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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092408
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/82 20060101AFI20240701BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240701BHJP
   E04B 1/86 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
E04B1/82 W
E04B2/74 551Z
E04B1/86 A
E04B1/86 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208311
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】永松 英夫
(72)【発明者】
【氏名】奥村 美紀
(72)【発明者】
【氏名】日吉 寛
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DF02
2E001DF04
2E001FA07
2E001GA07
2E001GA12
2E001HA03
2E001HA33
(57)【要約】
【課題】間仕切り部材により区画された2つの空間の間における遮音性能を向上することができる壁構造を提供する。
【解決手段】壁構造は、第1方向に対向する内側部材及び外側部材を有しており、前記第1方向に直交する第2方向に延びる基準面材と、前記内側部材の内側に存在する空間を前記第2方向に隣接する第1部屋と第2部屋とに仕切るように前記内側部材の内側で前記第1方向に延びる間仕切り部材と、を備え、前記内側部材は、前記第1方向に見る視点において前記間仕切り部材に重なる領域に隙間が形成されるように相互に間隔を空けた状態で前記第2方向に沿って配置された第1内側パネル及び第2内側パネルを含み、前記壁構造は、前記第1方向に見る視点において、少なくとも前記隙間に重なる領域に位置して前記第1内側パネルと前記第2内側パネルとに接続される隙間閉塞部材をさらに備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁構造であって、
第1方向に対向する内側部材及び外側部材を有しており、前記第1方向に直交する第2方向に延びる基準面材と、
前記内側部材の内側に存在する空間を前記第2方向に隣接する第1部屋と第2部屋とに仕切るように前記内側部材の内側で前記第1方向に延びる間仕切り部材と、を備え、
前記内側部材は、前記第1方向に見る視点において前記間仕切り部材に重なる領域に隙間が形成されるように相互に間隔を空けた状態で前記第2方向に沿って配置された第1内側パネル及び第2内側パネルを含み、
前記壁構造は、前記第1方向に見る視点において、少なくとも前記隙間に重なる領域に位置して前記第1内側パネルと前記第2内側パネルとに接続される隙間閉塞部材をさらに備えている、壁構造。
【請求項2】
前記隙間閉塞部材は、前記隙間を閉塞した状態で前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルに接触し、前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルが有するコインシデンス周波数のうち少なくとも一方のコインシデンス周波数とは相違するコインシデンス周波数を有している、請求項1に記載の壁構造。
【請求項3】
前記隙間閉塞部材は、前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルと同一の材料から構成されており、
前記隙間閉塞部材の前記第1方向における厚み寸法は、前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルのうちの少なくとも一方の前記第1方向における厚み寸法と相違している、請求項2に記載の壁構造。
【請求項4】
前記隙間閉塞部材の前記第1方向における厚み寸法は、前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルの前記第1方向における厚み寸法よりも大きい、請求項2又は3に記載の壁構造。
【請求項5】
前記隙間閉塞部材は、前記第1方向に見る視点において前記第1内側パネルに重なる第1重複部分と、前記第2内側パネルに重なる第2重複部分と、前記第1重複部分及び前記第2重複部分の間に介在するとともに前記隙間を閉塞する隙間閉塞部分と、を有している、請求項2又は3に記載の壁構造。
【請求項6】
前記間仕切り部材は、前記第2方向において対向する一対の間仕切りパネルを含み、
前記隙間閉塞部材は、前記一対の間仕切りパネルに前記第2方向に挟まれた状態で前記内側部材の内側に配置されており、
前記第1重複部分は、前記一対の間仕切りパネルのうちの一方に接触する第1端部を有しており、
前記第2重複部分は、前記一対の間仕切りパネルのうちの他方に接触する第2端部を有している、請求項5に記載の壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の空間を第1空間と当該第1空間に隣接する第2空間とに区画するための間仕切り部材が知られている。例えば、特許文献1には、水平方向に延びるフローリングと、前記フローリング上の空間を水平方向に隣接する第1空間と第2空間とに仕切るように前記フローリングから上方に延びる仕切り壁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-209905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の壁構造では、前記フローリングが前記第1空間と前記第2空間とに亘って設けられている。そのため、前記第1空間で音が発生した場合、当該音による振動が前記フローリングを介して前記第2空間に伝わり、その結果、第1空間と第2空間との間での遮音性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、間仕切り部材により区画された2つの空間の間における遮音性能を向上することができる壁構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、壁構造であって、第1方向に対向する内側部材及び外側部材を有しており、前記第1方向に直交する第2方向に延びる基準面材と、前記内側部材の内側に存在する空間を前記第2方向に隣接する第1部屋と第2部屋とに仕切るように前記内側部材の内側で前記第1方向に延びる間仕切り部材と、を備え、前記内側部材は、前記第1方向に見る視点において前記間仕切り部材に重なる領域に隙間が形成されるように相互に間隔を空けた状態で前記第2方向に沿って配置された第1内側パネル及び第2内側パネルを含み、前記壁構造は、前記第1方向に見る視点において、少なくとも前記隙間に重なる領域に位置して前記第1内側パネルと前記第2内側パネルとに接続される隙間閉塞部材をさらに備えている、壁構造を提供する。
【0007】
本発明によれば、第1内側パネルと第2内側パネルとが第2方向において離れており、両パネル間の隙間が隙間閉塞部材により塞がれている。つまり、両パネルが隙間閉塞部材を介して接続されている。これにより、第1部屋及び第2部屋のうちの一方で発生した音に起因して両パネルのうちの一方が振動したとしても、当該振動は隙間閉塞部材を介して両パネルのうちの他方に伝播する。このように、本発明では音による振動が隙間閉塞部材を介して伝播するため、両パネルが直接的に接続されており、振動が両パネル間において直接的に伝播する場合と比較して、振動が伝播する効率が低下している。したがって、本発明によれば、両パネルが直接接続されている場合と比較して、間仕切り部材により区画された2つの部屋の間における遮音性能を向上することができる。
【0008】
さらに、本発明によれば、第1方向に見る視点において、少なくとも隙間に重なる領域に位置して第1内側パネルと第2内側パネルに接続される隙間閉塞部材を備えているため、外側部材の外側(例えば、屋外空間)又は第1部屋及び第2部屋のうちの一方において火災が発生した際に、内側部材と外側部材との間、及び、隙間を通じて炎が間仕切り部材の内部に侵入するとともに第1部屋及び第2部屋のうちのそれぞれもしくは他方に炎が燃え広がることが抑制されている。
【0009】
なお、「前記第1方向に見る視点において、少なくとも前記隙間に重なる領域に位置して前記第1内側パネルと前記第2内側パネルに接続される」とは、少なくとも火災が想定された所定の温度条件下において隙間閉塞部材がこのような状況になることを意図し、前記所定の温度条件を満たさない状況において第1内側パネル及び第2内側パネルに対して隙間閉塞部材が接続されていない場合を含む。
【0010】
前記壁構造において、前記隙間閉塞部材は、前記隙間を閉塞した状態で前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルに接触し、前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルが有するコインシデンス周波数のうち少なくとも一方のコインシデンス周波数とは相違するコインシデンス周波数を有していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、隙間閉塞部材のコインシデンス周波数が第1内側パネル及び第2内側パネルが有するコインシデンス周波数のうち少なくとも一方のコインシデンス周波数と相違している。そのため、音によって両パネルのうちの一方が振動したとしても、隙間閉塞部材の当該振動による伝播が抑制される。その結果、両パネルのうちの一方の振動が隙間閉塞部材を介して両パネルのうちの他方に伝わることを防止することができる。したがって、隙間閉塞部材によって両パネルが連結された状態においても2つの空間の間におけるコインシデンス効果による遮音性能の低下を抑制することができる。
【0012】
前記壁構造において、前記隙間閉塞部材は、前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルと同一の材料から構成されており、前記隙間閉塞部材の前記第1方向における厚み寸法は、前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルのうちの少なくとも一方の前記第1方向における厚み寸法と相違していることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、隙間閉塞部材は第1内側パネル及び第2内側パネルと同一の材料から構成されており、かつ、両パネルのうち少なくとも一方の第1方向における厚み寸法と異なる厚み寸法を有しているため、隙間閉塞部材のコインシデンス周波数を両パネルのうちの少なくとも一方のコインシデンス周波数と相違させることができる。
【0014】
前記壁構造において、前記隙間閉塞部材の前記第1方向における厚み寸法は、前記第1内側パネル及び前記第2内側パネルの前記第1方向における厚み寸法よりも大きいことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、上述のように遮音性能の向上を図りながら、内側部材を一枚の内側パネルによって構成する場合と同等以上の耐火性能を確保することができる。
【0016】
ところで、隙間閉塞部材により隙間を閉塞するために、前記隙間の第2方向における寸法と略同一の幅寸法を有する隙間閉塞部材を前記隙間に嵌め込むことが考えられる。しかしながら、このようにした場合、前記隙間に嵌め込まれた隙間閉塞部材の第2方向における両端面と第1内側パネル及び第2内側パネルのそれぞれの端面とが第2方向に突き合わされることにより形成された継ぎ目を通じて炎が第1方向に侵入するおそれがある。
【0017】
そこで、前記壁構造において、前記隙間閉塞部材は、前記第1方向に見る視点において前記第1内側パネルに重なる第1重複部分と、前記第2内側パネルに重なる第2重複部分と、前記第1重複部分及び前記第2重複部分の間に介在するとともに前記隙間を閉塞する隙間閉塞部分と、を有していることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1重複部分及び第2重複部分によって隙間閉塞部材と両パネルとを第1方向に重ねることができるため、第1方向に延焼する炎に対する障壁として、両パネル及び隙間閉塞部材の少なくとも一つを機能させることができる。
【0019】
前記壁構造において、前記間仕切り部材は、前記第2方向において対向する一対の間仕切りパネルを含み、前記隙間閉塞部材は、前記一対の間仕切りパネルに前記第2方向に挟まれた状態で前記内側部材の内側に配置されており、前記第1重複部分は、前記一対の間仕切りパネルのうちの一方に接触する第1端部を有しており、前記第2重複部分は、前記一対の間仕切りパネルのうちの他方に接触する第2端部を有していることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、内側部材の内側に配置される隙間閉塞部材の第2方向における寸法が、一対の間仕切りパネル同士の間の第2方向における間隔の寸法と同一になる。そのため、仮に第1内側パネル及び第2内側パネルと一対の間仕切りパネルとの間に第1方向における隙間がそれぞれ形成されていたとしても、当該第1方向における隙間の寸法よりも隙間閉塞部材の第1方向における寸法を大きくすることにより、当該第1方向における各隙間を隙間閉塞部材によって閉塞することができる。したがって、前記第1方向における各隙間を通じて第1部屋及び第2部屋のうちの一方から他方に音が伝わることを抑制できる。
【0021】
さらに、上記構成によれば、隙間閉塞部材は一対の間仕切りパネルに第2方向に挟まれており、かつ、第1重複部分は一対の間仕切りパネルのうちの一方に接触する第1端部を有しており、第2重複部分は一対の間仕切りパネルのうちの他方に接触する第2端部を有している。これにより、間仕切りパネル間のスペースを最大限利用して、隙間閉塞部材と両パネルとの重複部分を広げることができるため、上記のように施工性を確保しながら耐火性能を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、間仕切り壁により区画された2つの空間の間における遮音性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態1に係る壁構造の構成を表す平面断面図における内壁と間仕切り部材との接続部を拡大して示すものである。
図2】本発明の実施形態2に係る壁構造の構成を表す側面断面図における天井板と間仕切り部材との接続部を拡大して示すものである。
図3】本発明の実施形態3に係る壁構造の構成を表す側面断面図における床板と間仕切り部材との接続部を拡大して示すものである。
図4】本発明の実施形態4に係る壁構造の構成を表す平面断面図における間仕切り壁と間仕切り部材との接続部を拡大して示すものである。
図5】本発明の変形実施形態に係る壁構造の構成を表す平面断面図である。
図6】本発明の変形実施形態に係る壁構造の構成を表す平面断面図である。
図7】本発明の変形実施形態に係る壁構造の構成を表す平面断面図である。
図8】本発明の変形実施形態に係る壁構造の構成を表す平面断面図である。
図9】本発明の変形実施形態に係る壁構造の構成を表す平面断面図である。
図10】本発明の変形実施形態に係る壁構造の構成を表す平面断面図である。
図11】本発明の変形実施形態に係る壁構造の構成を表す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る壁構造1が適用された建築物100について、図1を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的な範囲を限定するものではない。
【0025】
以下の説明では、図1の紙面の左右方向を第1方向とし、図1の紙面の上下方向を第1方向と直交する第2方向とし、図1の紙面の手前及び奥行き方向を第1方向及び第2方向と直交する第3方向とする。図1に示すように、実施形態1に係る壁構造1は、基準面材10と、間仕切り部材20と、隙間閉塞部材30と、を備えている。
【0026】
基準面材10は、第1方向に対向する内側部材11及び外側部材12を有しており、第1方向に直交する第2方向に延びる。また、図1に示すように、基準面材10は、内側部材11及び外側部材12を支持するために第3方向に延びる柱13と、柱13に固定されているとともに内側部材11が取り付けられた枠体14と、屋外空間と屋内空間との間における遮音性を向上させるための第1吸音材15と、を有している。実施形態1において、外側部材12は屋外空間に面する外壁であり、内側部材11は外壁よりも内側に設けられている内壁である。
【0027】
内側部材11は、第1方向に見る視点において間仕切り部材20に重なる領域に隙間Gが形成されるように相互に間隔を空けた状態で第2方向に沿って配置された第1内壁パネル11A(第1内側パネル)及び第2内壁パネル11B(第2内側パネル)を含んでいる。実施形態1では、例えば第2方向における寸法が1mm~50mm程度の隙間Gが形成されるように第1内壁パネル11A及び第2内壁パネル11Bが配置されている。図1に示すように、両パネル11A,11Bは、第1方向において同一の厚み寸法t1(以下、第1寸法t1と呼ぶ)を有している。実施形態1では、両パネル11A、11Bの一例として、石膏ボードが用いられている。ただし、両パネル11A、11Bを構成する素材は適宜変更可能である。
【0028】
間仕切り部材20は、内側部材11の内側に存在する空間を第2方向に隣接する第1部屋R1と第2部屋R2とに仕切るように内側部材11の内側で第1方向に延びる。具体的に、間仕切り部材20は、内側部材11から第1方向に延びている。間仕切り部材20は、第2方向において互いに対向する一対の間仕切りパネル21と、一対の間仕切りパネル21を支持するための複数の間柱22と、第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方から他方へと伝搬される音を吸収する第2吸音材23と、間仕切り部材20を介して第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方から他方へと音が伝播されることを抑制するための遮音面材24と、を有している。
【0029】
図1に示すように、一対の間仕切りパネル21は、第2方向において対向した状態で内側部材11から第1方向に延びている。一対の間仕切りパネル21同士の間には、中空部SP1が形成されている。一対の間仕切りパネル21は、第2方向において同一の厚み寸法t2(以下、第2寸法t2と呼ぶ)を有している。実施形態1において、第2寸法t2は第1寸法t1と同一である。なお、第2寸法t2は第1寸法t1より小さくてもよい。実施形態1では、一対の間仕切りパネル21の一例として、石膏ボードが用いられている。ただし、一対の間仕切りパネル21を構成する素材は適宜変更可能である。
【0030】
複数の間柱22は、中空部SP1に配置されており、第3方向に延びるとともに矩形断面を有し、例えば、木材や金属により形成されている。複数の間柱22は、第2方向に互いに対向した状態で中空部SP1の第1方向における端部に配置されている一対の間柱22Aと、中空部SP1の第1方向における中間部において第1方向に交互に(千鳥状に)配置されている交互間柱22Bとを含んでいる。交互間柱22Bは、一対の間仕切りパネル21のうちの一方側のパネルから離れた状態で他方側のパネルに固定されたものと、他方側のパネルから離れた状態で一方側のパネルに固定されたものとを含んでいる。
【0031】
第2吸音材23は、例えばグラスウールであり、複数の間柱22と一対の間仕切りパネル21との間を通して間仕切り部材20の全長に亘って延びている。
【0032】
遮音面材24は、一対の間仕切りパネル21のそれぞれが有するコインシデンス周波数とは異なるコインシデンス周波数を有しており、一対の間仕切りパネル21の中空部SP1に面する内面(符号省略)のそれぞれに取り付けられている。具体的に、実施形態1に係る遮音面材24は、一対の間仕切りパネル21に対してコインシデンス周波数が1/12オクターブ異なる石膏ボードである。
【0033】
隙間閉塞部材30は、第1方向に見る視点において、少なくとも隙間Gに重なる領域に位置して第1内壁パネル11Aと第2内壁パネル11Bとに接続される。具体的に、実施形態1に係る隙間閉塞部材30は、一対の間仕切りパネル21に第2方向に挟まれた状態で内側部材11の内側に配置されている。また、隙間閉塞部材30は、第1方向に見る視点において第1内壁パネル11Aに重なる第1重複部分31と、第2内壁パネル11Bに重なる第2重複部分32と、第1重複部分31及び第2重複部分32の間に設けられているとともに隙間Gを閉塞する隙間閉塞部分33とを有している。第1重複部分31は、一対の間柱22Aのうちの一方と第1内壁パネル11Aとの間に設けられ、一対の間柱22Aのうちの一方及び枠体14にビスによって固定されている。第2重複部分32は、一対の間柱22Aのうちの他方と第2内壁パネル11Bとの間に設けられ、一対の間柱22Aのうちの他方及び枠体14にビスによって固定されている。第1重複部分31は、一対の間仕切りパネル21のうちの一方に接触する第1端部38を有しており、第2重複部分32は、一対の間仕切りパネル21のうちの他方に接触する第2端部39を有している。実施形態1に係る隙間閉塞部材30の第2方向の幅寸法W1は、一対の間仕切りパネル21の第2方向における間隔の寸法S1(以下、間隔寸法S1と呼ぶ)と同一である。
【0034】
実施形態1に係る隙間閉塞部材30は、両パネル11A、11Bの第1寸法t1よりも大きい第1方向における厚み寸法t3(以下、第3寸法t3と呼ぶ)を有する石膏ボードによって形成されている。そのため、隙間閉塞部材30が有するコインシデンス周波数は、第1内壁パネル11A及び第2内壁パネル11Bが有するコインシデンス周波数と相違している。具体的に、実施形態1では、第1内壁パネル11A及び第2内壁パネル11Bに対してコインシデンス周波数が1/12オクターブ異なるように隙間閉塞部材30の第3寸法t3が第1寸法t1よりも大きく設定されている。なお、隙間閉塞部材30の素材は石膏ボードに限定されるものではなく、例えば耐火性を有する防振材やグラスウールなどを用いてもよい。
【0035】
前記の通り説明した実施形態1に係る壁構造1の特徴および作用効果について列記する。
【0036】
実施形態1に係る壁構造1によれば、第1内壁パネル11Aと第2内壁パネル11Bとが第2方向において離れており、両パネル11A,11B間の隙間Gが隙間閉塞部材30により塞がれている。つまり、両パネル11A,11Bが隙間閉塞部材30を介して接続されている。これにより、第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方で発生した音に起因して両パネル11A,11Bのうちの一方が振動したとしても、当該振動は隙間閉塞部材30を介して両パネル11A,11Bのうちの他方に伝播する。このように、本実施形態では音による振動が隙間閉塞部材30を介して伝播するため、両パネル11A,11Bが直接的に接続されており、振動が両パネル11A,11B間において直接的に伝播する場合と比較して、振動が伝播する効率が低下している。したがって、本実施形態によれば、両パネル11A,11Bが直接接続されている場合と比較して、間仕切り部材20により区画された2つの部屋R1,R2の間における遮音性能を向上することができる。
【0037】
さらに、実施形態1に係る壁構造1によれば、第1方向に見る視点において、少なくとも隙間Gに重なる領域に位置して第1内壁パネル11Aと第2内壁パネル11Bとに接続される隙間閉塞部材30を備えているため、屋外空間または第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方において火災が発生した際に、内側部材11と外側部材12との間、及び、隙間Gを通じて炎が間仕切り部材20の内部に侵入するとともに第1部屋R1及び第2部屋R2のうちのそれぞれもしくは他方に炎が燃え広がることが抑制されている。
【0038】
また、実施形態1に係る壁構造1では、隙間閉塞部材30のコインシデンス周波数が第1内壁パネル11A及び第2内壁パネル11Bが有するコインシデンス周波数のうち少なくとも一方のコインシデンス周波数と相違している。そのため、音によって両パネル11A,11Bのうちの一方が振動したとしても、隙間閉塞部材30の当該振動による伝播が抑制される。その結果、両パネル11A,11Bのうちの一方の振動が隙間閉塞部材30を介して両パネル11A,11Bのうちの他方に伝わることを防止することができる。したがって、隙間閉塞部材30によって両パネル11A,11Bが連結された状態においても2つの部屋R1,R2の間におけるコインシデンス効果による遮音性能の低下を抑制することができる。
【0039】
また、実施形態1に係る壁構造1によれば、隙間閉塞部材30は第1内壁パネル11A及び第2内壁パネル11Bと同一の材料から構成されており、かつ、両パネル11A,11Bのうち少なくとも一方の第1方向における厚み寸法と異なる厚み寸法を有しているため、隙間閉塞部材30のコインシデンス周波数を両パネル11A,11Bのうちの少なくとも一方のコインシデンス周波数と相違させることができる。
【0040】
また、実施形態1に係る壁構造1によれば、隙間閉塞部材30の第1方向における厚み寸法が第1内壁パネル11A及び第2内壁パネル11Bの第1方向における厚み寸法よりも大きいため、上述のように遮音性能の向上を図りながら、内側部材11を一枚の内側パネルによって構成する場合と同等以上の耐火性能を確保することができる。
【0041】
また、実施形態1に係る壁構造1によれば、第1重複部分31及び第2重複部分32によって隙間閉塞部材30と両パネル11A,11Bとを第1方向に重ねることができるため、第1方向に延焼する炎に対する障壁として、両パネル11A,11B及び隙間閉塞部材30の少なくとも一つを機能させることができる。
【0042】
また、実施形態1に係る壁構造1によれば、基準面材10(内側部材11)を施工した後に内側部材11の内側から内側部材11に隙間閉塞部材30を取り付けて、その後に間仕切り部材20を設置するという手順を採用することができるため、施工性に優れている。
【0043】
さらに、実施形態1に係る壁構造1によれば、隙間閉塞部材30は一対の間仕切りパネル21に第2方向に挟まれており、かつ、第1重複部分31は一対の間仕切りパネル21のうちの一方に接触する第1端部38を有しており、第2重複部分32は一対の間仕切りパネル21のうちの他方に接触する第2端部39を有している。これにより、一対の間仕切りパネル21間のスペースを最大限利用して、隙間閉塞部材30と両パネル11A、11Bとの重複部分を広げることができるため、上記のように施工性を確保しながら耐火性能を向上することができる。
【0044】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る建築物200の壁構造2の構成を、図2に基づいて説明する。実施形態2では、図2の紙面の上下方向を第1方向とし、図2の紙面の左右方向を第1方向と直交する第2方向とし、図2の紙面の手前及び奥行き方向を第1方向及び第2方向と直交する第3方向とする。なお、実施形態2に係る壁構造2において、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0045】
図2に示すように、実施形態2に係る壁構造2は、基準面材210と、間仕切り部材220と、隙間閉塞部材230と、を備えている。
【0046】
基準面材210は、第1方向に対向する内側部材211及び外側部材212を有しており、第1方向に直交する第2方向に延びる。実施形態2において、内側部材211は建築物200の下層階に設けられている天井板であり、外側部材212は建築物200の上層階に設けられている床板である。また、基準面材210は、外側部材212(床板)を支持するための床梁215と、床梁215に吊り金具214を介して吊り下げられた状態で第2方向に沿って延びる野縁受け216と、それぞれが第3方向に延びるとともに野縁受け216の下側に取り付けられて内側部材211(天井板)を支持する複数の野縁213と、を有している。
【0047】
内側部材211は、第1方向に見る視点において間仕切り部材220に重なる領域に隙間Gが形成されるように相互に間隔を空けた状態で第2方向に沿って配置された第1天井パネル211A(第1内側パネル)及び第2天井パネル211B(第2内側パネル)を含んでいる。上記の隙間Gは、隙間閉塞部材230によって閉塞されている。
【0048】
間仕切り部材220は、内側部材211の内側に存在する空間を第2方向に隣接する第1部屋R1と第2部屋R2とに仕切るように内側部材211の内側で第1方向に延びる。図2に示すように、間仕切り部材220は、第2方向において対向した状態で内側部材211から第1方向に延びる一対の間仕切りパネル21を有している。また、間仕切り部材220は、一対の間仕切りパネル21を固定する間柱22を保持するためのランナー225を有している。具体的に、ランナー225は、隙間閉塞部材230の下側に取り付けられた状態で第3方向に沿って延びている。
【0049】
隙間閉塞部材230は、第1方向に見る視点において第1天井パネル211Aに重なる第1重複部分231と、第2天井パネル211Bに重なる第2重複部分232と、第1重複部分231及び第2重複部分232の間に設けられているとともに隙間Gを閉塞する隙間閉塞部分233とを有している。第1重複部分231は、一対の間仕切りパネル21のうちの一方に接触する第1端部238を有しており、第2重複部分232は、一対の間仕切りパネル21のうちの他方に接触する第2端部239を有している。第1重複部分231は、第1重複部分231の上方に配置されている野縁213に第1天井パネル211Aとともにビスによって固定されている。第2重複部分232は、第2重複部分232の上方に配置されている野縁213に第2天井パネル211Bとともにビスによって固定されている。
【0050】
実施形態2に係る壁構造2では、上記実施形態1の場合と同様に、両パネル211A,211Bが隙間閉塞部材230を介して接続されている。したがって、本実施形態によれば、両パネル211A,211Bが直接接続されている場合と比較して、間仕切り部材220により区画された2つの部屋R1,R2の間における遮音性能を向上することができる。
【0051】
また、実施形態2に係る壁構造2によれば、内側部材211の内側に配置される隙間閉塞部材230は、一対の間仕切りパネル21のうちの一方に接触する第1端部238と、一対の間仕切りパネル21のうちの他方に接触する第2端部239とを有している。つまり、実施形態2において、隙間閉塞部材230の第2方向における寸法は、一対の間仕切りパネル21同士の間の第2方向における間隔の寸法と同一である。そのため、仮に一対の間仕切りパネル21が内側部材211に対して内側に離間した位置から第1方向に延びており、一対の間仕切りパネル21と内側部材211との間に第1方向における隙間がそれぞれ形成されていたとしても、隙間閉塞部材230の第1方向における寸法を前記第1方向における各隙間の寸法よりも大きくすることにより、前記第1方向における各隙間を隙間閉塞部材230により塞ぐことができる。したがって、前記第1方向における各隙間を通じて第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方から他方に音が伝わることを抑制できる。
【0052】
さらに、実施形態2に係る壁構造2は、上記実施形態1の場合と同様に、第1天井パネル211Aと第2天井パネル211Bとの間の隙間Gを閉塞する隙間閉塞部材230を備えているため、第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方において火災が発生した際に第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの他方に炎が燃え広がることが抑制されている。また、第1部屋R1及び第2部屋R2の上階において火災が発生した際に第1部屋R1又は第2部屋R2に炎が燃え広がることが抑制されている。
【0053】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3に係る建築物300の壁構造3の構成を、図3に基づいて説明する。実施形態3では、図3の紙面の上下方向を第1方向とし、図3の紙面の左右方向を第1方向と直交する第2方向とし、図3の紙面の手前及び奥行き方向を第1方向及び第2方向と直交する第3方向とする。なお、実施形態3に係る壁構造3において、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0054】
図3に示すように、実施形態3に係る壁構造3は、基準面材310と、間仕切り部材320と、隙間閉塞部材330と、を備えている。
【0055】
基準面材310は、第1方向に対向する内側部材311及び外側部材312を有しており、第1方向に直交する第2方向に延びる。また、図3に示すように、基準面材310は外側部材312の上面に敷設されて内側部材311の下地となる下地板313を有している。実施形態3において、内側部材311は下地板313の上面に設けられた床板であり、外側部材312は下地板313の下方に配置されたALCパネルである。下地板313は外側部材312の上に配置されたパーチクルボードである。実施形態3に係る内側部材311は、第1方向に見る視点において間仕切り部材320に重なる領域に隙間Gが形成されるように相互に間隔を空けた状態で第2方向に沿って配置された第1床パネル311A(第1内側パネル)及び第2床パネル311B(第2内側パネル)を含んでいる。上記の隙間Gは、隙間閉塞部材330によって閉塞されている。
【0056】
間仕切り部材320は、内側部材311の内側に存在する空間を第2方向に隣接する第1部屋R1と第2部屋R2とに仕切るように内側部材311の内側で第1方向に延びる。図3に示すように、間仕切り部材320は、第2方向において対向した状態で内側部材311から第1方向に延びる一対の間仕切りパネル21を有している。また、間仕切り部材320は、一対の間仕切りパネル21を固定する間柱22を保持するためのランナー325を有している。具体的に、ランナー325は、隙間閉塞部材330に載置された状態で第3方向に沿って延びている。
【0057】
隙間閉塞部材330は、第1方向に見る視点において第1床パネル311Aに重なる第1重複部分331と、第2床パネル311Bに重なる第2重複部分332と、第1重複部分331及び第2重複部分332の間に設けられているとともに隙間Gを閉塞する隙間閉塞部分333とを有している。第1重複部分331は、一対の間仕切りパネル21のうちの一方に接触する第1端部338を有しており、第2重複部分332は、一対の間仕切りパネル21のうちの他方に接触する第2端部339を有している。第1重複部分331及び第2重複部分332は、内側部材311及び下地板313にビスによって固定されている。
【0058】
実施形態3では、内側部材311(床板)と下地板313とのコインシデンス周波数が近似する場合、音によって床板が振動した際に下地板313が共振し、第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方で生じた音が下地板313を通じて第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの他方に伝わることを考慮して、下地板313同士の間に隙間Gとは別の別隙間AGを形成している。しかしながら、下地板313と床板との材質が異なるなどして下地板313のコインシデンス周波数と床板のコインシデンス周波数とが相違し、第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方で生じた音が下地板313を通じて第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの他方に伝わるおそれがない場合には、下地板313同士の間に別隙間AGを形成する必要はない。
【0059】
実施形態3に係る壁構造3では、上記実施形態1の場合と同様に、両パネル311A,311Bが隙間閉塞部材330を介して接続されている。したがって、本実施形態によれば、両パネル311A,311Bが直接接続されている場合と比較して、間仕切り部材320により区画された2つの部屋R1,R2の間における遮音性能を向上することができる。
【0060】
また、実施形態3に係る壁構造3によれば、内側部材311の内側に配置される隙間閉塞部材330は、一対の間仕切りパネル21のうちの一方に接触する第1端部338と、一対の間仕切りパネル21のうちの他方に接触する第2端部339とを有している。つまり、実施形態3において、隙間閉塞部材330の第2方向における寸法は、一対の間仕切りパネル21同士の間の第2方向における間隔の寸法と同一である。そのため、仮に一対の間仕切りパネル21が内側部材311に対して内側に離間した位置から第1方向に延びており、一対の間仕切りパネル21と内側部材311との間に第1方向における隙間がそれぞれ形成されていたとしても、隙間閉塞部材330の第1方向における寸法を前記第1方向における各隙間の寸法よりも大きくすることにより、前記第1方向における各隙間を隙間閉塞部材330により塞ぐことができる。したがって、前記第1方向における各隙間を通じて第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方から他方に音が伝わることを抑制できる。
【0061】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4に係る建築物400の壁構造4の構成を、図4に基づいて説明する。実施形態4では、図4の紙面の左右方向を第1方向とし、図4の紙面の上下方向を第1方向と直交する第2方向とし、図4の紙面の手前及び奥行き方向を第1方向及び第2方向と直交する第3方向とする。なお、実施形態4に係る壁構造4において、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0062】
図4に示すように、実施形態4に係る壁構造4は、間仕切り部材20より遮音性能の劣る基準面材410と、間仕切り部材20と、隙間閉塞部材430と、を備えている。
【0063】
基準面材410は、第1方向に対向する内側部材411及び外側部材412を有しており、第1方向に直交する第2方向に延びる。また、図4に示すように、基準面材410は外側部材412及び内側部材411を支持するために第3方向に延びる柱部材413を有している。実施形態4に係る基準面材410は、所定の空間を2つの空間に区画するための間仕切り壁である。内側部材411は当該間仕切り壁の一方側を向く一方側パネルであり、外側部材412は当該一方側パネルと第1方向に対向して間仕切り壁の他方側を向く他方側パネルである。実施形態4に係る内側部材411は、第1方向に見る視点において間仕切り部材20に重なる領域に隙間Gが形成されるように相互に間隔を空けた状態で第2方向に沿って配置された第1一方側パネル411A(第1内側パネル)及び第2一方側パネル411B(第2内側パネル)を含んでいる。上記の隙間Gは、隙間閉塞部材430によって閉塞されている。
【0064】
間仕切り部材20は、内側部材411の内側に存在する空間を第2方向に隣接する第1部屋R1と第2部屋R2とに仕切るように内側部材411の内側で第1方向に延びる。図4に示すように、間仕切り部材20は、第2方向において対向した状態で内側部材411から第1方向に延びる一対の間仕切りパネル21を有している。
【0065】
隙間閉塞部材430は、第1方向に見る視点において第1一方側パネル411Aに重なる第1重複部分431と、第2一方側パネル411Bに重なる第2重複部分432と、第1重複部分431及び第2重複部分432の間に設けられているとともに隙間Gを閉塞する隙間閉塞部分433とを有している。第1重複部分431は、一対の間仕切りパネル21のうちの一方に接触する第1端部438を有しており、第2重複部分432は、一対の間仕切りパネル21のうちの他方に接触する第2端部439を有している。第1重複部分431は、一対の間柱22Aのうちの一方と第1一方側パネル411Aとの間に設けられ、一対の間柱22Aのうちの一方及び柱部材413にビスによって固定されている。第2重複部分432は、一対の間柱22Aのうちの他方と第2一方側パネル411Bとの間に設けられ、一対の間柱22Aのうちの他方及び柱部材413にビスによって固定されている。
【0066】
実施形態4に係る壁構造4では、上記実施形態1の場合と同様に、両パネル411A,411Bが隙間閉塞部材430を介して接続されている。したがって、本実施形態によれば、両パネル411A,411Bが直接接続されている場合と比較して、間仕切り部材20により区画された2つの部屋R1,R2の間における遮音性能を向上することができる。
【0067】
また、実施形態4に係る壁構造4によれば、内側部材411の内側に配置される隙間閉塞部材430は、一対の間仕切りパネル21のうちの一方に接触する第1端部438と、一対の間仕切りパネル21のうちの他方に接触する第2端部439とを有している。つまり、実施形態4において、隙間閉塞部材430の第2方向における寸法は、一対の間仕切りパネル21同士の間の第2方向における間隔の寸法と同一である。そのため、仮に一対の間仕切りパネル21が内側部材411に対して内側に離間した位置から第1方向に延びており、一対の間仕切りパネル21と内側部材411との間に第1方向における隙間がそれぞれ形成されていたとしても、隙間閉塞部材430の第1方向における寸法を前記第1方向における各隙間の寸法よりも大きくすることにより、前記第1方向における各隙間を隙間閉塞部材430により塞ぐことができる。したがって、前記第1方向における各隙間を通じて第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方から他方に音が伝わることを抑制できる。
【0068】
さらに、実施形態4に係る壁構造4は、上記実施形態1の場合と同様に、第1一方側パネル411Aと第2一方側パネル411Bとの間の隙間Gを閉塞する隙間閉塞部材430を備えているため、第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方において火災が発生した際に第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの他方に炎が燃え広がることが抑制されている。また、外側部材412の外側において火災が発生した際に第1部屋R1又は第2部屋R2に炎が燃え広がることが抑制されている。
【0069】
(変形実施形態)
上述した実施形態は、以下のように構成することもできる。
【0070】
(1)上記実施形態1では、隙間Gを閉塞した状態で第1内壁パネル11A及び第2内壁パネル11Bに接触している石膏ボードによって隙間閉塞部材30が構成される例について説明した。しかしながら、周辺温度が上昇するにつれて膨張する素材により隙間閉塞部材30を構成し、第1方向に見る視点において、当該隙間閉塞部材30を少なくとも火災が想定された所定の温度条件下で少なくとも隙間Gに重なる領域に配置して、隙間閉塞部材30を第1内壁パネル11Aと第2内壁パネル11Bとに接続させてもよい。
【0071】
以上のような構成でも、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。具体的に、上記構成によれば、両パネル11A,11Bが直接的に接続されないため、第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方で発生した音に起因する振動の両パネル11A、11B間における伝播効率が低下する。したがって、両部屋R1,R2間において遮音性能が低下することを抑制できる。さらに、上記構成によれば、少なくとも火災が想定された所定の温度条件下で隙間Gを閉塞することができるため、基準面材410で区切られた空間、あるいは第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方において火災が発生した際に、隙間Gを通じて炎が間仕切り部材20の内部に侵入することを抑制できる。
【0072】
(2)上記実施形態1では、第3寸法t3が第1寸法t1よりも大きい石膏ボードを隙間閉塞部材30として用いる例について説明したが、第3寸法t3が第1寸法t1よりも小さい石膏ボードを隙間閉塞部材30として用いてもよい。
【0073】
以上のような構成でも、隙間閉塞部材30のコインシデンス周波数を両パネル11A、11Bのコインシデンス周波数と相違させることができる。
【0074】
(3)上記実施形態1では、隙間閉塞部材30が第1重複部分31と第2重複部分32と隙間閉塞部分33とを有している例について説明した。これに代えて、隙間閉塞部分33のみを有する隙間閉塞部材30を用いてもよい。この場合、隙間閉塞部材30は隙間Gに嵌め込まれることにより隙間Gを閉塞する。
【0075】
以上のような構成でも、第3寸法t3を第1寸法t1に対して相違させて隙間閉塞部材30のコインシデンス周波数を両パネル11A、11Bが有するコインシデンス周波数と相違させることにより、間仕切り部材20により区画された2つの空間の間における遮音性能を向上することができる。さらに、屋外空間または第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方において火災が発生した際に、隙間Gを通じて炎が間仕切り部材20の内部に侵入することを抑制できる。
【0076】
(4)上記実施形態1では、一対の間仕切りパネル21が内側部材11から第1方向に延びる例について説明したが、一対の間仕切りパネル21は内側部材11に対して内側に離間した位置から第1方向に延びていてもよい。つまり、一対の間仕切りパネル21と内側部材11との間に、第1方向における隙間(図示省略)がそれぞれ形成されていてもよい。この場合、隙間閉塞部材30の幅寸法W1は一対の間仕切りパネル21の間隔寸法S1と同一であり、隙間閉塞部材30の厚み寸法t3は一対の間仕切りパネル21と内側部材11との間の第1方向における各隙間を閉塞可能な大きさを有していることが好ましい。
【0077】
この構成によれば、一対の間仕切りパネル21と内側部材11との間の第1方向における各隙間を隙間閉塞部材30により閉塞することができる。したがって、一対の間仕切りパネル21と内側部材11との間の各隙間を通じて第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方から他方に音が伝わることを抑制できる。
【0078】
(5)上記実施形態1では、隙間閉塞部材30が単一の石膏ボードから構成される例について説明したが、隙間閉塞部材30は複数の部材から構成されていてもよい。以下、図5図7を参照して説明する。
【0079】
例えば図5に示すように、隙間閉塞部材30は、第1部分30Aaと、第2部分30Baと、第3部分30Caと、を有していてもよい。
【0080】
第1部分30Aaは、第1方向に見る視点において第1内壁パネル11Aに重複する第1内壁パネル重複部分31Aと、第1方向に見る視点において第2内壁パネル11Bに重複する第2内壁パネル重複部分32Aと、両重複部分31A、32Aの間に設けられており、隙間Gと第1方向に対向する対向部分35と、を有している。第1部分30Aaは、第1寸法t1と同等の第1方向の寸法を有しており、第3方向に延びる石膏ボードにより形成されている。第1部分30Aaは、一対の間柱22Aにビスによって固定されている。
【0081】
第2部分30Baは、第1内壁パネル11A(ここでは石膏ボード)と同等かそれよりも高い耐火性能を有しており、かつ、第1内壁パネル11Aとはコインシデンス周波数が異なる素材(例えば防振材、耐熱接着剤など)により構成されている。第2部分30Baは、第1内壁パネル重複部分31A及び第1内壁パネル11Aに挟まれた状態で第3方向に延びている。
【0082】
第3部分30Caは、第1内壁パネル11A(ここでは石膏ボード)と同等かそれよりも高い耐火性能を有しており、かつ、第1内壁パネル11Aとはコインシデンス周波数が異なる素材(例えば防振材、耐熱接着剤など)により構成されている。第3部分30Caは、第2内壁パネル重複部分32A及び第2内壁パネル11Bの間に挟まれた状態で第3方向に延びている。
【0083】
また、詳細な図示は省略するが、隙間閉塞部材30を図5に示すような態様で構成する場合、隙間閉塞部材30は、第1部分30Aaと第2部分30Baと第3部分30Caとに囲まれている空間に面している天井面及び床面を覆うことが可能な天井防火部分及び床防火部分を有していることが好ましい。つまり、火災発生時に上記空間に侵入した炎が第3方向に燃え広がるとともに当該空間の上方又は下方に存在する天井面及び床面を延焼させることを抑制するための防火部分を隙間閉塞部材30が有していることが好ましい。さらに、これらの防火部分は両パネル11A、11Bとはコインシデンス周波数が異なっていることが好ましい。
【0084】
なお、隙間閉塞部材30の構成は上記の例に限定されるものではない。例えば図6に示すように、隙間閉塞部材30は、第1部分30Aa、第2部分30Ba、第3部分30Caに代えて、第1部分30Ab、第2部分30Bb、第3部分30Cb、を有していてもよい。
【0085】
第1部分30Abは、第1寸法t1よりも大きい寸法を第1方向に有する石膏ボードにより形成されている。つまり、第1部分30Abは両パネル11A、11Bとはコインシデンス周波数が異なる石膏ボードにより形成されている。
【0086】
第2部分30Bb及び第3部分30Cbは、第1寸法t1と同等の寸法を第2方向に有する石膏ボードにより形成されている。
【0087】
また、図6のように第2部分30Bb及び第3部分30Cbが第1部分30Abと両パネル11A、11Bとに挟まれるのではなく、第1部分30Abが第2部分30Bbと第3部分30Cbとに挟まれていてもよい。
【0088】
具体的に、図7に示すように、第2部分30Bb及び第3部分30Cbが第2方向に対向した状態で一対の間柱22Aまで延びており、第1部分30Abが第2部分30Bb及び第3部分30Cbの間の隙間を塞いだ状態で第2部分30Bb及び第3部分30Cbに第2方向に挟まれていてもよい。
【0089】
以上のような構成でも、間仕切り部材20により区画された2つの空間の間における遮音性能を向上することができる。さらに、屋外空間または第1部屋R1及び第2部屋R2のうちの一方において火災が発生した際に、隙間Gを通じて炎が間仕切り部材20の内部に侵入するとともに第1部屋R1及び第2部屋R2のうちのそれぞれもしくは他方に炎が燃え広がることを抑制できる。
【0090】
(6)上記実施形態1では、隙間閉塞部材30が内側部材11の内側に配置される例について説明した。しかしながら、例えば図8に示すように、隙間閉塞部材30は内側部材11の外側に配置されていてもよい。また、内側部材11の外側に配置されている隙間閉塞部材30は、図9図11に示すように、複数の部材により構成されていてもよい。なお、図8に示す隙間閉塞部材30は、内側部材11の外側に配置されている点を除いて図1に示す隙間閉塞部材30と実質的に同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。同様に、図9に示す隙間閉塞部材30は図5に示す隙間閉塞部材30と、図10に示す隙間閉塞部材30は図6に示す隙間閉塞部材30と、図11に示す隙間閉塞部材30は図7に示す隙間閉塞部材30と、実質的に同様の構成を有しているため、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0091】
1、2、3、4 :壁構造
10、210、310、410 :基準面材
11、211、311、411 :内側部材
11A、211A、311A、411A :第1内側パネル
11B、211B、311B、411B :第2内側パネル
12、212、312、412 :外側部材
20 :間仕切り部材
30 :隙間閉塞部材
31 :第1重複部分
38 :第1端部
32 :第2重複部分
39 :第2端部
33 :隙間閉塞部分
G :隙間
R1 :第1部屋
R2 :第2部屋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11