(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092422
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】プレス機
(51)【国際特許分類】
B30B 15/34 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B30B15/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208329
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】草野 智司
(72)【発明者】
【氏名】田中 康宏
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA02
4E090CC01
4E090DA04
4E090DA08
(57)【要約】
【課題】攪拌過熱の抑制によって無駄な電力消費を低減可能なプレス機を提供する。
【解決手段】プレス機1は、駆動及びプレヒートが可能なプレス機本体と、潤滑油70を攪拌するとともに、潤滑油70をプレス機本体に供給する潤滑油ポンプ54と、プレス機本体の駆動及びプレヒートと潤滑油ポンプ54の回転とを制御する制御部60とを備え、制御部60は、プレス機本体のプレヒート時の潤滑油ポンプ54の平均回転速度である第1平均回転速度をプレス機本体の駆動時の潤滑油ポンプ54の平均回転速度である第2平均回転速度から下げる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動及びプレヒートが可能なプレス機本体と、
潤滑油を攪拌するとともに、前記潤滑油を前記プレス機本体に供給する潤滑油ポンプと、
前記プレス機本体の駆動及びプレヒートと前記潤滑油ポンプの回転とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記プレス機本体のプレヒート時の前記潤滑油ポンプの平均回転速度である第1平均回転速度を前記プレス機本体の駆動時の前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度である第2平均回転速度から下げる、プレス機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1平均回転速度を前記第2平均回転速度の半分以下に下げる、請求項1に記載のプレス機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1平均回転速度を複数の段階に分けて下げる、請求項2に記載のプレス機。
【請求項4】
前記プレス機本体を駆動する第1電動機をさらに備え、
前記制御部は、前記第1電動機の運転中の前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度を前記第1平均回転速度から上げる、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレス機。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1電動機の運転停止後に前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度を前記第2平均回転速度よりも下げる、請求項4に記載のプレス機。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1電動機の運転停止後に前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度を前記第1平均回転速度まで下げる、請求項5に記載のプレス機。
【請求項7】
前記潤滑油ポンプは、前記プレス機本体の内部に収容される、請求項1~3のいずれか1項に記載のプレス機。
【請求項8】
前記潤滑油ポンプを駆動する第2電動機として同期電動機を使用する、請求項4に記載のプレス機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定金型上に載置した金属板などを可動金型の上下動によって加工するプレス機に関し、特に、運転開始時のスライドの下死点精度を安定させるためにプレヒートを行うプレス機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の熱プレス装置は、相対する第1熱盤及び第2熱盤と、第2熱盤を移動させる油圧シリンダと、油圧シリンダを駆動させる1個あるいは複数の油圧ポンプと、油吐出圧を検出する圧力センサと、油圧ポンプを回転駆動するモータの回転数あるいは複数の油圧ポンプの切替えを制御するコントローラとを具備し、圧力センサからの圧力信号あるいはモータの回転信号が入力されるコントローラで、モータの回転数と複数の油圧ポンプの切替えを制御する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プレス機は冷えた状態から運転した場合、運転中にプレス機本体の温度が徐々に上昇する。プレス機の温度上昇に伴って金属部の伸びが発生することで、スライドの下死点が変化するので、下死点精度が安定しないという問題が発生する。そこで、運転開始時の下死点精度を安定させるため、プレス機の運転開始前や停止中もヒータで加熱した潤滑油をプレス機内にポンプにて循環させることで、プレス機本体の温度を運転中の飽和温度付近に維持するようにしている(プレヒート)。
【0005】
プレス機のプレヒート時は、潤滑油の上限温度を設定してヒータにて加熱する。加熱された潤滑油は潤滑油ポンプにてプレス機内へ供給されるが、潤滑油ポンプの攪拌によっても潤滑油の温度が上昇することがある(攪拌過熱)。上限温度を超えて加熱された潤滑油はクーラーにて冷却されるが、加熱した潤滑油をクーラーにて冷却するという無駄な電力消費を低減したい。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、攪拌過熱の抑制によって無駄な電力消費を低減可能なプレス機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の例示的なプレス機は、駆動及びプレヒートが可能なプレス機本体と、潤滑油を攪拌するとともに、前記潤滑油を前記プレス機本体に供給する潤滑油ポンプと、前記プレス機本体の駆動及びプレヒートと前記潤滑油ポンプの回転とを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記プレス機本体のプレヒート時の前記潤滑油ポンプの平均回転速度である第1平均回転速度を前記プレス機本体の駆動時の前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度である第2平均回転速度から下げる。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本開示によれば、攪拌過熱の抑制によって無駄な電力消費が低減可能となり、ランニングコストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係るプレス機1の構成を示す図である。
【
図2】制御部60による潤滑油ポンプ54に関する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
1.1 プレス機1の構成
図1は本開示の一実施形態に係るプレス機1の構成を示す図である。
【0012】
この
図1に示すように、プレス機1は、金属製の板材を固定金型91と可動金型92との間に配置し、可動金型92を上下動させることにより、板材を加工する装置である。プレス機1は、例えば、コネクタ等の電子部品を製造するために用いられる。ただし、本開示のプレス機は、電子部品以外のプレス製品を製造するものであってもよい。プレス機1は、枠体10、金型保持部20、主モータ30、動力伝達機構40、オイル供給機構50、及び制御部60を備える。なお、枠体10、金型保持部20、主モータ30、及び動力伝達機構40が本開示の「プレス機本体」に対応する。
【0013】
枠体10は、後述するクランクシャフト44、コネクティングロッド45、プランジャ46、及び金型保持部20を内部に収容する略箱状のフレームである。枠体10は、ベッド部11、クラウン部12、及び一対のコラム部13を備える。ベッド部11は、工場の床面に設置される。クラウン部12は、ベッド部11から間隔をあけて上方に配置される。一対のコラム部13は、ベッド部11とクラウン部12との間に介在する。各コラム部13の下面は、ベッド部11の上面に接続される。また、各コラム部13の上面は、クラウン部12の下面に接続される。クラウン部12は、その内部に、クランクシャフト44及びコネクティングロッド45を配置するためのスペースを備える。
【0014】
金型保持部20は、固定的に配置されたボルスタ21と、ボルスタ21の上方に配置されたスライド22とを備える。ボルスタ21及びスライド22は、一対のコラム部13の間に配置されている。また、スライド22は、後述する一対のプランジャ46とともに、上下方向に移動可能となっている。プレス加工を行うときには、ボルスタ21の上部に固定金型91が取り付けられ、スライド22の下部に可動金型92が取り付けられる。
【0015】
主モータ30は、可動金型92を上下に移動させるための動力を供給する動力源である。
図1の例では、クラウン部12の上面に主モータ30が配置されている。ただし、主モータ30の位置は、必ずしも
図1の通りでなくてもよい。例えば、枠体10の内部に、主モータ30が配置されていてもよい。主モータ30に通電すると、主モータ30内のコイルとマグネットとの間に生じる回転磁界によって、トルクが発生する。そして、当該トルクにより、主モータ30から突出する出力軸31が回転する。なお、主モータ30が本開示の「第1電動機」に対応する。
【0016】
動力伝達機構40は、主モータ30から得られる動力を、上下方向の往復運動に変換して、スライド22に伝達する機構である。動力伝達機構40は、環状ベルト41、フライホイル42、摩擦板43、クランクシャフト44、一対のコネクティングロッド45、及び一対のプランジャ46を備える。
【0017】
環状ベルト41は、主モータ30の出力軸31の先端に取り付けられたプーリ32と、プーリ32よりも径の大きいフライホイル42との間に掛け渡されている。主モータ30を駆動させると、出力軸31及びプーリ32が回転する。そして、プーリ32の回転が、環状ベルト41を介してフライホイル42へ伝達される。これにより、フライホイル42が回転する。
【0018】
クランクシャフト44は、屈曲した柱状の部材であり、水平に配置されている。クランクシャフト44は、クラウン部12に対して回転自在に支持される。クランクシャフト44の端部に固定された摩擦板43と、フライホイル42とは、図示しない機構によって、互いに接触及び離間させることができる。フライホイル42と摩擦板43とを互いに接触させると、主モータ30の駆動力が、フライホイル42からクランクシャフト44へ伝達する。これにより、フライホイル42とともにクランクシャフト44が回転する。
【0019】
クランクシャフト44は、その回転中心よりも外側に位置する複数の偏心部441を備える。一対のコネクティングロッド45の各々の上端部は、偏心部441に対して、回転自在に接続されている。また、一対のコネクティングロッド45の各々の下端部は、一対のプランジャ46の上端部に対して、回転自在に接続されている。各プランジャ46は、図示しないガイドに沿って、上下方向に移動する。また、一対のプランジャ46の各々の下端部は、スライド22に接続されている。
【0020】
クランクシャフト44が回転すると、クランクシャフト44に接続された一対のコネクティングロッド45が、水平成分を含む横方向に揺動する。また、コネクティングロッド45の揺動に伴い、一対のプランジャ46が、上下方向に往復移動する。これにより、可動金型92を保持するスライド22が、上死点と下死点との間で上下方向に往復移動する。スライド22が下死点まで下降すると、固定金型91と可動金型92とが接近して、両金型の間に挟まれた金属板が加工される。
【0021】
このように、クランクシャフト44の回転運動が、コネクティングロッド45の水平方向の揺動に変換される。そして、コネクティングロッド45の揺動が、それよりも移動ストロークの小さいプランジャ46の上下方向の往復運動に変換される。
【0022】
オイル供給機構50は、枠体10の内部に位置する動力伝達機構40の各部に潤滑油70を供給する機構である。オイル供給機構50は、オイル供給源51、一括温度調節部52、潤滑油70の供給経路53、及び潤滑油ポンプ54を備える。
【0023】
オイル供給源51は、潤滑油70を内部に貯留した貯留タンクである。一括温度調節部52は、オイル供給源51との間で潤滑油70を交換しながら、潤滑油70を加熱又は冷却する。これにより、オイル供給源51に貯留された潤滑油70の温度を、設定された温度に調節する。すなわち、一括温度調節部52は、供給経路53に供給される潤滑油70の温度を、その供給先に関わらず全体として調節する機構である。
【0024】
オイル供給源51と動力伝達機構40の各部とは、潤滑油70の供給経路53によって結ばれている。供給経路53は、主流路530、第1分岐流路532、及び第2分岐流路533を備える。主流路530の上流側の端部は、オイル供給源51に接続されている。第1分岐流路532は、主流路530から分岐して、コネクティングロッド45へ至る。第2分岐流路533は、主流路530から分岐して、クランクシャフト44へ至る。
【0025】
主流路530の経路上には、潤滑油ポンプ54が介挿されている。潤滑油ポンプ54を動作させると、オイル供給源51に貯留された潤滑油70が、主流路530へ流れ出す。そして、主流路530から、第1分岐流路532及び第2分岐流路533を通って、プランジャ46、コネクティングロッド45、及びクランクシャフト44へ、潤滑油70がそれぞれ供給される。
【0026】
オイル供給機構50の構成部材のうち、例えば、潤滑油ポンプ54を含む一部を枠体10の内部に収容してもよい。これはすなわち、本開示の「プレス機本体の内部に収容される」ことを意味する。これにより、枠体10(プレス機本体と考えてもよい)の周辺に設置スペースを確保する必要がなくなる。
【0027】
潤滑油ポンプ54を駆動するモータ54aとしては、同期電動機や誘導電動機が挙げられるが、これらに限らない。本実施形態では同期電動機を用いる。誘導電動機と比較して、消費電力を低減できるとともに回転速度を下げても十分な回転トルクを確保できるからである。同期電動機であれば、駆動する交流電源によって生じる回転磁界と同じ速度(同期速度)で回転子が回転するので、回転速度は電源周波数に比例する。誘導電動機であれば、すべりによって同期速度より少し遅い速度で回転子が回転する。
【0028】
潤滑油ポンプ54の駆動回路(不図示)には、インバータが内蔵されており、このインバータによって交流電源の周波数を変えることで潤滑油ポンプ54の回転速度を変えられるように構成されている。なお、モータ54aが本開示の「第2電動機」に対応する。
【0029】
ベッド部11の内部には、使用後の潤滑油70を貯留する貯留部111が設けられている。クランクシャフト44及びコネクティングロッド45へ供給された潤滑油70は、潤滑剤としての機能を果たした後、一対のコラム部13内に形成された回収流路131を通って、ベッド部11内の貯留部111に回収される。また、プランジャ46へ供給された潤滑油70も、潤滑剤としての機能を果たした後、図示しない回収流路を通って、ベッド部11内の貯留部111に回収される。また、貯留部111に回収された潤滑油70は、帰還流路112を通ってオイル供給源51に再供給される。
【0030】
制御部60は、プレス機1内の各部を動作制御するための手段である。制御部60には、例えば、CPU等の演算処理部、RAM等のメモリ、及びハードディスクドライブ等の記憶部を備えるコンピュータが用いられる。ただし、コンピュータに代えて、マイクロコントローラ等の演算装置を備える電気回路が用いられていてもよい。
【0031】
1.2 制御部60による潤滑油ポンプ54に関する処理
図2は制御部60による潤滑油ポンプ54に関する処理を示すフローチャートである。
【0032】
この
図2に示すように、プレス機1の電源がONになると、制御部60による潤滑油ポンプ54に関する処理が開始される。
【0033】
まず、ステップS1では、潤滑油ポンプ54を起動(モータ54aによる回転駆動を開始)して次のステップS2へ進む。
【0034】
ステップS2では、主モータ30がONか否かを判定し、ONであれば次のステップS3へ進み、そうでなければステップS6へ進む。
【0035】
ステップS3では、主モータ30がON、すなわちプレス機本体の駆動時(運転中)なので、潤滑油ポンプ54が通常の運転速度Nnとなるようにモータ54aの回転を制御し、次のステップS4へ進む。
【0036】
一方、ステップS6では、主モータ30がOFF、すなわちプレス機本体のプレヒート時(暖機中)なので、攪拌過熱を抑制するため、潤滑油ポンプ54が暖機速度Nwとなるようにモータ54aの回転を制御し、次のステップS7へ進む。
【0037】
プレヒート時の攪拌過熱を抑制するには、潤滑油ポンプ54の暖機速度Nwを本体駆動時の運転速度Nnより低くする必要がある。また、あくまでも攪拌過熱の抑制が目的であって、攪拌による潤滑油の温度変化も緩慢なので、潤滑油ポンプ54の駆動は定速回転でなくてもよいし、連続回転と間欠回転のいずれであってもよい。よって、潤滑油ポンプ54の回転制御は平均回転速度で考えてもよい。ただし、本実施形態では説明の簡略化のため、各回転速度に「平均」を付さないこととする。つまり、プレヒート時の暖機速度Nwを本体駆動時の運転速度Nnから下げるとの記載は、プレヒート時の平均回転速度Nwaveを本体駆動時の平均回転速度Nnaveから下げるという意味ということである。なお、平均回転速度Nwaveが本開示の「第1平均回転速度」に対応し、平均回転速度Nnaveが本開示の「第2平均回転速度」に対応する。
【0038】
このように、プレヒート時の潤滑油ポンプ54の暖機速度Nwを本体駆動時の運転速度Nnより下げることによって潤滑油の攪拌過熱が抑制されるので、潤滑油の温度が上限温度を超えることが少なくなる。これにより、加熱した潤滑油をクーラーにて冷却する状況も起こりにくくなるので無駄な電力消費が低減され、ランニングコストも低減できる。
【0039】
例えば、ステップS3で、商用交流電源の周波数(日本国内では西日本なら60Hz)のままでモータ54aを駆動する場合、ステップS6では、半分の周波数(西日本なら30Hz)でモータ54aを駆動する。潤滑油ポンプ54を駆動するモータ54aは同期電動機であり、その回転速度は電源周波数に比例するので、ステップS3の運転速度Nnに対してステップS6の暖機速度Nwはその半分である。もちろん、暖機速度Nwは運転速度Nnの半分には限定されず、半分以下であってもよいし、2/3以下、1/3以下などであってもよい。適正な暖機速度Nwはプレス機1や設置条件などで異なるので、試験運転時などの測定データに基づいて予め定めるようにしてもよい。
【0040】
本体駆動時からプレヒート時へ移行する際の潤滑油ポンプ54の制御では、平均回転速度を一気に下げるのではなく、複数の段階に分けて下げるようにしてもよい。
【0041】
ステップS4では、主モータ30がOFFか否かを判定し、OFFであれば次のステップS5へ進み、そうでなければこのステップS4の判定を繰り返す。つまり、このステップS4は、主モータ30のONからOFFへの変化、すなわち、主モータ30の運転が停止されるのを待ち受ける。
【0042】
ステップS5では、主モータ30の運転が停止されたことでプレヒートを再開するので、潤滑油ポンプ54の回転速度が運転速度Nnから暖機速度Nwまで下がるように、モータ54aの回転を制御した後でステップS7へ進む。
【0043】
ステップS7では、主モータ30がONか否かを判定し、ONであれば次のステップS8へ進み、そうでなければこのステップS7の判定を繰り返す。つまり、このステップS7は、主モータ30のOFFからONへの変化、すなわち、主モータ30の運転が開始されるのを待ち受ける。
【0044】
ステップS8では、主モータ30の運転が開始又は再開されたので、潤滑油ポンプ54の回転速度が暖機速度Nwから運転速度Nnまで上がるように、モータ54aの回転を制御した後でステップS4へ進む。
【0045】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態を説明した。ただし、上記実施形態は、本開示の例示にすぎず、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。実施形態の構成は、本開示の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態は、可能な範囲で組み合わせて実施されてもよい。
【0046】
1.3 本開示で想定し得る他の構成
なお、本開示は、以下のような構成を採用することも可能である。
【0047】
(1)駆動及びプレヒートが可能なプレス機本体と、
潤滑油を攪拌するとともに、前記潤滑油を前記プレス機本体に供給する潤滑油ポンプと、
前記プレス機本体の駆動及びプレヒートと前記潤滑油ポンプの回転とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記プレス機本体のプレヒート時の前記潤滑油ポンプの平均回転速度である第1平均回転速度を前記プレス機本体の駆動時の前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度である第2平均回転速度から下げる、プレス機。
【0048】
(2)前記制御部は、前記第1平均回転速度を前記第2平均回転速度の半分以下に下げる、(1)に記載のプレス機。
【0049】
(3)前記制御部は、前記第1平均回転速度を複数の段階に分けて下げる、(2)に記載のプレス機。
【0050】
(4)前記プレス機本体を駆動するモータをさらに備え、
前記制御部は、前記モータの駆動を制御するとともに、前記モータの運転中の前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度を前記第1平均回転速度から上げる、(1)~(3)のいずれか1つに記載のプレス機。
【0051】
(5)前記制御部は、前記モータの運転停止後に前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度を前記第2平均回転速度よりも下げる、(4)に記載のプレス機。
【0052】
(6)前記制御部は、前記モータの運転停止後に前記潤滑油ポンプの前記平均回転速度を前記第1平均回転速度まで下げる、(5)に記載のプレス機。
【0053】
(7)前記潤滑油ポンプは、前記プレス機本体の内部に収容される、(1)~(6)のいずれか1つに記載のプレス機。
【0054】
(8)前記モータとして同期電動機を使用する、(4)~(7)のいずれか1つに記載のプレス機。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、金属板など加工するプレス機などに利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 プレス機
10 枠体
20 金型保持部
30 モータ
40 動力伝達機構
50 オイル供給機構
51 オイル供給源
52 一括温度調節部
53 供給経路
530 主流路
532 第1分岐流路
533 第2分岐流路
54 潤滑油ポンプ
54a モータ
60 制御部
70 潤滑油
91 固定金型
92 可動金型