IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-非空気圧タイヤ 図1
  • 特開-非空気圧タイヤ 図2
  • 特開-非空気圧タイヤ 図3
  • 特開-非空気圧タイヤ 図4
  • 特開-非空気圧タイヤ 図5A
  • 特開-非空気圧タイヤ 図5B
  • 特開-非空気圧タイヤ 図6A
  • 特開-非空気圧タイヤ 図6B
  • 特開-非空気圧タイヤ 図6C
  • 特開-非空気圧タイヤ 図7A
  • 特開-非空気圧タイヤ 図7B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092304
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】非空気圧タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B60C7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208138
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】松延 裕子
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕介
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131BC31
3D131CC03
3D131CC04
(57)【要約】
【課題】タイヤ全体の耐久性の向上を可能とする非空気圧タイヤを提供する。
【解決手段】内側環状部20と、外側環状部30と、複数のスポーク40と、を備え、内側環状部20の外側環状部30に対向する外周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて外側環状部30に近付く一対の内側傾斜面21が形成され、外側環状部30の内側環状部20に対向する内周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて内側環状部20に近付く一対の外側傾斜面31が形成され、スポーク40は、内側環状部20と外側環状部30との間で延在する中間部と、中間部と内側環状部20とを接続する内側接続部と、中間部と外側環状部30とを接続する外側接続部と、を有し、内側接続部は、内側傾斜面21に連続的に連なる形状を有する内側連続部を含み、外側接続部は、外側傾斜面31に連続的に連なる形状を有する外側連続部を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側環状部と、
前記内側環状部の外周側に同軸に配置される外側環状部と、
前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列される複数のスポークと、
前記外側環状部の外周面に設けられるトレッドと、を備える非空気圧タイヤであって、
前記内側環状部の前記外側環状部に対向する外周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて前記外側環状部に近付く一対の内側傾斜面が形成され、
前記外側環状部の前記内側環状部に対向する内周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて前記内側環状部に近付く一対の外側傾斜面が形成され、
前記スポークは、前記内側環状部と前記外側環状部との間で延在する中間部と、前記中間部と前記内側環状部とを接続する内側接続部と、前記中間部と前記外側環状部とを接続する外側接続部と、を有し、
前記内側接続部は、前記内側傾斜面に連続的に連なる形状を有する内側連続部を含み、
前記外側接続部は、前記外側傾斜面に連続的に連なる形状を有する外側連続部を含む、非空気圧タイヤ。
【請求項2】
前記スポークの前記中間部は、タイヤ周方向から見た場合においてタイヤ径方向に対して傾斜して延在し、
前記内側連続部は、前記内側接続部における前記中間部と前記内側環状部とがなす角度が鋭角となる側に設けられており、
前記外側連続部は、前記外側接続部における前記中間部と前記外側環状部とがなす角度が鋭角となる側に設けられている、請求項1に記載の非空気圧タイヤ。
【請求項3】
前記内側傾斜面は、前記内側環状部のタイヤ幅方向両端まで延びており、
前記外側傾斜面は、前記外側環状部のタイヤ幅方向両端まで延びている、請求項1または2に記載の非空気圧タイヤ。
【請求項4】
前記内側傾斜面および前記外側傾斜面のそれぞれは、平坦である、請求項1または2に記載の非空気圧タイヤ。
【請求項5】
前記スポークは、
前記中間部がタイヤ軸方向の一方側へ傾斜する第1のスポークと、
前記中間部が前記第1のスポークとは反対側に傾斜する第2のスポークと、を含み、
前記第1のスポークと前記第2のスポークとが、タイヤ周方向に交互に配置されている、請求項1または2に記載の非空気圧タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非空気圧タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パンクの発生等の問題が起こらず、空気圧調整も不要な非空気圧タイヤが開発されている。非空気圧タイヤは、外周面にトレッドが設けられる外周側環状部と、外周側環状部の内側に同軸に配置される内周側環状部とが、放射状に配置される複数のスポークによって連結された構造が一般的である。
【0003】
この種の非空気圧タイヤは、内周側および外周側の各環状部に対するスポークの接続部分に応力が集中しやすく、この部分の強度がタイヤの耐久性に影響を及ぼす。例えば、特許文献1には、当該接続部分の厚さや長さ等を規定することによって耐久性の向上を図った非空気圧タイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-130071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、スポークの形状による耐久性の向上の可能性が開示されているが、内周側および外周側の各環状部の耐久性に関しては記載されておらず、タイヤ全体の耐久性の観点からみると改良の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、タイヤ全体としての耐久性の向上を可能とする非空気圧タイヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非空気圧タイヤは、内側環状部と、前記内側環状部の外周側に同軸に配置される外側環状部と、前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列される複数のスポークと、前記外側環状部の外周面に設けられるトレッドと、を備える非空気圧タイヤであって、前記内側環状部の前記外側環状部に対向する外周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて前記外側環状部に近付く一対の内側傾斜面が形成され、前記外側環状部の前記内側環状部に対向する内周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて前記内側環状部に近付く一対の外側傾斜面が形成され、前記スポークは、前記内側環状部と前記外側環状部との間で延在する中間部と、前記中間部と前記内側環状部とを接続する内側接続部と、前記中間部と前記外側環状部とを接続する外側接続部と、を有し、前記内側接続部は、前記内側傾斜面に連続的に連なる形状を有する内側連続部を含み、前記外側接続部は、前記外側傾斜面に連続的に連なる形状を有する外側連続部を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タイヤ全体の耐久性の向上を可能とする非空気圧タイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る非空気圧タイヤを示す側面図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図2に示す部分を斜めから見た非空気圧タイヤの一部斜視図である。
図4図3とは異なる方向から図2に示す部分を見た非空気圧タイヤの一部斜視図である。
図5A】実施例の解析モデルの第1のスポークのミーゼス応力の分布を示すコンター図である。
図5B】比較例の解析モデルの第1のスポークのミーゼス応力の分布を示すコンター図である。
図6A】実施例および比較例の各タイヤの解析モデルの剛性を比較したグラフである。
図6B】実施例および比較例の各タイヤの解析モデルのミーゼス応力を比較したグラフである。
図6C】実施例および比較例の各タイヤの解析モデルのスポーク間距離を比較したグラフである。
図7A】実施例および比較例の各タイヤの解析モデルの内側環状部のミーゼス応力の最大値を比較したグラフである。
図7B】実施例および比較例の各タイヤの解析モデルの外側環状部のミーゼス応力の最大値を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態の非空気圧タイヤであるタイヤ1を、タイヤ回転軸(タイヤ子午線)と平行な方向、すなわち図1で紙面表裏方向に沿う方向から見た側面図である。図1に示すタイヤ1は、無荷重状態である。図2は、図1のII-II断面図である。図3は、図2に示す部分を斜めから見たタイヤ1の一部斜視図である。図4は、図3とは異なる方向から図2に示す部分を見たタイヤ1の一部斜視図である。
【0011】
図1図3図4において、矢印Cはタイヤ周方向を示している。図1図4において、矢印Xはタイヤ径方向を示している。図2図3図4において、矢印Yはタイヤ幅方向を示している。図1においてのタイヤ幅方向は、紙面表裏方向である。図2の符号S1は、タイヤ赤道面である。図2においてのタイヤ周方向は、紙面表裏方向である。
【0012】
タイヤ周方向は、タイヤ回転軸周りの方向であってタイヤ1が回転する方向と同一の方向である。タイヤ径方向は、タイヤ回転軸に垂直な方向である。タイヤ幅方向は、タイヤ回転軸と平行な方向である。図2図3図4においては、タイヤ幅方向の一方側をY1として示し、タイヤ幅方向の他方側をY2として示している。図2に示すタイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で、かつ、タイヤ幅方向の中心に位置する面である。
【0013】
実施形態のタイヤ1は、内側環状部20と、外側環状部30と、複数のスポーク40と、トレッド50と、を備える。
【0014】
なお、以下において、内側環状部20および外側環状部30の厚みとは、タイヤ径方向に沿った方向の寸法である。内側環状部20および外側環状部30の幅とは、タイヤ幅方向に沿った方向の寸法である。
【0015】
内側環状部20は、タイヤ1の内周部を構成するタイヤ周方向に沿った環状の部分である。内側環状部20の厚みおよび幅は、ユニフォミティを向上させるために一定に設定される。内側環状部20の内周側の空間に、図示しないタイヤホイールが配置される。そのタイヤホイールのリムの外周部に、内側環状部20の内周部が嵌合して装着される。内側環状部20がリムに装着されて、タイヤ1はタイヤホイールに装着される。内側環状部20の内周面には、タイヤホイールのリムとの嵌合のために、凸部や溝等で構成される嵌合部が設けられる場合がある。
【0016】
内側環状部20は、例えば、弾性を有する樹脂材料によって形成することができるが、材料は樹脂に限定されない。
【0017】
内側環状部20は、上記タイヤホイールの回転をスポーク40および外側環状部30に伝達する。内側環状部20の厚みは、スポーク40に回転力を十分に伝達する機能を満たしつつ、軽量化および耐久性も得られる観点から決定される。内側環状部20の厚みは特に限定されないが、例えば、タイヤ断面高さの2%以上7%以下、あるいは3%以上6%以下といった厚みが挙げられる。内側環状部20の内径は、タイヤ1が装着されるタイヤホイールのリムの寸法や車両の用途等に応じたものとなる。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、内側環状部20の内径は、例えば、250mm以上500mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。内側環状部20の幅は、タイヤ1が装着される車両の用途や車軸の長さ等に応じたものとなる。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、内側環状部20の幅は、100mm以上300mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
【0018】
図2に示すように、内側環状部20の外側環状部30に対向する外周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて外側環状部30に近付く一対の内側傾斜面21が形成されている。すなわち一対の内側傾斜面21は、タイヤ幅方向中央からタイヤ幅方向Y1側の第1の内側傾斜面211と、外周面20aのタイヤ幅方向中央からタイヤ幅方向Y2側の第2の内側傾斜面212と、を含む。第1の内側傾斜面211は、外周面20aのタイヤ幅方向Y1側の端に向かうにつれてタイヤ径方向内側(図2で上側)に傾斜している。第2の内側傾斜面212は、外周面20aのタイヤ幅方向Y2側の端に向かうにつれてタイヤ径方向内側に傾斜している。すなわち内側傾斜面21は、タイヤ幅方向中央からタイヤ幅方向両側に向かうにつれてタイヤ径方向内側に傾斜する断面山型状の態様を有し、第1の内側傾斜面211と、第2の内側傾斜面212と、を含んで構成される。
【0019】
第1の内側傾斜面211および第2の内側傾斜面212のそれぞれは、外周面20aのタイヤ幅方向の端まで延びている。すなわち内側傾斜面21は、内側環状部20のタイヤ幅方向両端まで延びている。第1の内側傾斜面211および第2の内側傾斜面212のそれぞれは、タイヤ径方向に交差する方向およびタイヤ周方向に沿った平坦な面である。
【0020】
外側環状部30は、タイヤ1の外周部を構成するタイヤ周方向に沿った環状の部分である。外側環状部30は、内側環状部20の外周側に、内側環状部20と同軸に配置される。外側環状部30の厚みおよび幅は、ユニフォミティを向上させるために一定に設定される。
【0021】
外側環状部30は、例えば、弾性を有する樹脂材料によって形成することができるが、材料は樹脂に限定されない。
【0022】
外側環状部30は、内側環状部20およびスポーク40の回転を、トレッド50を介して路面に伝達する。外側環状部30の厚みは、スポーク40から路面に回転力を十分に伝達する機能を満たしつつ、軽量化および耐久性も得られる観点から決定される。外側環状部30の厚みは特に限定されないが、例えば、タイヤ断面高さの2%以上7%以下、あるいは2%以上5%以下といった厚みが挙げられる。外側環状部30の内径は、タイヤ1が装着されるタイヤホイールのリムの寸法や車両の用途等に応じたものとなる。例えば、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、外側環状部30の内径は、420mm以上750mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。外側環状部30の幅は、内側環状部20の幅と同等である。
【0023】
図2に示すように、外側環状部30の内側環状部20に対向する内周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて内側環状部20に近付く一対の外側傾斜面31が形成されている。すなわち一対の外側傾斜面31は、タイヤ幅方向中央からタイヤ幅方向Y1側の第1の外側傾斜面311と、内周面30aのタイヤ幅方向中央からタイヤ幅方向Y2側の第2の外側傾斜面312と、を含む。第1の外側傾斜面311は、内周面30aのタイヤ幅方向Y1側の端に向かうにつれてタイヤ径方向外側(図2で下側)に傾斜している。第2の外側傾斜面312は、内周面30aのタイヤ幅方向Y2側の端に向かうにつれてタイヤ径方向外側に傾斜している。すなわち外側傾斜面31は、タイヤ幅方向中央からタイヤ幅方向両側に向かうにつれてタイヤ径方向外側に傾斜する断面山型状の態様を有し、第1の外側傾斜面311と、第2の外側傾斜面312と、を含んで構成される。
【0024】
第1の外側傾斜面311および第2の外側傾斜面312のそれぞれは、内周面30aのタイヤ幅方向の端まで延びている。すなわち外側傾斜面31は、外側環状部30のタイヤ幅方向両端まで延びている。第1の外側傾斜面311および第2の外側傾斜面312のそれぞれは、タイヤ径方向に交差する方向およびタイヤ周方向に沿った平坦な面である。
【0025】
複数のスポーク40は、内側環状部20と外側環状部30とを連結する。複数のスポーク40で連結された内側環状部20と外側環状部30とは、互いに同軸に配置される。複数のスポーク40のそれぞれは、タイヤ周方向に沿ってそれぞれ独立して配列される。図1に示すように、複数のスポーク40は、タイヤ1が無荷重状態では、側面視した場合においてタイヤ径方向と略平行に延びている。複数のスポーク40は、タイヤ周方向に等間隔に配列されている。
【0026】
図2図4に示すように、実施形態の複数のスポーク40は、複数の第1のスポーク41と、複数の第2のスポーク42と、を含む。第1のスポーク41および第2のスポーク42のいずれも、その延在方向は、タイヤ周方向に沿った方向で見た場合において、タイヤ径方向とは平行ではない。第1のスポーク41は、タイヤ幅方向の一方側へ傾斜している。第2のスポーク42は、第1のスポーク41とは反対側へ傾斜している。第1のスポーク41と第2のスポーク42とは、タイヤ周方向に交互に配置されている。
【0027】
図2図4に示すように、第1のスポーク41は、全体的に、外側環状部30のタイヤ幅方向の一方側であるY1側から、内側環状部20のタイヤ幅方向の他方側であるY2側へ向かって傾斜して延びている。第2のスポーク42は、全体的に、外側環状部30のタイヤ幅方向の他方側であるY2側から、内側環状部20のタイヤ幅方向の一方側であるY1側へ向かって傾斜して延びている。
【0028】
第1のスポーク41および第2のスポーク42の傾斜角度は同じである。このため、タイヤ周方向に隣接する第1のスポーク41と第2のスポーク42とは、タイヤ周方向に沿う方向から見た場合、略X字状に配置されている。図2に示すように、第1のスポーク41は、タイヤ幅方向に対して角度θで傾斜しており、その角度θは、例えば30°以上60°以下が好ましい。第2のスポーク42も、同じ角度θで反対側に傾斜している。
【0029】
図2に示すように、タイヤ周方向に沿う方向から見た状態での第1のスポーク41および第2のスポーク42のそれぞれは、タイヤ赤道面S1に対して対称な同一形状である。したがって、以下においては、第1のスポーク41および第2のスポーク42を区別する必要がなく、まとめて説明できる場合には、第1のスポーク41および第2のスポーク42を、スポーク40と総称する。
【0030】
スポーク40は、タイヤ径方向およびタイヤ幅方向の面内に沿って延びる板状に形成されている。スポーク40は、内側環状部20から外側環状部30に向けて、上記のように角度θの角度で斜めに延びている。図3に示すように、スポーク40の板厚tの厚み方向はタイヤ周方向に沿っている。図2および図3に示すように、スポーク40の板幅wは、後述する第1の中間部410および第2の中間部420の幅であって、スポーク40をタイヤ周方向に沿う方向から見た場合での、スポーク40が延在する傾斜方向に直交する方向の寸法である。実施形態においては、全てのスポーク40の板厚tは同じである。また、全てのスポーク40の板幅wは同じである。
【0031】
スポーク40は長尺板状であるため、板厚tを薄くしても、板幅wを広く設定することによってスポーク40の耐久性を向上させることができる。さらに、板厚tを薄くしてスポーク40の数を増やすことにより、タイヤ1全体の剛性を維持しつつ、タイヤ周方向に隣接するスポーク40の間の間隔を小さくできる。これによって、スポーク40によるタイヤ転動時の接地圧が分散し、接地圧を小さくできる。
【0032】
なお、実施形態のスポーク40は側面視においてタイヤ径方向と平行であるが、スポーク40は側面視においてタイヤ径方向と交差するようにタイヤ径方向に対し斜めに延びる態様でもよい。
【0033】
第1のスポーク41は、内側環状部20と外側環状部30との間で延在する中間部としての第1の中間部410と、第1の中間部410と内側環状部20とを接続する内側接続部としての第1の内側接続部411と、第1の中間部410と外側環状部30とを接続する外側接続部としての第1の外側接続部412と、を有する。
【0034】
第1の中間部410はスポーク40の板幅wを有する部分であり、第1のスポーク41の傾斜方向に一致する部分である。第1の中間部410は、内側環状部20と外側環状部30との間のタイヤ径方向中間に位置している。第1の中間部410は、タイヤ幅方向に面する両側面が直線状である部分を有するタイヤ径方向の領域をいう。
【0035】
第1の内側接続部411は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y2側の半分の領域に設けられている。第1の内側接続部411は、タイヤ幅方向の内側に配置されて第1の中間部410から内側環状部20に連続的に移行する第1の内側移行部411bと、タイヤ幅方向の外側に配置されて第1の中間部410から内側環状部20に連続的に移行する第2の内側移行部411aと、を有する。第1の内側移行部411bは、第1の中間部410と内側環状部20とがなす角度が鋭角となる側に配置されている。第2の内側移行部411aは、第1の中間部410と内側環状部20とがなす角度が鈍角となる側に配置されている。
【0036】
第1の内側移行部411bは、タイヤ幅方向内側(タイヤ赤道面S1側)に配置されている。第1の内側移行部411bは、第1の中間部410から内側環状部20のタイヤ赤道面S1の位置まで凹状の円弧状に形成され、第1の内側傾斜面211に連なっている。すなわち第1の内側接続部411は、第1の中間部410から第1の内側傾斜面211に連続的に連なる形状を有する第1の内側移行部411bを含んでいる。第1の内側移行部411bは、第1の内側接続部411における第1の中間部410と内側環状部20とがなす角度が鋭角となる側に設けられている。実施形態の第1の内側移行部411bは、第1の内側傾斜面211に連続的に連なる本開示に係る内側連続部の一例である。
【0037】
なお、実施形態の第1の内側移行部411bは、タイヤ赤道面S1の位置で第1の内側傾斜面211に連なるように形成されているが、タイヤ赤道面S1よりも第1の内側接続部411寄りの位置で第2の内側傾斜面212に連なるか、あるいは、タイヤ赤道面S1を超えて第1の内側傾斜面211に連なるように形成されてもよい。
【0038】
第2の内側移行部411aは、タイヤ幅方向外側に配置されている。第2の内側移行部411aは、内側環状部20のタイヤ幅方向Y2側の端までなだらかに湾曲しながら延びている。
【0039】
第1の内側移行部411bおよび第2の内側移行部411aにより、第1の内側接続部411は、内側環状部20に近付くにつれてタイヤ幅方向に沿って広がる形状を有している。
【0040】
第1の外側接続部412は、外側環状部30のタイヤ幅方向Y1側の半分の領域に設けられている。第1の外側接続部412は、タイヤ幅方向の内側に配置されて第1の中間部410から外側環状部30に連続的に移行する第1の外側移行部412bと、タイヤ幅方向の外側に配置されて第1の中間部410から外側環状部30に連続的に移行する第2の外側移行部412aと、を有する。第1の外側移行部412bは、第1の中間部410と外側環状部30とがなす角度が鋭角となる側に配置されている。第2の外側移行部412aは、第1の中間部410と外側環状部30とがなす角度が鈍角となる側に配置されている。
【0041】
第1の外側移行部412bは、タイヤ幅方向内側(タイヤ赤道面S1側)に配置されている。第1の外側移行部412bは、第1の中間部410から外側環状部30のタイヤ赤道面S1の位置まで凹状の円弧状に形成され、第2の外側傾斜面312に連なっている。すなわち第1の外側接続部412は、第1の中間部410から第2の外側傾斜面312に連続的に連なる形状を有する第1の外側移行部412bを含んでいる。第1の外側移行部412bは、第1の外側接続部412における第1の中間部410と外側環状部30とがなす角度が鋭角となる側に設けられている。実施形態の第1の外側移行部412bは、第2の外側傾斜面312に連続的に連なる本開示に係る外側連続部の一例である。
【0042】
なお、実施形態の第1の外側移行部412bは、タイヤ赤道面S1の位置で第2の外側傾斜面312に連なるように形成されているが、タイヤ赤道面S1よりも第1の外側接続部412寄りの位置で第1の外側傾斜面311に連なるか、あるいは、タイヤ赤道面S1を超えて第2の外側傾斜面312に連なるように形成されてもよい。
【0043】
第2の外側移行部412aは、タイヤ幅方向外側に配置されている。第2の外側移行部412aは、外側環状部30のタイヤ幅方向Y1側の端までなだらかに湾曲しながら延びている。
【0044】
第1の外側移行部412bおよび第2の外側移行部412aにより、第1の外側接続部412は、外側環状部30に近付くにつれてタイヤ幅方向に沿って広がる形状を有している。
【0045】
第2のスポーク42は、第1のスポーク41と同一形状であって、タイヤ赤道面S1にして第1のスポーク41と対称形状である。
【0046】
図2および図3に示すように、第2のスポーク42は、内側環状部20と外側環状部30との間で延在する中間部としての第2の中間部420と、第2の中間部420と内側環状部20とを接続する内側接続部としての第2の内側接続部421と、第2の中間部420と外側環状部30とを接続する外側接続部としての第2の外側接続部422と、を有する。
【0047】
第2の中間部420はスポーク40の板幅wを有する部分であり、第2のスポーク42の傾斜方向に一致する部分である。第2の中間部420は、内側環状部20と外側環状部30との間のタイヤ径方向中間に位置している。第2の中間部420は、タイヤ幅方向に面する両側面が直線状である部分を有するタイヤ径方向の領域をいう。
【0048】
第2の内側接続部421は、内側環状部20のタイヤ幅方向Y1側の半分の領域に設けられている。第2の内側接続部421は、タイヤ幅方向の内側に配置されて第2の中間部420から内側環状部20に連続的に移行する第1の内側移行部421bと、タイヤ幅方向の外側に配置されて第2の中間部420から内側環状部20に連続的に移行する第2の内側移行部421aと、を有する。第1の内側移行部421bは、第2の中間部420と内側環状部20とがなす角度が鋭角となる側に配置されている。第2の内側移行部421aは、第2の中間部420と内側環状部20とがなす角度が鈍角となる側に配置されている。
【0049】
第1の内側移行部421bは、タイヤ幅方向内側(タイヤ赤道面S1側)に配置されている。第1の内側移行部421bは、第2の中間部420から内側環状部20のタイヤ赤道面S1の位置まで凹状の円弧状に形成され、第2の内側傾斜面212に連なっている。すなわち第2の内側接続部421は、第2の中間部420から第2の内側傾斜面212に連続的に連なる形状を有する第1の内側移行部421bを含んでいる。第1の内側移行部421bは、第2の内側接続部421における第2の中間部420と内側環状部20とがなす角度が鋭角となる側に設けられている。実施形態の第1の内側移行部421bは、第2の内側傾斜面212に連続的に連なる本開示に係る内側連続部の一例である。
【0050】
なお、実施形態の第1の内側移行部421bは、タイヤ赤道面S1の位置で第2の内側傾斜面212に連なるように形成されているが、タイヤ赤道面S1よりも第2の内側接続部421寄りの位置で第1の内側傾斜面211に連なるか、あるいは、タイヤ赤道面S1を超えて第2の内側傾斜面212に連なるように形成されてもよい。
【0051】
第2の内側移行部421aは、タイヤ幅方向外側に配置されている。第2の内側移行部421aは、内側環状部20のタイヤ幅方向Y1側の端までなだらかに湾曲しながら延びている。
【0052】
第1の内側移行部421bおよび第2の内側移行部421aにより、第2の内側接続部421は、内側環状部20に近付くにつれてタイヤ幅方向に沿って広がる形状を有している。
【0053】
第2の外側接続部422は、外側環状部30のタイヤ幅方向Y2側の半分の領域に設けられている。第2の外側接続部422は、タイヤ幅方向の内側に配置されて第2の中間部420から外側環状部30に連続的に移行する第1の外側移行部422bと、タイヤ幅方向の外側に配置されて第2の中間部420から外側環状部30に連続的に移行する第2の外側移行部422aと、を有する。第1の外側移行部422bは、第2の中間部420と外側環状部30とがなす角度が鋭角となる側に配置されている。第2の外側移行部422aは、第2の中間部420と外側環状部30とがなす角度が鈍角となる側に配置されている。
【0054】
第1の外側移行部422bは、タイヤ幅方向内側(タイヤ赤道面S1側)に配置されている。第1の外側移行部422bは、第2の中間部420から外側環状部30のタイヤ赤道面S1の位置まで凹状の円弧状に形成され、第1の外側傾斜面311に連なっている。すなわち第2の外側接続部422は、第2の中間部420から第1の外側傾斜面311に連続的に連なる形状を有する第1の外側移行部422bを含んでいる。第1の外側移行部422bは、第2の外側接続部422における第2の中間部420と外側環状部30とがなす角度が鋭角となる側に設けられている。実施形態の第1の外側移行部422bは、第1の外側傾斜面311に連続的に連なる本開示に係る外側連続部の一例である。
【0055】
なお、実施形態の第1の外側移行部422bは、タイヤ赤道面S1の位置で第1の外側傾斜面311に連なるように形成されているが、タイヤ赤道面S1よりも第2の外側接続部422寄りの位置で第2の外側傾斜面312に連なるか、あるいは、タイヤ赤道面S1を超えて第1の外側傾斜面311に連なるように形成されてもよい。
【0056】
第2の外側移行部422aは、タイヤ幅方向外側に配置されている。第2の外側移行部422aは、外側環状部30のタイヤ幅方向Y2側の端までなだらかに湾曲しながら延びている。
【0057】
第1の外側移行部422bおよび第2の外側移行部422aにより、第2の外側接続部422は、外側環状部30に近付くにつれてタイヤ幅方向に沿って広がる形状を有している。
【0058】
上述したように、実施形態の全てのスポーク40の板厚tは同じである。スポーク40の板厚tは特に限定されないが、スポーク40が内側環状部20および外側環状部30からの回転力を十分受けつつ、荷重を受けた際には適度に撓み変形が可能なようにする上で、1mm以上30mm以下であることが好ましく、5mm以上25mm以下であることがより好ましい。
【0059】
上述したように、実施形態の全てのスポーク40の板幅wは同じである。スポーク40の板幅wは、第1の中間部410および第2の中間部420の幅である。スポーク40の板幅wは特に限定されないが、内側環状部20および外側環状部30からの回転力を十分受けつつ、荷重を受けた際には適度に撓み変形が可能なようにする上で、5mm以上25mm以下であることが好ましく、10mm以上20mm以下であることがより好ましい。また、板幅wは、耐久性を向上させつつ接地圧を分散させ得る観点から、板厚tの110%以上であることが好ましく、115%以上であることがより好ましい。
【0060】
スポーク40の数としては、車両からの荷重を十分支持しつつ、軽量化が可能で、動力伝達性および耐久性の向上をともに図ることを可能とする観点から、80個以上300個以下であることが好ましく、100個以上200個以下であることがより好ましい。
【0061】
複数のスポーク40のタイヤ周方向の間隔は、例えば、1.0mm以上4.1mm以下で設定されることが好ましい。なお、実施形態では、複数のスポーク40のタイヤ周方向の間隔は等しいが、不等間隔であってもよい。
【0062】
スポーク40のタイヤ径方向の寸法は、45mm以上75mm以下といった寸法が挙げられるが、これに限定されない。
【0063】
スポーク40は、下記に挙げる弾性材料によって形成することができる。まず、その弾性材料の特性としては、十分な耐久性を確保しながら、適度な剛性を付与する観点から、JIS K7312に準じて引張試験を行い、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが、3MPa以上12MPa以下が好ましい。
【0064】
スポーク40において、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが3MPaを下回る場合、十分な剛性が得られず、タイヤ周方向に隣接するスポーク40どうしが接触する可能性がある。一方、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが12MPaを上回る場合、過度に剛性が高くなり、乗り心地が悪化する。
【0065】
スポーク40の母材として用いられる弾性材料としては、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂が挙げられる。
【0066】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等が例示される。
【0067】
架橋ゴムを構成するゴム材料としては、天然ゴムおよび合成ゴムのいずれを使用することもできる。合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(水添NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が例示される。これらのゴム材料は、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0068】
その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0069】
スポーク40には、上記の弾性材料のうち、成形、加工性およびコストの観点から、ポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。なお、弾性材料としては、発泡材料を使用することもできる。すなわち、上記の熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を発泡させたものを使用することができる。
【0070】
なお、スポーク40の母材として用いられる弾性材料は、補強繊維により補強されていてもよい。補強繊維としては、長繊維、短繊維、織布、不織布等が挙げられる。補強繊維の種類としては、レーヨンコード、ナイロン-6,6等のポリアミドコード、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維コード、カーボンファイバー、スチールコード等が挙げられる。
【0071】
なお、弾性材料の補強は、補強繊維による補強に限らない。例えば、粒状フィラーの添加による補強が行われてもよい。添加される粒状フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、アルミナ等のセラミックス、その他の無機材料のフィラー等が挙げられる。
【0072】
ところで、上述した内側環状部20および外側環状部30は、スポーク40と同じ樹脂材料で形成されると好ましく、その場合には、例えば注型成形法によって、内側環状部20、外側環状部30およびスポーク40を一体成形することができる。
【0073】
トレッド50は、外側環状部30の外周面に設けられる。トレッド50は、タイヤ1の最外周部分を構成する。トレッド50は、トレッドゴム51を含む。トレッドゴム51は、路面に接地する踏面51aを外周面に有する。トレッドゴム51のゴム材料としては、特にその種類に制限はなく、車両用タイヤのトレッドを構成するゴムとしての一般的な加硫ゴム等を使用することができる。トレッドゴム51の踏面51aには、従来の空気入りタイヤと同様にして、複数の溝および陸で形成されるトレッドパターンが設けられる。なお、トレッドゴム51は、成分や特性が異なる複数のゴム層が積層された構成(例えば、2層あるいは3層)でもよい。また、トレッド50は、樹脂で形成されてもよい。
【0074】
なお、実施形態のタイヤ1は、さらに、タイヤ1の剛性および接地性を向上させるための補強層をタイヤ全周にわたって設けられてもよい。補強層は、タイヤ全周にわたって設けられ、例えば、外側環状部30の内部に埋設されていてもよく、外側環状部30とトレッド50との間に設けられていてもよい。
【0075】
実施形態のタイヤ1によれば、以下の効果を奏する。
【0076】
(1)実施形態に係るタイヤ1は、内側環状部20と、内側環状部20の外周側に同軸に配置される外側環状部30と、内側環状部20と外側環状部30とを連結し、タイヤ周方向に沿って配列される複数のスポーク40と、外側環状部30の外周面に設けられるトレッド50と、を備える非空気圧タイヤであって、内側環状部20の外側環状部30に対向する外周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて外側環状部30に近付く一対の内側傾斜面21が形成され、外側環状部30の内側環状部20に対向する内周部には、タイヤ幅方向両端からタイヤ幅方向中央に向かうにつれて内側環状部20に近付く一対の外側傾斜面31が形成され、スポーク40は、内側環状部20と外側環状部30との間で延在する中間部(第1の中間部410および第2の中間部420)と、中間部と内側環状部20とを接続する内側接続部(第1の内側接続部411、第2の内側接続部421)と、中間部と外側環状部30とを接続する外側接続部(第1の外側接続部412、第2の外側接続部422)と、を有し、内側接続部は、内側傾斜面21に連続的に連なる形状を有する内側連続部(第1の内側移行部411b、421b)を含み、外側接続部は、外側傾斜面31に連続的に連なる形状を有する外側連続部(第1の外側移行部412b、422b)を含む。
【0077】
実施形態のスポーク40は、内側環状部20に接続する内側接続部が、内側環状部20の内側傾斜面21に連続的に連なる内側連続部を有し、外側環状部30に接続する外側接続部が、外側環状部30の外側傾斜面31に連続的に連なる外側連続部を有する。これにより、内側環状部20および外側環状部30に対するスポーク40の付け根部分への応力集中が、内側連続部および外側連続部によって抑制され、その結果、スポーク40の剛性が向上し、耐久性が向上する。スポーク40の剛性向上に伴ってスポーク40の変形が抑制されることにより、スポーク40間の間隔が保持され、タイヤ周方向に隣り合うスポーク40の接触が抑制される。これにより、スポーク40が損傷しにくくなる。これらの結果、タイヤ1全体の耐久性の向上が図られる。さらにスポーク40の剛性向上に伴うスポーク40の変形抑制効果により、転がり抵抗が低減する。
【0078】
内側環状部20が内側傾斜面21を有することにより、内側環状部20の剛性が向上し、これにより内側環状部20のリムとの嵌合性が向上する。外側環状部30が外側傾斜面31を有することにより、外側環状部30の剛性が向上し、これにより、バックリングが発生しにくくなり、これに伴ってトレッド50にフラットスポットが生じることが抑制される。
【0079】
内側傾斜面21および外側傾斜面31を有することにより、タイヤ1を金型成型する際に、内側傾斜面21および外側傾斜面31が抜き勾配となって金型からの脱型を容易とすることが可能となる。
【0080】
(2)実施形態に係るタイヤ1においては、スポーク40の中間部は、タイヤ周方向から見た場合においてタイヤ径方向に対して傾斜して延在し、内側連続部は、内側接続部における中間部と内側環状部20とがなす角度が鋭角となる側に設けられており、外側連続部は、外側接続部における中間部と外側環状部30とがなす角度が鋭角となる側に設けられている。
【0081】
スポーク40の中間部が傾斜している場合、内側接続部および外側接続部の、各環状部20、30とのなす角度が鋭角になる側において大きな応力がかかる。ここで、実施形態ではその部分に各傾斜面に連続する内側連続部および外側連続部が設けられているため、応力が集中にしく、剛性の向上が図られる。
【0082】
(3)実施形態に係るタイヤ1においては、内側傾斜面21は、内側環状部20のタイヤ幅方向両端まで延びており、外側傾斜面31は、外側環状部30のタイヤ幅方向両端まで延びていることが好ましい。
【0083】
これにより、内側傾斜面21および外側傾斜面31による剛性向上に伴うタイヤ1全体の耐久性の向上効果が増大する。
【0084】
(4)実施形態に係るタイヤ1においては、内側傾斜面21および外側傾斜面31のそれぞれは、平坦であることが好ましい。
【0085】
これにより、内側傾斜面21および外側傾斜面31にかかる応力が分散しやすく、剛性向上の効果を得やすい。
【0086】
(5)実施形態に係るタイヤ1においては、スポーク40は、中間部がタイヤ軸方向の一方側へ傾斜する第1のスポーク41と、中間部が第1のスポーク41とは反対側に傾斜する第2のスポーク42と、を含み、第1のスポーク41と第2のスポーク42とが、タイヤ周方向に交互に配置されている。
【0087】
これにより、第1のスポーク41および第2のスポーク42は、タイヤ周方向に沿った方向から見た場合に略X字状に配置される。第1のスポーク41および第2のスポーク42は、それぞれがタイヤ軸方向に傾斜しているため過度に剛性が高くなることが抑えられ、乗り心地の向上が図られる。
【実施例0088】
上記実施形態と同様の構成を備えたFEMによる実施例のタイヤの解析モデルを用いて、200kgの負荷を与えたときの剛性、ミーゼス応力、スポーク間距離を、シミュレーションにより測定した。また、同様のサイズおよび構成を有するものの、内側環状部20および外側環状部30のそれぞれに傾斜面(内側傾斜面および外側傾斜面)を有しない比較例のタイヤの解析モデルを用いて、シミュレーションにより同じ項目の測定を行った。
【0089】
図5Aは、実施例の解析モデルの第1のスポーク41のミーゼス応力の分布を黒色の濃淡で表すコンター図である。図5Bは、比較例の解析モデルの第1のスポーク41のミーゼス応力の分布を黒色の濃淡で表すコンター図である。いずれも黒色が濃いところほど応力が生じている状態を示している。両者を比較すると、図5Bの比較例の方が図5Aの実施例よりも応力がかかっている範囲が広く、かつ、その応力が大きい。したがって、内側環状部20および外側環状部30のそれぞれに内側傾斜面21および外側傾斜面31を有する方が、負荷がかかるときに生じる応力が分散し、剛性が向上することが判る。
【0090】
図6A図6B図6Cは、実施例および比較例の、剛性、ミーゼス応力、スポーク間距離を比較したグラフをそれぞれ示している。これらグラフでは、比較例の測定値を指数100とし、実施例を比較例に対して指数評価している。また、図7Aは内側環状部20に生じるミーゼス応力の最大値について、実施例の測定値を比較例に対して指数評価したグラフであり、図7Bは外側環状部30に生じるミーゼス応力の最大値について、実施例の測定値を比較例に対して指数評価したグラフである。
【0091】
図6A図6B図6Cによれば、比較例に比べて実施例のタイヤの剛性が向上し、これによって実施例の方がミーゼス応力の低減とともに、スポーク40間の間隔が保持されることが判る。これは、内側環状部20および外側環状部30のそれぞれに傾斜面(内側傾斜面および外側傾斜面)を有し、これら傾斜面にスポーク40が内側連続部および外側連続部のそれぞれを介して連続している形状を有することに起因するとみられる。また、 図7A図7Bによれば、内側環状部20および外側環状部30が内側傾斜面21および外側傾斜面31をそれぞれ有することにより、ミーゼス応力が低減して剛性が向上することが認められた。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良などを行っても、本発明の範囲に含まれる。
【0093】
例えば、スポーク40はタイヤ径方向に対して傾斜している形態以外に、タイヤ径方向に沿って真っ直ぐ延びるスポークであってよい。その場合には、内側環状部20に対する内側接続部のタイヤ幅方向両側に内側傾斜面21に連続する内側連続部が設けられ、外側環状部30に対する外側接続部のタイヤ幅方向両側に外側傾斜面31に連続する外側連続部が設けられる。
【符号の説明】
【0094】
1 非空気圧タイヤ
20 内側環状部
20a 内側環状部の外周面
21 内側傾斜面
30 外側環状部
30a 外側環状部の内周面
31 外側傾斜面
40 スポーク
41 第1のスポーク
42 第2のスポーク
50 トレッド
410 第1の中間部(中間部)
411 第1の内側接続部(内側接続部)
411b、421b 第1の内側移行部(内側連続部)
412 第1の外側接続部(外側接続部)
412b、422b 第1の外側移行部(外側連続部)
420 第2の中間部(中間部)
421 第2の内側接続部(内側接続部)
422 第2の外側接続部(外側接続部)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B