19は、履歴記憶部42に記憶された履歴を、作成者及び利用者を含む各ユーザのユーザ端末5に出力する。その際、履歴出力部19は、後述するユーザ情報記憶部32に基づいて、開示可能な情報を含む履歴をユーザ端末5に出力する。
提供画面出力部20は、グラフ記憶部41に登録され、提供可能なグラフに係る情報を、提供態様を判別可能な状態で、ユーザ端末5に出力する。ここで、提供態様を判別可能な状態とは、販売又は移転の別が表示された状態をいう。また、提供可能なグラフとは、販売及び移転が可能なグラフをいう、グラフの作成者が提供態様を移転として登録し、他のユーザに移転がされたグラフを除かれる。
【0042】
記憶部30は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部30は、プログラム記憶部31と、ユーザ情報記憶部32と、報酬額記憶部33とを備える。
プログラム記憶部31は、各種のプログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部31は、グラフ管理プログラム31aを記憶している。グラフ管理プログラム31aは、上述した制御部10の各機能を実行するためのプログラムである。なお、上記の各プログラムは、一例である。したがって、グラフ管理プログラム31aは、上述した制御部10の各機能を複数のプログラムによって実行してもよい。
【0043】
ユーザ情報記憶部32は、グラフ管理サーバ1が提供するサービスを利用する、例えば、会員登録がされたユーザに関する情報を記憶する記憶領域である。
図3(A)に、ユーザ情報記憶部32の項目例を示す。ユーザ情報記憶部32は、例えば、ユーザIDをキーとして、ユーザ名、属性情報、情報開示可否等を記憶している。
属性情報とは、例えば、企業名や大学名、研究機関名等の所属をいう。
情報開示可否は、ユーザに係る情報の他のユーザへの開示可否である。ユーザに係る情報とは、例えば、ユーザ名や属性情報をいう。
【0044】
報酬額記憶部33は、グラフの権利者に支払う報酬額に関する情報を記憶する記憶領域である。
図3(B)に、報酬額記憶部33の項目例を示す。報酬額記憶部33は、例えば、ユーザIDと、分配処理日と、報酬額と、グラフIDとを対応付けて記憶している。
ユーザIDは、グラフの作成者等の権利者を識別する識別情報である。
分配処理日は、付与する報酬額を算出した日付である。
報酬額は、支払額の一部として算出される額である。
グラフIDは、報酬額に対応するグラフを識別する識別情報である。
図2の通信IF部39は、データ記憶装置4及びユーザ端末5との間での通信を行うためのインタフェースである。
【0045】
〔データ記憶装置4〕
図2に示すデータ記憶装置4は、グラフや利用履歴等を記憶する。
データ記憶装置4は、グラフ記憶部41と、履歴記憶部42とを記憶している。
グラフ記憶部41は、グラフに関する情報を記憶する記憶領域である。
図4(A)に、グラフ記憶部41の項目例を示す。
グラフ記憶部41は、グラフIDと、グラフデータと、各種情報と、作成者又は権利者のユーザIDと、提供態様情報と、複製情報との各項目を有する。
【0046】
グラフIDは、グラフを識別する識別情報である。グラフIDは、例えば、作成者によるグラフが投稿された場合に、グラフ管理サーバ1の制御部10が付与した一意の識別情報であってもよい。
グラフデータは、グラフのデータそのものである。
各種情報は、グラフに関する様々な情報であり、例えば、アイコンやタグ情報を含む。アイコンは、例えば、グラフの形状を簡略化して模式的に表したものであってもよい。例えば、グラフにノードが10個ある場合に、アイコンでは、ノードが3個程度に簡略化されたものであってもよい。タグ情報は、グラフを分析して得た情報や、ユーザ端末5から受け付けたグラフに関連する情報である。
【0047】
作成者又は権利者のユーザIDは、グラフの登録時にユーザ端末5から受信したユーザIDである。また、作成者又は権利者のユーザIDは、グラフの移転がされた場合には、グラフの提供先のユーザのユーザIDである。
提供態様情報は、グラフの提供態様に係る情報であり、作成者が指定し、制御部10により更新する。提供態様情報は、「販売」又は「移転」の別を示す。また、提供態様情報は、グラフが移転された際に「移転済」に更新される。
複製情報は、グラフデータの複製の可否に関する情報であり、作成者が指定する。
なお、グラフ記憶部41は、その他として、例えば、ユーザが設定したグラフの利用額等の情報を記憶してもよい。
【0048】
履歴記憶部42は、グラフに関する各種の履歴を記憶する記憶領域である。
図4(B)に、履歴記憶部42の項目例を示す。
履歴記憶部42は、日時と、グラフIDと、証明情報と、ユーザIDと、処理内容と、支払額とを対応付けて記憶する。
日時は、履歴を作成した日付である。
グラフIDは、作成した履歴に対応するグラフのIDである。
証明情報、ユーザID、処理内容及び支払額は、作成した履歴に対応する証明情報、ユーザID、処理内容及び支払額である。
【0049】
履歴の具体例を説明すると、例えば、グラフの登録に係る履歴であれば、ユーザIDには作成者のユーザIDが格納され、処理内容には「新規登録」が格納される。なお、証明情報と支払額との各項目に対応する値はブランクである。
また、例えば、グラフの提供に係る履歴であれば、証明情報には提供時に付与された証明情報が格納され、ユーザIDには利用者のユーザIDが格納され、処理内容には「販売」又は「移転」が格納され、支払額には利用者により支払われる料金が格納される。
また、例えば、グラフの移転に係る履歴であれば、証明情報には移転前の証明情報が格納され、ユーザIDには移転後の所有者のユーザIDが格納され、処理内容には「移転」が格納され、支払額には移転後の所有者により支払われる料金が格納される。
また、例えば、新たなグラフの登録に係る履歴であれば、証明情報には新たに付与された証明情報が格納され、ユーザIDには所有者のユーザIDが格納され、処理内容には「更新登録」が格納されるが、支払額に対応する値はブランクである。
なお、グラフ記憶部41及び履歴記憶部42の各項目は、一例である。
【0050】
データ記憶装置4は、複数の記憶装置(ノードという。)により、例えば、セキュリティや信頼性担保等の観点から改ざん防止機能を備えた台帳管理システム(例えばブロックチェーン)を構成する分散型ネットワークであってもよい。その場合、データ記憶装置4は、「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖のように連結していくことによりデータを保管する。データ記憶装置4は、P2P(Peer to Peer)ネットワークを使用し、各記憶装置が台頭に直接通信を行う。鎖状に保存することによって、ブロック内のデータを一度記憶した場合、該データを遡及的に変更することができないようになっており、改ざん防止と安全性や信頼性が担保できる。複数の記憶装置は、例えば、複数のコンピュータやサーバ等であってよい。
【0051】
〔ユーザ端末5〕
図1に示すユーザ端末5は、各ユーザが使用する端末である。ユーザ端末5は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。ユーザ端末5は、その他、タブレット等の携帯端末であってもよい。
ユーザ端末5は、制御部と、記憶部と、通信IF部と、表示部と、入力部(いずれも図示せず)等とを備える。
【0052】
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、グラフ管理サーバ1及びユーザ端末5は、いずれも制御部、記憶部等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
【0053】
〔処理の説明〕
次に、グラフ管理システム100における処理を説明する。
当該処理の前提として、各ユーザは、グラフ管理システム100を利用するのに際して、図示しない会員登録済であり、ユーザ情報記憶部32には、会員登録済のユーザの情報が登録されている。
【0054】
図5は、本実施形態に係るグラフ管理サーバ1におけるグラフ登録処理を示すフローチャートである。
ユーザ端末5は、グラフ管理サーバ1に対して接続すると、グラフ管理サーバ1が、例えば、図示しないログイン処理を行ってユーザを認証する。そして、認証できた場合に、ユーザ端末5が作成者により作成がされた新規グラフを送信することで、図5のステップS(以下、「ステップS」を単に「S」という。)11において、制御部10(グラフ受付部11)は、新規グラフを受け付ける。また、制御部10は、新規グラフの提供態様に関する情報及び複製可否に関する複製情報もあわせて受信する。
このように、認証がされたユーザから新規グラフを受信するので、新規グラフの真正性を担保できる。また、グラフの提供態様及び複製に関して、作成者の意向を反映することができる。
【0055】
S12において、制御部10(グラフ登録部12)は、一意になるグラフIDを付与し、受け付けた新規グラフをグラフ記憶部41に登録する。その際、制御部10は、グラフのタグ情報を取得して登録してもよい。また、制御部10は、新規グラフのグラフデータに基づいてアイコンを作成して登録してもよい。
グラフのタグ情報を登録することで、利用者が求めるグラフを見つけやすくすることができる。
S13において、制御部10(履歴登録部17)は、グラフの登録に係る履歴を、履歴記憶部42に登録する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
上記のグラフ登録処理によって、グラフが真正なものであることが証明でき、グラフ管理サーバ1の管理対象になる。
【0056】
次に、グラフの利用について説明する。
図6は、本実施形態に係るグラフ管理サーバ1におけるグラフ利用処理を示すフローチャートである。
グラフ管理サーバ1の制御部10は、例えば、ユーザ端末5から提供画面の要求を受信することで、図6のS21において、制御部10(提供画面出力部20)は、グラフ記憶部41を参照し、提供が可能なグラフに係る提供画面をユーザ端末5に出力する。ここで、提供が可能なグラフとは、グラフ記憶部41の提供態様情報が「販売」又は「移転」であるグラフである。提供画面は、例えば、グラフのアイコンが並べられて出力される画面であり、各グラフのアイコンには、タグ情報が表示され、また、「販売」又は「移転」が分かるように提供態様が判別可能になっている。そして、提供画面によって、ユーザは、グラフの購入が可能である。
【0057】
S22において、制御部10は、利用者のユーザ端末5からグラフの購入要求を受け付ける。
S23において、制御部10(証明付与部13)は、グラフ記憶部41に記憶されたグラフの購入要求に対応するグラフに対する証明情報を付与する。
S24において、制御部10(グラフ提供部14)は、例えば、グラフの購入に対する料金が支払われたことを契機として、利用者のユーザ端末5にグラフを提供する。
【0058】
S25において、制御部10は、受け付けた購入要求のグラフが移転対象のものであるか否かを、グラフ記憶部41の提供態様情報を参照して判断する。移転対象である場合(S25:YES)には、制御部10は、処理をS26に移す。他方、移転対象ではない場合(S25:NO)には、制御部10は、処理をS27に移す。
S26において、制御部10(グラフ登録部12)は、グラフ記憶部41を更新する。具体的には、制御部10は、グラフ記憶部41の当該グラフの作成者又は権利者のユーザIDを、利用者のユーザIDに更新する。また、グラフ記憶部41の当該グラフの提供態様情報を、例えば、「移転済」に更新する。
【0059】
S27において、制御部10(履歴登録部17)は、グラフの提供に係る履歴を、履歴記憶部42に登録する。
S28において、制御部10(報酬処理部18)は、支払額の一部を報酬額とし、報酬額記憶部33に情報を登録する。
S29において、制御部10(グラフ管理部15)は、グラフ監視処理を行う。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0060】
次に、グラフ監視処理について説明する。
図7及び図8は、本実施形態に係るグラフ管理サーバ1におけるグラフ監視処理を示すフローチャートである。
グラフ監視処理では、グラフ管理サーバ1が提供したグラフを監視し、グラフの状況に応じた処理を行う。
【0061】
図7のS31において、制御部10(グラフ管理部15)は、グラフの移転を検知したか否かを判断する。グラフの移転とは、グラフ管理サーバ1からグラフを購入したユーザが、購入したグラフを、他のユーザに売却することをいい、他のユーザは、購入に際して料金を支払う。グラフの移転を検知した場合(S31:YES)には、制御部10は、処理をS32に移す。他方、グラフの移転を検知していない場合(S31:NO)には、制御部10は、処理をS34に移す。
S32において、制御部10(履歴登録部17)は、グラフの移転に係る履歴を、履歴記憶部42に登録する。
S33において、制御部10(報酬処理部18)は、支払額の一部を報酬額とし、報酬額記憶部33に情報を登録する。
【0062】
S34において、制御部10(グラフ管理部15)は、グラフを用いた新たなグラフの作成を検知したか否かを判断する。ここで、制御部10がグラフを用いた新たなグラフの作成で検知するものとしては、完成したグラフであって、作成途中のグラフを含まないようにすることが望ましい。グラフを用いた新たなグラフの作成を検知した場合(S34:YES)には、制御部10は、処理をS35に移す。他方、グラフを用いた新たなグラフの作成を検知していない場合(S34:NO)には、制御部10は、処理を図8のS41に移す。
S35において、制御部10(グラフ登録部12)は、新たにグラフIDを付与し、新たなグラフをグラフ記憶部41に登録する。その際、制御部10は、グラフのタグ情報を取得して登録する。また、制御部10は、当該グラフのグラフデータに基づいてアイコンを作成して登録する。
S36において、制御部10(証明付与部13)は、グラフ記憶部41に記憶された新たなグラフに対する証明情報を付与する。
S37において、制御部10(履歴登録部17)は、新たなグラフの登録に係る履歴を、履歴記憶部42に登録する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0063】
図8のS41において、制御部10(グラフ管理部15)は、グラフの複製を検知したか否かを判断する。グラフの複製を検知した場合(S41:YES)には、制御部10は、処理をS42に移す。他方、グラフの複製を検知していない場合(S41:NO)には、制御部10は、処理をS45に移す。
S42において、制御部10(複製確認部16)は、グラフの複製が許可されるものであるか否かを確認する。そして、複製が許可されたものである場合(S42:YES)には、制御部10は、処理をS43に移す。他方、複製が許可されたものではない場合(S42:NO)には、制御部10は、処理をS45に移す。つまり、複製が許可されたものではない場合には、複製自体は可能であるが、複製されたグラフは、真正なものであるという保証がないものになる。
【0064】
S43において、制御部10(証明付与部13)は、複製されたグラフに対する証明情報を付与する。
S44において、制御部10(履歴登録部17)は、グラフの複製に係る履歴を、履歴記憶部42に登録する。
S45において、制御部10は、グラフの監視を終了するか否かを判断する。グラフの監視を終了する場合とは、例えば、グラフの削除が行われた場合をいう。グラフの監視を終了する場合(S45:YES)には、制御部10は、本処理を終了する。他方、グラフの監視を終了しない場合(S45:NO)には、制御部10は、処理を図7のS31に移し、引き続きグラフの監視処理を行う。
【0065】
次に、グラフの照会処理について説明する。
図9は、本実施形態に係るグラフ管理サーバ1におけるグラフ照会処理を示すフローチャートである。
図9に示すグラフ照会処理は、例えば、図示しないメニュー画面を用いてユーザ端末5からグラフの照会要求がされることで処理を開始する。
図9のS51において、制御部10は、グラフの照会要求を受け付ける。グラフの照会要求には、例えば、グラフIDを含む。
【0066】
S52において、制御部10は、履歴記憶部42から要求に対応するグラフの履歴を抽出する。
S53において、制御部10は、履歴に含まれたユーザIDに対応する作成者や所有者のユーザ情報に関する情報開示可否を、ユーザ情報記憶部32を参照して確認する。
S54において、制御部10は、情報開示可否が可である場合に、ユーザに係る情報を、履歴に付加する。
S55において、制御部10(履歴出力部19)は、ユーザに係る情報を付加した付加後の履歴を、要求元のユーザ端末5に出力する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0067】
この処理によって、ユーザは、必要に応じてグラフの提供状況や使用状況を確認できる。その際、ユーザに係る情報が開示されているものであれば、例えば、グラフの履歴には、当該グラフを作成した企業名や、使用した企業名が出力される。そのため、グラフに信頼性が化体されたものになり得る。
【0068】
このように、本実施形態のグラフ管理サーバ1によれば、以下のような効果がある。
(1)作成者が作成したグラフがグラフ記憶部41に登録され、グラフ記憶部41に記憶されたグラフに証明情報を付与し、証明情報が付与されたグラフを利用者のユーザ端末5に提供し、証明情報と利用者のユーザIDとを含む履歴を履歴記憶部42に登録し、履歴記憶部42は、分散型取引台帳により構成されるものである。
よって、グラフに証明情報を付与して利用者に提供するので、グラフが真正なものであることを証明でき、また、分散型管理台帳による履歴の管理によって、改ざん等を防止できる。
【0069】
(2)グラフの利用に係る料金を利用者が支払うことに応じて、グラフを利用者のユーザ端末5に提供する。よって、利用者は、使用料金の支払をすることで、グラフを利用できる。
また、支払額のうちの少なくとも一部をグラフに係る権利者に分配するので、作成者等に報酬額が還元される仕組みを構築できる。
(3)提供したグラフの所在を含む、グラフの状態を監視するので、グラフのトレーサビリティを実現できる。
【0070】
(4)グラフが他の利用者に移転したことを検知した場合に、移転に係る履歴を履歴記憶部42に登録し、売却益の少なくとも一部をグラフの移転前の権利者に分配するので、グラフの移転によっても作成者等の権利者に報酬額が還元される仕組みを構築できる。
(5)グラフを用いて新たなグラフを作成したことを検知した場合に、新たな証明情報を付与し、新たなグラフをグラフ記憶部41に登録し、新たなグラフの登録に係る履歴を履歴記憶部42に登録する。
よって、グラフを用いて新たなグラフを作成することを可能にし、新たな証明情報によって新たなグラフに含まれるグラフを確認できる仕組みを構築できる。また、グラフの結合による新たなグラフの作成を推奨可能な環境を提供できる。
【0071】
(6)グラフの複製を検知した場合に、複製が許可されるものであるか否かを確認し、許可されるものである場合には、新たな証明情報を付与し、複製に係る履歴を履歴記憶部42に登録する。よって、複製が許可されている場合には、複製したグラフについても管理ができる。また、複製が許可されていない場合には、管理対象外として、証明情報が付与されないグラフとなる。
【0072】
(7)グラフに係る履歴を、ユーザ端末5に出力するので、グラフのトレーサビリティをユーザが行うことができる。
また、ユーザ情報についての開示可否情報を記憶しておき、履歴にユーザ情報を含めてユーザ端末5に出力するので、ユーザ情報によっては、グラフには高価値が化体されたものになる。
【0073】
(8)作成者のユーザ端末5からグラフを受信すると、グラフID及び作成者のユーザIDを対応付けてグラフをグラフ記憶部41に登録する。また、グラフの登録に係る履歴を履歴記憶部42に登録する。
よって、作成者から受信したグラフを提供可能にし、グラフの登録を履歴として残すことができる。
【0074】
(9)作成者のユーザ端末5からグラフの提供態様をさらに受信し、提供態様を判別可能な状態で、グラフに係る情報をユーザ端末5に出力する。
よって、作成者によって決めた、自身が作成したグラフの提供態様にしたがってグラフを提供することができる。また、購入する利用者も、グラフの提供態様を見た上で購入することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0076】
(変形形態)
(1)本実施形態では、グラフを購入した利用者が、複数のグラフを組み合わせて新たなグラフを作成したり、グラフを他の利用者に売却したり、複製をしたりすることができる点を説明した。グラフを購入した利用者が売却し、他の利用者が購入したグラフについては、さらに、新たなグラフを作成したり、売却したり、複製したりすることを行ってもよく、循環が続くものであってもよい。例えば、利用者が新たなグラフを作成して売却すると、工夫がされたグラフが移転するといった循環ができるので、グラフ管理サーバ1を用いたグラフ管理システム100の活性化を図ることができる。
【0077】
(2)本実施形態では、作成者が作成したグラフを販売し、購入した利用者が他のユーザに移転するものを例に説明したが、これに限定されない。作成者が作成したグラフを移転することも可能である。また、購入した利用者が新たなグラフを作成してそれを販売することも可能である。
【0078】
(3)本実施形態では、ユーザからの照会によって履歴を出力するものを説明した。その他、グラフ管理サーバ1の制御部(評価取得手段)は、第三者によるグラフ記憶部41に記憶されたグラフの評価情報を取得し、制御部(情報閲覧手段)は、取得した評価情報とグラフとを、利用者のユーザ端末5から閲覧可能に出力するような仕組みを有してもよい。そのようにすれば、利用者がグラフを購入するのに際して、例えば、グラフのタグ情報に加えて、利用者の要求に合うグラフを見つけることができる。
【0079】
(4)本実施形態では、グラフの照会処理において、グラフIDに基づいて履歴を出力するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、グラフIDに基づいて販売数と現在の所有状況とを出力し、現在の所有状況に対応する選択をすることで、選択されたものの履歴を出力するものであってもよい。
【0080】
(5)本実施形態では、グラフ管理サーバ1に接続されたデータ記憶装置4に、各種のデータを記憶するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、グラフ管理サーバの記憶部に、各種のデータを記憶していてもよい。
【0081】
(6)本実施形態では、履歴記憶部42をブロックチェーンで実現し、ブロックチェーンに証明情報を含む履歴情報を記憶させて管理するものを例に説明した。これは、例えば、NFT(Non-Fungible Token)のトークンを使用することで実現可能である。しかし、この方法に限定されるものではない。例えば、証明情報を別領域に保管して紐付ける方法によって実現してもよい。具体的には、履歴記憶部42をサーバ等の記憶部とし、記憶部に証明情報を含む履歴情報を記憶させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 グラフ管理サーバ
4 データ記憶装置
5 ユーザ端末
10 制御部
11 グラフ受付部
12 グラフ登録部
13 証明付与部
14 グラフ提供部
15 グラフ管理部
16 複製確認部
17 履歴登録部
18 報酬処理部
19 履歴出力部
20 提供画面出力部
30 記憶部
31a グラフ管理プログラム
32 ユーザ情報記憶部
33 報酬額記憶部
41 グラフ記憶部
42 履歴記憶部
100 グラフ管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9