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特開2024-92354複数の柱を接続するためのジョイント、ジョイントを用いた構造物並びに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092354
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】複数の柱を接続するためのジョイント、ジョイントを用いた構造物並びに方法
(51)【国際特許分類】
   F16S 1/02 20060101AFI20240701BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240701BHJP
   F16S 3/08 20060101ALI20240701BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
F16S1/02
E04B1/58 505Z
F16S3/08
F16B7/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208232
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】522240520
【氏名又は名称】T-FLOW ART AGENCY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】関口 稔章
【テーマコード(参考)】
2E125
3J039
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AA32
2E125AG03
2E125BB09
2E125BB10
2E125BE05
2E125CA05
2E125CA14
3J039AA07
3J039BB03
3J039GA06
3J039GA07
(57)【要約】
【課題】柱と柱との間で60度の角度を有する構造物を迅速、容易にかつ確実に組み立てることを可能とする。
【解決手段】
構造物1の中心Oには中央ジョイント10、構造物1の上部の頂点A、B、Cの位置には上部ジョイント20、構造物1の下部の頂点J,K,Lの位置には下部ジョイント30、構造物1の赤道部分の頂点D,E,F,G,H,Iの位置には、交互に第1及び第2の赤道ジョイント40、50が配置される。構造物1は、各ジョイントを結ぶ柱2により、表面に正三角形8つ、正方形6つを有する多面体を形成する。ジョイント10~50は、中央部と、柱の端部を各々はめ込むための凹部を有して中央部から各々異なる方向に延在する複数のはめ込み部とを備え、凹部には開口部が形成され、柱の端部を該開口部を通して凹部へとはめ込むことが可能であり、開口部は、はめ込み部の先端に形成された先端開口と、はめ込み部の側面に形成された側面開口とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱を接続するためのジョイントであって、
中央部と、
前記中央部から各々異なる方向に延在する複数のはめ込み部と、
を備え、
前記複数のはめ込み部の各々は、前記柱の端部をはめ込むための凹部を形成し、
前記凹部には開口部が形成され、前記柱の端部を該開口部を通して前記凹部へとはめ込むことが可能であり、
前記開口部は、
前記はめ込み部の先端に形成された先端開口と、
前記はめ込み部の側面に形成された側面開口と、
を有し、
前記複数のはめ込み部は、
長さ方向が同じ水平面にある少なくとも2つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向及び斜め下方向の少なくともいずれかの方向に延在する少なくとも1つの斜めはめ込み部と、
を含み、
前記少なくとも2つの水平はめ込み部は、水平方向に60度間隔で配置され、前記少なくとも1つの斜めはめ込み部は、前記水平はめ込み部の少なくとも1つと60度をなす、ジョイント。
【請求項2】
前記複数のはめ込み部の各々は、
前記中央部から延在する2つの側部と、
前記2つの側部を連結する底部と、
を備え、
前記凹部は、前記2つの側部の内面と前記底部の内面とにより形成され、
前記先端開口は、前記2つの側部の先端縁と前記底部の先端縁とにより形成され、
前記側面開口は、前記底部と反対側の前記側部の縁部により形成される、請求項1に記載のジョイント。
【請求項3】
前記柱の端部は、少なくとも2つの平行な柱側面を有するものであり、
前記はめ込み部の前記2つの側部の間に前記柱がはめ込まれたとき、前記2つの側部の内面は、前記2つの柱側面と対面して接触する、請求項2に記載のジョイント。
【請求項4】
前記柱の端部は、前記2つの平行な柱側面を有する四角柱であり、
前記複数のはめ込み部の各々は、その長さ方向に垂直な断面でコの字状に形成されている、請求項3に記載のジョイント。
【請求項5】
前記2つの側部には、前記柱が前記はめ込み部にはめ込まれている状態で前記柱を固定するための螺合手段が貫通する取り付け穴が形成されている、請求項2に記載のジョイント。
【請求項6】
前記柱の端部は、長さ方向に対し垂直に貫通する貫通穴を有するものであり、
前記取付け穴は、前記柱が前記はめ込み部にはめ込まれたとき前記貫通穴と整列する位置に形成され、前記螺合手段が前記取付け穴及び前記貫通穴を通過して締結されることにより前記柱は前記はめ込み部に固定される、請求項5に記載のジョイント。
【請求項7】
前記複数のはめ込み部が延在するところの前記中央部の領域は、前記柱の端部が当接する当接面を形成する、請求項1に記載のジョイント。
【請求項8】
前記側面開口は、前記当接面から前記先端開口まで開口する、請求項7に記載のジョイント。
【請求項9】
前記ジョイントは、
(1) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、6つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜め上はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め下方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜め下はめ込み部と、
から構成され、
前記3つの斜め上はめ込み部の各々は、前記水平はめ込み部の1つに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記3つの斜め下はめ込み部の各々は、前記水平はめ込み部の1つに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記3つの斜め上はめ込み部の各々と前記3つの斜め下はめ込み部の各々とは水平方向に60度をなして配置される、
中央ジョイント、
(2) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、2つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め下方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜め下はめ込み部と、
から構成され、
前記斜め下はめ込み部の1つが前記2つの前記水平はめ込み部の各々に対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、上部ジョイント、
(3) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、2つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜め上はめ込み部と、
から構成され、
前記斜め上はめ込み部の1つが前記2つの前記水平はめ込み部の各々に対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、下部ジョイント、
(4) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、3つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在する、1つの斜め上はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め下方向に延在する、1つの斜め下はめ込み部と、
から構成され、
前記斜め上はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記斜め下はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、第1の赤道ジョイント、
(5) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、3つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在する、1つの斜め上はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め下方向に延在する、1つの斜め下はめ込み部と、
から構成され、
前記斜め上はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記斜め下はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、第2の赤道ジョイント、
(6) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、6つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向又は斜め下方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜めはめ込み部と、
から構成され、
前記3つの斜めはめ込み部の各々は、前記水平はめ込み部の1つに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、半中央ジョイント、
(7) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、3つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在する、1つの斜め上はめ込み部、及び、前記水平面に対して斜め下方向に延在する、1つの斜め下はめ込み部のいずれか1つと、から構成され、
前記斜め上はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記斜め下はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、第1の半赤道ジョイント、
(8) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、3つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在する、1つの斜め上はめ込み部、及び、前記水平面に対して斜め下方向に延在する、1つの斜め下はめ込み部のいずれか1つと、から構成され、
前記斜め上はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記斜め下はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、第2の半赤道ジョイント、
のうちいずれか1つの態様である、請求項1に記載のジョイント。
【請求項10】
前記いずれか1つの態様のジョイントには、
前記上部ジョイント、前記下部ジョイント、前記第1の赤道ジョイント、前記第2の赤道ジョイント及び半赤道ジョイントに、各々の前記中央部から延在する少なくとも1つの前記はめ込み部がさらに追加された、拡張態様が選択肢としてさらに含まれる、請求項9に記載のジョイント。
【請求項11】
前記ジョイントのいずれの態様の前記複数のはめ込み部も、前記複数のはめ込み部の長さ方向が前記中央部の中心を通過し、かつ、前記中心から前記凹部までの距離が同一である、請求項10に記載のジョイント。
【請求項12】
前記いずれか1つの態様のジョイントにおいて、
前記水平はめ込み部を水平に配置し、かつ、前記斜め上はめ込み部を該水平はめ込み部よりも上側に配置したとき、及び/又は、前記水平はめ込み部を水平に配置し、かつ、前記斜め下はめ込み部を該水平はめ込み部よりも下側に配置したとき、前記複数のはめ込み部の前記側面開口が上側に開口するように、前記側面開口が形成される、請求項11に記載のジョイント。
【請求項13】
請求項11に記載されたジョイントを有する構造物であって、
前記構造物の中心位置に配置された、前記中央ジョイントと、
前記構造物の上部の頂点3つの位置に各々配置された、前記上部ジョイントと、
前記構造物の赤道部の頂点6つの位置に、交互に配置された、前記第1の赤道ジョイント及び前記第2の赤道ジョイントと、
前記構造物の下部の頂点3つの位置に各々配置された、前記下部ジョイントと、
同じ長さを有する複数の柱と、
を備え、前記複数の柱の各々は、前記ジョイントの間を接続するように前記はめ込み部にはめ込まれ、前記構造物の辺及び梁を形成する、構造物。
【請求項14】
前記複数の柱は、合計36本の柱であり、該柱は、前記ジョイントの前記はめ込み部の全てにはめ込まれている、請求項13に記載の構造物。
【請求項15】
請求項11に記載されたジョイントを有する構造物であって、
前記構造物の中心位置に配置された、前記半中央ジョイントと、
前記構造物の上部の頂点3つの位置に各々配置された、前記上部ジョイント、又は、前記構造物の下部の頂点3つの位置に各々配置された、前記下部ジョイントと、
前記構造物の赤道部の頂点6つの位置に、交互に配置された、前記第1の半赤道ジョイント及び前記第2の半赤道ジョイントと、
同じ長さを有する複数の柱であって、前記柱は、前記ジョイントの間を接続するように前記はめ込み部にはめ込まれ、前記構造物の辺及び梁を形成する、前記複数の柱と、
を備える、構造物。
【請求項16】
前記複数の柱は、合計24本の柱であり、該柱は、前記ジョイントの前記はめ込み部の全てにはめ込まれている、請求項15に記載の構造物。
【請求項17】
請求項11に記載されたジョイントを有する構造物であって、
前記構造物の中心位置に配置された、前記中央ジョイントと、
前記構造物の上部の頂点3つの位置に各々配置された、前記上部ジョイントと、
前記構造物の赤道部の頂点6つの位置に、交互に配置された、前記第1の赤道ジョイント及び前記第2の赤道ジョイントと、
前記構造物の下部の頂点3つの位置に各々配置された、前記下部ジョイントと、
同じ長さを有する複数の柱であって、前記柱は、前記ジョイントの間を接続するように前記はめ込み部にはめ込まれ、前記構造物の辺及び梁を形成する、前記複数の柱と、
を備え、
前記上部ジョイント、前記第1の赤道ジョイント、前記第2の赤道ジョイント及び前記下部ジョイントの少なくともいずれかは、前記拡張態様である、構造物。
【請求項18】
前記複数の柱は、四角柱である、請求項13に記載の構造物。
【請求項19】
請求項1から12のいずれか1項に記載のジョイントを用いて構造物を組み立てる方法であって、
前記ジョイントのはめ込み部の各々に前記柱をはめ込み、
前記柱を前記ジョイントに固定する、
各工程を備える、方法。
【請求項20】
前記はめ込み部の前記凹部の外周囲にリングをはめる工程をさらに備え、
前記リングが前記はめ込み部にはめられている状態で前記柱を前記凹部にはめ込む工程を実行する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の柱を接続するためのジョイント、当該ジョイントを用いて柱と柱とを接続して組み立てられる構造物、並びに、ジョイントを用いて構造物を組み立てる方法とに関する。特に、当該構造物には建築物が含まれる。
【背景技術】
【0002】
既存の建築物は、水平ラインを出すための組み立てのしやすさから縦横90度で柱を立てる構造(箱型)が主流となっている。90度以外で水平ラインを出すには特殊な加工や溶接技術などを必要とするため一般的には使用されていなかった。
【0003】
また、既存の建築用ジョイントも、90度ベースのものが主流で、90度以外の角度で柱と柱とを接続する場合は、柱となる資材の精密な加工や溶接技術などを必要とするため一般的には使用されてこなかった。
【0004】
そこで、90度ではなく60度ベースの角度で柱と柱とを接続する構造物として図25に示すものが考えられる。図25に示されるように、構造物200は、異なる方向に柱202を挿入可能なジョイント201を用いて柱と柱とを接続することによりなる多面体構造を有する。この多面体構造は表面に8つの正三角形及び6つの正方形を有し、8つの正四面体を内部に有している。このように60度の角度で柱を支え合う構造物は、建築物等に適用した場合、強度面・光効率・空力面の観点で、効率性が最も高いと考えられる。
【0005】
しかし、図25に示す構造物200では、組立中に柱202の端部が確実にジョイント201内にはめ込まれたか否かの確認が困難であり、また柱202をジョイント201に強固に固定するための手段を設けることも困難であった。図25に示す技術と類型の技術を開示したものとしては、下記特許文献1及び2に記載された技術がある。しかし、いずれも上記問題を解決する手段を開示するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許10,443,233号公報
【特許文献2】実用新案出願公告平2-22487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたもので、柱と柱との間で60度の角度を有する構造物を迅速、容易にかつ確実に組み立てることを可能とするジョイント、及び、該ジョイントを用いて組み立てられる構造物並びに方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の複数の柱を接続するためのジョイントは、中央部と、前記中央部から各々異なる方向に延在する複数のはめ込み部と、を備え、
前記複数のはめ込み部の各々は、前記柱の端部をはめ込むための凹部を形成し、前記凹部には開口部が形成され、前記柱の端部を該開口部を通して前記凹部へとはめ込むことが可能であり、前記開口部は、前記はめ込み部の先端に形成された先端開口と、前記はめ込み部の側面に形成された側面開口と、を有し、前記複数のはめ込み部は、長さ方向が同じ水平面にある少なくとも2つの水平はめ込み部と、前記水平面に対して斜め上方向及び斜め下方向の少なくともいずれかの方向に延在する少なくとも1つの斜めはめ込み部と、を含み、前記少なくとも2つの水平はめ込み部は、水平方向に60度間隔で配置され、前記少なくとも1つの斜めはめ込み部は、前記水平はめ込み部の少なくとも1つと60度をなす。
【0009】
好ましい前記複数のはめ込み部の各々は、前記中央部から延在する2つの側部と、前記2つの側部を連結する底部と、を備え、前記凹部は、前記2つの側部の内面と前記底部の内面とにより形成され、前記先端開口は、前記2つの側部の先端縁と前記底部の先端縁とにより形成され、前記側面開口は、前記底部と反対側の前記側部の縁部により形成される。
【0010】
好ましい前記柱の端部は、少なくとも2つの平行な柱側面を有するものであり、
前記はめ込み部の前記2つの側部の間に前記柱がはめ込まれたとき、前記2つの側部の内面は、前記2つの柱側面と対面して接触する。例えば、前記柱の端部は、前記2つの平行な柱側面を有する四角柱であり、前記複数のはめ込み部の各々は、その長さ方向に垂直な断面でコの字状に形成されている。前記2つの側部には、前記柱が前記はめ込み部にはめ込まれている状態で前記柱を固定するための螺合手段が貫通する取り付け穴が形成されていてもよい。好ましくは、前記柱の端部は、長さ方向に対し垂直に貫通する貫通穴を有するものであり、前記取付け穴は、前記柱が前記はめ込み部にはめ込まれたとき前記貫通穴と整列する位置に形成され、前記螺合手段が前記取付け穴及び前記貫通穴を通過して締結されることにより前記柱は前記はめ込み部に固定される。前記複数のはめ込み部が延在するところの前記中央部の領域は、前記柱の端部が当接する当接面を形成することができる。また、前記側面開口は、前記当接面から前記先端開口まで開口してもよい。
【0011】
例えば、前記ジョイントは、
(1) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、6つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜め上はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め下方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜め下はめ込み部と、
から構成され、
前記3つの斜め上はめ込み部の各々は、前記水平はめ込み部の1つに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記3つの斜め下はめ込み部の各々は、前記水平はめ込み部の1つに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記3つの斜め上はめ込み部の各々と前記3つの斜め下はめ込み部の各々とは水平方向に60度をなして配置される、
中央ジョイント、
(2) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、2つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め下方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜め下はめ込み部と、
から構成され、
前記斜め下はめ込み部の1つが前記2つの前記水平はめ込み部の各々に対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、上部ジョイント、
(3) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、2つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜め上はめ込み部と、
から構成され、
前記斜め上はめ込み部の1つが前記2つの前記水平はめ込み部の各々に対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、下部ジョイント、
(4) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、3つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在する、1つの斜め上はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め下方向に延在する、1つの斜め下はめ込み部と、
から構成され、
前記斜め上はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記斜め下はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、第1の赤道ジョイント、
(5) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、3つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在する、1つの斜め上はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め下方向に延在する、1つの斜め下はめ込み部と、
から構成され、
前記斜め上はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記斜め下はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、第2の赤道ジョイント、
(6) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、6つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向又は斜め下方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される、3つの斜めはめ込み部と、
から構成され、
前記3つの斜めはめ込み部の各々は、前記水平はめ込み部の1つに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、半中央ジョイント、
(7) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、3つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在する、1つの斜め上はめ込み部、及び、前記水平面に対して斜め下方向に延在する、1つの斜め下はめ込み部のいずれか1つと、から構成され、
前記斜め上はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記斜め下はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、第1の半赤道ジョイント、
(8) 前記複数のはめ込み部が、
長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される、3つの水平はめ込み部と、
前記水平面に対して斜め上方向に延在する、1つの斜め上はめ込み部、及び、前記水平面に対して斜め下方向に延在する、1つの斜め下はめ込み部のいずれか1つと、から構成され、
前記斜め上はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、
前記斜め下はめ込み部は、前記3つの水平はめ込み部のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす、第2の半赤道ジョイント、
のうちいずれか1つの態様である。
【0012】
前記いずれか1つの態様のジョイントには、
前記上部ジョイント、前記下部ジョイント、前記第1の赤道ジョイント、前記第2の赤道ジョイント及び半赤道ジョイントに、各々の前記中央部から延在する少なくとも1つの前記はめ込み部がさらに追加された、拡張態様が選択肢としてさらに含まれていてもよい。
【0013】
好ましい一例では、前記ジョイントのいずれの態様の前記複数のはめ込み部も、前記複数のはめ込み部の長さ方向が前記中央部の中心を通過し、かつ、前記中心から前記凹部までの距離が同一である。前記いずれか1つの態様のジョイントにおいて、前記水平はめ込み部を水平に配置し、かつ、前記斜め上はめ込み部を該水平はめ込み部よりも上側に配置したとき、及び/又は、前記水平はめ込み部を水平に配置し、かつ、前記斜め下はめ込み部を該水平はめ込み部よりも下側に配置したとき、前記複数のはめ込み部の前記側面開口が上側に開口するように、前記側面開口が形成される。
【0014】
本発明の別の態様に係る構造物は、前記構造物の中心位置に配置された、前記中央ジョイントと、前記構造物の上部の頂点3つの位置に各々配置された、前記上部ジョイントと、前記構造物の赤道部の頂点6つの位置に、交互に配置された、前記第1の赤道ジョイント及び前記第2の赤道ジョイントと、前記構造物の下部の頂点3つの位置に各々配置された、前記下部ジョイントと、同じ長さを有する複数の柱とを備え、前記複数の柱の各々は、前記ジョイントの間を接続するように前記はめ込み部にはめ込まれ、前記構造物の辺及び梁を形成する。このとき、前記複数の柱は、合計36本の柱であり、該柱は、前記ジョイントの前記はめ込み部の全てにはめ込まれている。
【0015】
本発明のさらに別の態様に係る構造物は、前記構造物の中心位置に配置された、前記半中央ジョイントと、前記構造物の上部の頂点3つの位置に各々配置された、前記上部ジョイント、又は、前記構造物の下部の頂点3つの位置に各々配置された、前記下部ジョイントと、前記構造物の赤道部の頂点6つの位置に、交互に配置された、前記第1の半赤道ジョイント及び前記第2の半赤道ジョイントと、同じ長さを有する複数の柱であって、前記柱は、前記ジョイントの間を接続するように前記はめ込み部にはめ込まれ、前記構造物の辺及び梁を形成する、前記複数の柱と、を備える。このとき、前記複数の柱は、合計24本の柱であり、該柱は、前記ジョイントの前記はめ込み部の全てにはめ込まれている。
【0016】
本発明のなおさらに別の態様に係る構造物は、前記構造物の中心位置に配置された、前記中央ジョイントと、前記構造物の上部の頂点3つの位置に各々配置された、前記上部ジョイントと、前記構造物の赤道部の頂点6つの位置に、交互に配置された、前記第1の赤道ジョイント及び前記第2の赤道ジョイントと、前記構造物の下部の頂点3つの位置に各々配置された、前記下部ジョイントと、同じ長さを有する複数の柱であって、前記柱は、前記ジョイントの間を接続するように前記はめ込み部にはめ込まれ、前記構造物の辺及び梁を形成する、前記複数の柱と、を備え、前記上部ジョイント、前記第1の赤道ジョイント、前記第2の赤道ジョイント及び前記下部ジョイントの少なくともいずれかは、前記拡張態様である。
【0017】
好ましい前記複数の柱は、四角柱である。
本発明の上述したジョイントを用いて構造物を組み立てる方法は、前記ジョイントのはめ込み部の各々に前記柱をはめ込み、前記柱を前記ジョイントに固定する、
各工程を備える。好ましくは、前記はめ込み部の前記凹部の外周囲にリングをはめる工程をさらに備え、前記リングが前記はめ込み部にはめられている状態で前記柱を前記凹部にはめ込む工程を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係るジョイントを用いて柱と柱とを接続して構成された、本発明の第1の実施形態に係る構造物の斜視図である。
図2図2は、図1に示されたジョイントのはめ込み部の基本的なはめ込み構造を示す斜視図である。
図3図3は、図2のはめ込み構造に、柱をはめ込み、ボルトで固定したときの概略図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態のジョイントの一態様に係る中央ジョイントの斜視図である。
図5図5は、図4の中央ジョイントを各方向から見たときの図であって、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は後面図、(e)は右側面図、(f)は左側面図である。
図6図6は、図4の中央ジョイントのはめ込み部が互いになす角度又は断面図を示す図であって、(a)は、断面を取るA-A線及びC-C線を示す前面図、(b)は、断面を取るB-B線を示すと共に3つの斜め上はめ込み部が互いに120度間隔に配置されていることを示す上面図、(c)は、3つの斜め下はめ込み部が互いに120度間隔に配置されていることを示す下面図、(d)は、6つの水平はめ込み部が60度間隔で配置されていることを示す、図6(a)のA-A線を含む水平面に沿って取られた断面図、(e)は、図6(b)のB-B線を含む垂直面に沿って取られた断面図、(f)は、図6(a)のC-C線を含む垂直面に沿って取られた断面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施形態のジョイントの一態様に係る上部ジョイントの斜視図である。
図8図8は、図7の上部ジョイントを各方向から見たときの図であって、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は後面図、(e)は右側面図、(f)は左側面図である。
図9図9は、図7の上部ジョイントのはめ込み部が互いになす角度又は断面図を示す図であって、(a)は、断面を取るA-A線を示す上面図、(b)は、断面を取るB-B線を示すと共に3つの斜め下はめ込み部が互いに120度間隔に配置されていることを示す下面図、(c)は、前面図、(d)は、図9(a)のA-A線を含む面に沿って取られた断面図、(e)は、図9(b)のB-B線を含む垂直面に沿って取られた断面図である。
図10図10は、本発明の第1の実施形態のジョイントの一態様に係る下部ジョイントの斜視図である。
図11図11は、図10の下部ジョイントを各方向から見たときの図であって、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は後面図、(e)は右側面図、(f)は左側面図である。
図12図12は、図10の下部ジョイントのはめ込み部が互いになす角度又は断面図を示す図であって、(a)は、断面を取るA-A線を示す前面図、(b)は、断面を取るB-B線及びC-C線を示すと共に3つの斜め上はめ込み部が互いに120度間隔に配置されていることを示す上面図、(c)は、右側面図、(d)は、2つの水平はめ込み部が60度間隔で配置されていることを示す、図12(a)のA-A線を含む水平面に沿って取られた断面図、(e)は、図12(b)のB-B線を含む垂直面に沿って取られた断面図、(f)は、図12(b)のC-C線を含む垂直面に沿って取られた断面図である。
図13図13は、本発明の第1の実施形態のジョイントの一態様に係る第1の赤道ジョイントの斜視図である。
図14図14は、図13の第1の赤道ジョイントを各方向から見たときの図であって、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は後面図、(e)は右側面図、(f)は左側面図である。
図15図15は、図13の第1の赤道ジョイントのはめ込み部が互いになす角度又は断面図を示す図であって、(a)は、断面を取るA-A線を示す前面図、(b)は、断面を取るB-B線及びC-C線を示すと共に斜め上はめ込み部と水平はめ込み部とが30度をなすことを示す上面図、(c)は、断面を取るD-D線を示すと共に斜め下はめ込み部と水平はめ込み部とが30度をなすことを示す下面図、(d)は、3つの水平はめ込み部が60度間隔で配置されていることを示す、図15(a)のA-A線を含む水平面に沿って取られた断面図、(e)は、図15(b)のB-B線を含む垂直面に沿って取られた断面図、(f)は、図15(b)のC-C線を含む垂直面に沿って取られた断面図、(g)は、図15(c)のD-D線を含む垂直面に沿って取られた断面図である。
図16図16は、本発明の第1の実施形態のジョイントの一態様に係る第2の赤道ジョイントの斜視図である。
図17図17は、図16の第2の赤道ジョイントを各方向から見たときの図であって、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は前面図、(d)は後面図、(e)は右側面図、(f)は左側面図である。
図18図18は、図16の第2の赤道ジョイントのはめ込み部が互いになす角度又は断面図を示す図であって、(a)は、断面を取るA-A線を示す前面図、(b)は、断面を取るB-B線及びC-C線を示すと共に斜め上はめ込み部と水平はめ込み部とが30度をなすことを示す上面図、(c)は、断面を取るD-D線を示すと共に斜め下はめ込み部と水平はめ込み部とが30度をなすことを示す下面図、(d)は、3つの水平はめ込み部が60度間隔で配置されていることを示す、図18(a)のA-A線を含む水平面に沿って取られた断面図、(e)は、図18(b)のB-B線を含む垂直面に沿って取られた断面図、(f)は、図18(b)のC-C線を含む垂直面に沿って取られた断面図、(g)は、図18(c)のD-D線を含む垂直面に沿って取られた断面図である。
図19図19は、図7の上部ジョイントを用いて柱と柱とを接続した状態を示す拡大斜視図である。
図20図20は、本発明の第1の実施形態に係るジョイントを用いた水平ライン効果を示す構造物の前面図である。
図21図21は、本発明の第1の実施形態に係るジョイントを用いた四角面水平ライン効果を示す構造物の前面図である。
図22図22は、本発明の第2の実施形態に係る構造物の斜視図である。
図23図23は、本発明の第3の実施形態に係る構造物の斜視図である。
図24図24は、本発明の第5の実施形態に係る、構造物を組み立てる方法において、はめ込み部の外周囲にリングをはめる工程を説明するための図である。
図25図25は、本発明の従来技術に係る構造物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
(構造物)
図1には、本発明の第1の実施形態に係る構造物1が示されている。構造物1は、第1の実施形態に係るジョイント10,20,30,40、50を用いて柱2と柱2とを接続して構成されている。柱2は、全て同じ長さlを有している。
【0020】
構造物1の中心Oには、中央ジョイント10が配置され、構造物1の上部の頂点A、B、Cの位置には、各々、上部ジョイント20が配置され、構造物1の下部の頂点J,K,Lの位置には、各々、下部ジョイント30が配置され、構造物1の赤道部分の頂点D,E,F,G,H,Iの位置には、各々、交互に、第1の赤道ジョイント40及び第2の赤道ジョイント50が配置され、各ジョイントを柱2が結ぶことにより、構造物1の梁及び辺を形成している。すなわち、構造物1は、1つの中央ジョイント、3つの上部ジョイント20,3つの下部ジョイント30、3つの第1の赤道ジョイント40、3つの第2の赤道ジョイント50,及び、計36本の柱2とから構成される。
【0021】
図示のように、構造物1において、辺の長さ及び梁の長さは同じであり、構造物1は、その表面上に、計8個の正三角形ABC,ADI、BEF,CGH,JKL,JDE,KFG,LHI、計6個の正方形ABED,ACHI,BCGF,JDIL,JEFK,KLHGを有する多面体を形成する。また、構造物1は、その内部も含めると計8個の正四面体ABCO,ADIO、BEFO,CGHO,JKLO,JDEO,KFGO,LHIOを有する。
【0022】
ジョイント10,20,30,40、50は、複数の柱2を各々異なる方向にはめ込むための複数のはめ込み部が形成されている。図2には、ジョイント10,20,30,40、50に形成された複数のはめ込む部に共通する、はめ込み構造3と、このはめ込み構造3にはめ込む柱2の一例としての形状が示されている。
【0023】
図2に示されるように、はめ込み構造3は、ジョイントの中央部(図2には図示せず。詳細は後述する)から延在する2つの側部70,71と、2つの側部70,71を連結する底部72と、底部72と反対側で側部70,71の縁部により形成される側面開口75と、2つの側部70,71の先端縁と底部72の先端縁とにより形成される先端開口76と、を備える。柱2は、少なくとも2つの平行な柱側面60,61を有するものであり、例えば、その最も簡単な形状として、長さ方向に垂直な断面が正方形又は長方形の四角柱である。この場合、柱2を収容するはめ込み構造3は、その長さ方向に垂直な断面でコの字状に形成される。
【0024】
2つの側部70,71の内面と底部72の内面は、柱2の端部をはめ込むための凹部73を形成する。側面開口75と先端開口76とは、全体として開口部77を形成し、該開口部77を通して柱2の端部を凹部73にはめ込むことが可能である。凹部73は、先端開口76と反対側で当接面74により仕切られており、当接面74は、2つの側部70、71が延在するところのジョイントの中央部の領域であり、凹部73にはめ込まれた柱2は、その先端63が当接面74に当接する。
【0025】
はめ込み構造3の2つの側部70、71には、各々、取り付け穴78,79が形成され、柱2には、長さ方向に対し垂直に貫通する貫通穴62が形成されている。
図3には、柱2の端部をはめ込み構造3の凹部73にはめ込んだ状態を側面開口75の側から見たときの図が示されている。図3に示す状態では、柱2の先端63は当接面74に当接し、2つの側部70,71の内面は、柱2の2つの柱側面60,61と対面して各々接触する。図示のように、側面開口75は、当接面74から先端開口76まで延在しているため、柱2が完全に凹部73にはめ込まれていることを目視で簡単に確認することができる。
【0026】
柱2が完全に凹部73にはめ込まれている、図3の状態では、柱の貫通穴62は、側部70、71の取り付け穴78,79と整列している。従って、整列した穴78,62、79を通して、ボルト80を貫通させることができ、取り付け穴78から突出するボルト80のネジ部にナット81を締め付けることによって、柱2をはめ込み構造3に固定することができる。
【0027】
以下、ジョイント10~50の各々について詳しく説明する。
なお、以下の説明で「(斜め)上」、「(斜め)下」及び「水平」という用語が使用されるが、これらの用語は、他の構成要素との関係性において「上」、「下」、及び、上下方向に垂直な「水平(方向や面)」を指すものであって、相対的なものであることに注意されたい。例えば、図1に示す構造物1の上下を転置させたり、傾けたとしても、ジョイントや構造物の構成要素それ自体は変化しないことはいうまでもなく、「(斜め)上」、「(斜め)下」及び「水平」は、図1に示すような通常の使用態様に戻した状態に言及するものである。
(中央ジョイント)
図4及び図5には、第1の実施形態に係る中央ジョイント10が示されている。図示のように、中央ジョイント10は、中央部11と、中央部11から水平面に沿って延在する6つの水平はめ込み部12と、中央部11から斜め上方向に延在する3つの斜め上はめ込み部13と、中央部11から斜め下方向に延在する3つの斜め下はめ込み部14とを備えている。
【0028】
水平はめ込み部12を水平に配置し、斜め上はめ込み部13を該水平はめ込み部12よりも上側に配置し、斜め下はめ込み部14を該水平はめ込み部12よりも下側に配置したとき、中央ジョイント10のはめ込み部12、13、14の側面開口(図2の75)は、上側に開口するように形成されている。
【0029】
次に図6を参照して中央ジョイント10の複数のはめ込み部の位置関係を説明する。
図6(d)は、図6(a)の線A-Aを含む水平面15に沿って取られた断面図であり、同図に示されるように、一点鎖線で表された6つの水平はめ込み部12の各々の長さ方向は、中央部11の中心O1から径方向外側へと延在し、隣接する任意の2つの水平はめ込み部12の長さ方向は、60度をなしている。すなわち、6つの水平はめ込み部12は、長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される。中央ジョイント10が図1に示される構造物1の中央に配置されたとき、中央ジョイント11の中心O1は、図1の構造物1の中心Oと一致する。
【0030】
斜め上はめ込み部13は、図5(c)の前面図に対応する図6(a)及び図6(f)の断面図に示されるように、水平面15に対して斜め上方向に延在している。また、図5(a)の上面図に対応する図6(b)に示されているように、一点鎖線で表された3つの斜め上はめ込み部13の各々の長さ方向は、中央部11の中心O1から斜め上方向に延在し、隣接する任意の2つの斜め上はめ込み部13の長さ方向は、水平方向で120度をなしている。すなわち、3つの斜め上はめ込み部13は、水平方向に120度間隔で配置される。
【0031】
また、図6(b)に示されるように、3つの斜め上はめ込み部13の各々の長さ方向は、60度間隔で配置された水平はめ込み部12の隣接する2つの水平はめ込み部12の中間を通過している。すなわち、3つの斜め上はめ込み部13の各々は、水平はめ込み部の1つに対して、水平方向に60度/2=30度をなしている。
【0032】
図1に戻ると、斜め上はめ込み部の各々にはめ込まれた柱と、この斜め上はめ込み部に隣接する水平はめ込み部にはめ込まれた柱とは、正四面体を構成する正三角形(例えば正三角形AOD、AOI)の2辺を形成している。すなわち、3つの斜め上はめ込み部13の各々は、水平はめ込み部12の1つに対して60度をなしている。よって、3つの斜め上はめ込み部13の各々(正四面体の辺)が水平面15(正四面体の面)に対してなす角度θは、図6(f)に示されるように、
θ=tan-1√2~54.74°
となる。
【0033】
3つの斜め下はめ込み部14に関しても同様に、図6(c)、図6(d)及び図1に示されるように、3つの斜め下はめ込み部14は、水平面15に対して斜め下方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置され、3つの斜め下はめ込み部14の各々は、水平はめ込み部12の1つに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなす。ここで、「水平方向に30度をなす」は、斜め下はめ込み部14を水平面に投影したとき、投影された斜め下はめ込み部14が、水平はめ込み部12の1つに対して30度をなすという意味である(図6(b)、(c)参照)。
【0034】
さらに、図5(c)~(f)、図6(a)、図6(c)、図6(e)に示されるように、3つの斜め上はめ込み部13の各々と3つの斜め下はめ込み部14の各々とは水平方向に60度をなして配置される。
【0035】
なお、中央ジョイント10において、中心O1から全てのはめ込み部の当接面74までの距離は同じであり、従って、はめ込み部に同じ長さの柱2をはめ込んだときの中心O1から柱の先端までの距離も同一となる。
(上部ジョイント)
図7及び図8には、第1の実施形態に係る上部ジョイント20が示されている。図示のように、上部ジョイント20は、中央部21と、中央部21から水平面に沿って延在する2つの水平はめ込み部22と、中央部21から斜め下方向に延在する3つの斜め下はめ込み部23とを備えている。
【0036】
水平はめ込み部22を水平に配置し、斜め下はめ込み部23を該水平はめ込み部22よりも下側に配置したとき、上部ジョイント20のはめ込み部22、23の側面開口(図2の75)は、上側に開口するように形成されている。
【0037】
次に図9を参照して上部ジョイント20の複数のはめ込み部の位置関係を説明する。
図8(a)の上面図に対応する図9(a)に示されるように、一点鎖線で表された2つの水平はめ込み部22の各々の長さ方向は、中央部21の中心O2から径方向外側へと延在し、2つの水平はめ込み部22の長さ方向は、互いに60度をなしている。また、図9(d)のA-A断面図に示されるように、2つの水平はめ込み部22の長さ方向は、中心O2を通る水平面24にある。すなわち、2つの水平はめ込み部22は、長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される。
【0038】
図9(d)~(e)に示されるように、3つの斜め下はめ込み部23は水平面24に対して斜め下方向に延在している。図8(b)の下面図に対応する図9(b)に示されるように、一点鎖線で表された3つの斜め下はめ込み部23の各々の長さ方向は、中央部21の中心O2から径方向外側へと延在し、水平方向に互いに120度をなしている。すなわち、3つの斜め下はめ込み部23は、水平面24に対して斜め下方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される。
【0039】
また、図9(b)に示されるように、3つの斜め下はめ込み部23の1つは、2つの水平はめ込み部22の各々に対して水平方向に30度をなしている。
図1に戻ると、斜め下はめ込み部にはめ込まれた柱と、この斜め下はめ込み部に水平方向に30度をなす2つの水平はめ込み部にはめ込まれた柱とは、各々、正四面体を構成する2つの正三角形(例えば正三角形ABO、ACO)の2辺を形成している。すなわち、上記斜め下はめ込み部23の1つは、2つの水平はめ込み部22の各々に対して60度をなしている。よって、上記斜め下はめ込み部23の1つ(正四面体の辺)が水平面24(正四面体の面)に対してなす角度θは、図9(e)に示されるように、
【0040】
【数1】
【0041】
となる。まとめると、斜め下はめ込み部23の1つが2つの水平はめ込み部22の各々に対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなしている。
【0042】
なお、上部ジョイント20においても、中心O2から全てのはめ込み部の当接面74までの距離は同じであり、中央ジョイント10における当該距離と同じとなるように設定されている。従って、はめ込み部に同じ長さの柱2をはめ込んだときの中心O2から柱の先端までの距離も同一となる。
【0043】
上部ジョイント20は、中央部20の中心O2が図1の構造物1において頂点A,B,Cの頂点位置に配置される。
(下部ジョイント)
図10及び図11には、第1の実施形態に係る下部ジョイント30が示されている。図示のように、下部ジョイント30は、中央部31と、中央部31から水平面に沿って延在する2つの水平はめ込み部32と、中央部31から斜め上方向に延在する3つの斜め上はめ込み部33とを備えている。
【0044】
水平はめ込み部32を水平に配置し、斜め上はめ込み部33を該水平はめ込み部32よりも上側に配置したとき、下部ジョイント30のはめ込み部32、33の側面開口(図2の75)は、上側に開口するように形成されている。
【0045】
次に図12を参照して下部ジョイント30の複数のはめ込み部の位置関係を説明する。
図12(d)のA-A断面図に示されるように、一点鎖線で表された2つの水平はめ込み部32の各々の長さ方向は、中央部31の中心O3から径方向外側へと延在し、2つの水平はめ込み部32の長さ方向は、互いに60度をなしている。また、図12(a)に示されるように、2つの水平はめ込み部32の長さ方向は、中心O3を通る水平面34にある。すなわち、2つの水平はめ込み部32は、長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される。
【0046】
図12(a)~(b)に示されるように、3つの斜め上はめ込み部33は水平面34に対して斜め上方向に延在している。図12(b)に示されるように、一点鎖線で表された3つの斜め上はめ込み部33の各々の長さ方向は、中央部31の中心O3から径方向外側へと延在し、水平方向に互いに120度をなしている。すなわち、3つの斜め上はめ込み部33は、水平面34に対して斜め上方向に延在すると共に水平方向に120度間隔で配置される。
【0047】
また、図12(b)に示されるように、3つの斜め上はめ込み部33の1つは、2つの水平はめ込み部32の各々に対して水平方向に30度をなしている。
図1に戻ると、斜め上はめ込み部にはめ込まれた柱と、この斜め上はめ込み部に水平方向に30度をなす2つの水平はめ込み部にはめ込まれた柱とは、各々、正四面体を構成する2つの正三角形(例えば正三角形JKO、JLO)の2辺を形成している。すなわち、上記斜め下はめ込み部33の1つは、2つの水平はめ込み部32の各々に対して60度をなしている。よって、上記斜め上はめ込み部33の1つ(正四面体の辺)が水平面34(正四面体の面)に対してなす角度θは、図12(f)に示されるように、
【0048】
【数2】
【0049】
となる。まとめると、斜め上はめ込み部33の1つが2つの水平はめ込み部32の各々に対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなしている。
【0050】
なお、下部ジョイント30においても、中心O3から全てのはめ込み部の当接面74までの距離は同じであり、中央ジョイント10における当該距離と同じとなるように設定されている。従って、はめ込み部に同じ長さの柱2をはめ込んだときの中心O3から柱の先端までの距離も同一となる。
【0051】
下部ジョイント30は、中央部30の中心O3が図1の構造物1において頂点J,K,Lの頂点位置に配置される。
(第1の赤道ジョイント)
図13及び図14には、第1の実施形態に係る第1の赤道ジョイント40が示されている。図示のように、第1の赤道ジョイント40は、中央部41と、中央部41から水平面に沿って延在する3つの水平はめ込み部42と、中央部41から斜め上方向に延在する1つの斜め上はめ込み部43と、中央部41から斜め下方向に延在する1つの斜め下はめ込み部44とを備えている。
【0052】
水平はめ込み部42を水平に配置し、斜め上はめ込み部43を該水平はめ込み部42よりも上側に配置し、斜め下はめ込み部44を該水平はめ込み部42よりも下側に配置したとき、第1の赤道ジョイント40のはめ込み部42、43、44の側面開口(図2の75)は、上側に開口するように形成されている。
【0053】
次に図15を参照して第1の赤道ジョイント40の複数のはめ込み部の位置関係を説明する。
図15(d)のA-A断面図に示されるように、一点鎖線で表された2つの水平はめ込み部42の各々の長さ方向は、中央部41の中心O4から径方向外側へと延在し、3つの水平はめ込み部42のうち隣接する2つの長さ方向は、互いに60度をなしている。また、図15(a)に示されるように、3つの水平はめ込み部42の長さ方向は、中心O4を通る水平面45にある。すなわち、3つの水平はめ込み部42は、長さ方向が同じ水平面にあると共に水平方向に60度間隔で配置される。
【0054】
図15(a)、(f)に示されるように、1つの斜め上はめ込み部43は水平面45に対して斜め上方向に延在している。また、図15(b)に示されるように、一転鎖線で表された斜め上はめ込み部43の長さ方向は、3つの水平はめ込み部42のうち中央の水平はめ込み部42と、柱をはめ込む側から見て左側の水平はめ込み部42との中間とを通過し、中央の水平はめ込み部42(及び左側の水平はめ込み部42)の長さ方向に対して水平方向に30度をなしている。
【0055】
一方、図15(a)、(g)に示されるように、1つの斜め下はめ込み部44は水平面45に対して斜め下方向に延在している。また、図15(c)に示されるように、一転鎖線で表された斜め上はめ込み部44の長さ方向は、3つの水平はめ込み部42のうち中央の水平はめ込み部42と、柱をはめ込む側から見て右側の水平はめ込み部42との中間とを通過し、中央の水平はめ込み部42(及び右側の水平はめ込み部42)の長さ方向に対して水平方向に30度をなしている。
【0056】
図1に戻ると、第1の赤道ジョイント40の斜め上はめ込み部又は斜め下はめ込み部にはめ込まれた柱と、この斜め上はめ込み部又は斜め下はめ込み部に水平方向に30度をなす2つの水平はめ込み部にはめ込まれた柱とは、各々、正四面体を構成する2つの正三角形(斜め上はめ込み部に関しては、例えば正三角形FBE、FBO、斜め下はめ込み部に関しては、例えば正三角形FKG、FKO)の2辺を形成している。すなわち、上記斜め上はめ込み部43又は斜め下はめ込み部44は、隣接する2つの水平はめ込み部42の各々に対して60度をなしている。よって、上記斜め上はめ込み部43又は斜め下はめ込み部44(正四面体の辺)が水平面45(正四面体の面)に対してなす角度θは、図15(f)又は図15(g)に示されるように、
【0057】
【数3】
【0058】
となる。まとめると、斜め上はめ込み部43は、3つの水平はめ込み部42のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなしている。また、斜め下はめ込み部44は、3つの水平はめ込み部42のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなしている。このように斜め上はめ込み部43と斜め下はめ込み部44とは、水平方向に60度をなして配置されている。
【0059】
なお、第1の赤道ジョイント40においても、中心O4から全てのはめ込み部の当接面74までの距離は同じであり、中央ジョイント10における当該距離と同じとなるように設定されている。従って、はめ込み部に同じ長さの柱2をはめ込んだときの中心O4から柱の先端までの距離も同一となる。
【0060】
第1の赤道ジョイント40は、中央部40の中心O4が図1の構造物1において頂点D、F、Hの頂点位置に配置される。
(第2の赤道ジョイント)
図16図17及び図18には、第1の実施形態に係る第2の赤道ジョイント50が示されている。これらの図において、第1の赤道ジョイント40と同様の構成要素に対しては、第1の赤道ジョイントの構成要素の参照番号に10を加算した参照番号を第2の赤道ジョイントの構成要素の参照番号として使用すると共に、中央部51の中心をO5として詳細な説明を省略する。
【0061】
第2の赤道ジョイント50は、第1の赤道ジョイント40と鏡像関係にある。すなわち、図18に示されるように、斜め上はめ込み部53は、3つの水平はめ込み部52のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て右側の水平はめ込み部52とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなし、斜め下はめ込み部54は、3つの水平はめ込み部52のうち中央の水平はめ込み部と、はめ込む側から見て左側の水平はめ込み部52とに対して、60度をなすと共に水平方向に30度をなしている。
【0062】
なお、第2の赤道ジョイント50においても、中心O5から全てのはめ込み部の当接面74までの距離は同じであり、中央ジョイント10における当該距離と同じとなるように設定されている。従って、はめ込み部に同じ長さの柱2をはめ込んだときの中心O4から柱の先端までの距離も同一となる。また、はめ込み部の側面開口が上側に開口するという点でも第1の赤道ジョイント40と同様である。
【0063】
第2の赤道ジョイント50は、中央部50の中心O5が図1の構造物1において頂点E、G、Iの頂点位置に位置するように、第1の赤道ジョイント40と交互に配置される。
なお、本発明において、上述した角度60度、30度、120度等は、厳密な値のみに限定されるものではなく、本発明の構造物を組み立てる上で許容可能な誤差の範囲や他の部材の寸法誤差を吸収可能な誤差の範囲を含むことはいうまでもない。
(本発明の作用効果)
以下、主として、図19から図21を用いて本発明の実施形態の作用効果を説明する。
【0064】
図19には、一例として上部ジョイント20を用いて柱2と柱2とを接続した状態が示されている。図示のように、はめ込み部22,23の凹部に柱の端部をはめ込むだけで柱2の配置が一意に決定されることが理解できる。赤丸内で最も良く示されるように、作業者は、はめ込み部の側面開口から、柱2の端部が確実にはめ込み部の当接面に当接しているかどうかを容易に判断することができる。仮に柱の端部が当接面に当接していなかったとしても柱を動かすだけで柱を容易にはめ込み部に確実にはめ込むことが可能である。また、既成の角材を柱2として使用することができるので、柱に加工をする必要がなくなり、資材の無駄を無くすことができる。
【0065】
さらには、図19の状態で、はめ込み部の側部の取り付け穴78,79が柱の貫通穴と自動的に整列するため、図3に示すように、整列した穴にボルトを挿入してナットで締結するだけで、柱2をはめ込み部に容易に固定することができる。
【0066】
また、本発明の構造物1は、図20に示されるように、建築において最も重要な「水平ラインを出す」ことが可能となる。すなわち、本実施形態に係るジョイントを用いるだけで、特殊な技術や溶接を必要とすることなく、はめ込み部の凹部に柱をはめ込む操作だけで、床・天井・赤道の各水平ラインを出すことが可能となる。
【0067】
さらには、図21に示されるように、本来は、角柱としての柱が斜めになってしまう壁・窓枠部分の四角面も、本発明のジョイントを用いれば、この四角面に水平ラインを出すことが可能になる(四角形の面に対して角柱である柱の面が揃う)。これによって、壁や窓枠の設置もパネル式ではめ込むだけで完了させることができる。
【0068】
以上のように本発明は、柱をはめ込み固定するだけというシンプルな仕組みであるため、建築物、テント、ビニールハウス、模型などにも応用可能であり、いずれの分野においても誰でも簡単に組み立てることが可能で、生活に役立たせることができる。
<第2の実施形態>
図22には、本発明の第2の実施形態に係る構造物1aが示されている。構造物1aにおいても、第1の実施形態に係るジョイント10~50が用いられている。しかし、第2の実施形態に係る構造物1aは、中央ジョイント10の3つの斜め上はめ込み部から上部ジョイント20の斜め下はめ込み部との間を接続する3本の柱と、中央ジョイント10の3つの斜め下はめ込み部から下部ジョイント30の斜め上はめ込み部との間を接続する3本の柱とが抜かれている点で、構造物1とは異なる。
【0069】
このように第2の実施形態では、第1の実施形態のように、全ての接続可能な柱をはめ込むのではなく、必要に応じて適宜柱を省略するものである。第2の実施形態は、抜く柱を図22の例に限定するものではない。例えば、中央ジョイント10の3つの斜め上はめ込み部から上部ジョイント20の斜め下はめ込み部との間を接続する3本の柱のうち1~2本の柱を抜く態様、中央ジョイント10の3つの斜め下はめ込み部から下部ジョイント30の斜め上はめ込み部との間を接続する3本の柱のうち1~2本の柱を抜く態様、並びに、それらの組み合わせも考えられる。また、中央ジョイント10の水平はめ込み部12と第1及び第2の赤道ジョイント40,50の水平はめ込み部42,52との間を接続する6本の柱のうち何本かを抜く態様も考えられる。いずれにしても、第2の実施形態では、構造物1から抜くことが可能な柱を抜いている、いずれの態様も含んでいる。
【0070】
第2の実施形態では、抜いている柱を接続するはめ込み部は使用していないことになるので、当該はめ込み部が設けられていないジョイント、並びに、当該ジョイントを使用した構造物も、第2の実施形態に含まれている。
<第3の実施形態>
図23には、本発明の第3の実施形態に係る構造物1bが示されている。第3の実施形態の構造物1bは、第1の実施形態と同様の3つの上部ジョイント20と、中央ジョイント10から3つの斜め下はめ込み部14を除去した1つの半中央ジョイント10bと、第1の赤道ジョイント40から1つの斜め下はめ込み部44を除去した3つの第1の半赤道ジョイント40bと、第2の赤道ジョイント50から1つの斜め下はめ込み部54を除去した3つの第2の半赤道ジョイント50bとを用いて、柱を接続して構成される。
【0071】
第3の実施形態の変形例としては、図23に示されるように上部ジョイントで構成された天井部からその下方の赤道部まで広がる形態とは逆に、下部ジョイントで構成された床部からその上方の赤道部まで広がった形態も考えられる。その変形例は、3つの下部ジョイント30と、中央ジョイント10から3つの斜め上はめ込み部13を除去した1つの半中央ジョイント(図示せず)と、第1の赤道ジョイント40から1つの斜め上はめ込み部43を除去した3つの第1の半赤道ジョイント(図示せず)と、第2の赤道ジョイント50から1つの斜め上はめ込み部53を除去した3つの第2の半赤道ジョイント(図示せず)とを用いて、柱を接続して構成される。
【0072】
また、第3の実施形態でも、第2の実施形態と同様に、例えば、半中央ジョイント10bの斜め上はめ込み部と上部ジョイント20の斜め下はめ込み部とを接続する3つの柱を全部或いは部分的に抜く形態(及び、上記変形例から柱を抜く形態)も含まれている。これらも広義の第2の実施形態と考えられる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、図示しないが、上記各実施形態のジョイント10、10b、20,30、40、40b、50、50bに、各々の中央部から延在する、図2に示すはめ込み構造3のはめ込み部を少なくとも1つさらに追加した、拡張態様のジョイント及び該ジョイントを用いた構造物に関する。
【0073】
例えば、上部ジョイント20の中央部21の頂面又は側面から延在する、少なくとも1つの斜め上はめ込み部及び又は少なくとも1つの水平はめ込み部を追加する拡張態様が考えられる。この拡張態様の上部ジョイントを用いることによって、構造物1、1a、1bの上部からさらに他の構造物を追加、展開することが可能となる。
【0074】
また、下部ジョイント30の中央部31の側面から延在する、少なくとも1つの水平はめ込み部を追加する拡張態様が考えられる。この拡張態様の下部ジョイントを用いることによって、構造物1、1a、1bの下部からさらに他の構造物を追加、展開することが可能となる。
【0075】
さらに、第1及び第2の赤道ジョイント40,50の中央部41、51の頂面、側面又は底面から延在する、少なくとも1つの斜め上はめ込み部、少なくとも1つの水平はめ込み部及び少なくとも1つの斜め下はめ込み部の少なくともいずれかを追加する拡張態様が考えられる。この拡張態様の赤道ジョイントを用いることによって、構造物1、1a、1bの赤道部からさらに他の構造物を追加、展開することが可能となる。
<第5の実施形態>
第5の実施形態は、上記各実施形態のジョイント10、10b、20,30、40、40b、50、50bを用いて構造物を組み立てる方法に関する。本方法は、ジョイントのはめ込み部3の各々に柱2をはめ込み、柱2をジョイントに固定する、
各工程を備える。
【0076】
第5の実施形態に係る方法は、好ましくは、図24に示されるように、はめ込み部3の凹部の外周囲にリング90をはめる工程をさらに備え、リング90がはめ込み部3にはめられている状態で柱2を凹部にはめ込む工程を実行する。これにより、構造物の組み立て中に、柱が凹部の側面開口から出たり、脱落することを防止し、組立作業を効率的に実行することができる。
【0077】
柱をはめ込み部にはめ込んだ後には、リング90を切断して取り除くことができる。或いは、リング90は、はめ込み部に脱着可能に取り付けることを可能にするため、開閉自在の構造を有していてもよい。
【0078】
以上が本発明の各実施形態であるが、本発明は上記例に限定されず、本発明の範囲内で任意好適に変更可能である。
例えば、本発明の構造物は、図1図22図23に示される多面体に限定されるものではなく、60度をベースとする他の多面体であってもよい。
【0079】
また、図1図22図23に示される構造物1,1a、1bにおいて、各ジョイントのはめ込み部の側面開口は全て上側に開口しているが、ジョイントの側面開口の向きは、構図物のサイズに応じた組み立てのしやすさ等を考慮して適宜変更可能である。例えば、構造物の内部や下側から、柱のはめ込み状況を確認する場合は、上部ジョイントの側面開口が下側に向くように上部ジョイントを構成することができる。他のジョイントについても同様である。また、各ジョイントは、上下だけでなく水平方向に側面開口が向くようにしてもよい。さらに、各ジョイントの側面開口の向きがジョイント毎に異なるようにしてもよい。
【0080】
また、構造物の柱2は、上記例では四角柱であるが、凹部にはめ込んで柱の配置を画定させることができれば、断面が他の多角形形状であってもよい。凹部の形状についても同様である。また、凹部にはめ込まれる端部以外の柱の形状が端部と異なっていてもよい。
【0081】
図2,3には、柱の貫通穴62を1つ設けた例が示されているが、複数の貫通穴を設けてもよく、当然、これらに整列する、はめ込み部の取り付け穴78,79も複数組設けることができる。柱をはめ込み部に固定するための螺合手段としてボルト80及びナット81を例に挙げたが、貫通穴62の内面にネジを切り、直接、ボルトを柱に螺合させることで固定してもよい。或いは、柱には貫通穴を設けず、螺合手段として取り付け穴から挿入する木ネジを用いてもよい。
【0082】
第5の実施形態では、柱の脱落防止用のリング90を凹部の外周に取り付けたが、柱を凹部に取り付ける際に邪魔にならない範囲で、側面開口を横断する脱落防止用の幅狭プレート、或いは、側部70,71から側面開口側に突出する突起を設けてもよい。このプレートの位置は、柱のはまり具合を確認するため当接面を隠さないようにするべきであるが、透明プレートを用いれば、はまり具合の確認の妨げにはならないため、当接面付近を部分的に覆っていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,1a、1b 構造物
2 柱
3 はめ込み構造、はめ込み部
10 中央ジョイント
10b 半中央ジョイント
11 中央部
12 水平はめ込み部
13 斜め上はめ込み部
14 斜め下はめ込み部
20 上部ジョイント
21 中央部
22 水平はめ込み部
23 斜め下はめ込み部
30 下部ジョイント
31 中央部
32 水平はめ込み部
33 斜め上はめ込み部
40 第1の赤道ジョイント
40b 第1の半赤道ジョイント
41 中央部
42 水平はめ込み部
43 斜め上はめ込み部
44 斜め下はめ込み部
50 第2の赤道ジョイント
50b 第2の半赤道ジョイント
51 中央部
52 水平はめ込み部
53 斜め上はめ込み部
54 斜め下はめ込み部
60、61 2つの平行な柱側面
62 貫通穴
63 柱の先端
70,71 側部
72 底部
73 凹部
74 当接面
75 側面開口
76 先端開口
77 開口部
78,79 取り付け穴
80 ボルト
81 ナット
90 リング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15
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図20
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図22
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