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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092306
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/30 20210101AFI20240701BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240701BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20240701BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240701BHJP
   H01G 11/14 20130101ALI20240701BHJP
【FI】
H01M50/30
H01M50/209
H01G11/12
H01G11/78
H01G11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208140
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】坂口 誠
(72)【発明者】
【氏名】前田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】田丸 耕二郎
【テーマコード(参考)】
5E078
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AB02
5E078HA05
5E078HA24
5E078JA02
5E078JA06
5H012AA07
5H012BB08
5H012DD11
5H040AA01
5H040AA33
5H040AT02
5H040AY03
5H040AY10
(57)【要約】
【課題】蓄電モジュールの大型化を抑制しつつ、蓄電モジュールの外部に透過するガスの量を増加させることができる技術を提供する。
【解決手段】蓄電モジュールの枠体は、複数の内部空間とそれぞれ連通された複数の第1連通孔を有する。圧力調整弁は、複数の第1連通孔とそれぞれ連通する複数の第2連通孔が形成され、枠体に対向する樹脂製の壁体と、壁体の第1壁面から突出し、第1壁面に開口する複数の第2連通孔をそれぞれ取り囲むように形成された突起と、壁体の第2壁面側から複数の第2連通孔をそれぞれ塞ぐ複数の弁体と、を有する。壁体の第1壁面のうち第2方向から見て複数の弁体と重複しない領域には、弁体に沿いつつ枠体から離れる方向に凹んだ溝部が形成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層された複数の電極を備える電極積層体、及び、前記電極積層体を取り囲むように配置されて、前記第1方向に隣り合う前記複数の電極の間にそれぞれ形成された複数の内部空間を封止する枠体、を有するモジュール本体と、
前記枠体に取り付けられた圧力調整弁と、を備える蓄電モジュールであって、
前記枠体は、前記複数の内部空間とそれぞれ連通されて前記枠体の外周面に開口した複数の第1連通孔を有し、
前記圧力調整弁は、
前記複数の第1連通孔とそれぞれ連通する複数の第2連通孔が形成され、前記枠体に対向する樹脂製の壁体と、
前記壁体から前記枠体に向かうように前記第1方向に交差する第2方向に沿って、前記壁体における前記枠体の前記外周面に対向する第1壁面から突出し、前記第1壁面に開口する前記複数の第2連通孔をそれぞれ取り囲むように形成された突起と、
前記壁体における前記第1壁面とは反対の面である第2壁面側から前記複数の第2連通孔をそれぞれ塞ぐ複数の弁体と、を有し、
前記壁体の前記第1壁面のうち前記突起によって取り囲まれた前記複数の第2連通孔の一つの開口を含む領域であって、前記第2方向から見て前記複数の弁体と重複しない領域には、前記弁体に沿いつつ前記枠体から離れる方向に凹んだ溝部が形成されている、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記複数の弁体は、円柱状を呈しており、
前記突起は、前記第2方向から見て、それぞれの前記第2連通孔を矩形枠状に囲んでいる、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記第2方向から見て、前記溝部の縁部の少なくとも一部は、前記弁体の周縁の形状に沿って形成されている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記複数の弁体は、前記第1方向と前記第2方向とに交差する第3方向に沿って配置され、
前記第3方向に互いに隣り合う前記弁体の位置は、前記第1方向に互いにずれている、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電モジュールが開示されている。この蓄電モジュールは、複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、電極積層体を取り囲むように配置され、電極積層体に設けられた内部空間と連通された第1連通孔を有する枠体とを有するモジュール本体と、モジュール本体に取り付けられ、第1連通孔と連通された第2連通孔を有する圧力調整弁と、を備える。圧力調整弁は、第2連通孔を塞ぐシール面を有する弾性部材を備えており、シール面には第2連通孔に連通された凹部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-192547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような技術分野においては、圧力調整弁を作動させることなく、セル内部で発生したガスを効率的に蓄電モジュールの外部に透過させることが望まれている。上記の蓄電モジュールでは、圧力調整弁の弁体として機能する弾性部材に凹部を形成し、圧力調整弁における内部空間に連通する空間の表面積を大きくすることにより、内部空間においてガスが発生した場合の圧力調整弁を介したモジュール外部へのガス透過量を大きくしている。しかしながら、上記の蓄電モジュールのように弾性部材に凹部を形成することは、弾性部材の弁体としての機能を損なう虞があり、好ましくない。また、内部空間に連通する圧力調整弁側の空間の表面積を大きくするために、圧力調整弁自体を大型化することは、蓄電モジュールのエネルギー密度が低下することになるので好ましくない。
【0005】
本開示は、蓄電モジュールの大型化を抑制しつつ、蓄電モジュールの外部に透過するガスの量を増加させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る蓄電モジュールは、第1方向に積層された複数の電極を備える電極積層体、及び、電極積層体を取り囲むように配置されて、第1方向に隣り合う複数の電極の間にそれぞれ形成された複数の内部空間を封止する枠体、を有するモジュール本体と、枠体に取り付けられた圧力調整弁と、を備える。枠体は、複数の内部空間とそれぞれ連通されて枠体の外周面に開口した複数の第1連通孔を有する。圧力調整弁は、複数の第1連通孔とそれぞれ連通する複数の第2連通孔が形成され、枠体に対向する樹脂製の壁体と、壁体から枠体に向かうように第1方向に交差する第2方向に沿って、壁体における枠体の外周面に対向する第1壁面から突出し、第1壁面に開口する複数の第2連通孔をそれぞれ取り囲むように形成された突起と、壁体における第1壁面とは反対の面である第2壁面側から複数の第2連通孔をそれぞれ塞ぐ複数の弁体と、を有する。壁体の第1壁面のうち突起によって取り囲まれた複数の第2連通孔の一つの開口を含む領域であって、第2方向から見て複数の弁体と重複しない領域には、弁体に沿いつつ枠体から離れる方向に凹んだ溝部が形成されている。
【0007】
上記蓄電モジュールでは、第1方向に互いに隣り合う電極同士によってセルが構成される。各セルの内部空間で発生したガスの一部は、中間空間に臨む壁体を透過し得る。壁体の壁面には溝部が形成されているため、壁面が平坦に形成されている場合に比べて、中間空間に露出する壁面の表面積を大きくすることができる。これにより、ガスの透過経路が増加するため、圧力調整弁の外部に透過するガスの量を増加させることができる。このような溝部は弁体と重複しない領域において弁体に沿って形成されているため、圧力調整弁によって形成される空間を有効に利用でき、蓄電モジュールが大型化することが抑制される。
【0008】
複数の弁体は、円柱状を呈しており、突起は、第2方向から見て、それぞれの第2連通孔を矩形枠状に囲んでいてよい。この構成では、突起が矩形枠状であり、弁体が円形状であるため、突起の内側の領域では、弁体が配置されない領域が形成されやすく、溝部が形成されるための空間が確保されやすい。
【0009】
第2方向から見て、溝部の縁部の少なくとも一部は、弁体の周縁の形状に沿って形成されていてよい。この構成では、溝部と弁体が配置されている領域とを結ぶ透過経路を効率よく形成することができる。
【0010】
複数の弁体は、第1方向と第2方向とに交差する第3方向に沿って配置され、第3方向に互いに隣り合う弁体の位置は、第1方向に互いにずれていてよい。この構成では、第3方向に互いに隣り合う弁体同士が第3方向に対して斜めに配置されるため、溝部を形成するためのスペースが生じやすくなっている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、蓄電モジュールの大型化を抑制しつつ、蓄電モジュールの外部に透過するガスの量を増加させることができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一例の蓄電装置を示す断面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、一例の蓄電モジュールを示す断面図である。
図4図4は、一例の蓄電モジュールを示す斜視図である。
図5図5は、一例の蓄電モジュールを構成する本体の側面を示す平面図である。
図6図6は、一例の蓄電モジュールの一部を示す分解斜視図である。
図7図7は、一例の圧力調整弁の分解斜視図である。
図8図8は、一例のカバーの平面図である。
図9図9は、一例のケースの平面図である。
図10図10は、一例のケースの底面図である。
図11図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。
図12図12は、他の例のケースの底面図である。
図13図13は、図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図中には、必要に応じてXYZ直交座標系が示される。Z軸方向は、一例として鉛直方向であり、X軸方向(第2方向及び第3方向)及びY軸方向(第1方向)は、一例として水平方向である。
【0014】
図1及び図2は、一実施形態に係る蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す断面図である。図1には、X軸方向に直交する断面が示されている。図2には、図1のII-II線に沿った断面、すなわちY軸方向に直交する断面が示されている。図1及び図2に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられ得る。蓄電装置1は、Z軸方向に沿って積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してZ軸方向に沿って拘束荷重を付加する拘束部材3と、を備えている。
【0015】
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは2つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、例えばバイポーラ電池であり、Z軸方向から見て矩形状をなしている。一例の蓄電モジュール4は、Z軸方向から見て長辺と短辺とを有する長方形状である。蓄電モジュール4は、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛電池等の二次電池、又は、電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0016】
導電板5は、Z軸方向に沿って隣り合う蓄電モジュール4同士の間に配置されている。これにより、複数の蓄電モジュール4が導電板5を介して電気的に接続されている。例えば、各蓄電モジュール4は、Z軸方向の一方の端面に正極端子面を備え、Z軸方向の他方の端面に負極端子面を備えており、導電板5を介して積層される複数の蓄電モジュール4は直列接続される。モジュール積層体2のZ軸方向の一端に位置する蓄電モジュール4の外側には、正極端子6aが引き出された集電板6が配置されている。集電板6は、当該蓄電モジュール4に電気的に接続されている。また、モジュール積層体2のZ軸方向の他端に位置する蓄電モジュール4の外側には、負極端子7aが引き出された集電板7が配置されている。集電板7は、当該蓄電モジュール4に電気的に接続されている。これらの正極端子6a及び負極端子7aを用いることにより、蓄電装置1の充放電が行われる。
【0017】
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、Z軸方向と、正極端子6a及び負極端子7aの引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向(ここではX軸方向)に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱部材としての機能を有する。
【0018】
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向に挟む一対の拘束板8と、拘束板8同士を締結することにより接続するボルト等の複数の締結具9と、締結具9の本体部(例えばボルトの軸部)を収容する支柱10と、を含む。拘束板8は、第1方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。拘束板8は、Z軸方向から見て長辺と短辺とを有する長方形状である。拘束板8の内側面(モジュール積層体2側の面)には、板状の絶縁部材Fが設けられている。すなわち、モジュール積層体2と拘束板8との間には、集電板6又は集電板7と絶縁部材Fが介在される。これにより、拘束板8とモジュール積層体2(集電板6,7)との間が絶縁される。
【0019】
一方の拘束板8の縁部には、Z軸方向から見てモジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられ、他方の拘束板8の縁部には、挿通孔8aに対向する位置においてネジ穴8bが設けられている。締結具9は、一方の拘束板8の挿通孔8aから他方の拘束板8のネジ穴8bに向かって通され、他方の拘束板8のネジ穴8bに螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5が拘束板8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対してZ軸方向に沿って拘束荷重が付加される。
【0020】
このように、締結具9は、モジュール積層体2の外側に配置され、Z軸方向に沿って延在するとともにZ軸方向に沿って一対の拘束板8を互いに締結することにより、モジュール積層体2を拘束する。支柱10は、一対の拘束板8の間に介在され、締結具9と共にZ軸方向に沿って延在している。支柱10は、Z軸方向についての一対の拘束板8の距離を規定することにより、モジュール積層体2への拘束力を規定する。蓄電装置1では、1つの締結具9と当該締結具9を収容する1つの支柱10とが、Z軸方向から見て、拘束板8の長辺に沿って複数配列されている。また、締結具9及び支柱10は、Z軸方向から見たときに、拘束板8の短辺に沿う方向に互いに対向している。
【0021】
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図3は、蓄電モジュールを示す断面図である。図4は、蓄電モジュールを示す斜視図である。蓄電モジュール4は、Z軸方向を積層方向として、複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。蓄電モジュール4は、モジュール本体4Aと、モジュール本体4Aに取り付けられた複数(ここでは2つ)の圧力調整弁22とを備える。モジュール本体4Aは、電極積層体11と、電極積層体11を取り囲むように配置された枠体25とを備える。電極積層体11は、セパレータ13を介して、Z軸方向に沿って積層された複数の電極を含む。図示例の電極積層体11は、複数の電極として、一つの負極終端電極18と、一つの正極終端電極19と、負極終端電極18と正極終端電極19との間に配置された複数のバイポーラ電極14(中間電極)と、を有している。電極の積層方向はモジュール本体4Aの積層方向と一致していてよい。
【0022】
バイポーラ電極14は、第1面15a及び第1面15aの反対の第2面15bを含む電極板15と、第1面15aに設けられた正極活物質層16と、第2面15bに設けられた負極活物質層17と、を含んでいる。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極活物質層16は、セパレータ13を挟んでZ軸方向に隣り合う別のバイポーラ電極14の負極活物質層17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極活物質層17は、セパレータ13を挟んでZ軸方向に隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極活物質層16と対向している。
【0023】
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極活物質層17を含んでいる。負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、活物質層が設けられていない。負極終端電極18は、その第2面15bが電極積層体11の内側(Z軸方向についての中心側)になるように、電極積層体11のZ軸方向の一端に配置されている。負極終端電極18の負極活物質層17は、セパレータ13を介して、Z軸方向の一端のバイポーラ電極14の正極活物質層16と対向している。
【0024】
正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極活物質層16を含んでいる。正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、活物質層が設けられていない。正極終端電極19は、その第1面15aが電極積層体11の内側になるように、電極積層体11のZ軸方向の他端に配置されている。正極終端電極19の正極活物質層16は、セパレータ13を介して、Z軸方向の他端のバイポーラ電極14の負極活物質層17と対向している。
【0025】
負極終端電極18の電極板15の第1面15aは、電極積層体11の外側に臨む面である。負極終端電極18の第1面15aには、金属板50を介して、導電板5が電気的に接続されている。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bは、電極積層体11の外側に臨む面である。正極終端電極19の第2面15bには、金属板50を介して、別の導電板5が電気的に接続されている。
【0026】
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の周縁部(バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19の周縁部)15cは、矩形枠状をなし、正極活物質層16及び負極活物質層17が形成されていない領域となっている。正極活物質層16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極活物質層17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。
【0027】
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
【0028】
枠体25は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。枠体25は、電極板15の周縁部15cを包囲するように電極積層体11に設けられている。枠体25は、電極板15の周縁部15cに接合された複数の第1シール部21と、積層方向Dに沿って延在し、第1シール部21のそれぞれに接合された第2シール部12とを有している。第1シール部21及び第2シール部12は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
【0029】
複数の第1シール部21は、それぞれ、第1部分21aと第2部分21bと第3部分21cとを含む。第1部分21aは、Z軸方向からみて矩形枠状に形成されており、電極板15の周縁部15cに接合(例えば溶着)されている。第2部分21bは、Z軸方向からみて矩形枠状を呈しており、第1部分21aの一部の上に配置されている。Z軸方向からみて、第2部分21bの内縁は、第1部分21aの内縁よりも外側に位置している。セパレータ13は、その周縁部が、第1部分21aの第2部分21bから露出された部分に配置されて接合(例えば溶着されている)。
【0030】
第3部分21cは、Z軸方向に沿って延びる矩形筒状を呈しており、複数の第1部分21a及び複数の第2部分21bを互いに接合して一体化している。第1部分21a及び第2部分21bは、例えば、1枚のシート状の部材を折り重ねることにより形成され得る。この場合、第3部分21cは、例えば、当該シート状の部材の折り曲げ箇所(第1部分21a及び第2部分21bの外側の端部)を溶着することにより形成される溶着端部である。
【0031】
第2シール部12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形筒状に形成されている。第2シール部12は、Z軸方向から見て、電極積層体11を包囲するように電極積層体11の周囲に設けられている。第2シール部12は、第1シール部21を外側から包囲するように第1シール部21に接合(例えば溶着)されている。第2シール部12は、例えば、樹脂の射出成型によって形成され、Z軸方向に沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2シール部12は、例えば、射出成型時の熱によって第1シール部21の外表面に溶着されている。
【0032】
第1シール部21及び第2シール部12は、Z軸方向に沿って隣り合うバイポーラ電極14同士の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14同士の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。すなわち、電極積層体11を取り囲むように配置された枠体25は、Z軸方向に隣り合う複数の電極板15の間に内部空間Vを形成するとともに、内部空間Vのそれぞれを封止する。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。電解液の少なくとも一部は、セパレータ13、正極活物質層16及び負極活物質層17内に含浸され得る。なお、一例のモジュール本体4Aは、24カ所の内部空間Vを有している。以下の説明では、正極終端電極19と正極終端電極19に隣り合うバイポーラ電極14との間に形成された内部空間Vを第1内部空間V1といい、隣り合うバイポーラ電極14同士の間に形成された内部空間Vを第2内部空間V2といい、負極終端電極18と負極終端電極18に隣り合うバイポーラ電極14との間に形成された内部空間Vを第3内部空間V3という場合がある。
【0033】
図1図4に示されるように、第2シール部12は、蓄電モジュール4の長辺に沿った一対の外周面12sと、外周面12s同士を接続する一対の外周面12rと、を含む。外周面12s及び外周面12rは、Z軸方向に沿って延びる面である。ここでは、外周面12sがX軸方向に交差(直交)する面であり、外周面12rがY軸方向に交差(直交)する面である。また、外周面12sのY軸方向の長さは、外周面12rのX軸方向の長さよりも長い。上述した導電板5において、流路5aは、X軸方向に沿って延在し、導電板5のX軸方向に交差する一対の表面に開口している。
【0034】
したがって、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の外周面12s側の隙間は、流路5aに対する冷媒の導入及び導出に利用される(冷媒が通過する)。一方、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の外周面12r側の隙間は、流路5aに対する冷媒の導入及び導出に利用されない。このため、モジュール積層体2では、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の外周面12s側の隙間は開放されており、外周面12r側の隙間は封止材Eにより封止されている。
【0035】
ここで、蓄電モジュール4は、一対の金属板50を備えてもよい。本実施形態では、金属板50は、Z軸方向における電極積層体11の一端(負極終端電極18側の端部)及び他端(正極終端電極19側の端部)に設けられている。一対の金属板50のうちの一方は、負極終端電極18の電極板15の第1面15aと導電板5とに接触する。一対の金属板50の他方は、正極終端電極19の電極板15の第2面15bと別の導電板5とに接触する。このように、蓄電モジュール4では、負極終端電極18及び正極終端電極19のさらに外側に金属板50が設けられることになる。Z軸方向における一端に配置された金属板50(負極終端電極18)は、蓄電モジュール4の負極端子面を構成する。また、Z軸方向における他端に配置された金属板50(正極終端電極19)は、蓄電モジュール4の正極端子面を構成する。
【0036】
一対の金属板50の一方の周縁部は、負極終端電極18の電極板15に設けられた第1シール部21の第1部分21aと、当該第1部分21aの反対側に設けられた別の第1部分21aとによって挟持されている。これらの一対の第1部分21aは、第3部分21cによって接合(例えば溶着)されて一体化されている。一対の金属板50の他方の周縁部は、正極終端電極19の電極板15に設けられた第1シール部21の第1部分21aと、当該第1部分21aの反対側に設けられた別の第1部分21aとによって挟持されている。これらの一対の第1部分21aについても、第3部分21cによって接合(例えば溶着)されて一体化されている。金属板50は、活物質層が形成されていない電極板15といった金属箔(未塗工箔)である。
【0037】
図5は、モジュール本体4Aを構成する枠体25における1つの壁部25aを示す。図6は、蓄電モジュール4の一部を示す分解斜視図である。図4図6に示されるように、壁部25a(第2シール部12の外周面12r)には、圧力調整弁22を取り付けるための複数(ここでは4つ)の取付領域24が設けられている。複数の取付領域24は、X軸方向において互いに離間している。一例においては、X軸方向において隣り合う2つの取付領域24に対して1つの圧力調整弁22が取り付けられる。
【0038】
各取付領域24において、枠体25は、内部空間V(図3参照)に連通された連通孔24a(第1連通孔)を有する。各取付領域24には、複数(ここでは6つ)の連通孔24aがそれぞれ設けられている。連通孔24aは、各取付領域24において3列2段(Y軸方向に3列、Z軸方向に2段)に配列されている。したがって、連通孔24aは、壁部25aにおいて12列2段に配列されている。各連通孔24aは、異なるセルの内部空間Vとそれぞれ連通されており、外周面12rに開口している。
【0039】
具体的には、図5において紙面に向かって左端に設けられた取付領域24は、連通孔24a1と、複数(ここでは5つ)の連通孔24a2とをそれぞれ有する。図5において、X軸方向の内側に設けられた2つの取付領域24は、複数(ここでは6つ)の連通孔24a2のみを有する。図5において、紙面に向かって右端に設けられた取付領域24は、連通孔24a3と、複数(ここでは5つ)の連通孔24a2とをそれぞれ有する。連通孔24a1は、積層方向Dの最も負側の第1内部空間V1に連通されている。各連通孔24a2は、積層方向Dの中間に配置された複数の第2内部空間V2のうちのいずれか1つに連通されている。連通孔24a3は、積層方向Dの最も正側の第3内部空間V3に連通されている。
【0040】
各連通孔24aは、第1シール部21に設けられた貫通孔21hと、第2シール部12に設けられた貫通孔12hとを含む。連通孔24aは、内部空間Vに電解液を注入するための注液孔として機能する。また、連通孔24aは、電解液が注入された後は、内部空間Vで発生したガス(例えば水素ガス)が流れる流路となる。
【0041】
各取付領域24において、第2シール部12は、略枠状の接合用の突起27を有している。突起27は、モジュール本体4Aと圧力調整弁22とを熱溶着により接合するのに用いられるとともに、各内部空間Vからのガスがそれぞれ流れる複数(ここでは6つ)の中間空間28を形成する。中間空間28は、注液孔やガスが流れる流路の一部を構成し得る。中間空間28は、X軸方向に垂直な面に沿った断面において矩形状を有している。突起27は、Y軸方向から見て、格子状に形成されており、複数の連通孔24aをそれぞれ取り囲んでいる。
【0042】
図5において紙面に向かって左端に設けられた取付領域24の複数の中間空間28は、連通孔24a1に連通する中間空間281と、連通孔24a2に連通する中間空間282とを含む。図5においてX軸方向の内側に設けられた2つの取付領域24の複数の中間空間28は、連通孔24a2に連通する中間空間282のみによって構成される。図5において紙面に向かって右端に設けられた取付領域24の複数の中間空間28は、連通孔24a3に連通する中間空間283と、連通孔24a2に連通する中間空間282とを含む。
【0043】
次に、モジュール本体4Aに取り付けられる圧力調整弁22の構成について詳細に説明する。図7は、圧力調整弁の分解斜視図である。図8は、カバーの平面図である。図9は、ケースの平面図である。図10は、ケースの底面図である。図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。
【0044】
図6図11に示されるように、圧力調整弁22は、ハウジング23と、複数(ここでは12個)の弁体30と、を有している。ハウジング23は、ケース29と、カバー31とを含んでいる。ケース29は、例えばPP、PPS、変性PPE等の樹脂で形成されている。ケース29は、ケース29とカバー31とが対向する対向方向から見て略矩形状に形成されている。対向方向は、モジュール本体4Aの外周面12rに対する圧力調整弁22の取付方向であり、弁体30の圧縮方向でもある。圧力調整弁22は、外周面12rに垂直な方向に、モジュール本体4Aに取り付けられる。このため、ケース29とカバー31との対向方向は、Y軸方向と一致している。
【0045】
ケース29は、底壁32(壁体)を有している。底壁32は、モジュール本体4Aの外周面12rとY軸方向において対向する。底壁32には、底壁32をY軸方向において貫通する複数(ここでは12個)の貫通孔33(第2連通孔)が設けられている。貫通孔33は、モジュール本体4Aに対面する外壁面32aからカバー31に対面する内壁面32bに至っている。
【0046】
図6及び図7に示されるように、ケース29は、底壁32からカバー31側に突出した外周壁36を有している。本実施形態では、外周壁36は、底壁32と一体的に形成されている。外周壁36は、複数(ここでは12個)の弁体30を一括して包囲するように、底壁32の内壁面32bの縁部に立設されている。具体的には、外周壁36は、底壁32の外周縁部の全周にわたって形成されており、ケース29の外壁を構成している。より具体的には、外周壁36は、Y軸方向から見て、略矩形状に形成された底壁32の外周縁部に沿って、略矩形枠状に形成されている。
【0047】
一例において、内壁面32bには、各弁体30が収容される円柱状の収容空間S1が形成されている。収容空間S1は、Y軸方向に沿った軸線を有しており、内壁面32bから外壁面32aに向かって凹状に形成されている。
【0048】
本実施形態では、ケース29にカバー31が固定された状態において、カバー31が外周壁36の端面36aに接する一方で、カバー31と内壁面32bとは互いに離間している。すなわち、カバー31と内壁面32bとの間には空間S2が形成されている。当該空間S2は、内部空間Vから圧力調整弁22の内部に流入したガスや電解液の流路として機能する。
【0049】
弁体30は、貫通孔33を塞ぐようにハウジング23内の収容空間S1に収容されている。複数の弁体30は、対応する貫通孔33を塞ぐようにX軸方向において並んで配置されている。弁体30は、ゴム等の弾性部材によって形成された円柱状部材である。弁体30は、底壁32の内壁面32b側から貫通孔33を塞ぐ第1端面30aと、第1端面30aとは逆側に位置する第2端面30bと、第1端面30a及び第2端面30bを接続する側面30cとを有している。第2端面30bは、カバー31によって押圧される被押圧面である。
【0050】
弁体30は、第1端面30aが収容空間S1に対して押し付けられた状態で配置されることにより、貫通孔33を塞いでいる。弁体30は、内部空間Vの圧力に応じて、貫通孔33を開閉させる。弁体30の側面30cと収容空間S1の内壁面S1aとの間には、隙間Gが設けられている。
【0051】
図7及び図9に示されるように、収容空間S1の内壁面S1aには、弁体30を位置決めするための突出部38が形成されている。突出部38は、収容空間S1の内壁面S1aから内側に向かって突出している。突出部38は、貫通孔33の中心軸線の延びる方向(Y軸方向)に沿って収容空間S1の内壁面S1a全体にわたって設けられている。突出部38は、弁体30の側面30cと接触するように形成されている。突出部38が弁体30と接触することにより、弁体30の中心位置と貫通孔33の中心軸線とが互いに一致し得る。このような突出部38により、弁体30の位置ずれを一定の範囲内に抑えることができる。本実施形態では、複数(ここでは6つ)の突出部38が、貫通孔33の中心軸線回りに等ピッチで形成されている。
【0052】
図6及び図9に示されるように、収容空間S1の底面S1bには、当該内壁面32bから外方に突出する突起であるシール部39が形成されている。シール部39は、当該シール部39に対して押し付けられた弁体30の第1端面30aと接触することで、貫通孔33と隙間Gとの間を開閉可能に閉塞している。シール部39は、底面S1bにおける貫通孔33の開口端を囲むように形成されている。シール部39は、貫通孔33の縁部に沿って、貫通孔33の中心軸線を中心とする円環状に形成されている。シール部39は、貫通孔33の全周を隙間無く囲むように形成されている。これにより、シール部39は、弁体30の第1端面30aと隙間なく接触しており、気密性が確保されている。
【0053】
図10に示されるように、底壁32の外壁面32aには、略枠状の一対の接合用の突起34が設けられている。一対の突起34は、突起27に対応する間隔でX軸方向に離間して形成されている。一対の突起34は、モジュール本体4Aと圧力調整弁22とを接合するとともに、各内部空間Vからのガスや電解液がそれぞれ流れる複数(ここでは12個)の中間空間35を形成する。突起34は、モジュール本体4Aの突起27と接合される。突起34は、突起27に対応する形状及び寸法を有している。すなわち、突起34は、Y軸方向から見て、格子状に形成されており、複数の貫通孔33をそれぞれ取り囲んでいる。
【0054】
モジュール本体4Aと圧力調整弁22とは、例えば熱板溶着によって接合される。具体的には、モジュール本体4Aと圧力調整弁22との間に熱板を配置し、突起27及び突起34の先端を熱板に当接させる。これにより、突起27及び突起34の先端が溶融する。続いて、突起27及び突起34が溶融している間に、突起27の先端に対して突起34の先端を押し付けることにより、突起27と突起34とを溶着(接合)する。その結果、モジュール本体4Aと圧力調整弁22とが接合される。突起27と突起34とが互いに溶着されることにより、Y軸方向から見て対応する位置に配置された中間空間28と中間空間35とが連結される。突起27と突起34とが互いに溶着された状態において、各貫通孔33は、モジュール本体4Aの各連通孔24aにそれぞれ接続される。換言すると、中間空間28,35は、互いに対応する連通孔24aと貫通孔33とを仲介する。
【0055】
中間空間35は、中間空間351(第1中間空間)と中間空間352(第2中間空間)とに分類され得る。中間空間351は、図10の紙面を正面から見たとき、右端の下段に配置されている。図5の紙面左側の2つの取付領域24に対して圧力調整弁22が接合される場合、中間空間351は、連通孔24a1に連通する中間空間281に接続される。図5の紙面右側の2つの取付領域24に対して圧力調整弁22が接合される場合、圧力調整弁22の天地が反転されることにより、中間空間351は、連通孔24a3に連通する中間空間283に接続される。中間空間352は、連通孔24a2に連通する中間空間282に接続される。
【0056】
図6図8に示すように、カバー31は、ケース29の開口を塞ぐ部材である。カバー31は、側壁40を有している。側壁40は、複数の弁体30を挟んでケース29の底壁32とY軸方向で対向している。側壁40及び底壁32は、Y軸方向で互いに対向するハウジング23の一対の壁を構成している。カバー31は、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。一例において、カバー31は射出成形によって製造され得る。Y軸方向から見て、カバー31の外周縁部の位置は、ケース29の外周縁部(外周壁36の外側縁部)の位置と略一致している。
【0057】
カバー31は、例えば、超音波溶着等の溶着によりケース29の開口端面に接合されている。具体的には、側壁40の外周縁部は、ケース29の外周壁36の端面36aに溶着されている。側壁40には、側壁40をY軸方向において貫通する第1孔41及び第2孔42が設けられている。第2孔42は、第1孔41よりも鉛直上方に位置している。第1孔41及び第2孔42は、Y軸方向から見て弁体30と重ならないように配置されている。第1孔41及び第2孔42は、Y軸方向から見て、Z軸方向において弁体30と隣り合うように配置されている。第1孔41と第2孔42とは、Z軸方向において互いに重ならないように配置されている。第1孔41と第2孔42とは、Z軸方向から見て、互いに重ならならないようにX軸方向に離間して配置されている。
【0058】
第1孔41及び第2孔42は、圧力調整弁22の内部のガスを圧力調整弁22の外部に排気(排出)するための排気口、又は、圧力調整弁22の内部の電解液を圧力調整弁22の外部に排出するための排出口、として機能し得る。一例として、第1孔41及び第2孔42は、Y軸方向に直交する断面において、X軸方向を長手方向とする長円形状を有している。第1孔41及び第2孔42は、互いに同じ形状を有している。
【0059】
側壁40には、複数(ここでは6個)の第1孔41及び複数(ここでは6個)の第2孔42が設けられている。複数の第1孔41は、X軸方向において一列に並んで配置されている。複数の第2孔42は、X軸方向において一列に並んで配置されている。複数の第1孔41及び複数の第2孔42は、X軸方向において交互に配置されている。第1孔41及び第2孔42は、各取付領域24に対して3個ずつ設けられている。
【0060】
ケース29の構成について、さらに説明する。図9及び図10に示すように、ケース29に形成された複数の貫通孔33は、貫通孔331と貫通孔332とを含む。貫通孔331は、Y軸方向から見て連通孔24a1が形成された位置に対応しており、中間空間351及び中間空間281を介して、連通孔24a1に連通される。貫通孔332は、Y軸方向から見て連通孔24a2が形成された位置に対応しており、中間空間352及び中間空間282を介して、連通孔24a2に連通される。
【0061】
図11に示すように、底壁32は、中間空間351に臨み枠体25に対面する外壁面32a1を有する第1壁部321と、中間空間352に臨み枠体25に対面する外壁面32a2を有する複数の第2壁部322とを含む。第1壁部321の外壁面32a1と第2壁部322の外壁面32a2とは突起34によって互いに隔たれている。また、複数の第2壁部322の外壁面32a2同士も突起34によって互いに隔たれている。
【0062】
外壁面32a1,32a2には、枠体25から離れる方向に凹んだ溝部37が形成されている。溝部37は、弁体30(収容空間S1)の軸方向(Y軸方向)に沿って延在している。Y軸方向から見て、溝部37は、弁体30を避けて形成されており、弁体30とは重複しない。溝部37は、Y軸方向に沿って枠体25から離れてカバー31に向かうように延在する内周面37aと、内周面37aのカバー31側の端部に形成される底面37bと、を有している。底面37bは、外壁面32aと同様に、枠体25に対面している。溝部37は枠体25から離れるにつれて溝幅が狭くなるように形成されており、内周面37aはY軸方向に対して傾斜して延在している。溝部37の内周面37aのうち、弁体30に隣り合う壁面37a1は、収容空間S1を形成する壁部によって形成されている。すなわち、内周面37aのうち、弁体30に隣り合う壁面37a1の反対面には、収容空間S1を形成する内壁面S1aが位置している。換言すると、壁面37a1は収容空間S1を形成する壁部の一方面であり、内壁面S1aは収容空間S1を形成する壁部の他方面である。
【0063】
また、溝部37の内周面37aのうち弁体30に隣り合わない別の部分の壁面37a2は、外周壁36によって形成されている。底面37bは、底壁32において、空間S2を形成する内壁面32bの反対側に位置している。例えば、Y軸方向から見て、溝部37の縁部の少なくとも一部は、弁体30の周縁に沿って形成されていてもよい。すなわち、溝部37の内周面37aのうち、弁体30に隣り合う壁面37a1は、円柱状の弁体30の外周面に沿うように湾曲して形成されていてよい。
【0064】
図10に示すように、一例においては、突起34がそれぞれの貫通孔33を囲むように格子状に形成されている。また、X軸方向に沿って配置される隣り合う貫通孔33同士は、Z軸方向に互いにずれている。図示例では、X軸方向において互いに隣り合う弁体30を収容する収容空間S1同士は、Z軸方向に互いに重複する範囲で互いにずれている。そのため、Y軸方向から見て、溝部37の縁部は、X方向に隣り合う2つの弁体30の周縁の一部と突起34の一部とに沿って形成されている。
【0065】
上述のとおり、一例の蓄電モジュール4は、同一の形状(構造)を有する2つの圧力調整弁22(第1圧力調整弁22A、第2圧力調整弁22B)を含んでいる(図4参照)。図4の例では、紙面の手前(左)に第1圧力調整弁22Aが配置され、紙面の奥(右)に第2圧力調整弁22Bが配置されている。
【0066】
一つのモジュール本体4Aに取付けられる第1圧力調整弁22Aと第2圧力調整弁22Bとは、Y軸方向に沿った回転軸を中心に互いに反転した状態で枠体25に取り付けられている。すなわち、第1圧力調整弁22Aと第2圧力調整弁22Bとは、天地が逆になっている。第1圧力調整弁22Aでは、貫通孔331が、中間空間351及び中間空間281を介して、第1内部空間V1に連通された連通孔24a1に連通され、第2圧力調整弁22Bでは、貫通孔331が、中間空間351及び中間空間283を介して、第3内部空間V3に連通された連通孔24a3に連通されることになる。
【0067】
以上説明したように、蓄電モジュール4は、Z軸方向に積層された複数の電極(バイポーラ電極14、負極終端電極18、正極終端電極19)を備える電極積層体11、及び、電極積層体11を取り囲むように配置されて、Z軸方向に隣り合う複数の電極の間にそれぞれ形成された複数の内部空間Vを封止する枠体25、を有するモジュール本体4Aと、枠体25に取り付けられた圧力調整弁22と、を備える。枠体25は、複数の内部空間Vとそれぞれ連通されて枠体25の外周面12rに開口した複数の連通孔24aを有する。圧力調整弁22は、複数の連通孔24aとそれぞれ連通する複数の貫通孔33が形成され、枠体25に対向する樹脂製の底壁32と、底壁32から枠体25に向かうように、Z軸方向に交差するY軸方向に沿って、底壁32における枠体25の外周面12rに対向する外壁面32a(第1壁面)から突出し、外壁面32aに開口する複数の貫通孔33をそれぞれ取り囲むように形成された突起34と、底壁32における外壁面32aとは反対の面である内壁面32b(第2壁面)側から複数の貫通孔33をそれぞれ塞ぐ複数の弁体30と、を有する。底壁32の外壁面32aのうち突起34によって取り囲まれた複数の貫通孔33の一つの開口を含む領域であって、Y軸方向から見て複数の弁体30と重複しない領域には、弁体30に沿いつつ枠体25から離れる方向に凹んだ溝部37が形成されている。
【0068】
上記蓄電モジュール4では、Z軸方向に互いに隣り合う電極同士によってセルが構成される。各セルを構成する内部空間Vで発生したガスの一部は、中間空間35に臨む底壁32を透過し得る。底壁32の外壁面32aには溝部37が形成されているため、外壁面32aが平坦に形成されている場合に比べて、中間空間35に露出する外壁面32aの表面積を大きくすることができる。これにより、ガスの透過経路が増加するため、圧力調整弁22の外部に透過するガスの量を増加させることができる。このような溝部37は弁体30と重複しない領域において弁体30に沿って形成されているため、圧力調整弁22によって形成される空間を有効に利用でき、圧力調整弁22が大型化することが抑制される。これにより、蓄電モジュール4が大型化することが抑制される。
【0069】
複数の弁体30は円柱状を呈しており、突起34は、Y軸方向から見て、それぞれの貫通孔33を矩形枠状に囲んでいてよい。この構成では、突起34が矩形枠状であり、弁体30が円形状であるため、突起34の内側の領域では、弁体30が配置されない領域が形成されやすく、溝部37が形成されるための空間が確保されやすい。
【0070】
Y軸方向から見て、溝部37の縁部の少なくとも一部は、弁体30の周縁の形状に沿って形成されていてよい。この構成では、溝部37と弁体30が配置されている領域とを結ぶ透過経路を効率よく形成することができる。
【0071】
複数の弁体30は、Z軸方向とY軸方向とに交差するX軸方向に沿って配置され、X軸方向に互いに隣り合う弁体30の位置は、Z軸方向に互いにずれていてよい。この構成では、X軸方向に互いに隣り合う弁体30同士がX軸方向に対して斜めに配置されるため、溝部37を形成するためのスペースが生じやすくなっている。
【0072】
以上、本開示の一例の形態について詳細に説明されたが、本開示は上記形態に限定されない。
【0073】
例えば、図12は他の例に係るケースの底面図であり、図13は、図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。図12及び図13に示すケースでは、中間空間352に臨む外壁面32a2にのみ溝部37が形成されており、中間空間351に臨む外壁面32a1には、溝部37が形成されていない。また、外壁面32a1に対応する第1壁部321は、収容空間S1の底面S1bから外壁面32aまでの厚みと同程度の厚みに形成されている。
【0074】
上記の蓄電モジュール4は、第1内部空間V1(または第3内部空間V3)を有する最外セルと、第2内部空間V2を有する中間セルとを有している。セル内で発生するガスは、電極積層体11の周縁を封止する枠体25を介して外部に透過し得る。積層方向の中間に位置する中間セルでは、概ね水平方向(X軸方向及びY軸方向)に沿うように枠体25をガスが透過しやすい。一方、積層方向の最も外側に位置する最外セルでは、水平方向に加えて、鉛直方向(Z軸方向)にも沿うようにガスが枠体25を透過し得る。そのため、最外セルから透過するガスの量は、中間セルから透過するガスの量に比べて多くなる傾向にある。
【0075】
蓄電モジュール4では、第1内部空間V1が、連通孔24a1によって中間空間351と連通しており、第2内部空間V2は、連通孔24a2によって中間空間352と連通している。そのため、最外セルを構成する第1内部空間V1で発生したガスの一部は、中間空間351に臨む第1壁部321を透過し得る。同様に、中間セルを構成する第2内部空間V2で発生したガスの一部は、中間空間352に臨む第2壁部322を透過し得る。
【0076】
図12及び図13に示すケースでは、第1壁部321の外壁面32a1の表面積が第2壁部322の外壁面32a2の表面積よりも小さく形成されているため、第2壁部322を透過するガスの量に比べて、第1壁部321を透過するガスの量は少なくなる。したがって、最外セルのガス透過量と中間セルのガス透過量との差を低減できる。
【0077】
本開示の要旨は、以下のように記載され得る。
[1]
第1方向に積層された複数の電極を備える電極積層体、及び、前記電極積層体を取り囲むように配置されて、前記第1方向に隣り合う前記複数の電極の間にそれぞれ形成された複数の内部空間を封止する枠体、を有するモジュール本体と、
前記枠体に取り付けられた圧力調整弁と、を備える蓄電モジュールであって、
前記枠体は、前記複数の内部空間とそれぞれ連通されて前記枠体の外周面に開口した複数の第1連通孔を有し、
前記圧力調整弁は、
前記複数の第1連通孔とそれぞれ連通する複数の第2連通孔が形成され、前記枠体に対向する樹脂製の壁体と、
前記壁体から前記枠体に向かうように前記第1方向に交差する第2方向に沿って、前記壁体における前記枠体の前記外周面に対向する第1壁面から突出し、前記第1壁面に開口する前記複数の第2連通孔をそれぞれ取り囲むように形成された突起と、
前記壁体における前記第1壁面とは反対の面である第2壁面側から前記複数の第2連通孔をそれぞれ塞ぐ複数の弁体と、を有し、
前記壁体の前記第1壁面のうち前記突起によって取り囲まれた前記複数の第2連通孔の一つの開口を含む領域であって、前記第2方向から見て前記複数の弁体と重複しない領域には、前記弁体に沿いつつ前記枠体から離れる方向に凹んだ溝部が形成されている、蓄電モジュール。
[2]
前記複数の弁体は、円柱状を呈しており、
前記突起は、前記第2方向から見て、それぞれの前記第2連通孔を矩形枠状に囲んでいる、[1]に記載の蓄電モジュール。
[3]
前記第2方向から見て、前記溝部の縁部の少なくとも一部は、前記弁体に沿って形成されている、[1]または[2]に記載の蓄電モジュール。
[4]
前記複数の弁体は、前記第1方向と前記第2方向とに交差する第3方向に沿って配置され、
前記第3方向に互いに隣り合う前記弁体の位置は、前記第1方向に互いにずれている、[1]~[3]のいずれかに記載の蓄電モジュール。
【符号の説明】
【0078】
4…蓄電モジュール、4A…モジュール本体、11…電極積層体、14…バイポーラ電極(電極)、18…負極終端電極(電極)、19…正極終端電極(電極)、22…圧力調整弁、24a…連通孔(第1連通孔)、25…枠体、30…弁体、32…底壁(壁体)、32a…外壁面(壁面)、33…貫通孔(第2連通孔)、37…溝部、V…内部空間。
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