IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソフトバンクモバイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-回転コネクタ 図1
  • 特開-回転コネクタ 図2
  • 特開-回転コネクタ 図3
  • 特開-回転コネクタ 図4
  • 特開-回転コネクタ 図5
  • 特開-回転コネクタ 図6
  • 特開-回転コネクタ 図7
  • 特開-回転コネクタ 図8
  • 特開-回転コネクタ 図9
  • 特開-回転コネクタ 図10
  • 特開-回転コネクタ 図11
  • 特開-回転コネクタ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092410
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】回転コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 39/00 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
H01R39/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208313
(22)【出願日】2022-12-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳本 教朝
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 秀行
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 知也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】接続するケーブル本数が多くとも、交流波を伝えることが可能な回転コネクタを提供すること
【解決手段】回転コネクタは、ケースと回転体とを備え、回転体は、それぞれが、芯線リング、第1のGNDリング、第2のGNDリング、第1の芯線バリア、第2の芯線バリアを含む複数の導電リング部と、複数の導電リング部のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリアとを有し、ケースは、それぞれが、コネクタ、一端側がコネクタに接続され、他端側が芯線リングに接触する芯線ブラシ、一端側がコネクタに接続され、他端側が第1のGNDリングに接触する第1のGNDブラシ、一端側がコネクタに接続され、他端側が第2のGNDリングに接触する第2のGNDブラシを含む複数のコネクタ部を有し、第1の芯線バリア及び第2の芯線バリアは、間の芯線リングに接触している芯線ブラシからの漏れ電波が他のチャネルに到達することを阻害する形状を有する
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に、前記ケースに対して回転可能に配置された円柱形状の回転体と
を備え、
前記回転体は、
複数のチャネルのそれぞれに対応する複数の導電リング部と、
前記複数の導電リング部のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリアと
を有し、
前記複数の導電リング部のそれぞれは、
芯線リングと、
第1のGNDリングと、
第2のGNDリングと、
前記芯線リングと前記第1のGNDリングとの間に配置された第1の芯線バリアと、
前記芯線リングと前記第2のGNDリングとの間に配置された第2の芯線バリアと
を含み、
前記ケースは、前記複数のチャネルのそれぞれに対応する複数のコネクタ部を有し、
前記複数のコネクタ部のそれぞれは、
コネクタと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記芯線リングに接触する芯線ブラシと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第1のGNDリングに接触する第1のGNDブラシと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第2のGNDリングに接触する第2のGNDブラシと
を含み、
前記第1の芯線バリア及び前記第2の芯線バリアは、前記第1の芯線バリア及び前記第2の芯線バリアの間の前記芯線リングに接触している前記芯線ブラシからの漏れ電波が他のチャネルに到達することを阻害する形状を有する、
回転コネクタ。
【請求項2】
前記第1の芯線バリアは、前記芯線ブラシ側の径が、前記第1のGNDリング側の径よりも大きい形状を有し、
前記第2の芯線バリアは、前記芯線ブラシ側の径が、前記第2のGNDリング側の径よりも大きい形状を有する、請求項1に記載の回転コネクタ。
【請求項3】
前記第1の芯線バリアは、前記回転体を基準とする円柱座標系における軸方向に沿った厚みが、対応するチャネルの特性インピーダンスに基づく厚みであり、
前記第2の芯線バリアは、前記回転体を基準とする円柱座標系における軸方向に沿った厚みが、対応するチャネルの特性インピーダンスに基づく厚みである、請求項2に記載の回転コネクタ。
【請求項4】
前記ケースは、
前記回転体の上面に対応する上面側部と、
前記回転体の下面に対応する下面側部と、
前記回転体を覆う側面側部と
を有し、
前記側面側部に、前記複数のコネクタ部が並べて配置され、
前記側面側部は、前記複数のコネクタ部のそれぞれに対応する複数の凸部を含み、
前記複数の凸部のそれぞれは、少なくとも1つの角部を含む、
請求項1に記載の回転コネクタ。
【請求項5】
前記複数の凸部は、直方体形状を有する、請求項4に記載の回転コネクタ。
【請求項6】
前記ケースは、
前記回転体の上面に対応する上面側部と、
前記回転体の下面に対応する下面側部と、
前記回転体を覆う側面側部と、
前記側面側部に固定された、それぞれが、隣接する前記導電リング部を仕切る複数の金属隔壁部と
を有し、
前記複数の金属隔壁部は、前記回転体が位置する穴部を含む、
請求項1に記載の回転コネクタ。
【請求項7】
前記複数の金属隔壁部にそれぞれは、隣接する2つの前記導電リング部の前記芯線リングに接触する前記芯線ブラシからの漏れ電波が互いに到達することを阻害する大きさを有する、請求項6に記載の回転コネクタ。
【請求項8】
前記上面側部、前記下面側部、前記側面側部、及び前記複数の金属隔壁部の素材は、アルミニウムである、請求項6に記載の回転コネクタ。
【請求項9】
ケースと、
前記ケースに対して回転可能に配置された円柱形状の回転体と
を備え、
前記回転体は、
複数のチャネルのそれぞれに対応する複数の導電リング部と、
前記複数の導電リング部のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリアと
を有し、
前記複数の導電リング部のそれぞれは、
芯線リングと、
第1のGNDリングと、
第2のGNDリングと、
前記芯線リングと前記第1のGNDリングとの間に配置された第1の芯線バリアと、
前記芯線リングと前記第2のGNDリングとの間に配置された第2の芯線バリアと
を含み、
前記ケースは、
前記複数のチャネルのそれぞれに対応する複数のコネクタ部
を有し、
前記複数のコネクタ部のそれぞれは、コネクタと、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記芯線リングに接触する芯線ブラシと、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第1のGNDリングに接触する第1のGNDブラシと、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第2のGNDリングに接触する第2のGNDブラシと、
を含み、
前記ケースは、
前記回転体の上面に対応する上面側部と、
前記回転体の下面に対応する下面側部と、
前記回転体を覆う側面側部と
を有し、
前記側面側部に、前記複数のコネクタ部が並べて配置され、
前記側面側部は、前記複数のコネクタ部のそれぞれに対応する複数の凸部を含み、
前記複数の凸部のそれぞれは、少なくとも1つの角部を含む、
回転コネクタ。
【請求項10】
ケースと、
前記ケースに対して回転可能に配置された円柱形状の回転体と
を備え、
前記回転体は、
複数のチャネルのそれぞれに対応する複数の導電リング部と、
前記複数の導電リング部のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリアと
を有し、
前記複数の導電リング部のそれぞれは、
芯線リングと、
第1のGNDリングと、
第2のGNDリングと、
前記芯線リングと前記第1のGNDリングとの間に配置された第1の芯線バリアと、
前記芯線リングと前記第2のGNDリングとの間に配置された第2の芯線バリアと
を含み、
前記ケースは、
前記複数のチャネルのそれぞれに対応する複数のコネクタ部
を有し、
前記複数のコネクタ部のそれぞれは、
コネクタと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記芯線リングに接触する芯線ブラシと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第1のGNDリングに接触する第1のGNDブラシと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第2のGNDリングに接触する第2のGNDブラシと
を含み、
前記ケースは、
前記回転体の上面に対応する上面側部と、
前記回転体の下面に対応する下面側部と、
前記回転体を覆う側面側部と、
前記側面側部に固定された、それぞれが、隣接する前記導電リング部を仕切る複数の金属隔壁部と
を有し、
前記複数の金属隔壁部は、前記回転体が位置する穴部を含む、
回転コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、導電リングと導電ブラシを用いた回転コネクタ装置が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2013-143183号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、回転コネクタが提供される。前記回転コネクタは、ケースと、前記ケース内に、前記ケースに対して回転可能に配置された円柱形状の回転体とを備えてよい。前記回転体は、複数のチャネルのそれぞれに対応する複数の導電リング部を有してよい。前記回転体は、前記複数の導電リング部のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリアを有してよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、芯線リングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、第1のGNDリングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、第2のGNDリングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、前記芯線リングと前記第1のGNDリングとの間に配置された第1の芯線バリアを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、前記芯線リングと前記第2のGNDリングとの間に配置された第2の芯線バリアを含んでよい。前記ケースは、前記複数のチャネルのそれぞれに対応する複数のコネクタ部を有してよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、コネクタを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記芯線リングに接触する芯線ブラシを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第1のGNDリングに接触する第1のGNDブラシを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第2のGNDリングに接触する第2のGNDブラシを含んでよい。前記第1の芯線バリア及び前記第2の芯線バリアは、前記第1の芯線バリア及び前記第2の芯線バリアの間の前記芯線リングに接触している前記芯線ブラシからの漏れ電波が他のチャネルに到達することを阻害する形状を有してよい。
【0004】
前記回転コネクタにおいて、前記第1の芯線バリアは、前記芯線ブラシ側の径が、前記第1のGNDリング側の径よりも大きい形状を有してよい。前記第2の芯線バリアは、前記芯線ブラシ側の径が、前記第2のGNDリング側の径よりも大きい形状を有してよい。前記第1の芯線バリアは、前記回転体を基準とする円柱座標系における軸方向に沿った厚みが、対応するチャネルの特性インピーダンスに基づく厚みであってよく、前記第2の芯線バリアは、前記回転体を基準とする円柱座標系における軸方向に沿った厚みが、対応するチャネルの特性インピーダンスに基づく厚みであってよい。
【0005】
前記いずれかの回転コネクタにおいて、前記ケースは、前記回転体の上面に対応する上面側部と、前記回転体の下面に対応する下面側部と、前記回転体を覆う側面側部とを有してよく、前記側面側部に、前記複数のコネクタ部が並べて配置されてよく、前記側面側部は、前記複数のコネクタ部のそれぞれに対応する複数の凸部を含んでよく、前記複数の凸部のそれぞれは、少なくとも1つの角部を含んでよい。前記複数の凸部は、直方体形状を有してよい。
【0006】
前記いずれかの回転コネクタにおいて、前記ケースは、前記回転体の上面に対応する上面側部と、前記回転体の下面に対応する下面側部と、前記回転体を覆う側面側部と、前記側面側部に固定された、それぞれが、隣接する前記導電リング部を仕切る複数の金属隔壁部とを有してよく、前記複数の金属隔壁部は、前記回転体が位置する穴部を含んでよい。前記複数の金属隔壁部にそれぞれは、隣接する2つの前記導電リング部の前記芯線リングに接触する前記芯線ブラシからの漏れ電波が互いに到達することを阻害する大きさを有してよい。前記上面側部、前記下面側部、前記側面側部、及び前記複数の金属隔壁部の素材は、アルミニウムであってよい。
【0007】
本発明の一実施態様によれば、回転コネクタが提供される。前記回転コネクタは、ケースと、前記ケースに対して回転可能に配置された円柱形状の回転体とを備えてよい。
前記回転体は、複数のチャネルのそれぞれに対応する複数の導電リング部を有してよい。前記回転体は、前記複数の導電リング部のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリアを有してよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、芯線リングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、第1のGNDリングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、第2のGNDリングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、前記芯線リングと前記第1のGNDリングとの間に配置された第1の芯線バリアを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、前記芯線リングと前記第2のGNDリングとの間に配置された第2の芯線バリアを含んでよい。前記ケースは、前記複数のチャネルのそれぞれに対応する複数のコネクタ部を有してよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、コネクタを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記芯線リングに接触する芯線ブラシを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第1のGNDリングに接触する第1のGNDブラシを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第2のGNDリングに接触する第2のGNDブラシを含んでよい。前記ケースは、前記回転体の上面に対応する上面側部を有してよい。前記ケースは、前記回転体の下面に対応する下面側部を有してよい。前記ケースは、前記回転体を覆う側面側部を有してよい。前記側面側部に、前記複数のコネクタ部が並べて配置されてよい。前記側面側部は、前記複数のコネクタ部のそれぞれに対応する複数の凸部を含んでよい。前記複数の凸部のそれぞれは、少なくとも1つの角部を含んでよい。
【0008】
本発明の一実施態様によれば、回転コネクタが提供される。前記回転コネクタは、ケースと、前記ケースに対して回転可能に配置された円柱形状の回転体とを備えてよい。前記回転体は、複数のチャネルのそれぞれに対応する複数の導電リング部を有してよい。前記回転体は、前記複数の導電リング部のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリアを有してよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、芯線リングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、第1のGNDリングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、第2のGNDリングを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、前記芯線リングと前記第1のGNDリングとの間に配置された第1の芯線バリアを含んでよい。前記複数の導電リング部のそれぞれは、前記芯線リングと前記第2のGNDリングとの間に配置された第2の芯線バリアを含んでよい。前記ケースは、前記複数のチャネルのそれぞれに対応する複数のコネクタ部を有してよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、コネクタを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記芯線リングに接触する芯線ブラシを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第1のGNDリングに接触する第1のGNDブラシを含んでよい。前記複数のコネクタ部のそれぞれは、一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第2のGNDリングに接触する第2のGNDブラシを含んでよい。前記ケースは、前記回転体の上面に対応する上面側部を有してよい。前記ケースは、前記回転体の下面に対応する下面側部を有してよい。前記ケースは、前記回転体を覆う側面側部を有してよい。前記ケースは、前記側面側部に固定された、それぞれが、隣接する前記導電リング部を仕切る複数の金属隔壁部を有してよい。前記複数の金属隔壁部は、前記回転体が位置する穴部を含んでよい。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】回転コネクタの特性について説明するための説明図である。
図2】回転コネクタ100の一例を概略的に示す。
図3】回転コネクタ100の一例を概略的に示す。
図4】回転コネクタ100の一例を概略的に示す。
図5】回転コネクタ100の構造の一例を概略的に示す。
図6】回転コネクタ100の特性について説明するための説明図である。
図7】回転コネクタ100の構造の一例を概略的に示す。
図8】回転コネクタ100の構造の一例を概略的に示す。
図9】回転コネクタ100の構造の一例を概略的に示す。
図10】ケース200の一例を概略的に示す。
図11】回転コネクタ100の構造の一例を概略的に示す。
図12】金属隔壁部234の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ケーブル接続を伴う機器を回転させる際には、回転コネクタ(スリップリング)が必要となる。多極回転コネクタは、その原理上、交流波を伝えることが困難であった。これは、高周波ほど、ケーブル本数が多いほど困難になる。このような要求を満たす回転コネクタを作成するためには、内部極間の抵抗を管理し、特性インピーダンスを目標と一致させることが重要となる。本実施形態に係る回転コネクタ100は、例えば、バリア形状を工夫することによって、このような課題の解決に貢献する。また、回転コネクタ100は、例えば、ケーシング形状を工夫することによって、このような課題の解決に貢献する。
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、回転コネクタの特性について説明するための説明図である。図1では、回転コネクタの断面形状と、回転コネクタへの入力の波形と、回転コネクタからの出力の波形とを例示している。
【0014】
図1の上側に示すように、内接点から外接点Aまでの距離と、内接点から外接点Bまでの距離とが等しい場合には、リンク上で分岐した後、正常に結合されることになり、信号の減衰は発生しないことになる。一方で、図1の下側に示すように、内接点から外接点Aまでの距離と、内接点から外接点Bまでの距離とが異なる場合には、距離の差による位相のずれが発生し、位相がずれたまま結合されることになり、信号の減衰が発生してしまうことになる。
【0015】
このように、回転コネクタは、その経路長が回転と共に変動し、公衆は信号に悪影響を及ぼすことになる。例えば、RF(Radio Frequency)用の回転コネクタの場合、その影響によって、周波数による物理的な限界が存在する。さらに、RF用の回転コネクタにおいて、チャネル数を増やすと、ケーブルを通すための断面が増え、高周波に対応できなくなり高減衰となってしまう。このような課題は、物理的に解決することが難しく、他の部分で、反射や漏洩を減らす工夫が必要となる。
【0016】
図2図3、及び図4は、本実施形態に係る回転コネクタ100の一例を概略的に示す。図5は、回転コネクタ100の構造の一例を概略的に示す。回転コネクタ100は、ケース200と、ケース200内に、ケース200に対して回転可能に配置された円柱形状の回転体300とを備える。
【0017】
回転体300は、複数のチャネルのそれぞれに対応する複数の導電リング部340と、複数の導電リング部340のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリア390とを備える。導電リング部340は、芯線リング350と、GNDリング360と、GNDリング370と、芯線リング350とGNDリング360との間に配置された芯線バリア352と、芯線リング350とGNDリング370との間に配置された芯線バリア354とを含む。GNDリング360は、第1のGNDリングの一例であってよく、GNDリング370は、第2のGNDリングの一例であってよく、芯線バリア352は、第1の芯線バリアの一例であってよく、芯線バリア354は、第2の芯線バリアの一例であってよい。
【0018】
芯線バリア352、芯線バリア354、及びチャネルバリア390は、円盤形状を有する。芯線バリア352、芯線バリア354、チャネルバリア390の、回転体300を基準とする円柱座標系における軸方向に沿った長さを、芯線バリア352、芯線バリア354、チャネルバリア390の厚みと記載し、当該円柱座標系における半径方向の長さを、芯線バリア352、芯線バリア354、チャネルバリア390の径と記載する。
【0019】
ケース200は、回転体300の上面310に対応する上面側部210と、回転体300の下面320に対応する下面側部220と、回転体300を覆う側面側部230とを備える。
【0020】
ケース200は、複数のチャネルのそれぞれに対応する複数のコネクタ部240を備える。コネクタ部240は、コネクタ242と、芯線ブラシ250と、GNDブラシ260と、GNDブラシ270とを含む。コネクタ242は、例えば、いわゆるSMA(Sub Miniature Type A)コネクタであってよい。芯線ブラシ250は、一端側がコネクタ242に接続され、他端側が芯線リング350に接触する。GNDブラシ260は、一端側がコネクタ242に接続され、他端側がGNDリング360に接触する。GNDブラシ260は、第1のGNDブラシの一例であってよい。GNDブラシ270は、一端側がコネクタ242に接続され、他端側がGNDリング370に接触する。GNDブラシ270は、第2のGNDブラシの一例であってよい。
【0021】
ケース200は、例えば、アルミニウムによって構成される。ケース200は、ステンレス等の他の金属によって構成されてもよい。
【0022】
芯線バリア352及び芯線バリア354は、絶縁体により構成される。各チャネルの特性インピーダンスは、芯線バリア352及び芯線バリア354の絶縁度に依存する。
【0023】
芯線バリア352の厚みは、対応するチャネルの特性インピーダンスに基づく厚みであってよい。すなわち、芯線バリア352は、目的とするチャネルの特性インピーダンスを実現できる絶縁度となる厚みを有してよい。
【0024】
芯線バリア354の厚みは、対応するチャネルの特性インピーダンスに基づく厚みであってよい。すなわち、芯線バリア354は、目的とするチャネルの特性インピーダンスを実現できる絶縁度となる厚みを有してよい。
【0025】
図6は、回転コネクタ100の特性について説明するための説明図である。芯線ブラシ250、GNDブラシ260、及びGNDブラシ270が、傾いた状態で芯線リング350、GNDリング360、及びGNDリング370と接触する関係上、コネクタ242が配置されるケース200の部分と、回転体300との間には、一定以上の距離が必要となり、隙間が存在することになる。
【0026】
発明者は、回転コネクタ100を用いた実験を行うことによって、芯線ブラシ250に高い電圧を印加したときに、芯線ブラシ250がアンテナのように機能して、漏れ電波が発生することを発見した。漏れ電波は、隣接するチャネルに悪影響を及ぼす場合があり、漏れ電波の影響を低減する構成を採用することが望ましい。
【0027】
図7は、回転コネクタ100の一例を概略的に示す。回転コネクタ100における芯線バリア352及び芯線バリア354は、当該芯線バリア352及び芯線バリア354の間の芯線リング350に接触している芯線ブラシ250からの漏れ電波が他のチャネルに到達することを阻害する形状を有してよい。
【0028】
図7に示す回転コネクタ100は、その一例として、芯線バリア352が、芯線リング350側の径がGNDリング360側の径よりも大きい形状を有し、芯線バリア354が、芯線リング350側の径がGNDリング370側の径よりも大きい形状を有する。図7に示す例では、芯線バリア352及び芯線バリア354が、電車の車輪形状を有している。すなわち、芯線バリア352及び芯線バリア354はそれぞれ、第1の径を有する円盤状の部分と、第1の径よりも大きな第2の径を有する円盤状の部分によって構成される。芯線バリア352及び芯線バリア354の厚みを保ったまま、芯線リング350側の径のみを大きくすることによって、特性インピーダンスを維持したまま、芯線リング350による漏れ電波を低減する効果を奏することができる。
【0029】
なお、芯線バリア352が、GNDリング360側の径が芯線リング350側の径よりも大きい形状を有し、芯線バリア354が、GNDリング370側の径が芯線リング350側の径よりも大きい形状を有するように構成してもよい。
【0030】
図8は、回転コネクタ100の一例を概略的に示す。ここでは、図7と異なる点を主に説明する。図8に例示する芯線バリア352は、芯線リング350側の径がGNDリング360側の径よりも大きい円錐台形状を有し、芯線バリア354は、芯線リング350側の径がGNDリング370側の径よりも大きい円錐台形状を有する。図8に示す形状であっても、特性インピーダンスを維持したまま、芯線リング350による漏れ電波を低減する効果を奏することができる。
【0031】
図9は、回転コネクタ100の一例を概略的に示す。図7及び図8では、芯線バリア352及び芯線バリア354の厚みを維持したまま、一部の径を大きくする例を示したが、それらに限られない。芯線バリア352及び芯線バリア354は、目的とする特性インピーダンスを実現しつつ、芯線リング350の漏れ電波が他のチャネルに到達することを阻害する、厚み及び径を有するように構成されてもよい。このような厚み及び径は、例えば、回転コネクタ100毎に、厚み及び径を少しずつ異ならせながら、特性インピーダンスを検査することによって、特定され得る。
【0032】
図10は、ケース200の一例を概略的に示す。ケース200の側面側部230には、複数のコネクタ部240が並べて配置される。図10に示すケース200の側面側部230は、複数のコネクタ部240のそれぞれに対応する複数の凸部232を含む。複数の凸部232のそれぞれは、少なくとも1つの角部を含む。図10では、複数の凸部232が、直方体形状を有する場合を例示している。
【0033】
発明者は、実験により、芯線ブラシ250の近辺に、少なくとも1つの角部を有する凸部232を配置することによって、芯線ブラシ250の漏れ電波が、その角部によって吸収されることを発見した。複数のコネクタ部240のそれぞれについて、対応する位置に、凸部232を配置することによって、芯線ブラシ250の漏れ電波の影響を低減することができる。
【0034】
図10では、チャネルの数が14個であり、14個のコネクタ部240が、2列で、ずらして配置される場合の、14個の凸部232を例示している。複数の凸部232は、コネクタ部240の数や配置に合わせて、複数のコネクタ部240のそれぞれに対応する位置に配置されてよい。
【0035】
なお、凸部232は、側面に複数の角部を有してもよい。例えば、凸部232の側面側が、ギザギザ形状を有してもよい。角部の数を増やすことによって、芯線ブラシ250の漏れ電波の吸収力を高めることができる。
【0036】
図11は、回転コネクタ100の構造の一例を概略的に示す。図11に例示する回転コネクタ100のケース200は、側面側部230に固定された、それぞれが、隣接する導電リング部340を仕切る複数の金属隔壁部234を有する。金属隔壁部234は、図12に示すように、回転体300が位置する穴部236を有する。回転体300は、穴部236の中で回転する。
【0037】
金属隔壁部234は、隣接する2つの導電リング部340の芯線リング350に接触する芯線ブラシ250からの漏れ電波が互いに到達することを阻害する大きさを有する。
【0038】
上面側部210、下面側部220、側面側部230、及びコネクタ部240の素材は、アルミニウムであってよい。上面側部210、下面側部220、側面側部230、及びコネクタ部240の素材は、ステンレス等の他の金属であってもよい。金属隔壁部234は、側面側部230に対して固定設置されてよい。金属隔壁部234は、側面側部230と一体的に形成されていてもよい。
【0039】
ケース200が、複数の金属隔壁部234を有することによって、複数のチャネル間での芯線リング350の漏れ電波の漏洩影響を低減することができる。
【0040】
図11に示す例において、チャネルバリア390は、図5に例示するチャネルバリア390と比較して、大きい径を有する。これにより、チャネルバリア390によって、隣接するチャネル間で、芯線リング350の漏れ電波が到達してしまうことを阻害することができる。
【0041】
チャネルバリア390は、ベタGND基板であってよい。これにより、漏れ電波を遮断したり吸収したりしやすくできる。また、チャネルバリア390をアルミニウム等の金属によって構成する場合と比較して、重量を軽くすることができる。多チャンネルに対応する回転体300は、全長が長くなりがちであるが、チャネルバリア390を軽くすることによって、回転体300が撓んでしまうことを防ぐことができる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0043】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0044】
100 回転コネクタ、200 ケース、210 上面側部、220 下面側部、230 側面側部、232 凸部、234 金属隔壁部、236 穴部、240 コネクタ部、242 コネクタ、250 芯線ブラシ、260 GNDブラシ、270 GNDブラシ、300 回転体、310 上面、320 下面、340 導電リング部、350 芯線リング、352 芯線バリア、354 芯線バリア、360 GNDリング、370 GNDリング、390 チャネルバリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に、前記ケースに対して回転可能に配置された円柱形状の回転体と
を備え、
前記回転体は、
複数のチャネルのそれぞれに対応する複数の導電リング部と、
前記複数の導電リング部のそれぞれの間に配置された複数のチャネルバリアと
を有し、
前記複数の導電リング部のそれぞれは、
芯線リングと、
第1のGNDリングと、
第2のGNDリングと、
前記芯線リングと前記第1のGNDリングとの間に配置された第1の芯線バリアと、
前記芯線リングと前記第2のGNDリングとの間に配置された第2の芯線バリアと
を含み、
前記ケースは、前記複数のチャネルのそれぞれに対応する複数のコネクタ部を有し、
前記複数のコネクタ部のそれぞれは、
コネクタと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記芯線リングに接触する芯線ブラシと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第1のGNDリングに接触する第1のGNDブラシと、
一端側が前記コネクタに接続され、他端側が前記第2のGNDリングに接触する第2のGNDブラシと
を含み、
前記第1の芯線バリア及び前記第2の芯線バリアは、前記第1の芯線バリア及び前記第2の芯線バリアの間の前記芯線リングに接触している前記芯線ブラシからの漏れ電波が他のチャネルに到達することを阻害する形状を有し、
前記第1の芯線バリアは、前記芯線ブラシ側の径が、前記第1のGNDリング側の径よりも大きい形状を有し、
前記第2の芯線バリアは、前記芯線ブラシ側の径が、前記第2のGNDリング側の径よりも大きい形状を有する、
回転コネクタ。
【請求項2】
前記ケースは、
前記回転体の上面に対応する上面側部と、
前記回転体の下面に対応する下面側部と、
前記回転体を覆う側面側部と、
前記側面側部に固定された、それぞれが、隣接する前記導電リング部を仕切る複数の金属隔壁部と
を有し、
前記複数の金属隔壁部は、前記回転体が位置する穴部を含む、
請求項1に記載の回転コネクタ。
【請求項3】
前記複数の金属隔壁部にそれぞれは、隣接する2つの前記導電リング部の前記芯線リングに接触する前記芯線ブラシからの漏れ電波が互いに到達することを阻害する大きさを有する、請求項に記載の回転コネクタ。
【請求項4】
前記上面側部、前記下面側部、前記側面側部、及び前記複数の金属隔壁部の素材は、アルミニウムである、請求項に記載の回転コネクタ。