(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009232
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】駐車設備とその入庫案内方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/10 20060101AFI20240112BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
E04H6/10 A
E04H6/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199046
(22)【出願日】2023-11-24
(62)【分割の表示】P 2019037568の分割
【原出願日】2019-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】山本 類
(72)【発明者】
【氏名】南浦 慶太
(72)【発明者】
【氏名】大塚 盛夫
(72)【発明者】
【氏名】保坂 憲一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 博幸
(72)【発明者】
【氏名】木谷 庸二
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 亜由美
(72)【発明者】
【氏名】片田 汰架
(72)【発明者】
【氏名】中部 主貴
(72)【発明者】
【氏名】久木 茉優子
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】三谷 全哉
(72)【発明者】
【氏名】小縣 慎太郎
(57)【要約】
【課題】運転初心者であっても、入口から進入後、どこを通り、どこに駐車し、駐車後どうすれば良いかなどに迷わず、わかりやすく、快適に駐車できる駐車設備とその入庫案内方法を提供する。
【解決手段】入口から駐車位置まで車両1が自走して入庫する駐車設備100であって、位置検出装置10とプロジェクションマッピング装置20を備える。位置検出装置10は、車両1の自走範囲に設けられ車両位置を検出する。位置検出装置10により車両位置を検出し、プロジェクションマッピング装置20により車両位置に適した案内を含む映像Xを壁面51又は床面52に投影する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口から駐車位置まで車両が自走して入庫する駐車設備であって、
前記車両の自走範囲に設けられ車両位置を検出する位置検出装置と、
壁面又は床面に映像を投影するプロジェクションマッピング装置と、
前記車両を識別する車両識別装置と、を備え、
前記プロジェクションマッピング装置は、複数の駐車枠の近傍の定位置に設けられ前記駐車枠の床面に前記映像を投影する場内プロジェクタを有し、
該場内プロジェクタは、前記車両位置に応じて、大きさ及び配置を変更可能な複数の前記駐車枠の場内映像を含み、駐車設備を利用する前記車両の種類とその比率に応じて、前記駐車枠の大きさ及び配置を変化させて、前記車両位置に適した案内を含む前記映像を投影する、駐車設備。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車設備の入庫案内方法であって、
前記車両の自走範囲において前記車両位置を検出する位置検出ステップと、
前記車両位置に適した案内を含む前記映像を壁面又は前記床面に投影するプロジェクションマッピングステップと、を有する、駐車設備の入庫案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入口から進入後、駐車位置まで車両が自走して入庫する駐車設備とその入庫案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
入口から駐車位置まで車両が自走して入庫する駐車設備は、機械式駐車装置と自走式駐車場に大別することができる。ここで、「駐車位置」とは、機械式駐車装置の入庫室内の入庫位置、又は、自走式駐車場における駐車枠を意味する。
【0003】
機械式駐車装置(例えば、エレベータ式駐車装置)は、入庫室内の入庫位置(駐車位置)に搬器を有し、運転者が車両(例えば乗用車)を運転して搬器上に車両を駐車し、その後、装置が作動して搬器により無人の車両を格納場所へ搬送する。
搬器は、例えばパレットを載せたケージ、或いはコンベア装置であり、いずれの場合も、車両の格納効率を高めるため、搬器上の入庫可能範囲は、必要最小限に設定されている。
【0004】
そのため、運転者は、搬器上に車両を運転して駐車する際に、車両の外側全体を搬器上の駐車領域の内側に入れる必要があり運転がし難いことがある。
そこで従来から駐車領域の前方に大型の鏡を設け、鏡に映る自車の位置を運転者が確認できるようにすることで、入庫時の運転操作支援が図られていた。
【0005】
しかし、入庫時の駐車領域がうす暗い場合や鏡が見難い場合には、搬器上への駐車は車幅感覚等の運転技術に依存することとなり、初心者にとって困難であった。特に、車路幅の狭い搬器(パレット)に対して、タイヤ外幅の広い車両の入庫が困難であった。
【0006】
そこで、搬器上への運転支援手段として、特許文献1が既に提案されている。
【0007】
特許文献1の「車両誘導モニタ装置」では、乗込場の壁面に設けたモニタに、出入口から進入する車両正面とともに左右の側面枠線が縦線で映し出され、かつ、左右の側面枠線の間で車両を進行させる誘導文字画像が表示される。また、車両の進行が左右の側面枠線から外れると、モニタに、車両とともに前端枠線、後端枠線及び左右の側面枠線によって定められた移動範囲枠線が映し出され、かつ、移載範囲枠線内に車両を誘導する誘導文字画像が表示される、ものである。
【0008】
一方、自走式駐車場は、屋外又は屋内の路面(床面又は地表面)に車両の駐車位置が矩形の枠線(駐車枠)で予め設定されており、駐車場の入口から駐車位置(駐車枠)まで車両が自走して入庫するものである。駐車枠は、通常、床面又は地面に直接、白線等で記載されている。
【0009】
自走式駐車場には、車両の大きさ(例えば、オートバイ、軽自動車、普通乗用車、トラック、バス等)に応じて異なる大きさの駐車枠が多数設けられる。そのため、車両の運転者は、自己の車両に適した大きさの空の駐車枠を探して駐車する必要があり、特に満車に近い場合には、空の駐車枠を見つけるために、無駄な時間を費やすことがある。
【0010】
そこで、自走式駐車場における入庫時の運転支援手段として、特許文献2が既に提案されている。
【0011】
特許文献2の「情報案内システム」では、センタサーバが、駐車中の車両の車両データを取得し、取得した車両データを携帯装置に送信する。携帯装置は、複数の駐車区画の位置それぞれに駐車中の車両の車両データを表した駐車場の場内マップを表示する、ものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第6108816号公報
【特許文献2】特開2015-69429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した従来の駐車設備には以下の問題点があった。
【0014】
(1)従来の機械式駐車装置では、操作員の案内は入庫室の入口までであり、入庫室内では利用者は操作員の案内なしに、例えば前方に設けられた鏡によって自車の位置を判断する必要があった。
しかし、入庫室内には、車幅制限、避難場所、歩行通路、危険境界、立入制限など複数のマーキングがあり、利用者(特に運転初心者)にとって、これらのマーキングの意味を理解し、どのタイミングでどのマーキングに注意するかを即座に判断するのは困難である。そのため、利用者は、どこを通り、どこに止めれば良いかや、止めた後どうすれば良いかなどに迷い、ストレスにより利用を躊躇することがあった。
【0015】
なお「車幅の制限」とは、許容できるタイヤ外側範囲を片寄り限界として認識できるように、搬器床面にマーキングしたものである。「避難場所」とは、万が一、人が閉じ込められた場合に避難する場所であり、装置が動作したときに、接触などの直接の危害を受けない場所にマーキングしたものである。「歩行通路」とは、人の通路となる床及び歩行が想定される部分に、マーキングしたものである。「危険境界」とは、装置又は車両が可動するとき(例えばパレットが回転するとき)に最大外縁(危険境界)をマーキングしたものである。「立入り制限」は、人が進入すると危険な部分に、マーキングしたものである。
マーキングは、通常、床面に直接、異なる色を用いてペンキ等で記載されている。
【0016】
(2)従来の自走式駐車場では、入口から進入後、駐車場内に設置された案内表示に基づき、利用者は、自己の車両に適した大きさの空の駐車枠を探索する必要がある。しかし、駐車場内に分岐等があると、探索経路に迷うことがある。
これを解消するために、駐車場内に案内人を配置すると経費が過大となる。また、特許文献2のようにセンタサーバから携帯装置(例えばスマートフォン)に場内マップを表示すると、運転中に前方から視線を移す必要があり安全性が低下する。さらに駐車場内の無線通信が不安定な場合は利用が困難になる。
【0017】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、利用者が運転初心者であっても、入口から進入後、どこを通り、どこに駐車し、駐車後どうすれば良いかなどに迷わず、わかりやすく、快適に駐車位置に駐車できる駐車設備とその入庫案内方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、入口から駐車位置まで車両が自走して入庫する駐車設備であって、
前記車両の自走範囲に設けられ車両位置を検出する位置検出装置と、
壁面又は床面に映像を投影するプロジェクションマッピング装置と、
前記車両を識別する車両識別装置と、を備え、
前記プロジェクションマッピング装置は、複数の駐車枠の近傍の定位置に設けられ前記駐車枠の床面に前記映像を投影する場内プロジェクタを有し、
該場内プロジェクタは、前記車両位置に応じて、大きさ及び配置を変更可能な複数の前記駐車枠の場内映像を含み、駐車設備を利用する前記車両の種類とその比率に応じて、前記駐車枠の大きさ及び配置を変化させて、前記車両位置に適した案内を含む前記映像を投影する、駐車設備が提供される。
【0019】
また本発明によれば、上記の駐車設備の入庫案内方法であって、
前記車両の自走範囲において前記車両位置を検出する位置検出ステップと、
前記車両位置に適した案内を含む前記映像を壁面又は前記床面に投影するプロジェクションマッピングステップと、を有する、駐車設備の入庫案内方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、位置検出装置により車両位置を検出し、プロジェクションマッピング装置により、車両位置に適した案内を含む映像を壁面又は床面に投影する。これにより、車両の運転者は、入口から進入後、どこを通り、どこに駐車し、駐車後どうすれば良いかを映像から容易に判断できる。
従って、利用者が運転初心者であっても、迷わず、わかりやすく、快適に駐車位置に駐車できる。
また、映像が壁面又は床面に投影されるので、運転中に前方から視線を移す必要がなく安全性が高い。さらにユーザの携帯装置(例えばスマートフォン)との通信が不要のため、不安定な無線通信の影響を受けず、高い安定性(ロバスト性)を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】駐車設備が機械式駐車装置である場合の正面図である。
【
図3】
図2のA-A矢視図であり、入庫室の平面図である。
【
図4】
図2のB-B矢視図であり、入庫室の側面図である
【
図6】本発明による入庫時の運転案内方法を示す全体フロー図である。
【
図7】本発明による出庫時の運転案内方法を示す全体フロー図である。
【
図8】駐車設備が自走式駐車場である場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明による駐車設備100を示す側面図である。駐車設備100は、機械式駐車装置でも自走式駐車場でもよい。
この図において、駐車設備100は、入口から駐車位置まで車両1が自走して入庫する駐車場であり、位置検出装置10とプロジェクションマッピング装置20を備える。
【0024】
位置検出装置10は、車両1の自走範囲に設けられ車両位置(車両1の現在位置)を検出する。
位置検出装置10は、例えば光電センサであるが、車両1を検出できる限りで、その他のセンサ、例えば磁気センサ、圧力センサ、レーザーレーダー、等でもよい。
【0025】
プロジェクションマッピング装置20は、壁面51又は床面52に映像Xを投影する。
プロジェクションマッピング(Projection Mapping)とは、コンピュータで作成したCGとプロジェクタ等の映写機器を用い、建物や物体、あるいは空間などに対して画像や映像(以下、映像X)を映す技術を意味する。
本発明では、プロジェクションマッピングとして、プロジェクションマッピング装置20により、壁面51又は床面52に映像Xを投影する。なお、映像Xに音(音楽又は音声)を同期させてもよい。
【0026】
図1において、プロジェクションマッピング装置20は、プロジェクタ装置22と制御装置24を有する。
プロジェクタ装置22は、壁面51又は床面52に映像X(画像や映像)を投影する。「投影」とは、例えば液晶を使い、画像を拡大して映し出すことを意味する。
制御装置24は、例えばコンピュータ(PC)であり、入力装置、車両位置に適した複数の映像Xを記憶する記憶装置26、演算装置、及び出力装置を有し、プロジェクタ装置22を制御する。
【0027】
上述した構成により、位置検出装置10により車両位置を検出し、プロジェクションマッピング装置20により車両位置に適した案内を含む映像Xを壁面51又は床面52に投影することができる。
【0028】
図2は、駐車設備100が機械式駐車装置である場合の正面図である。
この例において、機械式駐車装置100はエレベータ式駐車装置であるが、本発明はこれに限定されず、その他の機械式駐車装置であってもよい。
【0029】
図2において、1は車両(例えば、乗用車)、2は車両1を載せるパレット、3は昇降路、4は格納棚、5は昇降路3を昇降する搬器、6は本体フレーム、7は本体フレーム6の上部に設置されたトラクション方式(摩擦駆動式)の巻上機である。
【0030】
複数の格納棚4は、車両1をそれぞれ収容する格納空間である。格納棚4は、例えばレール4aを有し搬器5との間で車両1を移載できるようになっている。
【0031】
搬器5は、格納棚4との間で車両1を移載する移載装置(図示せず)を有する。すなわち、この例で、搬器5は、車両1が載るパレット2を水平に移動する横行機構を有し、車両1を載せたパレット2を格納棚4と搬器5の間で横行させるようになっている。
【0032】
図2において、機械式駐車装置100は、さらに車両1が入庫する入庫室8を有する。
入庫室8には、車両1が外部から入庫する。なおこの例で、入庫室8は、車両1が外部から入庫しかつ外部に出庫する入出庫室であるが、入庫専用であってもよい。
また入庫室8は、外部と連通する入出庫口(図示せず)を有する。入出庫口には開閉可能な開閉扉(以下、入出庫扉9、
図3参照)が設けられている。
【0033】
開閉扉(入出庫扉9)を介して入庫室8と連通する入庫室8の正面位置を、以下、「入庫待機位置」と呼ぶ。
搬器5は、入庫室8と格納棚4との間で車両1を昇降する。
なお、この例で、入庫室8は機械式駐車装置100の最下段に設けられている。しかし、入庫室8は最下段に限定されず、中間でも最上段でもよい。
【0034】
図3は、
図2のA-A矢視図であり、入庫室8の平面図である。また、
図4は、
図2のB-B矢視図であり、入庫室8の側面図である。
【0035】
図3において、搬器5に載るパレット2の上面に車両1の入庫可能範囲(駐車位置A)が設定されている。駐車位置Aをこの図において太線の矩形で示す。
図3において駐車位置Aの外縁は、前端a1、後端a2、右端a3、及び左端a4からなる。
【0036】
図3、
図4において、位置検出装置10は、駐車位置Aの外縁からはみ出す車両1を検出する第1検出センサー12を有する。
第1検出センサー12は、この例では光電センサであり、駐車位置Aの前端a1、後端a2、右端a3、左端a4を含む鉛直平面上を水平又は傾斜して通る検出ビーム光12aを有する。
この構成により、第1検出センサー12により駐車位置Aからの車両1のはみ出しを検出することができる。なお、第1検出センサー12により車両位置を検出することもできる。
【0037】
図3において、位置検出装置10は、さらに入庫時の車両1の位置を検出する第2検出センサー14を有する。
第2検出センサー14は、この例では光電センサであり、入出庫扉9の正面(入庫待機位置C)及び入出庫扉9の内側近傍に位置する車両1を検出する検出ビーム光14aを有する。
この構成により、第2検出センサー14により入庫待機位置C及び入出庫扉9を通過直後の車両1を検出することができる。
【0038】
図3、
図4において、入庫室8の内部(以下、「庫内」)に5台のプロジェクタ装置22が設けられ、入庫室8の外側(入庫待機位置C)に1台のプロジェクタ装置22が設けられている。
【0039】
庫内のプロジェクタ装置22を以下、庫内プロジェクタ22A(又は第1プロジェクタ)と呼ぶ。
庫内プロジェクタ22Aは、庫内の壁面51又は床面52に、視認性の高い光度(例えば3000ルーメン以上)で、映像Xを投影する。
壁面51は、庫内の正面又は側面であるのが好ましいが、背面でもよい。床面52は、車両1から目視できる範囲の床面であるのがよい。
【0040】
この例で、5台のうち1台の庫内プロジェクタ22Aは、庫内正面に映像Xを投影し、残りの4台の庫内プロジェクタ22Aは、床面52及びパレット2に映像Xを投影するようになっている。なお、庫内プロジェクタ22Aは5台に限定されず、何台でもよい。
【0041】
庫内プロジェクタ22Aは、車両位置に応じて、映像Xとして庫内映像X1(又は第1映像)を投影する。すなわち、庫内プロジェクタ22Aによる映像Xは、庫内映像X1を含んでいる。
【0042】
図5は、庫内映像X1の具体例を示す模式図である。
庫内映像X1は、例えば、入庫案内画像B1、車幅制限画像B2、歩行ルート画像B3、危険境界画像B4、及び避難場所画像B5である。これらの画像は、動画であることが好ましいが静止画であってもよい。また、文字、記号、及び音声を併用することが好ましい。
【0043】
入庫案内画像B1は、入庫時に車両1を駐車位置まで案内する入庫動線のマッピング画像であり、例えば、入出庫扉9が全開した時点で投影する。
車幅制限画像B2は、駐車時に車両1の片寄り限界を示す画像であり、例えば、第2検出センサー14により入出庫扉9を通過直後の車両1を検出した時点で投影する。
歩行ルート画像B3は、退出時の歩行ルートを示す画像であり、例えば、駐車位置に車両1が駐車した時点で投影する。
危険境界画像B4は、危険な部分を示す画像であり、例えば、駐車位置に車両1が駐車した後、利用者が庫内にいる時に投影する。
避難場所画像B5は、閉じ込められた場合の避難場所を示す画像であり、駐車位置に車両1が駐車し、入出庫扉9が全閉した時点で投影する。
【0044】
なお、第1検出センサー12により、駐車位置Aの外縁からはみ出す車両1を検出した場合にも、例えば第1プロジェクタ22Aにより庫内正面及び床面52に映像Xとして注意映像X2(又は第2映像)を投影するのがよい。
注意映像X2は、はみ出し位置がわかるように、床面52に駐車位置Aの外縁(前端a1、後端a2、右端a3、左端a4)を投影するとともに、前進又は後進などの入庫案内を庫内正面にはみ出した旨を文字等で説明するのがよい。
【0045】
入庫室8の外側(入庫待機位置C)、すなわち入出庫扉9の前面のプロジェクタ装置22を以下、前面プロジェクタ22B(又は、第2プロジェクタ)と呼ぶ。
前面プロジェクタ22Bは、入出庫扉9の外側正面又は駐車設備100の正面に前面映像X3(又は、第3映像)を投影するようになっている。なお、前面プロジェクタ22Bは1台に限定されず、何台でもよい。
【0046】
前面プロジェクタ22Bは、入庫時の注意事項、イベント案内、広告、又はマスコットキャラクターを含む前面映像X3を投影する。これらの前面映像X3は、動画であることが好ましいが静止画であってもよい。
前面プロジェクタ22Bによる前面映像X3は、例えば、第2検出センサー14により入庫待機位置Cの車両1を検出した時に投影するのがよい。
【0047】
本発明による駐車設備の入庫案内方法は、入口から駐車位置まで車両1が自走して入庫する駐車設備100における入庫案内方法である。
本発明の入庫案内方法は、位置検出ステップF1とプロジェクションマッピングステップF2とを有する。
位置検出ステップF1では、車両1の自走範囲において車両位置を検出する。
プロジェクションマッピングステップF2では、車両位置に適した案内を含む映像Xを壁面51又は床面52に投影する。
【0048】
以下、機械式駐車装置100の場合の本発明の入庫案内方法を詳述する。
【0049】
図6は、本発明による入庫時の運転案内方法を示す全体フロー図である。
この図において、入庫時の運転案内方法は、S1~S9の各ステップ(工程)からなる。
なお、この図において、操作員、利用者、機械式駐車装置100(以下、「駐車装置」)、プロジェクションマッピング装置20(以下、「投影装置」)による操作又は動作を左から順に区分して示す。
【0050】
図6において、入庫開始後、利用者が入庫室8の外側正面に設けられた入庫待機位置Cに到着する(S1)と、操作員が入庫操作を行い(S2)、駐車装置により入出庫扉9が開く(S4)。利用者は入出庫扉9が開くまで入庫待機位置Cで待機する(S3)。
利用者の待機中(S3)、位置検出装置10により車両位置を検出し、投影装置により映像Y1を投影する。映像Y1は、入庫時の注意事項、イベント案内、マスコットキャラクターの演出、デパート広告、など、利用者をあきさせない映像であるのがよい。
【0051】
次いで、利用者は入出庫扉9を通って庫内に入庫し(S5)、駐車位置A(車定位置)で降車し(S6)、入庫室8から退出する(S7)。
扉開(S4)から利用者の入庫中(S5)、投影装置により、映像Y2、Y3を投影する。映像Y2、Y3は、入庫動線のマッピング画像(入庫案内画像B1)、車幅制限画像B2、前進又は後進などの案内画像(注意映像X2)、などの他、季節感(海の日、ハロウィン、クリスマス)のある映像を含むのがよい。
利用者の降車後(S6、S7)、投影装置により、映像Y4を投影する。映像Y4は、例えば、認証基準のマーキング、退出経路(歩行ルート画像B3)、危険境界画像B4、退避スペース(避難場所画像B5)、などである。
【0052】
次いで、操作員が扉閉操作を行い(S8)、駐車装置により入出庫扉9が閉じて(S9)、入庫作業が終了する。扉閉(S9)の後も、映像Y5を投影することが好ましい。映像Y5は、例えば、「気を付けて」「いってらっしゃいませ」などの文字画像である。
【0053】
図7は、本発明による出庫時の運転案内方法を示す全体フロー図である。
この図において、出庫時の運転案内方法は、T1~T7の各ステップ(工程)からなる。
【0054】
図7において、出庫開始後、利用者が入庫室8の外側正面に設けられた出庫待機位置に到着する(T1)と、操作員が入庫操作を行い(T2)、駐車装置により入出庫扉9が開く(T4)。出庫待機位置は、入庫待機位置Cと同じである。利用者は入出庫扉9が開くまで出庫待機位置で待機する(T3)。
利用者の待機中(T3)、投影装置により映像Y6を投影する。映像Y6は、映像1と同様の映像であるのがよい。
【0055】
次いで、利用者は入出庫扉9を通って庫内に入り、駐車位置A(車定位置)で乗車し、入庫室8から出庫する(T5)。
扉開(T4)から利用者の出庫中(T5)、投影装置により映像Y7を投影する。映像Y7は、出庫動線のマッピング、認証基準のマーキング、退出経路、退避スペース、などの他、季節感(海の日、ハロウィン、クリスマス)のある映像を含むのがよい。
【0056】
次いで、操作員が扉閉操作を行い(T6)、駐車装置により入出庫扉9が閉じ(T7)、出庫作業が終了する。扉閉(T7)の後も、映像Y8を投影することが好ましい。映像Y8は、例えば、「本日はお越しいただき、ありがとうございました」などの文字映像である。
【0057】
図8は、駐車設備100が自走式駐車場である場合の平面図である。
この図において、駐車設備100は、入口27、分岐路28、及び駐車枠29を有する。
駐車設備100は、入口27、分岐路28、及び駐車枠29に設けられ車両1を識別する車両識別装置30を備える。車両識別装置30は、カメラと画像処理装置を有し、車両1のナンバープレートを読み取り、記憶装置26に記憶する。
記憶装置26は、さらに駐車枠29の位置とその使用状態を記憶する。
【0058】
プロジェクタ装置22は、駐車場内の入口27、分岐路28、及び駐車枠29の近傍に設けられた場内プロジェクタ22C(又は第3プロジェクタ)を有する。
場内プロジェクタ22Cは、車両位置に応じて場内映像X4(又は第4映像)を投影する。場内映像X4は、入庫時に車両1を空の駐車枠29まで案内する経路案内画像B6を含む動画である。
なお、場内プロジェクタ22Cは、この例では、複数(10台)を示しているが、所定位置に場内映像X4を投影できる限りで、何台でもよい。
【0059】
図8において、車両1が入口27に到着すると、位置検出装置10が車両位置を検出し、車両識別装置30が車両1のナンバープレートを読み取る。プロジェクションマッピング装置20は、ナンバープレートから車両1の仕様(車種、大きさ等)を判別し、その車両1の仕様を記憶装置26に記憶すると共に、その車両1に適した空の駐車枠29を確保し、その位置までの経路を作成する。
入口27の場内プロジェクタ22Cは、入口27に適した案内を含む映像Xを壁面51又は床面52に投影する。
【0060】
図8において、車両1が分岐路28に到着すると、位置検出装置10が車両位置を検出し、車両識別装置30が車両1のナンバープレートを読み取り、場内プロジェクタ22Cがその車両1の経路の案内を含む映像Xを壁面51又は床面52に投影する。
【0061】
図8において、車両1が駐車枠29に到着すると、位置検出装置10が車両位置を検出し、車両識別装置30が車両1のナンバープレートを読み取り、場内プロジェクタ22Cが空の駐車枠29までの案内を含む映像Xを壁面51又は床面52に投影する。
【0062】
上述した構成により、車両1の運転者は、入口から進入後、どこを通り、どこに駐車するかを映像X(場内映像X4)から容易に判断できる。
【0063】
図9は、自走式駐車場の駐車枠29の説明図である。
この図において、(A)は、車両1が普通乗用車のみの場合の駐車枠29を示し、(B)は、車両1が普通乗用車、バス、及び、オートバイの場合の駐車枠29を示している。
【0064】
図9において、駐車枠29は、床面52に白線等で記載された矩形枠ではなく、場内映像X4に含まれ場内プロジェクタ22Cにより投影される投影画像である。すなわち、場内プロジェクタ22Cにより投影される場内映像X4は、駐車枠29の投影画像を含んでいる。
また、プロジェクタ装置22は、投影された駐車枠29の大きさ及び配置を変更可能になっている。
【0065】
この構成により、駐車設備100を利用する車両1の種類(軽自動車、小型乗用車、大型乗用車、バス、トラック、オートバイ、自転車、など)とその比率に応じて、駐車枠29の大きさ及び配置を変化させて、駐車設備100の利用効率を高めることができる。
【0066】
上述した本発明の実施形態によれば、位置検出装置10により車両位置を検出し、プロジェクションマッピング装置20により、車両位置に適した案内を含む映像Xを壁面51又は床面52に投影する。これにより、車両1の運転者は、入口から進入後、どこを通り、どこに駐車し、駐車後どうすれば良いかを映像Xから容易に判断できる。
従って、利用者が運転初心者であっても、迷わず、わかりやすく、快適に駐車位置に駐車できる。
【0067】
また、映像Xが壁面51又は床面52に投影されるので、運転中に前方から視線を移す必要がなく安全性が高い。さらにユーザの携帯装置(例えばスマートフォン)との通信が不要のため、不安定な無線通信の影響を受けず、高い安定性(ロバスト性)を確保できる。
【0068】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
A 入庫可能範囲(駐車位置)、a1 前端、a2 後端、a3 右端、a4 左端、
B1 入庫案内画像、B2 車幅制限画像、B3 歩行ルート画像、
B4 危険境界画像、B5 避難場所画像、B6 経路案内画像、
X 映像、X1 庫内映像(第1映像)、X2 注意映像(第2映像)、
X3 前面映像(第3映像)、X4 場内映像(第4映像)、
Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6,Y7,Y8 映像、
1 車両(乗用車)、2 パレット、3 昇降路、4 格納棚、5 搬器、
6 本体フレーム、7 巻上機、8 入庫室、9 入出庫扉(開閉扉)、
10 位置検出装置、12 第1検出センサー、12a 検出ビーム光、
14 第2検出センサー、14a 検出ビーム光、
20 プロジェクションマッピング装置(投影装置)、
22 プロジェクタ装置、22A 庫内プロジェクタ(第1プロジェクタ)、
22B 前面プロジェクタ(第2プロジェクタ)、
22C 場内プロジェクタ(第3プロジェクタ)、
24 制御装置、26 記憶装置、27 入口、28 分岐路、29 駐車枠、
30 車両識別装置、51 壁面、52 床面、
100 駐車設備(機械式駐車装置、自走式駐車場)