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特開2024-92370電線と回路基板との接続構造、及び測温ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092370
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】電線と回路基板との接続構造、及び測温ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/22 20060101AFI20240701BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G01K7/22 L
H01R4/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208253
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 暢之
【テーマコード(参考)】
2F056
5E085
【Fターム(参考)】
2F056QF07
5E085BB01
5E085BB08
5E085BB09
5E085DD01
5E085GG11
5E085GG36
5E085JJ50
(57)【要約】
【課題】低背化が可能な電線と回路基板との接続構造を提供する。
【解決手段】電線20と回路基板10との接続構造1は、芯線21と芯線21の外周を被覆する絶縁被覆22とを有する電線20と、芯線21が半田付けにより接続される電線ランドを備える回路基板10と、回路基板10の厚さ方向について回路基板10に重畳して配される硬質基板30と、を備え、硬質基板30は、厚さ方向に貫通し、厚さ方向に直交する方向に開口する収容部33を有し、収容部33は、芯線21が収容される芯線収容部35を有し、厚さ方向について電線ランドと重畳して配されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と前記芯線の外周を被覆する絶縁被覆とを有する電線と、
前記芯線が半田付けにより接続される電線ランドを備える回路基板と、
前記回路基板の厚さ方向について前記回路基板に重畳して配される硬質基板と、を備え、
前記硬質基板は、前記厚さ方向に貫通し、前記厚さ方向に直交する方向に開口する収容部を有し、
前記収容部は、前記芯線が収容される芯線収容部を有し、前記厚さ方向について前記電線ランドと重畳して配されている、電線と回路基板との接続構造。
【請求項2】
前記収容部は、前記収容部の内壁の少なくとも一部に形成されるめっき部を有する、請求項1に記載の電線と回路基板との接続構造。
【請求項3】
前記めっき部の前記厚さ方向の寸法は、前記硬質基板の前記厚さ方向の寸法に対してマイナス公差に形成されている、請求項2に記載の電線と回路基板との接続構造。
【請求項4】
前記収容部は、前記厚さ方向に直交する方向に開口する開口端と、前記芯線収容部に連続して前記開口端側に配され、前記絶縁被覆を収容する絶縁被覆収容部と、を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電線と回路基板との接続構造。
【請求項5】
前記絶縁被覆収容部は、前記開口端を含む端部領域に丸みを帯びたアール部を有し、前記開口端に近づくほど幅広に形成されている、請求項4に記載の電線と回路基板との接続構造。
【請求項6】
前記硬質基板は、前記厚さ方向について前記回路基板とは反対側に配される表面に、レジストを有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電線と回路基板との接続構造。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電線と回路基板との接続構造と、
前記回路基板に実装されるサーミスタと、を備える測温ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電線と回路基板との接続構造、及び測温ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2012-37384号公報(下記特許文献1)に記載の温度センサが知られている。この温度センサは、温度を測定するサーミスタと、サーミスタとブラケットを一体とするモールド樹脂部と、を備える。ブラケットには、サーミスタを仮保持するサーミスタ仮保持部とモールド樹脂部外に導き出される電線を仮保持する電線仮保持部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-37384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、モールド樹脂部は、サーミスタと、サーミスタと電線との接続部分と、サーミスタ及び電線を仮保持するブラケットと、を覆うようにして形成されているため、大型化されやすい。このため、温度センサの配索スペースが狭く、温度センサを低背化する必要がある場合には、上記の構成を採用することが難しい場合がありうる。
【0005】
上記の構成とは異なり、サーミスタが実装された回路基板に対して電線を電気的に接続することで、温度センサを構成することが考えられる。このような電線と回路基板との接続構造の低背化を可能とすることは、温度センサに限らず、様々な用途の構成において重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電線と回路基板との接続構造は、芯線と前記芯線の外周を被覆する絶縁被覆とを有する電線と、前記芯線が半田付けにより接続される電線ランドを備える回路基板と、前記回路基板の厚さ方向について前記回路基板に重畳して配される硬質基板と、を備え、前記硬質基板は、前記厚さ方向に貫通し、前記厚さ方向に直交する方向に開口する収容部を有し、前記収容部は、前記芯線が収容される芯線収容部を有し、前記厚さ方向について前記電線ランドと重畳して配されている、電線と回路基板との接続構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、低背化が可能な電線と回路基板との接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1にかかる測温ユニットの斜視図である。
図2図2は、測温ユニットの分解斜視図である。
図3図3は、電線を一部省略した測温ユニットの平面図である。
図4図4は、図3のA-A断面図である。
図5図5は、熱収縮チューブと保護部材とが設けられた測温ユニットの斜視図である。
図6図6は、電池モジュールの斜視図である。
図7図7は、電池モジュールの平面図である。
図8図8は、図7のB-B断面図である。
図9図9は、ブラケットの拡大斜視図である。
図10図10は、実施形態2にかかるヒューズユニットについて示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示の電線と回路基板との接続構造は、芯線と前記芯線の外周を被覆する絶縁被覆とを有する電線と、前記芯線が半田付けにより接続される電線ランドを備える回路基板と、前記回路基板の厚さ方向について前記回路基板に重畳して配される硬質基板と、を備え、前記硬質基板は、前記厚さ方向に貫通し、前記厚さ方向に直交する方向に開口する収容部を有し、前記収容部は、前記芯線が収容される芯線収容部を有し、前記厚さ方向について前記電線ランドと重畳して配されている。
【0011】
このような構成によると、電線と回路基板とを接続する半田を収容部の内部に充填することで、半田の形状や厚さ方向の寸法を制御しやすい。したがって、電線と回路基板との接続構造を低背化することができる。
【0012】
(2)(1)に記載の電線と回路基板との接続構造において、前記収容部は、前記収容部の内壁の少なくとも一部に形成されるめっき部を有することが好ましい。
【0013】
このような構成によると、半田を収容部の内部においてより一層充填しやすくなる。また、半田とめっき部とが接続されることにより、半田の接続強度を高めることができる。
【0014】
(3)(2)に記載の電線と回路基板との接続構造において、前記めっき部の前記厚さ方向の寸法は、前記硬質基板の前記厚さ方向の寸法に対してマイナス公差に形成されていることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、めっき部が収容部の外部に形成されることを抑制することができる。よって、半田が収容部の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0016】
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の電線と回路基板との接続構造において、前記収容部は、前記厚さ方向に直交する方向に開口する開口端と、前記芯線収容部に連続して前記開口端側に配され、前記絶縁被覆を収容する絶縁被覆収容部と、を有することが好ましい。
【0017】
このような構成によると、収容部に絶縁被覆を収容することができる。そのため、電線における絶縁被覆収容部に収容された部分の硬質基板に対する移動を規制できる。したがって、電線にかかる応力や振動によって、芯線と電線ランドとの接続部分に応力が生じることを抑制できる。また、電線にかかる応力や振動が芯線に集中することによって、半田で覆われていない部分において芯線が損傷することを抑制することができる。
【0018】
(5)(4)に記載の電線と回路基板との接続構造において、前記絶縁被覆収容部は、前記開口端を含む端部領域に丸みを帯びたアール部を有し、前記開口端に近づくほど幅広に形成されていることが好ましい。
【0019】
このような構成によると、絶縁被覆が収容部の開口端側の端部に接触して損傷することを抑制することができる。
【0020】
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の電線と回路基板との接続構造において、前記硬質基板は、前記厚さ方向について前記回路基板とは反対側に配される表面に、レジストを有することが好ましい。
【0021】
このような構成によると、硬質基板の表面に半田が付着することを抑制することができる。
【0022】
(7)本開示の測温ユニットは、(1)から(6)のいずれかに記載の電線と回路基板との接続構造と、前記回路基板に実装されるサーミスタと、を備える。
【0023】
このような構成によると、測温ユニットを低背化することができる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0025】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図9を参照しつつ説明する。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0026】
図1に示すように、本実施形態では、電線20と回路基板10との接続構造1(以下、接続構造1とする)が測温ユニット2に適用された例を説明する。測温ユニット2は、サーミスタP1が実装された回路基板10と、電線20と、硬質基板30と、を備える。
【0027】
[回路基板]
本実施形態の回路基板10は可撓性基板とされている。図2に示すように、回路基板10は、全体として前後方向に細長い形状をなす。回路基板10は、平面視略矩形状の本体部11と、本体部11の後端から後方に延びる2つの第1延出部12と、を備える。2つの第1延出部12は、左右方向に並んで配置されている。回路基板10は、可撓性を有する絶縁性のシートの表面にプリント配線技術により導電路13が形成されて構成されている。
【0028】
[電線ランド]
回路基板10には、前後方向に延びる2つの導電路13が設けられている。2つの導電路13は左右方向に並んで配置されている。導電路13の一方の端部(後端部)には電線ランド13Aが形成されている。導電路13の他方の端部(前端部)には素子ランド13Bが形成されている。2つの電線ランド13Aはそれぞれ第1延出部12の後端部寄りの位置に配されている。2つの電線ランド13Aには、それぞれ電線20が半田付けにより接続される。第1延出部12の電線ランド13Aよりも後側の位置には、第1延出部12の後端から前方に凹んで形成される凹部12Aが設けられている。
【0029】
本体部11の前端部寄りの位置において左右方向中央部には、サーミスタP1が配置されている。サーミスタP1は、2つの導電路13に設けられる2つの素子ランド13Bに接続されている。2つの素子ランド13BはそれぞれサーミスタP1の電極に半田付けにより接続されている。
【0030】
[電線]
本実施形態の測温ユニット2は、2つの電線20に接続されている。電線20は、図示しないコネクタを介し、サーミスタP1の抵抗値を測定する機器(図示せず)に接続されるようになっている。電線20は、芯線21と、芯線21の外周を覆う絶縁被覆22と、を備える。電線20の端部においては、絶縁被覆22が取り除かれ、芯線21が露出している。図4に示すように、芯線21は、回路基板10の電線ランド13Aに半田付けにより接続される。
【0031】
[硬質基板]
硬質基板30は、例えばガラス繊維布にエポキシ樹脂を含浸させて硬化させることにより形成される。図2に示すように、硬質基板30は、平面視において略門形状をなしている。硬質基板30は、平面視略矩形状の基部31と、基部31の後端から後方に延びる2つの第2延出部32と、を備える。2つの第2延出部32は、左右方向に並んで配置されている。図1に示すように、硬質基板30は、回路基板10の厚さ方向(上下方向)について回路基板10に重畳して配されている。例えば、硬質基板30は、硬質基板30の厚さ方向が回路基板10の厚さ方向に沿うように回路基板10に対して重ね合わせられている。硬質基板30の下面は、接着剤等により回路基板10の上面に貼り付けられている。各第2延出部32は、上下方向について各第1延出部12と重畳する位置に配されている。基部31は、上下方向について本体部11の後端部と重畳する位置に配されている。
【0032】
[収容部、開口端]
図2に示すように、各第2延出部32は、上下方向に貫通し、後方(厚さ方向に直交する方向の一例)に開口する収容部33を有する。収容部33は前後方向に延びている。収容部33は、例えば、後方に開口する開口端34と、芯線21が収容される芯線収容部35と、絶縁被覆22が収容される絶縁被覆収容部36と、を有する。
【0033】
[芯線収容部、絶縁被覆収容部]
図3に示すように、芯線収容部35は、収容部33における開口端34と反対側(前側)に配されている。例えば、芯線収容部35は、前後方向について収容部33の4分の3程度の長さを有している。絶縁被覆収容部36は、芯線収容部35に連続して開口端34側(後側)に配されている。例えば、絶縁被覆収容部36は、前後方向について収容部33の4分の1程度の長さを有している。
【0034】
芯線収容部35の幅(左右方向の寸法)は、芯線21の太さよりもやや大きく設定されている。絶縁被覆収容部36の幅は、絶縁被覆22(電線20)の太さよりもやや大きく設定されている。また、絶縁被覆収容部36の幅は、芯線収容部35の幅よりも大きい。芯線収容部35の後端と絶縁被覆収容部36の前端とは、後方に向かうほど収容部33の幅が広くなるように傾斜する傾斜部37によって、滑らかに接続されている。
【0035】
[アール部]
絶縁被覆収容部36は、開口端34を含む端部領域に丸みを帯びたアール部38を有している。アール部38は、絶縁被覆収容部36の左右の内壁と第2延出部32の後端面とを滑らかに接続している。アール部38が設けられることにより、絶縁被覆収容部36は開口端34に近づくほど幅広に形成されている。
【0036】
収容部33は、上下方向について電線ランド13Aと重畳して配されている。平面視において収容部33の内側には電線ランド13Aの少なくとも一部が配されている。本実施形態では、芯線収容部35全体及び傾斜部37の前側部分に電線ランド13Aが重畳して配されている。図4に示すように、本実施形態では、電線ランド13Aの幅は、芯線収容部35の幅よりも大きく設定されている。電線ランド13Aの幅方向の両端部は、芯線収容部35の両側方に配される硬質基板30の下面と対向して配されている。
【0037】
芯線収容部35に収容された芯線21は、電線ランド13Aの上に載置される。芯線21と電線ランド13Aとを接続する半田S1は、芯線収容部35内に充填されるようになっている。そして、回路基板10の厚さ方向において、半田S1が硬質基板30よりも突出することを抑制できる。よって、収容部33が設けられることで、半田S1の形状や高さ寸法を制御しやすくなる。このため、接続構造1を低背化しやすくなる。
【0038】
[めっき部]
本実施形態では、収容部33は、収容部33の内壁の少なくとも一部に形成されるめっき部39を有する。めっき部39は、例えば銅、スズ、ニッケル等により構成されている。めっき部39が設けられることで、収容部33の内壁への半田S1の濡れ性が向上するため、収容部33内に半田S1を充填しやすくなる。また、めっき部39は電線ランド13A及び芯線21とともに半田S1に接続されるから、半田S1が芯線21と電線ランド13Aとを接続する接続強度を高めることができる。したがって、めっき部39が設けられる領域は、少なくとも芯線収容部35の内壁の一部を含むことが好ましい。本実施形態では、収容部33の内壁の略全面にめっき部39が設けられている。
【0039】
本実施形態では、めっき部39の上下方向の寸法は、硬質基板30の上下方向の寸法に対してマイナス公差に形成されている。これにより、めっき部39の製造公差が大きくなった場合に、めっき部39が硬質基板30の上面に形成されることを抑制することができる。したがって、半田S1が硬質基板30の上面に付着することを抑制することができる。また、半田S1が硬質基板30の上面よりも盛り上がることを抑制することができる。なお、めっき部39の上下方向の寸法が、硬質基板30の上下方向の寸法に対してマイナス公差に形成されるとは、めっき部39の上下方向の寸法が、硬質基板30の上下方向の寸法以下の値であることを意味する。また、めっき部39の上端は、硬質基板30の上面より下方に位置していてもよい。
【0040】
[レジスト]
硬質基板30は、厚さ方向について回路基板10とは反対側に配される表面(上面)に、レジスト40を有する。レジスト40は絶縁性材料から構成されており、溶融状態の半田S1をはじく。このため、半田S1が硬質基板30の上面に付着することを抑制することができる。
【0041】
図5に示すように、測温ユニット2は、接続構造1を保護する熱収縮チューブ41と、サーミスタP1を保護する保護部材42と、を備えてもよい。熱収縮チューブ41は第1延出部12、第2延出部32、及び電線20の端部を外側から覆っている。保護部材42は平面視略矩形状の板状をなしている。保護部材42の中央部には、上下方向に保護部材42を貫通する収容孔43が設けられている。保護部材42は本体部11の前端部の上面に接着剤等で貼着されている。収容孔43の内部にはサーミスタP1が配されている。保護部材42は、例えばスポンジ等の弾性材料から構成されている。
【0042】
[測温ユニットの製造工程について]
本実施形態の測温ユニット2の構成は以上であって、以下、測温ユニット2の製造工程の一例について説明する。
【0043】
回路基板10をプリント配線技術により形成し、回路基板10にサーミスタP1を実装する。硬質基板30にめっき部39やレジスト40を形成する。
【0044】
次に、回路基板10の上面と硬質基板30の下面とを接着剤等により貼着する。第1延出部12と第2延出部32とが上下方向に重畳するように配置される。
【0045】
電線20の端部に所定の長さの芯線21が露出される。芯線21が露出した電線20が硬質基板30の収容部33へと挿入される。芯線収容部35内に芯線21が配され、絶縁被覆収容部36内に絶縁被覆22が配される。また、絶縁被覆22の先端部の下側部分は回路基板10に設けられた凹部12Aの内部に収納される。
【0046】
収容部33内に半田S1が充填される。詳細には、半田S1は芯線収容部35の左右の内壁と電線ランド13Aの上面とにより構成される溝状の空間に充填される。収容部33の内壁にはめっき部39が設けられているから、収容部33内に半田S1が広がりやすい。また、めっき部39は収容部33の内壁の上下方向の寸法に対してマイナス公差で形成されており、さらに硬質基板30の上面にはレジスト40が設けられているから、半田S1が収容部33内から硬質基板30の上面へと移動しにくくなっている。よって、半田S1を収容部33内にとどめることができ、半田S1の形状や高さ寸法を安定化させることができる。
【0047】
[測温ユニットの使用態様について]
本実施形態の測温ユニット2は、測温対象物に取り付けられて、測温対象物の温度を測定するために用いられる。以下、図6から図9を参照しつつ、測温ユニット2を用いて蓄電素子4の温度を測定する電池モジュール3の構成について例示する。この電池モジュール3は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載することができる。
【0048】
図6に示すように、電池モジュール3は、測温ユニット2と、複数の蓄電素子4が積層された蓄電素子群4Sと、蓄電素子群4Sの上面に取り付けられるブラケット50と、を備える。蓄電素子4は扁平な直方体状をなしている。蓄電素子4の内部には図示しない蓄電要素が収容されている。蓄電素子4は、その上面に正極及び負極の電極端子4A,4Bを有する。
【0049】
ブラケット50は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。図6及び図7に示すように、ブラケット50は板状をなし、電極挿通孔51と測温ユニット配設部52とを有する。電極挿通孔51には蓄電素子4の電極端子4A,4Bが挿通されるようになっている。測温ユニット配設部52には測温ユニット2が配設されるようになっている。図9に示すように、測温ユニット配設部52は、前後方向に延びる溝状をなす配索凹部53と、測温用開口54と、押圧壁55と、を有する。配索凹部53は、底壁53Aと、底壁53Aの両側縁から上方に延びる一対の側壁53Bと、を備える。一対の側壁53Bは、ブラケット50の上面に対して上方に延びている。測温用開口54は、測温ユニット配設部52の前端部に配されて、底壁53Aを上下方向に貫通している。一対の側壁53Bは測温用開口54を構成する壁部とされている。測温用開口54の前側部分では、一対の側壁53Bの上端部が押圧壁55により接続されている。押圧壁55は、測温用開口54の前側部分を上方から覆っている。
【0050】
図8に示すように、配索凹部53には、測温ユニット2の後半部分、詳細には本体部11の後端部、第1延出部12、硬質基板30、電線20、及び熱収縮チューブ41が配されている。測温ユニット2の前端部、詳細には本体部11の前端部、サーミスタP1、及び保護部材42は、蓄電素子4の上面と押圧壁55との間に配されている。弾性材料から構成される保護部材42は、押圧壁55によって下方に押圧されている。すなわち、蓄電素子4の上面と押圧壁55の下面との間隔は、保護部材42の自然状態の厚さと比較してやや小さく設定されている。これにより、サーミスタP1が実装された本体部11の前端部が、測温対象物である蓄電素子4の上面に押し付けられる。
【0051】
本体部11の前端部は蓄電素子4の上面に載置され、本体部11の後端部は配索凹部53の底壁53A上に載置されている。このため、本体部11の前端部は本体部11の後端部よりも下方に位置する。しかし、本実施形態では回路基板10は可撓性を有するから、本体部11の中間部分が撓んだ形状をとることにより、本体部11の前端部及び後端部の上下方向の位置ずれを吸収することができる。
【0052】
測温ユニット2は車両内に配されるため、振動や電線20を引っ張るような応力等が加えられることが想定される。本実施形態では、収容部33の内壁にめっき部39が設けられているから、半田S1の接続強度が向上している。よって、車両内での振動に対しても、電線20と回路基板10との電気的な接続を担保しやすくなっている。
【0053】
本実施形態では、収容部33は絶縁被覆収容部36を有するため、電線20に対する応力が芯線21に集中しにくい。よって、芯線21における半田S1及び絶縁被覆22に覆われていない部分が折れることを抑制することができる。また、本実施形態では、絶縁被覆収容部36はアール部38を有しており、収容部33の開口端34側の端部に鋭利な角部が形成されない。このため、振動環境下において、絶縁被覆22が収容部33の開口端34側の端部に接触して損傷することを抑制できる。
【0054】
[実施形態1の作用効果]
実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態1にかかる電線20と回路基板10との接続構造1は、芯線21と芯線21の外周を被覆する絶縁被覆22とを有する電線20と、芯線21が半田付けにより接続される電線ランド13Aを備える回路基板10と、回路基板10の厚さ方向(上下方向)について回路基板10に重畳して配される硬質基板30と、を備え、硬質基板30は、厚さ方向に貫通し、厚さ方向に直交する方向に開口する収容部33を有し、収容部33は、芯線21が収容される芯線収容部35を有し、厚さ方向について電線ランド13Aと重畳して配されている。
【0055】
このような構成によると、電線20と回路基板10とを接続する半田S1を収容部33の内部に充填することで、半田S1の形状や厚さ方向の寸法を制御しやすい。このため、半田S1によって電線20と回路基板10との接続構造1が回路基板10の厚さ方向に大型化されることを抑制できる。したがって、電線20と回路基板10との接続構造1を低背化することができる。
【0056】
実施形態1では、収容部33は、収容部33の内壁の少なくとも一部に形成されるめっき部39を有する。
【0057】
このような構成によると、半田S1を収容部33の内部においてより一層充填しやすくなる。また、半田S1とめっき部39とが接続されることにより、半田S1の接続強度を高めることができる。
【0058】
実施形態1では、めっき部39の厚さ方向の寸法は、硬質基板30の厚さ方向の寸法に対してマイナス公差に形成されている。
【0059】
このような構成によると、めっき部39が収容部33の外部に形成されることを抑制することができる。よって、半田S1が収容部33の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0060】
実施形態1では、収容部33は、厚さ方向に直交する方向(後方)に開口する開口端34と、芯線収容部35に連続して開口端34側に配され、絶縁被覆22を収容する絶縁被覆収容部36と、を有する。
【0061】
このような構成によると、収容部33に絶縁被覆22を収容することができる。そのため、電線20における絶縁被覆収容部36に収容された部分の硬質基板30に対する移動を規制できる。したがって、電線20にかかる応力や振動によって、芯線21と電線ランド13Aとの接続部分に応力が生じることを抑制できる。また、電線20にかかる応力や振動が芯線21に集中することによって、半田S1で覆われていない部分において芯線21が損傷することを抑制することができる。
【0062】
実施形態1では、絶縁被覆収容部36は、開口端34を含む端部領域に丸みを帯びたアール部38を有し、開口端34に近づくほど幅広に形成されている。
【0063】
このような構成によると、絶縁被覆22が収容部33の開口端34側の端部に接触して損傷することを抑制することができる。
【0064】
実施形態1では、硬質基板30は、厚さ方向について回路基板10とは反対側に配される表面(上面)に、レジスト40を有する。
【0065】
このような構成によると、硬質基板30の表面に半田S1が付着することを抑制することができる。
【0066】
実施形態1にかかる測温ユニット2は、電線20と回路基板10との接続構造1と、回路基板10に実装されるサーミスタP1と、を備える。
【0067】
このような構成によると、測温ユニット2を低背化することができる。
【0068】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、図10を参照しつつ説明する。本実施形態では、電線20と回路基板110との接続構造101(以下、接続構造101とする)がヒューズユニット105に適用された例を説明する。本実施形態では実施形態1と異なり、ヒューズユニット105には1つの接続構造101が設けられている。すなわち、ヒューズユニット105においては1つの電線20と1つの回路基板110とが接続されている。以下の説明において、実施形態1と同様に構成される部材については、実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0069】
ヒューズユニット105は、チップヒューズP2が実装された回路基板110と、硬質基板130と、電線20と、を備える。回路基板110は可撓性基板とされている。回路基板110は、平面視略矩形状をなす本体部111と、本体部111の後端部から後方に延びる1つの第1延出部112と、本体部111の前側に設けられる伸縮部114と、を備える。伸縮部114は切り込みを有してクランク状に形成されている。伸縮部114は本体部111に対して所定の長さだけ上下方向、左右方向、及び前後方向に変位可能とされている。
【0070】
回路基板110には2つの導電路113が設けられている。2つの導電路113のうち、回路基板110の後側部分に配される導電路113は、その後端部に配される電線ランド(図示せず)と、その前端部に配される素子ランド13Bと、を備える。なお、図10において電線ランドは硬質基板130及び電線20に隠れているものの、その構成は実施形態1の電線ランド13Aと同様である。2つの導電路113のうち、回路基板110の前側部分に配される導電路113は、その後端部に配される素子ランド13Bと、その前端部に配されるバスバー側ランド113Cと、を備える。
【0071】
バスバー側ランド113Cは伸縮部114に配されている。バスバー側ランド113Cは、金属小片106の後端部に半田付けにより接続される。金属小片106の前端部はバスバー107に溶接等により接続されている。すなわち、バスバー側ランド113Cは金属小片106を介してバスバー107に電気的に接続されている。バスバー107は図示しない蓄電素子の電極端子に接続されている。蓄電素子は積層されて蓄電素子群を構成しており、実施形態1と同様に車両に配されるものである。
【0072】
本体部111の中央部には、チップヒューズP2が配されている。チップヒューズP2は、2つの導電路113に設けられる2つの素子ランド13Bに接続されている。2つの素子ランド13BはそれぞれチップヒューズP2の電極に半田付けにより接続されている。
【0073】
硬質基板130は、基部131と、基部131から後方に延びる1つの第2延出部132と、を備える。第2延出部132の数が異なる点を除いて、硬質基板130は実施形態1の硬質基板30と同様に構成されている。電線20は、収容部33内に配され、収容部33内に充填される半田(図示せず)により電線ランドに接続されている。
【0074】
本実施形態のヒューズユニット105は、いわゆる電圧検知線の一部とされている。電線20は図示しないコネクタを介してECU(Electronic Control Unit)等に接続されるようになっている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0075】
本実施形態の構成は以上である。本実施形態の作用効果については、実施形態1と同様であるから、説明を省略する。
【0076】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態1では、収容部33のうち芯線収容部35及び傾斜部37の一部が電線ランド13Aと重畳して配されていたが、これに限られることはなく、収容部の少なくとも一部が電線ランドに重畳して配されていればよい。
(2)上記実施形態1,2では、回路基板10,110は可撓性基板であったが、これに限られることはなく、回路基板は硬質基板であってもよい。
(3)上記実施形態1では、回路基板10はサーミスタP1を備え、上記実施形態2では、回路基板110はチップヒューズP2を備えていたが、これに限られることはなく、回路基板はこれらとは異なる電子部品を備えてもよい。また、回路基板は電子部品を備えなくてもよい。
(4)上記実施形態1では、1つの回路基板10に対して2つの電線20が接続され、上記実施形態2では、1つの回路基板110に対して1つの電線20が接続されていたが、これに限られることはなく、1つの回路基板に接続される電線の数は任意に選択することができる。
(5)上記実施形態1では、測温ユニット2が例示され、上記実施形態2では、ヒューズユニット105が例示されていたが、本開示の電線と回路基板との接続構造はこれらとは別の構成に適用してもよい。
(6)収容部33は、絶縁被覆収容部36を有していなくてもよい。例えば、収容部33は、絶縁被覆収容部36を備えず、開口端34と、芯線21が収容される芯線収容部35とを有する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,101: 電線と回路基板との接続構造
2: 測温ユニット
3: 電池モジュール
4: 蓄電素子
4A,4B: 電極端子
4S: 蓄電素子群
10,110: 回路基板
11,111: 本体部
12,112: 第1延出部
12A: 凹部
13,113: 導電路
13A: 電線ランド
13B: 素子ランド
20: 電線
21: 芯線
22: 絶縁被覆
30,130: 硬質基板
31,131: 基部
32,132: 第2延出部
33: 収容部
34: 開口端
35: 芯線収容部
36: 絶縁被覆収容部
37: 傾斜部
38: アール部
39: めっき部
40: レジスト
41: 熱収縮チューブ
42: 保護部材
43: 収容孔
50: ブラケット
51: 電極挿通孔
52: 測温ユニット配設部
53: 配索凹部
53A: 底壁
53B: 側壁
54: 測温用開口
55: 押圧壁
105: ヒューズユニット
106: 金属小片
107: バスバー
113C: バスバー側ランド
114: 伸縮部
P1: サーミスタ
P2: チップヒューズ
S1: 半田
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10