(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092401
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】聴音装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20240701BHJP
H04R 9/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208303
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】505408859
【氏名又は名称】コスモギア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522264087
【氏名又は名称】株式会社Move
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】中谷 任▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 炯龍
【テーマコード(参考)】
5D012
5D017
【Fターム(参考)】
5D012AA02
5D012BB03
5D012BB04
5D012BB05
5D012GA01
5D017AB11
(57)【要約】
【課題】より快適に使用することが可能な聴音装置を提供する。
【解決手段】ケース9は、例えば略円筒形であり、両端が開口する。骨伝導用振動板11には、磁石3と第1ヨーク5a、第2ヨーク5bが、例えば樹脂製のピン17によって固定される。磁石3は、第1ヨーク5aと第2ヨーク5bとで挟み込まれ、第1ヨーク5aの側壁部の内部に配置される。ケース9の他方の開口部側には、プレート19が固定され、プレート19の内面側にはコイル7が固定される。また、プレート19の外面側には基板21が固定される。基板21にはスピーカコーン13が固定される。聴音装置1では、コイル7と磁石ユニットとが相対的に振動することによって、ケース9の一方の側を骨伝導スピーカとして機能させることができ、逆に、ケース9の他方の側を空気伝導スピーカとして機能させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴音装置であって、
磁石及びヨークとからなる磁石ユニットと、
前記磁石の周囲に配置されるコイルと、
前記磁石ユニット及び前記コイルを収容し、両側が開口したケースと、
前記ケースの一方の側に固定され、前記コイルの軸方向に振動可能に配置される骨伝導用振動板と、
前記ケースの他方の側に固定され、前記コイルの軸方向に振動可能に配置されたスピーカコーンと、
を具備し、
前記コイルと前記磁石ユニットとが相対的に振動することによって、前記一方の側を骨伝導スピーカとして機能させ、前記他方の側を空気伝導スピーカとして同時に機能させることが可能であることを特徴とする聴音装置。
【請求項2】
前記骨伝導用振動板は、前記スピーカコーンよりもサイズが大きいことを特徴とする請求項1記載の聴音装置。
【請求項3】
前記骨伝導スピーカによって出力される周波数帯が、前記空気伝導スピーカによって出力される周波数帯よりも高いことを特徴とする請求項2記載の聴音装置。
【請求項4】
前記磁石ユニットは、前記コイルの外周側に配置される第1ヨークと、前記コイルの内周側に配置される第2ヨークを有し、
前記磁石は、前記第1ヨークに固定される第1磁石と、前記第1磁石に対して前記第2ヨークを挟んで配置される第2磁石とを有することを特徴とする請求項1記載の聴音装置。
【請求項5】
前記コイルは、内周側の第1コイルと、外周側の第2コイルとからなり、前記第1コイルと前記第2コイルとの間に第3ヨークが配置され、前記第3ヨークが前記スピーカコーンに固定されることを特徴とする請求項1記載の聴音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳等に装着して音声を聴くことが可能な聴音装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、音楽や会話を聴く手段として、ヘッドホンやイヤホンなどのような装置(以下、聴音装置という。)が広く使用されてきている。このような聴音装置としては、空気伝導を利用したものと骨伝導を利用したものとがある。空気伝導を利用したものは、電気信号として入力された音源を空気の振動に変換して鼓膜に伝えて振動させ、鼓膜の振動が耳の奥の中耳を通って、脳に音の情報が伝達され認識される仕組みを利用している。
【0003】
一方、骨伝導を利用した聴音装置は、電気信号として入力された音響信号を機械的な振動に変換し、その振動を適切な位置から骨に与えて骨に振動を伝え、その振動により伝わる骨伝導音で音を認識させるものである。この骨伝導を利用した聴音装置は、ヘッドホンやイヤホンのように耳孔に挿入して使用する必要がなく、耳には周囲の音が遮蔽されることなく入ってくるので、装着していても安全である。また、鼓膜の振動を利用しないことから、難聴の人でも音を認識することができ、補聴器等への利用も進められている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通常の空気伝導を利用したスピーカは、特に高音に対して鼓膜(蝸牛)が受ける負担が大きく、長時間高音の音を耳で聞いていると疲労感を感じる場合がある。一方、特に高齢になると高音が聞き取りにくくなる傾向がある。このため、音声がこもったような音として認識されやすくなり、聞き取りにくくなるという傾向がある。
【0006】
これに対し、骨伝導スピーカは、比較的高音域の音に対しても、骨に振動を伝達するため、鼓膜(蝸牛)に対する負担が小さい。また、骨伝導スピーカは、耳の聴こえに不安のある利用者に対しても、より聴きやすく、長時間の使用に対しても違和感や疲労感を覚えにくいという傾向がある。
【0007】
しかし、骨伝導スピーカは空気伝導のスピーカに対して、特に低音の出力において、より大きなパワーが必要な場合がある。また、骨伝導スピーカは、低音がこもりやすく、また、皮膚に接触する部位の振動が大きくなるため、使用者が不快に感じる場合もある。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、より快適に使用することが可能な聴音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために本発明は、聴音装置であって、磁石及びヨークとからなる磁石ユニットと、前記磁石の周囲に配置されるコイルと、前記磁石ユニット及び前記コイルを収容し、両側が開口したケースと、前記ケースの一方の側に固定され、前記コイルの軸方向に振動可能に配置される骨伝導用振動板と、前記ケースの他方の側に固定され、前記コイルの軸方向に振動可能に配置されたスピーカコーンと、を具備し、前記コイルと前記磁石ユニットとが相対的に振動することによって、前記一方の側を骨伝導スピーカとして機能させ、前記他方の側を空気伝導スピーカとして同時に機能させることが可能であることを特徴とする聴音装置である。
【0010】
前記骨伝導用振動板は、前記スピーカコーンよりもサイズが大きいことが望ましい。
【0011】
前記骨伝導スピーカによって出力される周波数帯が、前記空気伝導スピーカによって出力される周波数帯よりも高いことが望ましい。
【0012】
前記磁石ユニットは、前記コイルの外周側に配置される第1ヨークと、前記コイルの内周側に配置される第2ヨークを有し、前記磁石は、前記第1ヨークに固定される第1磁石と、前記第1磁石に対して前記第2ヨークを挟んで配置される第2磁石とを有してもよい。
【0013】
前記コイルは、内周側の第1コイルと、外周側の第2コイルとからなり、前記第1コイルと前記第2コイルとの間に第3ヨークが配置され、前記第3ヨークが前記スピーカコーンに固定されてもよい。
【0014】
本発明によれば、一方が骨伝導スピーカであり、他方が空気伝導スピーカで構成されるため、利用者は骨伝導と空気伝導の両方の振動によって音声を聴くことが可能となる。このため、骨伝導スピーカのみの場合や、空気伝導スピーカのみの場合と比較して、それぞれの特徴を利用することが可能である。特に、振動を発生させる磁石ユニットとコイルとを共有できるため、装置の大型化を抑制することができる。
【0015】
この際、骨伝導用振動板のサイズを、スピーカコーンのサイズよりも大きくすることで、骨伝導スピーカから出力される周波数帯を上げることが可能となる。このため、骨伝導スピーカによって出力される周波数帯を、空気伝導スピーカによって出力される周波数帯よりも高くすることが可能となる。
【0016】
また、磁石ユニットが、コイルの外周側に配置される第1ヨークと、コイルの内周側に配置される第2ヨークと、第1ヨークに固定される第1磁石と、第1磁石に対して第2ヨークを挟んで配置される第2磁石とで構成することで、骨伝導用振動板を効率よく振動させることができる。例えば、第1磁石から出た磁界は、第2ヨークを周回し、第1ヨークを介して磁石に帰還するため、第2ヨークから出た磁界を効率よく、コイルの巻き方向に対して直角に交わるように形成することができる。
【0017】
一方、第2磁石を配置することで、コイル側(スピーカコーン側)に対する力を付加することができる。このため、スピーカコーンを効率よく振動させることができる。
【0018】
また、コイルを、内周側の第1コイルと、外周側の第2コイルとで構成し、第1コイルと第2コイルとの間に第3ヨークを配置することで、スピーカコーン側を第3ヨークに生じる力によって振動させることが可能である。このため、骨伝導スピーカ側との振動の調整や制御が容易である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より快適に使用することが可能な聴音装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る聴音装置1の断面を示す概略図である。聴音装置1は、主に、磁石3、第1ヨーク5a、第2ヨーク5b、コイル7、ケース9、骨伝導用振動板11、スピーカコーン13等からなる。
【0022】
ケース9は、例えば略円筒形であり、両端が開口する。ケース9には、前述した磁石3、第1ヨーク5a、第2ヨーク5b、コイル7等が収容される。ケース9の一方の開口部側には、骨伝導用振動板11が固定される。骨伝導用振動板11は、例えば弾力性を有する金属で構成される。骨伝導用振動板11には、磁石3と第1ヨーク5a、第2ヨーク5bが、例えば樹脂製のピン17によって固定される。骨伝導用振動板11は、弾性変形が可能であり、後述するコイル7の軸方向に振動可能である。なお、磁石3、第1ヨーク5a、及び第2ヨーク5bを合わせて、磁石ユニットと称する場合がある。
【0023】
磁石3の一方には第1ヨーク5aが配置され、他方の面には第2ヨーク5bが配置される。第1ヨーク5aは、磁石3よりもサイズが大きく、磁石3の外周にはみ出すように配置され、第1ヨーク5aの外周部が第2ヨーク5b側に折り曲げられて側壁部が形成される。また、第2ヨーク5bは、板状である。すなわち、磁石3は、第1ヨーク5aと第2ヨーク5bとで挟み込まれ、第1ヨーク5aの側壁部の内部に配置される。
【0024】
前述したように、磁石ユニットにはピン17が貫通して骨伝導用振動板11と固定される。この際、第1ヨーク5aと骨伝導用振動板11との間にはスペーサによって所定の間隔をあけて固定される。
【0025】
ケース9の他方の開口部側には、プレート19が固定され、プレート19の内面側にはコイル7が固定される。コイル7は、磁石3と第1ヨーク5aの側壁部との隙間に、互いに所定の隙間をあけて配置される。すなわち、コイル7は磁石3の周囲に配置される。
【0026】
また、プレート19の外面側には基板21が固定される。なお、プレート19及び基板21は可撓性を有する部材である。すなわち、基板21は例えばフレキシブルプリント基板であり、プレート19と基板21は変形可能である。
【0027】
基板21にはスピーカコーン13が固定される。スピーカコーン13は空気伝導スピーカの振動部となる。すなわち、スピーカコーン13は、ケース9の骨伝導用振動板11とは逆側の開口部側に配置されて、コイル7の軸方向に振動可能である。
【0028】
聴音装置1では、磁石3から出た磁界は、例えば、第1ヨーク5aの側壁部へ周回し、側壁部の下部から第2ヨーク5bを介して磁石3に帰還する。この際、コイル7が第1ヨーク5aの側壁部と、第2ヨーク5bの間に設置されているため、第1ヨーク5aの側壁部から出た磁界は、コイル7の巻き方向に対して直角に交わる。このため、コイル7に信号電流を加えることにより、フレミングの左手の法則に従った方向の力が働き振動が発生する
【0029】
このように、聴音装置1では、コイル7に信号電流が印加されると、コイル7の周囲の磁石3から発生する磁界によりフレミングの左手の法則に従ってコイル7の軸方向に力が発生し、ケース9に対して磁石ユニットが振動する。この際、骨伝導用振動板11はケース9に対して振動し、この振動がケース9の一方の開口部に配置されたキャップ15を介して、利用者に伝達され、利用者が音を聴くことが可能となる。すなわち、コイル7と磁石ユニットとが相対的に振動することによって、ケース9の一方の側を骨伝導スピーカとして機能させることができる。
【0030】
また、逆に、聴音装置1では、コイル7に信号電流が印加されると、コイル7の周囲の磁石3から発生する磁界によりフレミングの左手の法則に従ってコイル7の軸方向に力が発生し、ケース9に対してコイル7側も振動する。この際、スピーカコーン13がケース9に対して振動し、この振動によって周囲の空気を振動させ、空気振動は、ケース9の他方の開口部に配置されたカバー23を通過して利用者に伝達され、利用者が音を聴くことが可能となる。すなわち、コイル7と磁石ユニットとが相対的に振動することによって、ケース9の他方の側を空気伝導スピーカとして機能させることができる。
【0031】
このように、聴音装置1は、同一の軸方向において、一方の側を骨伝導スピーカとして機能させ、逆側を空気伝導スピーカとして機能させることができる。なお、当該聴音装置を内蔵したイヤホンを使用する際には、例えば、空気伝導スピーカを耳孔に挿入し、骨伝導スピーカをこれと対向する対耳株や対耳輪などに当接させることで、空気伝導と骨伝導を同時に聴音することができる。
【0032】
なお、骨伝導スピーカと空気伝導スピーカとでは、全く同じ周波数帯の振動を出力してもよいが、骨伝導スピーカによって出力される周波数帯を、空気伝導スピーカによって出力される周波数帯よりも高くすることが望ましい。すなわち、高周波振動に対しては、相対的に骨伝導スピーカを強くし、低周波振動に対しては、相対的に空気伝導スピーカを強くすることが望ましい。
【0033】
この方法としては、例えば、骨伝導用振動板11のサイズを、スピーカコーン13のサイズよりも大きくする方法がある。サイズが大きくなるほど、同一の振動を付与した際に高周波帯が強くなる傾向がある。また、骨伝導用振動板11とスピーカコーン13の剛性を変えてもよい。例えば、剛性を高めることで高周波帯が強くなり、剛性を低くすることで低周波帯を強めることができる。このように、骨伝導用振動板11とスピーカコーン13を適切に設計することで、同一の磁石ユニットを用いても、出力される周波数帯を調整することができる。
【0034】
以上、本実施の形態によれば、同一のデバイスで、骨伝導スピーカと空気伝導スピーカとを同時に利用することができる。この際、同一の磁石ユニットを使用可能であるため、複数のアンプが不要である。
【0035】
また、骨伝導スピーカを主に高周波帯をメインとして、空気伝導スピーカを主に低周波帯をメインとして使用することで、従来の骨伝導スピーカのみ又は空気伝導スピーカのみの場合と比較して、使用者の違和感が少なく、明瞭な音声を聴音可能となる。
【0036】
例えば、骨伝導用振動板11のサイズをスピーカコーン13よりも大きくすることで、容易に骨伝導スピーカと空気伝導スピーカの主な周波数帯を変更することができる。このため、複数のアンプを用いることなく、骨伝導スピーカと空気伝導スピーカに適した音声を出力させることができる。
【0037】
次に、第2の実施形態について説明する。
図3は、聴音装置1aを示す図である。なお、以下の説明において、聴音装置1と同様の機能を発揮する構成については、
図1と同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0038】
聴音装置1aは、聴音装置1と略同様の構成であるが、磁石ユニット及びコイルの構成が異なる。聴音装置1aでは、聴音装置1におけるコイル7が、内周側の第1コイル7aと、外周側の第2コイル7bとからなる。また、第1コイル7aと第2コイル7bとの間には、第3ヨーク5cが配置される。
【0039】
第3ヨーク5cは、略筒状部と、略筒状部の一方を塞ぐように形成される円盤部とを有する。円盤部の一方の面に第1コイル7aと第2コイル7bが配置され、略筒状部は、第1コイル7aと第2コイル7bとの間に配置される。円盤部の他方の面には基板21と接合される。
【0040】
また、聴音装置1aの磁石ユニットは、第2コイル7bの外周側に配置される第1ヨーク5aと、第1コイル7aの内周側に配置される第2ヨーク5bを有する。すなわち、聴音装置1aでは、聴音装置1における磁石3が、第1ヨーク5aに固定される第1磁石3aと、第1磁石3aに対して第2ヨーク5bを挟んで配置される第2磁石3bとからなり、また、聴音装置1aでは、聴音装置1における磁石ユニットが、第1コイル7a、第2コイル7b、第1ヨーク5a、及び第2ヨーク5bとからなる。
【0041】
第3ヨーク5cの略筒状部の先端は、第2ヨーク5bの高さ近傍に配置される。同様に、第1ヨーク5aの側壁部の先端部は、第2ヨーク5bの高さ近傍に配置される。すなわち、第2磁石3bは、第3ヨーク5cの内部に配置され、第1磁石3aは、第1ヨーク5aの内部に配置される。
【0042】
なお、第1磁石3aと第2磁石3bとは、互いに同極性同士を対向させてもよく、異極性同士を対向させてもよい。同極性同士を対向させる場合(すなわち、第1磁石3aの下方と第2磁石3bの上方が同極性の場合)には、磁石からでる磁力線同士が反発するため、例えば第2ヨーク5bから出る径方向の磁力線を揃えることができる。この際、第1コイル7a、第2コイル7bを通過した磁力線の一部は第1ヨーク5aを経由して第1磁石3aに戻り、他の一部は第3ヨーク5cを経由して第2磁石3bへと戻すことができる。
【0043】
また、異極性同士を対向させる場合(すなわち、第1磁石3aの下方と第2磁石3bの上方が異極性の場合)には、大型の磁石を用いたのと同様の効果を得ることができる。なお、いずれの場合にも、第1ヨーク5aで第1コイル7aと第2コイル7bの上方を覆い、第3ヨーク5cで第1コイル7aを覆うため、磁力線が外部に漏れずに効率よく磁力を振動に利用することができる。このため、大きな音圧を得ることができる。
【0044】
このように、第2の実施形態によれば、第1磁石3aに対して、第2ヨーク5bを挟んで第2磁石3bを配置することで、磁力効果を高めることが可能であり、第3ヨーク5cを配置することで、より大きな音圧を得ることができる。なお、図視した例では、第2ヨーク5bは第1磁石3aとほぼ同サイズであり、第2磁石3bよりも大きい例を示すが、第1磁石3aと第2磁石3bとの間に第2ヨーク5bを挟む場合には、第2ヨーク5bのサイズを、第1磁石3aと第2磁石3bより大きくしておくことで、第2ヨーク5bの効果をより高めることができる。
【0045】
なお、通常、骨伝導スピーカと空気伝導スピーカとでは、効率の良いコイルのインピーダンスが異なる。例えば、骨伝導スピーカは8オーム程度が望ましく、空気伝導スピーカは12~16オーム程度が望ましい。このため、同一のコイルを用いると、両方のスピーカに望ましいインピーダンスを確保することができない。しかし、本発明では、骨伝導スピーカの低周波帯の出力は要求されないため、インピーダンスを従来の骨伝導スピーカに要求されるインピーダンスよりも上げて、この結果低周波帯の出力が低下しても問題が無い。すなわち、空気伝導スピーカ側にインピーダンスをシフトさせることで、両方のスピーカに対して適用可能となる。
【0046】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0047】
例えば、本発明の効果が得られる限り、他の部材を適宜追加してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1、1a………聴音装置
3………磁石
3a………第1磁石
3b………第2磁石
5a………第1ヨーク
5b………第2ヨーク
5c………第3ヨーク
7………コイル
7a………第1コイル
7b………第2コイル
9………ケース
11………骨伝導用振動板
13………スピーカコーン
15………キャップ
17………ピン
19………プレート
21………基板
23………カバー