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特開2024-92385情報処理装置及び光ファイバセンシングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092385
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】情報処理装置及び光ファイバセンシングシステム
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/24 20060101AFI20240701BHJP
   G01H 9/00 20060101ALI20240701BHJP
   G08B 25/01 20060101ALI20240701BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G01V8/24
G01H9/00 E
G08B25/01 C
G08B21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208282
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長久保 晴奈
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽平
(72)【発明者】
【氏名】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】世古 和希
【テーマコード(参考)】
2G064
2G105
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB13
2G064BA02
2G064BC12
2G064BD02
2G064DD02
2G105AA01
2G105BB01
2G105CC02
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH01
2G105HH04
5C086CA25
5C086CB35
5C086FA01
5C086FA06
5C086FA11
5C086FA18
5C087AA11
5C087AA21
5C087AA23
5C087AA32
5C087AA37
5C087AA51
5C087DD03
5C087DD15
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】複数の光ファイバを連携して得られた信号から事象を判断する情報処理装置を提供する。
【解決手段】複数の光ファイバを備える光ファイバセンサ201を用いて移動体の振動パターンを検出する検出部102と、前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出す報知部103と、を備える情報処理装置101を提供する。例えば、光ファイバセンサは、駅のホームに設置され、移動体は、人であり、報知部は、駅のホーム上での千鳥足に対応する第1の振動パターンと第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出する検出部と、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出す報知部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記光ファイバセンサは、駅のホームに設置され、
前記移動体は、人であり、
前記報知部は、前記駅のホーム上での千鳥足に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンとを検出した場合に警報を出す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記光ファイバセンサは、少なくとも駅のホームと線路とに設置され、
前記移動体は、人または物であり、
前記報知部は、前記駅のホームから前記線路への落下に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンとを検出した場合に警報を出す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記光ファイバセンサは、線路に設置され、
前記移動体は、人または鳥獣であり、
前記報知部は、前記線路への侵入に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記光ファイバセンサは、登山道に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記報知部は、前記登山道をはずれたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記光ファイバセンサは、異なる高度において山に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記報知部は、前記山からの滑落に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記光ファイバセンサは、山に設置され、
前記移動体は、鳥獣であり、
前記報知部は、前記山から麓に降りてきたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、携帯端末が音を発するように警報を出す、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は、警報を出すときに、前記人が所有する携帯端末に特定の音パターンを生じさせ、前記光ファイバセンサで前記特定の音パターンを検出させて、前記人の位置を特定する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
移動体の振動パターンを検出する複数の光ファイバを備える光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサに接続された情報処理装置と、を備え、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて前記情報処理装置が警報を出す、光ファイバセンシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報処理装置、光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバをセンサ媒体として音響信号を検知する手法が開発されている。時間領域反射測定(OTDR(Optical Time Domain Reflectometry))を用いて光ファイバに伝わる振動を測定するものである。光ファイバにプローブ光としてパルス光を入射すると、パルス光の伝搬に伴って後方散乱光が発生していく。OTDRは、光ファイバの長手方向の各位置において発生した後方散乱光を測定する。振動の測定は、OTDRによって得られた後方散乱光の位相または強度の変化を観測することにより得られる。このような光ファイバセンサは、分布型音響センサ(DAS(Distributed Acoustic Sensor))などと呼ばれる。
【0003】
特許文献1には、軌道鉄道車両の軌道上の障害物を検知する障害物検知センサ装置が開示されている。軌道鉄道の軌道上の通行人または通過交通車両、及び鉄道駅のプラットホームから落下した乗降人または落下物の存在を検出し、警報を出力するものである。軌道上の所定の場所の接地面に起動を挟んで敷設され、上方より加えられた押圧力に応じて光の透過量を可変させるシート状の光ファイバを用いる。
【0004】
特許文献2には、複数の方向を向くように配置され、監視エリアに発生した音を検知する光ファイバと、光ファイバから音が重畳された光信号を受信する受信部とを備える光ファイバセンシングシステムが開示されている。光ファイバセンシングシステムは、光信号に基づいて、光ファイバで検知された音の分布を分析し、分析した音の分布に基づいて、音が発生した発生位置を特定する特定部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-284370号公報
【特許文献2】国際公開第2020/255358号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれの文献も1本あるいは個々の光ファイバから得られた信号から事象を判断するものである。そこで本開示の目的は、複数の光ファイバを用いて、それぞれの光ファイバが検出した信号に基づいて処理を行う情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の情報処理装置は、
複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出する検出部と、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出す報知部と、を備える情報処理装置である。
【0008】
本開示の光ファイバセンシングシステムは、
移動体の振動パターンを検出する複数の光ファイバを備える光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサに接続された情報処理装置と、を備え、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて前記情報処理装置が警報を出す、光ファイバセンシングシステムである。
【0009】
本開示の光ファイバセンシング方法は、
複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出し、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出す、光ファイバセンシング方法である。
【0010】
本開示のプログラムは、
複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出し、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出すことを情報処理装置に実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、複数の光ファイバを用いて、それぞれの光ファイバが検出した信号に基づいて処理を行う情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムの構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態にかかる光ファイバセンシング方法のフローチャートである。
図4】実施の形態にかかる駅のホーム及び線路に設置された光ファイバセンシングシステムの概略図である。
図5】実施の形態にかかる山の登山道に設置された光ファイバセンシングシステムの概略図である。
図6】実施の形態にかかる登山者とSOSパターンの音を示す図である。
図7】実施の形態にかかる山の異なる高度に設置された光ファイバセンシングシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施の形態に限定するものではない。また、実施の形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
(実施の形態にかかる情報処理装置の説明)
図1は、実施の形態にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。図1を参照しながら、実施の形態にかかる情報処理装置を説明する。
【0015】
図1に示されるように、実施の形態にかかる情報処理装置101は、検出部102と、報知部103と、を備える。
【0016】
情報処理装置101は、処理を実現するためにプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit(中央演算処理装置))と、プログラムを記録するメモリとを備える。情報処理装置101は、大容量記憶装置であるストレージ、光磁気記録媒体の情報を読み取る装置、表示装置、キーボード、音声入出力装置などと接続されるI/O(Input/Output)を備えていてもよい。
【0017】
検出部102は、複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出する機能を有する部分である。実施の形態にかかる光ファイバは1本の光ファイバではなく、複数の光ファイバの連携による信号を検出する。検出部102は、複数の光ファイバをまとめて検出し、複数の光ファイバの連携による信号を検出してもよい。また、検出部102は、光ファイバごとに設けられ、各検出部の検出結果に基づいて複数の光ファイバの連携による信号を検出してもよい。また、移動体は、人、動物、荷物など、移動したときに振動を出す物体である。移動体は、それ自体が移動してもよいし、人や動物によって運ばれるものでもよい。振動パターンは、光ファイバにより検出できる振動である。例えば、人の足音、動物の足音、携帯情報端末からの音が含まれる。
【0018】
報知部103は、前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出す機能を有する部分である。また、報知部103は、複数の光ファイバに渡る振動パターンが複数の特定の振動パターンのいずれかに一致したとき、特定の振動パターンに応じて警報を出す機能を有する部分である。振動パターンは、周波数や振幅、さらには、これらを適宜組み合わせて定義され得る。このような振動パターンは、入力装置などを介して、ユーザが適宜設定してもよい。
【0019】
報知部は、拡声器、サイレン、表示装置、パトライト(登録商標)、携帯端末の音声出力などを用いることができる。特定の振動パターンは、複数あり、それに応じて警報を出す。例えば、報知部103は、人が千鳥足でホームに落下する危険がある、人が線路に侵入した、荷物が線路に落下したなど、特定の振動パターンに応じて、音パターンを変える、光の発し方を変える、メッセージにより通知するなどして、警報を発する。
【0020】
ユーザが振動パターンを個別に定義し、定義した振動パターンに対して事象に関する情報を紐づけるようにしてもよい。また、検知装置などを用いて振動パターンを取得し、取得した振動パターンに対して事象に関する情報を紐づけるようにしてもよい。さらに、振動パターンに対して紐づける事象は、複数であってもよい。この他にも、一つの事象に対して二つ以上の振動パターンを紐づけるようにしてもよい。
【0021】
事象とは、例えば、「千鳥足」、「駅のホームから線路への落下」、「人が線路に侵入」、「鳥獣が線路に侵入」、「人が遭難」、「人が登山道から滑落」、「鳥獣が下山」などである。また、前述したような具体的な内容に限らず、単に「異変」、「違和感」、「異常」などであってもよい。事象に関する情報は、入力装置などを介して、ユーザが適宜設定してもよい。
【0022】
複数の光ファイバの連携による第1の判定方法は、第1の光ファイバが振動パターンを検出した場合、かつ、所定時間内に第2の光ファイバが振動パターンを検出したとき、警報を出してもよい。また、複数の光ファイバの連携による第2の判定方法は、第1の光ファイバが振動パターンを検出した場合、かつ、所定の範囲内にある第2の光ファイバが振動パターンを検出したとき、警報を出してもよい。また、第1の判定方法は、第2の判定方法と組み合わせてもよい。
【0023】
上記第1及び第2の判定方法において、第2の光ファイバで検出した信号は、第1の光ファイバで検出した振動パターンと同じ振動パターンであっても、なくてもよい。例えば、第1の光ファイバは、千鳥足の振動パターンであり、第2の光ファイバも、千鳥足の振動パターンであってもよい。また、第1の光ファイバは、千鳥足の振動パターンであり、第2の光ファイバは、落下の振動パターンであってもよい。これを判定するために、第1の振動パターンに対する第2の振動パターンの相関関係を事象ごとに予め定めておいてもよい。
【0024】
第1の光ファイバで特定のパターン検出していた場合、予備的な第1報を行い、第2の光ファイバで特定のパターンを検出したとき、第2報を行ってもよい。また、検知する光ファイバの数が増えるにつれて、報知内容を変更するようにしてもよい。例えば、音量を大きくしていく、光の色を緑色から黄色、赤色へとより刺激的なものに変化させる、通知画面のサイズを大きくしていく、通知を画面の中央に寄せていくなどより目立つようにしてもよい。
【0025】
通知は、関連する振動パターンを検出した場合、最新の検出位置を含めてもよい。また、通知は、最新の検出時刻を含めてもよい。さらに情報処理装置101は、通知を用いて地図上に、検出した位置をプロットし、移動の経路を確認できるようにしてもよい。振動パターンが周期的なものの場合、周期を多く検出した光ファイバの位置が優先的に通知されてもよい。
【0026】
情報処理装置101は、1つの装置から構成されていてもよいし、複数の装置から構成されていてもよい。また、情報処理装置101は、一部または全部の機能をクラウドに実行させてもよい。
【0027】
上記構成により、複数の光ファイバを用いて、それぞれの光ファイバが検出した信号に基づいて処理を行う情報処理装置を提供できる。
【0028】
(実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムの説明)
図2は、光ファイバセンシングシステムの構成を示すブロック図である。図2を参照しながら、実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムを説明する。
【0029】
図2に示されるように光ファイバセンシングシステム200は、光ファイバセンサ201と、情報処理装置101とを備える。
【0030】
光ファイバセンシングシステム200は、光ファイバの長手方向の各位置において発生したプローブ光の後方散乱光の位相や強度を測定してもよい。また、光ファイバセンシングシステム200は、プローブ光自体の強度を測定してもよい。光ファイバセンシングシステム200は、振動を検出するあらゆる方式を用いることができる。
【0031】
光ファイバセンサ201は、複数の光ファイバを備える光ファイバセンサである。光ファイバセンサ201は、複数の光ファイバに渡る振動を検出する。光ファイバセンサ201は、物体の位置を複数の光ファイバに渡る振動から検出する。また、光ファイバセンサ201は、移動体の動きを複数の光ファイバで検出する。光ファイバセンサ201は、例えば千鳥足などを複数の光ファイバで検出する。光ファイバセンサ201は、音の発生強度と検出した複数の光ファイバの位置から音の発生位置を検出してもよい。
【0032】
情報処理装置101の検出部102は、光ファイバセンサ201と接続される。光ファイバセンサ201からの信号を検出部102が検出する。図1に示されて説明されたように、情報処理装置101の報知部103が、検出部102が検出した信号に基づいて、警報を出す。
【0033】
上記構成により、複数の光ファイバを用いて、それぞれの光ファイバが検出した信号に基づいて処理を行う光ファイバセンシングシステムを提供できる。
【0034】
(実施の形態にかかる光ファイバセンシング方法の説明)
図3は、光ファイバセンシング方法のフローチャートである。図3を参照しながら、実施の形態にかかる光ファイバセンシング方法を説明する。
【0035】
図3に示されるように、まず移動体の振動パターンを検出する(ステップS301)。情報処理装置101が、複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出する。次に、振動パターンに応じて警報を出す(ステップS302)。情報処理装置101が、複数の光ファイバに渡る振動パターンが複数の特定の振動パターンのいずれかに一致したとき、特定の振動パターンに応じて警報を出す。
【0036】
上記構成により複数の光ファイバを用いて、それぞれの光ファイバが検出した信号に基づいて処理を行う光ファイバセンシング方法を提供できる。
【0037】
(実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムを駅のホーム及び線路に設置した例の説明)
図4は、実施の形態にかかる駅のホーム及び線路に設置された光ファイバセンシングシステムの概略図である。図4を参照しながら、実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムを駅のホーム及び線路に設置した例を説明する。
【0038】
図4に示されるように、まず1つ目の例は、駅のホーム401に、複数の光ファイバを備える光ファイバセンサ201が設置されている。移動体である人406が、経路409に示すように、千鳥足で駅のホーム上を歩いているとする。光ファイバセンサ201は、位置411で移動体である人406の振動を検出する。光ファイバセンサ201は、ホームの長さ方向に平行に延在し、複数設置されているため、位置411は、いろいろな場所で検出される。すると、情報処理装置101(図示せず)は、人406の異常な行動を検出し、報知部404が音で警報を出す。また、同時に電車403に設置された報知部405が、例えば光などで警報を出す。
【0039】
図4に示されるように2つ目の例は、駅のホーム401に長さ方向に平行に設置された光ファイバを備える光ファイバセンサ201と、線路402の長さ方向に平行に設置された光ファイバを備える光ファイバセンサ201を用いる例である。駅のホーム401に設置された光ファイバセンサ201が、移動体である人407を検出する。次に人407が線路402に設置された光ファイバセンサ201で検出される。すると、人407がホーム401から線路402へ落下したことが検出される。情報処理装置101は、移動体である人407の異常な行動を検出し、報知部404が音で警報を出す。また、同時に電車403に設置された報知部405が、例えば光などで警報を出す。ここでは、人の落下を例にしたが、ホーム401に設置された光ファイバセンサ201が、重量が軽くなったことを検出し、線路402に設置された光ファイバセンサ201が何か落ちたことを検出した時は、物体が落下したと判断してもよい。
【0040】
図4に示されるように3つ目の例は、線路402の長さ方向に平行に設置された複数の光ファイバを備える光ファイバセンサ201に渡って、特定の振動パターンを検出した例である。この場合、情報処理装置101は、人407または鳥獣408が線路402に侵入したことを検出する。この場合、報知部404及び報知部405が警報を出す。
【0041】
この実施の形態の例によれば、電車で発生する事故を未然に防ぐことができる。
【0042】
(実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムを山の登山道に設置した例の説明)
図5は、実施の形態にかかる山の登山道に設置された光ファイバセンシングシステムの概略図である。図6は、実施の形態にかかる登山者とSOSパターンの音を示す図である。図5及び6を参照しながら、実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムを山の登山道に設置した例を説明する。
【0043】
図5に示されるように、山501の登山道502に複数の光ファイバを備える光ファイバセンサ201が設置された例を説明する。複数の光ファイバは登山道502と平行に設置される。また、登山道502と平行であるが、登山道502から離れた位置にも設置される。移動体である登山者503は、登山道502を歩いているが、登山者504は、登山道502から外れてしまっている。すると、登山道502から離れた位置の光ファイバセンサ201が登山者504の経路と交わる位置505で特定の振動パターンを検出する。また、隣の光ファイバセンサ201も移動体の特定の振動パターンを検出する。すると、情報処理装置101(図示せず)は、登山者504が登山道502からはずれ、遭難したことを検出する。
【0044】
登山者504が遭難したことを検出した時、情報処理装置101は、山の管理者に警報を出すことができる。また、情報処理装置101は、登山者504が持っている携帯端末506に音507などの警報を出すことができる。情報処理装置101は、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)などの携帯電話回線で、携帯端末506と接続される。また、携帯端末506は、専用のアプリ(アプリケーションソフトウェア)がインストールされることで情報処理装置101と通信できる。このようにすることで、登山者504は、遭難に早期に気づくことができる。
【0045】
図6に示されるように、移動体である登山者504が、遭難したことに気づき、携帯端末506のアプリによってSOSパターン601を音声で発生するようにしてもよい。特定の振動パターンであるSOSパターン601は、複数の光ファイバセンサ201で検出され、登山者504の位置が特定される。
【0046】
上記構成により、登山者が遭難することを防ぐことができる。また、遭難しても登山者を早期に発見することができる。
【0047】
(実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムを山の異なる高度に設置した例の説明)
図7は、実施の形態にかかる山の異なる高度に設置された光ファイバセンシングシステムの概略図である。図7を参照しながら実施の形態にかかる光ファイバセンシングシステムを山の異なる高度に設置した例を説明する。
【0048】
図7に示されるように、山701の登山道702と平行に異なる高度で光ファイバが複数設置された光ファイバセンサ201を備える。1つ目の例は、図7の左図に示されるように登山道702と平行に光ファイバが例えば10mごとの異なる高度で設置される。登山道702から移動体である滑落した人704の特定の振動パターンは、位置703及びそれより下の位置の光ファイバで検出される。
【0049】
この場合、情報処理装置101(図示せず)は、特定の振動パターンから移動体である人704が滑落したことと位置を検出し、山の管理者に警報を出す。また、滑落した人704は、持っている携帯端末でSOSパターンを音声で発生してもよい。発生されたSOSパターンを光ファイバセンサ201で検出することにより、滑落した位置を特定できる。
【0050】
2つ目の例は、図7の下図に示されるように異なる高度で光ファイバが複数設置された光ファイバセンサ201を備える。移動体である鳥獣706が位置705で特定の振動パターンを発し、山から麓に降りてきていることが検出される。すると、情報処理装置101は、報知部707に警報を出す。このようにすることで登山道702にいる登山者がクマなどに遭う被害を防ぐことができる。
【0051】
特定の振動パターンである遭難、滑落事故、鳥獣の下山に分けて警報を発することができる。上記構成により、滑落事故が発生しても早期に対応ができる。また、登山者がクマなどに遭う被害を未然に防ぐことができる。
【0052】
また、上述した情報処理装置101における処理の一部又は全部は、コンピュータプログラムとして実現可能である。このようなプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0053】
本開示により、撮影による監視と異なり、プライバシに配慮した監視システムを提供できる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、報知部が警報を出していたが、情報処理装置が電車の運転者、ホーム上の人、または移動体の所有する携帯端末に音を出させて警告してもよい。このようにすることで、携帯端末を所持する人に個別に警報を出すことができる。また、山で遭難した人がSOSパターンの音を所持する携帯端末に出させていたが、情報処理装置が、遭難した人が所持するSOSパターンの音を発生させてもよい。このようにすることで、遭難した人が携帯端末の使い方を知らずとも、位置を知らせることができる。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出する検出部と、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出す報知部と、を備える情報処理装置。
(付記2)
前記光ファイバセンサは、駅のホームに設置され、
前記移動体は、人であり、
前記報知部は、前記駅のホーム上での千鳥足に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記光ファイバセンサは、少なくとも駅のホームと線路とに設置され、
前記移動体は、人または物であり、
前記報知部は、前記駅のホームから前記線路への落下であることに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記1に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記光ファイバセンサは、線路に設置され、
前記移動体は、人または鳥獣であり、
前記報知部は、前記線路への侵入に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記1に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記光ファイバセンサは、登山道に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記報知部は、前記登山道をはずれたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記1に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記光ファイバセンサは、異なる高度において山に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記報知部は、前記山からの滑落に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記1に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記光ファイバセンサは、山に設置され、
前記移動体は、鳥獣であり、
前記報知部は、前記山から麓に降りてきたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記1に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記情報処理装置は、携帯端末が音を発するように警報を出す、付記1乃至7のいずれか1に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記情報処理装置は、警報を出すときに、前記人が所有する携帯端末に特定の音パターンを生じさせ、前記光ファイバセンサで前記特定の音パターンを検出させて、前記人の位置を特定する、付記5に記載の情報処理装置。
(付記10)
移動体の振動パターンを検出する複数の光ファイバを備える光ファイバセンサと、
前記光ファイバセンサに接続された情報処理装置と、を備え、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて前記情報処理装置が警報を出す、光ファイバセンシングシステム。
(付記11)
前記光ファイバセンサは、駅のホームに設置され、
前記移動体は、人であり、
前記情報処理装置は、前記駅のホーム上での千鳥足に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記10に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記12)
前記光ファイバセンサは、少なくとも駅のホームと線路とに設置され、
前記移動体は、人または物であり、
前記情報処理装置は、前記駅のホームから前記線路への落下であることに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記10に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記13)
前記光ファイバセンサは、線路に設置され、
前記移動体は、人または鳥獣であり、
前記情報処理装置は、前記線路への侵入に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記10に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記14)
前記光ファイバセンサは、登山道に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記情報処理装置は、前記登山道をはずれたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記10に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記15)
前記光ファイバセンサは、異なる高度において山に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記情報処理装置は、前記山からの滑落に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記10に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記16)
前記光ファイバセンサは、山に設置され、
前記移動体は、鳥獣であり、
前記情報処理装置は、前記山から麓に降りてきたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記10に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記17)
前記情報処理装置は、携帯端末が音を発するように警報を出す、付記10乃至16のいずれか1に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記18)
前記情報処理装置は、警報を出すときに、前記人が所有する携帯端末に特定の音パターンを生じさせ、前記光ファイバセンサで前記特定の音パターンを検出させて、前記人の位置を特定する、付記14に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記19)
複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出し、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出す、光ファイバセンシング方法。
(付記20)
前記光ファイバセンサは、駅のホームに設置され、
前記移動体は、人であり、
前記駅のホーム上での千鳥足に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記19に記載の光ファイバセンシング方法。
(付記21)
前記光ファイバセンサは、少なくとも駅のホームと線路とに設置され、
前記移動体は、人または物であり、
前記駅のホームから前記線路への落下であることに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記19に記載の光ファイバセンシング方法。
(付記22)
前記光ファイバセンサは、線路に設置され、
前記移動体は、人または鳥獣であり、
前記線路への侵入に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記19に記載の光ファイバセンシング方法。
(付記23)
前記光ファイバセンサは、登山道に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記登山道をはずれたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記19に記載の光ファイバセンシング方法。
(付記24)
前記光ファイバセンサは、異なる高度において山に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記山からの滑落に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記19に記載の光ファイバセンシング方法。
(付記25)
前記光ファイバセンサは、山に設置され、
前記移動体は、鳥獣であり、
前記山から麓に降りてきたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記19に記載の光ファイバセンシング方法。
(付記26)
携帯端末が音を発するように前記警報を出す、付記19乃至25のいずれか1に記載の光ファイバセンシング方法。
(付記27)
前記警報を出すときに、前記人が所有する携帯端末に特定の音パターンを生じさせ、前記光ファイバセンサで前記特定の音パターンを検出させて、前記人の位置を特定する、付記23に記載の光ファイバセンシング方法。
(付記28)
複数の光ファイバを備える光ファイバセンサを用いて移動体の振動パターンを検出し、
前記複数の光ファイバのうち、第1の光ファイバで検出した第1の振動パターンと、第2の光ファイバで検出した第2の振動パターンとに基づいて警報を出すことを情報処理装置に実行させるプログラム。
(付記29)
前記光ファイバセンサは、駅のホームに設置され、
前記移動体は、人であり、
前記情報処理装置は、前記駅のホーム上での千鳥足に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記28に記載のプログラム。
(付記30)
前記光ファイバセンサは、少なくとも駅のホームと線路とに設置され、
前記移動体は、人または物であり、
前記情報処理装置は、前記駅のホームから前記線路への落下であることに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記28に記載のプログラム。
(付記31)
前記光ファイバセンサは、線路に設置され、
前記移動体は、人または鳥獣であり、
前記情報処理装置は、前記線路への侵入に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記28に記載のプログラム。
(付記32)
前記光ファイバセンサは、登山道に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記情報処理装置は、前記登山道をはずれたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記28に記載のプログラム。
(付記33)
前記光ファイバセンサは、異なる高度において山に設置され、
前記移動体は、人であり、
前記情報処理装置は、前記山からの滑落に対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記28に記載のプログラム。
(付記34)
前記光ファイバセンサは、山に設置され、
前記移動体は、鳥獣であり、
前記情報処理装置は、前記山から麓に降りてきたことに対応する前記第1の振動パターンと前記第2の振動パターンを検出した場合に警報を出す、付記28に記載のプログラム。
(付記35)
前記情報処理装置は、携帯端末が音を発するように警報を出す、付記28乃至34のいずれか1に記載のプログラム。
(付記36)
前記情報処理装置は、警報を出すときに、前記人が所有する携帯端末に特定の音パターンを生じさせ、前記光ファイバセンサで前記特定の音パターンを検出させて、前記人の位置を特定する、付記32に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0056】
101 情報処理装置、102 検出部、103 報知部、200 光ファイバセンシングシステム、201 光ファイバセンサ、401 ホーム、402 線路、403 電車、404 報知部、405 報知部、406 人、407 人、408 鳥獣、501 山、502 登山道、503 登山者、504 登山者、505 位置、506 携帯端末、507 音、601 SOSパターン、701 山、702 登山道、703 位置、704 人、705 位置、706 鳥獣、707 報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7