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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092388
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ルーフレール
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/04 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B60R9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208286
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】落合 巧
(72)【発明者】
【氏名】北郷 博也
(72)【発明者】
【氏名】清田 直彦
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020AA01
3D020AB01
3D020AC01
3D020AD13
3D020AD27
(57)【要約】
【課題】複数のパーツに分割して形成されたルーフレールにおいて、パーツ同士の位置関係が変化することを抑止する。
【解決手段】前部パーツ2と、後部パーツ3と、前部パーツ2と後部パーツ3とを締結するプッシュリベット4とを備え、前部パーツ2が、外壁面2a1が露出面であると共に中空に形成された外壁部2aと、外壁部2aの後部パーツ3との対向面よりも後部パーツ3側に突出して設けられると共に、前後方向から見て外壁部2aの内側に収容可能な大きさに形成される挿入部2bとを備え、後部パーツ3が、外壁面3a1が露出面であると共に中空に形成されて挿入部2bを挿入可能な外壁部3aと、挿入部2bに対してプッシュリベット4を用いて締結される締結壁3bとを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿って延伸するように車両に設けられるルーフレールであって、
前記ルーフレールの前部及び後部のうち一方を形成する第1パーツと、
前記ルーフレールの前部及び後部のうち他方を形成する第2パーツと、
前記第1パーツと前記第2パーツとを締結する締結具と
を備え、
前記第1パーツは、
外壁面が露出面であると共に中空に形成された第1外壁部と、
前記第1外壁部の前記第2パーツとの対向面よりも前記第2パーツ側に突出して設けられると共に、前後方向から見て前記第1外壁部の内側に収容可能な大きさに形成される挿入部と
を備え、
前記第2パーツは、
外壁面が露出面であると共に中空に形成されて前記挿入部を挿入可能な第2外壁部と、
前記挿入部に対して前記締結具を用いて締結される締結壁と
を備える
ことを特徴とするルーフレール。
【請求項2】
前記締結壁は、前記第1パーツの前記挿入部の先端面が前後方向から当接されると共に前記第2外壁部の内壁面に固定された壁部であることを特徴とする請求項1記載のルーフレール。
【請求項3】
前記第1パーツは、前記挿入部から突出して設けられる係止片を備え、
前記第2パーツは、前記第2外壁部の内壁面から突出して設けられると共に前記係止片が係止される突起部を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載のルーフレール。
【請求項4】
前記突起部は、前記挿入部を前記第2外壁部の内部に挿入するときの挿入方向にて、前記第2外壁部の奥部に向かうに連れて前記第2外壁部の内壁面から離間する傾斜面を有することを特徴とする請求項3記載のルーフレール。
【請求項5】
前記突起部と前記締結壁との離間寸法は、前記突起部と前記締結壁との離間方向における前記係止片の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項3記載のルーフレール。
【請求項6】
前記締結具は、樹脂からなるプッシュリベットであることを特徴とする請求項1または2記載のルーフレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すように、車両の屋根には、荷物を積載するためのルーフレールが取り付けられる場合がある。このようなルーフレールは、一般的に車幅方向に離間して2つ設置されており、2本で一対として荷物を下方から支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-143276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大型のルーフレールを形成する場合には、ルーフレールを複数のパーツに分割して形成し、各々のパーツを繋ぎ合わせることで一体化することが考えられる。例えば、ルーフレールを前部と後部とに分割して形成する場合には、ルーフレールの長手方向の途中部位に、前部と後部との境界部が設けられることになる。荷物を積載する場合等に、ルーフレールに対して長手方向と直交する方向に力が加わると、境界部に対して剪断力が作用し、前部と後部との位置関係が変化する可能性がある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、複数のパーツに分割して形成されたルーフレールにおいて、パーツ同士の位置関係が変化することを抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、前後方向に沿って延伸するように車両に設けられるルーフレールであって、上記ルーフレールの前部及び後部のうち一方を形成する第1パーツと、上記ルーフレールの前部及び後部のうち他方を形成する第2パーツと、上記第1パーツと上記第2パーツとを締結する締結具とを備え、上記第1パーツが、外壁面が露出面であると共に中空に形成された第1外壁部と、上記第1外壁部の上記第2パーツとの対向面よりも上記第2パーツ側に突出して設けられると共に、前後方向から見て上記外壁部の内側に収容可能な大きさに形成される挿入部とを備え、上記第2パーツが、外壁面が露出面であると共に中空に形成されて上記挿入部を挿入可能な第2外壁部と、上記挿入部に対して上記締結具を用いて締結される締結壁とを備えるという構成を採用する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記締結壁が、上記第1パーツの上記挿入部の先端面が前後方向から当接されると共に上記第2外壁部の内壁面に固定された壁部であるという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記第1パーツが、上記挿入部から突出して設けられる係止片を備え、上記第2パーツが、上記第2外壁部の内壁面から突出して設けられると共に上記係止片が係止される突起部を備えるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、上記突起部が、上記挿入部を上記第2外壁部の内部に挿入するときの挿入方向にて、上記第2外壁部の奥部に向かうに連れて上記第2外壁部の内壁面から離間する傾斜面を有するという構成を採用する。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第3または第4の態様において、上記突起部と上記締結壁との離間寸法が、上記突起部と上記締結壁との離間方向における上記係止片の寸法よりも大きいという構成を採用する。
【0012】
本発明の第6の態様は、上記第1~第5のいずれかの態様において、上記締結具が、樹脂からなるプッシュリベットであるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のルーフレールは、前後方向に第1パーツと第2パーツとに分割して形成されている。第1パーツは、第2パーツの内部に挿入される挿入部を有する。したがって、ルーフレールに対して剪断方向に力が作用したときに、第2パーツが第1パーツの挿入部に支えられる。よって、本発明は、第1パーツと第2パーツとの位置関係が変化することを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態におけるルーフレールを有する車両の屋根の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態における左側ルーフレールの斜視図である。
図3図2におけるA-A断面図であり、本発明の一実施形態における左側ルーフレールが備える前部パーツの断面図である。
図4図2におけるB-B断面図であり、本発明の一実施形態における左側ルーフレールが備える後部パーツの断面図である。
図5図2におけるC-C断面図であり、前部パーツと後部パーツとの境界部の断面図である。
図6図5の断面図における前部パーツのみを示した図である。
図7図5の断面図における後部パーツのみを示した図である。
図8図2のD-D断面を後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るルーフレールの一実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のルーフレール1を有する車両100の屋根101の斜視図である。この図に示すように、本実施形態のルーフレール1は、車両100の前後方向に長い長尺状の部品である。本実施形態のルーフレール1は、車両100に対して2つ設けられている。これらの本実施形態のルーフレール1は、車幅方向に配列されており、互いに平行となるように配置されている。
【0017】
車両100の左側に位置するルーフレール1は、左側ルーフレール1Aと称する。車両100の右側に位置するルーフレール1は、右側ルーフレール1Bと称する。これらの左側ルーフレール1Aと右側ルーフレール1Bとは、左右対称の形状に形成されている。このため、以下の説明においては、左側ルーフレール1Aの構造について、図面を参照して詳細に説明し、右側ルーフレール1Bの構造の詳細な説明は省略する。
【0018】
図2は、本実施形態の左側ルーフレール1Aの模式的な斜視図である。図2に示すように、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、車両100の前側に位置する前部パーツ2(第1パーツ)と、車両100の後側に位置する後部パーツ3(第2パーツ)とを有する。つまり、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、前部パーツ2と後部パーツ3とに分割形成されている。本実施形態の左側ルーフレール1Aは、これらの前部パーツ2と後部パーツ3とが前後方向に直線状に接続されて形成されている。これらの前部パーツ2及び後部パーツ3は、樹脂によって形成されており、例えば射出成形により形成されている。
【0019】
図3は、図2におけるA-A断面図であり、前部パーツ2の断面図である。図3に示すように、前部パーツ2は、外壁部2a(第1外壁部)を有する。図3に示すように、外壁部2aは、断面形状が略半球状に形成された中空部材である。外壁部2aは、下方に向けて開放するように形成されている。このような外壁部2aの外壁面2a1は、車両100の外部から視認可能な露出面である。なお、外壁部2aの内壁面2a2は、車両100の外部から視認ができない面である。
【0020】
なお、前部パーツ2は、長手方向に沿って不図示の車両固定部が複数有している。各々の車両固定部は、外壁部2aに接続されており、不図示のボルト等によって車両100の屋根101に締結されている。各々の車両固定部が屋根101に締結されることで、前部パーツ2は車両100に対して固定される。
【0021】
図4は、図2におけるB-B断面図であり、後部パーツ3の断面図である。図4に示すように、後部パーツ3は、外壁部3a(第2外壁部)を有する。図4に示すように、外壁部3aは、断面形状が略半球状に形成された中空部材である。外壁部3aは、下方に向けて開放するように形成されている。このような外壁部3aの外壁面3a1は、車両100の外部から視認可能な露出面である。なお、外壁部3aの内壁面3a2は、車両100の外部から視認ができない面である。
【0022】
なお、前部パーツ2は、長手方向に沿って不図示の車両固定部が複数有している。各々の車両固定部は、外壁部2aに接続されており、不図示のボルト等によって車両100の屋根101に締結されている。各々の車両固定部が屋根101に締結されることで、前部パーツ2は車両100に対して固定される。
【0023】
図3図4とを比較して分かるように、前部パーツ2の外壁部2aと後部パーツ3の外壁部3aとは、各々の断面が同じような形状に形成されている。このような前部パーツ2と後部パーツ3とが前後方向に配列されることで、1本の長尺状の左側ルーフレール1Aが形成される。
【0024】
図5は、図2におけるC-C断面図であり、前部パーツ2と後部パーツ3との境界部の断面図である。図5に示すように、前部パーツ2の外壁部2aの後側端面2a3と、後部パーツ3の外壁部3aの前側端面3a3とは、対向配置される。つまり、前部パーツ2の外壁部2aの後側端面2a3は、後部パーツ3の外壁部3aの前側端面3a3に対して前方から対向されている。また、後部パーツ3の外壁部3aの前側端面3a3は、前部パーツ2の外壁部2aの後側端面2a3に対して後方から対向されている。
【0025】
図5に示すように、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、プッシュリベット4(締結具)を備える。プッシュリベット4は、前部パーツ2と後部パーツ3とを締結する部品である。プッシュリベット4は、締結対象の各々に設けられた孔部に軸部4aを差し込んだ状態で頭部4bを軸部に向けて押圧することで、軸部4aが径方向外側に膨出し、膨出した軸部4aと頭部4bとで締結対象を挟持することで、締結対象同士を締結する。本実施形態において、締結対象は、前部パーツ2と後部パーツ3である。このようなプッシュリベット4は、本実施形態においては、前部パーツ2の後述する挿入部2bと後部パーツ3の後述する締結壁3bとを締結する。
【0026】
図6は、図5の断面図における前部パーツ2のみを示した図である。この図に示すように、前部パーツ2は、挿入部2bを備える。挿入部2bは、外壁部2aの後側端面2a3(すなわち後部パーツ3との対向面)よりも後部パーツ3側(すなわち後方)に突出して設けられている。
【0027】
挿入部2bは、基部2cと、先端部2dとを有する。基部2cは、外壁部2aと接続される部位であり、前端部が外壁部2aの内壁面2a2に接続されている。基部2cは、前後方向から見て挿入部2bの最も大きな部位である。このような基部2cは、前後方向から見て外壁部2aよりも小さい形状に形成されている。つまり、挿入部2bは、外壁部2aと同様の形状に形成された後部パーツ3の外壁部3aの内側に収容可能な大きさに形成されている。
【0028】
基部2cの外壁面2c1は、後部パーツ3の外壁部3aの内壁面3a2との当接面である。基部2cの外壁面2c1が後部パーツ3の外壁部3aの内壁面3a2と当接することで、後部パーツ3は、左側ルーフレール1Aの剪断方向(前後方向と直交する方向)に移動することが規制される。
【0029】
先端部2dは、基部2cの後端と接続されており、基部2cから後方に向けて突出するように設けられている。先端部2dは、基部2cよりも小さく形成されており、外壁面が後部パーツ3の外壁部3aの内壁面3a2と当接しない。先端部2dの後端面2d1は、挿入部2bの先端面を形成する。この後端面2d1は、後部パーツ3の後述する締結壁3bに前方から当接される。また、後端面2d1は、前後方向から見て中央部に孔部2d2が設けられている。この孔部2d2は、プッシュリベット4の軸部4aが挿入される部位である。
【0030】
また、図5及び図6に示すように、前部パーツ2は、係止片2eを備える。係止片2eは、挿入部2bから突出して設けられた部位である。係止片2eは、挿入部2bの後端から後方かつ後部パーツ3の外壁部3aへ向かうように突出されている。係止片2eの先端部2e1は、後部パーツ3の外壁部3aの内壁面3a2と当接する。また、先端部2e1は、後部パーツ3に設けられた後述の突起部3cに対して後方から当接する。図5及び図6に示すように、このような係止片2eの先端部2e1と基部2cとの間には、後部パーツ3の外壁部3aから離間する方向に窪む凹部2fが形成されている。後部パーツ3に設けられた突起部3cは、この凹部2fに収容される。
【0031】
図7は、図5の断面図における後部パーツ3のみを示した図である。また、図8は、図2のD-D断面を後方から見た斜視図である。なお、図8においては、前部パーツ2は省略して図示している。この図に示すように、後部パーツ3は、締結壁3bと、複数の突起部3cとを備える。
【0032】
例えば図8に示すように、締結壁3bは、外壁部3aの内壁面3a2に接続されている。締結壁3bは、外壁部3aの前側端面3a3よりも後方に位置する。この締結壁3bは、外壁部3aの内側に挿入された前部パーツ2の挿入部2bの先端面(後端面2d1)が前方から当接される壁部である。また、締結壁3bの前後方向から見た中央部には、プッシュリベット4の軸部4aを挿入する孔部3b1が設けられている。孔部3b1は、前部パーツ2の挿入部2bの先端面(後端面2d1)に設けられた孔部2d2と、前後方向から見て重なる位置に形成されている。
【0033】
各々の突起部3cは、外壁部3aの内壁面3a2に設けられている。各々の突起部3cは、例えば図7に示すように、締結壁3bの上方に位置し、内壁面3a2から締結壁3bに向けて突出するように形成されている。各々の突起部3cは、前側から後方に向かうに連れて内壁面3a2から離間する傾斜面3c1を有している。挿入部2bを後部パーツ3の外壁部3aの内部に挿入する場合には、挿入部2bは、前方から後方に向かうように挿入される。つまり、各々の突起部3cは、挿入部2bを外壁部3aの内部に挿入するときの挿入方向にて、外壁部3aの奥部に向かうに連れて外壁部3aの内壁面3a2から離間する傾斜面3c1を有している。このような傾斜面3c1は、挿入部2bを後部パーツ3に挿入するときに、係止片2eが外壁部3aに引っ掛からないように案内する。
【0034】
また、各々の突起部3cは、係止片2eが後方から当接される。このように係止片2eが各々の突起部3cに後方から当接することで、前部パーツ2が後部パーツ3に対して前方に移動すること、後部パーツ3が前部パーツ2に対して後方に移動することが規制される。
【0035】
各々の突起部3cと締結壁3bとの離間寸法D1(図7参照)は、突起部3cと締結壁3bとの離間方向における係止片2eの寸法D2(図6参照)よりも大きい。このため、係止片2eが突起部3cと締結壁3bとの間を通過するときに、係止片2e、突起部3c及び締結壁3bが変形することを防止できる。
【0036】
プッシュリベット4は、図5に示すように、軸部4aが、締結壁3bの孔部3b1と挿入部2bの孔部2d2とに挿通された状態で、締結壁3bと挿入部2bとを締結する。締結壁3bと挿入部2bとが締結されることで、前部パーツ2と後部パーツ3とが固定される。このようなプッシュリベット4は、前部パーツ2と後部パーツ3とが剪断方向に相対移動することを規制する。また、プッシュリベット4は、前部パーツ2と後部パーツ3とが前後方向に相対移動することを規制する。
【0037】
このようなプッシュリベット4は、樹脂で形成されており、工具を用いることなく、作業者の手で取り付けることができる。例えば、プッシュリベット4に換えて、ビスやボルト等の工具を用いて取り付ける締結具を用いることもできる。ただし、工具が上述の車両固定部等の部位と干渉する場合が考えられる。このため、作業者の手で取り付けが可能なプッシュリベット4を用いることが好ましい。
【0038】
このような本実施形態の左側ルーフレール1Aを組み立てる場合には、前部パーツ2の挿入部2bを後部パーツ3の外壁部3aの内側に挿入する。さらに前部パーツ2の係止片2eを、締結壁3bと突起部3cとの間を通過させる。その後、係止片2eの先端部2e1を外壁部3aの内壁面3a2に当接させると共に、係止片2eの先端部2e1を後方から突起部3cに当接させる。これによって、前部パーツ2と後部パーツ3とが位置決めされる。その後、後部パーツ3の外壁部3aの下方から作業者が外壁部3aの内部に手を差し込み、プッシュリベット4の軸部4aを、締結壁3bの孔部3b1と挿入部2bの孔部2d2とに挿通する。さらに、作業者がプッシュリベット4を押圧して軸部4aを拡径させることで、前部パーツ2と後部パーツ3とが締結される。
【0039】
以上のような本実施形態の左側ルーフレール1Aは、前後方向に沿って延伸するように車両100に設けられる。本実施形態の左側ルーフレール1Aは、前部パーツ2と、後部パーツ3と、プッシュリベット4を備える。前部パーツ2は、左側ルーフレール1Aの前部及び後部のうち前部を形成する。後部パーツ3は、左側ルーフレール1Aの前部及び後部のうち後部を形成する。プッシュリベット4は、前部パーツ2と後部パーツ3とを締結する。また、前部パーツ2は、外壁部2aと、挿入部2bとを備える。外壁部2aは、外壁面2a1が露出面であると共に中空に形成されている。挿入部2bは、外壁部2aの後部パーツ3との対向面(後側端面2a3)よりも後部パーツ3側に突出して設けられている。また、挿入部2bは、前後方向から見て外壁部2aの内側に収容可能な大きさに形成されている。後部パーツ3は、外壁部3aと、締結壁3bとを備える。外壁部3aは、外壁面3a1が露出面であると共に中空に形成されて挿入部2bを挿入可能である。締結壁3bは、挿入部2bに対してプッシュリベット4を用いて締結される。
【0040】
このような本実施形態の左側ルーフレール1Aは、前後方向に前部パーツ2と後部パーツ3とに分割して形成されている。前部パーツ2は、後部パーツ3の内部に挿入される挿入部2bを有する。したがって、本実施形態の左側ルーフレール1Aに対して剪断方向に力が作用したときに、後部パーツ3が前部パーツ2の挿入部2bに支えられる。よって、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、前部パーツ2と後部パーツ3との位置関係が変化することを抑止できる。
【0041】
また、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、前部パーツ2の外壁部2aと後部パーツ3の外壁部3aとの間、すなわち図5に示す後側端面2a3と前側端面3a3との間に、隙間が生じた場合であっても、挿入部2bによって外壁部2a及び外壁部3aの内側が外部から視認されることを防止できる。このため、左側ルーフレール1Aの外観印象を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態の左側ルーフレール1Aにおいて、締結壁3bは、前部パーツ2の挿入部2bの先端面(後端面2d1)が前方向から当接されると共に外壁部3aの内壁面3a2に固定された壁部である。
【0043】
このような本実施形態の左側ルーフレール1Aは、挿入部2bの先端面を締結壁3bに当接させることで、前部パーツ2と後部パーツ3との相互の前後方向の位置決めを行うことができる。したがって、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、前部パーツ2と後部パーツ3との相互の前後方向の位置決めを行うストッパを別に設ける必要がなく、簡素な形状となる。
【0044】
また、本実施形態の左側ルーフレール1Aにおいて、前部パーツ2は、係止片2eを備える。係止片2eは、挿入部2bから突出して設けられる。また、後部パーツ3は、突起部3cを備える。突起部3cは、外壁部3aの内壁面3a2から突出して設けられると共に係止片2eが係止される。
【0045】
このような本実施形態の左側ルーフレール1Aは、突起部3cに係止片2eが係止されることで、前部パーツ2と後部パーツ3とが前後方向に相対移動することを抑止できる。したがって、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、例えば、前部パーツ2が後部パーツ3から抜けることを防止できる。
【0046】
また、本実施形態の左側ルーフレール1Aにおいて、突起部3cは傾斜面3c1を有する。傾斜面3c1は、挿入部2bを外壁部3aの内部に挿入するときの挿入方向にて、外壁部3aの奥部に向かうに連れて外壁部3aの内壁面から離間する。
【0047】
このような本実施形態の左側ルーフレール1Aは、挿入部2bを後部パーツ3に挿入する場合に、係止片2eが突起部3cに引っ掛かることを防止できる。したがって、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、前部パーツ2を後部パーツ3に対して、円滑に挿入することができる。
【0048】
また、本実施形態の左側ルーフレール1Aにおいて、突起部3cと締結壁3bとの離間寸法D1は、突起部3cと締結壁3bとの離間方向における係止片2eの寸法D2よりも大きい。
【0049】
このような本実施形態の左側ルーフレール1Aは、係止片2eが突起部3cと締結壁3bとの間を通過するときに、係止片2e、突起部3c及び締結壁3bが変形することを防止できる。
【0050】
また、本実施形態の左側ルーフレール1Aにおいて、締結具は、プッシュリベット4である。このため、本実施形態の左側ルーフレール1Aは、工具を用いずに前部パーツ2と後部パーツ3とを締結することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、左側ルーフレール1Aについて詳細に説明した。ただし、右側ルーフレール1Bは、上述のように、左側ルーフレール1Aは左右対称に形成されている。このため、右側ルーフレール1Bも、左側ルーフレール1Aと同様の作用効果を奏する。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態において、前部パーツ2が挿入部を備える第1パーツであり、後部パーツ3が挿入部を挿入される第2パーツである構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、後部パーツ3が挿入部を備える第1パーツとし、前部パーツ2が挿入部を挿入される第2パーツとすることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1……ルーフレール、1A……左側ルーフレール、1B……右側ルーフレール、2……前部パーツ(第1パーツ)、2a……外壁部、2a1……外壁面、2a2……内壁面、2a3……後側端面(対向面)、2b……挿入部、2c……基部。2c1……外壁面、2d……先端部、2d1……後端面(先端面)、2d2……孔部、2e……係止片、2e1……先端部、2f……凹部、3……後部パーツ(第2パーツ)、3a……外壁部、3a1……外壁面、3a2……内壁面、3a3……前側端面、3b……締結壁、3b1……孔部、3c……突起部、3c1……傾斜面、4……プッシュリベット(締結具)、4a……軸部、4b……頭部、100……車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8