(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092341
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/852 20230101AFI20240701BHJP
H10K 50/858 20230101ALI20240701BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240701BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240701BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H10K50/852
H10K50/858
H10K59/35
H10K50/844
G09F9/30 339Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208203
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】眞名垣 暢人
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC07
3K107CC45
3K107DD10
3K107EE21
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107FF06
3K107FF15
5C094AA07
5C094AA08
5C094AA44
5C094BA27
5C094BA43
5C094DA13
5C094JA01
(57)【要約】
【課題】高効率で色純度に優れた発光を示し、低コストで提供可能な有機EL表示装置とその製造方法を提供すること。
【解決手段】表示装置は、赤色発光画素、緑色発光画素、青色発光画素、およびキャップ層を備える。赤色発光画素、緑色発光画素、および青色発光画素は、それぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を有する。キャップ層は、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子を覆い、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子からの発光を共振させるように構成される。赤色発光画素と緑色発光画素におけるキャップ層の厚さは互いに同一であり、かつ、青色発光画素におけるキャップ層の厚さよりも大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を有する赤色発光画素、緑色発光画素、青色発光画素、ならびに
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子を覆い、前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子からの発光を共振させるように構成されるキャップ層を備え、
前記赤色発光画素と前記緑色発光画素における前記キャップ層の厚さは、互いに同一であり、かつ、前記青色発光画素における前記キャップ層の前記厚さよりも大きい、表示装置。
【請求項2】
前記キャップ層は、
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子を覆う第1のキャップ層、および
前記第1のキャップ層に接し、前記第1のキャップ層上に位置する第2のキャップ層を有し、
前記第1のキャップ層は、前記青色発光素子上で前記第2のキャップ層から露出する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1のキャップ層は、前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子に亘って連続する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素上にパッシベーション膜をさらに備え、
前記パッシベーション膜は、
第1の無機膜、
前記第1の無機膜上の第2の無機膜、および
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜の間の有機膜を有し、
前記第1の無機膜は、前記キャップ層と接する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素上にパッシベーション膜をさらに備え、
前記パッシベーション膜は、
第1の無機膜、
前記第1の無機膜上の第2の無機膜、および
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜の間の有機膜を有し、
前記第1の無機膜は、前記青色発光画素において前記第1のキャップ層と接し、前記赤色発光画素と前記緑色発光画素において前記第2のキャップ層と接する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素において、前記キャップ層の光学距離は、それぞれ前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子からの発光ピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
それぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を有する赤色発光画素、緑色発光画素、青色発光画素、ならびに
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子を覆い、前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子からの発光を共振させるように構成されるキャップ層を備え、
前記緑色発光画素と前記青色発光画素における前記キャップ層の厚さは、互いに同一であり、かつ、前記赤色発光画素における前記キャップ層の前記厚さよりも小さい、表示装置。
【請求項8】
前記キャップ層は、
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子を覆う第1のキャップ層、および
前記第1のキャップ層に接し、前記第1のキャップ層上に位置する第2のキャップ層を有し、
前記第1のキャップ層は、前記緑色発光素子と前記青色発光素子上で前記第2のキャップ層から露出する、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1のキャップ層は、前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子に亘って連続する、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素上にパッシベーション膜をさらに備え、
前記パッシベーション膜は、
第1の無機膜、
前記第1の無機膜上の第2の無機膜、および
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜の間の有機膜を有し、
前記第1の無機膜は、前記キャップ層と接する、請求項7に記載の表示装置。
【請求項11】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素上にパッシベーション膜をさらに備え、
前記パッシベーション膜は、
第1の無機膜、
前記第1の無機膜上の第2の無機膜、および
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜の間の有機膜を有し、
前記第1の無機膜は、前記青色発光画素と前記緑色発光画素において前記第1のキャップ層と接し、前記赤色発光画素において前記第2のキャップ層と接する、請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素において、前記キャップ層の光学距離は、それぞれ前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子からの発光ピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下である、請求項7に記載の表示装置。
【請求項13】
それぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を有する赤色発光画素、緑色発光画素、青色発光画素、ならびに
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子を覆い、前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子からの発光を共振させるように構成されるキャップ層を備え、
前記緑色発光画素と前記青色発光画素における前記キャップ層の厚さは、互いに同一であり、かつ、前記赤色発光画素における前記キャップ層の前記厚さよりも大きい、表示装置。
【請求項14】
前記キャップ層は、
前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子を覆う第1のキャップ層、および
前記第1のキャップ層に接し、前記第1のキャップ層上に位置する第2のキャップ層を有し、
前記第1のキャップ層は、前記赤色発光素子上で前記第2のキャップ層から露出する、請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1のキャップ層は、前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子に亘って連続する、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素上にパッシベーション膜をさらに備え、
前記パッシベーション膜は、
第1の無機膜、
前記第1の無機膜上の第2の無機膜、および
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜の間の有機膜を有し、
前記第1の無機膜は、前記キャップ層と接する、請求項13に記載の表示装置。
【請求項17】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素上にパッシベーション膜をさらに備え、
前記パッシベーション膜は、
第1の無機膜、
前記第1の無機膜上の第2の無機膜、および
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜の間の有機膜を有し、
前記第1の無機膜は、前記赤色発光画素において前記第1のキャップ層と接し、前記青色発光画素と前記緑色発光画素において前記第2のキャップ層と接する、請求項14に記載の表示装置。
【請求項18】
前記赤色発光画素、前記緑色発光画素、および前記青色発光画素において、前記キャップ層の光学距離は、それぞれ前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子からの発光ピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下である、請求項13に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、発光素子を画素に含む表示装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(Electroluminescence)表示装置が表示装置の一つとして広く利用されている。有機EL表示装置は、基板上に形成された複数の画素の各々に有機発光素子(以下、発光素子)を有している。発光素子は一対の電極(陰極、陽極)間に有機化合物を含む電界発光層(EL層)を有しており、一対の電極間に電流を供給することで駆動される。表示素子の発光色はEL層内の発光材料によって主に決定され、発光材料を適宜選択することによって種々の色の発光を得ることができる。異なる発光色を与える発光素子を基板上に複数配置することで、フルカラー表示を行うことができる。
【0003】
発光素子の発光色は、発光素子内部、あるいは外部における光の干渉効果を利用して調整することができる。例えば特許文献1では、発光素子の一方の電極上に共振構造を設け、これによって発光素子から出射された発光を共振させ、発光強度や発光色の調整を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、新しい構造を有する有機EL表示装置とその製造方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、高効率で色純度に優れた発光を示し、低コストで提供可能な有機EL表示装置とその製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一つは表示装置である。この表示装置は、赤色発光画素、緑色発光画素、青色発光画素、およびキャップ層を備える。赤色発光画素、緑色発光画素、および青色発光画素は、それぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を有する。キャップ層は、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子を覆い、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子からの発光を共振させるように構成される。赤色発光画素と緑色発光画素におけるキャップ層の厚さは互いに同一であり、かつ、青色発光画素におけるキャップ層の厚さよりも大きい。
【0007】
本発明の実施形態の一つは表示装置である。この表示装置は、赤色発光画素、緑色発光画素、青色発光画素、およびキャップ層を備える。赤色発光画素、緑色発光画素、および青色発光画素は、それぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を有する。キャップ層は、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子を覆い、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子からの発光を共振させるように構成される。緑色発光画素と青色発光画素におけるキャップ層の厚さは互いに同一であり、かつ、赤色発光画素におけるキャップ層の厚さよりも小さい。
【0008】
本発明の実施形態の一つは表示装置である。この表示装置は、赤色発光画素、緑色発光画素、青色発光画素、およびキャップ層を備える。赤色発光画素、緑色発光画素、および青色発光画素は、それぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を有する。キャップ層は、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子を覆い、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子からの発光を共振させるように構成される。緑色発光画素と青色発光画素におけるキャップ層の厚さは互いに同一であり、かつ、赤色発光画素におけるキャップ層の厚さよりも大きい。
【0009】
本発明の実施形態の一つは表示装置の製造方法である。この製造方法は、赤色発光画素、緑色発光画素、および青色発光画素にそれぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を形成すること、および赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を覆うキャップ層を形成することを含む。キャップ層は、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子からの発光を共振させるように構成される。赤色発光画素と緑色発光画素におけるキャップ層の厚さは互いに同一であり、かつ、青色発光画素におけるキャップ層の厚さよりも大きい。
【0010】
本発明の実施形態の一つは表示装置の製造方法である。この製造方法は、赤色発光画素、緑色発光画素、および青色発光画素にそれぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を形成すること、および赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を覆うキャップ層を形成することを含む。キャップ層は、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子からの発光を共振させるように構成される。緑色発光画素と青色発光画素におけるキャップ層の厚さは互いに同一であり、かつ、赤色発光画素におけるキャップ層の厚さよりも小さい。
【0011】
本発明の実施形態の一つは表示装置の製造方法である。この製造方法は、赤色発光画素、緑色発光画素、および青色発光画素にそれぞれ赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を形成すること、および赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を覆うキャップ層を形成することを含む。キャップ層は、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子からの発光を共振させるように構成される。緑色発光画素と青色発光画素におけるキャップ層の厚さは互いに同一であり、かつ、赤色発光画素におけるキャップ層の厚さよりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
【
図2A】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
【
図2B】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
【
図3】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的端面図。
【
図4】本発明の実施形態の一つに係る表示装置に含まれる発光素子の模式的端面図。
【
図5A】一般的な赤色発光素子の発光効率のキャップ層の厚さ依存性を示すプロット。
【
図5B】一般的な緑色発光素子の発光効率のキャップ層の厚さ依存性を示すプロット。
【
図6】一般的な青色発光素子の発光効率のキャップ層の厚さ依存性を示すプロット。
【
図7】本発明の実施形態の一つに係る表示装置に含まれる発光素子の模式的端面図。
【
図8】本発明の実施形態の一つに係る表示装置に含まれる発光素子の模式的端面図。
【
図9】実施例1、2、および比較例1、2の発光素子の相対効率を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0014】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0015】
本発明において、ある一つの膜に対してエッチングや光照射を行って複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0016】
本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0017】
本明細書および請求項において、「ある構造体が他の構造体から露出する」という表現は、ある構造体の一部が他の構造体によって覆われていない態様を意味し、この他の構造体によって覆われていない部分は、さらに別の構造体によって覆われる態様も含む。また、この表現で表される態様は、ある構造体が他の構造体と接していない態様も含む。
【0018】
1.表示装置の構造
本発明の実施形態の一つに係る表示装置100の模式的上面図を
図1に示す。
図1に示すように、表示装置100は基板102を備え、基板102上にパターニングされた種々の絶縁膜、半導体膜、導電体膜が積層される。これらの膜が適宜積層されることにより、複数の画素110や画素110を駆動するための駆動回路(走査線駆動回路104、信号線駆動回路106)などが基板102上に形成される。画素110、走査線駆動回路104、信号線駆動回路106上には
図1では示されない対向基板が設けられる。基板102と対向基板はシール材によって固定され、これにより、画素110、走査線駆動回路104、信号線駆動回路106が封止、保護される。基板102上には、導電体膜で形成される複数の端子108が設けられ、端子108はフレキシブルプリント回路(FPC)基板などのコネクタを経由して図示しない外部回路と電気的に接続される。映像を表示するための各種信号や電源が外部回路から端子108を介して走査線駆動回路104と信号線駆動回路106に供給される。なお、走査線駆動回路104、信号線駆動回路106のいずれか、あるいは両方は、基板102の上に直接形成される必要はなく、基板102とは異なる基板(半導体基板など)上に形成された駆動回路を基板102やコネクタ上に設けてもよい。
【0019】
各画素110には画素回路が形成され、さらに三原色を与える発光素子(すなわち、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子)のいずれかが配置される。外部回路から供給される各種信号に基づいて走査線駆動回路104と信号線駆動回路106によって画素回路を動作させるための信号が生成される。これにより、画素回路に接続される発光素子が発光し、各画素110は色情報を与える最小単位として機能する。その結果、フルカラー表示が可能となる。ここで、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子とは、例えば発光ピーク波長をそれぞれ650nm以上750nm以下の範囲、500nm以上650nm以下の範囲、および400nm以上500nm以下の範囲に示す素子をいう。
【0020】
画素110の配置に制約はない。例えば
図2Aに示すように、赤色、緑色、青色をそれぞれ与える赤色発光画素110-1、緑色発光画素110-2、青色発光画素110-3が行方向で順に配列し、かつ、同一の発光色を与える画素110が同一列に配置されるストライプ配列を採用してもよい。あるいは、図示しないが、行方向と列方向の両方において赤色発光画素110-1、緑色発光画素110-2、および青色発光画素110-3が順に配列するモザイク配列のほか、デルタ配置やペンタイル配列などの種々の配列を採用してもよい。あるいは、
図2Bに示すように、隣接する青色発光画素110-3の間に一つまたは複数の赤色発光画素110-1と一つまたは複数の緑色発光画素110-2が挟まれるように複数の画素110を配置してもよい。この時、最も発光効率の低い青色発光素子が配置される青色発光画素110-3の面積が他の画素110よりも大きな面積を有するように複数の画素110を配置することで、青色発光素子の負担が軽減され、表示装置100の信頼性を向上することができる。
【0021】
図2Aの鎖線A-A´に沿った端面の模式図を
図3に示す。
図3では、連続的に配置される赤色発光画素110-1、緑色発光画素110-2、青色発光画素110-3の端面が模式的に示されている。各画素110に形成される画素回路の構成は任意に決定することができ、公知の構造を適用すればよい。
図3に示される例では、一つのトランジスタ120およびトランジスタ120に接続される容量素子(補助容量素子)140が画素回路を構成する素子の一部として例示されている。さらに、各画素110において画素回路に接続される発光素子150が設けられ、各発光素子150からの発光を共振させることで色純度を向上させつつ高効率の発光を実現するためのキャップ層180が発光素子150上に設けられる。キャップ層180上には保護膜として機能するパッシベーション膜190が設けられ、さらにその上に対向基板112が配置される。以下、各構成について説明する。
【0022】
2.基板と対向基板
基板102と対向基板112は、表示装置100に物理的強度を提供するとともに、複数の画素110や走査線駆動回路104、信号線駆動回路106を保護するために設けられる。基板102と対向基板112は、結晶性半導体基板、ガラス基板、石英基板などの無機材料含有基板でもよく、あるいはポリイミドやポリアミド、ポリカーボネートなどの高分子を含んでもよい。基板102と対向基板112は、それぞれ可撓性を有してもよく、可撓性を持たなくてもよい。前者の場合、基板102および/または対向基板112は、弾性変形できる程度の可撓性を有してもよく、あるいは塑性変形可能な高い可撓性を有してもよい。後述するように、発光素子150からの発光は、対向基板112を通して外部に取り出される。したがって、少なくとも対向基板112は可視光を透過するように構成される。なお、対向基板112に替わり、樹脂フィルムや円偏光板などの光学フィルムを用いてもよい。
【0023】
3.画素回路
上述したように、画素回路としては公知の構成を適用することができるため、詳細な説明は割愛する。
図3に示す例では、駆動トランジスタとして機能するトランジスタ120が基板102上に設けられる。トランジスタ120は、基板102上に直接設けてもよく、基板102に含まれる不純物の拡散を防ぐアンダーコート114を介して基板102上に形成してもよい。
図3に示すトランジスタ120は、半導体膜122、半導体膜122上のゲート絶縁膜124、ゲート絶縁膜124上のゲート電極126、ゲート電極126上の層間絶縁膜128、層間絶縁膜128上に設けられ、半導体膜122と電気的に接続される一対の端子130、132によって構成される。ここで示すトランジスタ120はトップゲート型トランジスタであるが、トランジスタ120の構造に制約はなく、ボトムゲート型トランジスタや半導体膜の上下にゲート電極を有するトランジスタなどをトランジスタ120として用いてもよい。
【0024】
トランジスタ120上には、画素回路に含まれるトランジスタ120などの素子によって生じる凹凸を吸収して平坦な面を提供するための平坦化膜136が設けられる。平坦化膜136上には、容量電極142、容量電極142上の容量絶縁膜144、および画素電極152が配置することができ、これらによって容量素子140を構成することができる。平坦化膜136には端子132を露出する開口が設けられ、画素電極152は、この開口において、直接またはこの開口を覆う接続電極134を介して端子132と電気的に接続される。
【0025】
4.発光素子
発光素子150は、画素電極152、画素電極152上のEL層154、EL層154上の対向電極172によって構成される。画素電極152の端部を覆うように絶縁膜である隔壁138が設けられ、EL層154は画素電極152と隔壁138を覆うように配置される。これにより、隣接する発光素子150が電気的に接続されるとともに、画素電極152の端部によるEL層154の切断が防止される。なお、
図3に示す例では、画素電極152は発光素子150と容量素子140に共有される。
【0026】
画素電極152は、EL層154にホールを注入するとともに、EL層154で生成する発光を効率良く対向電極172側に反射するための反射電極としても機能する。このため、画素電極152は、例えば銀やアルミニウムなどの反射率の高い金属やその合金を用いて形成することができる。また、これらの金属や合金を含む膜上に、透光性を有する導電性酸化物の膜を形成してもよい。導電性酸化物としてはインジウム―スズ酸化物(ITO)やインジウム―亜鉛(IZO)などが挙げられる。例えば、導電性酸化物を含む層、銀やアルミニウムなどの金属を含む層、および導電性酸化物を含む層の三層構造を画素電極152に適用してもよい。
【0027】
一方、対向電極172は、EL層154に電子を注入するとともに、EL層154で生成する発光の一部を反射して一部を透過させる半透過半反射電極として機能する。対向電極172は、アルミニウムやマグネシウム、銀などの金属やこれらの合金を含み、可視光が透過する程度の厚さを有する金属薄膜を用いることができる。あるいは、ITOやIZOなどの透光性を有する導電性酸化物を用いてもよい。上述した金属薄膜を対向電極172として用いる場合、金属薄膜上に透光性を有する導電性酸化物を積層してもよい。対向電極172は、すべての発光素子150に共有されるよう、複数の画素110に亘って設けられる。
【0028】
このように画素電極152と対向電極172を形成することで、EL層154からの光の一部が画素電極152と対向電極172の間で反射を繰り返して共振する。その結果、表示装置100の正面方向(発光素子150の画素電極152から対向電極172側に向かう方向)において発光素子150の発光強度(すなわち、発光効率)を増大させるとともに、狭線化された発光を対向電極172と対向基板112を介して取り出すことができる。
【0029】
EL層154は、画素電極152と対向電極172からそれぞれ注入されるホールと電子が再結合する空間を提供するように構成される。EL層154は、有機化合物を含む複数の層(以下、機能層)を積層することで構成される。機能層も適宜選択することができるが、例えば赤色発光素子150-1、緑色発光素子150-2、青色発光素子150-3の模式的端面図である
図4に示すように、ホール注入層156、第1のホール輸送層158、第2のホール輸送層160、電子ブロック層162、発光層164、ホールブロック層166、電子輸送層168、電子注入層170などを適宜積層することでEL層154が形成される。EL層154はこれらの機能層をすべて含んでもよく、一部のみを含んでもよい。
【0030】
ホール注入層156は、画素電極152や隔壁138に接するように設けられ、画素電極152からEL層154へのホール注入を促進する機能を有する。ホール注入層156は、ホールが注入しやすい、すなわち酸化されやすい(電子供与性の)化合物を用いることができる。換言すると最高占有分子軌道(HOMO)準位の浅い化合物を用いることができる。例えばベンジジン誘導体やトリアリールアミンなどの芳香族アミン、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体などを用いることができる。あるいは、ポリチオフェンやポリアニリン、およびこれらの誘導体などの高分子材料を用いることができ、一例としてポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)などが挙げられる。上述した芳香族アミンやカルバゾール誘導体、あるいは芳香族炭化水素などの電子供与性化合物と電子受容体との混合物を用いてもよい。電子受容体としては、酸化バナジウムや酸化モリブデンなどの遷移金属酸化物や、含窒素ヘテロ芳香族化合物、シアノ基などの強い電子吸引基を有する芳香族化合物などが挙げられる。
【0031】
第1のホール輸送層158と第2のホール輸送層160は、ホール注入層156に注入されたホールを発光層164側へ輸送する機能を有し、ホール注入層156で使用可能な材料と同様あるいは類似する材料を用いることができる。例えば、ホール注入層156と比較して、HOMO順位が深いが、その差が約0.5eVあるいはそれ以下の材料を用いることができる。典型的には、ベンジジン誘導体などの芳香族アミンを用いることができる。第1のホール輸送層158と第2のホール輸送層に含まれる材料は互いに同一でもよく、異なってもよい。
【0032】
各発光素子150に必ずしも第1のホール輸送層158と第2のホール輸送層160の両方を配置する必要はなく、発光素子150の発光波長に応じて一つまたは複数のホール輸送層を配置すればよい。通常、各発光素子150は、発光層164で得られる発光を画素電極152と対向電極172の間で共振させ、効率よく発光を取り出しつつ、発光スペクトルの狭線化を図ることで色純度が向上するように設計される。このため、発光素子150がマイクロキャビティを形成するよう、画素電極152と対向電極172間の光学距離、発光領域に相当する発光層164から画素電極152までの光学距離、および発光層164から対向電極172までの光学距離が調整される。例えば、各発光素子150において、画素電極152と対向電極172の間の光学距離が発光材料の発光ピーク波長の1/2の整数倍の80%以上120%以内になるように調整するのが好ましい。また、画素電極152から発光層164までの光学距離、および対向電極172から発光層164までの光学距離が発光材料の発光ピーク波長の1/4(1/4波長)の奇数倍の80%以上120%以内になるように調整するのが好ましい。なお、光学距離とは、膜の厚さと膜に含まれる材料の屈折率の積である。したがって、画素電極152と対向電極172の間の光学距離は、各機能層の厚さと屈折率の積の和である。
【0033】
第1のホール輸送層158と第2のホール輸送層は、光学距離の調整のために利用することができる。したがって、例えば最も長波長の発光を与える赤色発光素子150-1に第1のホール輸送層158と第2のホール輸送層160の両者を用い、最も短波長の発光を与える青色発光素子150-3では一方を用いてもよい。また、緑色発光素子150-2では、第1のホール輸送層158と第2のホール輸送層160の両者を用いてもよく、一方を用いてもよい。前者の場合、緑色発光素子150-2における第1のホール輸送層158と第2のホール輸送層160の総膜厚が赤色発光素子150-1のそれよりも小さくてもよい。
【0034】
電子ブロック層162は、対向電極172から注入された電子が発光層164内で再結合に寄与することなく発光層164を通過して第2のホール輸送層160や第1のホール輸送層158へ注入されることを防ぐことで電子を発光層164内に閉じ込めるとともに、発光層164で得られる励起エネルギーが上記ホール輸送層の分子にエネルギー移動することを防ぐ機能を有する。これにより、発光効率の低下を防ぐことができる。
【0035】
電子ブロック層162には、電子輸送性よりもホール輸送性が高い、あるいは同程度であり、発光層164内の分子よりも最低非占有分子軌道(LUMO)準位が浅く、バンドギャップが大きい材料を用いることが好ましい。具体的には、電子ブロック層162に含まれる分子のLUMO準位と発光層164に含まれる分子のそれとの差は、0.2eV、0.3eV、あるいは0.5eV以上が好ましい。また、電子ブロック層162に含まれる分子のバンドギャップと発光層164に含まれる分子のそれとの差は0.2eV、0.3eV、あるいは0.5eV以上が好ましい。発光材料が燐光材料の場合、発光材料よりも0.2eV、0.3eV、あるいは0.5eV以上三重項準位の高い材料を用いることが好ましい。より具体的には、芳香族アミン誘導体、カルバゾール誘導体、9,10-ジヒドロアクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体などが挙げられる。
【0036】
発光層164は、単一の化合物で形成されていてもよく、あるいは所謂ホスト―ドープ型の構成を有してもよい。ホスト―ドープ型の場合、ホスト材料としては、スチルベン誘導体、アントラセン誘導体などの縮合芳香族化合物、カルバゾール誘導体、ベンゾキノリノールを基本骨格として有する配位子を含む金属錯体、芳香族アミン、フェナントロリン誘導体などの含窒素ヘテロ芳香族化合物などが例示される。ドーパントは発光材料として機能し、クマリン誘導体、ピラン誘導体、キノクリドン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、アントラセン誘導体などの蛍光材料、あるいはイリジウム系オルトメタル錯体などの燐光材料を用いることができる。発光層164を単一の化合物で構成する場合、上述したホスト材料を発光材料として用いることができる。発光層164は、発光色が異なる発光素子150間で異なる構造、あるいは異なる発光材料を有するように構成される。
【0037】
ホールブロック層166は、画素電極152から注入されたホールが再結合に寄与することなく発光層164を通過して電子輸送層168へ注入されることを防ぐことでホールを発光層164内に閉じ込めるとともに、発光層164で得られる励起エネルギーが電子輸送層168内の分子にエネルギー移動することを防ぐ機能を有する。これにより、発光効率の低下を防ぐことができる。
【0038】
ホールブロック層166には、ホール輸送性よりも電子輸送性が高い、あるいは同程度であり、発光層164内の分子よりもHOMO準位が深く、バンドギャップが大きい材料を用いることが好ましい。具体的には、ホールブロック層166に含まれる分子のHOMO準位と発光層164に含まれる分子のそれとの差は、0.2eV、0.3eV、あるいは0.5eV以上が好ましい。また、ホールブロック層166に含まれる分子のバンドギャップと発光層164に含まれる分子のそれとの差は0.2eV、0.3eV、あるいは0.5eV以上が好ましい。発光材料が燐光材料の場合、発光材料よりも0.2eV、0.3eV、あるいは0.5eV以上三重項準位の高い材料を用いることが好ましい。より具体的には、フェナントロリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-ヒドロキシ-ビフェニリル)アルミニウムなどの比較的バンドギャップの大きい(例えば2.8eV以上)金属錯体などが挙げられる。
【0039】
電子輸送層168は、対向電極172から電子注入層170を介して注入される電子を発光層164へ輸送する機能を有する。電子輸送層168には、還元されやすい(電子受容性の)化合物を用いることができる。換言すると、最低非占有分子軌道(LUMO)準位の浅い化合物を用いることができる。例えばトリス(8-キノリノラト)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウムなどのベンゾキノリノールを基本骨格として有する配位子を含有する金属錯体、オキサジアゾールやチアゾールを基本骨格として有する配位子を含有する金属錯体などが挙げられる。これらの金属錯体以外にも、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体など、電子欠如型ヘテロ芳香環を有する化合物を用いることができる。
【0040】
電子輸送層168も光学調整に利用してもよい。したがって、例えば発光色の異なる発光素子150間で厚さの異なる電子輸送層168を配置してもよい。あるいは、電子輸送層168の積層数を変えて光学調整を行ってもよい。
【0041】
電子注入層170には、対向電極172から電子輸送層168への電子注入を促進する化合物を用いることができる。例えば電子輸送層168に用いることが可能な化合物と、リチウムやマグネシウムなどの電子供与体との混合物を用いることができる。あるいは、フッ化リチウムやフッ化カルシウムなどの無機化合物を用いてもよい。
【0042】
EL層154に含まれる各機能層は、インクジェット法やスピンコート法、印刷法、ディップコーティング法などの湿式成膜法、あるいは蒸着法などの乾式成膜法を適用して形成することができる。一つの実施形態では蒸着法を適用して形成する。金属で構成される蒸着マスクとしてメタルマスクを画素回路と蒸着装置内部の蒸着源との間に設置することで、赤色発光画素、青色発光画素、緑色発光画素を成膜する。発光画素の製造コストは蒸着マスクの枚数により左右される。
【0043】
上記構成を有する発光素子150では、画素電極152と対向電極172間に電位差を与えることにより、前者からはホールが、後者からは電子がEL層154へ注入される。ホールはホール注入層156などを経由して発光層164へ輸送される。一方、電子は電子注入層170などを経由して発光層164へ輸送される。発光層164内でホールと電子が再結合し、発光層164内に含まれる発光材料の励起状態が形成される。この励起状態が基底状態に緩和する際、励起状態と基底状態のエネルギー差に相当する波長の光が放出され、各発光素子150からの発光として観測することができる。
【0044】
5.キャップ層
上述したように、表示装置100はさらに、発光素子150を覆い、発光素子150から対向電極172を介して取り出される発光を共振させるように構成されるキャップ層180を備える(
図3)。キャップ層180は、第1のキャップ層182と第1のキャップ層182上に設けられる第2のキャップ層184を含む。
【0045】
キャップ層180に含まれる材料としては、可視光領域における透過率が高い材料が挙げられる。好ましい材料は、蒸着またはスピンコート法もしくはインクジェット法によって形成可能な材料である。このような材料の一例として有機化合物が挙げられる。有機化合物は、例えば機能層に含まれる材料でもよく、あるいは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの高分子でもよい。あるいは、フッ素を含有する高分子材料が挙げられる。フッ素を含有する高分子材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデン、これらの誘導体、主鎖あるいは側鎖にフッ素を有するポリビニルエーテルやポリイミド、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリシロキサンなどが挙げられる。これらの高分子は分子内あるいは分子間で架橋していてもよい。あるいは、有機化合物に替わり、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどの金属フッ化物に例示される無機化合物が含まれてもよい。第1のキャップ層182と第2のキャップ層184に含まれる材料は、互いに同一でもよく、異なってもよい。
【0046】
従来の有機EL表示装置では、一般に、キャップ層は、最長発光波長を与える画素と最短発光波長を与える画素と中間の発光波長を与える画素の間で、すべて異なる厚さになるように構成される。キャップ層の膜厚は、最長発光波長を与える画素110に対して光の干渉を考慮して最適な効率が得られる膜厚にする。最短発光波長を与える画素と中間の発光波長を与える画素に対しても、光の干渉を考慮したキャップ膜厚を最適値として有機EL表示装置を構成することで、効率に優れた有機EL表示装置を提供することができる。しかし、画素は発光波長ごとにキャップ層の厚さが異なる構成となるため、メタルマスク数が増加し、コストの高い製造方法を取らざるを得ない。
【0047】
製造コスト増大の課題を解決する手段として、最長発光波長を与える画素と、最短発光波長を与える画素と、中間の発光波長を与える画素においてキャップ層の厚さを同じにする製造方法がある。この方法によれば、マスク数が1枚になり、製造コストを低く抑えることができる。しかし、複数の画素全てのキャップ膜厚が最適値にならないため、効率低下が課題となる。
【0048】
図5Aから
図6に一般的な赤色発光素子、青色発光素子、緑色発光素子の効率がキャップ層の膜厚に対して光の干渉により周期的に変化する様子を示す。これらの図から、赤色発光素子におけるキャップ層の最適値は130nmであり、青色発光素子におけるキャップ層の最適値は70nmであり、緑色発光素子におけるキャップ層の最適値は90nmである。各発光素子で最適な厚さのキャップ層の使用は高効率な有機EL表示装置の提供を可能にするが、製造コストは増加する。
【0049】
一方、例えば全ての発光素子に亘ってキャップ層の膜厚を70nmとした場合、青色発光素子において最適値を満たし、緑色発光素子において最適値から10%の効率低下が発生し、赤色発光素子において30%の効率低下が発生するが、製造コストは抑えることが可能になる。
【0050】
そこで、本実施形態に係る表示装置100では、キャップ層180は、最長発光波長を与える画素110と最短発光波長を与える画素110間で厚さが異なるように構成される。中間の発光波長を与える画素110におけるキャップ層180の厚さは、最長発光波長を与える画素110または最短発光波長を与える画素110におけるキャップ層180の厚さのいずれかと同一である。第1のキャップ層182は、対向電極172の上に対向電極172と接するように配置され、すべての発光素子150を覆う。したがって、第1のキャップ層182は、すべての画素110に亘って同一の層内に存在し、隣接する画素110に亘って連続する一つの膜として表示装置100内に形成される。一方、上述した厚さ関係を画素110間で実現するため、第2のキャップ層184は、一部の画素110を覆い、他の画素110と重ならないように設けられる。
【0051】
具体的には、
図6に示すように、最長発光波長を与える赤色発光画素110-1、および赤色発光画素110-1に次いで長い発光波長を与える緑色発光画素110-2におけるキャップ層180の厚さ(t
1、t
2)が互いに同一であり、かつ、最短発光波長を与える青色発光画素110-3におけるキャップ層180の厚さt
3よりも大きくなるようにキャップ層180が構成される。このような厚さ関係を実現するため、
図3、
図4に示すように、第1のキャップ層182をすべての画素110の発光素子150と重なるように設け、第2のキャップ層184は赤色発光画素110-1と緑色発光画素110-2に配置される赤色発光素子150-1と緑色発光素子150-2を選択的に覆うように設けられる。すなわち、青色発光画素110-3に配置される青色発光素子150-3上には第2のキャップ層184を設けず、青色発光素子150-3上の第1のキャップ層182を第2のキャップ層184から露出させる。第2のキャップ層184は、赤色発光画素110-1と緑色発光画素110-2に亘って連続して形成されてもよい。したがって、第2のキャップ層184は、赤色発光画素110-1と緑色発光画素110-2に亘って同一層内に存在し、青色発光画素110-3と重なる複数の開口を有する一つの膜として形成することができる(
図3参照)。
【0052】
この場合、青色発光画素110-3では、青色発光素子150-3から取り出される光は第1のキャップ層182内で共振する。このため、第1のキャップ層182の光学距離は、青色の光が効果的に共振するように調整される。例えば、青色発光素子150-3から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下となるように第1のキャップ層182の光学距離が調整される。第1のキャップ層182の典型的な厚さは、50nm以上90nm以下の範囲から選択される。
【0053】
一方、赤色発光素子150-1と緑色発光素子150-2から取り出される光は、これらに共有されるキャップ層180、すなわち、第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層内で共振する。赤色発光素子150-1と緑色発光素子150-2から取り出される光の波長は異なるため、これらのピークの1/4波長の奇数倍は互いに異なる。しかしながら、赤色発光素子150-1と緑色発光素子150-2から取り出される光のピーク波長の差は、赤色発光素子150-1と青色発光素子150-3から取り出される光のピーク波長の差よりも小さい。このため、同一の構成を有するキャップ層180を赤色発光画素110-1と緑色発光画素110-2に用いても、赤色発光素子150-1と緑色発光素子150-2から取り出される光を比較的効率よく共振させることができる。したがって、第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層の光学距離を、赤色発光素子150-1から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下であり、かつ、緑色発光素子150-2から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下に設定することで、効果的に光を共振させることができる。第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層の典型的な厚さは、例えば70nm以上110nm以下の範囲から選択することができる。
【0054】
あるいは、
図7に示すように、最短発光波長を与える青色発光画素110-3、および青色発光画素110-3に次いで短い発光波長を与える緑色発光画素110-2における厚さ(t
3、t
2)が互いに同一であり、かつ、最長発光波長を与える赤色発光画素における厚さt
1よりも小さくなるようにキャップ層180を構成してもよい。このような厚さ関係を実現するため、
図7に示すように、第1のキャップ層182をすべての画素110の発光素子150と重なるように設け、第2のキャップ層184は赤色発光画素110-1に配置される赤色発光素子150-1を選択的に覆うように設けられる。すなわち、青色発光画素110-3と緑色発光画素110-2にそれぞれ配置される青色発光素子150-3と緑色発光画素110-2上には第2のキャップ層184を設けず、青色発光素子150-3と緑色発光素子150-2上の第1のキャップ層182を第2のキャップ層184から露出させる。したがって、第2のキャップ層184は、青色発光画素110-3と緑色発光画素110-2に重なる複数の開口を有する一つの膜として形成することができる。
【0055】
この場合、赤色発光画素110-1では、赤色発光素子150-1から取り出される光は、第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層内で共振する。このため、第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層の光学距離は、赤色の光が効果的に共振するように調整される。例えば、赤色発光素子150-1から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下となるように第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層の光学距離が調整される。第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層の典型的な厚さは、90nm以上130nm以下の範囲から選択することができる。
【0056】
一方、緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3から取り出される光は、第1のキャップ層182内で共振する。緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3から取り出される光の波長は異なるため、これらのピークの1/4波長の奇数倍は互いに異なる。しかしながら、緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3から取り出される光のピーク波長の差は、赤色発光素子150-1と青色発光素子150-3から取り出される光のピーク波長の差よりも小さい。このため、同一の構成を有するキャップ層180を緑色発光画素110-2と青色発光画素110-3に用いても、緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3から取り出される光を比較的効率よく共振させることができる。したがって、第1のキャップ層182の光学距離を、緑色発光素子150-2から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下であり、かつ、青色発光素子150-3から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下に設定することで、効果的に光を共振させることができる。第1のキャップ層182の典型的な厚さは、例えば50nm以上90nm以下の範囲から選択することができる。
【0057】
あるいは、
図8に示すように、最短発光波長を与える青色発光画素110-3、および青色発光画素110-3に次いで短い波長を与える緑色発光画素110-2における厚さ(t
3、t
2)が互いに同一であり、かつ、最長発光波長を与える赤色発光画素における厚さt
1よりも大きくなるようにキャップ層180を構成してもよい。このような厚さ関係を実現するため、
図8に示すように、第1のキャップ層182をすべての画素110の発光素子150と重なるように設け、第2のキャップ層184は緑色発光画素110-2と青色発光画素110-3にそれぞれ配置される緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3を選択的に覆うように設けられる。すなわち、赤色発光画素110-1に配置される赤色発光素子150-1上には第2のキャップ層184を設けず、赤色発光素子150-1上の第1のキャップ層182を第2のキャップ層184から露出させる。したがって、第2のキャップ層184は、青色発光画素110-3と緑色発光画素110-2に亘って同一層内に存在し、赤色発光画素110-1に重なる複数の開口を有する一つの膜として形成することができる。
【0058】
この場合、赤色発光画素110-1では、赤色発光素子150-1から取り出される光は、第1のキャップ層182で共振する。このため、第1のキャップ層182との光学距離は、赤色の光が効果的に共振するように調整される。例えば、赤色発光素子150-1から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下となるように第1のキャップ層182の光学距離が調整される。第1のキャップ層182の典型的な厚さは、10nm以上50nm以下の範囲から選択することができる。
【0059】
一方、緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3から取り出される光は、第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層内で共振する。緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3から取り出される光の波長は異なるため、これらのピークの1/4波長の奇数倍は互いに異なる。しかしながら、緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3から取り出される光のピーク波長の差は、赤色発光素子150-1と青色発光素子150-3から取り出される光のピーク波長の差よりも小さい。このため、同一の構成を有するキャップ層180を緑色発光画素110-2と青色発光画素110-3に用いても、緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3から取り出される光を比較的効率よく共振させることができる。したがって、第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層の光学距離を、緑色発光素子150-2から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下であり、かつ、青色発光素子150-3から取り出される光のピークの1/4波長の奇数倍の80%以上120%以下に設定することで、効果的に光を共振させることができる。第1のキャップ層182と第2のキャップ層184の積層の典型的な厚さは、例えば50nm以上90nm以下の範囲から選択することができる。
【0060】
6.パッシベーション膜
パッシベーション膜190は、外部から水や酸素などの不純物が発光素子150に浸入することを防ぐための保護膜である。パッシベーション膜190には公知の構成を採用することができ、例えば、窒化ケイ素などのケイ素含有無機化合物を含む第1の無機膜192と第2の無機膜196、および第1の無機膜192と第2の無機膜196に挟まれ、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの高分子を含む有機膜194でパッシベーション膜190を構成することができる。
【0061】
パッシベーション膜190は、対向電極172上に、対向電極172に接するように設けることができる。このため、第2のキャップ層184を赤色発光画素110-1と緑色発光画素110-2に配置して青色発光画素110-3において第1のキャップ層182を第2のキャップ層184から露出させる場合には、第1の無機膜192は、赤色発光画素110-1と緑色発光画素110-2において第1のキャップ層182から離隔して第2のキャップ層184と接し、青色発光画素110-3において第1のキャップ層182と接する(
図4)。一方、第2のキャップ層184を赤色発光画素110-1に配置して緑色発光画素110-2と青色発光画素110-3において第1のキャップ層182を第2のキャップ層184から露出させる場合には、第1の無機膜192は、赤色発光画素110-1において第1のキャップ層182から離隔して第2のキャップ層184と接し、緑色発光画素110-2と青色発光画素110-3において第1のキャップ層182と接する(
図7)。同様に、第2のキャップ層184を緑色発光画素110-2と青色発光画素110-3に配置して赤色発光画素110-1において第1のキャップ層182を第2のキャップ層184から露出させる場合には、第1の無機膜192は、緑色発光画素110-2と青色発光画素110-3において第1のキャップ層182から離隔して第2のキャップ層184と接し、赤色発光画素110-1において第1のキャップ層182と接する(
図8)。
【0062】
パッシベーション膜190上には、直接、または図示しない接着層を介して対向基板112が設けられる(
図3)。なお、対向基板112上(
図3では対向基板112の下)には、任意の構成として、対向基板112に含まれる不純物の拡散を防ぐためのオーバーコート116を設けてもよい。
【0063】
上述した構造を有するキャップ層180を用いることで、各発光素子150の発光を効果的に共振させることができ、その結果、色純度が向上し、かつ、正面方向の輝度を増大させることができる。このことは、発光素子150の高効率化と表示装置100の消費電力の低減に寄与する。
【0064】
また、赤色発光画素110-1、緑色発光画素110-2、および青色発光画素110-3で異なる厚さを備えるキャップ層を有する従来の表示装置と比較し、より少ない工程でキャップ層180を形成することができる。例えば、基板102上に画素回路を含む複数の画素110を形成し、さらに画素回路に接続される発光素子150を各画素110に形成する。この後、すべての発光素子150と重なる単一の開口を有する第1のメタルマスクを基板102上に配置し、第1のキャップ層182に含まれる材料を、蒸着法を利用して対向電極172上に形成する。その後、赤色発光素子150-1と緑色発光素子150-2と重なる複数の開口、または緑色発光素子150-2と青色発光素子150-3と重なる複数の開口を有する第2のメタルマスクを基板102上に配置し、第2のキャップ層184に含まれる材料を、蒸着法を利用して第1のキャップ層182上に形成することで表示装置100を製造することができる。このように、表示装置100のキャップ層180は、二種類のメタルマスクを用い二つの蒸着工程によって形成することができため、より短時間で、かつ、より低い製造コストで表示装置100を提供することができる。
【実施例0065】
本実施例では、上記実施形態で述べたキャップ層を有する赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を備える表示装置を実施例として作製し、従来型の発光素子を備える表示装置(比較例)との比較を行った。実施例と比較例で用いたキャップ層の厚さを表1に纏める。
【表1】
【0066】
EL層の構造は発光色ごとに異なるが、実施例1、2、比較例1、2の間で同一である。キャップ膜厚は、設計値に対する製造誤差を考慮した値である。表1から理解されるように、比較例1は、赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子のそれぞれについて最適化されたキャップ層を有しているため、キャップ層の厚さが発光素子間で異なる。したがって、比較例1は最も製造コストが高い表示装置である。一方、比較例2は、全ての発光素子間で共通の厚さを有するキャップ層を備えており、その厚さは緑色発光素子の発光波長に最適化されている。比較例2は、最も製造コストが低い表示装置である。
【0067】
これに対し、実施例1は、
図4に示す構成を備える赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子を含む。すなわち、最長波長の光を与える赤色発光素子、および次に長い波長の光を与える緑色発光素子のキャップ層の厚さが同一であり、かつ、最短波長の光を与える青色発光素子のキャップ層の厚さよりも大きい(t
1=t
2>t
3)。実施例2は、
図7に示す構成を備える赤色発光素子、緑色発光素子、および青色発光素子を含む。すなわち、最短波長の光を与える青色発光素子と、次に短い波長の光を与える緑色発光素子のキャップ層の厚さが同一であり、かつ、最長波長の光を与える赤色発光素子のキャップ層の厚さよりも小さい(t
1>t
2=t
3)。
【0068】
図9に本発明の実施形態の効果をグラフで示す。ここでは、実施例1、実施例2、比較例2における赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子の発光効率、および、白色光源として機能するようにこれらの発光素子を発光させた際の発光効率を比較例1に対する相対値としてプロットしている。
【0069】
比較例1では、キャップ層が各発光素子において最適化された厚さを有するため、高い発光効率を示す。比較例2は製造コストが低い一方、最も低効率であることが
図9から理解される。これに対し、本発明の実施形態に係る表示装置である実施例1、2では、青色発光素子においてやや発光効率は低下するものの、他の発光素子は比較例1のそれに匹敵するまたはそれを上回る発光効率を示している。
【0070】
以上のことから、本発明の実施形態を適用することにより、異なる発光色を与える発光素子ごとに最適化された厚さを有するキャップ層を備える従来の表示装置と同程度またはそれ以上の効率を示す表示装置を、製造時に必要なメタルマスク数を抑えつつ提供することが可能である。したがって、効率の高い表示装置を低コストで提供することができる。
【0071】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0072】
本明細書においては、開示例として主にEL表示装置の場合を例示したが、他の適用例として、その他の自発光型表示装置、液晶表示装置、あるいは電気泳動素子などを有する電子ペーパ型表示装置など、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0073】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
100:表示装置、102:基板、104:走査線駆動回路、106:信号線駆動回路、108:端子、110:画素、110-1:赤色発光画素、110-2:緑色発光画素、110-3:青色発光画素、112:対向基板、114:アンダーコート、116:オーバーコート、120:トランジスタ、122:半導体膜、124:ゲート絶縁膜、126:ゲート電極、128:層間絶縁膜、130:端子、132:端子、134:接続電極、136:平坦化膜、138:隔壁、140:容量素子、142:容量電極、144:容量絶縁膜、150:発光素子、150-1:赤色発光素子、150-2:緑色発光素子、150-3:青色発光素子、152:画素電極、154:EL層、156:ホール注入層、158:第1のホール輸送層、160:第2のホール輸送層、162:電子ブロック層、164:発光層、166:ホールブロック層、168:電子輸送層、170:電子注入層、172:対向電極、180:キャップ層、182:第1のキャップ層、184:第2のキャップ層、190:パッシベーション膜、192:第1の無機膜、194:有機膜、196:第2の無機膜