(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092356
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、試験方法、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 70/00 20180101AFI20240701BHJP
【FI】
G16H70/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208235
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】桜田 一洋
(72)【発明者】
【氏名】川上 英良
(72)【発明者】
【氏名】古関 恵太
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】若林 賢一
(72)【発明者】
【氏名】竹本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川崎 いづみ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】従来の情報処理装置においては、ユーザ毎のプラセボ効果に関する情報を得ることが困難であったという課題があった。
【解決手段】2以上のユーザに関する2以上の教師データであって、それぞれ、一のユーザの2種以上の生体属性値と、ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報とを有する2以上の教師データを用いて構成された学習情報を取得する学習情報取得部141と、一の対象ユーザに関する2種以上の生体属性値を含む入力情報を取得する入力情報取得部143と、学習情報と入力情報とに基づいて対象ユーザについての変化情報を取得する変化情報取得部145と、変化情報を出力する変化情報出力部147とを備える、情報処理装置100により、個々のユーザのプラセボ効果に関する情報を容易に得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のユーザに関する2以上の教師データであって、それぞれ、一のユーザの2種以上の生体属性値と、当該ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報とを有する2以上の教師データを用いて構成された学習情報を取得する学習情報取得部と、
一の対象ユーザに関する前記2種以上の生体属性値を含む入力情報を取得する入力情報取得部と、
前記学習情報と前記入力情報とに基づいて前記対象ユーザについての前記変化情報を取得する変化情報取得部と、
前記変化情報を出力する変化情報出力部とを備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記学習情報取得部は、
前記2以上の教師データを用いて前記学習情報を構成する学習部を有し、
前記学習部により構成された前記学習情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記学習情報取得部は、前記教師データの候補となるデータについて、プラセボの摂取前の前記主観情報に関する採用条件を満たすか否かに関する判断を行う採用条件判断部を有し、
前記学習部は、前記採用条件判断部により前記採用条件を満たすと判断された2以上のデータを前記2以上の教師データとして用いて、前記学習情報を構成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記学習情報は、機械学習の学習処理により構成された予測モデルであり、
前記変化情報取得部は、前記学習情報を用いた機械学習の予測処理により、前記変化情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記学習情報は、前記2種以上の生体属性値のそれぞれを要素とするベクトル及び前記変化情報を有する対応情報を2以上含む対応表であり、
前記変化情報取得部は、前記入力情報の前記2種以上の生体属性値のそれぞれを要素とするベクトルに対して所定の類似条件を満たすベクトルに対応する1以上の前記変化情報を特定し、特定結果に基づいて前記変化情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記変化情報取得部により取得された前記対象ユーザの前記変化情報を用いて、当該対象ユーザの、前記主観情報に関する評価指標を含む被験物質の利用の効果を測定する試験の被験者としての適切さに関する適正情報を取得する適正情報取得部と、
前記適正情報を出力する適正情報出力部とを備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記変化情報取得部により取得された前記対象ユーザの前記変化情報を用いて、前記対象ユーザの活動に関する推薦情報を取得する推薦情報取得部と、
前記推薦情報を出力する推薦情報出力部とを備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
2以上の候補ユーザのそれぞれの2種以上の生体属性値を取得するステップと、
取得した2種以上の生体属性値を用いて、前記2以上の候補ユーザのそれぞれについて請求項1から7のいずれかに記載の情報処理装置により出力される出力情報を取得するステップと、
各候補ユーザの前記出力情報に基づいて、前記2以上の候補ユーザから1以上の候補ユーザを被験者として選定するステップと、
選定された被験者を対象として主観情報に関する評価指標を含む被験物質の利用の効果測定を行うステップとを含む、試験方法。
【請求項9】
3以上の候補ユーザのそれぞれの2種以上の生体属性値を取得するステップと、
取得した2種以上の生体属性値を用いて、前記3以上の候補ユーザのそれぞれについて請求項1から7のいずれかに記載の情報処理装置により出力される出力情報を取得するステップと、
各候補ユーザの前記出力情報に基づいて、前記3以上の候補ユーザから2以上の候補ユーザを被験者として選定するステップと、
選定された2以上の被験者を対照群と治療群とに分けて、主観情報に関する評価指標を含むプラセボ対照試験を行うステップとを含む、試験方法。
【請求項10】
学習情報取得部、入力情報取得部、変化情報取得部、及び変化情報出力部を用いて行われる情報処理方法であって、
前記学習情報取得部が、2以上のユーザに関する2以上の教師データであって、それぞれ一のユーザの2種以上の生体属性値と当該ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報とを有する2以上の教師データを用いて構成された学習情報を取得する学習情報取得ステップと、
前記入力情報取得部が、一の対象ユーザに関する前記2種以上の生体属性値を含む入力情報を取得する入力情報取得ステップと、
前記変化情報取得部が、前記学習情報と前記入力情報とに基づいて前記対象ユーザについての前記変化情報を取得する変化情報取得ステップと、
前記変化情報出力部が、前記変化情報を出力する変化情報出力ステップとを含む、情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
2以上のユーザに関する2以上の教師データであって、それぞれ一のユーザの2種以上の生体属性値と当該ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報とを有する2以上の教師データを用いて構成された学習情報を取得する学習情報取得部と、
一の対象ユーザに関する前記2種以上の生体属性値を含む入力情報を取得する入力情報取得部と、
前記学習情報と前記入力情報とに基づいて前記対象ユーザについての前記変化情報を取得する変化情報取得部と、
前記変化情報を出力する変化情報出力部と、として機能させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康に関する主観情報の変化に関する情報を用いる情報処理装置、試験方法、情報処理方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被験物質の摂取前後におけるヒトの健康状態の変化について、被験物質を摂取した対象ユーザの主観情報の変化に関する情報を用いて評価することが行われる場合がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、過去の患者の主観に関する主観情報を用いて、患者に対する薬剤の効果を予測する投薬効果予測システムの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、個々のユーザの主観情報やその変化に基づく評価結果は、そのユーザの認識に関する傾向等の影響を受けうるものである。いわゆるプラセボ効果が認められるユーザにおいては、被験物質の摂取前後の主観情報の変化が、プラセボ効果によるものであるか被験物質の摂取によるものであるかを判別することが困難となる。
【0006】
そこで、本発明は、個々のユーザのプラセボ効果に関する情報を容易に得ることができる情報処理装置、試験方法、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第一の発明の情報処理装置は、2以上のユーザに関する2以上の教師データであって、それぞれ、一のユーザの2種以上の生体属性値と、ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報とを有する2以上の教師データを用いて構成された学習情報を取得する学習情報取得部と、一の対象ユーザに関する2種以上の生体属性値を含む入力情報を取得する入力情報取得部と、学習情報と入力情報とに基づいて対象ユーザについての変化情報を取得する変化情報取得部と、変化情報を出力する変化情報出力部とを備える、情報処理装置である。
【0008】
かかる構成により、個々のユーザのプラセボ効果に関する情報を容易に得ることができる。
【0009】
また、本第二の発明の情報処理装置は、第一の発明に対して、学習情報取得部は、2以上の教師データを用いて学習情報を構成する学習部を有し、学習部により構成された学習情報を取得する、情報処理装置である。
【0010】
かかる構成により、プラセボ効果に関する情報を取得するための学習情報を構成することができる。
【0011】
また、本第三の発明の情報処理装置は、第二の発明に対して、学習情報取得部は、教師データの候補となるデータについて、プラセボの摂取前の主観情報に関する採用条件を満たすか否かに関する判断を行う採用条件判断部を有し、学習部は、採用条件判断部により採用条件を満たすと判断された2以上のデータを2以上の教師データとして用いて、学習情報を構成する、情報処理装置である。
【0012】
かかる構成により、個々のユーザのプラセボ効果に関する情報を効果的に取得可能な学習情報を構成することができる。
【0013】
また、本第四の発明の情報処理装置は、第一から三のいずれかの発明に対して、学習情報は、機械学習の学習処理により構成された予測モデルであり、変化情報取得部は、学習情報を用いた機械学習の予測処理により、変化情報を取得する、情報処理装置である。
【0014】
かかる構成により、個々のユーザのプラセボ効果に関する高精度な情報を得ることができる。
【0015】
また、本第五の発明の情報処理装置は、第一から三のいずれかの発明に対して、学習情報は、2種以上の生体属性値のそれぞれを要素とするベクトル及び変化情報を有する対応情報を2以上含む対応表であり、変化情報取得部は、入力情報の2種以上の生体属性値のそれぞれを要素とするベクトルに対して所定の類似条件を満たすベクトルに対応する1以上の変化情報を特定し、特定結果に基づいて変化情報を取得する、情報処理装置である。
【0016】
かかる構成により、個々のユーザのプラセボ効果に関する情報をより容易に得ることができる。
【0017】
また、本第六の発明の情報処理装置は、第一から五のいずれかの発明に対して、変化情報取得部により取得された対象ユーザの変化情報を用いて、対象ユーザの、主観情報に関する評価指標を含む被験物質の利用の効果を測定する試験の被験者としての適切さに関する適正情報を取得する適正情報取得部と、適正情報を出力する適正情報出力部とを備える、情報処理装置である。
【0018】
かかる構成により、適切な被験者を選抜することができる。
【0019】
また、本第七の発明の情報処理装置は、第一から六のいずれかの発明に対して、変化情報取得部により取得された対象ユーザの変化情報を用いて、対象ユーザの活動に関する推薦情報を取得する推薦情報取得部と、推薦情報を出力する推薦情報出力部とを備える、情報処理装置である。
【0020】
かかる構成により、対象ユーザの活動に関する推薦情報を出力することができる。
【0021】
また、本第八の発明の試験方法は、2以上の候補ユーザのそれぞれの2種以上の生体属性値を取得するステップと、取得した2種以上の生体属性値を用いて、2以上の候補ユーザのそれぞれについて第一から七のいずれかの発明に係る情報処理装置により出力される出力情報を取得するステップと、各候補ユーザの出力情報に基づいて、2以上の候補ユーザから1以上の候補ユーザを被験者として選定するステップと、選定された被験者を対象として主観情報に関する評価指標を含む被験物質の利用の効果測定を行うステップとを含む、試験方法である。
【0022】
かかる構成により、高い精度で被験物質の利用の効果測定を行うことができる。
【0023】
また、本第九の発明の試験方法は、3以上の候補ユーザのそれぞれの2種以上の生体属性値を取得するステップと、取得した2種以上の生体属性値を用いて、3以上の候補ユーザのそれぞれについて第一から七のいずれかの発明に係る情報処理装置により出力される出力情報を取得するステップと、各候補ユーザの出力情報に基づいて、3以上の候補ユーザから1以上の候補ユーザを被験者として選定するステップと、選定された2以上の被験者を対照群と治療群とに分けて、主観情報に関する評価指標を含むプラセボ対照試験を行うステップとを含む、試験方法である。
【0024】
かかる構成により、高い精度でプラセボ対照試験を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による情報処理装置等によれば、個々のユーザのプラセボ効果に関する情報を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施の形態1における情報処理装置を用いた情報処理システムのブロック図
【
図3】同情報処理装置で用いられる教師データの一例を説明する図
【
図4】同情報処理装置が学習処理を行う場合の動作の流れの一例について説明するフローチャート
【
図5】同情報処理装置が選定情報を出力情報として出力する場合の動作の流れの一例について説明するフローチャート
【
図6】同情報処理装置において行われる適正情報取得処理の流れの一例について説明するフローチャート
【
図7】同情報処理装置の利用例の一例について説明するフローチャート
【
図8】同情報処理装置の利用例の他の例について説明するフローチャート
【
図9】同情報処理装置を用いて選定された被験者を対象として行われたプラセボ対照試験の一例について示すグラフ
【
図10】プラセボ対照試験の比較例について示すグラフ
【
図11】本発明の実施の形態2に係る情報処理装置のブロック図
【
図12】同情報処理装置で用いられる推薦情報の一例を示す図
【
図13】同情報処理装置が推薦情報を出力情報として出力する場合の動作の流れの一例について説明するフローチャート
【
図14】同情報処理装置に情報を送信する情報送信画面の一例を説明する図
【
図15】同情報処理装置による推薦情報の表示画面の一具体例を説明する図
【
図16】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの概観図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、情報処理装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0028】
なお、以下において用いる用語は、一般的には次のように定義される。なお、これらの用語の語義は常にここに示されるように解釈されるべきではなく、例えば以下において個別に説明されている場合にはその説明も踏まえて解釈されるべきである。
【0029】
ある事項について識別子とは、当該事項を一意に示す文字又は符号等である。識別子は、例えば、IDであるが、対応する事項を識別しうる情報であれば種類は問わない。すなわち、識別子は、それが示すものそのものの名前であってもよいし、一意に対応するように符号を組み合わせたものであってもよい。
【0030】
取得とは、ユーザ等により入力された事項を取得することを含んでいてもよいし、自装置又は他の装置に記憶されている情報(予め記憶されている情報であってもよいし当該装置において情報処理が行われることにより生成された情報であってもよい)を取得することを含んでいてもよい。他の装置に記憶されている情報を取得するとは、他の装置に記憶されている情報をAPI経由などで取得することを含んでいてもよいし、他の装置により提供されている文書ファイルの内容(ウェブページの内容なども含む)を取得することを含んでいてもよい。また、画像ファイルについて光学式文字読み取りを行うことにより情報を取得することなど、元の情報に基づいてそれとは異なるフォーマットの情報を取得することを含んでいてもよい。
【0031】
また、情報の取得には、いわゆる機械学習の手法を利用するようにしてもよい。機械学習の手法の利用については、例えば次のようにすることができる。すなわち、特定の種類の入力情報を入力とし、取得したい種類の出力情報を出力とする学習器(学習情報)を、機械学習の手法を用いて構成する。例えば、予め、入力情報と出力情報との組を2以上用意し、当該2組以上の情報を機械学習の学習器を構成するためのモジュールに与えて学習器を構成し、構成した学習器を格納部に蓄積する。なお、学習器は分類器ということもできる。なお、機械学習の手法としては、例えば、深層学習、ランダムフォレスト、SVM等、問わない。また、機械学習には、例えば、scikitーlearn、TensorFlow、PyTorch等の各種の機械学習フレームワークにおける関数や、種々の既存のライブラリを用いることができる。このような学習器を用いて情報を取得することを、機械学習による取得ということがある。
【0032】
また、学習器は、機械学習により得られるものに限られない。学習器は、例えば、入力情報等に基づく入力ベクトルと、出力情報との対応関係を示すテーブル(対応表)であってもよい。この場合、入力情報に基づく特徴ベクトルに対応する出力情報をテーブル中から取得するようにしてもよいし、テーブル中の2以上の入力ベクトルと各入力ベクトルの重み付けなどを行うパラメータとを用いて入力情報に基づく特徴ベクトルに近似するベクトルを生成し、生成に用いた各入力ベクトルに対応する出力情報とパラメータとを用いて、最終的な出力情報を取得するようにしてもよい。このような学習器を用いて情報を取得することを、対応関係を用いた取得、又は対応表を用いた取得ということがある。また、学習器は、例えば、入力情報等に基づく入力ベクトルと、出力情報を生成するための情報との関係を表す関数などであってもよい。この場合、例えば、入力情報に基づく特徴ベクトルに対応する情報を関数により求めて、求めた情報を用いて出力情報を取得するなどしてもよい。このような学習器を用いて情報を取得することを、関数を用いた取得ということがある。
【0033】
情報を出力するとは、ディスプレイへの表示、プロジェクタを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。具体的には、例えば、情報のウェブページへの表示を可能とすることや、電子メール等として送信することや、印刷するための情報を出力することなどを含む。
【0034】
情報の受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、他の装置等から有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念である。
【0035】
情報処理装置等に格納されている各種の情報について、更新とは、格納されている情報の変更のほか、格納されている情報に新たな情報が追加されることや、格納されている情報の一部又は全部が消去されることなどを含む概念である。
【0036】
(実施の形態1)
【0037】
本実施の形態において、情報処理装置は、一のユーザ(人)の2種以上の生体属性値を入力情報とし、当該ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報を出力情報とするように構成された学習情報を用いて、対象となるユーザの変化情報を取得し、出力するように構成されている。以下、このように構成された情報処理装置を用いた情報処理システムについて説明する。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態1における情報処理装置100を用いた情報処理システム1のブロック図である。
【0039】
情報処理システム1は、情報処理装置100及び端末装置600を備える。情報処理システム1においては、大まかに、端末装置600から送信された情報を用いて情報処理装置100が変化情報を取得するように構成されている。なお、端末装置600が用いられず、情報処理装置100が単独で利用可能に構成されていてもよい。
【0040】
情報処理システム1において、情報処理装置100は、端末装置600等の装置と、例えば、インターネット等のネットワークを介して通信可能である。なお、ネットワークとしては、これに限られず、LANやその他の通信網などであってもよい。なお、情報処理装置100と端末装置600との接続態様や通信方法は、これに限られない。
【0041】
端末装置600は、本実施の形態において、情報処理装置100からの出力情報の出力先となりうる装置である。本実施の形態において、例えば、情報処理装置100の管理者やユーザ等により用いられる端末等の装置が、端末装置600となりうる。なお、これらとは異なる装置が端末装置600として用いられてもよい。
【0042】
なお、端末装置600に用いられる電子計算機としては、例えば、パーソナルコンピュータや、いわゆるスマートフォンなどの携帯情報端末装置や、タブレット型の情報端末装置など、種々の装置が用いられうる。以下の例において、端末装置600に用いられる電子計算機として、いわゆるスマートフォンが用いられることを想定して説明する場合があるが、これに限られるものではない。
【0043】
【0044】
情報処理装置100は、格納部110、受信部120、受付部130、処理部140、及び送信部170を備える。情報処理装置100は、例えば、サーバ装置であるが、パーソナルコンピュータやその他の情報端末装置であってもよい。
【0045】
格納部110は、学習情報格納部111、ユーザ情報格納部115、及び教師データ格納部119を備える。
【0046】
格納部110は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。格納部110の各部には、例えば受信部120や処理部140によって取得された情報などがそれぞれ格納されるが、格納部110の各部に情報等が記憶される過程はこれに限られない。例えば、記録媒体を介して情報等が格納部110で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報等が格納部110で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報等が格納部110で記憶されるようになってもよい。
【0047】
学習情報格納部111には、学習情報が格納される。学習情報を、学習器、分類器、予測モデル又は学習済モデルと呼んでもよい。本実施の形態において、学習情報は、例えば、後述のような学習部165により構成されたものである。学習情報は、外部の装置により得られたものであってもよい。すなわち、学習情報は、外部の装置から情報処理装置100により取得されて学習情報格納部111に蓄積されていてもよい。学習情報やその利用の詳細については、後述する。
【0048】
ユーザ情報格納部115には、ユーザ情報が格納される。本実施の形態において、ユーザ情報は、情報処理装置100において、変化情報の取得対象となる対象ユーザを識別する識別子であるユーザ識別子と、当該対象ユーザに関する情報とが対応付けられている情報である。ユーザ情報には、種々の情報が含まれうる。例えば、対象ユーザが使用する端末装置600や、出力情報を得ようとするユーザ(便宜上操作者といい、対象ユーザと同一であってもよいし異なっていてもよい)が使用する端末装置600や、その他の外部装置から送信される情報が含まれうる。また、対象ユーザや操作者が直接情報処理装置100に入力される情報等が含まれてもよい。また、対象ユーザについて、後述のようにして情報処理装置100により取得される情報等が含まれうる。
【0049】
本実施の形態において、ユーザ情報には、ユーザの2種以上の生体属性値が含まれる。生体属性値とは、例えば、BMI、尿酸値(UA)、拡張期血圧(DBP)や収縮期血圧(SBP)等の血圧に関する値などが該当するが、これに限られない。例えば、ユーザの身長、体重や、生化学検査等により得られる検査値(例えば、RBC、Hb、Ht、WBC、PL、TP、ALB、CK、GOT、GPT、LDH、ALP、GGT、Cre、BUN、BG、TG、T_CHO、T_BILの少なくとも1つなど)の各属性値が含まれていてもよい。
【0050】
なお、ユーザ情報として、生体属性値のほかの属性値が含まれていてもよい。例えば、そのユーザの年齢や性別等の属性値が含まれていてもよい。生活習慣に関する属性値などが含まれていてもよい。生活習慣に関する属性値としては、例えば、喫煙の有無や頻度、飲酒の有無や頻度、飲酒量、食事の量、回数などが含まれうるが、これに限られない。また、ユーザ情報には、後述のような健康に関する主観情報に関する属性値が含まれていてもよい。主観情報に関する属性値としては、具体的には例えば、気分状態(POMS2)、QOL(SF-36)、疲労感(VAS)等の観点についての値が含まれていてもよい。ここでいう主観情報に関する属性値は、後述のような所定の行動(プラセボの摂取など)の前におけるものである。なお、ユーザ情報のうち、このような、生体属性値や、年齢や性別等の属性地や、生活習慣に関する属性値や、所定の行動の前の主観情報に関する属性値などを、特にユーザ健康関連属性値と呼んでもよい。ユーザ健康関連属性値は、ユーザ情報のうちユーザの健康状態に関連する情報であるといえる。
【0051】
教師データ格納部119には、学習情報を構成するために用いられる教師データが格納される。教師データ格納部119に格納されている教師データとは、実際に学習情報を構成する際に用いられる教師データの候補となりうる候補データであってもよい。本実施の形態において、2以上のユーザに関する2以上の教師データが格納されている。各教師データは、一のユーザの2種以上の生体属性値と、当該ユーザの主観情報に関する情報とを有するものである。すなわち、各教師データは、一のユーザについて、2以上の生体属性値と主観情報に関する情報とが対応付けられている情報である。
【0052】
教師データに含まれる2種以上の生体属性値は、上述のようにユーザ情報として格納されている生体属性値の属性のうち、いずれか2種以上の属性についての属性値である。ユーザ情報として格納される生体属性値は、教師データに含まれる生体属性値の属性とは異なる属性のものを含んでいてもよい。なお、教師データとして用いられる2種以上の生態属性値すなわち説明変数は、目的変数である変化情報に対して寄与度が比較的高い属性のものを選択することが好ましい。寄与度が高い属性の選択は、例えば、機械学習のライブラリを用いるなどした公知の解析手法によって各属性のそれぞれの寄与度を求めた結果を用いて行うことができる。
【0053】
また、主観情報に関する情報とは、ユーザが所定の行動を行った前後における、健康に関する主観情報の変化情報である。健康に関する主観情報とは、ユーザ自身について、健康に関する所定の観点に関してユーザが主観的に評価した内容を表す情報である。所定の観点とは、例えば、疲労感、胃腸の不調度合い、寝起きの良好さ、寝付きの良さ、熟睡できたか否か、頭痛の有無や程度、眠気、睡眠による休養感、QOLについての所感、幸福度、気分などであるが、これらに限られない。
【0054】
主観情報は、例えば、所定の観点についてのユーザの評価結果を定量的に表す値である。主観情報は、例えば、所定の観点についてユーザが感じた程度を所定の手法により数値化したものである。所定の手法としては、例えば、VAS(視覚的アナログスケール)が用いられうるが、NRS(数値評価スケール)やその他の手法が用いられてもよい。また、主観情報は、定性的に表される値であったり、状態を言語で表現した情報であったりしてもよい。例えば、主観情報は、所定の観点に関する状態についてユーザが該当するか否かを示す情報であってもよいし、予め用意された状態を表す選択肢からユーザが選択した結果を示す情報であってもよい。また、主観情報は、VRS(言語式評価スケール)を用いて表される情報であってもよい。また、主観情報は、例えば、活気や疲労に関する状態に関するPOMSやPOMS2などの気分プロフィール検査の結果であってもよい。
【0055】
変化情報とは、所定の行動の前の主観情報から所定の行動の後の主観情報がどのように変化したかを表す情報である。変化情報は、定性的なものであってもよいし、定量的なものであってもよい。変化情報は、所定の行動の前の主観情報と所定の行動の後の主観情報との比較結果を表す情報であると言ってもよい。例えば、変化情報は、所定の観点についてユーザの評価結果が良好になったか否かを示す情報であってもよい。また、例えば、変化情報は、所定の観点についての主観情報である値の変化量であってもよい。なお、例えば、変化情報は、所定の観点についてユーザの評価結果が変化したか否かを示す情報であってもよい。所定の行動の後とは、例えば、所定の行動から所定の期間(例えば、所定の日数、所定の週など)が経過した時点であるが、これに限られず、所定の行動の後の任意の時点であったり、所定の期間内であったりしてもよい。
【0056】
例えば、主観情報として疲労感がVASのスコアにより表される場合において(疲労感が高いほどスコアが大)、所定の行動の前のスコアから所定の行動の後のスコアが減少している場合、変化情報として、例えば、良好になった(疲労感が低くなった)ことを示す情報を用いることができる。また、この場合、変化情報として、所定の行動の後のスコアから所定の行動の前のスコアを減じた値(変化量)を変化情報として用いるようにしてもよい。
【0057】
本実施の形態において、変化情報に関する所定の行動とは、例えば、プラセボを摂取することである。すなわち、各教師データには、一のユーザについての、複数の生体属性値と、プラセボ摂取前後の主観情報の変化情報とが含まれているといえる。
【0058】
図3は、同情報処理装置100で用いられる教師データの一例を説明する図である。
【0059】
図3において、ユーザ識別子により識別される各ユーザの教師データが、当該ユーザ識別子に対応付けられている旨が示されている。すなわち、各ユーザの教師データは、BMI、尿酸の値、血圧値などの生体属性値と、疲労感を示すVASのスコアが改善したか否かを「はい」又は「いいえ」で示す変化情報とを含むものである。また、図に示される例において、教師データは、疲労感を示すVASのスコアの初期値(所定の行動の前の値)を含むものである。
【0060】
なお、教師データに対して、ユーザ識別子が対応付けられていなくてもよい。すなわち、各教師データは、どのユーザのものであるかを特定不可能であってもよい。また、各教師データは、生体属性値のほかのユーザに関する属性値を含んでいてもよいし、その場合、2以上の生体属性値が含まれていなくてもよい。例えば、各教師データは、ユーザの所定の行動の前(プラセボ摂取前など)の健康に関する主観情報の属性値を含んでいてもよい。また、例えば、各教師データは、ユーザの生活習慣に関する属性値を含んでいてもよい。すなわち、各教師データは、2種以上のユーザ健康関連属性値を含むものであってもよい。
【0061】
図2に戻って、受信部120は、他の装置から送信された情報を受信する。受信部120は、受信した情報を、例えば、格納部110に蓄積する。受信部120は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されてもよい。
【0062】
受付部130は、ユーザにより行われた、情報処理装置100に対する種々の入力操作を受け付ける。受付部130は、例えば、情報処理装置100に接続された図示しない入力手段を用いて入力された情報や、情報処理装置100に接続された図示しない読み取り装置(例えば、コードリーダなど)を用いて行われた入力操作(例えば、装置により読み取られた情報も含む)により入力された情報を受け付ける。受付部130は、ネットワーク等を介して接続された他の装置を介して送信された、入力操作等に関する情報を受け付けるようにしてもよい。受け付けられた情報は、例えば、格納部110に蓄積される。
【0063】
なお、受付部130により受付可能な情報の入力に用いられうる入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるものなど、何でもよい。受付部130は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現されうる。
【0064】
処理部140は、学習情報取得部141、入力情報取得部143、変化情報取得部145、変化情報出力部147、適正情報取得部151、適正情報出力部153、被験者選定部155、選定情報出力部157、学習部165、及び採用条件判断部167を備えている。
【0065】
処理部140は、例えば、以下のように処理部140の各部が行う処理など、各種の処理を行う。処理部140は、通常、MPU(CPU及び/又はGPUを含む)やメモリ等から実現されうる。処理部140の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0066】
学習情報取得部141は、後述のように変化情報を取得するために用いられる学習情報を取得する。学習情報取得部141は、学習情報格納部111に格納されている学習情報を取得する。すなわち、学習情報取得部141は、2以上のユーザに関する2以上の教師データであって、それぞれ、一のユーザの2種以上の生体属性値と、ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報とを有する2以上の教師データを用いて構成された学習情報を取得する。なお、対象ユーザの所定の属性値(例えば、年齢や年代等であるが、これに限られない)毎に学習情報が用意されている場合において、学習情報取得部は、当該対象ユーザの属性値に対応する学習情報を取得して、より高精度な変化情報を取得できるように構成されていてもよい。
【0067】
なお、学習情報取得部141は、情報処理装置100ではない他の装置に格納されている学習情報を当該装置から取得するように構成されていてもよい。例えば他の装置において格納されている学習情報が常に用いられる場合には、情報処理装置100には学習情報格納部111が設けられていなくてもよい。
【0068】
入力情報取得部143は、一の対象ユーザに関する2種以上の生体属性値を含む入力情報を取得する。入力情報は、対象ユーザの変化情報を取得するために用いられる情報である。入力情報としては、対象ユーザの生体属性値であって、所定の2種以上の生体属性値が取得される。所定の2種以上の生体属性値は、教師データにおいて含まれる2種以上の生体属性値の属性に対応するものである。入力情報取得部143は、対象ユーザのユーザ情報のうち、所定の2種以上の生体属性値をユーザ情報格納部115から取得することできるが、取得方法はこれに限られない。なお、入力情報としては、対象ユーザの、所定の2種以上のユーザ健康関連属性値が取得されると言ってもよい。この場合、所定の2種以上のユーザ健康関連属性値は、教師データにおいて含まれる2種以上のユーザ健康関連属性値の属性に対応するものとすればよい。
【0069】
本実施の形態において、学習情報は、例えば、以下の入力情報について以下の変化情報を出力するように構成されたものである。入力情報は、例えば、対象ユーザのBMI、尿酸、拡張期血圧、収縮期血圧の各生体属性値である。変化情報は、例えば、対象ユーザがプラセボを摂取する前後で、疲労感を示すVASのスコアが改善したか否かを示す情報である。
【0070】
変化情報取得部145は、学習情報と入力情報とに基づいて、対象ユーザについての変化情報を取得する。変化情報取得部145は、取得した変化情報を、対象ユーザを識別するユーザ識別子に対応付けてユーザ情報格納部115に蓄積する。
【0071】
本実施の形態において、変化情報の取得は、上述のような機械学習による取得により行われるように構成されている。すなわち、学習情報は、機械学習の学習処理により構成された予測モデルである。そして、変化情報取得部145は、学習情報を用いた機械学習の予測処理により、変化情報を取得するように構成されている。本実施の形態においては、機械学習のアルゴリズムとして、例えば、ランダムフォレストを用いた分類やクラスタリングを好適に用いることができる。なお、アルゴリズムはこれに限られず、他のものであってもよい。
【0072】
なお、変化情報の取得は、上述のような対応表を用いた取得や、上述のような関数を用いた取得により行われるように構成されていてもよい。すなわち、学習情報は機械学習の予測モデルに限られない。例えば、学習情報は、入力情報に含まれる所定の2種以上の生体属性値のそれぞれを要素とするベクトルと変化情報とを有する対応情報を、2以上含む対応表であってもよい。この場合、変化情報取得部145は、入力情報の2種以上の生体属性値のそれぞれを要素とするベクトルに対して、所定の類似条件を満たすベクトルに対応する1以上の変化情報を特定し、特定結果に基づいて変化情報を取得するように構成されていてもよい。
【0073】
変化情報出力部147は、変化情報を出力する。本実施の形態においては、変化情報出力部147は、変化情報の出力として、次の適正情報取得部151により行われる処理に変化情報を渡すことを行う。
【0074】
適正情報取得部151は、変化情報取得部145により取得された対象ユーザの変化情報を用いて、対象ユーザの適正情報を取得する。適正情報取得部151は、取得した適正情報を、対象ユーザを識別するユーザ識別子に対応付けてユーザ情報格納部115に蓄積する。
【0075】
適正情報とは、主観情報に関する評価指標を含む、被験物質の利用の効果を測定する試験の被験者としての適切さに関する情報である。被験物質とは、プラセボではない物質であって効果測定の試験対象となる物質である。被験物質とは、例えば、薬や、サプリメントや、その他の食品成分等であるが、これに限られない。適正情報は、例えば、被験者として適切か否かを示す情報であってもよいし、被験者としての適切度を表すスコアであってもよい。被験物質の利用とは、例えば、体内への摂取であるが、これに限られない。
【0076】
本実施の形態において、適正情報取得部151は、例えば、変化情報が所定の適否判断条件を満たすか否かの判断結果に基づいて、適正情報を出力するように構成されている。適否判断条件は、例えば、変化情報が所定の値に一致するか否かに関する条件や、変化量が所定の閾値より大きいか否かに関する条件などであるが、これに限られない。適正情報取得部151は、例えば、変化情報が、プラセボの摂取前後において主観情報の変化が小さいことを示すものである場合(所定の閾値よりも変化量が小さい場合など)において、被験者として適切であるという適正情報等を取得するように構成されている。すなわち、適正情報取得部151は、変化情報に基づいて対象ユーザがプラセボのノンレスポンダであると評価可能である場合に、被験者として適切であるという適正情報を取得したり、適正情報として取得する被験者としての適切度を示すスコアとして高いスコアを取得したりするように構成されている。
【0077】
本実施の形態においては、例えば、疲労感のVASのスコアが改善しない旨の変化情報であることが適否判断条件とされうるが、これに限られない。適否判断条件は、例えば、対象ユーザを含む2以上のユーザのそれぞれついて取得された変化情報に基づく条件であってもよい。より具体的には、例えば、他の1以上のユーザの変化情報と対象ユーザの変化情報との比較結果に関するもの(例えば、全ユーザの変化情報の平均値以上であること、全ユーザの中で変化情報が高い(又は低い)所定の割合にあること、変化情報が高い(又は低い)順番に所定人数の範囲に入ること、などであるが、種々設定可能である。
【0078】
適正情報出力部153は、適正情報を出力する。本実施の形態においては、適正情報出力部153は、適正情報の出力として、次の被験者選定部155により行われる処理に適正情報を渡すことを行う。
【0079】
被験者選定部155は、適正情報出力部153により出力された対象ユーザの適正情報を用いて、被験物質の利用の効果を測定するための試験の被験者を選定する。被験者選定部155は、例えば、選定結果に関する選定情報を取得する。選定情報は、被験物質の利用の効果を測定するための試験の被験者として選定したユーザのユーザ識別子であるが、これに限られない。2以上のユーザが選定される場合には、ユーザ識別子のリストが選定情報として取得されるようにしてもよい。
【0080】
本実施の形態において、被験者選定部155は、例えば、2以上の対象ユーザについて取得された適正情報の結果に基づいて、被験者の選定を行う。例えば、被験者選定部155は、所定の選定条件に従って、被験者の選定を行う。具体的には、例えば、2以上の対象ユーザのうち、適正情報が所定の内容(例えば、被験者として適切であることなど)である対象ユーザや所定の基準(被験者としての適切度を示すスコアが所定値以上であることなど)を満たしている対象ユーザの全てを被験者として選定してもよい。また、例えば、適正情報に基づく2以上の対象ユーザの序列において、上位の所定数の対象ユーザを被験者として選定するなどしてもよい。
【0081】
なお、被験者選定部155は、変化情報出力部147により出力された対象ユーザの変化情報を用いて、被験者の選定を行うように構成されていてもよい。例えば、2以上の対象ユーザのうち、変化情報が所定の内容(例えば、主観情報のスコアが変化しないことなど)である対象ユーザや、変化情報が所定の基準(主観情報の変化量が所定値以下であることなど)を満たしている対象ユーザの全てを被験者として選定してもよい。
【0082】
選定情報出力部157は、選定情報を出力する。本実施の形態においては、選定情報出力部157は、選定情報を出力情報として、送信部170等を用いて他の装置に送信したり、例えば情報処理装置100に設けられたディスプレイデバイスに表示したりして出力するように構成されている。これにより、被験者の選定結果を、情報処理装置100の操作者が得ることができる。
【0083】
なお、変化情報又は適正情報が情報処理装置100から出力される出力情報であってもよい。例えば、変化情報出力部147や適正情報出力部153は、変化情報又は適正情報である出力情報を、送信部170等を用いて他の装置に送信することにより出力情報を出力したり、例えば情報処理装置100に設けられたディスプレイデバイスに出力情報を表示することなどにより出力情報を出力したりしてもよい。
【0084】
なお、情報処理装置100において、変化情報出力部147が変化情報を出力情報として他の装置に送信したり表示したりし、適正情報の取得や出力が行われないように構成されていてもよい。この場合、適正情報取得部151、適正情報出力部153、被験者選定部155、及び選定情報出力部157は設けられていなくてもよい。
【0085】
また、情報処理装置100において、適正情報取得部151が適正情報を出力情報として他の装置に送信したり表示したりし、選定情報の取得や出力が行われないように構成されていてもよい。この場合、被験者選定部155及び選定情報出力部157は設けられていなくてもよい。
【0086】
なお、変化情報出力部147、適正情報出力部153、又は選定情報出力部157は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えてもよい。変化情報出力部147、適正情報出力部153、又は選定情報出力部157は、出力デバイスのドライバーソフト又は、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現されてもよい。
【0087】
学習部165は、本実施の形態において、教師データ格納部119に格納されている2以上の教師データを用いて学習情報を構成する学習処理を実行する。学習部165は、例えば、上述のようにして、機械学習の手法により予測モデルである学習情報を構成する。学習処理は、公知の方法により行うことができる。
【0088】
ここで、本実施の形態において、学習部165は、採用条件判断部167の判断結果に基づいて、所定の採用条件を満たす2以上の教師データを用いて学習情報を構成するように構成されている。この場合において、例えば、教師データ格納部119に格納されている教師データは、学習処理に用いられる教師データの候補となる候補データであると言ってもよい。
【0089】
このような採用条件を満たす教師データの使用については、例えば以下のようにして行われればよい。すなわち、本実施の形態において、採用条件判断部167は、教師データ格納部119に格納されている候補データについて、所定の採用条件を満たすか否かに関する判断を行う。そして、学習部165は、採用条件判断部167により採用条件を満たすと判断された2以上の候補データを2以上の教師データとして用いて、学習情報を構成する。
【0090】
採用条件としては、例えば、プラセボの摂取前の主観情報に関する条件を用いることができる。例えば、主観情報が所定値より大きい(又は小さい)こと、主観情報が所定の値に該当すること(又は該当しないこと)などが、採用条件として用いられうる。これにより、より精度良く変化情報の出力を行うことができるように、学習情報を構成することができる。
【0091】
採用条件は、例えば、プラセボの摂取による変化情報への影響の有無を効果的に確認できるように設定されうる。例えば、疲労感を示すVASのスコアが主観情報として用いられる場合において、プラセボの摂取前のVASのスコアが所定の閾値より大きいこと(例えば、疲労感が比較的大きいとを示すスコアであること)を、採用条件として用いることができる。プラセボの摂取前のスコアが所定の閾値より小さい場合には、プラセボの摂取による変化情報への影響の有無が変化情報に現れにくくなる。プラセボの摂取前のスコアが所定の閾値より大きい教師データは、プラセボの摂取によりスコアが小さくなる影響が現れた場合に、その影響が変化情報に容易に現れるようになる。このような採用条件を用いることにより、プラセボの摂取による変化情報への影響の有無を効果的に確認可能な変化情報を取得可能な学習情報を構成することができる。
【0092】
なお、採用条件は、上記のほか、例えば、候補となるデータにおいて、ユーザが所定の属性値を有するユーザ群に属することを示す属性値が含まれることであってもよい。例えば、所定の年齢層に含まれること、BMIが所定の範囲内であること、所定の性別であることなどを採用条件として用いることができる。特に採用条件を満たす教師データが十分に得られる場合において、当該ユーザ群に属する対象ユーザについてより高精度に変化情報を取得可能な学習情報を、ユーザ群毎に構成することができる。このように構成されたユーザ群毎の学習情報は、それぞれのユーザ群に該当するといえる対象ユーザの変化情報の取得において用いることができる。
【0093】
送信部170は、情報を、ネットワークを介して通信可能な他の装置に送信する。送信部170は、例えば、選定情報出力部157により出力される選定情報を出力情報として送信する。送信部170は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されてもよい。
【0094】
次に、情報処理装置100の動作の流れについて説明する。情報処理装置100は、例えば以下のようにして種々の動作を行う。これらの動作は、処理部140が各部を用いながら制御動作等を実行することにより行われる。
【0095】
図4は、同情報処理装置100が学習処理を行う場合の動作の流れの一例について説明するフローチャートである。
【0096】
学習処理は、例えば以下のような流れで行われる。
【0097】
(ステップS21)すなわち、処理部140は、2以上のユーザのそれぞれについての、生体属性値を含む入力情報と変化情報とのペアを、教師データの候補データとして取得する。候補データは、教師データ格納部119に蓄積される。
【0098】
次に、教師データ格納部119に蓄積された候補データを用いて、学習情報の構築が行われる。
【0099】
(ステップS22)処理部140は、カウンタiに1をセットする。
【0100】
(ステップS23)処理部140は、教師データ格納部119に蓄積された候補データのうちi番目の候補データが、採用条件を満たすか否かを判断する。採用条件が満たされると判断した場合はステップS24に進み、そうでない場合はステップS25に進む。なお、採用条件が満たされると判断しなかった場合には、処理部140が、当該i番目の候補データを破棄するようにしてもよい。
【0101】
(ステップS24)処理部140は、i番目の候補データを、今回の学習情報の生成において用いる教師データの1つとして設定する(採用する)。例えば、処理部140は、候補データに対応付けて教師データであることを示すフラグを設定したり、教師データのみを区別可能な状態で蓄積したりする。
【0102】
(ステップS25)処理部140は、カウンタiを1だけインクリメントする。
【0103】
(ステップS26)処理部140は、i番目の候補データが存在するか否かを判断する。存在すると判断した場合には、ステップS23に戻る。そうでない場合には、ステップS27に進む。
【0104】
(ステップS27)処理部140は、設定された教師データを用いて、学習情報を構成する。
【0105】
(ステップS28)処理部140は、構成した学習情報を、学習情報格納部111に蓄積する。その後、処理を終了する。
【0106】
このような処理は、所定の開始条件が満たされた場合に開始される。例えば、所定の時期が到来したことや、操作者などによる所定の指示が受け付けられたことが開始条件として用いられうるが、これに限られない。
【0107】
また、上記のような採用条件を用いた候補データの選別が行われなくてもよく、その場合には、全ての候補データが教師データとして設定されると解釈してもよい。また、処理部140が取得した入力情報と変化情報とのペアを教師データとして教師データ格納部119に蓄積し、その教師データを用いてステップS27以降の処理が行われると解釈してもよい。
【0108】
次に、情報処理装置100が、対象ユーザについての出力情報を出力する場合の動作の流れについて説明する。
【0109】
図5は、同情報処理装置100が選定情報を出力情報として出力する場合の動作の流れの一例について説明するフローチャートである。
【0110】
(ステップS41)処理部140は、対象ユーザの入力情報を取得する。
【0111】
(ステップS42)処理部140は、変化情報の取得に用いる学習情報を学習情報格納部111から取得する。
【0112】
(ステップS43)処理部140は、入力情報を学習情報に適用することにより、対象ユーザについて変化情報を取得する。取得された変更情報は、ユーザ情報格納部115に当該対象ユーザを識別するユーザ識別子に対応付けて蓄積されてもよい。
【0113】
(ステップS44)処理部140は、取得された変化情報を用いて、適正情報を取得する。適正情報の取得に関する処理については、後述する。
【0114】
(ステップS45)処理部140は、取得された情報に基づいて被験者を選定し、選定情報を取得する。処理部140は、選定情報を出力情報として出力する。その後、一連の処理を終了する。
【0115】
このようにして、対象ユーザの適正情報を用いて被験物質の利用の効果を測定するための試験の被験者が選定され、選定情報が出力されることにより、情報処理装置100の利用者が、容易に、被験物質の利用の効果を測定するための試験の被験者を特定することができる。
【0116】
なお、処理部140は、ステップS44が完了した場合に、ステップS45の処理を実行するか否かを判断してもよい。例えば、所定の数の対象ユーザについての適正情報が取得されていること、操作者等により所定の指示が行われたこと、などの所定の条件が満たされた場合に、ステップS45の処理が実行されるようにしてもよい。
【0117】
なお、処理部140は、対象ユーザの入力情報を取得した場合に、当該入力情報を用いて変化情報を出力するか否かを判断するようにしてもよい。例えば、入力情報について、採用条件判断部167により採用条件が満たされるか否かが判断され、採用条件が満たされる場合に、ステップS42以降の処理が行われるようにしてもよい。また、この場合において、採用条件が満たされると判断されない場合には、変化情報を出力しなかったり、所定の情報(例えば、主観情報が変化しないという情報)を変化情報として出力するようにしたりしてもよい。また、採用条件が満たされると判断されない場合には、被験者として適正ではないという適正情報を出力してもよい。
【0118】
図6は、同情報処理装置100において行われる適正情報取得処理の流れの一例について説明するフローチャートである。
【0119】
(ステップS61)処理部140は、対象ユーザの変化情報について、所定の適否判断条件が満たされるか否かを判断する。条件が満たされると判断された場合にはステップS62に進み、そうでない場合にはステップS63に進む。
【0120】
(ステップS62)処理部140は、対象ユーザが被験者として適しているとの適正情報を取得する。
【0121】
(ステップS63)処理部140は、対象ユーザが被験者として適していないとの適正情報を取得する。
【0122】
ステップS62又はステップS63の処理が終了すると、上位の処理に戻る。
【0123】
なお、情報処理装置100が、対象ユーザについての適正情報を出力情報として出力するように構成される場合には、例えば、次のように情報処理装置100の動作が行われるようにすればよい。すなわち、
図5に示されるフローチャートにおいて、ステップS45に代えて、処理部140が、ステップS44において取得した適正情報を出力情報として出力するように構成されていればよい。このようにして出力される適正情報を用いて、被験物質の利用の効果を測定する試験の被験者として適切な対象ユーザを選抜することができる。
【0124】
以上のように、本実施の形態においては、情報処理装置100が、入力情報と学習情報とを用いて、対象ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報を取得することができる。したがって、個々のユーザのプラセボ効果に関する情報を容易に得ることができる。本実施の形態において、学習情報は、教師データを用いた、機械学習による取得により得られるものであり、このような学習情報を用いることにより、個々のユーザのプラセボ効果に関する高精度な情報を取得可能である。
【0125】
次に、情報処理装置100の利用例について説明する。
【0126】
本実施の形態において、情報処理装置100は、例えば、被験者の協力を得て、主観情報に関する評価指標を含む被験物質の利用の効果測定を行う場合に用いることができる。すなわち、情報処理装置100により、被験者の候補ユーザのそれぞれについて、変化情報の出力を含む処理を実行させる。そして、情報処理装置100の出力情報に基づいて、被験者を選定し、試験を行うことができる。このような利用態様は、例えば、具体的には次のようにして利用者により行われうる。
【0127】
図7は、同情報処理装置100の利用例の一例について説明するフローチャートである。
【0128】
(ステップS801)まず、利用者は、2以上の候補ユーザのそれぞれの、2種以上の生体属性値を取得する。利用者自身が各候補ユーザの情報を取得してもよいし、利用者が利用する情報処理装置100において各候補ユーザの情報が取得されるようにしてもよい。
【0129】
(ステップS802)利用者は、2以上の候補ユーザのそれぞれについて、取得した2種以上の生体属性値を用いて情報処理装置100により出力される出力情報を取得する。換言すると、情報処理装置100は、2以上の候補ユーザのそれぞれについての出力情報を出力する。ここで取得される出力情報は、例えば適正情報であるが、選定情報や変化情報であってもよい。
【0130】
(ステップS803)利用者は、各候補ユーザの出力情報に基づいて、2以上の候補ユーザから1以上の候補ユーザを被験者として選定する。利用者は、例えば、主観情報が変化しにくいことを示す変化情報が得られた候補ユーザや、被験者として適している旨の適正情報が得られた候補ユーザを、優先的に被験者として選定できる。なお、情報処理装置100による選定情報が出力された場合、当該選定情報の通りに被験者を選定するようにしてもよい。この場合、ステップS803の処理は、情報処理装置100により実行されると理解するようにしてもよい。
【0131】
(ステップS804)利用者は、選定された被験者を対象として、主観情報に関する評価指標を含む被験物質の利用の効果測定を行う。
【0132】
以上のような試験方法によれば、情報処理装置100の出力情報を用いて、比較的プラセボ効果が発現しないといえる被験者(すなわち、プラセボのノンレスポンダ)を対象として、被験物質の利用の影響について試験を行うことができる。したがって、高い精度で被験物質の利用の効果測定の結果を得ることができる。
【0133】
本実施の形態において、情報処理装置100は、例えば、被験者の協力を得て、主観情報に関する評価指標を含むプラセボ対照試験を行う場合に用いることができる。すなわち、情報処理装置100により、被験者の候補ユーザのそれぞれについて、変化情報の出力を含む処理を実行させる。そして、情報処理装置100の出力情報に基づいて、2以上の被験者を選定する。そして、2以上の被験者を対照群と治療群とに分けてプラセボ対照試験を行うことができる。このような利用態様は、例えば、具体的には次のようにして利用者により行われうる。
【0134】
図8は、同情報処理装置100の利用例の他の例について説明するフローチャートである。
【0135】
ステップS811からステップS813は、上述のステップS801からステップS803と同様である。ここで、本例においては、3以上の候補ユーザについて入力情報の取得及び出力情報の取得が行われる。そして、3以上の候補ユーザのうち2以上の候補ユーザが被験者として選定される。
【0136】
(ステップS814)利用者は、選定された2以上の被験者を、対照群と治療群とに分ける。
【0137】
(ステップS815)利用者は、対照群と治療群とのそれぞれの被験者を対象として、主観情報に関する評価指標を含むプラセボ対照試験を行う。
【0138】
このように、以上のような試験方法によれば、情報処理装置100の出力情報を用いて、比較的プラセボ効果が発現しないといえる被験者(すなわち、プラセボのノンレスポンダ)を対象として、プラセボ対照試験を行うことができる。したがって、高い精度でプラセボ対照試験の結果を得ることができる。
【0139】
図9は、同情報処理装置100を用いて選定された被験者を対象として行われたプラセボ対照試験の一例について示すグラフである。
図10は、プラセボ対照試験の比較例について示すグラフである。
【0140】
図9及び
図10の各グラフにおいて、それぞれ、横軸は試験期間を示し、縦軸は疲労感を示すVASの値(以下、単にVASという)を示す。各グラフにおいて、被験物質を摂取する治療群(被験物質群)のVASの推移と、プラセボを摂取する対照群(プラセボ群)のVASの推移とが示されている。
図9において、治療群の症例数は14であり、対照群の症例数は13である。また、
図10において、治療群の症例数は24であり、対照群の症例数は24である。
【0141】
図9に示されるように、情報処理装置100を用いて選定された被験者を対象とした場合には、対照群のVASは、時間が経過してもほとんど変化していない。他方、
図10に示されるように、特段の選定が行われない被験者を対象とした比較例においては、対照群のVASは、時間が経過すると共に減少している。すなわち、比較例においては、被験者に含まれるプラセボレスポンダが比較的多いと考えられる。そのため、治療群のVASの推移は、比較例よりも、情報処理装置100を用いて選定された被験者を対象とした場合のほうが、より高い精度で被験物質の影響を示すものとなっていると考えられる。したがって、情報処理装置100を用いて被験者の選定を行うことにより、容易に、高い精度でプラセボ対照試験を行うことができる。
【0142】
なお、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現してもよい。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布してもよい。また、このソフトウェアを光ディスクなどの記録媒体に記録して流布してもよい。なお、本実施の形態における、情報処理装置100を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、情報処理装置100のコンピュータで実行されるプログラムであって、情報処理装置100のコンピュータを、2以上のユーザに関する2以上の教師データであって、それぞれ一のユーザの2種以上の生体属性値と当該ユーザのプラセボを摂取する前後における健康に関する主観情報の変化情報とを有する2以上の教師データを用いて構成された学習情報を取得する学習情報取得部と、一の対象ユーザに関する2種以上の生体属性値を含む入力情報を取得する入力情報取得部と、学習情報と入力情報とに基づいて対象ユーザについての変化情報を取得する変化情報取得部と、変化情報を出力する変化情報出力部と、として機能させるための、プログラムである。
【0143】
(実施の形態2)
【0144】
実施の形態2の概要を、上述の実施の形態1とは異なる部分について説明する。実施の形態2では、変化情報を用いて、対象ユーザについての推薦情報の取得が行われる点が実施の形態1とは異なっている。また、実施の形態2では、情報処理装置における学習情報の構成が行われない。
【0145】
図11は、本発明の実施の形態2に係る情報処理装置200のブロック図である。
【0146】
本実施の形態において、情報処理システム1は、実施の形態1に係る情報処理装置100に代えて、情報処理装置200を有している。情報処理装置200は、実施の形態1に係る情報処理装置100と比較して、教師データ格納部119、適正情報取得部151、適正情報出力部153、被験者選定部155、選定情報出力部157、及び学習部165を有していない点で相違する。また、情報処理装置200において、格納部110が推薦情報格納部217を有し、処理部140が推薦情報取得部255と推薦情報出力部257とを有している。情報処理装置200のその他のブロック構成は、情報処理装置100と同様である。
【0147】
本実施の形態において、学習情報格納部111には、例えば、予め他の装置等で構成された学習情報が格納されている。なお、本実施の形態においても、情報処理装置200に教師データ格納部119や学習部165が設けられており、情報処理装置200自身により学習情報を構成可能であってもよい。
【0148】
推薦情報格納部217には、推薦情報が格納されている。本実施の形態において、推薦情報は、ユーザの活動に関してユーザに対して推薦されうる事柄を示す情報である。推薦情報は、例えば、ユーザが取り組むべき行動又は動作や、それに取り組んだ結果として達成しているべき状態を示すものである。推薦情報は、例えば、ユーザが認識しておくべき知識等に関する情報を示すものであってもよい。推薦情報は、例えば、運動に関するものや、食事に関するものや、食事や運動、睡眠などの生活習慣に関するものなどとすることができる。より具体的には、例えば、食事の多様性評価プログラムに取り組むべきことや、疲労改善運動プログラムに取り組むべきことや、日中活動の充実を図るための睡眠習慣診断プログラムに取り組むべきことなどを推薦情報としたり、各プログラムの内容(例えば、ユーザが実行すべきことを具体的に説明する情報)を推薦情報に含めたりすることができる。
【0149】
図12は、同情報処理装置200で用いられる推薦情報の一例を示す図である。
【0150】
図12においては、3種類の推薦情報が模式的に示されている。各推薦情報は、例えば、推薦情報を識別する識別子(ID)、推薦情報の内容をユーザに示すための情報資源の場所を示すハイパーリンク先の情報(例えば、動画や音声の場所を示す情報、ウェブページのリンク先など)、推薦情報について説明するためのタイトル情報(表示タイトル)などを含む。なお、このような態様に限られず、推薦情報の内容が記録されていてもよい。
【0151】
3種類の推薦情報は、例えば、第一推薦情報と、第二推薦情報と、一般助言情報(第三推薦情報)とすることができる。第一推薦情報は、プラセボ摂取の前後で主観情報の変化が比較的大きいユーザに推薦可能であると考えられる情報である。第二推薦情報は、プラセボ摂取の前後で主観情報の変化が中程度であるユーザ(例えば、第一推薦情報の推薦対象となるユーザよりも変化の程度が小さいユーザ)に推薦可能であると考えられる情報である。第一推薦情報や第二推薦情報は、例えば、疲労感の改善効果が期待できると考えられる運動プログラム(運動メニュー)や、疲労感の改善に影響がある可能性がある食事の献立情報又は食品の摂取のレコメンドなど、種々の所定の情報とすることができる。一般助言情報は、プラセボ摂取の前後で主観情報の変化が比較的小さいユーザに向けた情報である。一般助言情報は、例えば、主観情報の変化の有無等にかかわらず広くユーザに対して有益であると考えられる助言などとすることができる。なお、一般助言情報は、推薦情報に含まれないと捉えてもよい。
【0152】
図11に戻って、推薦情報取得部255は、変化情報取得部145により取得された対象ユーザの変化情報を用いて、対象ユーザの活動に関する推薦情報を取得する。推薦情報取得部255は、取得した推薦情報を、対象ユーザを識別するユーザ識別子に対応付けてユーザ情報格納部115に蓄積する。
【0153】
本実施の形態において、推薦情報取得部255は、例えば、変化情報が所定の推薦条件を満たすか否かの判断結果に基づいて、推薦情報を取得するように構成されている。推薦条件は、例えば、変化量が所定の閾値より大きいか否かに関する条件などであるが、これに限られない。本実施の形態において、推薦情報取得部255は、例えば、変化情報が、所定の第一推薦条件を満たすほど大きいと判断した場合には第一推薦情報を取得し、所定の第一推薦条件を満たさないが所定の第二推薦条件を満たすほど大きいと判断した場合には、第二推薦情報を取得するように構成されている。また、推薦情報取得部255は、第一推薦条件と第二推薦条件とのいずれも満たさない場合には一般助言情報を取得するように構成されている。第一推薦条件と第二推薦条件とのいずれも満たさない場合には、いずれの情報も取得されないようにしてもよい。
【0154】
推薦情報出力部257は、推薦情報取得部255が取得した推薦情報を出力する。本実施の形態においては、推薦情報出力部257は、推薦情報を出力情報として、送信部170等を用いて対象ユーザの端末装置600に送信したり、例えば情報処理装置100に設けられたディスプレイデバイスに表示したりして出力するように構成されている。これにより、推薦情報の内容を、対象ユーザが確認できるようにしたり、情報処理装置100の操作者が確認したりすることができる。
【0155】
次に、情報処理装置200が、対象ユーザについての出力情報を出力する場合の動作の流れについて説明する。
【0156】
図13は、同情報処理装置200が推薦情報を出力情報として出力する場合の動作の流れの一例について説明するフローチャートである。
【0157】
ステップS241からステップS243は、上述の実施の形態1に係るステップS41からステップS43と同様である。なお、本実施の形態においては、ステップS241において、対象ユーザが端末装置600等を用いて入力情報を情報処理装置200に送信し、処理部140がそれを取得するように構成されているが、これに限られない。
【0158】
(ステップS244)処理部140は、対象ユーザの変化情報について、所定の第一推薦条件が満たされるか否かを判断する。条件が満たされると判断された場合にはステップS246に進み、そうでない場合にはステップS245に進む。
【0159】
(ステップS245)処理部140は、対象ユーザの変化情報について、所定の第二推薦条件が満たされるか否かを判断する。条件が満たされると判断された場合にはステップS247に進み、そうでない場合にはステップS248に進む。
【0160】
(ステップS246)処理部140は、推薦情報格納部217から、第一推薦情報を対象ユーザについての出力情報として取得する。
【0161】
(ステップS247)処理部140は、推薦情報格納部217から、第二推薦情報を対象ユーザについての出力情報として取得する。
【0162】
(ステップS248)処理部140は、推薦情報格納部217から、一般助言情報を対象ユーザについての出力情報として取得する。
【0163】
(ステップS249)処理部140は、出力情報を出力する。その後、一連の処理を終了する。
【0164】
なお、本実施の形態において、例えば、対象ユーザが端末装置600を用いて情報処理装置200との間で情報の送受信を行うことにより出力情報を得られるようにすることができる。この場合、例えば、端末装置600のタッチパネル等の表示部661に種々の操作画面や情報表示画面が表示される。端末装置600は、例えば、情報処理装置200から送信された情報を用いたり、端末装置600で所定のアプリケーションを動作させたりすることにより、情報表示させることができる。以下、このような例について説明する。
【0165】
図14は、同情報処理装置200に情報を送信する情報送信画面の一例を説明する図である。
【0166】
図14に示されるように、対象ユーザは、情報送信画面1010を表示部661に表示させて所定の操作を行うことにより、情報処理装置200に変化情報の取得を行わせるための入力情報を送信することができる。例えば、情報送信画面1010には、プラセボ効果に関する判定を行うために、ユーザ自身の情報を情報処理装置200に送信することの許可を求める表示と、指示ボタン1015とが含まれる。例えば対象ユーザにより指示ボタン1015が操作されると、端末装置600に格納されている、当該ユーザに関する2以上の生体属性値を含む入力情報が情報処理装置200に送信されるように構成されている。
【0167】
これにより入力情報が情報処理装置200に送信されると、情報処理装置200により変化情報の取得、推薦情報の取得が行われ、推薦情報が出力情報として端末装置600に送信されうる。
【0168】
図15は、同情報処理装置200による推薦情報の表示画面の一具体例を説明する図である。
【0169】
図15においては、端末装置600の表示部661に推薦情報が表示された状態の一例が模式的に示されている。推薦情報は、例えば、インスタントメッセージングサービスのクライアントアプリにより情報表示画面1020として表示されるようになっていいてもよいし、例えば電子メールによって、メール本文や添付ファイル等として推薦情報が送信されるようにしてもよい。
【0170】
図に示されるように、情報表示画面1020には、例えば、推薦情報について案内する文字列や、より詳細な推薦情報の内容を表示するための表示ボタン1025などが含まれる。対象ユーザは、情報表示画面1020を用いて、推薦情報の内容を確認することができる。本具体例において、情報表示画面1020に表示される表示ボタン1025は、より詳細な情報を提供するためのウェブページ等へのハイパーリンクとして機能するように表示されている。これにより、情報表示画面1020における情報のボリュームを抑えて対象ユーザが概要を容易に把握できるようにしつつ、対象ユーザの意向に応じて、より多くの情報を当該対象ユーザに提供できるようになる。
【0171】
以上説明したように、実施の形態2においては、対象ユーザの変化情報に応じて、対象ユーザに対して推薦情報が出力される。したがって、対象ユーザは、自身にとって効果的な活動に関する推薦情報を知ることができる。例えば、プラセボレスポンダであると予測されるユーザに対して疲労感の改善を図るための活動に関する推薦情報を出力することにより、当該活動に取り組んだユーザが、主観的にも、その効果をより感じとることができる可能性が高くなる。したがって、ユーザの満足感を高めることができる推薦情報を出力することができるといえる。
【0172】
(その他)
【0173】
図16は、上記実施の形態におけるコンピュータシステム800の概観図である。
図17は、同コンピュータシステム800のブロック図である。
【0174】
これらの図においては、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した実施の形態の情報処理装置等を実現するコンピュータの構成例が示されている。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現されうる。
【0175】
コンピュータシステム800は、光ディスクドライブを含むコンピュータ801と、キーボード802と、マウス803と、モニタ804とを含む。
【0176】
コンピュータ801は、光ディスクドライブ(ODD)8012に加えて、MPU8013と、光ディスクドライブ8012等に接続されたバス8014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM8015と、MPU8013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM8016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク(HDD)8017とを含む。ここでは図示しないが、コンピュータ801は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでもよい。
【0177】
コンピュータシステム800に、上述した実施の形態の情報処理装置等の機能を実行させるプログラムは、光ディスク8101に記憶されて、光ディスクドライブ8012に挿入され、さらにハードディスク8017に転送されてもよい。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ801に送信され、ハードディスク8017に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM8016にロードされる。プログラムは、光ディスク8101又はネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0178】
プログラムは、コンピュータ801に、上述した実施の形態の情報処理装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、又はサードパーティープログラム等を、必ずしも含まなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいればよい。コンピュータシステム800がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0179】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0180】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0181】
また、上記実施の形態において、一の装置に存在する2以上の構成要素は、物理的に一の媒体で実現されてもよい。
【0182】
また、上記実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい(この場合、分散処理を行う複数の装置により構成されるシステム全体を1つの「装置」として把握することが可能である)。
【0183】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、又は、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0184】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、又は長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、又は、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、又は、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0185】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、又は、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0186】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0187】
上述の複数の実施の形態を適宜組み合わせた実施の形態を構成してもよい。例えば、上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態のそれぞれの構成要素について、適宜、他の実施の形態の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0188】
以上のように、本発明にかかる情報処理装置は、個々のユーザのプラセボ効果に関する情報を容易に得ることができるという効果を有し、情報処理装置等として有用である。
【符号の説明】
【0189】
1 情報処理システム
100、200 情報処理装置
110 格納部
111 学習情報格納部
115 ユーザ情報格納部
119 教師データ格納部
120 受信部
130 受付部
140 処理部
141 学習情報取得部
143 入力情報取得部
145 変化情報取得部
147 変化情報出力部
151 適正情報取得部
153 適正情報出力部
155 被験者選定部
165 学習部
167 採用条件判断部
170 送信部
217 推薦情報格納部
255 推薦情報取得部
257 推薦情報出力部
600 端末装置
661 表示部