(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092402
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】再生発泡性スチレン系樹脂粒子、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、および、再生スチレン系樹脂発泡成形体
(51)【国際特許分類】
C08J 9/16 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
C08J9/16 CET
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208304
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】道畑 直起
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA32
4F074AD16
4F074AG20
4F074BA37
4F074BA39
4F074CA34
4F074CA35
4F074CC32Y
4F074CC32Z
4F074CE43
4F074DA02
4F074DA03
4F074DA08
4F074DA18
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA34
(57)【要約】
【課題】環境貢献度が高い再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、優れた成形性を発現でき、得られる成形体に高い強度を付与できる、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を提供する。また、そのような再生発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供する。また、そのような、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を成形してなる、高い強度を発現できる再生スチレン系樹脂発泡成形体を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、予備発泡させることによって再生予備発泡スチレン系樹脂粒子となる再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が5μmを超えて520μm未満であり、該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性が1.00倍を超え、該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が5倍~120倍となる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備発泡させることによって再生予備発泡スチレン系樹脂粒子となる再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、
該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が5μmを超えて520μm未満であり、
該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性が1.00倍を超え、
該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が5倍~120倍となる、
再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項2】
再生スチレン系樹脂原料(A)と分散剤を含む懸濁液に発泡剤を圧入して含浸させて得られる、請求項1に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項3】
前記再生スチレン系樹脂原料(A)として、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる重合体粒子を用いる、請求項2に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項4】
前記再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出してストランドカットを行って得られる押出ストランドペレット、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出すと同時に水中で切断する水中カット法で得られる水中カットペレット、および、使用済みスチレン系樹脂を押出機のダイから出た直後にカットして冷却するホットカット法で得られるホットカットペレットから選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項5】
前記再生スチレン系樹脂原料(A)として、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)をそのまま用いる、請求項2に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項6】
前記再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出してストランドカットを行って得られる押出ストランドペレット、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出すと同時に水中で切断する水中カット法で得られる水中カットペレット、および、使用済みスチレン系樹脂を押出機のダイから出た直後にカットして冷却するホットカット法で得られるホットカットペレットから選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子。
【請求項8】
請求項7に記載の再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を成形してなる、再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【請求項9】
JIS A 9521に準拠して測定した10%圧縮強度が0.03MPa~0.90MPaである、請求項8に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生発泡性スチレン系樹脂粒子、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、および、再生スチレン系樹脂発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡成形体は、軽量かつ断熱性および機械的強度に優れることから、住宅および自動車等に用いられる断熱材、建築資材等に用いられる保温材、発泡スチロール土木工法に用いられる盛土材料、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に幅広く使用されている。中でも、発泡性粒子(代表的には、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子あるいはそれを予備発泡させた予備発泡スチレン系樹脂粒子)を原料として製造される型内発泡成形体が、所望の形状を得やすい等の利点から多く使用されている。このような発泡成形体は、互いに融着した複数の発泡性粒子により構成されている。
【0003】
他方、プラスチック廃棄物の量は年々増加している。プラスチック廃棄物の大半は、焼却や埋め立てなどにより処分されているが、環境汚染、地球温暖化、埋め立て処理場の不足など、大きな社会問題となっている。このため、プラスチック廃棄物の再利用が社会的に強く要請され、家電リサイクル法の施行を受けるなどして、プラスチック廃棄物のリサイクルについて各種の検討がなされている。様々なリサイクル方法が提案されている中、資源循環や環境負荷低減の観点から、プラスチック廃棄物を再び製品のプラスチック部材として再利用するマテリアルリサイクルが注目されており、スチレン系樹脂発泡成形体についても、このようなマテリアルリサイクルが検討されている。
【0004】
スチレン系樹脂発泡成形体のマテリアルリサイクルとしては、従来、回収原料を溶融して押出すことにより回収ペレットとし、これに発泡剤を含浸し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法がいくつか提案されている。
【0005】
スチレン系樹脂発泡成形体の回収品から成形した再生樹脂ペレットに発泡剤を含浸または圧入後に含浸することにより、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が報告されている(特許文献1~4)。スチレン系樹脂発泡成形体の回収品から成形した再生樹脂ペレットに、スチレン単量体を加えて重合し、その後、発泡剤を含浸または圧入後に含浸することにより、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が報告されている(特許文献5~8)。
【0006】
しかしながら、従来の再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、特に、回収原料を用いない発泡性スチレン系樹脂粒子に比べて、成形体の表面の伸びが悪くなったり、成形体の発泡粒間の融着率が低くなったりするなど、成形性が低下するという問題がある。また、従来の再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、特に、回収原料を用いない発泡性スチレン系樹脂粒子に比べて、成形体の強度が低下するという問題がある。
【0007】
また、回収原料は不純物を含むことが多く、このような不純物を含む回収原料を用いた従来の再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、成形性が低下する問題があるとともに、燃焼しやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3044942号公報
【特許文献2】特許第4234832号公報
【特許文献3】特許第4261676号公報
【特許文献4】特許第6788428号公報
【特許文献5】特許第4052193号公報
【特許文献6】特開2006-160905号公報
【特許文献7】特許第4912567号公報
【特許文献8】特許第5128246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、環境貢献度が高い再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、優れた成形性を発現でき、得られる成形体に高い強度を付与できる、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を提供することにある。また、そのような再生発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供することにある。また、そのような、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を成形してなる、高い強度を発現できる再生スチレン系樹脂発泡成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、予備発泡させることによって再生予備発泡スチレン系樹脂粒子となる再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が5μmを超えて520μm未満であり、該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性が1.00倍を超え、該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が5倍~120倍となる。
[2]上記[1]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子において、上記再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂原料(A)と分散剤を含む懸濁液に発泡剤を圧入して含浸させて得られるものであってもよい。
[3]上記[2]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子において、上記再生スチレン系樹脂原料(A)として、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる重合体粒子を用いてもよい。
[4]上記[3]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子において、上記再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出してストランドカットを行って得られる押出ストランドペレット、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出すと同時に水中で切断する水中カット法で得られる水中カットペレット、および、使用済みスチレン系樹脂を押出機のダイから出た直後にカットして冷却するホットカット法で得られるホットカットペレットから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
[5]上記[2]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子において、上記再生スチレン系樹脂原料(A)として、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)をそのまま用いてもよい。
[6]上記[5]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子において、上記再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出してストランドカットを行って得られる押出ストランドペレット、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出すと同時に水中で切断する水中カット法で得られる水中カットペレット、および、使用済みスチレン系樹脂を押出機のダイから出た直後にカットして冷却するホットカット法で得られるホットカットペレットから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
[7]本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、上記[1]から[6]までのいずれかに記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる。
[8]本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、上記[7]に記載の再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を成形してなる。
[9]上記[8]に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体において、JIS A 9521に準拠して測定した10%圧縮強度が0.03MPa~0.90MPaであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、環境貢献度が高い再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、優れた成形性を発現でき、得られる成形体に高い強度を付与できる、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を提供することができる。また、そのような再生発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供することができる。また、そのような、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を成形してなる、高い強度を発現できる再生スチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0013】
本明細書において「(メタ)アクリル」とある場合は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とある場合は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
【0014】
≪≪A.再生発泡性スチレン系樹脂粒子≫≫
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、予備発泡させることによって再生予備発泡スチレン系樹脂粒子となる。
【0015】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、全体として粒子の形状を有する。再生発泡性スチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは0.40mm~3.0mmであり、より好ましくは0.6mm~2.5mmである。平均粒子径は、JIS Z 8815に準拠して測定され得る。具体的には、平均粒子径は、JIS Z 8815の篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とされる。
【0016】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形状を採用することができる。このような形状の具体例としては、例えば、球状、略球状、楕円球状(卵状)などが挙げられる。本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状としては、本発明の効果を発現する点で、好ましくは、球状、略球状であり、より好ましくは球状である。しかしながら、現実的には、球状と略球状との区別は難しいため、本明細書では、両者を合わせて球状とする。
【0017】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重量平均分子量を採用することができる。このような重量平均分子量としては、好ましくは10万~51万であり、より好ましくは11万~49万であり、さらに好ましくは12万~47万であり、特に好ましくは13万~46万である。
【0018】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、それを予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が、好ましくは5μmを超えて520μm未満であり、より好ましくは5μm~500μmであり、さらに好ましくは5μm~450μmであり、特に好ましくは5μm~400μmであり、最も好ましくは5μm~380μmである。上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果が発現し得、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、優れた成形性を発現し得、得られる成形体に高い強度を付与し得る。上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が上記範囲内から外れると、優れた成形性を発現できないおそれや、得られる成形体に高い強度を付与できないおそれがある。
【0019】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、それを予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性が、好ましくは1.00倍を超え、より好ましくは1.05倍以上であり、さらに好ましくは1.10倍以上であり、特に好ましくは1.15倍以上であり、最も好ましくは1.20倍以上である。上記二次発泡性の上限値は、成形時の面圧が上がり、冷却時間が長くなって成形サイクルが長くなる観点から、また、成形に必要以上の残存ガスを残してしまうことより環境負荷が大きくなったりコストアップとなったりする観点から、好ましくは6.0倍以下であり、より好ましくは5.0倍以下であり、さらに好ましくは4.0倍以下であり、特に好ましくは3.5倍以下である。上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果が発現し得、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、優れた成形性を発現し得、得られる成形体に高い強度を付与し得る。上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性が上記範囲内から外れると、優れた成形性を発現できないおそれや、得られる成形体に高い強度を付与できないおそれがある。
【0020】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、それを予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が、好ましくは5倍~120倍となり、より好ましくは2倍以上100倍未満となり、より好ましくは5倍~90倍となり、さらに好ましくは10倍~85倍となり、特に好ましくは15倍~83倍となる。上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果が発現し得、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、優れた成形性を発現し得、得られる成形体に高い強度を付与し得る。上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が上記範囲内から外れると、優れた成形性を発現できないおそれや、得られる成形体に高い強度を付与できないおそれがある。
【0021】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段によって製造し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、代表的には、再生スチレン系樹脂原料(A)と分散剤を含む懸濁液に発泡剤を圧入して含浸させて得られる。
【0022】
≪A-1.再生スチレン系樹脂原料(A)の説明≫
再生スチレン系樹脂原料(A)としては、例えば、再生スチレン系樹脂原料粒子、再生発泡性スチレン系樹脂粒子、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、再生スチレン系樹脂発泡成形品が挙げられる。
【0023】
再生スチレン系樹脂原料粒子は、使用済みのスチレン系樹脂であり、そのペレット、収縮物、溶融物であってもよい。再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂原料粒子に発泡剤が圧入・含浸している粒子である。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる粒子である。再生スチレン系樹脂発泡成形体は、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体である。
【0024】
再生スチレン系樹脂原料(A)の好ましい実施形態としては、
(再生スチレン系樹脂原料(A)の実施形態1)再生スチレン系樹脂原料(A)として、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる重合体粒子を用いる実施形態、
(再生スチレン系樹脂原料(A)の実施形態2)再生スチレン系樹脂原料(A)として、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)をそのまま用いる実施形態、
の2つの実施形態が挙げられる。
【0025】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0026】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な再生スチレン系樹脂を採用し得る。このような再生スチレン系樹脂としては、例えば、発泡スチロール(型物成形品、ブロック成形品など)や発泡シート(トレー容器、シート破材など)や家電製品や包装容器やクッションビーズなどで使用されているプラスチック材料のリサイクル品が挙げられる。
【0027】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な再生スチレン系樹脂以外の他の再生樹脂を含んでいてもよい。このような他の再生樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)などのポリエステル系樹脂;ナイロン(PA)などのポリアミド系樹脂;ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)などのポリオレフィン系樹脂;の再生樹脂が挙げられる。他の樹脂は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。なお、本明細書においては、AS樹脂のみからなる再生樹脂、ABS樹脂のみからなる再生樹脂、およびHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)のみからなる再生樹脂は、上記の再生スチレン系樹脂の範疇には含めないものとする。
【0028】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、積水化成品工業株式会社製の商品名「エプスレム」から作られる成形品を採用してもよい。
【0029】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、使用済みのスチレン系樹脂を加熱および/または減容して得られる再生樹脂を粉砕した粉砕物を採用してもよい。再生スチレン系樹脂原料粒子としては、この粉砕物を押出成形してペレット化したペレットものであってもよいし、このペレットをさらに粉砕したものであってもよい。または、リモネンなどの溶媒を利用して減容回収したものであってもよい。
【0030】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、好ましくは、溶融押出法によって得られるペレットである。溶融押出法とは、代表的には、使用済みのスチレン系樹脂の粉砕品やインゴット、発泡粒子などを樹脂供給装置に供給し、その樹脂供給装置内で溶融し、その樹脂供給装置の先端に付設されたダイの小孔から押し出し、その後、冷却することによってペレットを得る方法である。
【0031】
上記の溶融押出法によって得られるペレットとしては、好ましくは、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出してストランドカットを行って得られる押出ストランドペレット、使用済みスチレン系樹脂を押出機によって押出すと同時に水中で切断する水中カット法で得られる水中カットペレット、および、使用済みスチレン系樹脂を押出機のダイから出た直後にカットして冷却するホットカット法で得られるホットカットペレットから選ばれる少なくとも1種である。
【0032】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)として、上記の溶融押出法によって得られるペレットをそのまま使用してもよいし、より小さなサイズのペレットとするために、再度、溶融押出法などによっていわゆる「ミニペレット」としてもよい。
【0033】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、使用済みのスチレン系樹脂を、必要に応じて適当な大きさに粗粉砕した後、熱収縮、圧縮による気泡破壊収縮、摩擦熱による収縮、溶融などを行って得られる、スチレン系樹脂の収縮物または溶融物であってもよい。使用済みのスチレン系樹脂としては、例えば、発泡性スチレン系樹脂を金型成形した成形品、これを加熱発泡させたものが挙げられる。
【0034】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)には、微粉状の無機物および/または有機系滑剤を含めることができる。これらは、代表的には、気泡調整剤として機能し得る。
【0035】
微粉状の無機物としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカが挙げられる。ここで、タルクとは、代表的には、酸化ケイ素および酸化マグネシウムを主成分とし、酸化アルミニウム、酸化鉄等を微量に含む混合物をいう。
【0036】
微粉状の無機物の平均粒子径は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。微粉状の無機物の平均粒子径が100μmを超えると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズを小さくする効果が低下してしまうおそれがある。
【0037】
微粉状の無機物の含有割合は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対して、好ましくは0.01質量%~5質量%であり、より好ましくは0.05質量%~2質量%である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対する微粉状の無機物の含有割合が0.1質量%未満であると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズを小さくする効果が低下してしまうおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対する微粉状の無機物の含有割合が5質量%を越えると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズが極端に小さくなり、成形時には再生予備発泡スチレン系樹脂粒子が溶融してしまい、成形品外観が悪化するおそれがある。
【0038】
有機系滑剤としては、例えば、流動パラフィン;ポリエチレングリコール;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーンオイル;メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の高級脂肪酸ビスアトミド;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩;が挙げられる。
【0039】
有機系滑剤の含有割合は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対して、好ましくは0.01質量%~2.0質量%であり、より好ましくは0.02質量%~1.8質量%であり、場合によっては、さらに好ましくは0.02質量%~1.5質量%であり、特に好ましくは0.02質量%~1.0質量%である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対する有機系滑剤の含有割合が0.01質量%未満であると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズを小さくする効果が低下してしまうおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対する有機系滑剤の含有割合が2.0質量%を越えると再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズが極端に小さくなり、成形時に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子が溶融してしまい、成形品外観が劣る傾向がある。
【0040】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に、微粉状の無機物および/または有機系滑剤を含める具体的方法としては、例えば、押出成形の際に、微粉状の無機物および/または有機系滑材を混練する方法が挙げられる。この場合、好ましくは、予め粉砕物と気泡調整剤を混合した後、押出成形する。粉砕物と気泡調整剤の混合方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で行うことができる。このような方法としては、例えば、タンブラー、リボンブレンダー、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲーミキサー等の混合機を用いた混合方法が挙げられる。
【0041】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、比重調整を目的に熱溶融されることが好ましい。この工程で、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の比重を、好ましくは0.6以上に調整し、より好ましくは0.9以上に調整する。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の比重が0.6未満であると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の分散が不安定であるため、後に続く重合工程中に過大粒子が発生し歩留まりが低下するおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の熱溶融は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で行うことができる。このような方法としては、例えば、押出機、熱ロールを用いた方法が挙げられる。熱溶融は、得られた樹脂にひずみが残留しない、または、ひずみが小さい状態で、冷却固化することすることが好ましい。樹脂粒子にひずみが残っていると、後に続く工程でひずみが緩和され、延伸方向に収縮し、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状とならず扁平状となるおそれがある。したがって、熱溶融としては、押出機を用いて無延伸溶融することが好ましい。熱溶融を延伸状態で行うと、冷却固化して得られる延伸樹脂にひずみが残るおそれがある。なお、熱溶融によって樹脂にひずみが残っていても、樹脂の軟化点以上の温度で一定時間養生することでひずみを緩和させることもできる。
【0042】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を得る際の粉砕は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の粉砕機を採用し得る。このような粉砕機としては、例えば、プラスチック用の粉砕機を採用でき、ポリスチレン用粉砕機が好ましい。
【0043】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、必要に応じてふるい分けされ、再度、押出機等による溶融に供することができる。
【0044】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径は、好ましくは0.2mm~3.0mmであり、より好ましくは0.3mm~2.5mmであり、さらに好ましくは0.4mm~2.0mmであり、特に好ましくは0.5mm~1.7mmである。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径が3mmを越えると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状が球状になりにくいおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径が0.2mm未満であると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の平均粒子径が小さすぎるおそれがある。
【0045】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のL(長辺)/D(短辺)は、好ましくは1.0~6.0であり、より好ましくは1.0~5.0であり、さらに好ましくは1.0~4.0であり、特に好ましくは1.0~3.0であり、最も好ましくは1.0~2.5である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のL(長辺)/D(短辺)が上記範囲から外れると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状が球状になりにくいおそれがある。
【0046】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、その平均粒子径が200μm以下の粒子の含有量が1質量%未満であることが好ましい。平均粒子径が200μm以下の粒子の含有量が1質量%以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、それを用いて得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の外観が悪化するおそれがある。
【0047】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の重量平均分子量は、好ましくは10万~51万であり、より好ましくは15万~49万である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の重量平均分子量が10万未満では、十分な強度が得られないおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の重量平均分子量が51万を越えると、再生スチレン系樹脂原料粒子が球状になりにくいおそれや、発泡性が低下して成形品外観が劣るおそれがある。
【0048】
再生スチレン系樹脂原料(A)の実施形態1において用いるスチレン系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0049】
スチレン系単量体は、スチレンまたはスチレン誘導体を含む。スチレン誘導体としては、例えば、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。スチレン系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。スチレン系単量体は、好ましくは、少なくともスチレンを含有する。スチレン系単量体の全量に対するスチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
【0050】
スチレン単量体は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なスチレン単量体以外のビニル単量体を含んでもよい。例えば、多官能単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、マレイン酸エステル単量体、フマル酸エステル単量体が挙げられる。このようなビニル単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0051】
多官能単量体の具体例としては、例えば、о-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシルが挙げられる。マレイン酸エステル単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチルが挙げられる。フマル酸エステル単量体としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸エチルが挙げられる。
【0052】
再生スチレン系樹脂原料(A)の実施形態1において、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)とスチレン系単量体の合計量に対する該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の含有割合は、好ましくは5質量%~90質量%であり、より好ましくは10質量%~85質量%であり、さらに好ましくは15質量%~80質量%であり、特に好ましくは20質量%~75質量%であり、最も好ましくは20質量%~70質量%である。上記含有割合が上記範囲を外れて少なすぎると、環境貢献度が低くなるおそれがある。また、上記含有割合が上記範囲を外れて少なすぎたり、多すぎたりすると、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子について、良好な球状化が発現できないおそれがあり、成形性が低下するおそれがある。
【0053】
再生スチレン系樹脂原料(A)は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる。このような重合方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような重合方法の一つの好ましい実施形態としては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水へ分散させて得られる懸濁液に対し、重合開始剤とスチレン系単量体を含む乳濁液を加えて再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に含浸させ、引き続き、スチレン系単量体を添加し、重合を行う方法が挙げられる。
【0054】
再生スチレン系樹脂原料(A)の実施形態1において、再生スチレン系樹脂原料(A)を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは40℃~119℃であり、好ましくは40℃~118℃であり、より好ましくは40℃~117℃であり、さらに好ましくは50℃~117℃であり、特に好ましくは60℃~117℃である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度を上記範囲内に調整すれば、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を適度な硬さに維持した状態でスチレン系単量体を取り込めるので、再生スチレン系樹脂原料(A)の良好な球状化が発現でき、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の良好な球状化や優れた成形性を発現し得る。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度が上記範囲を外れて低すぎると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が硬くなりすぎてしまい、この状態でスチレン系単量体を取り込んだ場合に再生スチレン系樹脂原料(A)が球状化しにくくなり、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状化しにくいおそれや成形性に劣るおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度が上記範囲を外れて高すぎると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が柔らかくなりすぎてしまい、この状態でスチレン系単量体を取り込んだ場合に再生スチレン系樹脂原料(A)が球状化しにくくなり、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状化しにくいおそれや成形性に劣るおそれがある。なお、ここにいう「再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度」は、重合開始剤とスチレン系単量体を含む乳濁液の添加、および、その後のスチレン系単量体の添加を通じての添加温度を意味する。
【0055】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような分散の方法としては、好ましくは、攪拌翼を備えた装置を用いて行う分散である。より微細に分散する方法としては、ホモミキサーを用いる方法が挙げられる。
【0056】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散においては、分散剤を用いることが好ましい。分散剤は、懸濁重合に用い得るものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な分散剤を採用し得る。このような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の有機系分散剤;リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム等の難溶性無機塩;が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、分散剤としては、ピロリン酸マグネシウムが好ましい。
【0057】
再生スチレン系樹脂原料(A)100質量部に対する分散剤の配合割合は、好ましくは0.1質量部~2質量部であり、より好ましくは0.1質量部~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部~1.0質量部である。
【0058】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散においては、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤は、懸濁重合に用い得るものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な界面活性剤を採用し得る。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムおよびα-オレフィンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0059】
再生スチレン系樹脂原料(A)100質量部に対する界面活性剤の配合割合は、好ましくは0.005質量部~0.1質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.08質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.06質量部である。
【0060】
重合開始剤とスチレン系単量体を含む乳濁液を得る際の乳濁の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような分散の方法としては、好ましくは、攪拌翼を備えた装置を用いて行う分散である。より微細に分散する方法としては、ホモミキサーを用いる方法が挙げられる。このとき、スチレン系単量体を分散した分散液の油滴径が、核の粒子径以下になるまで分散することが好ましい。油滴径が核の粒子径よりも大きい状態で水性媒体中に添加されると、スチレン系単量体を分散した分散液の油滴に複数の再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が取り込まれ、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の粘着、可塑化、合一が生じ、過大粒子が発生しやすいためである。
【0061】
重合開始剤とスチレン系単量体を含む乳濁液を得る際に用いる重合開始剤としては、懸濁重合法に用いられるものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-ブチルパーベンゾエート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;が挙げられる。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0062】
重合開始剤の使用量は、好ましくは、スチレン系単量体に対して0.1質量%~1.0質量%であり、より好ましくは0.1質量%~0.8質量%である。
【0063】
重合開始剤は、好ましくは、スチレン系単量体または溶剤に溶解して添加する。溶剤としては、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;が挙げられる。溶剤を用いる場合は、通常、スチレン系単量体に対して10質量%以下の量で用いる。
【0064】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を含む乳濁液を加えて含浸させた後に、スチレン系単量体を加える方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、例えば、分割添加、連続添加が挙げられる。添加速度は、重合装置の容量、形状、重合温度等に応じて適宜選択される。
【0065】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を含む乳濁液を加えて含浸させた後に、スチレン系単量体を加えた後、必要に応じて、任意の適切な温度と時間で重合反応を続行してもよい。
【0066】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液やスチレン系単量体を含む乳濁液には、気泡調整剤が含まれていてもよい。このような気泡調整剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド;が挙げられる。
【0067】
≪A-2.再生発泡性スチレン系樹脂粒子の詳細な説明≫
本発明の効果をより発現させ得る点で、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、代表的には、再生スチレン系樹脂原料(A)と分散剤を含む懸濁液に発泡剤を圧入して含浸させて得られる。
【0068】
発泡剤の圧入と含浸の方法としては、代表的には、再生スチレン系樹脂原料(A)と分散剤を、オートクレーブ等の反応器に入れ、発泡剤を圧入して含浸させる方法が挙げられる。
【0069】
発泡剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0070】
発泡剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な発泡剤を用いることができる。発泡剤としては、好ましくは、揮発性発泡剤が挙げられる。揮発性発泡剤としては、好ましくは、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状または液状の有機化合物である。具体例としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン(ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン)、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロペンタジエン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素;などが挙げられる。揮発性発泡剤として、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガスを用いてもよい。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、揮発性発泡剤としては、好ましくは、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、およびシクロペンタジエンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、およびイソペンタンから選ばれる少なくとも1種である。発泡剤の好ましい実施形態としては、例えば、ノルマルペンタンとイソペンタンの混合ガス(A)(ノルマルペンタン/イソペンタンとして、好ましくは99質量%/1質量%~50質量%/50質量%であり、より好ましくは95質量%/5質量%~55質量%/45質量%であり、さらに好ましくは90質量%/10質量%~60質量%/40質量%であり、特に好ましくは85質量%/15質量%~65質量%/35質量%である)、ノルマルブタンとイソブタンの混合ガス(B)(ノルマルブタン/イソブタンとして、好ましくは99質量%/1質量%~50質量%/50質量%であり、より好ましくは95質量%/5質量%~55質量%/45質量%であり、さらに好ましくは90質量%/10質量%~60質量%/40質量%であり、特に好ましくは85質量%/15質量%~65質量%/35質量%である)、および、これら2種の混合ガス(A)と(B)の併用(ノルマルペンタンとイソペンタンの混合ガス(A)/ノルマルブタンとイソブタンの混合ガス(B)として、好ましくは99質量%/1質量%~1質量%/99質量%であり、より好ましくは90質量%/10質量%~10質量%/90質量%であり、さらに好ましくは80質量%/20質量%~20質量%/80質量%であり、特に好ましくは70質量%/30質量%~30質量%/70質量%であり、最も好ましくは60質量%/40質量%~40質量%/60質量%である)が挙げられる。また、ノルマルペンタンとイソペンタンの混合ガス(A)とノルマルブタンとイソブタンの混合ガス(B)との併用形態だけではなく、ノルマルペンタンとイソペンタンとノルマルブタンとイソブタンのそれぞれを混合することによる併用形態も挙げられ、この場合、ノルマルペンタン/イソペンタンとして、好ましくは99質量%/1質量%~50質量%/50質量%であり、より好ましくは95質量%/5質量%~55質量%/45質量%であり、さらに好ましくは90質量%/10質量%~60質量%/40質量%であり、特に好ましくは85質量%/15質量%~65質量%/35質量%であり、ノルマルブタン/イソブタンとして、好ましくは99質量%/1質量%~50質量%/50質量%であり、より好ましくは95質量%/5質量%~55質量%/45質量%であり、さらに好ましくは90質量%/10質量%~60質量%/40質量%であり、特に好ましくは85質量%/15質量%~65質量%/35質量%であり、ノルマルペンタンとイソペンタンの合計量/ノルマルブタンとイソブタンの合計量として、好ましくは99質量%/1質量%~1質量%/99質量%であり、より好ましくは90質量%/10質量%~10質量%/90質量%であり、さらに好ましくは80質量%/20質量%~20質量%/80質量%であり、特に好ましくは70質量%/30質量%~30質量%/70質量%であり、最も好ましくは60質量%/40質量%~40質量%/60質量%である。
【0071】
発泡剤の含有量は、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子および再生スチレン系樹脂発泡成形体を形成するために十分な量であれば、目的(嵩発泡倍率、二次発泡性、発泡倍率、平均気泡径の調整など)に応じて適切に設定され得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、発泡剤の含有量は、再生スチレン系樹脂原料(A)の量を100質量部としたときに、好ましくは2.0質量部~15.0質量部であり、より好ましくは2.5質量部~14.5質量部であり、さらに好ましくは3.0質量部~14.0質量部であり、特に好ましくは3.5質量部~13.5質量部であり、最も好ましくは4.0質量部~13.0質量部である。
【0072】
分散剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な分散剤を採用し得る。分散剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の有機系分散剤;リン酸金属塩等の難溶性無機塩;が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、分散剤としては、難溶性無機塩が好ましい。難溶性無機塩としては、例えば、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、メタリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0073】
分散剤の使用量は、目的に応じて適切に設定され得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、分散剤の使用量は、再生スチレン系樹脂原料(A)の量を100質量部としたときに、好ましくは0.1質量部~2質量部であり、より好ましくは0.1質量部~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部~1.0質量部である。
【0074】
再生スチレン系樹脂原料(A)と分散剤をオートクレーブ等の反応器に入れる際に、界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤としては、本発明の効果を損ない範囲で、任意の適正な界面活性剤を採用し得る。1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムおよびα-オレフィンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0075】
界面活性剤の使用量は、目的に応じて適切に設定され得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、界面活性剤の使用量は、再生スチレン系樹脂原料(A)の量を100質量部としたときに、好ましくは0.005質量部~0.1質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.08質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.06質量部である。
【0076】
再生スチレン系樹脂原料(A)への発泡剤の圧入温度は、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度をTg、発泡剤を圧入する温度をT1、発泡剤を含浸する温度をT2としたときに、T1が(Tg-50℃)以上(Tg+40℃)以下の範囲内であり、T2が(Tg-50℃)以上(Tg+40℃)以下の範囲内である。T1、T2が上記範囲内にあることにより、優れた成形性を発現でき、得られる成形体に高い強度を付与できる、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を提供し得る。
【0077】
再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは85℃~115℃であり、より好ましく88℃~111℃であり、さらに好ましくは91℃~109℃であり、特に好ましくは93℃~107℃であり、最も好ましくは95℃~105℃である。
【0078】
T1の下限値は、前述の通り、(Tg-50℃)以上であり、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは(Tg-40℃)以上であり、より好ましくは(Tg-30℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-20℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-10℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-7℃)以上であり、特に好ましくは(Tg-5℃)以上であり、最も好ましくは(Tg-3℃)以上である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、T1の下限値は、50℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは75℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上であり、さらに好ましくは85℃以上であり、さらに好ましくは90℃以上であり、特に好ましくは93℃以上であり、最も好ましくは95℃以上である。
【0079】
T2の下限値は、前述の通り、(Tg-50℃)以上であり、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは(Tg-40℃)以上であり、より好ましくは(Tg-30℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-20℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-10℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-7℃)以上であり、特に好ましくは(Tg-5℃)以上であり、最も好ましくは(Tg-3℃)以上である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、T2の下限値は、50℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは75℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上であり、さらに好ましくは85℃以上であり、さらに好ましくは90℃以上であり、特に好ましくは93℃以上であり、最も好ましくは95℃以上である。
【0080】
T1の上限値は、前述の通り、(Tg+40℃)以下であり、本発明の効果をより発現させ得る点や製造コストを低減する点などで、好ましくは(Tg+35℃)以下であり、より好ましくは(Tg+30℃)以下であり、さらに好ましくは(Tg+25℃)以下であり、特に好ましくは(Tg+20℃)以下である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、T1の上限値は、140℃以下であり、好ましくは135℃以下であり、より好ましくは130℃以下であり、さらに好ましくは125℃以下であり、特に好ましくは120℃以下である。
【0081】
T2の上限値は、それぞれ、前述の通り、(Tg+40℃)以下であり、本発明の効果をより発現させ得る点や製造コストを低減する点などで、好ましくは(Tg+35℃)以下であり、より好ましくは(Tg+30℃)以下であり、さらに好ましくは(Tg+25℃)以下であり、特に好ましくは(Tg+20℃)以下である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、T2の上限値は、140℃以下であり、好ましくは135℃以下であり、より好ましくは130℃以下であり、さらに好ましくは125℃以下であり、特に好ましくは120℃以下である。
【0082】
1つの好ましい実施形態(「実施形態1」と称することがある)は、T1が(Tg-50℃)以上(Tg+40℃)以下の範囲内であり、T2が(Tg-50℃)以上(Tg+10℃)未満の範囲内である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態1においては、T1が50℃以上140℃以下の範囲内であり、T2が50℃以上110℃未満の範囲内である。
【0083】
別の1つの好ましい実施形態(「実施形態2」と称することがある)は、T1が(Tg+10℃)以上(Tg+30℃)以下の範囲内であり、T2が(Tg+10℃)以上(Tg+30℃)以下の範囲内である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態2においては、T1が110℃以上130℃以下であり、T2が110℃以上130℃以下である。
【0084】
実施形態1が選択される場合、分散剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な分散剤を採用し得る。このような分散剤としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、有機系分散剤および難溶性無機塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を採用することが好ましい。有機系分散剤としては、前述の通り、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースが挙げられる。難溶性無機塩としては、前述の通り、例えば、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、メタリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0085】
したがって、本発明の再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法の1つの好ましい実施形態は、実施形態1が選択される場合であり、再生スチレン系樹脂原料(A)と分散剤を含む懸濁液に発泡剤を圧入して含浸させる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、該再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度をTg、該発泡剤を圧入する温度をT1、該発泡剤を含浸する温度をT2としたときに、T1が(Tg-50℃)以上(Tg+40℃)以下の範囲内であり、T2が(Tg-50℃)以上(Tg+10℃)未満の範囲内であり、該分散剤が有機系分散剤および難溶性無機塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0086】
実施形態2が選択される場合、分散剤としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、難溶性無機塩を採用することが好ましい。難溶性無機塩としては、前述の通り、例えば、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、第三リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、メタリン酸マグネシウムが挙げられ、特に好ましくはピロリン酸マグネシウムである。
【0087】
したがって、本発明の再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法の別の1つの好ましい実施形態は、実施形態2が選択される場合であり、再生スチレン系樹脂原料(A)と分散剤を含む懸濁液に発泡剤を圧入して含浸させる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、該再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度をTg、該発泡剤を圧入する温度をT1、該発泡剤を含浸する温度をT2としたときに、T1が(Tg+10℃)以上(Tg+30℃)以下の範囲内であり、上記T2が(Tg+10℃)以上(Tg+30℃)以下の範囲内であり、該分散剤が難溶性無機塩、特に好ましくはピロリン酸マグネシウムである。
【0088】
実施形態1における、T1の下限値は、前述の通り、(Tg-50℃)以上であり、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは(Tg-40℃)以上であり、より好ましくは(Tg-30℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-20℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-10℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-7℃)以上であり、特に好ましくは(Tg-5℃)以上であり、最も好ましくは(Tg-3℃)以上である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態1における、T1の下限値は、50℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは75℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上であり、さらに好ましくは85℃以上であり、さらに好ましくは90℃以上であり、特に好ましくは93℃以上であり、最も好ましくは95℃以上である。
【0089】
実施形態1における、T2の下限値は、前述の通り、(Tg-50℃)以上であり、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは(Tg-40℃)以上であり、より好ましくは(Tg-30℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-20℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-10℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg-7℃)以上であり、特に好ましくは(Tg-5℃)以上であり、最も好ましくは(Tg-3℃)以上である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態1における、T2の下限値は、50℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは75℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上であり、さらに好ましくは85℃以上であり、さらに好ましくは90℃以上であり、特に好ましくは93℃以上であり、最も好ましくは95℃以上である。
【0090】
実施形態1における、T1の上限値は、前述の通り、(Tg+40℃)以下であり、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは(Tg+35℃)以下であり、より好ましくは(Tg+30℃)以下であり、さらに好ましくは(Tg+27℃)以下であり、特に好ましくは(Tg+25℃)以下であり、最も好ましくは(Tg+23℃)以下である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態1における、T1の上限値は、140℃以下であり、好ましくは135℃以下であり、より好ましくは130℃以下であり、さらに好ましくは127℃以下であり、特に好ましくは125℃以下であり、最も好ましくは123℃以下である。
【0091】
実施形態1における、T2の上限値は、前述の通り、(Tg+10℃)未満であり、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは(Tg+9℃)以下であり、より好ましくは(Tg+8℃)以下であり、さらに好ましくは(Tg+7℃)以下であり、特に好ましくは(Tg+6℃)以下であり、最も好ましくは(Tg+5℃)以下である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態1における、T2の上限値は、110℃未満であり、好ましくは109℃以下であり、より好ましくは108℃以下であり、さらに好ましくは107℃以下であり、特に好ましくは106℃以下であり、最も好ましくは105℃以下である。
【0092】
実施形態2における、T1の下限値は、前述の通り、(Tg+10℃)以上である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態2における、T1の下限値は、110℃以上である。
【0093】
実施形態2における、T2の下限値は、前述の通り、(Tg+10℃)以上である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態2における、T2の下限値は、110℃以上である。
【0094】
実施形態2における、T1の上限値は、前述の通り、(Tg+30℃)以下である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態2における、T1の上限値は、130℃以下である。
【0095】
実施形態2における、T2の上限値は、前述の通り、(Tg+30℃)以下である。代表例として、再生スチレン系樹脂原料(A)のガラス転移温度Tgが100℃の場合、実施形態2における、T2の上限値は、130℃以下である。
【0096】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸時間は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な時間を採用し得る。このような含浸時間としては、好ましくは1時間~10時間であり、より好ましくは1時間~8時間である。
【0097】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0098】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子が難燃剤を含む場合、難燃剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有量を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、難燃剤の含有量は、再生スチレン系樹脂原料(A)の量を100質量部としたときに、好ましくは0.01質量部~10.0質量部であり、より好ましくは0.05質量部~8.0質量部であり、さらに好ましくは0.08質量部~6.0質量部であり、特に好ましくは0.1質量部~4.0質量部であり、最も好ましくは0.1質量部~3.0質量部である。
【0099】
難燃剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な難燃剤を採用し得る。このような難燃剤としては、ポリスチレンと相溶する臭素化合物が好ましく、例えば、テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモシクロヘキサン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、2,2-ビス[4’(2’’,3’’-ジブロモアルコキシ)-3’,5’-ジブロモフェニル]-プロパン、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、2,2-ビス(4-アリロキシ-3,5-ジブロモ)プロパン、ヘキサブロモベンゼンが挙げられる。
【0100】
難燃剤は、任意の適切なタイミングで添加し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、難燃剤は、再生スチレン系樹脂原料(A)に発泡剤を圧入する前に添加されることが好ましい。難燃剤を、発泡剤を圧入する前に添加することにより、難燃剤を、発泡剤を圧入する温度と同等もしくは低い温度で添加し得るので、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の良好な球状化や優れた成形性を発現し得る。
【0101】
難燃剤を添加する際の添加温度は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは5℃~89℃であり、より好ましくは5℃~87℃であり、さらに好ましくは5℃~85℃であり、特に好ましくは5℃~83℃であり、最も好ましくは5℃~80℃である。
【0102】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、難燃助剤を含んでいてもよい。難燃助剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0103】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子が難燃助剤を含む場合、難燃助剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有量を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、難燃助剤の含有量は、再生スチレン系樹脂原料(A)の量を100質量部としたときに、好ましくは0.005質量部~3.0質量部であり、より好ましくは0.006質量部~2.5質量部であり、さらに好ましくは0.007質量部~2.0質量部であり、特に好ましく0.008質量部~1.5質量部であり、最も好ましくは0.01質量部~1.0質量部である。
【0104】
難燃助剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な難燃助剤を採用し得る。このような難燃剤としては、例えば、クメンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサンが挙げられる。
【0105】
難燃助剤を添加する際の添加温度は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは5℃~89℃であり、より好ましくは5℃~87℃であり、さらに好ましくは5℃~85℃であり、特に好ましくは5℃~83℃であり、最も好ましくは5℃~80℃である。
【0106】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する際には、気泡調整剤を用いてもよい。気泡調整剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。気泡調整剤としては、例えば、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸とアルコールの部分エステル、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クエン酸、重炭酸ナトリウムが挙げられる。高級脂肪酸アミドとしては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド;が挙げられる。高級脂肪酸とアルコールの部分エステルにおける高級脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸等の炭素数15以上の脂肪酸が挙げられる。高級脂肪酸とアルコールの部分エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグセライド、ステアリン酸ジグリセライドが挙げられる。
【0107】
気泡調整剤の使用量は、再生スチレン系樹脂原料(A)100質量部に対して、好ましくは0質量部~3.0質量部であり、より好ましくは0.03質量部~1.0質量部である。気泡調整剤を添加する方法としては、例えば、発泡剤圧入よりも前に添加、もしくは発泡剤と一緒に添加、もしくはドライブレンド法、マスターバッチ法、溶融圧入法等の通常行われている方法を採用し得る。
【0108】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する際には、発泡助剤を用いてもよい。発泡助剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。発泡助剤としては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、流動パラフィン、ヤシ油が挙げられる。
【0109】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する際には、他の添加剤を用いてもよい。他の添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。他の添加剤としては、例えば、顔料、輻射伝熱抑制成分、架橋剤、可塑剤、安定剤、充填剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、展着剤、耐候剤、老化防止剤、防曇剤、香料が挙げられる。
【0110】
本発明の実施形態における再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する際において、発泡剤を含浸し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を反応器から取り出す際の温度は、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子および再生スチレン系樹脂発泡成形体を形成するために十分なものであれば、目的(平均気泡径の調整など)に応じて適切に設定され得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を反応容器から取り出す温度の上限値は、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは48℃以下である。本発明の効果をより発現させ得る点で、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を反応容器から取り出す温度の下限値は、好ましくは5℃以上であり、より好ましくは10℃以上であり、さらに好ましくは15℃以上であり、特に好ましくは18℃以上である。
【0111】
≪A-3.表面処理≫
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、好ましくは、シリコーンオイル、帯電防止剤、脂肪酸金属塩、および融着促進剤から選ばれる少なくとも1種による表面処理である。
【0112】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対してシリコーンオイルによる表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対するシリコーンオイルの使用量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.003質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.25質量部であり、特に好ましくは0.008質量部~0.23質量部であり、最も好ましくは0.01質量部~0.23質量部である。シリコーンオイルの使用量が上記範囲を外れて少なすぎると、例えば、帯電防止剤を使用する場合、予備発泡時に帯電防止剤との親和性が十分でなくなり、静電気が発生しやすくなるおそれがある。シリコーンオイルの使用量が上記範囲を外れて多すぎると、成形時に表面が溶けてしまう等によって表面性が失われるおそれがある。
【0113】
シリコーンオイルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0114】
シリコーンオイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーンオイルを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのストレートシリコーンオイルが挙げられ、好ましくは、ジメチルポリシロキサンである。
【0115】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して帯電防止剤による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する帯電防止剤の使用量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。帯電防止剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。帯電防止剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0116】
帯電防止剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0117】
帯電防止剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な帯電防止剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、帯電防止剤としては、非イオン界面活性剤および脂肪酸グリセライドから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくは、非イオン界面活性剤および脂肪酸グリセライドの併用である。
【0118】
非イオン界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0119】
非イオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な非イオン界面活性剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、多価アルコール、1-アミノ-2-ヒドロキシ化合物が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエステルとしては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレエートが挙げられる。多価アルコールとしては、具体的には、例えば、グリセリン、プロピレングリコールが挙げられる。1-アミノ-2-ヒドロキシ化合物としては、具体的には、例えば、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシアルキル)アミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)へキサデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシヘキサデシル)アミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシオクタデシル)アミン、N-ヒドロキシプロピル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシブチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシヘキサデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシオクタデシル)アミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)ヘキサデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、それらの塩が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコールが好ましい。
【0120】
帯電防止剤の少なくとも一部として非イオン界面活性剤を採用する場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する該非イオン界面活性剤の使用量は、好ましくは0.001質量部~2.0質量部であり、より好ましくは0.001質量部~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~1.0質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。非イオン界面活性剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。非イオン界面活性剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0121】
脂肪酸グリセライドは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0122】
脂肪酸グリセライドとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸グリセライドを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、上記脂肪酸グリセライドとしては、具体的には、例えば、ステアリン酸モノグリセライド、リノール酸モノグリセライドが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸グリセライドとしては、ステアリン酸モノグリセライドが好ましい。
【0123】
帯電防止剤の少なくとも一部として脂肪酸グリセライドを採用する場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する該脂肪酸グリセライドの量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。脂肪酸グリセライドの量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。脂肪酸グリセライドの量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0124】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して脂肪酸金属塩による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する脂肪酸金属塩の使用量は、好ましくは0.005質量部~0.5質量部であり、より好ましくは0.007質量部~0.45質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.4質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.35質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.3質量部である。脂肪酸金属塩の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時のブロッキングが多く発生してしまい、良好なスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないおそれがある。脂肪酸金属塩の量が上記範囲を外れて多すぎると、予備発泡時に金属塩が多く存在してしまい、帯電しやすくなり、静電気が発生しやすくなり、成形品の融着が悪くなるおそれがある。
【0125】
脂肪酸金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0126】
脂肪酸金属塩としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸金属塩を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸金属塩、ラウリン酸金属塩が挙げられる。ステアリン酸金属塩としては、具体的には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムが挙げられる。ラウリン酸金属塩としては、具体的には、例えば、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウムが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0127】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して融着促進剤による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する融着促進剤の使用量は、好ましくは0.01質量部~0.8質量部であり、より好ましくは0.01質量部~0.7質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.6質量部であり、特に好ましくは0.01質量部~0.55質量部であり、最も好ましくは0.013質量部~0.5質量部である。融着促進剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、成形時に融着性が低下してしまい、良好な再生スチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないおそれがある。融着促進剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、予備発泡時にブロッキングするおそれがある。
【0128】
融着促進剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0129】
融着促進剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な融着促進剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、融着促進剤としては、例えば、脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、脂肪酸モノグリセライド、植物油が挙げられる。脂肪酸トリグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、リノール酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが挙げられる。脂肪酸ジグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、リノール酸ジグリセライドが挙げられる。脂肪酸モノグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸モノグリセライドが挙げられる。植物油としては、具体的には、例えば、硬化ヒマシ油が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、融着促進剤としては、ステアリン酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが好ましい。
【0130】
≪≪B.再生予備発泡スチレン系樹脂粒子≫≫
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる。
【0131】
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、平均気泡径が、前述した通り、好ましくは5μmを超えて520μm未満であり、より好ましくは5μm~500μmであり、さらに好ましくは5μm~450μmであり、特に好ましくは5μm~400μmであり、最も好ましくは5μm~380μmである。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果が発現し得、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、優れた成形性を発現し得、得られる成形体に高い強度を付与し得る。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が上記範囲内から外れると、優れた成形性を発現できないおそれや、得られる成形体に高い強度を付与できないおそれがある。
【0132】
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、二次発泡性が、前述した通り、好ましくは1.00倍を超え、より好ましくは1.05倍以上であり、さらに好ましくは1.10倍以上であり、特に好ましくは1.15倍以上であり、最も好ましくは1.20倍以上である。上記二次発泡性の上限値は、成形時の面圧が上がり、冷却時間が長くなって成形サイクルが長くなる観点から、また、成形に必要以上の残存ガスを残してしまうことより環境負荷が大きくなったりコストアップとなったりする観点から、好ましくは6.0倍以下であり、より好ましくは5.0倍以下であり、さらに好ましくは4.0倍以下であり、特に好ましくは3.5倍以下である。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果が発現し得、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、優れた成形性を発現し得、得られる成形体に高い強度を付与し得る。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性が上記範囲内から外れると、優れた成形性を発現できないおそれや、得られる成形体に高い強度を付与できないおそれがある。
【0133】
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、嵩発泡倍率が、前述した通り、好ましくは5倍~120倍であり、より好ましくは2倍以上100倍未満であり、より好ましくは5倍~90倍であり、さらに好ましくは10倍~85倍であり、特に好ましくは15倍~83倍である。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果が発現し得、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、優れた成形性を発現し得、得られる成形体に高い強度を付与し得る。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が上記範囲内から外れると、優れた成形性を発現できないおそれや、得られる成形体に高い強度を付与できないおそれがある。
【0134】
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、1つの代表的な実施形態として、再生スチレン系樹脂発泡成形体の成形に用いることができる。
【0135】
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、別の1つの代表的な実施形態としては、そのままで、緩衝材、断熱材、コンクリートの骨材等として用いることができる。本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子をそのまま用いる場合、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、好ましくは、多数の再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を袋体に充填した充填体として用いられ得る。このような再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、例えば、クッションの芯材(クッションの内部に充填している発泡粒)および骨材から選ばれる少なくとも1種に好適である。
【0136】
≪≪C.再生スチレン系樹脂発泡成形体≫≫
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を成形してなる。なお、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を成形しても、本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体となり得る。
【0137】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を成形してなる、あるいは、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を成形してなるので、JIS A 9521に準拠して測定した10%圧縮強度が、好ましくは0.03MPa~0.90MPaであり、より好ましくは0.03MPa~0.80MPaであり、さらに好ましくは0.03MPa~0.70MPaMPaであり、さらに好ましくは0.03MPa~0.60MPaであり、さらに好ましくは0.03MPa~0.50MPaであり、さらに好ましくは0.03MPa~0.40MPaであり、特に好ましくは0.03MPa~0.30MPaであり、最も好ましくは0.03MPa~0.20MPaである。本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体の10%圧縮強度が上記範囲内にあれば、高い強度を有する成形体となり得る。
【0138】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を成形してなる、あるいは、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を成形してなるので、好ましくは、JIS A 9521(A法)に準拠して行った燃焼試験において、3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、かつ燃焼限界指示線を越えて燃焼しない。
【0139】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子をさらに発泡させた再生発泡スチレン系樹脂粒子(以下、単に「発泡粒子」と称する場合がある)を含む。
【0140】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、互いに融着した複数の発泡粒子により構成されている。
【0141】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、目的に応じた所定の形状を有する型内に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を仕込み、型内発泡成形を行うことにより作製され得る。より詳細には、型内発泡成形は、(i)再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填すること、(ii)熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を加熱発泡させて発泡粒子を得ること、(iii)当該加熱発泡により、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させること、を含む。再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度は、目的に応じて適切に設定され得る。再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度は、例えば、金型内に充填する予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率を予め調整すること、あるいは、金型内への再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の充填量を調整することにより調整することができる。
【0142】
加熱発泡の温度(実質的には、熱媒体の温度)は、好ましくは90℃~150℃であり、より好ましくは110℃~130℃である。加熱発泡時間は、好ましくは5秒~50秒であり、より好ましくは10秒~50秒である。加熱発泡の成形蒸気圧(熱媒体の吹き込みゲージ圧)は、好ましくは0.04MPa~0.1MPaであり、より好ましくは0.04MPa~0.09MPaである。加熱発泡がこのような条件であれば、発泡粒子を相互に良好に融着させることができる。
【0143】
必要に応じて、再生スチレン系樹脂発泡成形体の成形前に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を熟成させてもよい。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の熟成温度は、好ましくは20℃~60℃である。熟成温度が低すぎると、過度に長い熟成時間が必要とされる場合がある。熟成温度が高すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下する場合がある。
【0144】
再生スチレン系樹脂発泡成形体における発泡粒子の発泡倍率は、好ましくは2倍以上110倍未満であり、より好ましくは5倍~90倍であり、さらに好ましくは10倍~85倍、特に好ましくは15倍~80倍である。
【0145】
≪≪D.再生スチレン系樹脂発泡成形体の用途≫≫
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、軽量かつ難燃性および機械的強度に優れることから、断熱材用成形体、保温材用成形体、盛土材用成形体、食品容器用成形体、工業製品容器用成形体、緩衝材用成形体、および梱包材用成形体から選ばれる少なくとも1種に好ましく用い得る。断熱材用成形体としては、例えば、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材が挙げられる。保温材用成形体としては、例えば、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材が挙げられる。食品容器用成形体としては、例えば、魚箱などの食品容器が挙げられる。工業製品容器用成形体としては、例えば、通い箱が挙げられる。緩衝材用成形体としては、例えば、緩衝材、フロート、ブロックが挙げられる。梱包材用成形体としては、例えば、魚および農産物等の梱包材が挙げられる。また、畳の芯材にも用い得る。
【実施例0146】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
【0147】
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径の測定>
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の断面を(株)日立ハイテクノロジーズ製「SU3800」走査電子顕微鏡にて測長した。具体的には、加速電圧5kV、スポット強度30にて、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の断面を気泡径に合わせて18~1000倍の範囲でまで拡大し、その際の画像の中心(重心)から近い順に20個を選択し(気泡の中心を通るように一直線上で測長)、最大値と最小値以外の18点の平均をとることで、平均気泡径を算出した。
【0148】
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩密度および嵩発泡倍率の測定>
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩密度および嵩発泡倍率は、以下のようにして測定した。
(嵩密度の測定方法)
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し次式により算出した。
嵩密度(g/mL)=試料質量(g)/メスシリンダー中の試料容積(mL)
(嵩発泡倍率の測定方法)
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し次式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
嵩発泡倍率(倍)=メスシリンダー中の試料容積(mL)/試料質量(g)×樹脂比重
なお、嵩発泡倍率は、嵩密度の逆数として算出してもよい。
【0149】
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の二次発泡性の測定>
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は常温(約-10℃~35℃)で静置し、24時間後に2gを蒸籠にのせ、蒸気(吹き込み蒸気圧0.07MPa)で100℃まで加熱した箱型の発泡機の中で30秒~10分加熱して二次発泡粒子を得た。それぞれの時間での二次発泡倍率を以下の式にて算出し、最大の二次発泡倍率を二次発泡性として表1に記載した。なお、各発泡倍率は、500mLのメスシリンダーを用いて嵩倍率にて評価した。
二次発泡粒子の発泡倍率(倍)=二次発泡粒子の容積(mL)/試料質量(g)×樹脂比重
二次発泡性(倍)=(二次発泡粒子の発泡倍率)/(再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の発泡倍率)
【0150】
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の発泡倍率の測定>
再生スチレン系樹脂発泡成形体の発泡倍率は、試験片の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
発泡倍率(倍)=試験片体積(cm3)/試験片質量(g)×樹脂比重
【0151】
<成形性>
成形体表面の伸びと、成形体を破断した際の融着率で総合的に評価した。成形体表面の伸びの評価は、得られた発泡成形体の外観を目視にて評価した。具体的には、発泡成形体の表面の発泡粒が結合した境界部分の状態を目視で評価した。また、成形体を破断した際の発泡粒間の融着率の評価は、得られた板状の発泡成形体を衝撃によって破断させ、その破断面の発泡粒子全粒子数(A)と粒子内で破断している粒子数(B)を数え、以下の式により融着率(%)を算出した。
融着率(%)={(B)/(A)}×100
以下の基準で評価した。
◎:外観が平滑であり、融着率が80%以上である。
〇:外観が平滑であり、融着率が70%以上である。
△:外観の大半が平滑であるが部分的に境界部分に凸凹があり、融着率が60%以上70%未満である。
×:外観の境界部分に凸凹があり平滑性に劣り、融着率が60%未満である。
【0152】
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の10%圧縮強度の測定>
再生スチレン系樹脂発泡成形体の10%圧縮強度を、JIS A 9521に準拠して測定した。具体的には、50mm×50mm×厚み30mmの成形体に対し、毎分10mmの速度で圧縮した。成形体を10%圧縮した際の応力を10%圧縮強度とした。
【0153】
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の燃焼試験>
再生スチレン系樹脂発泡成形体の燃焼試験を、JIS A 9521(A法)に準拠して行った。この燃焼試験において、3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、かつ燃焼限界指示線を越えて燃焼しないか否かを確認した。
〇:3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、かつ燃焼限界指示線を越えて燃焼しない。
×:3秒以内に炎が消えないか、残じんがあるか、燃焼限界指示線を越えて燃焼する。
【0154】
[製造例1]
<再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の製造>
使用済みスチレン系樹脂(発泡スチロールからなる再生スチレン系樹脂)を単軸押出機に供給し、200℃で加熱溶融後、金型から平均粒子径0.75mm(略球状)となるように水中カットすることにより、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を得た。
【0155】
[実施例1]
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製>
100リットルの攪拌機付反応器に、純水36kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.7g、ピロリン酸マグネシウム146gを入れ、さらに、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)12.6kgを加えて、145rpmで攪拌して懸濁させ、懸濁液(1)を調製した。
別途、純水2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gの分散液に、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル(純度75%)123g、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート20gを溶解したスチレン単量体2.3kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させ、乳濁液(1A)を調製した。
100リットルの攪拌機付反応器中の上記懸濁液(1)を75℃に保持し、上記乳濁液(1A)を添加した。
その後、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように75℃で30分間保持し、保持した直後から、スチレン単量体27.1kgを130分かけて連続的に滴下して添加した。添加温度は、75℃から105℃まで徐々に昇温した。
その後、30分かけて125℃まで昇温し、125℃で30分間保持し、その後、60℃まで1時間かけて冷却した。これにより、反応器中に、再生スチレン系樹脂粒子(1)を調製させた。再生スチレン系樹脂粒子(1)のTgは100℃であった。
別途、純水3.3kg、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.2g、分散剤としてピロリン酸マグネシウム18gの分散液に、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド126g、ジクミルパーオキサイド150gを添加し、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させて乳濁液(1)を調製し、この乳濁液(1)を、上記の60℃まで冷却した反応器に添加した。この添加から10分後に、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)695gを添加した。添加後、60℃で30分間攪拌を続けた。
続いて、発泡剤として3360gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)を、再生スチレン系樹脂粒子(1)のTgの圧入温度で圧入し、その状態で5時間保持することにより、発泡剤をゆっくり含浸させた。すなわち、発泡剤の圧入温度=再生スチレン系樹脂粒子(1)のTg、発泡剤の含浸温度=再生スチレン系樹脂粒子(1)のTgとした。その後、反応器内の温度を30℃まで冷却した。
その後、この30℃にて反応器内から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(1)を得た。
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子の表面処理>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(1)40kgと、ポリエチレングリコール8g、ステアリン酸亜鉛44g、脂肪酸トリグリセライド12g、脂肪酸モノグリセライド16gとをタンブラーミキサーに投入し、30分間撹拌し、表面処理を行い、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(1’)を得た。
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の作製>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(1’)を、15℃の保冷庫にて15日間保管後、容積量が340リットルである円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱して、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を得た。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)の嵩密度は0.02g/cm3、嵩発泡倍率は50倍であった。
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の作製>
得られた再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を、室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:高さ400mm、幅500mm、奥行300mmの成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を充填し、0.04MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で40秒間加熱し、次いで、成形型内圧力が-0.02MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応するブロック状の再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)の密度は0.02g/cm3、発泡倍率は50倍であった。その後、再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)を、50℃の乾燥室に1日間保管した。
各種評価結果を表1に示した。
【0156】
[実施例2]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を84gとし、発泡剤として1680gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)と1680gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(2)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(2’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(2)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(2)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0157】
[実施例3]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、発泡剤として3150gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(3)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(3’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(3)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(3)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0158】
[実施例4]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を34gとし、発泡剤として3360gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(4)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(4’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(4)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(4)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0159】
[実施例5]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を21gとし、発泡剤として3360gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(5)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(5’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(5)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(5)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0160】
[実施例6]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を12.6gとし、発泡剤として420gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)と2940gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(6)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(6’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(6)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(6)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0161】
[実施例7]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を8.4gとし、発泡剤として420gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)と2940gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用い、反応器内の温度を37℃まで冷却した以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(7)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(7’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(7)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(7)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0162】
[実施例8]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドを使用せず、発泡剤として3360gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用い、反応器内の温度を37℃までで冷却した以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(8)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(8’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(8)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(8)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0163】
[実施例9]
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製>
100リットルの攪拌機付反応容器に、純水42kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.5g、ピロリン酸マグネシウム170gを入れ、さらに、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)42kgを加えて、さらに気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド84gを加え、145rpmで攪拌して懸濁させ、懸濁液(9)を調製した。これより、反応容器中に、再生スチレン系樹脂粒子(9)を得た。なお、再生スチレン系樹脂粒子(9)のTgは100℃であった。
100リットルの撹拌機付反応器中の上記懸濁液(9)を60℃に保持し、ジクミルパーオキサイド150gを添加した。この添加から10分後に、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)650gを添加した。添加後、60℃で30分間攪拌を続けた。
その後、60分かけて120℃まで昇温し、続いて、発泡剤として1680gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)と1680gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を120℃で圧入し、108℃まで冷却し、その状態で5時間保持することにより、発泡剤をゆっくりと含浸させた。その後、反応容器内の温度を30℃まで冷却した。
その後、反応器内から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(9)を得た。
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子の表面処理>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(9)40kgと、ポリエチレングリコール8g、ステアリン酸亜鉛44g、脂肪酸トリグリセライド12g、脂肪酸モノグリセライド16gとをタンブラーミキサーに投入し、30分間撹拌し、表面処理を行い、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(9’)を得た。
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の作製>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(9’)を、15℃の保冷庫にて15日間保管後、容積量が340リットルである円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱して、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(9)を得た。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(9)の嵩密度は0.02g/cm3、嵩発泡倍率は50倍であった。
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の作製>
得られた再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(9)を、室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:高さ400mm、幅500mm、奥行300mmの成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(9)を充填し、0.04MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で40秒間加熱し、次いで、成形型内圧力が-0.02MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応するブロック状の再生スチレン系樹脂発泡成形体(9)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(9)の密度は0.02g/cm3、発泡倍率は50倍であった。その後、再生スチレン系樹脂発泡成形体(9)を、50℃の乾燥室に1日間保管した。
各種評価結果を表1に示した。
【0164】
[実施例10]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を42gとし、発泡剤として3360gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例9と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(10)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(10’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(10)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(10)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0165】
[実施例11]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を21gとし、発泡剤として3360gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例9と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(11)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(11’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(11)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(11)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0166】
[比較例1]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を462gとし、発泡剤として3360gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C1)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C1’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C1)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C1)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0167】
[比較例2]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を使用せず、発泡剤として2520gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用い、反応器内の温度を42℃までで冷却した以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C2)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C2’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C2)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C2)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0168】
[比較例3]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を462gとし、発泡剤として3360gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)を用いた以外は、実施例9と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C3)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C3’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C3)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C3)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0169】
[比較例4]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミドの量を使用せず、発泡剤として2520gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用い、反応器内の温度を42℃までで冷却した以外は、実施例9と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C4)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C4’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C4)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C4)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0170】
【表1】
[実施例12]
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製>
100リットルの攪拌機付反応器に、純水36kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.7g、ピロリン酸マグネシウム146gを入れ、さらに、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)12.6kgを加えて、145rpmで攪拌して懸濁させ、懸濁液(12)を調製した。
別途、純水2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gの分散液に、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル(純度75%)123g、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート20gを溶解したスチレン単量体2.3kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させ、乳濁液(12A)を調製した。
100リットルの攪拌機付反応器中の上記懸濁液(12)を75℃に保持し、上記乳濁液(12A)を添加した。
その後、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように75℃で30分間保持し、保持した直後から、スチレン単量体27.1kgを130分かけて連続的に滴下して添加した。添加温度は、75℃から105℃まで徐々に昇温した。
その後、30分かけて125℃まで昇温し、125℃で30分間保持し、その後、60℃まで1時間かけて冷却した。これにより、反応器中に、再生スチレン系樹脂粒子(12)を調製させた。再生スチレン系樹脂粒子(12)のTgは100℃であった。
別途、純水3.3kg、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.2g、分散剤としてピロリン酸マグネシウム18gの分散液に、エチレンビスステアリン酸アミド34g、ジクミルパーオキサイド150gを添加し、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させて乳濁液(12B)を調製し、この乳濁液(12B)を、上記の60℃まで冷却した反応器に添加した。この添加から10分後に、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)695gを添加した。添加後、60℃で30分間攪拌を続けた。
続いて、発泡剤として1680gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を、再生スチレン系樹脂粒子(11)のTgの圧入温度で圧入し、その状態で5時間保持することにより、発泡剤をゆっくり含浸させた。すなわち、発泡剤の圧入温度=再生スチレン系樹脂粒子(12)のTg、発泡剤の含浸温度=再生スチレン系樹脂粒子(12)のTgとした。その後、反応器内の温度を30℃まで冷却した。
その後、この30℃にて反応器内から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(12)を得た。
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子の表面処理>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(12)40kgと、ポリエチレングリコール8g、ステアリン酸亜鉛44g、脂肪酸トリグリセライド12g、脂肪酸モノグリセライド16gとをタンブラーミキサーに投入し、30分間撹拌し、表面処理を行い、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(12’)を得た。
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の作製>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(12’)を、15℃の保冷庫にて15日間保管後、容積量が340リットルである円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱して、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(12)を得た。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(12)の嵩密度は0.02g/cm
3、嵩発泡倍率は50倍であった。
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の作製>
得られた再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(12)を、室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:高さ400mm、幅500mm、奥行300mmの成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(12)を充填し、0.04MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で40秒間加熱し、次いで、成形型内圧力が-0.02MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応するブロック状の再生スチレン系樹脂発泡成形体(12)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(12)の密度は0.02g/cm
3、発泡倍率は50倍であった。その後、再生スチレン系樹脂発泡成形体(12)を、50℃の乾燥室に1日間保管した。
各種評価結果を表2に示した。
【0171】
[実施例13]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、発泡剤として2520gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例12と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(13)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(13’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(13)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(13)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0172】
[実施例14]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、発泡剤として3570gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例12と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(14)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(14’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(14)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(14)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0173】
[実施例15]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、発泡剤として3780gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例12と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(15)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(15’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(15)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(15)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0174】
[実施例16]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、発泡剤として420gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)と4200gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例12と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(16)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(16’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(16)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(16)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0175】
[実施例17]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、発泡剤として840gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)と5040gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例12と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(17)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(17’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(17)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(17)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0176】
[実施例18]
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製>
100リットルの攪拌機付反応器に、純水42kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.5g、ピロリン酸マグネシウム170gを入れ、さらに、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)42kgを加えて、さらに気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド34gを加え、145rpmで攪拌して懸濁させ、懸濁液(18)を調製した。これより、反応容器中に、再生スチレン系樹脂粒子(18)を得た。なお、再生スチレン系樹脂粒子(18)のTgは100℃であった。
100リットルの撹拌機付反応器中の上記懸濁液(18)を60℃に保持し、ジクミルパーオキサイド150gを添加した。この添加から10分後に、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)650gを添加した。添加後、60℃で30分間攪拌を続けた。
その後、60分かけて120℃まで昇温し、続いて、発泡剤として2310gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を120℃で圧入し、108℃まで冷却し、その状態で5時間保持することにより、発泡剤をゆっくりと含浸させた。その後、反応容器内の温度を30℃まで冷却した。
その後、反応器内から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(18)を得た。
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子の表面処理>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(18)40kgと、ポリエチレングリコール8g、ステアリン酸亜鉛44g、脂肪酸トリグリセライド12g、脂肪酸モノグリセライド16gとをタンブラーミキサーに投入し、30分間撹拌し、表面処理を行い、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(18’)を得た。
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の作製>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(18’)を、15℃の保冷庫にて15日間保管後、容積量が340リットルである円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱して、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(18)を得た。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(18)の嵩密度は0.02g/cm3、嵩発泡倍率は50倍であった。
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の作製>
得られた再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(18)を、室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:高さ400mm、幅500mm、奥行300mmの成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(18)を充填し、0.04MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で40秒間加熱し、次いで、成形型内圧力が-0.02MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応するブロック状の再生スチレン系樹脂発泡成形体(18)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(18)の密度は0.02g/cm3、発泡倍率は50倍であった。その後、再生スチレン系樹脂発泡成形体(18)を、50℃の乾燥室に1日間保管した。
各種評価結果を表2に示した。
【0177】
[実施例19]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、発泡剤として3570gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例18と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(19)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(19’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(19)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(19)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0178】
[実施例20]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、発泡剤として3654gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例18と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(20)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(20’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(20)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(20)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0179】
[比較例5]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド21gとし、発泡剤として210gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)と420gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例12と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C5)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C5’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C5)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C5)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0180】
[比較例6]
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の作製において、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド21gとし、発泡剤として210gのブタン(ノルマルブタン/イソブタン=70質量%/30質量%)と420gのペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)を用いた以外は、実施例18と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C6)、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C6’)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C6)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C6)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0181】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、および、再生スチレン系樹脂発泡成形体は、住宅および自動車等に用いる断熱材、建築資材等に用いる保温材、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に好適に用いられる。本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、および、再生スチレン系樹脂発泡成形体は、より具体的には、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品および工業製品等の容器(例えば、魚箱などの食品容器、通い箱)、緩衝材、フロート、ブロック、魚および農産物等の梱包材、盛土材(盛土ブロックなど)、畳の芯材、クッションの芯材、コンクリートの骨材等に好適に用いられる。