(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092368
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ビス打ちシステム
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20240701BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B23P19/06 A
B25J5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208251
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】權 純洙
(72)【発明者】
【氏名】松戸 正士
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707AS21
3C707CS08
3C707CT04
(57)【要約】
【課題】ビス詰まりを解消することのできるビス打ちシステムを提供すること。
【解決手段】ビス打ちシステムは、射出口からビスを打ち出すビス打ち装置と、ビス打ち装置にビスを供給するビス供給装置と、ビス打ち装置およびビス供給装置と接続され、空気の圧力によってビス供給措置からビス打ち装置にビスを輸送するビス輸送管と、ビス打ち装置と接続され、第1の方向および第1の方向と反対の第2の方向を有する第1の軸に沿ってビス打ち装置を移動させる第1のアクチュエータと、ビス打ち装置に供給され、射出口にセットされたビスを検出する第1のセンサと、ビス輸送管の中のビスを検出する第2のセンサと、第1のセンサの第1の信号および前記第2のセンサの第2の信号に基づき、ビス打ち装置および第1のアクチュエータを制御する制御装置と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出口からビスを打ち出すビス打ち装置と、
前記ビス打ち装置に前記ビスを供給するビス供給装置と、
前記ビス打ち装置および前記ビス供給装置と接続され、空気の圧力によって前記ビス供給装置から前記ビス打ち装置に前記ビスを輸送するビス輸送管と、
前記ビス打ち装置と接続され、第1の方向および前記第1の方向と反対の第2の方向を有する第1の軸に沿って前記ビス打ち装置を移動させる第1のアクチュエータと、
前記ビス打ち装置に供給され、前記射出口にセットされた前記ビスを検出する第1のセンサと、
前記ビス輸送管の中の前記ビスを検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの第1の信号および前記第2のセンサの第2の信号に基づき、前記ビス打ち装置および前記第1のアクチュエータを制御する制御装置と、を含む、ビス打ちシステム。
【請求項2】
前記第1の信号および前記第2の信号の各々が前記ビスを検出したことを示すとき、前記制御装置は、前記ビス打ち装置が前記第1の方向に移動するように前記第1のアクチュエータを制御した後、前記射出口から前記ビスを打ち出すように前記ビス打ち装置を制御する、請求項1に記載のビス打ちシステム。
【請求項3】
さらに、前記第1のアクチュエータと接続され、前記第1の軸に沿って前記第1のアクチュエータを移動させる第2のアクチュエータを含む、請求項1に記載のビス打ちシステム。
【請求項4】
前記第1の信号が前記ビスを検出しないことを示し、かつ、前記第2の信号が前記ビスを検出したことを示すとき、前記制御装置は、前記第1のアクチュエータが前記第2の方向に移動するように前記第2のアクチュエータを制御した後、前記ビス打ち装置が前記第1の軸に沿って往復移動するように前記第1のアクチュエータを制御する、請求項3に記載のビス打ちシステム。
【請求項5】
前記ビス打ち装置の往復移動が2回以上繰り返される、請求項4に記載のビス打ちシステム。
【請求項6】
さらに、前記ビス輸送管の中の前記ビスを検出する第3のセンサを含み、
前記制御装置は、さらに、前記第3のセンサの第3の信号に基づき、前記ビス打ち装置および前記第1のアクチュエータを制御する、請求項3に記載のビス打ちシステム。
【請求項7】
前記第2のセンサは、前記ビス打ち装置の近傍に設置され、
前記第3のセンサは、前記ビス供給装置の近傍に設置されている、請求項6に記載のビス打ちシステム。
【請求項8】
前記第1の信号および前記第2の信号の少なくとも1つが前記ビスを検出しないことを示し、かつ、前記第3の信号が前記ビスを検出したことを示すとき、前記制御装置は、前記第1のアクチュエータが前記第2の方向に移動するように前記第2のアクチュエータを制御した後、前記ビス打ち装置が前記第1の軸に沿って往復移動するように前記第1のアクチュエータを制御する、請求項7に記載のビス打ちシステム。
【請求項9】
前記ビス輸送管は、可撓性を有する、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のビス打ちシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、ビスを打ち出すビス打ちシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内装工事においては、鉄骨などの下地材で構成される壁面に、壁材として石膏ボードを貼り付ける作業が行われる場合がある。近年、このような内装工事においても自動化が進められている。例えば、特許文献1には、壁面に石膏ボードを貼り付けて、ビスを打ち込むことができる自動化されたボード貼り付け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような自動ビス打ちロボットにおいては、ビス打ち装置に連続してビスを供給する必要があるが、ビスの先端は先鋭化されているため、ビス打ち装置にビスを送り込む際にビスが引っ掛かる、いわゆるビス詰まりが発生する場合がある。ビス詰まりが発生した場合、作業者がビス詰まりの発生個所を調査し、ビス詰まりを解消する必要がある。そのため、ビス詰まりの発生は、作業者の作業効率を低下させるとともに、自動ビス打ちロボットの導入が進まない要因となっていた。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、ビス詰まりを解消することのできるビス打ちシステムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムは、射出口からビスを打ち出すビス打ち装置と、ビス打ち装置にビスを供給するビス供給装置と、ビス打ち装置およびビス供給装置と接続され、空気の圧力によってビス供給措置からビス打ち装置にビスを輸送するビス輸送管と、ビス打ち装置と接続され、第1の方向および第1の方向と反対の第2の方向を有する第1の軸に沿ってビス打ち装置を移動させる第1のアクチュエータと、ビス打ち装置に供給され、射出口にセットされたビスを検出する第1のセンサと、ビス輸送管の中のビスを検出する第2のセンサと、第1のセンサの第1の信号および前記第2のセンサの第2の信号に基づき、ビス打ち装置および第1のアクチュエータを制御する制御装置と、を含む。
【0007】
第1の信号および第2の信号の各々がビスを検出したことを示すとき、制御装置は、ビス打ち装置が第1の方向に移動するように第1のアクチュエータを制御した後、射出口からビスを打ち出すようにビス打ち装置を制御してもよい。
【0008】
ビス打ちシステムは、さらに、第1のアクチュエータと接続され、第1の軸に沿って第1のアクチュエータを移動させる第2のアクチュエータを含んでいてもよい。
【0009】
第1の信号がビスを検出しないことを示し、かつ、第2の信号がビスを検出したことを示すとき、制御装置は、第1のアクチュエータが第2の方向に移動するように第2のアクチュエータを制御した後、ビス打ち装置が第1の軸に沿って往復移動するように第1のアクチュエータを制御してもよい。
【0010】
ビス打ち装置の往復移動が2回以上繰り返されてもよい。
【0011】
ビス打ちシステムは、さらに、ビス輸送管の中のビスを検出する第3のセンサを含み、制御装置は、さらに、第3のセンサの第3の信号に基づき、ビス打ち装置および第1のアクチュエータを制御してもよい。
【0012】
第2のセンサは、ビス打ち装置の近傍に設置され、第3のセンサは、ビス供給装置の近傍に設置されていてもよい。
【0013】
第1の信号および第2の信号の少なくとも1つがビスを検出しないことを示し、かつ、第3の信号が前記ビスを検出したことを示すとき、制御装置は、第1のアクチュエータが第2の方向に移動するように第2のアクチュエータを制御した後、ビス打ち装置が第1の軸に沿って往復移動するように第1のアクチュエータを制御してもよい。
【0014】
ビス輸送管は、可撓性を有してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムは、ビス詰まりを解消しながら、ビス打ち処理を実行することができる。そのため、ビス詰まりを解消する作業者による作業不要となり、作業者の作業効率が向上する。また、ビス打ちシステムは自動ビス打ちロボットに搭載することが可能である。ビス打ちシステムによってビス詰まりが低減されるため、自動ビス打ちロボットの導入が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムの構成を示す模式図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムのビス輸送管におけるビスの輸送を説明する模式図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムのビス打ち装置におけるビスのセットを説明する模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムの制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムの動作を説明するフローチャートである。
【
図4B】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムの動作における揺動処理を説明するフローチャートである。
【
図4C】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムの動作におけるビス打ち処理を説明するフローチャートである。
【
図5A】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムの動作を説明する模式図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムの動作を説明する模式図である。
【
図5C】本発明の一実施形態に係るビス打ちシステムの動作を説明する模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る自動ビス打ちロボットの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0018】
本明細書において、説明の便宜上、「上」もしくは「上方」または「下」もしくは「下方」という語句を用いて説明するが、これらの語句は各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。
【0019】
本明細書において、説明の便宜上、「床面」、「天井面」、および「壁面」という語句を用いて説明する。「床面」はビス打ちロボットが設置される面であり、「天井面」は「床面」の反対に位置する面であり、および「壁面」は「床面」と「天井面」とを接続する面である。
【0020】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0021】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成は、同一の符号を用いて表記される。但し、複数の構成のそれぞれが区別される場合、複数の構成のそれぞれは、大文字のアルファベットが添えられて表記される場合がある。また、1つの構成が複数の部分に区別される場合、複数の部分は、小文字のアルファベットが添えられて表記される場合がある。
【0022】
<第1実施形態>
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態に係るビス打ちシステム100について説明する。なお、ビス打ちシステム100は、本実施形態の一例であって、本実施形態は、ビス打ちシステム100に限定されるものではない。
【0023】
[1.ビス打ちシステム100の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るビス打ちシステム100の構成を示す模式図である。
図2Aは、本発明の一実施形態に係るビス打ちシステム100のビス輸送管130におけるビス1200の輸送を説明する模式図である。
図2Bは、本発明の一実施形態に係るビス打ちシステム100のビス打ち装置110におけるビス1200のセットを説明する模式図である。具体的には、
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ、
図1の領域Aおよび領域Bの拡大図である。
【0024】
図1に示すように、ビス打ちシステム100は、ビス打ち装置110、ビス供給装置120、ビス輸送管130、制御装置140、第1のアクチュエータ150、第2のアクチュエータ160、第1のセンサ170、第2のセンサ180、および第3のセンサ190を含む。
【0025】
ビス輸送管130は、ビス供給装置120のビス出口120aおよびビス打ち装置110のビス入口110bと接続されている。ビス打ちシステム100では、ビス供給装置120から、ビス輸送管130を通してビス打ち装置110にビス1200を送り込み(
図2A参照)、射出口110aからビス1200を打ち出すことができる。ビス1200の射出はx軸方向に沿って行われる。すなわち、ビス1200は、x軸に沿った第1の方向D1に射出される。なお、第1の方向と反対の方向は、第2の方向D2である。
【0026】
ビス打ち装置110では、ビス入口110bに送り込まれたビスは、射出口110aにセットされる(
図2B参照)。また、射出口110aにセットされたビスを第1の方向D1に打ち出すことができる。ビス供給装置120は、いわゆるパーツフィーダである。すなわち、複数のビス1200を同一方向に揃えるとともに、揃えられた複数のビス1200のうちの1つのビス1200をビス出口120aからビス輸送管130に送り出すことができる。ビス輸送管130には、圧縮空気が供給される。圧縮空気は、ビス供給装置120に設置されたコンプレッサ(図示せず)から供給される。なお、コンプレッサは、ビス供給装置120の外部に設置されていてもよい。ビス輸送管130に送り出されたビス1200は、圧縮空気による空気の圧力によって、ビス輸送管130中を進み、ビス打ち装置110のビス入口110bに送り込まれる。ビス輸送管130は、ビス1200が通過する程度の径を有すればよい。また、ビス輸送管130は、可撓性を有し、ビス打ち装置110の移動に対応して、柔軟に動くことができる。さらに、ビス輸送管130は、内部を通過するビス1200を視認することができるように透光性を有することが好ましい。また、センサの光を透過することができる点においても、ビス輸送管130が透光性を有することが好ましい。
【0027】
ここで、ビス打ち装置110の移動について説明する。ビス打ち装置110は、第1のアクチュエータ150と接続されている。第1のアクチュエータ150は、本体部に対応するシリンダ150aおよび可動部に対応するピストン150bを含む。すなわち、第1のアクチュエータ150は、いわゆるシリンダ型アクチュエータである。ビス打ち装置110は、ピストン150bと接続され、シリンダ150aの駆動によって、
図1に示すようにx軸に沿って移動することができる。なお、第1のアクチュエータ150は、シリンダ型アクチュエータに限られず、ビス打ち装置110をx軸に沿って移動させる構成であればよい。
【0028】
また、第1のアクチュエータ150は、第2のアクチュエータ160と接続されている。第2のアクチュエータ160は、本体部に対応するスライダ160aおよび可動部に対応する接続部材160bを含む。すなわち、第2のアクチュエータ160は、いわゆるスライダ型アクチュエータである。第1のアクチュエータ150は、接続部材160bと接続され、スライダ160aの駆動によって、x軸に沿って移動することができる。ビス打ち装置110は、第1のアクチュエータ150と接続されているため、第1のアクチュエータ150の移動に合わせて、ビス打ち装置110もx軸に沿って移動する。なお、第2のアクチュエータ160は、スライダ型アクチュエータに限られず、第1のアクチュエータ150をx軸に沿って移動させる構成であればよい。
【0029】
ビス打ちシステム100を利用してビス1200を打ち出すとき、第2のアクチュエータ160の駆動によって、第1のアクチュエータ150を第1の方向D1に移動し、さらに、第1のアクチュエータ150の駆動によって、ビス打ち装置110を第1の方向D1に移動する。図示しないが、接続部材160bには、吸着装置が接続されていてもよく、この場合、第2のアクチュエータ160の駆動によって、吸着装置がボードを吸着し、ビス1200を打ち出す動作を安定させることができる。
【0030】
上述したように、ビス打ちシステム100では、ビス輸送管130を介してビス供給装置120からビス打ち装置110にビス1200が供給されるが、ビス輸送管130またはビス打ち装置110において、ビス詰まりが発生する場合がある。そのため、ビス打ちシステム100では、第1のセンサ170~第3のセンサ190が設置され、第1のセンサ170~第3のセンサ190によって、ビス1200の有無を検出している。
【0031】
一例として、第1のセンサ170は、ビス打ち装置110の射出口110aの近傍に設置される。第1のセンサは、射出口110aにセットされたビス1200を検出することができる。第2のセンサ180は、ビス打ち装置110のビス入口110b近傍に設置される。第2のセンサ180は、ビス入口110bに送り込まれるビス1200を検出することができる。第3のセンサ190は、ビス供給装置120のビス出口120a近傍に設置される。第3のセンサ190は、ビス出口120aから送り出されるビス1200を検出することができる。第1のセンサ170~第3のセンサ190は、例えば、光電センサである。この場合、第1のセンサ170~第3のセンサ190は、ビス1200がセットされ、またはビス1200が通過すると、センサの光が遮られるため、ビス1200を検出することができる。なお、第1のセンサ170~第3のセンサ190は、光電センサに限られず、ビス1200の有無を検出することができるセンサであればよい。また、第1のセンサ170~第3のセンサ190の設置位置は、上述した構成に限られない。第1のセンサ170は、ビス打ち装置110の射出口110aにビスがセットされていることを検出することができる位置に設置されていればよく、ビス打ち装置110以外に設置されていてもよい。第2のセンサ180および第3のセンサ190は、ビス輸送管130におけるビス詰まりの発生頻度の高い位置(例えば、ビス輸送管130が屈曲する場合に、曲率が大きい位置)に設置することもできる。
【0032】
制御装置140は、第1のセンサ170~第3のセンサ190と電気的に接続され、第1のセンサ170~第3のセンサ190からのビス検出信号を受信する。また、制御装置140は、ビス打ち装置110、ビス供給装置120、第1のアクチュエータ150、および第2のアクチュエータ160と電気的に接続されている。制御装置140は、第1のセンサ170~第3のセンサ190のビス検出信号に基づき、ビス打ち装置110、ビス供給装置120、第1のアクチュエータ150、および第2のアクチュエータ160に、それぞれの動作を制御する制御信号を送信することができる。
【0033】
ここで、
図3を参照して、制御装置140の構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るビス打ちシステム100の制御装置140の構成を説明するブロック図である。
【0034】
図3に示すように、制御装置140は、制御部141、通信部142、および記憶部143などのコンピュータを含む。制御部141は、例えば、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ(Micro Processing Unit:MPU)、画像処理装置(Graphics Processing Unit:GPU)、またはデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)などを含む。また、記憶部143は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory:ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、またはソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)などを含む。制御部141で実行されるプログラムは、記憶部143に格納されていてもよい。制御装置140では、コンピュータにおいてプログラムが実行されることにより、制御部141が、ビス打ち装置制御部141a、ビス供給装置制御部141b、およびアクチュエータ制御部141cとして機能する。すなわち、ビス打ち装置制御部141aは、ビス打ち装置110を制御する制御信号を生成し、ビス供給装置制御部141bは、ビス供給装置120を制御する制御信号を生成し、およびアクチュエータ制御部141cは、第1のアクチュエータ150および第2のアクチュエータ160の各々を制御する制御信号を生成する。
【0035】
通信部142は、第1のセンサ170~第3のセンサ190からのビス検出信号を受信することができる。また、通信部142は、ビス打ち装置110、ビス供給装置120、第1のアクチュエータ150、および第2のアクチュエータ160に制御信号を送信することができる。本実施形態では、第1のセンサ170~第3のセンサ190によるビス検出信号に基づき、ビス打ち装置110、ビス供給装置120、第1のアクチュエータ150、または第2のアクチュエータ160が制御される。詳細は後述するが、第1のセンサ170~第3のセンサ190の信号に基づきビス詰まりを判断し、ビス詰まりを解消する処理を実行する。
【0036】
[2.ビス打ちシステム100の動作]
図4Aは、本発明の一実施形態に係るビス打ちシステム100の動作を説明するフローチャートである。
図4Bおよび
図4Cは、それぞれ、本発明の一実施形態に係るビス打ちシステム100の動作における揺動処理およびビス打ち処理を説明するフローチャートである。また、
図5A~
図5Cの各々は、本発明の一実施形態に係るビス打ちシステム100の動作を説明する模式図である。
【0037】
図4Aに示すフローチャートは、ステップS100~ステップS160、ステップS200、およびステップS300を含む。以下、ステップS100~ステップS160、ステップS200、およびステップS300を順に説明する。なお、各ステップを説明するにあたり、適宜、
図5A~
図5Cを参照する。
【0038】
ステップS100では、アクチュエータ制御部141cが、第2のアクチュエータ160を制御し、ボード1000に近接するように第1のアクチュエータ150およびビス打ち装置110を第1の方向D1に移動させる(
図5A参照)。第2のアクチュエータ160の接続部材160bは、第1のアクチュエータ150と接続しているため、第2のアクチュエータ160のスライダ160aを駆動することにより、第1のアクチュエータ150および第1のアクチュエータ150と接続しているビス打ち装置110を第1の方向D1に移動させることができる。
【0039】
図示しないが、接続部材160bに吸着装置が接続されている場合、接続部材160bが第1の方向D1に移動して、吸着装置がボード1000を吸着することができる。
【0040】
ステップS110では、ビス供給装置制御部141bが、ビス供給装置120を制御し、ビス出口120aにビス1200を送り出す。ビス詰まりが発生していない場合には、送り出されたビス1200は第3のセンサ190の前を通過するため、第3のセンサ190によってビス1200が検出される。
【0041】
ステップS120では、アクチュエータ制御部141cが、第3のセンサ190によってビス1200が検出されたか否かを判定する。第3のセンサ190からの信号がビス1200を検出したことを示すとき、ステップS130が実行される。第3のセンサ190からの信号がビス1200を検出していないことを示すとき、ビス1200が送り出されていない可能性があるため、再度ステップS110が実行される。
【0042】
ステップS130では、ビス供給装置制御部141bが、ビス輸送管130への圧縮空気の供給を開始する。空気の圧力によって、ビス1200がビス輸送管130中を輸送され、ビス詰まりが発生しない場合には、ビス1200が第2のセンサ180の前を通過する。この場合、第2のセンサ180によってビス1200が検出される。
【0043】
ステップS140では、アクチュエータ制御部141cが、第2のセンサ180によってビス1200が検出されたか否かを判定する。第2のセンサ180からの信号がビス1200を検出したことを示すとき、ステップS150が実行される。第2のセンサ180からの信号がビス1200を検出していないことを示すとき、ビス詰まりが発生している可能性があり、ステップS200の揺動処理が実行される。
【0044】
ステップS150では、アクチュエータ制御部141cが、第1のセンサ170によってビス1200が検出されたか否かを判定する。ビス詰まりが発生していない場合には、ビス打ち装置110のビス入口110bに送り込まれたビス1200は、射出口110aにセットされ、第1のセンサ170によって検出される。第1のセンサ170からの信号がビス1200を検出したことを示すとき、ステップS300のビス打ち処理が実行される。第1のセンサ170からの信号がビス1200を検出していないことを示すとき、ビス詰まりが発生している可能性があり、ステップS200の揺動処理が実行される。
【0045】
ステップS200の揺動処理およびステップS300のビス打ち処理の詳細については後述する。ステップS200の揺動処理の後は、ステップS130が実行される。ステップS300のビス打ち処理の後は、ステップS160が実行される。
【0046】
ステップS160では、アクチュエータ制御部141cが、第2のアクチュエータ160を制御し、第1のアクチュエータ150およびビス打ち装置110を第2の方向D2に移動させる。第2のアクチュエータ160の接続部材160bは、第1のアクチュエータ150と接続しているため、第2のアクチュエータ160のスライダ160aを駆動することにより、第1のアクチュエータ150および第1のアクチュエータ150と接続しているビス打ち装置110を第2の方向D2に移動させることができる
【0047】
図示しないが、接続部材160bに吸着装置が接続されている場合、接続部材160bが第2の方向D2に移動して、吸着装置がボード1000の吸着を解除することができる。
【0048】
以上説明したように、ビス打ちシステム100では、第1のセンサ170~第3のセンサ190の少なくとも1つがビス1200を検出しないと、ステップS300のビス打ち処理が実行されない。また、ビス打ちシステム100では、第1のセンサ170および第2のセンサ180の少なくとも1つがビス1200を検出しないと、ビス詰まりが発生していると判断し、ビスつまりを解消するために、ステップS200の揺動処理が実行される。
【0049】
図4Bを参照して、ステップS200の揺動処理について説明する。揺動処理は、ステップS210~ステップS240を含む。
【0050】
ステップS210では、ビス供給装置制御部141bが、ビス輸送管130への圧縮空気の供給を停止する。ビス詰まりは、ビス1200の先端がビス輸送管130またはビス打ち装置110に引っ掛かることによって発生する。ビス輸送管130に圧縮空気が供給されていると、ビス1200に圧力がかかり、ビス1200が引っ掛かった状態が維持される。そのため、ビス1200の引っ掛かりを外しやすくするため、ステップS210ではビス輸送管130への圧縮空気の供給を停止する。
【0051】
ステップS220では、アクチュエータ制御部141cが、第2のアクチュエータ160を制御し、第1のアクチュエータ150およびビス打ち装置110を第2の方向D2に移動させる。第2のアクチュエータ160の接続部材160bは、第1のアクチュエータ150と接続しているため、第2のアクチュエータ160のスライダ160aを駆動することにより、第1のアクチュエータ150および第1のアクチュエータ150と接続しているビス打ち装置110を第2の方向D2に移動させることができる。これにより、ボード1000からビス打ち装置110を遠ざけることができる。
【0052】
ステップS230では、アクチュエータ制御部141cが、第1のアクチュエータ150を制御し、ビス打ち装置110をx軸に沿って往復移動させる(
図5B参照)。具体的には、アクチュエータ制御部141cは、ビス打ち装置110を第1の方向D1に移動させた後、直ちにビス打ち装置110を第2の方向D2に移動させる。ビス打ち装置110の往復移動による揺動により、ビス打ち装置110内におけるビス1200の引っ掛かりが外れ、ビス詰まりが解消される。また、ビス打ち装置110の往復移動による揺動により、ビス輸送管130も揺動される。そのため、ビス輸送管130内におけるビス1200の引っ掛かりも外れ、ビス詰まりが解消される。なお、ステップS220において、ビス打ち装置110をボード1000から遠ざけているため、ビス打ち装置110の往復移動によってビス打ち装置110がボード1000に衝突することはない。
【0053】
ステップS230の往復移動は、1回であってもよく、複数回であってもよい。アクチュエータ制御部141cは、予め設定された回数に基づき、ビス打ち装置110をx軸に沿って往復移動させることができる。
【0054】
ステップS240では、アクチュエータ制御部141cが、第2のアクチュエータ160を制御し、第1のアクチュエータ150およびビス打ち装置110を第1の方向D1に移動させる。第2のアクチュエータ160の接続部材160bは、第1のアクチュエータ150と接続しているため、第2のアクチュエータ160のスライダ160aを駆動することにより、第1のアクチュエータ150および第1のアクチュエータ150と接続しているビス打ち装置110を第1の方向D1に移動させることができる。これにより、ボード1000にビス打ち装置110を近づけることができる。すなわち、ビス打ち装置110の位置は、ステップS120における位置と同じである。
【0055】
以上説明したように、ステップS200では、ビス1200が引っ掛かっている位置を揺動することにより、引っ掛かっているビス1200を外し、ビス詰まりを解消することができる。
【0056】
図4Cを参照して、ステップS300のビス打ち処理について説明する。ビス打ち処理は、ステップS310~ステップS330を含む。
【0057】
ステップS310では、アクチュエータ制御部141cが、第1のアクチュエータ150を制御し、ビス打ち装置110を第1の方向に移動させる。これにより、ビス打ち装置110の射出口110aがボード1000に近接する(
図5C参照)。
【0058】
ステップS320では、ビス打ち装置制御部141aが、ビス打ち装置110の射出口110aからビス1200を打ち出す。これにより、ボード1000にビスが打ち込まれる。
【0059】
ステップS330では、ビス打ち装置制御部141aが、第1のアクチュエータ150を制御し、ビス打ち装置110を第2の方向に移動させる。これにより、ビス打ち装置110の射出口110aがボード1000から離れる。
【0060】
以上、ビス打ちシステム100の動作を説明したが、ビス打ちシステム100は、揺動処理によってビス詰まりを解消しながら、ビス打ち処理を実行することができる。そのため、ビス詰まりを解消するための作業者による作業が不要となり、ビス打ち処理における作業時間を短縮することができる。
【0061】
<第2実施形態>
ビス打ちシステム100は、例えば、ロボットに搭載することが可能である。ビス打ちシステム100は、ビス供給装置120を備えているため、ロボットに搭載されることにより、連続したビス打ち処理が可能となる。
【0062】
図6は、本発明の一実施形態に係るビス打ちロボット10の構成を示す模式図である。
【0063】
図6には、ビス打ちロボット10を利用して、建築物の内装工事が行われる壁面が示されている。以下では、床面および壁面が、それぞれ、xy面およびyz面に形成されているものとして説明する。x軸、y軸、およびz軸は、互いに直交(略90°で交差している場合も含む。)し、z軸は、床面に対して略垂直な方向(鉛直方向)である。また、以下では、ビス打ちロボット10の動作に合わせて、x軸方向、y軸方向、およびz軸方向を、それぞれ、前後方向、左右方向、および上下方向という場合がある。
【0064】
壁面には、予め、作業者によってボード1000がz軸に沿って延在する下地材1100に貼り付けられている。作業者によるボード1000の貼り付けは、ボード1000の位置が固定されればよい。そのため、作業者は、ボード1000が下地材1100と接する位置において、ボード1000に数本のビスを打ち込み、ボード1000と下地材1100とを固定する。作業者によって打ち込まれるビスは、ボード1000と下地材1100とを仮固定するためのものである。そのため、以下では、予め、作業者によって打ち込まれたビスを、仮止めビス1300として説明する(
図6中の領域C参照)。
【0065】
ボード1000は、例えば、建築物の内装工事において用いられる石膏ボードなどの板状部材である。下地材1100は、例えば、建築物の天井または壁の下地として用いられる胴縁や軽量鉄骨(Light Gauge Steel:LGS)などである。ボード1000および下地材1100には、いくつかの規格値が存在する。ボード1000の規格値の一例としては、長さlbが1820mmであり、幅wbが606mmまたは910mmであり、および厚さtbが12.5mmまたは21.0mmである。下地材1100の規格値は、断面長(以下、単に「長さ」という。)lsおよび断面幅(以下、単に「幅」という。)wsは、それぞれ、100mmおよび40mmである。なお、下地材1100の材質は、限定はされず、導体または誘電体などであることが好ましい。
【0066】
建築物の壁面は、1枚のボード1000の面積(lb×wb)よりも大きい場合が多い。そのため、壁面には、複数のボード1000が貼り付けられる。したがって、作業者は、予め、仮止めビス1300を用いて、複数のボード1000を壁面に貼り付けておく。なお、1枚のボード1000に打ち込まれる仮止めビス1300の数は特に限定されない。また、1枚のボード1000に打ち込まれる仮止めビス1300の位置も特に限定されない。
【0067】
仮止めビス1300を用いたボード1000の貼り付け作業が完了した後、ボード1000を下地材1100に本固定するために、ビス打ちロボット10を用いて、ボード1000にビス1200を打ち込む。
【0068】
ビス打ちロボット10は、ビス打ちシステム100、昇降装置200、および台車300を含む。昇降装置200は、台車300上に設置されている。また、ビス打ちシステム100は、昇降装置200と接続されている。昇降装置200は、ビス打ちシステム100をz軸に沿って移動させることができる。また、台車300は、y軸に沿って移動することができる。そのため、ビス打ちロボット10は、y軸に沿って所定の位置に移動した後、ビス打ちシステム100をz軸に沿って移動させ、z軸に沿って連続してボード1000にビス1200を打ち込むことができる(
図6中の領域D参照)。
【0069】
本実施形態では、ボード1000を仮止めビス1300を用いて仮止めされている態様を示したが、ビス打ちロボット10は、仮止めビス1300を用いずにボード1000を貼り付ける態様も可能である。
【0070】
なお、
図6には、壁に設けられた腰壁1400が図示されているが、ビス打ちロボット10は、腰壁1400の有無に依らず、利用することが可能である。
【0071】
本発明の実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜構成を組み合わせて実施することができる。また、実施形態を基にして、当業者が適宜構成の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0072】
上述した実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0073】
10:ビス打ちロボット、 100:ビス打ちシステム、 110:ビス打ち装置、 110a:射出口、 110b:ビス入口、 120:ビス供給装置、 120a:ビス出口、 130:ビス輸送管、 140:制御装置、 141:制御部、 141a:ビス打ち装置制御部、 141b:ビス供給装置制御部、 141c:アクチュエータ制御部、 142:通信部、 143:記憶部、 150:第1のアクチュエータ、 150a:シリンダ、 150b:ピストン、 160:第2のアクチュエータ、 160a:スライダ、 160b:接続部材、 170:第1のセンサ、 180:第2のセンサ、 190:第3のセンサ、 200:昇降装置、 300:台車、 1000:ボード、 1100:下地材、 1200:ビス、 1300:仮止めビス、 1400:腰壁