(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092312
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】荷役システム及び反射装置
(51)【国際特許分類】
B62D 33/04 20060101AFI20240701BHJP
B60P 1/00 20060101ALI20240701BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240701BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B62D33/04 Z
B60P1/00 Z
G05D1/02 J
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208146
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183222
【氏名又は名称】住友ナコ フォ-クリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】日南 敦史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄士
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333FA04
3F333FA05
3F333FA25
3F333FD13
3F333FD14
3F333FD15
3F333FE04
3F333FE05
5H301AA01
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF06
5H301GG08
(57)【要約】
【課題】荷役車両が輸送車両の荷台の左脇と右脇のどちらからも荷役を行えるようにする。
【解決手段】荷役システムは、輸送車両90の荷台93に設けられる反射装置2FLと、前記反射装置2FLを視準することによって自己位置を推定しながら自律走行し、前記荷台93への荷99の積み込み動作又は前記荷台から荷の取り出し動作をする荷役車両30Lと、を備える。前記反射装置2FLが、前記荷台93に設けられ、前記荷台93の左脇と右脇のうち一方の脇に向けられる第1反射部21と、前記第1反射部21の右において前記荷台93に設けられ、前記荷台93の他方の脇に向けられる第2反射部22と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送車両の荷台に設けられる反射装置と、
前記反射装置を視準することによって自己位置を推定しながら自律走行し、前記荷台への荷の積み込み動作又は前記荷台から荷の取り出し動作をする荷役車両と、を備え、
前記反射装置が、
前記荷台に設けられ、前記荷台の左脇と右脇のうち一方の脇に向けられる第1反射部と、
前記第1反射部の左又は右において前記荷台に設けられ、前記荷台の他方の脇に向けられる第2反射部と、
を有する
荷役システム。
【請求項2】
前記一方の脇において走行する前記荷役車両に対して近位の前記第1反射部は、前記輸送車両の前後方向及び上下方向によって定義される基準面に対して傾斜し、前記一方の脇において走行する前記荷役車両に対して遠位の前記第2反射部は、前記基準面から前記第1反射部が傾斜する向きの反対に前記基準面から傾斜する
請求項1に記載の荷役システム。
【請求項3】
前記第1反射部及び前記第2反射部が前記荷台上にて前記一方の脇に寄って配置され、
前記一方の脇において走行する前記荷役車両に対して遠位の前記第2反射部が前記基準面から傾斜する角度は、前記一方の脇において走行する前記荷役車両に対して近位の前記第1反射部が前記基準面から傾斜する角度よりも大きい
請求項2に記載の荷役システム。
【請求項4】
前記反射装置が、
前記第1反射部と前記第2反射部が成す角に取り付けられ、前記第1反射部の方と前記第2反射部の方へ張り出すように幅を有する遮光部
を有する
請求項2又は3に記載の荷役システム。
【請求項5】
前記反射装置が、前記荷台の左前角、右前角、左後ろ角又は右後ろ角に設けられている
請求項1から3の何れかに記載の荷役システム。
【請求項6】
前記第1反射部及び前記第2反射部が再帰反射器により構成されている
請求項1から3の何れか一項に記載の荷役システム。
【請求項7】
前記荷台の床板から前記反射装置の下端までの高さが前記荷の高さ以上である
請求項1から3の何れか一項に記載の荷役システム。
【請求項8】
輸送車両の荷台に設けられる反射装置であって、
前記荷台に設けられ、前記荷台の左脇と右脇のうち一方の脇に向けられる第1反射部と、
前記第1反射部の右又は左において前記荷台に設けられ、前記荷台の他方の脇に向けられる第2反射部と、
を備える反射装置。
【請求項9】
前記一方の脇において走行する荷役車両に対して近位の前記第1反射部は、前記輸送車両の前後方向及び上下方向によって定義される基準面に対して傾斜し、前記一方の脇において走行する前記荷役車両に対して遠位の前記第2反射部は、前記基準面から前記第1反射部が傾斜する向きの反対に前記基準面から傾斜する
請求項8に記載の反射装置。
【請求項10】
前記第1反射部と前記第2反射部が成す角に取り付けられ、前記第1反射部の方と前記第2反射部の方へ張り出すように幅を有する遮光部
を備える請求項9に記載の反射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役システム及び反射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自律走行型の荷役車両がトラック等の輸送車両の荷台に荷を積み込む技術を開示する。この荷役車両は、自律走行のために利用されるレーザースキャナーを備える。この荷役車両は、輸送車両の荷台の右側部に設置されたリフレクタをレーザースキャナーにより視準することによって輸送車両を基準とした自己位置を推定しながら、荷台の右脇において走行して、荷台の右脇から荷台に荷を積み込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、荷役車両が輸送車両の荷台の右脇のみならず、左脇からも荷台に荷を積み込めるようにすることが望まれる。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、荷役車両が輸送車両の荷台の左脇と右脇のどちらからも荷役を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、
輸送車両の荷台に設けられる反射装置と、
前記反射装置を視準することによって自己位置を推定しながら自律走行し、前記荷台への荷の積み込み動作又は前記荷台から荷の取り出し動作をする荷役車両と、を備え、
前記反射装置が、
前記荷台に設けられ、前記荷台の左脇と右脇のうち一方の脇に向けられる第1反射部と、
前記第1反射部の左又は右において前記荷台に設けられ、前記荷台の他方の脇に向けられる第2反射部と、
を有する
荷役システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、荷役装置が荷台の左脇と右脇のどちらからも荷役を行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態における荷役システム及び輸送車両の上面図である。
【
図2】第1実施形態における輸送車両の斜視図である。
【
図3】第1実施形態における反射装置の斜視図である。
【
図4】第2実施形態における荷役システム及び輸送車両の上面図である。
【
図5】第2実施形態における反射装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0010】
〔第1実施形態〕
<荷役システム及び輸送車両>
図1は、荷役システム及び輸送車両90の上面図である。
図2は、輸送車両90の斜視図である。
【0011】
荷役システムは、2体の無人フォークリフト(Automated Guided Forklift;以下、「AGF」という。)30L,30R及び4体の光学的な反射装置2FL,2FR,2RL,2RRを備える。荷役システム1は、AGF30L,30Rによって荷99を荷受け場所から輸送車両90の荷台93に積み込み、又はAGF30L,30Rによって荷99を輸送車両90の荷台93から荷渡し場所に降ろすシステムである。
【0012】
輸送車両90は貨物自動車である。輸送車両90は、キャブ91、シャーシ92及び荷台93を備える。キャブ91は、乗員が乗る運転室である。キャブ91がシャーシ92の前部に搭載され、シャーシ92には車輪等が取り付けられている。荷台93がキャブ91の後方においてシャーシ92上に搭載されている。荷台93は、荷99が載せられる台である。荷台93は、その左右の側面が開閉可能なダブルウイング型構造を有する。具体的には、荷台93は、床板93a、フロントパネル93b、リアパネル93c、一対のサイドアオリ94L,94R及びウイングパネル95L,95Rを備える。床板93aは、シャーシ92上に搭載されているとともに、前後左右に矩形状に広がっている。フロントパネル93bは、床板93aの前端において起立しているとともに、上下左右に矩形状に広がっている。リアパネル93cは、床板93aの後端において起立してるとともに、上下左右に矩形状に広がっている。リアパネル93cは、フロントパネル93bに対向する。リアパネル93cは、開閉可能なドアを有してもよい。左のサイドアオリ94Lは、床板93aの左の端にヒンジを介して振り上げ・振り下げ可能に取り付けられ、右のサイドアオリ94Rは、床板93aの右の端にヒンジを介して振り上げ・振り下げ可能に取り付けられている。ウイングパネル95L,95Rは、ガルウイング式のドアパネルである。ウイングパネル95L,95Rは、フロントパネル93b及びリアパネル93cの上端の左右中央部に振り上げ・振り下げ可能に取り付けられている。サイドアオリ94L,94Rが振り上げられるとともに、ウイングパネル95L,95Rが振り下げられると、床板93a、フロントパネル93b、リアパネル93c、サイドアオリ94L,94R及びウイングパネル95L,95Rによって囲われた閉空間が形成される。
【0013】
反射装置2FL,2FR,2RL,2RRは、荷台93に設けられている。反射装置2FL,2FR,2RL,2RRは、AGF30L,30Rのレーザースキャナー33L,33Rによって視準されるターゲットである。反射装置2FL,2FR,2RL,2RRは、それぞれ荷台93の左前角、右前角、左後ろ角及び右後ろ角の位置をAGF30L,30Rの制御部に認識させるために利用される。反射装置2FL,2FR,2RL,2RR及びAGF30Lのレーザースキャナー33Lは、輸送車両90を基準とした絶対座標系におけるAGF30Lの自己位置の推定に利用される。反射装置2FL,2FR,2RL,2RR及びAGF30Rのレーザースキャナー33Rは、輸送車両90を基準とした絶対座標系におけるAGF30Rの自己位置の推定に利用される。反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの詳細については、後に説明する。
【0014】
AGF30L,30Rは、軌条等を用いずに作業場の床面上を自律走行する無人フォークリフトである。AGF30L,30Rは、自律運転されることによって、荷役動作をする。荷役動作には、荷積み動作と荷降ろし動作があり、荷積み動作及び荷降ろし動作は、例えば次の通りである。
荷積み動作の場合、まず、AGF30Lは、荷99を取りに行くために、輸送車両90から離れた荷受け場所まで走行する。その後、AGF30Lは、荷受け場所において荷99を持ち上げる。その後、AGF30Lは、その荷99を荷台93の左脇へ運搬する。その後、AGF30Lは、荷99を荷台93の左脇から荷台93の床板93a上に積み込む。AGF30Lは、このような一連の動作を繰り返すことによって、複数の荷99を1体ずつ荷台93の床板93a上に積み込む。
荷降ろし動作の場合、まず、AGF30Lは、荷台93に積み込まれた荷99を取りに行くために、荷台93の左脇へ走行する。その後、AGF30Lは、床板93a上の荷99を持ち上げて、荷99を荷台93から取り出す。その後、AGF30Lは、荷台93の左脇から荷渡し場所まで荷99を運搬する。その後、AGF30Lは、荷渡し場所において荷99を降ろす。AGF30Lは、このような一連の動作を繰り返すことによって、複数の荷99を1体ずつ荷台93の床板93aから降ろす。
【0015】
AGF30Lが荷台93の左脇において走行するのに対して、AGF30Rは荷台93の右脇において走行する。AGF30Lが荷99を荷台93の左脇から荷台93の床板93a上に積み込むのに対して、AGF30Rが荷99を荷台93の右脇から荷台93の床板93a上に積み込む。また、AGF30Lが荷99を荷台93の左脇へ取り出すのに対して、AGF30Rが荷99を荷台93の右脇へ取り出す。
【0016】
AGF30Lは、走行体31L、リフター32L、レーザースキャナー33L及び制御部を有する。
【0017】
走行体31Lは、車体と、一対の駆動輪と、駆動輪を駆動するモーターと、一対の操舵輪と、操舵輪を操舵する操舵機構と、有する。駆動輪がモーターによって駆動されることによって走行体31Lが走行する。操舵輪が操舵機構によって操舵された上で、駆動輪がモーターによって駆動されることによって、走行体31Lが転回する。
【0018】
リフター32Lは、走行体31Lの前部に取り付けられている。リフター32Lは、荷99を持ち上げたり、降ろしたりする。リフター32Lは、荷99をその下から支持するフォークと、フォークを昇降させる昇降機構と、フォーク及び昇降機構をチルトさせるチルト機構とを有する。フォークが荷99をその下から支持する。昇降機構がフォークを上昇させることによって荷99が持ち上げられ、昇降機構がフォークを下降させることによって荷99が降ろされる。チルト機構がフォークを上に傾動すると、荷99がその後ろの昇降機構のマストに支持される。
【0019】
レーザースキャナー33Lは、走行体31Lの前部の上端に取り付けられている。レーザースキャナー33Lは、光学式の測域センサであって、LiDAR(Light Detection And Ranging)とも呼ばれる。つまり、レーザースキャナー33Lは、レーザービームを水平に投光するとともに、対象物に入射したレーザービームの反射光を受光することによって、レーザースキャナー33Lから対象物までの距離を検出する。また、レーザースキャナー33Lは、レーザービームを偏向させることによって、レーザースキャナー33Lから対象物への方角を鉛直な軸回りの回転角として検出する。レーザービームの偏向とは、レーザービームの出射方向を鉛直な軸回りに変位させることをいう。
ここで、レーザースキャナー33Lが特定の対象物にレーザービームを投光して、特定の対象物からレーザービームの反射光を受光することを視準という。レーザースキャナー33Lが反射装置2FLをレーザービームにより視準すると、レーザースキャナー33Lがレーザースキャナー33Lから反射装置2FLまでの距離と、レーザースキャナー33Lから反射装置2FLへの方角とを検出する。レーザースキャナー33Lが他の反射装置2FR,2RL,2RRをレーザービームにより視準した場合も同様である。
【0020】
前述のようなAGF30Lの荷積み動作及び荷降ろし動作は、制御部による走行体31L及びリフター32Lの制御によって実現される。
制御部は、CPU(Central Processing Unit)及び記憶媒体等を有する。制御部は、レーザースキャナー33Lによって検出された各反射装置2FL,2FR,2RL,2RRまでの距離及び方角に基づいて、AGF30Lの走行体31Lの自己位置を即時的に算出する。例えば、まず、制御部は、レーザースキャナー33Lによって検出された各反射装置2FL,2FR,2RL,2RRまでの距離及び方角から、走行体31Lを基準とした各反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの位置を相対座標系で算出する。そして、制御部は、反射装置2FL,2FR,2RL,2RRのうち少なくとも2体の相対座標系における位置と絶対座標系における位置(この位置は、後述のマップデータに含まれている。)とに基づいて、走行体31Lの相対座標系における位置を走行体31Lの絶対座標系における位置に変換する。ここで、制御部は、マップデータを前記記憶媒体に記憶している。マップデータは、各反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの位置を絶対座標系で表す基準位置データを少なくとも有する。また、マップデータは、後述の経路データを有する。
なお、走行体31Lを基準とした各反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの相対座標系の位置は、レーザースキャナー33Lに内蔵された制御回路によって算出されてもよい。
【0021】
制御部は、前記記憶媒体に予め記録された経路データに従ってAGF30Lの走行体31L(特に、操舵機構及び駆動輪用のモーター)を制御することによって、荷受け場所又は荷渡し場所と輸送車両90の左脇との間で走行体31Lを往復走行させる。例えば、制御部は、走行体31Lの自己位置を即時的に算出しながら(つまり、AGF30Lの自己位置を監視しながら)、走行体31Lの自己位置が経路データの経路上にあるように、走行体31Lを経路データの経路を辿って走行させる。経路データは、荷受け場所又は荷渡し場所から輸送車両90の左脇までの経路及びその逆の経路を絶対座標系で表したものである。
図1において、経路の一部が二点鎖線で示されている。
【0022】
また、往復走行の際、具体的には、AGF30Lが輸送車両90の左脇まで走行した後であって荷受け場所又は荷渡し場所に戻る前に、制御部が走行体31L及びリフター32Lを制御することによって、AGF30Lは荷99の積み込み動作又は荷99の取り出し動作をする。
また、往復走行の際、具体的には、AGF30Lが荷受け場所又は荷渡し場所まで走行した後であって輸送車両90の左脇に戻る前に、制御部が走行体31L及びリフター32Lを制御することによって、AGF30Lは荷受け場所における荷99の持ち上げ動作又は荷渡し場所における荷99の降ろし動作をする。
【0023】
AGF30Lと同様に、AGF30Rは走行体31R、リフター32R、レーザースキャナー33R及び制御部を有する。
【0024】
上述の説明では、2台のAGF30L,30Rがそれぞれ輸送車両90の左脇及び右脇において走行する。それに対して、1台のAGFが輸送車両90の左脇及び右脇において走行し、そのAGFが輸送車両90の左脇及び右脇から荷99の積み込み動作又は荷99の取り出し動作をしてもよい。
【0025】
また、上述の説明では、AGF30Lの制御部が単独で処理を行う。それに対して、制御部がそれと通信可能なサーバーの指令に従って走行体31L及びリフター32Lを操縦してもよい。この場合、制御部がレーザースキャナー33Rの出力信号をサーバーに転送し、サーバーがその信号に基づき走行体31Lの位置を絶対座標系で算出しながら、走行体31Lを経路データの経路を辿って走行させるような指令を制御部に出す。
【0026】
<反射装置>
反射装置2FL,2FR,2RL,2RRについて詳細に説明する。以下に反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの配置を説明する場合、前後、左右及び上下の向きは輸送車両90を基準にして定義される。
【0027】
反射装置2FLが荷台93の左前の角部に設置され、反射装置2FRが荷台93の右前の角部に設置され、反射装置2RLが荷台93の左後ろの角部に設置され、反射装置2RRが荷台93の右後ろの角部に設置されている。
具体的には、反射装置2FLは、床板93aから上方に離れて、フロントパネル93bの後面193bの左端193bLに取り付けられている。反射装置2FRは、床板93aから上方に離れて、フロントパネル93bの後面193bの右端193bRに取り付けられている。反射装置2RLは、床板93aから上方に離れて、リアパネル93cの前面193cの左端193cLに取り付けられている。反射装置2RRは、床板93aから上方に離れて、リアパネル93cの前面193cの右端193cRに取り付けられている。床板93aから各反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの下端までの高さは、荷99の下端から上端までの高さ以上である。
【0028】
<<左前の反射装置>>
図3は、左前の反射装置2FLの斜視図である。
図3に示すように、左前の反射装置2FLは、ボディ20、第1反射部21及び第2反射部22を有する。ボディ20、第1反射部21及び第2反射部22がアセンブリー等によって一体化されることによって、反射装置2FLが作製される。
【0029】
ボディ20は、三角柱、より具体的には鋭角三角柱又は直角三角柱に形作られており、例えば三角柱型の骨格構造からなる。
反射部21,22がボディ20に設けられている。反射部21,22がボディ20に取り付けられてもよいし、ボディ20に一体形成されてもよい。第2反射部22の面積が第1反射部21の面積よりも広い。第1反射部21と第2反射部22は優角を成すように配置されている。優角とは、180°より大きく360°より小さい角度をいう。
【0030】
第1反射部21は、第1反射部21に入射する光線を再帰反射させる再帰反射器により構成されてもよい。再帰反射とは、入射する光線を、その入射方向に対して平行且つ反対の方向に反射させることをいう。
第2反射部22は、第2反射部22に入射する光線を再帰反射させる再帰反射器により構成されてもよい。
第1反射部21及び第2反射部22は、フラット状、シリンドリカル凹面状又はシリンドリカル凸面状であってもよい。
【0031】
図1に示すように、左前の反射装置2FLがフロントパネル93bの後面193bの左端193bLに取り付けられた状態では、ボディ20が例えば磁石、締結具、フック及び両面粘着テープ等のような留め具によってフロントパネル93bの後面193bの左端193bLに取り付けられている。ボディ20は、フロントパネル93bに対して着脱可能であってもよい。
【0032】
反射部21,22は荷台93の左端に寄って配置され、第2反射部22が第1反射部21の右に配置されている。第2反射部22と第1反射部21を比較して、第1反射部21は、荷台93の左脇及びそこを走行するAGF30Lに対して近位に配置され、第2反射部22は、荷台93の左脇及びAGF30Lに対して遠位に配置されている。また、第1反射部21は、荷台93の右脇及びそこを走行するAGF30Rに対して遠位に配置され、第2反射部22は、荷台93の右脇及びAGF30Rに対して近位に配置されている。荷台93の左脇から反射装置2FLの方へ見ると、第2反射部22が第1反射部21の背後に隠れている。そのため、AGF30Lのレーザースキャナー33Lが第2反射部22の方へレーザービームを投光しても、そのレーザービームが第1反射部21によって反射して、第2反射部22に到達しない。荷台93の右脇から反射装置2FLを見ると、第1反射部21が第2反射部22の背後に隠れる。そのため、AGF30Rのレーザースキャナー33Rが第1反射部21の方へレーザービームを投光しても、そのレーザービームが第2反射部22によって反射して、第1反射部21に到達しない。
【0033】
第1反射部21及び第2反射部22は、輸送車両90の前後方向及び上下方向によって定義される基準面80に対して傾斜している。具体的には、第1反射部21をその上から見て、第1反射部21は、基準面80から反時計回りの向きに傾斜している。そのため、第1反射部21は、荷台93の左斜め後方に向けられている。第2反射部22をその上から見て、第2反射部22は、基準面80から時計回りの向きに傾斜している。そのため、第2反射部22は、荷台93の右斜め後方に向けられている。基準面80に対する第2反射部22の傾斜角は、基準面80に対する第1反射部21の傾斜角よりも大きい。
【0034】
<<右前の反射装置>>
左前の反射装置2FLと同様に、右前の反射装置2FRはボディ20、第1反射部21及び第2反射部22を有する。
【0035】
右前の反射装置2FRのボディ20がフロントパネル93bの後面193bの右端193bRに取り付けられた状態では、反射部21,22が荷台93の右端に寄って配置され、第2反射部22が第1反射部21の左に配置されている。反射装置2FRの第1反射部21と第2反射部22を比較すると、第1反射部21は、荷台93の右脇及びそこを走行するAGF30Rに対して近位に配置され、第2反射部22は、荷台93の右脇及びAGF30Rに対して遠位に配置されている。第1反射部21は、荷台93の左脇及びそこを走行するAGF30Lに対して遠位に配置され、第2反射部22は、荷台93の左脇及びAGF30Lに対して近位に配置されている。
【0036】
第1反射部21及び第2反射部22は、輸送車両90の前後方向及び上下方向によって定義される基準面80に対して傾斜している。第1反射部21をその上から見て、第1反射部21は、基準面80から時計回りの向きに傾斜している。そのため、第1反射部21は、荷台93の右斜め後方に向けられている。第2反射部22をその上から見て、第2反射部22は、基準面80から反時計回りの向きに傾斜している。そのため、第2反射部22は、荷台93の左斜め後方に向けられている。基準面80に対する第2反射部22の傾斜角は、基準面80に対する第1反射部21の傾斜角よりも大きい。
【0037】
<<左後ろの反射装置>>
左前の反射装置2FLと同様に、左後ろの反射装置2RLはボディ20、第1反射部21及び第2反射部22を有する。
【0038】
左後ろの反射装置2RLのボディ20がリアパネル93cの前面193cの左端193cLに取り付けられた状態では、反射部21,22が荷台93の左端に寄って配置され、第2反射部22が第1反射部21の右に配置されている。反射装置2RLの第1反射部21と第2反射部22を比較すると、第1反射部21は、荷台93の左脇及びそこを走行するAGF30Lに対して近位に配置され、第2反射部22は、荷台93の左脇及びAGF30Lに対して遠位に配置されている。第1反射部21は、荷台93の右脇及びそこを走行するAGF30Rに対して遠位に配置され、第2反射部22は、荷台93の右脇及びAGF30Rに対して近位に配置されている。
【0039】
第1反射部21及び第2反射部22は、輸送車両90の前後方向及び上下方向によって定義される基準面80に対して傾斜している。第1反射部21をその上から見て、第1反射部21は、基準面80から時計回りの向きに傾斜している。そのため、第1反射部21は、荷台93の左斜め前方に向けられている。第2反射部22をその上から見て、第2反射部22は、基準面80から反時計回りの向きに傾斜している。そのため、第2反射部22は、荷台93の右斜め前方に向けられている。基準面80に対する第2反射部22の傾斜角は、前記基準面に対する第1反射部21の傾斜角よりも大きい。
【0040】
<<右後ろの反射装置>>
左前の反射装置2FLと同様に、右後ろの反射装置2RRはボディ20、第1反射部21及び第2反射部22を有する。
【0041】
右後ろの反射装置2RRのボディ20がリアパネル93cの前面193cの右端193cRに取り付けられた状態では、反射部21,22が荷台93の右端に寄って配置され、第2反射部22が第1反射部21の左に配置されている。反射装置2RRの第1反射部21と第2反射部22を比較すると、第1反射部21は、荷台93の右脇及びそこを走行するAGF30Rに対して近位に配置され、第2反射部22は、荷台93の右脇及びAGF30Rに対して遠位に配置されている。第1反射部21は、荷台93の左脇及びそこを走行するAGF30Lに対して遠位に配置され、第2反射部22は、荷台93の右脇及びAGF30Lに対して近位に配置されている。
【0042】
第1反射部21及び第2反射部22は、輸送車両90の前後方向及び上下方向によって定義される基準面80に対して傾斜している。第1反射部21をその上から見て、第1反射部21は、基準面80から反時計回りの向きに傾斜している。そのため、第1反射部21は、荷台93の右斜め前方に向けられている。第2反射部22をその上から見て、第2反射部22は、基準面80から時計回りの向きに傾斜している。そのため、第2反射部22は、荷台93の左斜め前方に向けられている。基準面80に対する第2反射部22の傾斜角は、基準面80に対する第1反射部21の傾斜角よりも大きい。
【0043】
<左の荷役車両の視準対象>
荷台93の左脇において走行するAGF30Lのレーザースキャナー33Lがレーザービームを左前の反射装置2FLに向けて投光すると、反射装置2FLの第1反射部21がそのレーザービームをレーザースキャナー33Lへ反射させる。よって、AGF30Lの制御部は、反射装置2FLの第1反射部21の位置を反射装置2FLの位置として認識する。
【0044】
AGF30Lのレーザースキャナー33Lがレーザービームを右前の反射装置2FRに向けて投光すると、反射装置2FRの第2反射部22がそのレーザービームをレーザースキャナー33Lへ反射させる。よって、AGF30Lの制御部は、反射装置2FRの第2反射部22の位置を反射装置2FRの位置として認識する。
【0045】
AGF30Lのレーザースキャナー33Lがレーザービームを左後ろの反射装置2RLに向けて投光すると、反射装置2RLの第1反射部21がそのレーザービームをレーザースキャナー33Lへ反射させる。よって、AGF30Lの制御部は、反射装置2RLの第1反射部21の位置を反射装置2RLの位置として認識する。
【0046】
AGF30Lのレーザースキャナー33Lがレーザービームを右後ろの反射装置2RRに向けて投光すると、反射装置2RRの第2反射部22がそのレーザービームをレーザースキャナー33Lへ反射させる。よって、AGF30Lの制御部は、反射装置2RRの第2反射部22の位置を反射装置2RRの位置として認識する。
【0047】
AGF30Lの位置が後ろになるほど、左前の反射装置2FLの第1反射部21及び右前の反射装置2FRの第2反射部22は、AGF30Lから見た見かけ上の面積が小さくなる。しかしながら、反射装置2FLの第1反射部21及び反射装置2FRの第2反射部22が左斜め後方に向けられているため、AGF30Lが荷台93の後部の左脇に位置していても、AGF30Lから見た反射装置2FLの第1反射部21及び反射装置2FRの第2反射部22の見かけ上の面積が小さくなりすぎることがない。特に、反射装置2FRの第2反射部22は基準面80に対する傾斜角が大きいため、反射装置2FRの第2反射部22の見かけ上の面積が十分確保される。
そのため、AGF30Lが荷台93の後部の左脇に位置していても、反射装置2FLの第1反射部21及び反射装置2FRの第2反射部22がAGF30Lのレーザースキャナー33Lによって視準されやすい。よって、反射装置2FLの第1反射部21の位置がAGF30Lの制御部によって認識され、反射装置2FRの第2反射部22の位置がAGF30Lの制御部によって認識される。
【0048】
AGF30Lの位置が前になるほど、左後ろの反射装置2RLの第1反射部21及び右後ろの反射装置2RRの第2反射部22は、AGF30Lから見た見かけ上の面積が小さくなる。しかしながら、反射装置2RLの第1反射部21及び反射装置2RRの第2反射部22が左斜め前方に向けられているため、AGF30Lが荷台93の前部の左脇に位置していても、AGF30Lから見た反射装置2RLの第1反射部21及び反射装置2RRの第2反射部22の見かけ上の面積が小さくなりすぎることがない。特に、反射装置2RRの第2反射部22は基準面80に対する傾斜角が大きいため、反射装置2RRの第2反射部22の見かけ上の面積が十分確保される。
そのため、AGF30Lが荷台93の前部の左脇に位置していても、反射装置2RLの第1反射部21及び反射装置2RRの第2反射部22がAGF30Lのレーザースキャナー33Lによって視準されやすい。よって、反射装置2RLの第1反射部21の位置がAGF30Lの制御部によって認識され、反射装置2RRの第2反射部22の位置がAGF30Lの制御部によって認識される。
【0049】
反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの中には、AGF30Lの位置に依っては視準されにくいものがある。例えば、AGF30Lが荷台93の後部の左脇に位置する場合、左前の反射装置2FLの第1反射部21がAGF30Lのレーザースキャナー33Lによって視準されにくい。そうであっても、他の反射装置2FRの第2反射部22、反射装置2RLの第1反射部21及び反射装置2RRの第2反射部22がAGF30Lのレーザースキャナー33Lによって視準されやすい。よって、AGF30Lの制御部が確実に自己位置を推定できる。同様に、AGF30Lが荷台93の前部の左脇に位置する場合、左後ろの反射装置2RLの第1反射部21が視準されにくくても、他の反射装置2FLの第1反射部21、反射装置2FRの第2反射部22及び反射装置2RRの第2反射部22がAGF30Lのレーザースキャナー33Lによって視準されやすい。よって、AGF30Lの制御部が確実に自己位置を推定できる。
【0050】
<右の荷役車両の視準対象>
荷台93の右脇において走行するAGF30Rのレーザースキャナー33Rがレーザービームを右前の反射装置2FRに向けて投光すると、反射装置2FRの第1反射部21がそのレーザービームをレーザースキャナー33Rへ反射させる。よって、AGF30Rの制御部は、反射装置2FRの第1反射部21の位置を反射装置2FRの位置として認識する。
【0051】
AGF30Rのレーザースキャナー33Rがレーザービームを左前の反射装置2FLに向けて投光すると、反射装置2FLの第2反射部22がそのレーザービームをレーザースキャナー33Rへ反射させる。よって、AGF30Rの制御部は、反射装置2FLの第2反射部22の位置を反射装置2FLの位置として認識する。
【0052】
AGF30Rのレーザースキャナー33Rがレーザービームを右後ろの反射装置2RRに向けて投光すると、反射装置2RRの第1反射部21がそのレーザービームをレーザースキャナー33Rへ反射させる。よって、AGF30Rの制御部は、反射装置2RRの第1反射部21の位置を反射装置2RRの位置として認識する。
【0053】
AGF30Rのレーザースキャナー33Rがレーザービームを左後ろの反射装置2RLに向けて投光すると、反射装置2RLの第2反射部22がそのレーザービームをレーザースキャナー33Rへ反射させる。よって、AGF30Rの制御部は、反射装置2RLの第2反射部22の位置を反射装置2RLの位置として認識する。
【0054】
AGF30Rの位置が後ろになるほど、右前の反射装置2FRの第1反射部21及び左前の反射装置2FLの第2反射部22は、AGF30Rから見た見かけ上の面積が小さくなる。しかしながら、反射装置2FRの第1反射部21及び反射装置2FLの第2反射部22が右斜め後方に向けられているため、AGF30Rが荷台93の後部の右脇に位置していても、AGF30Rから見た反射装置2FRの第1反射部21及び反射装置2FLの第2反射部22の見かけ上の面積が小さくなりすぎることがない。特に、反射装置2FLの第2反射部22は基準面80に対する傾斜角が大きいため、反射装置2FLの第2反射部22の見かけ上の面積が十分確保される。
そのため、AGF30Rが荷台93の後部の右脇に位置していても、反射装置2FRの第1反射部21及び反射装置2FLの第2反射部22がAGF30Rのレーザースキャナー33Rによって視準されやすい。よって、反射装置2FRの第1反射部21の位置がAGF30Rの制御部によって認識され、反射装置2FLの第2反射部22の位置がAGF30Rの制御部によって認識される。
【0055】
AGF30Rの位置が前になるほど、右後ろの反射装置2RRの第1反射部21及び左後ろの反射装置2RLの第2反射部22は、AGF30Rから見た見かけ上の面積が小さくなる。しかしながら、反射装置2RRの第1反射部21及び反射装置2RLの第2反射部22が右斜め前方に向けられているため、AGF30Rが荷台93の前部の右脇に位置していても、AGF30Rから見た反射装置2RRの第1反射部21及び反射装置2RLの第2反射部22の見かけ上の面積が小さくなりすぎることがない。特に、反射装置2RRの第2反射部22は基準面80に対する傾斜角が大きいため、反射装置2RRの第2反射部22の見かけ上の面積が十分確保される。
そのため、AGF30Rが荷台93の前部の右脇に位置していても、反射装置2RRの第1反射部21及び反射装置2RLの第2反射部22がAGF30Rのレーザースキャナー33Rによって視準されやすい。よって、反射装置2RRの第1反射部21の位置がAGF30Rの制御部によって認識され、反射装置2RLの第2反射部22の位置がAGF30Rの制御部によって認識される。
【0056】
反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの中には、AGF30Rの位置に依っては視準されにくいものがある。例えば、AGF30Rが荷台93の後部の右脇に位置する場合、右前の反射装置2FRの第1反射部21がAGF30Rのレーザースキャナー33Rによって視準されにくい。そうであっても、他の反射装置2FLの第2反射部22、反射装置2RRの第1反射部21及び反射装置2RLの第2反射部22がAGF30Rのレーザースキャナー33Rによって視準されやすい。よって、AGF30Rの制御部が確実に自己位置を推定できる。同様に、AGF30Rが荷台93の前部の右脇に位置する場合、右後ろの反射装置2RRの第1反射部21が視準されにくくても、他の反射装置2FRの第1反射部21、反射装置2FLの第2反射部22及び反射装置2RLの第2反射部22がAGF30Rのレーザースキャナー33Rによって視準されやすい。よって、AGF30Rの制御部が確実に自己位置を推定できる。
【0057】
<技術的に有利な効果>
左前の反射装置2FLの第1反射部21が基準面80から左斜め後方に向けて傾斜し、右前の反射装置2FRの第2反射部22が基準面80から左斜め後方に向けて傾斜し、左後ろの反射装置2RLの第1反射部21が基準面80から左斜め前方に向けて傾斜し、右後ろの反射装置2RRの第2反射部22が基準面80から左斜め前方に向けて傾斜している。そのため、荷台93の左脇のAGF30Lのレーザースキャナー33Lが、左前の反射装置2FLの第1反射部21、右前の反射装置2FRの第2反射部22、左後ろの反射装置2RLの第1反射部21及び右後ろの反射装置2RRの第2反射部22を視準しやい。よって、AGF30Lが自己位置を推定しながら自律走行することができ、荷台93の左脇における荷積み又は荷降ろしをすることができる。
同様に、荷台93の右脇のAGF30Rのレーザースキャナー33Rが左前の反射装置2FLの第2反射部22、右前の反射装置2FRの第1反射部21、左後ろの反射装置2RLの第2反射部22及び右後ろの反射装置2RRの第1反射部21を視準しやい。よって、AGF30Rが自己位置を推定しながら自律走行することができ、荷台93の右脇における荷積み又は荷降ろしをすることができる。
【0058】
4体の反射装置2FL,2FR,2RL,2RRが異なる位置、具体的には荷台93の四つ角にそれぞれ設置されており、各反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの反射部21,22が基準面80から傾斜している。そのため、反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの中には、AGF30L,30Rの位置に依っては視準されにくいものがあっても、他の視準されやすいものがAGF30L,30Rのレーザースキャナー33L,33Rによって確実に視準される。つまり、AGF30L,30Rのレーザースキャナー33L,33Rが反射装置2FL,2FR,2RL,2RRのうち何れか1つ又は2つを視準できなくても、他を視準することによって、AGF30L,30Rが自己位置を推定できるとともに自律的に走行できる。
【0059】
AGF30Lが荷台93の左脇の後部に位置していても、そのAGF30Lのレーザースキャナー33Lから投光されるレーザービームが右前の反射装置2FRの第1反射部21に誤入射することがない。これは、右前の反射装置2FRの第1反射部21は基準面80に対する傾斜角が小さいためである。よって、AGF30Lの制御部が、右前の反射装置2FRの第1反射部21の位置を反射装置2FRの位置として誤認識しない。
同様に、AGF30Lが荷台93の左脇の前部に位置していても、AGF30Lのレーザースキャナー33Lのレーザービームが、右後ろの反射装置2RRの第1反射部21に誤入射しない。AGF30Rが荷台93の右脇の後部に位置していても、AGF30Rのレーザースキャナー33Rのレーザービームが、左前の反射装置2FLの第1反射部21に誤入射しない。AGF30Rが荷台93の右脇の前部に位置していても、AGF30Rのレーザースキャナー33Rのレーザービームが、左後ろの反射装置2RLの第1反射部21に誤入射しない。
【0060】
反射装置2FL,2FR,2RL,2RRは、床板93a上の荷99よりも高い位置に設置されているため、AGF30L,30Rのレーザースキャナー33L,33Rによって投光されるレーザービームが床板93a上の荷99によって遮蔽されることなく、反射装置2FL,2FR,2RL,2RRに到達する。また、反射装置2FL,2FR,2RL,2RRの下にも、荷99を床板93a上に積むことができる。
【0061】
左前の反射装置2FLが第1反射部21及び第2反射部22を有し、これらが一体化されている。そのため、これら第1反射部21及び第2反射部22を個別に荷台93に設置する作業をせずとも済み、反射装置2FLを荷台93に設置するだけで、第1反射部21及び第2反射部22を一緒に荷台93に簡単に設置することができる。反射装置2FLが荷台93に設置されると、輸送車両90の左右のAGF30L,30Rのどちらでも自己位置の推定と自律走行が実現される。
【0062】
AGF30L,30Rが荷役作業を分担して、AGF30L,30Rがそれぞれ荷台93の左脇及び右脇から荷99の積み込み又は取り出しをするため、多数の荷99の積み込み又は取り出しが短時間で効率よく行われる。
【0063】
〔第2実施形態〕
続いて、
図4及び
図5を参照し、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態から変更した箇所について説明する。以下に説明する点を除いて、第2実施形態は第1実施形態と同様である。
【0064】
左前の反射装置2FLは、上述のボディ20、第1反射部21及び第2反射部22に加えて、遮光部23を有する。遮光部23は、第1反射部21と第2反射部22が成す角に取り付けられている。遮光部23は、板状に設けられている。遮光部23は、第1反射部21と第2反射部22が成す角から第1反射部21の方と第2反射部22の方へ張り出すように幅を有する。左前の反射装置2FLのボディ20がフロントパネル93bの後面193bの左端193bLに取り付けられた状態では、遮光部23が第1反射部21と第2反射部22の成す角の後ろに配置されており、遮光部23がその角から左及び右に張り出している。そのため、荷台93の左脇の後部を走行するAGF30Lのレーザースキャナー33Lが反射装置2FLの第2反射部22に向けてレーザービームを投光しても、そのレーザービームが遮光部23によって遮蔽される。それゆえ、AGF30Lのレーザースキャナー33Lが左前の反射装置2FLの第2反射部22を誤視準することが防止される。このことは、基準面80に対する反射装置2FLの第2反射部22の傾斜角を大きくすることに貢献する。基準面80に対する反射装置2FLの第2反射部22の傾斜角を大きいと、反射装置2FLの第2反射部22は右のAGF30Rの方からの視認性が良い。
なお、荷台93の右脇の後部を走行するAGF30Rのレーザースキャナー33Rが反射装置2FLの第1反射部21に向けてレーザービームを投光しても、そのレーザービームが遮光部23によって遮蔽される。
【0065】
左前の反射装置2FLと同様に、他の反射装置2FR,2RL,2RRも遮光部23を有する。
【0066】
右前の反射装置2FRのボディ20がフロントパネル93bの後面193bの右端193bRに取り付けられた状態では、遮光部23が第1反射部21と第2反射部22の成す角の後ろに配置されており、遮光部23がその角から左及び右に張り出している。そのため、荷台93の右脇の後部を走行するAGF30Rのレーザースキャナー33Rが反射装置2FRの第2反射部22に向けてレーザービームを投光しても、そのレーザービームが遮光部23によって遮蔽される。荷台93の左脇の後部を走行するAGF30Lのレーザースキャナー33Lが反射装置2FRの第1反射部21に向けてレーザービームを投光しても、そのレーザービームが遮光部23によって遮蔽される。
【0067】
左後ろの反射装置2RLのボディ20がリアパネル93cの前面193cの左端193cLに取り付けられた状態では、遮光部23が第1反射部21と第2反射部22の成す角の前に配置されており、遮光部23がその角から左及び右に張り出している。そのため、荷台93の左脇の前部を走行するAGF30Lのレーザースキャナー33Lが反射装置2RLの第2反射部22に向けてレーザービームを投光しても、そのレーザービームが遮光部23によって遮蔽される。荷台93の右脇の前部を走行するAGF30Rのレーザースキャナー33Rが反射装置2RLの第1反射部21に向けてレーザービームを投光しても、そのレーザービームが遮光部23によって遮蔽される。
【0068】
右後ろの反射装置2RRのボディ20がリアパネル93cの前面193cの右端193cRに取り付けられた状態では、遮光部23が第1反射部21と第2反射部22の成す角の前に配置されており、遮光部23がその角から左及び右に張り出している。そのため、荷台93の右脇の前部を走行するAGF30Rのレーザースキャナー33Rが反射装置2RRの第2反射部22に向けてレーザービームを投光しても、そのレーザービームが遮光部23によって遮蔽される。荷台93の左脇の前部を走行するAGF30Lのレーザースキャナー33Lが反射装置2RRの第1反射部21に向けてレーザービームを投光しても、そのレーザービームが遮光部23によって遮蔽される。
【0069】
〔変形例〕
上記実施形態では、4体の反射装置2FL,2FR,2RL,2RRが荷台93に取り付けられているが、これら反射装置2FL,2FR,2RL,2RRのうち2体又は3体が荷台93に取り付けられていてもよい。更に、反射装置2FL,2FR,2RL,2RRに加えて、反射装置2FL,2FR,2RL,2RRと同様に構成された1又は複数の反射装置が荷台93に取り付けられてもよい。
【0070】
反射装置2FL,2FR,2RL,2RRが荷台93の左前、右前、左後ろ及び右後ろの角部にそれぞれ設置されているが、別の箇所に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
2FL,2FR,2RL,2RR 反射装置
21 第1反射部
22 第2反射部
23 遮光部
30L,30R AGF(荷役車両)
31L,31R 走行体
32L,32R リフター
33L,33R レーザースキャナー
90 輸送車両
93 荷台
93a 床板
99 荷