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特開2024-92399測定治具及び測定方法及び測量システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092399
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】測定治具及び測定方法及び測量システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
G01C15/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208300
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】和田 健介
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀之
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アンカーボルトの位置を測定する為の測定治具及び測定方法及び測量システムを提供する。
【解決手段】コンクリートブロックに設けられたアンカーボルトの位置を測定する為の測定治具4であって、該測定治具は、2本の脚部6,6と、該脚部の軸心と直交し、該脚部の既知の位置に掛渡って設けられた第1板部7と、該第1板部の所要の位置に形成され、前記アンカーボルトが挿通される位置決め孔14と、前記脚部の軸心と直交し、該脚部の上端部に掛渡り、前記第1板部と平行に設けられた第2板部8と、該第2板部の所定の位置に設けられた測定対象とを有し、該測定対象の中心は、前記位置決め孔の中心を通る前記第1板部の垂線上に位置する様構成された。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートブロックに設けられたアンカーボルトの位置を測定する為の測定治具であって、該測定治具は、2本の脚部と、該脚部の軸心と直交し、該脚部の既知の位置に掛渡って設けられた第1板部と、該第1板部の所要の位置に形成され、前記アンカーボルトが挿通される位置決め孔と、前記脚部の軸心と直交し、該脚部の上端部に掛渡り、前記第1板部と平行に設けられた第2板部と、該第2板部の所定の位置に設けられた測定対象とを有し、該測定対象の中心は、前記位置決め孔の中心を通る前記第1板部の垂線上に位置する様構成された測定治具。
【請求項2】
前記位置決め孔の径は、許容可能な測定誤差分前記アンカーボルトの径よりも大きくなる様に構成された請求項1に記載の測定治具。
【請求項3】
前記第1板部上に設けられ、前記位置決め孔に挿入された前記アンカーボルトをセンタリングする位置決めホルダを更に有する請求項1に記載の測定治具。
【請求項4】
前記位置決めホルダは、中心部に前記アンカーボルトを挿通する為の挿通孔を有し、前記アンカーボルトを前記位置決め孔の中心に向って少なくとも三方から押圧する挾持片を有する請求項3に記載の測定治具。
【請求項5】
前記位置決めホルダは、前記第1板部に固着され、前記位置決め孔と同心の前記挿通孔を有するベース部を有し、前記挾持片は前記挿通孔の周囲に設けられたバネ片である請求項4に記載の測定治具。
【請求項6】
前記位置決めホルダは、一体成形され、弾性を有する合成樹脂製であり、前記アンカーボルトが挿入される円筒形状の挿入部を有し、該挿入部には円周等分位置に複数設けられたスリットにより前記挾持片が形成された請求項4に記載の測定治具。
【請求項7】
前記位置決めホルダは、前記位置決め孔の中心を通る前記第1板部の垂線と直交する回転軸を有する位置決めローラと、該位置決めローラを中心方向に向って付勢する板バネとを有し、前記位置決めローラと前記板バネとは円周等分位置に複数設けられた請求項4に記載の測定治具。
【請求項8】
前記位置決めホルダは、前記位置決め孔に向って付勢される一対の挾持片を有し、各挾持片の前記位置決め孔側の端部にそれぞれ三角形状の凹部が形成され、該凹部で前記アンカーボルトを挾持する様構成された請求項3に記載の測定治具。
【請求項9】
前記位置決めホルダは、2本の棒状部材と、該棒状部材を連結する保持部を有し、前記位置決め孔に対して近接離反する方向に摺動する第1位置決め具と、該第1位置決め具と同形状且つ180°回転して配置され、前記第1位置決め具と逆向きに摺動する第2位置決め具とを有し、前記第1位置決め具の保持部と前記第2位置決め具の保持部とで前記アンカーボルトを挾持する様構成された請求項3に記載の測定治具。
【請求項10】
請求項1~請求項9のうちのいずれか1項に記載の測定治具を用いた測定方法であって、アンカーボルトを前記位置決め孔に挿入し、前記第1板部の下面を前記コンクリートブロックの上面に接触させ、前記位置決め孔を中心に前記測定治具を回転させて前記脚部を前記コンクリートブロックの側面に接触させた状態で、前記測定対象を測定し、前記アンカーボルトの位置を求める測定方法。
【請求項11】
請求項1~請求項9のうちのいずれか1項に記載の測定治具と、前記測定対象の3次元座標を測定可能な測量装置を具備する測量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャスト基礎に設けられたアンカーボルトの位置を測定する測定治具及び測定方法及び測量システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の基礎工事は、建築現場毎に型枠を組上げ、型枠内にコンクリートを流し込むことで行っている。又、従来の基礎工事では、張った水糸等に基づき作業者が流し込んだコンクリートの表面を均し、基礎の水平出しを行っている。この為、コンクリートの打設に時間を要すると共に、水平出しの作業にも労力を要していた。
【0003】
又、建築物を建築する際に、プレキャストにより制作されるコンクリートブロックを基礎ブロックとして予め工場で作製し、基礎ブロックを現場で設置することで時間と労力の低減を図るプレキャスト工法も行われる。
【0004】
プレキャスト工法では、基礎ブロックの上面に設けられたアンカーボルトを介して土台、或は種々の建具を取付け、建築が行われる。この時、アンカーボルトの位置、即ち基礎の位置が設計図面に対してずれている場合、アンカーボルトに取付けられる土台や建具の位置もずれる為、建築物の建築が困難となる虞れがある。従って、基礎ブロックを設置する段階で、アンカーボルトの位置を測定し、基礎ブロックの位置が設計図面通りかを確認することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-73574号公報
【特許文献2】特開平5-311886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アンカーボルトの位置を測定する為の測定治具及び測定方法及び測量システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンクリートブロックに設けられたアンカーボルトの位置を測定する為の測定治具であって、該測定治具は、2本の脚部と、該脚部の軸心と直交し、該脚部の既知の位置に掛渡って設けられた第1板部と、該第1板部の所要の位置に形成され、前記アンカーボルトが挿通される位置決め孔と、前記脚部の軸心と直交し、該脚部の上端部に掛渡り、前記第1板部と平行に設けられた第2板部と、該第2板部の所定の位置に設けられた測定対象とを有し、該測定対象の中心は、前記位置決め孔の中心を通る前記第1板部の垂線上に位置する様構成された測定治具に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記位置決め孔の径は、許容可能な測定誤差分前記アンカーボルトの径よりも大きくなる様に構成された測定治具に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記第1板部上に設けられ、前記位置決め孔に挿入された前記アンカーボルトをセンタリングする位置決めホルダを更に有する測定治具に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記位置決めホルダは、中心部に前記アンカーボルトを挿通する為の挿通孔を有し、前記アンカーボルトを前記位置決め孔の中心に向って少なくとも三方から押圧する挾持片を有する測定治具に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記位置決めホルダは、前記第1板部に固着され、前記位置決め孔と同心の前記挿通孔を有するベース部を有し、前記挾持片は前記挿通孔の周囲に設けられたバネ片である測定治具に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記位置決めホルダは、一体成形され、弾性を有する合成樹脂製であり、前記アンカーボルトが挿入される円筒形状の挿入部を有し、該挿入部には円周等分位置に複数設けられたスリットにより前記挾持片が形成された測定治具に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記位置決めホルダは、前記位置決め孔の中心を通る前記第1板部の垂線と直交する回転軸を有する位置決めローラと、該位置決めローラを中心方向に向って付勢する板バネとを有し、前記位置決めローラと前記板バネとは円周等分位置に複数設けられた測定治具に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記位置決めホルダは、前記位置決め孔に向って付勢される一対の挾持片を有し、各挾持片の前記位置決め孔側の端部にそれぞれ三角形状の凹部が形成され、該凹部で前記アンカーボルトを挾持する様構成された測定治具に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記位置決めホルダは、2本の棒状部材と、該棒状部材を連結する保持部を有し、前記位置決め孔に対して近接離反する方向に摺動する第1位置決め具と、該第1位置決め具と同形状且つ180°回転して配置され、前記第1位置決め具と逆向きに摺動する第2位置決め具とを有し、前記第1位置決め具の保持部と前記第2位置決め具の保持部とで前記アンカーボルトを挾持する様構成された測定治具に係るものである。
【0016】
又本発明は、上記に記載の測定治具を用いた測定方法であって、アンカーボルトを前記位置決め孔に挿入し、前記第1板部の下面を前記コンクリートブロックの上面に接触させ、前記位置決め孔を中心に前記測定治具を回転させて前記脚部を前記コンクリートブロックの側面に接触させた状態で、前記測定対象を測定し、前記アンカーボルトの位置を求める測定方法に係るものである。
【0017】
更に又本発明は、上記に記載の測定治具と、前記測定対象の3次元座標を測定可能な測量装置を具備する測量システムに係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンクリートブロックに設けられたアンカーボルトの位置を測定する為の測定治具であって、該測定治具は、2本の脚部と、該脚部の軸心と直交し、該脚部の既知の位置に掛渡って設けられた第1板部と、該第1板部の所要の位置に形成され、前記アンカーボルトが挿通される位置決め孔と、前記脚部の軸心と直交し、該脚部の上端部に掛渡り、前記第1板部と平行に設けられた第2板部と、該第2板部の所定の位置に設けられた測定対象とを有し、該測定対象の中心は、前記位置決め孔の中心を通る前記第1板部の垂線上に位置する様構成されたので、前記測定対象を測定するだけで前記アンカーボルトの位置を求めることができ、作業時間の短縮及び作業性の向上を図ることができる。
【0019】
又本発明によれば、上記に記載の測定治具を用いた測定方法であって、アンカーボルトを前記位置決め孔に挿入し、前記第1板部の下面を前記コンクリートブロックの上面に接触させ、前記位置決め孔を中心に前記測定治具を回転させて前記脚部を前記コンクリートブロックの側面に接触させた状態で、前記測定対象を測定し、前記アンカーボルトの位置を求めるので、該アンカーボルトの位置を実測する必要がなく、作業時間の短縮及び作業性の向上を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施例に係る測定治具を用いた測定方法を示す斜視図である。
図2】前記測定治具を示す斜視図である。
図3】(A)は前記測定治具の正面図であり、(B)は前記測定治具の平面図である。
図4】(A)は第2の実施例に係る測定治具の斜視図であり、(B)は該測定治具に設けられた位置決めホルダの斜視図である。
図5】第2の実施例の変形例に係る位置決めホルダの斜視図である。
図6】(A)は第3の実施例に係る測定治具の要部拡大斜視図であり、(B)は該測定治具の要部拡大正面図である。
図7】(A)(B)は第4の実施例に係る測定治具の要部拡大斜視図であり、(A)は各挾持部が接触した場合を示し、(B)は各挾持部が離反した場合を示している。
図8】(A)は第5の実施例に係る測定治具の要部拡大平面図であり、(B)は該測定治具の要部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0022】
先ず、図1に於いて、本発明の第1の実施例について説明する。
【0023】
図1中、1はコンクリートブロックとしてプレキャスト基礎の基礎ブロックを示し、2は既知の位置に設けられ、測定対象の3次元座標を測定可能な測量装置、例えばトータルステーションを示している。
【0024】
前記基礎ブロック1は、例えば直方体形状であり、該基礎ブロック1の上面には、所定の径を有する2本のアンカーボルト3,3が所定の長さだけ上方に突出する様に埋込まれている。又、前記基礎ブロック1の下面には、例えば4本の脚部1aを有し、該脚部1aは高さ調節が可能となっている。又、前記アンカーボルト3が設けられる位置は、例えば前記基礎ブロック1の上面の両端部である。前記基礎ブロック1は、前記アンカーボルト3の前記基礎ブロック1の上面での位置が既知となるように設計及び製造されている。
【0025】
前記基礎ブロック1の上面には、前記アンカーボルト3を基準として測定治具4が取付けられる。該測定治具4は測定対象5、例えばプリズム等の再帰反射体を有しており、前記測定対象5は、前記測定治具4に設けられた位置決め孔(後述)に対する位置が既知となっている。この為、前記基礎ブロック1に前記測定治具4を取付けた際には、前記アンカーボルト3に対する前記測定対象5の位置が既知となる。従って、前記測量装置2により前記測定対象5を測定することで、前記アンカーボルト3の軸心の平面位置及び前記基礎ブロック1の上面の高さを求めることができる。
【0026】
尚、前記測定対象5としては、プリズムや反射シート等の再帰反射体に限られるものではなく、立体形状物や発光体、ターゲットマーカ等、中心位置を測定可能なものであれば前記測定対象5として使用可能である。
【0027】
前記基礎ブロック1の高さ及び前記アンカーボルト3の平面位置が測定されることで、該アンカーボルト3が所定の位置に存在するかどうか、即ち前記基礎ブロック1が設計図面通りに配置されているかを確認することができる。又、設計図面とのズレが存在していた場合には、前記基礎ブロック1の位置を調整することができる。
【0028】
尚、前記測量装置2の設置位置と設計図面とは関連付けられている。即ち、設計図面上で前記測量装置2の設置位置が特定されている。又、設計図面のデータは、前記測量装置2の記憶部(図示せず)に予め格納され、該測量装置2の測定結果と設計図面とを比較することができる。
【0029】
次に、図2図3(A)、図3(B)を参照して、前記測定治具4の詳細について説明する。
【0030】
該測定治具4は、棒状の2本の脚部6,6と、該脚部6,6の中途部に掛渡って設けられた板状の第1板部7と、前記脚部6,6の上端部に掛渡って設けられた板状の第2板部8とを有している。前記脚部6,6は、円柱状であってもよいし、角柱状であってもよい。前記第2板部8の両端部には、後述する雄ネジ部が挿通する孔が穿設されている。
【0031】
前記脚部6,6の既知の位置には、該脚部6と同心且つ該脚部6よりも小径な小径部9,9が形成されている。該小径部9,9の溝幅は、前記第1板部7の厚みと同等か、僅かに大きくなっている。又、前記脚部6,6の上端部には、該脚部6と同心に雄ネジ部が形成されている。該雄ネジ部を前記第2板部8の孔に挿通させ、該第2板部8を前記脚部6,6の上端に取付け、前記雄ネジ部にキャップ部12,12を螺合し、閉め込むことで、前記第2板部8が前記脚部6,6の上端に固定される。
【0032】
前記第1板部7の両端には、半円状或は長孔状の嵌合凹部13,13が形成され、該嵌合凹部13,13が前記小径部9,9に嵌合されることで、前記第1板部7が前記脚部6,6に掛渡って取付けられる。尚、前記脚部6の下端から前記小径部9迄の距離及び前記脚部6の上端から前記小径部9迄の距離は既知となっている。又、前記第1板部7を脚部6,6に取付け、前記第1板部7が前記小径部9の上側又は下側の周縁部と当接した際には、少なくとも下面が前記脚部6,6の軸心と直交する平面となる。
【0033】
尚、前記脚部6を既知の位置で2分割構造としてもよい。例えば、上側の脚部の下端に雌ネジ部を形成し、下側の脚部の上端に雄ネジ部を形成し、上下の脚部を連結可能とし、該上下の脚部の連結部で前記第1板部7を挾持する構成としてもよい。
【0034】
又、前記第1板部7の所定位置、例えば中心部、即ち前記脚部6,6の軸心間の中間位置には円形の位置決め孔14が形成されている。該位置決め孔14は、前記アンカーボルト3の径よりも僅かに大きい径を有している。好ましくは、前記位置決め孔14の径は、前記測定対象5を測定する際に許容される測定誤差分だけ前記アンカーボルト3の径よりも大きくなっている。
【0035】
前記第2板部8の両端部の孔に前記脚部6,6の雄ネジが挿通されることで、前記第2板部8が前記脚部6,6に掛渡って取付けられる。又、前記キャップ部12を前記雄ネジ部に螺着することで、前記第2板部8が前記脚部6と前記キャップ部12とで挾持され、固定される。この時、前記第2板部8と前記第1板部7は平行となり、前記第2板部8の上面は、前記脚部6の軸心に対して直交する平面となる。
【0036】
前記第2板部8の上面の所要位置には、傾斜検出部としての2つの気泡管16,17が設けられている。該気泡管16,17は、水平面上に於ける直交する2軸方向の水平に対する傾斜を検出可能に構成されている。又、前記第2板部8の所定位置、即ち前記位置決め孔14の直上には、該位置決め孔14と同心にネジ孔(図示せず)が形成されている。該ネジ孔には下方から摘みネジ18が挿通され、先端部が前記第2板部8より突出している。尚、前記測定治具4の傾斜検出部は、前記気泡管16,17に限られるものではない。例えば、デジタル傾斜計やIMU(加速度センサ)等、傾斜を測定可能であれば他のものを傾斜検出部として用いることができる。
【0037】
該摘みネジ18は、摘み部18aとネジ部18bとを有している。又、該ネジ部18bは先端側のみにネジ山が形成され、基部は前記ネジ孔よりも小径の円柱状となっている。従って、前記摘みネジ18は、基部で前記ネジ孔に遊嵌し、前記ネジ部18bにより前記摘みネジ18の脱落が防止されると共に、前記ネジ部18bが前記第2板部8から上方に突出する構造となっている。又、前記第2板部8から上方に突出する前記ネジ部18bを介して、プリズム等の前記測定対象5が前記第2板部8に取付けられる。
【0038】
前記測定対象5が前記第2板部8に取付けられた際には、前記測定対象5の中心は前記位置決め孔14の直上に位置する。即ち、前記測定対象5の中心は、前記位置決め孔14の中心を通る前記第1板部7の垂線上に位置する。即ち、前記位置決め孔14に挿入された前記アンカーボルト3の軸心上に位置する。又、前記気泡管16,17が水平を示している状態では、前記位置決め孔14と前記測定対象5の中心を通る垂線が鉛直となる。
【0039】
尚、前記脚部6,6間の内寸である距離d1は、例えば250mmであり、前記基礎ブロック1の幅、即ち前記アンカーボルト3,3の中心を結んだ直線と直交する方向の長さよりも大きくなっている。又、前記第1板部7の下面から前記第2板部8の下面迄の高さd2は、例えば100mmであり、前記アンカーボルト3の突出長さよりも高くなっている。又、前記第1板部7の下面から前記脚部6の下端迄の長さは、例えば145mmとなっており、前記脚部6を前記基礎ブロック1の側面に対して安定して接触可能な長さとなっている。更に、前記第2板部8の板厚及び該第2板部8の上面から前記測定対象5の中心迄の距離は既知となっている。即ち、前記第1板部7の下面から前記測定対象5の中心迄の距離は既知となっている。
【0040】
前記測定治具4を用いた前記アンカーボルト3の位置を測定する際には、先ず設計図面に従って所定の配置で前記基礎ブロック1を配設する。次に、前記測量装置2に前記測定対象5を追尾させた状態で、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14に挿入し、前記第1板部7の下面と前記基礎ブロック1の上面に接触させる。続いて、前記測定治具4を回転させ、前記脚部6,6を前記基礎ブロック1の側面に接触させる。この時、前記位置決め孔14の中心は、前記基礎ブロック1の長手方向の中心線上に位置する。これにより、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14の中心に位置させることができる。
【0041】
この状態で前記気泡管16,17の気泡の状態を確認する。前記基礎ブロック1が傾斜していた場合には、前記脚部1aを介して前記基礎ブロック1の高さを調節する。又、前記気泡管16,17が水平を示している場合には、前記基礎ブロック1の上面と前記第1板部7とがそれぞれ水平であり、前記測定対象5の中心は前記位置決め孔14の中心を通る前記第1板部7の垂線上に位置する。即ち、前記測定対象5の中心は前記アンカーボルト3の軸心上に位置する。
【0042】
従って、前記測量装置2により前記測定対象5を測定することで、前記測量装置2は、前記測定対象5の測定結果と前記第1板部7の下面から前記測定対象5迄の距離に基づき、前記測量装置2の設置位置を基準とした前記アンカーボルト3の軸心の位置を測定する。即ち、前記アンカーボルト3の軸心の水平面上に於ける直交する2軸方向(XY方向)の位置が測定されると共に、前記第1板部7の下面の高さ、即ち前記基礎ブロック1の上面の高さが測定される。
【0043】
前記アンカーボルト3の測定が完了すると、前記測定治具4を前記アンカーボルト3から取外し、次のアンカーボルト3に取付けた後、上記と同様の処理を行い、前記次のアンカーボルト3の位置を測定する。同様に、対象となる全ての前記アンカーボルト3に対して順次前記測定治具4を取付け、測定を行うことで、前記測定治具4を用いた前記アンカーボルト3の位置測定処理が完了する。
【0044】
該アンカーボルト3の測定が完了した後は、測定した各アンカーボルト3の位置と、設計図面上での各アンカーボルト3との位置を比較する。各アンカーボルト3同士の位置にズレが存在する場合には、前記基礎ブロック1を移動し、前記アンカーボルト3の位置を修正することで、前記基礎ブロック1の設置が完了する。
【0045】
尚、上記では、全てのアンカーボルト3の位置測定を行った後に、測定結果と設計図面上での前記アンカーボルト3の位置とを比較しているが、各アンカーボルト3の位置を測定する毎に、測定結果と設計図面上でのアンカーボルト3の位置とを比較してもよい。
【0046】
又、前記測量装置2の記憶部(図示せず)に設計図面のデータと各アンカーボルト3の設計図面上での位置情報を予め記憶させ、前記アンカーボルト3を測定する毎に位置情報との比較を自動で行う様にしてもよい。比較結果は、表示部(図示せず)に変位量を表示する、或はアラームで位置が一致していないことを通知する等、種々の手段で作業者に通知される。
【0047】
更に、上記では、前記測量装置2が前記測定対象5を自動で追尾しているが、前記測定治具4をアンカーボルト3に取付ける毎に、前記測量装置2に前記測定対象5を視準させ、測定を行ってもよい。
【0048】
上述の様に、第1の実施例では、前記位置決め孔14に前記アンカーボルト3を挿入し、前記第1板部7の下面を前記基礎ブロック1の上面に接触させ、更に前記脚部6,6を前記基礎ブロック1の側面に当接させるだけで、前記アンカーボルト3の軸心上又は略軸心上に前記測定対象5を位置させることができる。
【0049】
従って、該測定対象5を測定するだけで、前記アンカーボルト3の水平面上の位置を特定することができるので、該アンカーボルト3を測定する為に、メジャー等で前記アンカーボルト3の位置を実測する必要がなく、作業時間の短縮及び作業性の向上を図ることができる。
【0050】
又、前記位置決め孔14の径は、許容可能な測定誤差分だけ前記アンカーボルト3の径よりも大きくなっている。従って、前記位置決め孔14に前記アンカーボルト3を挿入するだけで、該アンカーボルト3と前記測定対象5との位置合せが完了するので、前記アンカーボルト3と前記測定対象5との位置合せ処理が不要となり、作業時間の短縮を図ることができる。
【0051】
又、前記基礎ブロック1を設置する段階で、前記アンカーボルト3の設計図面上の位置と実際の位置との比較が容易に行えるので、位置ズレが生じていた場合の前記基礎ブロック1の位置修正作業を容易に行うことができる。
【0052】
更に、前記測定治具4は、前記第2板部8に前記気泡管16,17を設けているので、前記測定治具4を前記基礎ブロック1に取付けるだけで、該基礎ブロック1の水平度を確認できる。従って、該基礎ブロック1の水平出しを容易に行うことができる。
【0053】
次に、図4(A)、図4(B)に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図4(A)、図4(B)中、図1図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
第2の実施例では、前記脚部6が上端に雌ネジ部が形成された下脚部と下端に雄ネジ部が形成された上脚部とから構成される2分割構造となっている。又、第2板部8と同様に第1板部7の両端部に孔が形成され、該孔に前記雄ネジ部を挿通させると共に、前記第1板部7と前記上脚部との間にワッシャ21を介在させ、脚部6と第1板部7との間に生じる軸心方向のガタツキを防止している。
【0055】
又、第2の実施例では、前記第1板部7の上面且つ位置決め孔14(図2参照)と同心に、位置決め部材としての金属製の位置決めホルダ22を設けている。又、前記位置決め孔14は、アンカーボルト3(図1参照)の径よりも充分に大きな径を有している。
【0056】
該位置決めホルダ22は、前記第1板部7の上面に固着されたベース部23と、該ベース部23に螺子止めされ、前記アンカーボルト3に押圧される複数、例えば4枚の挾持片24を有している。前記ベース部23は、矩形で板状の固着部23aと、該固着部23aの中心から上方に突出する直方体形状の挿入部23bとを有し、該挿入部23bには上下方向に貫通する円形の挿通孔23cが形成されている。
【0057】
該挿通孔23cは、前記位置決め孔14と同心であり、該位置決め孔14よりも大きい径を有している。又、前記挿入部23bの角部には螺子止めの為の逃げ部23dが形成され、前記ベース部23は前記固着部23aを介して前記第1板部7に螺子止めされる。
【0058】
各挾持片24は、弾性を有するバネ片であり、それぞれネジ25を介して前記挿入部23bの側面に固着されている。各挾持片24は、前記挿入部23bの上端近傍から前方(中心方向)に向って鈍角で屈曲し、更に所定の高さで後方(外周方向)に向って湾曲しており、中心方向に向って突出する屈曲部24aが形成される。又、各挾持片24は、前方及び後方に向って弾性変形可能であり、前記屈曲部24aに内接する円の中心は前記挿通孔23cと同心となっている。又、各屈曲部24aに内接する円の径は、前記位置決め孔14よりも小さく、更に前記アンカーボルト3の径よりも小さくなっている。
【0059】
測定治具4を前記アンカーボルト3に取付ける際には、前記位置決め孔14及び前記位置決めホルダ22に前記アンカーボルト3を挿入する。該アンカーボルト3は、前記屈曲部24aを通過する過程で、各挾持片24を押広げて後方(外周方向)へと弾性変形させる。同時に、各挾持片24が弾性変形に基づく弾性力により、前記アンカーボルト3を四方から押圧する。
【0060】
この状態で、前記第1板部7の下面と前記基礎ブロック1の上面とを密着させ、前記測定治具4を前記基礎ブロック1に取付ける。その後の処理は第1の実施例と同様である。
【0061】
第2の実施例では、前記第1板部7に前記位置決めホルダ22を設け、該位置決めホルダ22には前記アンカーボルト3よりも径が小さい内接円が形成される様に複数の挾持片24が設けられている。
【0062】
従って、前記アンカーボルト3は四方から中心に向って各挾持片24により押圧されるので、前記位置決め孔14の大きさに拘らず、前記挾持片24の弾性力の均衡によって前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14の中心に位置(センタリング)させることができる。
【0063】
上記した様に、前記位置決めホルダ22は、前記アンカーボルト3を挿入した際に前記挾持片24が弾性変形する構成であるので、前記位置決め孔14の大きさを前記アンカーボルト3よりも充分大きくすることができる。従って、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14に容易に挿入することができるので、作業性を向上させることができる。
【0064】
又、前記アンカーボルト3が前記位置決めホルダ22の各挾持片24により中心方向に向って押圧され、位置決めされるので、前記アンカーボルト3の前記位置決め孔14内での変位を抑制でき、前記アンカーボルト3の位置測定精度を向上させることができる。
【0065】
又、前記挾持片24は、前記挿入部23bの上方で中心側に向って屈曲された後、外周側に向って屈曲されることで、中心側に向って突出する屈曲部24aが形成されている。即ち、該屈曲部24aよりも下方には、中心側に向って傾斜するテーパ面が形成される。従って、前記位置決めホルダ22に前記アンカーボルト3を挿入した際には、前記テーパ面にガイドされて前記屈曲部24aへと導かれるので、前記アンカーボルト3が前記挾持片24に引っかかることがなく、円滑に取付け作業を行うことができる。
【0066】
図5は、第2の実施例の変形例を示している。該変形例では、位置決め部材としての位置決めホルダ26は例えば弾性を有する樹脂製であり、モールド成形、或は3Dプリンタ等により一体成形されている。
【0067】
該位置決めホルダ26は、前記第1板部7に固着する為のベース部27と、前記アンカーボルト3を挿入する為の円柱形状の挿入部28とを有している。該挿入部28は、上下方向に貫通する円形の挿通孔28aが形成されると共に、所定の高さに於いて上方に向って縮径し、更に上方に向って拡径し、前記挿通孔28aの中心側に向って突出する屈曲部28bが形成される。前記挿通孔28aは、前記位置決め孔14と同心となっている。
【0068】
更に、前記挿入部28には、所定の間隔、例えば90°間隔で上下方向にスリット30が形成されている。該スリット30は、上端が開放され、下端は前記屈曲部28bよりも下方に位置している。前記スリット30により、前記挿入部28に弾性変形可能な4枚の挾持片28cが形成される。
【0069】
第2の実施例の変形例では、中心側に向って突出する屈曲部28bを有する前記挾持片28cが、第2の実施例に於ける挾持片24と同等の機能を有している。従って、前記変形例に於いても、前記アンカーボルト3に前記測定治具4を取付ける際には、前記アンカーボルト3は四方から中心に向って各挾持片28cにより押圧されるので、前記位置決め孔14の大きさに拘らず、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14の中心にセンタリングすることができる。
【0070】
尚、第2の実施例及び変形例では、前記挾持片24或は前記挾持片28cを90°間隔で4つ設けているが、120°間隔で3つ設けてもよいし、72°間隔で5つ設けてもよい。この場合、前記挿入部23bは三角柱或は五角柱形状としてもよい。
【0071】
次に、図6(A)、図6(B)に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、図6(A)、図6(B)中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
第3の実施例では、位置決めホルダ29として、第1板部7の上面且つ位置決め孔14の周囲に複数配置された位置決めローラ31と、該位置決めローラ31を付勢する板バネ32が設けられている。該位置決めローラ31は、例えば120°間隔で3つ設けられている。該位置決めローラ31は、前記位置決め孔14の中心を通る前記第1板部7の垂線と直交する回転軸を有し、前記板バネ32は前記位置決めローラ31を前記位置決め孔14の中心に向って付勢する様構成されている。又、各位置決めローラ31の内接円は、アンカーボルト3を挿通する為の挿通孔を形成し、該挿通孔は前記位置決め孔14と同心となっている。
【0073】
前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14に挿入し、測定治具4を基礎ブロック1(図1参照)に取付ける際には、前記アンカーボルト3の上端が各位置決めローラ31と接触した後、各位置決めローラ31を押広げながら、又各位置決めローラ31の回転でガイドされつつ前記アンカーボルト3が挿入される。又、該アンカーボルト3は、前記板バネ32の付勢力により、前記アンカーボルト3を三方から中心方向に向って押圧し、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14の中心にセンタリングする。前記位置決めローラ31と前記板バネ32は、前記アンカーボルト3をセンタリングする為の挾持片を構成する。
【0074】
第3の実施例に於いても、前記位置決め孔14の大きさに拘らず、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14の中心に位置させることができるので、該位置決め孔14の大きさを前記アンカーボルト3の径よりも充分に大きくすることができる。
【0075】
更に、前記位置決めローラ31は前記板バネ32によって付勢されており、第2の実施例に於ける挾持片24や第2の実施例の変形例に於ける挾持片28cよりも可動範囲が広いので、前記位置決め孔14の径を更に大きくすることができる。
【0076】
従って、前記測定治具4を交換することなく、異なる径のアンカーボルトの位置測定が可能となり、作業性を向上させることができる。
【0077】
尚、第3の実施例では、前記位置決めローラ31を120°間隔で3つ設けているが、90°間隔で4つ設けてもよく、72°間隔で5つ設けてもよい。
【0078】
次に、図7(A)、図7(B)に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、図7(A)、図7(B)中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
第4の実施例では、第1板部7の上面に、位置決め部材としての位置決めホルダ33が設けられている。該位置決めホルダ33は、位置決め孔14を挟んで所定の位置に設けられた一対のベース部34,34と、該ベース部34,34に掛渡って設けられた2本のシャフト35,35と、該シャフト35,35に設けられ、該シャフト35,35に沿って摺動可能な一対の挾持片36,36と、前記ベース部34と前記挾持片36との間にそれぞれ前記シャフト35を囲繞する様設けられ、該挾持片36を前記位置決め孔14に向って付勢するバネ37とを有している。
【0080】
前記挾持片36,36は、前記バネ37の付勢力により、前記位置決め孔14の中心で接触する様に、前記バネ37の付勢力が設定されている。又、前記挾持片36,36には、端部側に向って漸次幅が小さくなる三角形状の凹部38,38がそれぞれ形成されている。該凹部38,38は、前記挾持片36,36が接触した際にひし形状の保持孔を形成する。尚、該保持孔の中心は前記位置決め孔14の中心を通る前記第1板部7の垂線上に位置している。
【0081】
アンカーボルト3を前記位置決め孔14に挿入し、測定治具4を基礎ブロック1(図1参照)に取付ける際には、前記挾持片36,36をそれぞれ端部側に向って摺動させ、前記位置決め孔14を開放した状態で、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14に挿入し、前記第1板部7を前記基礎ブロック1に接触させる。
【0082】
続いて、前記挾持片36,36を中心側へと摺動させ、前記凹部38,38で前記アンカーボルト3を挾持する。この時、該アンカーボルト3は、前記凹部38,38とそれぞれ2点、即ち計4点で前記アンカーボルト3と接触するので、該アンカーボルト3は前記シャフト35と平行な方向だけではなく、該シャフト35と直交する方向からも押圧され、前記アンカーボルト3が前記保持孔の中心に位置決め(センタリング)される。
【0083】
前記凹部38,38で形成される保持孔の中心は、前記位置決め孔14の中心と同一軸心上に位置しているので、前記挾持片36,36で位置決めされることで、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14の中心に位置させることができる。
【0084】
第4の実施例に於いても、前記位置決め孔14の大きさに拘らず、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14の中心に位置させることができるので、該位置決め孔14の大きさを前記アンカーボルト3の径よりも充分に大きくすることができる。
【0085】
又、前記挾持片36,36は前記シャフト35,35に沿って前記第1板部7上を摺動する構成であり、第2の実施例に於ける挾持片24や第2の実施例の変形例に於ける挾持片28cよりも可動範囲が広いので、前記位置決め孔14の径を更に大きくすることができる。
【0086】
従って、前記測定治具4を交換することなく、異なる径のアンカーボルトの位置測定が可能となり、作業性を向上させることができる。
【0087】
尚、前記挾持片36,36は、所定の位置で固定可能なストッパ機構を設けてもよい。ストッパ機構により前記挾持片36,36を端部側に所定量摺動させた状態で固定することができるので、前記アンカーボルト3を容易に前記位置決め孔14に挿入することができる。
【0088】
又、ギア等を組合わせ、各挾持片36がそれぞれ同じ量だけ摺動する様にしてもよい。各挾持片36が同量だけ摺動する様な構成とすることで、前記アンカーボルト3を確実に前記位置決め孔14の中心にセンタリングさせることができる。
【0089】
次に、図8(A)、図8(B)に於いて、本発明の第5の実施例について説明する。尚、図8(A)、図8(B)中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
第5の実施例では、第1板部7の上面に、位置決め部材としての位置決めホルダ39が設けられている。該位置決めホルダ39は、平行な2本の棒状部材41aと、該棒状部材を接続する半円又は長半円形状の第1保持部41bを有する第1位置決め具41と、該第1位置決め具41と同形状であり、前記第1板部7の上面に対して垂直な軸心を中心に180°回転させた状態で設けられた第2位置決め具42と、前記第1位置決め具41と前記第2位置決め具42との間に設けられたピニオンギア43a及びガイドギア43bとを有している。前記第2位置決め具42も前記第1位置決め具41と同様、棒状部材42aと第2保持部42bを有している。前記第1位置決め具41と前記第2位置決め具42は、それぞれ挾持片として機能する。
【0091】
前記第1位置決め具41と前記第2位置決め具42は、対向して設けられ、それぞれ前記第1板部7の長手方向(前記位置決め孔14に対して近接離反する方向)に摺動可能となっている。又、前記第1位置決め具41と前記第2位置決め具42は、それぞれ対向する面にラックギアが設けられ、前記ピニオンギア43aは両ラックギアに同時に噛合している。該ピニオンギア43aを回転させることで、前記第1位置決め具41と前記第2位置決め具42は逆向きに同量だけ摺動する様に構成されている。
【0092】
又、前記第1位置決め具41と前記第2位置決め具42を、それぞれ離反する方向に摺動させると、前記第1保持部41bと前記第2保持部42bとで円又は長円形状の保持孔が形成される。該保持孔の中心は、前記位置決め孔14の中心を通る前記第1板部7の垂線上に位置しており、前記保持孔でアンカーボルト3を挾持し、保持することで、該アンカーボルト3が位置決めされる。尚、前記第1保持部41b、前記第2保持部42bはV字形状であってもよい。この場合、前記アンカーボルト3は前記第1保持部41b、前記第2保持部42bのそれぞれ2点、即ち4点と接触し、4方向から押圧される。
【0093】
第4の実施例に於いても、前記位置決め孔14の大きさに拘らず、前記アンカーボルト3を前記位置決め孔14の中心に位置させることができるので、該位置決め孔14の大きさを前記アンカーボルト3の径よりも充分に大きくすることができる。
【0094】
従って、測定治具4を交換することなく、異なる径のアンカーボルトの位置測定が可能となり、作業性を向上させることができる。
【0095】
尚、第1の実施例~第5の実施例では、アンカーボルトを有するプレキャストコンクリートブロックとして、前記基礎ブロック1の前記アンカーボルト3の位置を、前記測定治具4を用いて測定する場合について説明したが、アンカーボルト或はアンカーボルトと同等の機能のボルトを有するコンクリートブロックについても本発明が適用可能であることは言う迄もない。又、アンカーボルトを有するコンクリートブロックとしては、橋梁等に用いられる構造部材としてのコンクリートブロック等が含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 基礎ブロック
3 アンカーボルト
4 測定治具
5 測定対象
6 脚部
7 第1板部
8 第2板部
14 位置決め孔
22 位置決めホルダ
26 位置決めホルダ
29 位置決めホルダ
33 位置決めホルダ
39 位置決めホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8