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  • 特開-金属触媒の後処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092355
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】金属触媒の後処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 33/00 20060101AFI20240701BHJP
   B01J 23/83 20060101ALI20240701BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B01J33/00 A
B01J23/83 M
C01B3/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208233
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有田 佳生
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA15
4G169BA01B
4G169BB02A
4G169BB04B
4G169BC10B
4G169BC12B
4G169BC13B
4G169BC31A
4G169BC40B
4G169BC43B
4G169BC59A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC71A
4G169CB81
4G169DA06
4G169ED05
4G169EE01
4G169FB40
4G169FB79
4G169GA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、還元雰囲気下、特に高温での反応後の金属触媒を、安全に後処理する方法、及び、当該方法を実施できる反応装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る金属触媒の後処理方法は、還元雰囲気下、前記金属触媒を使って高温で反応を行う工程、前記反応後、還元雰囲気下または不活性雰囲気下、前記金属触媒の温度を150℃以下に降温する工程、前記金属触媒の温度を降温した後、酸素含有ガスを供給して前記金属触媒の少なくとも一部を酸化させる工程を含み、前記酸素含有ガスにおける酸素濃度を調整することにより、前記金属触媒の温度を150℃以下に保持することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属触媒の後処理方法であって、
還元雰囲気下、前記金属触媒を使って高温で反応を行う工程、
前記反応後、還元雰囲気下または不活性雰囲気下、前記金属触媒の温度を150℃以下に降温する工程、
前記金属触媒の温度を降温した後、酸素含有ガスを供給して前記金属触媒の少なくとも一部を酸化させる工程を含み、
前記酸素含有ガスにおける酸素濃度を調整することにより、前記金属触媒の温度を150℃以下に保持することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記酸素含有ガスにおける酸素濃度が0.1体積%以上、5体積%以下である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属触媒が、遷移金属を酸化物換算で40質量%以上含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記遷移金属が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、モリブデン、及びロジウムから選択される1以上の遷移金属である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反応がアンモニアを分解して水素を製造する反応である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
更に、酸化した前記触媒を、還元処理せずに前記反応工程で再び用いる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
金属触媒層および加熱機構を有する反応器、
前記反応器に還元性ガスを供給するための流路、
前記反応器に原料化合物ガスを供給するための流路、
前記反応器に還元性ガスおよび/または不活性ガスを供給するための流路、並びに、
前記反応器に酸素含有ガスを供給するための流路を有することを特徴とする反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元雰囲気下、高温での反応後の金属触媒を安全に後処理する方法、及び、当該方法を実施できる反応装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属触媒を用いてアンモニアを分解し、水素を製造する反応(下記反応(1))や、金属触媒と水素を用いる反応(下記反応(2)~(5)等)は、一般的に、高温下で行われる。
2NH3 → 3H2 + N2 (1)
CO2 + 3H2 → CH3OH + H2O (2)
(2n+1)H2 + nCO → Cn2n+2 + nH2O (3)
25SH + H2 → C26 + H2S (4)
CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O (5)
【0003】
例えば、アンモニアの分解反応には、300℃以上が必要とされている(特許文献1)。メタノールの合成反応(上記反応(2))では、一般的に銅触媒を用い、200~300℃、5~10MPaの高温高圧が必要である。フィッシャー・トロプシュ反応(上記反応(3))では、比較的低温で180~250℃、10~45atmが、比較的高温で330~350℃、25atmが必要である。水素を使って含硫黄炭化水素化合物を脱硫するには、例えば上記反応(4)では、300℃程度の高温が必要である。メタネーション反応(上記反応(5))では、350~400℃程度の高温が必要である。
【0004】
水素の製造反応や水素を用いる反応では、水素により還元雰囲気になっており、金属触媒は酸化物ではなく金属の状態にある。よって、反応後の金属触媒を空気に曝すと、高温と相俟って、金属触媒の酸化が爆発的に進行し、危険な状態になるおそれがあり得る。しかし、還元雰囲気下、高温での反応後の金属触媒を安全に後処理する方法は、なかなか見当たらない。
【0005】
例えば、アンモニアの分解反応に関する特許文献1に記載の実施例では、反応後の金属触媒を、体積比10/90の空気/窒素ガスを流通させながら650℃で3時間酸化処理した後、10体積%水素/窒素ガスを流通させながら600℃で1時間還元処理し、再びアンモニアの分解反応に使用している。また、特許文献2では、一酸化炭素の接触水素添加用使用済み金属触媒を、高温で酸素含有ガスまたはスチームと接触させ、次いで高温で水素含有ガスと接触させることにより、触媒の炭化水素含有量を減少させることが記載されている。しかし、これら特許文献1,2には、還元雰囲気により金属状態にある触媒の酸化をいかに制御するかについての記載は無い。
【0006】
特許文献3には、水添触媒を酸化して不活性化する際の発熱を、酸素含有ガスを断続的に供給し、最初は供給速度を低く、供給停止時間を長く取り、不活性化の進行に応じて、速度を速く、停止時間を短くして、制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-254419号公報
【特許文献2】特表2005-516055号公報
【特許文献3】特開2016-165698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、還元雰囲気下、高温での反応後の金属触媒を安全に後処理する方法はなかなか明らかにされていないものの、酸素含有ガスを断続的に供給することにより、金属触媒の発熱を制御しつつ不活性化することが特許文献3に記載されている。
ところが、特許文献3に記載の実施例の反応は、n-ブチルアルデヒドをn-ブタノールに転化するものであり、大きなエネルギーを要するものではなく、実際、触媒層の温度は最高でも118℃に過ぎない。よって、金属触媒の後処理に厳密な制御は必要無いと考えられる。
そこで本発明は、還元雰囲気下、特に高温での反応後の金属触媒を、安全に後処理する方法、及び、当該方法を実施できる反応装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、還元雰囲気下、高温での反応後の金属触媒に酸素含有ガスを供給して酸化することにより不活性化するに当たり、酸素含有ガスにおける酸素濃度を調整することにより触媒の温度を所定温度以下に維持すれば、金属触媒を安全に後処理できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
【0010】
[1] 金属触媒の後処理方法であって、
還元雰囲気下、前記金属触媒を使って高温で反応を行う工程、
前記反応後、還元雰囲気下または不活性雰囲気下、前記金属触媒の温度を150℃以下に降温する工程、
前記金属触媒の温度を降温した後、酸素含有ガスを供給して前記金属触媒の少なくとも一部を酸化させる工程を含み、
前記酸素含有ガスにおける酸素濃度を調整することにより、前記金属触媒の温度を150℃以下に保持することを特徴とする方法。
[2] 前記酸素含有ガスにおける酸素濃度が0.1体積%以上、5体積%以下である前記[1]に記載の方法。
[3] 前記金属触媒が、遷移金属を酸化物換算で40質量%以上含む前記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記遷移金属が、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、モリブデン、及びロジウムから選択される1以上の遷移金属である前記[3]に記載の方法。
[5] 前記反応がアンモニアを分解して水素を製造する反応である前記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 更に、酸化した前記触媒を、還元処理せずに前記反応工程で再び用いる前記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 金属触媒層および加熱機構を有する反応器、
前記反応器に還元性ガスを供給するための流路、
前記反応器に原料化合物ガスを供給するための流路、
前記反応器に還元性ガスおよび/または不活性ガスを供給するための流路、並びに、
前記反応器に酸素含有ガスを供給するための流路を有することを特徴とする反応装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明方法によれば、還元雰囲気と高温を要する反応の後、酸化により高温を発する金属触媒を安全に不活性化することが可能になる。よって本発明は、実際の化学プラントなどの安全な操業を可能にするものとして、産業上非常に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係る反応装置の一例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、先ず、本発明に係る金属触媒の後処理方法を工程毎に説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
【0014】
1.反応工程
本工程では、還元雰囲気下、金属触媒を使って、高温で反応を行う。還元雰囲気とは、水素、一酸化炭素、硫化水素、ホルムアルデヒド等、反応条件下で気体状態にあり、且つ、酸化され易い化合物、水素を与え易い化合物、又は電子を受け取り易い化合物を含む雰囲気をいう。本発明においては、特に、水素を含む雰囲気をいう。水素を含む雰囲気としては、原料化合物として水素を用いる反応の他、水素を生成する反応が挙げられる。
【0015】
金属触媒とは、金属成分を含み、金属の触媒作用を利用する触媒をいう。金属触媒に含まれる金属元素は、目的の反応の触媒作用を有する金属元素単体またはその化合物を選択すればよい。金属触媒に含まれる金属元素は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、金属触媒に含まれる金属元素の化合物としては、例えば、酸化物、塩化物、硫化物などが挙げられる。
【0016】
金属の中でも特に遷移金属元素の単体、及びその酸化物、塩化物、硫化物などの化合物は、それぞれが特異な触媒作用を示す物質が多く、触媒の中心となっている。遷移金属とは、周期表で第3族元素から第12族元素の間に存在する元素の総称である。
【0017】
例えば、還元雰囲気下で且つ高温下で行われる反応として、アンモニアを分解し、水素を製造する反応(下記反応(1))では、一般的に、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、モリブデン、及びロジウムから選択される1以上の遷移金属を含む触媒が用いられる。メタノールの合成反応(下記反応(2))では、一般的に銅を含む触媒が用いられる。フィッシャー・トロプシュ反応(下記反応(3))では、一般的に鉄および/またはコバルトを含む触媒が用いられる。下記反応(4)などの脱硫反応では、一般的に、モリブデンを主成分として含み、補助的にニッケルおよび/またはコバルトを含む触媒が用いられる。メタネーション反応(下記反応(5))では、一般的に、ニッケルおよび/またはルテニウムを含む触媒が用いられる。
2NH3 → 3H2 + N2 (1)
CO2 + 3H2 → CH3OH + H2O (2)
(2n+1)H2 + nCO → Cn2n+2 + nH2O (3)
25SH + H2 → C26 + H2S (4)
CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O (5)
【0018】
金属触媒は、担体を含み、担体上に触媒が担持されているものであってもよい。担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。また、触媒活性の向上や耐久性の改善などのために、希土類金属、アルカリ金属、第2族金属、及び/又はその化合物を補助成分として含んでいてもよい。希土類金属としては、例えば、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム等が挙げられる。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。第2族金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
【0019】
金属触媒における遷移金属の割合は、目的の反応などに応じて適宜調整すればよいが、例えば、酸化物換算で20質量%以上が好ましい。また、当該割合を40質量%以上とすることで、より一層高い触媒活性が得られる。当該割合としては、50質量%以上または60質量%以上がより好ましく、70質量%以上または80質量%以上がより更に好ましい。当該割合の上限は特に制限されず、100質量%であってもよい。
【0020】
反応は、反応器中に金属触媒を含む触媒層を形成し、触媒層に原料化合物を供給することにより進行させることが好ましい。かかる触媒層には、触媒層温度の均一化などのために、金属触媒に不活性粒子を混合してもよい。不活性粒子としては、例えば、石英砂、アルミナ粒子、シリカ粒子、アルミナ-シリカ粒子などが挙げられる。触媒層に不活性粒子を混合する場合の金属触媒と不活性粒子の割合は適宜調整すればよいが、例えば、混合前における各粒子の体積比で、金属触媒の充填量に対する不活性粒子の体積を1/2倍以上、2倍以下とすることができる。また、原料化合物の予熱のためや、生成化合物の分解抑制などのために、触媒層の上流および/または下流に不活性粒子層を設けてもよい。
【0021】
金属触媒の形状は特に限定されないが、例えば、粒状、球状、ペレット状、破砕状、サドル状、リング状、ハニカム状、モノリス状、綱状、円柱状、円筒状などであってもよい。
【0022】
金属触媒の大きさは、反応器の形状などに合わせて反応が良好に進行する範囲で適宜調整すればよいが、例えば、粒状などの金属触媒の大きさとしては、篩分けによる分級での粒径で100μm以上、1000μm以下が好ましい。当該粒径が100μm以上であれば、圧力損失は小さくなり、反応器入口側の圧力を過剰に上げる必要がないため、実施コストをより抑制することが可能になり、1000μm以下であれば、触媒の内部まで有効に活用でき、触媒活性をより有効に利用することが可能になる。
【0023】
金属触媒の量は、目的の反応が良好に進行する範囲で適宜調整すればよい。例えば、単位時間当たりの原料ガス供給量(L/h)を触媒量(L)で除して得られる空間速度を、好ましくは500h-1以上、100,000h-1以下の範囲で設定すればよい。当該空間速度範囲内において、比較的低い空間速度であれば、比較的低温条件でもより一層高い転化率を得ることができ、比較的高い空間速度であれば、触媒量を低減でき得る。当該空間速度としては、1,000h-1以上、80,000h-1以下がより好ましい。
【0024】
金属化合物としては、一般的に、酸化物が最も安定であるといえる一方で、本発明の反応は還元雰囲気下で行われることから、金属触媒に含まれる金属酸化物は反応中に還元され得る。よって、金属触媒は、反応前に水素含有ガス等の還元性ガスにより還元することで、反応開始直後より高い活性を示すものとすることが好ましい。
【0025】
金属触媒を用いてアンモニアを分解し、水素を製造する反応(上記反応(1))や、金属触媒と水素を用いる反応(上記反応(2)~(5)等)は、一般的に、高温下で行われる。また、それ程の高温を要しない反応であっても、一般的には、反応速度はより高温の方がより速い場合がある。
【0026】
本工程における具体的な反応温度は、反応が良好に進行する範囲で適宜調整すればよいが、400℃以上が好ましく、500℃以上がより好ましい。当該温度の上限も特に制限されないが、例えば、1000℃以下とすることができ、900℃以下または800℃以下が好ましく、700℃以下がより好ましい。
【0027】
本工程における反応は高温下で行うため、気相反応が好ましい。即ち、反応温度で原料化合物が気体である原料化合物を用いることが好ましい。また、常温で液体または固体である原料化合物を用いる場合には、金属触媒層を含む反応器に供給する前に、それぞれ気化あるいは昇華させる工程を設け、それぞれガス状となった原料化合物を供給することが好ましい。
【0028】
2.冷却工程
本工程では、前記反応工程1の後、還元雰囲気下または不活性雰囲気下、金属触媒の温度を150℃以下に降温させる。本発明では、高温で反応を行うことから、反応直後では金属触媒も高温になっている。よって、金属触媒をそのまま不活性化処理すると、暴走反応が起こる可能性があり、危険である。そこで本工程では、金属触媒の温度をいったん150℃以下に降温させる。150℃以下であれば、金属触媒の不活性化処理による暴走反応を確実に抑制することができる。当該温度としては、120℃以下または100℃以下が好ましく、80℃以下または60℃以下がより好ましい。本工程における金属触媒温度が低いほど、以降の工程において金属触媒をより安全に不活性化できるといえる。
【0029】
本工程は、まだ高温である金属触媒の暴走反応を抑制するために、還元雰囲気下または不活性雰囲気下で行う。還元雰囲気は、大気に比べて還元状態にある気体であれば特に制限されないが、例えば、前記反応工程1の原料ガスに水素が含まれている場合には、当該原料ガスから原料化合物を除いたものであればよい。不活性雰囲気としては、例えば、窒素やアルゴンが挙げられる。本工程では、金属触媒層に、還元性ガスまたは不活性ガスを供給すればよい。
【0030】
本工程において、金属触媒の温度を150℃以下に降温させるには、例えば反応器の加熱機構など、反応系の温度を高温に維持するための機構による加熱を停止させればよい。また、金属触媒を冷却するための還元性ガスや不活性ガスは、冷却してもよいが、コストの観点から常温であればよい。
【0031】
金属触媒を冷却するための還元性ガスや不活性ガスの金属触媒層への供給量は、金属触媒を150℃以下まで冷却できれば特に制限されないが、例えば、前記反応工程1における原料化合物の金属触媒層を有する反応器に対する空間速度と同様に、1,000h-1以上、50,000-1以下程度に調整することができる。
【0032】
3.不活性化工程
本工程では、前記冷却工程2で金属触媒の温度を降温させた後、酸素含有ガスを供給して金属触媒の少なくとも一部を酸化させることにより不活性化する。本工程で金属触媒を不活性化することにより、反応を安全に中止または中断することが可能になる。
【0033】
本工程では、金属触媒の温度をモニターしつつ酸素含有ガスを金属触媒へ供給して金属触媒の少なくとも一部を酸化させて不活性化するにあたり、酸素含有ガスにおける酸素濃度を調整することにより、前記金属触媒の温度を150℃以下に維持する。
【0034】
本工程における金属触媒の温度としては、120℃以下または100℃以下が好ましく、80℃以下または60℃以下がより好ましい。
【0035】
酸素含有ガスとしては、例えば、酸素ガス自体および酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスが挙げられる。混合ガスにおける酸素ガスの割合としては、例えば、0.1体積%以上、5体積%以下が好ましい。当該割合が0.1体積%以上であれば、金属触媒をより確実に酸化することができ、5体積%以下であれば、金属触媒の暴走酸化反応をより確実に抑制することができる。
【0036】
また、酸素濃度の調整に加えて、金属触媒への酸素含有ガスの供給量を調整することにより、金属触媒の温度をより一層効率的に調整してもよい。例えば、酸素含有ガスの金属触媒に対する空間速度を、5,000h-1以上、100,000h-1以下程度に調整することができる。
【0037】
一般的に、高温で且つ還元状態にある金属触媒を空気に曝すと、酸化反応が爆発的に進行して温度が上がり、危険である場合がある。それに対して本発明では、還元雰囲気下での高温反応の後、還元雰囲気下または不活性雰囲気下で金属触媒の温度を150℃以下に下げ、更に酸素濃度を調整した酸素含有ガスを金属触媒に供給することにより、金属触媒の150℃以下に保持しつつ、金属触媒を安全に不活性化することができる。この際、金属触媒の表面が緩やかに酸化されて表面に酸化皮膜が形成されることにより、酸化が金属触媒内部まで進行せず、内部が還元状態のまま維持される可能性がある。
【0038】
本工程により不活性化された金属触媒は、安全に保管可能であると共に、再び前記反応工程1で使用することができる。不活性化された金属触媒は、前述した通り、前記反応工程1で使用する前に、還元してもよい。しかし本発明により不活性化された金属触媒は、表面に酸化皮膜が形成されて表面のみが酸化されている可能性があり、還元処理しなくても、前記反応工程1で使用でき得、それにより全体的な効率を改善できる可能性がある。
【0039】
本発明に係る反応装置は、金属触媒層および加熱機構を有する反応器、前記反応器に水素含有ガス等の還元性ガスを供給するための流路、前記反応器に原料化合物ガスを供給するための流路、前記反応器に還元性ガスおよび/または不活性ガスを供給するための流路、並びに、前記反応器に酸素含有ガスを供給するための流路を有する。図1に、本発明に係る反応装置の一例1の模式図を示す。
【0040】
反応器2は、その内部に金属触媒層3を有し、前述したようにその上流および/または下流に不活性粒子層4を有していてもよい。加熱機構は、反応器内部の金属触媒層、延いては金属触媒層内の原料化合物ガスを加熱できるものであれば特に制限されないが、例えば、反応器全体を収納可能な炉、内部に熱媒の循環路を有するジャケット、反応器外部を覆うヒーター等が挙げられる。反応器の形状は特に制限されないが、例えば、円柱状が挙げられる。反応器は、金属触媒層の上流側に少なくとも原料化合物ガスの流入口を有し、下流側に少なくとも反応ガスの排出口を有する。
【0041】
原料化合物ガスの供給流路5は、例えば原料化合物ガスタンクと反応器の原料化合物ガス流入口を連結するものであり、原料化合物ガスの供給を開始または停止するバルブや、原料化合物ガスを加熱するための熱交換器を有していてもよい。
【0042】
還元性ガスを供給するための流路6は、金属触媒を事前に還元するための還元性ガスや、水素を必要とする反応のための水素含有ガスを反応器に供給するための流路である。当該流路の一端は水素タンクおよび不活性ガスタンクに結合しており、また、その他端は反応器の上流側に直接結合していてもよいが、原料化合物ガスの供給流路に結合していてもよい。
【0043】
反応器に還元性ガスおよび/または不活性ガスを供給するための流路7は、反応終了後にまだ高温状態にある金属触媒を冷却する還元性ガスおよび/または不活性ガスを反応器に供給するための流路である。当該流路の一端は還元性ガスタンクおよび/または不活性ガスタンクに結合しており、また、その他端は反応器の上流側に直接結合していてもよいが、原料化合物ガスの供給流路に結合していてもよい。なお、還元性ガスを供給するための流路6と反応器に還元性ガスおよび/または不活性ガスを供給するための流路7は、別々の流路であってもよいし、同一の流路であってもよい。還元性ガスおよび/または不活性ガスを供給するための流路7には、還元性ガスと不活性ガスの割合を調整するためのコックを設けることが好ましい。
【0044】
反応器に酸素含有ガスを供給するための流路8は、反応終了後、150℃以下に冷却された金属触媒の少なくとも一部を酸化するための酸素含有ガスを供給するための流路である。当該流路の一端は酸素タンクおよび不活性ガスタンクに結合しており、また、その他端は反応器の上流側に直接結合していてもよいが、原料化合物ガスの供給流路に結合していてもよい。本発明方法では、金属触媒の温度を150℃以下に維持するために、酸素含有ガスにおける酸素濃度を調整するため、容器内の金属触媒の温度を測定する機構を有することが好ましい。かかる温度測定機構としては、例えば、その先端を金属触媒層内に埋め込んだ熱電対などが挙げられる。
【実施例0045】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0046】
実施例1
(1)触媒製造
(1-1)触媒製造例1
特開2021-130100号公報の実施例5に開示された触媒製造例に準じて、Co3487質量%、Y2312質量%、SrO1質量%からなる金属酸化物組成を有するアンモニア分解触媒を、開示された製造法に準じて製造した。
具体的には、硝酸イットリウムn水和物(無水物含量:72.3質量%,4.0g)、及び硝酸ストロンチウム(0.21g)をイオン交換水(12g)に溶解させて混合水溶液を作製した。次に塩基性炭酸コバルト(II)(金属コバルト含量:49質量%,13.0g)を磁製皿にとり、上記混合水溶液を加えて混合しペースト状物とした。95℃設定の湯浴上にてスパチュラでペースト状物を適宜混合し蒸発乾固させ、更に110℃の乾燥機にて一晩乾燥した。得られた乾燥物を焼成炉に入れ、200℃で2時間、更に600℃で2時間焼成することで目的の触媒を得た。この触媒は、アンモニア分解反応に好適な触媒である。
【0047】
(1-2)触媒製造例2
Co34の代わりにNiOを用いた以外は触媒製造例1と同様にして、NiO87質量%、Y2312質量%、SrO1質量%からなる金属酸化物組成を有するアンモニア分解触媒を製造した。
具体的には、硝酸イットリウムn水和物(無水物含量:72.3質量%,4.0g)、及び硝酸ストロンチウム(0.21g)をイオン交換水(12g)に溶解させて混合水溶液を作製した。次に塩基性炭酸ニッケル(II)(金属ニッケル含量:44質量%,15.4g)を磁製皿にとり、上記混合水溶液を加えて混合しペースト状物とした。95℃設定の湯浴上にてスパチュラでペースト状物を適宜混合し蒸発乾固させ、更に110℃の乾燥機にて一晩乾燥した。得られた乾燥物を焼成炉に入れ、200℃で2時間、更に600℃で2時間焼成することで目的の触媒を得た。この触媒は、アンモニア分解反応に好適な触媒である。
【0048】
(1-3)触媒製造例3
SrOの代わりにBaOを用いた以外は触媒製造例1と同様にして、Co3487質量%、Y2312質量%、BaO1質量%からなる金属酸化物組成を有するアンモニア分解触媒を、触媒製造例1に準じて製造した。
具体的には、硝酸イットリウムn水和物(無水物含量:72.3質量%,4.0g)、及び硝酸バリウム(0.17g)をイオン交換水(12g)に溶解させて混合水溶液を作製した。次に塩基性炭酸コバルト(II)(金属コバルト含量:49質量%,13.0g)を磁製皿にとり、上記混合水溶液を加えて混合しペースト状物とした。95℃設定の湯浴上にてスパチュラでペースト状物を適宜混合し蒸発乾固させ、更に110℃の乾燥機にて一晩乾燥した。得られた乾燥物を焼成炉に入れ、200℃で2時間、更に600℃で2時間焼成することで目的の触媒を得た。この触媒は、アンモニア分解反応に好適な触媒である。
【0049】
(1-4)触媒製造例4
Co34の代わりにNiOを用いた以外は触媒製造例1と同様にして、NiO87質量%、Y2312質量%、BaO1質量%からなる金属酸化物組成を有するアンモニア分解触媒を、触媒製造例1に準じて製造した。
具体的には、硝酸イットリウムn水和物(無水物含量:72.3質量%,4.0g)、及び硝酸バリウム(0.17g)をイオン交換水(12.4g)に溶解させて混合水溶液を作製した。次に塩基性炭酸ニッケル(II)(金属ニッケル含量:44質量%,15.4g)を磁製皿にとり、上記混合水溶液を加えて混合しペースト状物とした。95℃設定の湯浴上にてスパチュラでペースト状物を適宜混合し蒸発乾固させ、更に110℃の乾燥機にて一晩乾燥した。得られた乾燥物を焼成炉に入れ、200℃で2時間、更に600℃で2時間焼成することで目的の触媒を得た。この触媒は、アンモニア分解反応に好適な触媒である。
【0050】
(1-5)触媒製造例5
SrOの代わりにMgOを用いた以外は触媒製造例1と同様にして、Co3473質量%、Y2312質量%、MgO15質量%からなる金属酸化物組成を有するアンモニア分解触媒を、触媒製造例1に準じて製造した。
具体的には、硝酸イットリウムn水和物(無水物含量:72.3質量%,4.0g)、及び硝酸マグネシウム(9.55g)をイオン交換水(12g)に溶解させて混合水溶液を作製した。次に塩基性炭酸コバルト(II)(金属コバルト含量:49質量%,10.9g)を磁製皿にとり、上記混合水溶液を加えて混合しペースト状物とした。95℃設定の湯浴上にてスパチュラでペースト状物を適宜混合し蒸発乾固させ、更に110℃の乾燥機にて一晩乾燥した。得られた乾燥物を焼成炉に入れ、200℃で2時間、更に600℃で2時間焼成することで目的の触媒を得た。この触媒は、アンモニア分解反応に好適な触媒である。
【0051】
(1-6)触媒製造例6
MgOの一部をBaOとした以外は触媒製造例5と同様にして、Co3473質量%、Y2312質量%、MgO14質量%、BaO1質量%からなる金属酸化物組成を有するアンモニア分解触媒を、触媒製造例5に準じて製造した。
具体的には、硝酸イットリウムn水和物(無水物含量:72.3質量%,4.0g)、硝酸マグネシウム(8.92g)、及び硝酸バリウム(0.17g)をイオン交換水(12g)に溶解させて混合水溶液を作製した。次に塩基性炭酸コバルト(II)(金属コバルト含量:49質量%,10.9g)を磁製皿にとり、上記混合水溶液を加えて混合しペースト状物とした。95℃設定の湯浴上にてスパチュラでペースト状物を適宜混合し蒸発乾固させ、更に110℃の乾燥機にて一晩乾燥した。得られた乾燥物を焼成炉に入れ、200℃で2時間、更に600℃で2時間焼成することで目的の触媒を得た。この触媒は、アンモニア分解反応に好適な触媒である。
【0052】
(1-7)触媒製造例7
23をCeO2とした以外は触媒製造例3と同様にして、Co3487質量%、CeO212質量%、BaO1質量%からなる金属酸化物組成を有するアンモニア分解触媒を、触媒製造例3に準じて製造した。
具体的には、硝酸セリウム6水和物(3.1g)、及び硝酸バリウム(0.17g)をイオン交換水(12g)に溶解させて混合水溶液を作製した。次に塩基性炭酸コバルト(II)(金属コバルト含量:49質量%,13.0g)を磁製皿にとり、上記混合水溶液を加えて混合しペースト状物とした。95℃設定の湯浴上にてスパチュラでペースト状物を適宜混合し蒸発乾固させ、更に110℃の乾燥機にて一晩乾燥した。得られた乾燥物を焼成炉に入れ、200℃で2時間、更に600℃で2時間焼成することで目的の触媒を得た。この触媒は、アンモニア分解反応に好適な触媒である。
【0053】
(1-8)触媒製造例8
触媒製造例1に準じて、Co34 50質量%、Y23 7質量%、BaO 0.7質量%、Al23 42.3質量%からなる金属酸化物組成を有するアンモニア分解触媒を製造した。
具体的には、硝酸イットリウムn水和物(無水物含量:72.3質量%,4.7g)、硝酸バリウム(0.24g)、及び硝酸アルミニウム9水和物(62.9g)をイオン交換水(24g)に溶解させて混合水溶液を作製した。次に塩基性炭酸コバルト(II)(金属コバルト含量:49質量%,7.0g)を磁製皿にとり、上記混合水溶液を加えて混合しペースト状物とした。95℃設定の湯浴上にてスパチュラでペースト状物を適宜混合し蒸発乾固させ、更に110℃の乾燥機にて一晩乾燥した。得られた乾燥物を焼成炉に入れ、200℃で2時間、更に600℃で2時間焼成することで目的の触媒を得た。この触媒は、アンモニア分解反応に好適な触媒である。
【0054】
(2)還元条件反応例
還元雰囲気での反応例として、前記(1)で得られた触媒のアンモニア分解反応に対する性能評価を実施した。
具体的には、前記触媒を粉砕して150μm以下に篩い分け、これを円筒状の筒に充填し、プレス機で押し固めて成形した。プレス成形物を篩で300~600μmに篩い分けたものをアンモニア分解触媒とした。
アンモニア分解反応試験についても特開2021-130100号公報に開示された方法に準じて実施した。
【0055】
(2-1)反応器と触媒充填
外径10mm×内径8mmのチューブを管型流通反応器として用い、前記触媒試料(0.6mL)に石英砂を加えて全量が1.5mLとなるよう混合したものを、触媒層として反応器に充填した。触媒層上部には、ガス予熱層として石英砂(3.0g)を充填した。
【0056】
(2-2)触媒の水素還元
触媒を反応器に充填した後、管状炉に設置して温度を600℃に設定し、水素10容量%と窒素90容量%を含む混合ガスを1時間流通させることにより、水素還元処理に付した。
【0057】
(2-3)アンモニア分解反応
水素の供給を止めて還元処理を終えた後、反応器内を窒素ガスで5分置換した。窒素ガスの供給を止め、170mL/minのガス量で100%アンモニアガスの供給を開始した。1時間あたりのガス供給量を触媒量で除して得られる空間速度(h-1)は17,000h-1である。
反応器出口ガスは、水素、窒素および未転化のアンモニアを含み、未転化のアンモニアは硫酸トラップで除去した。アンモニア転化率は、未分解のアンモニアを除去した後の、水素と窒素を含む分解生成ガスの量を測定して、以下の計算式で算出した。
アンモニア転化率(%)={分解生成ガス(水素+窒素)量(L)/[供給アンモニアガス量(L)×2]}×100
管状炉温度を600℃に設定した条件で反応を行ったところ、いずれの触媒を使った場合でも、反応開始から1時間後のアンモニア転化率は99%を超えていた。管状炉温度を600℃に保持し引き続き反応を継続、反応開始5時間後のアンモニア転化率を測定したところ、いずれの触媒を使った場合でも、99%超のアンモニア転化率を維持していた。
【0058】
その後、アンモニアガスの供給を止めて反応を停止し、反応管内に残存するアンモニアガスを窒素で置換し、窒素ガスを流通しながら反応管の温度を下げた。
【0059】
(3)後処理
触媒層の温度が25℃以下まで下がったことを確認した後、反応管に触媒を充填したままの状態で、以下の手順で各触媒の酸化処理を実施した。
窒素ガス600mL/minに11.7mL/minの空気を加えて0.4体積%酸素/窒素とした混合ガスを、空間速度61,170h-1で反応器に流通させた。触媒製造例1の触媒では、酸素含有ガスを供給することで、触媒層温度が約23℃上昇し、約48℃となった。
しばらく、このガス条件でガスの供給を続けたところ、徐々に触媒層温度の低下が観察された。
触媒層温度の低下が観察されたところで、触媒層温度を確認しながら、表1に示した条件で空気の供給量を増した。
最終的に全量を空気としても温度の上昇が無いことを確認して、触媒の酸化処理を約30分で終えた。触媒層温度の上昇はステップ1でのみ観察された。酸化処理を終えた後、反応管を反応装置から取り外し、内部の触媒をステンレスバットに回収した。
【0060】
【表1】
【0061】
また、触媒製造例2の触媒では、反応後に酸素含有ガスを供給することで、触媒層温度が約23℃上昇し、約44℃となった。
触媒製造例3の触媒では、反応後に酸素含有ガスを供給することで、触媒層温度が約24℃上昇し、約48℃となった。
触媒製造例4の触媒では、反応後に酸素含有ガスを供給することで、触媒層温度が約23℃上昇し、約45℃となった。
触媒製造例5の触媒では、反応後に酸素含有ガスを供給することで、触媒層温度が約21℃上昇し、約43℃となった。
触媒製造例6の触媒では、反応後に酸素含有ガスを供給することで、触媒層温度が約20℃上昇し、約42℃となった。
触媒製造例7の触媒では、反応後に酸素含有ガスを供給することで、触媒層温度が約24℃上昇し、約47℃となった。
触媒製造例8の触媒では、反応後に酸素含有ガスを供給することで、触媒層温度が約15℃上昇し、約40℃となった。
以上の通り、触媒製造例2~8の触媒も、反応後における酸化による不活性化処理により触媒層温度が過剰に上がることはなく、安全に不活性化処理することができた。また、いずれの触媒でも、その後、表1に示す条件の通り供給空気量を増加させても、触媒層温度は上がらなかった。
【0062】
比較例1
前記実施例1(2)において、反応後、触媒層の温度が25℃以下まで下がったことを確認し、反応管に流通させている窒素ガスを止めて、反応管を反応装置から取り外し、内部の触媒をステンレスバットに回収した。
その結果、いずれの触媒でも空気中の酸素と反応して赤熱が観察されたことから、各触媒の表面温度は500℃付近まで上昇したと推測された。
一方、前記実施例1の通り、反応後、触媒層の温度を確認しながら供給する酸素の濃度を調整すれば、触媒温度の過剰な上昇を抑制し、例えば触媒温度を50℃未満に抑制しながら、高温還元条件下での反応を終えた触媒を安全に処理できることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0063】
1: 反応装置
2: 反応器
3: 金属触媒層
4: 不活性粒子層
5: 原料化合物ガス供給用流路
6: 還元性ガス供給用流路
7: 還元性ガス/不活性ガス供給用流路
8: 酸素含有ガス供給用流路
図1