(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092423
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/122 20230101AFI20240701BHJP
H10K 50/826 20230101ALI20240701BHJP
H10K 50/828 20230101ALI20240701BHJP
H10K 50/816 20230101ALI20240701BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20240701BHJP
H10K 59/173 20230101ALI20240701BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240701BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240701BHJP
H10K 102/10 20230101ALN20240701BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20240701BHJP
【FI】
H10K59/122
H10K50/826
H10K50/828
H10K50/816
H10K50/818
H10K59/173
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
H10K50/844
H10K102:10
H10K102:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208330
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 逸
(72)【発明者】
【氏名】新田 淳
(72)【発明者】
【氏名】望月 真里奈
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC31
3K107CC45
3K107DD22
3K107DD23
3K107DD24
3K107DD27
3K107DD28
3K107DD29
3K107DD89
3K107DD95
5C094AA02
5C094BA27
5C094FA02
5C094FB12
(57)【要約】
【課題】 表示品質が向上した表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、複数の画素と、隣り合う前記画素の間に設けられる、バンクと、を備え、前記複数の画素それぞれは、基材上に、陰極と、前記陰極上に設けられる、有機EL層と、前記有機EL層の側面を覆って設けられる、保護層と、前記保護層及び前記バンクの開口部に設けられ、前記有機EL層に接して設けられる、陽極と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素と、
隣り合う前記画素の間に設けられる、バンクと、
を備え、
前記複数の画素それぞれは、
基材上に、
陰極と、
前記陰極上に設けられる、有機EL層と、
前記有機EL層の側面を覆って設けられる、保護層と、
前記保護層及び前記バンクの開口部に設けられ、前記有機EL層に接して設けられる、陽極と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記保護層は、酸化アルミニウムで形成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記陰極は、マグネシウム-銀合金膜、銀の単層膜、銀(Ag)と透明導電材料の積層膜のいずれかであり、
前記透明導電材料は、インジウム錫酸化物又はインジウム亜鉛酸化物である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記陽極は、インジウム亜鉛酸化物、銀、インジウム亜鉛酸化物の3層積層構造、モリブデンタングステン合金及びインジウム錫酸化物の2層構造、又は、アルミニウム合金、チタン、インジウム錫酸化物の3層積層構造である、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子との再結合時のエネルギーを利用して、発光を得る有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-11083号公報
【特許文献2】国際公開第2022/144666号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、表示品質が向上した表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る表示装置は、
複数の画素と、
隣り合う前記画素の間に設けられる、バンクと、
を備え、
前記複数の画素それぞれは、
基材上に、
陰極と、
前記陰極上に設けられる、有機EL層と、
前記有機EL層の側面を覆って設けられる、保護層と、
前記保護層及び前記バンクの開口部に設けられ、前記有機EL層に接して設けられる、陽極と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の表示装置の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す部分平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す表示装置の線A1-A2に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図19】
図19は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図20】
図20は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図21】
図21は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図22】
図22は、比較例の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図23】
図23は、比較例の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図24】
図24は、比較例の表示装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
本明細書で述べる実施形態は、一般的なものでなく、本発明の同一又は対応する特別な技術的特徴について説明する実施形態である。以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0009】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0010】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0011】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0012】
[実施形態]
図1は、実施形態の表示装置の全体斜視図である。表示装置DSPは、基板SUB1に表示領域DA及び表示領域DAの周辺に設けられた周辺領域FAが設けられている。表示装置DSPは、表示領域DA内に配置された、複数の画素PXを有している。表示装置DSPでは、裏面からの光LTが表面に透過し、逆もまた然りである。
【0013】
表示領域DAの上面には封止材としての基板SUB2が設けられている。基板SUB2は表示領域DAを囲むシール材(非表示)によって、基板SUB1に固定されている。基板SUB1に形成された表示領域DAは、封止材である基板SUB2とシール材によって大気に晒されないように封止されている。
【0014】
基板SUB1の端部の領域EAは、基板SUB2の外側に配置されている。領域EAには、配線基板PCSが設けられている。配線基板PCSには、映像信号や駆動信号を出力する駆動素子DRVが設けられている。駆動素子DRVからの信号は、配線基板PCSを介して、表示領域DAの画素PXに入力される。映像信号及び各種制御信号に基づいて、画素PXが発光する。
【0015】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す部分平面図である。複数の画素PXは、赤色を発光する画素PXR、緑色を発光する画素PXG、青色を発光する画素PXBを有している。画素PXR、PXG、PXBを、それぞれ、第1画素、第2画素、第3画素ともいう。画素PXRは、画素PXBと、第1方向X及び第2方向Yに沿って隣り合って配置される。画素PXGは、画素PXBと、第1方向X及び第2方向Yに沿って隣り合って配置される。画素PXBは、画素PXRと第1方向に沿って隣り合って配置され、画素PXGと第2方向Yに沿って隣り合って配置されている。
【0016】
図3は、
図2に示す表示装置の線A1-A2に沿った断面図である。
基材BA1は、例えばガラスや、樹脂材料で構成される樹脂材料で構成される基材が挙げられる。樹脂材料としては、例えばアクリル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いればよく、いずれかの単層又は複数層の積層で形成してもよい。
【0017】
基材BA1上には、絶縁層UC1が設けられている。絶縁層UC1は、例えば酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を単層又は積層して形成される。
【0018】
絶縁層UC1上に、トランジスタTrと重畳して、遮光層BMが設けられてもよい。遮光層BMは、トランジスタTrのチャネル裏面からの光の侵入等によるトランジスタ特性の変化を抑制する。遮光層BMが導電層で形成される場合は、所定の電位を与えることで、トランジスタTrにバックゲート効果を与えることも可能である。
【0019】
絶縁層UC1及び遮光層BMを覆って、絶縁層UC2が設けられている。絶縁層UC2の材料としては、絶縁層UC1と同様の材料を用いることができる。絶縁層UC2は、絶縁層UC1と異なる材料であってもよい。例えば、絶縁層UC1は酸化シリコン、絶縁層UC2は窒化シリコンを用いることができる。絶縁層UC1及びUC2を併せて、絶縁層UCとする。
【0020】
絶縁層UC上に、トランジスタTrが設けられる。トランジスタTrは、半導体層SC、絶縁層GI、ゲート電極GE(走査線)、絶縁層ILI、ソース電極SE(信号線)、ドレイン電極DEを有している。
【0021】
半導体層SCとして、アモルファスシリコン、ポリシリコン、又は酸化物半導体を用いる。
絶縁層GIとして、例えば、酸化シリコン又は窒化シリコンを単層又は積層して設ける。
【0022】
ゲート電極GEとして、例えば、モリブデンタングステン合金(MoW)を用いる。ゲート電極GEは、走査線GLと一体形成されていてもよい。
【0023】
半導体層SC及びゲート電極GEを覆って、絶縁層ILIが設けられている。絶縁層ILIは、例えば酸化シリコン層又は窒化シリコン層を単層又は積層して形成される。
【0024】
絶縁層ILI上には、ソース電極SE及びドレイン電極DEが設けられている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ、絶縁層ILI及び絶縁層GIに設けられたコンタクトホールを介して、半導体層SCのソース領域及びドレイン領域に接続される。ソース電極SEは、信号線と一体形成されていてもよい。
【0025】
ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び絶縁層ILIを覆って、絶縁層PASが設けられる。絶縁層PASを覆って、絶縁層PLLが設けられる。
【0026】
絶縁層PASは、無機絶縁材料を用いて形成する。無機絶縁材料は、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンを単層又は積層してものが挙げられる。絶縁層PLLは、有機絶縁材料を用いて形成する。有機絶縁材料は、例えば、感光性アクリル、ポリイミド等の有機材料が挙げられる。絶縁層PLLを設けることにより、トランジスタTrによる段差を平坦化することができる。
【0027】
絶縁層PLL上に、陰極CDが設けられる。陰極CDは、絶縁層PAS及びPLLに設けられたコンタクトホールを介して、ドレイン電極DEに接続されている。画素PXRに設けられる陰極を陰極CDR、画素PXBに設けられる陰極を陰極CDB、画素PXGに設けられる陰極を陰極CDGとする。陰極CDR、陰極CDG、陰極CDBを区別する必要がない場合は、単に陰極CDと呼ぶ。
【0028】
陰極CDは、例えば、マグネシウム-銀合金(MgAg)膜や、銀(Ag)の単層膜や、銀(Ag)と透明導電材料の積層膜等を用いて形成する。当該透明導電材料は、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(Indium ZInc Oxide:IZO)等を用いればよい。
本実施形態では、基材BA1から絶縁層PLLまでの構成を、バックプレインBPSとする。
【0029】
隣り合う陰極CDとの間に、バンクBK(凸部、リブともいう)が設けられる。バンクBKの材料として、絶縁層PLLの材料と同様の有機材料が用いられる。バンクBKは、陰極CDの一部を露出するように開口される。
【0030】
画素PXRに設けられる開口部を、開口部OPR、画素PXBに設けられる開口部を、開口部OPB、画素PXGに設けられる開口部を、開口部OPG、とする。開口部OPR、開口部OPB、開口部OPGを区別する必要がない場合は、単に開口部OPと呼ぶ。
【0031】
開口部OPの端部は、断面視でなだらかなテーパ形状となることが好ましい。開口部OPの端部が急峻な形状となっていると、後に形成される有機EL層ELYにカバレッジ不良が生じる。
【0032】
陰極CDと重畳して、隣り合うバンクBKとの間に、有機EL層ELYが設けられている。詳細は後述するが、有機EL層ELYは、電子輸送層ETYと、発光層EMLと、正孔輸送層HTLと、正孔注入層HILと、を含んでいる。有機EL層ELYは、必要であれば、電子注入層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、をさらに含んでいてもよい。
【0033】
画素PXRに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYR、画素PXBに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYB、画素PXGに設けられる有機EL層を、有機EL層ELYGとする。有機EL層ELYR、有機EL層ELYG、有機EL層ELYBを区別する必要がない場合は、単に有機EL層ELYと呼ぶ。
【0034】
有機EL層ELY上に、陽極ADが設けられている。陽極ADは、例えば、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、銀(Ag)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)の3層積層構造や、モリブデンタングステン合金(MoW)及びインジウム錫酸化物(ITO)の2層構造等で形成される。その他に、陽極ADは、アルミニウム(Al)または、アルミニウム(Al)合金を用いて形成しても良い。その場合、陽極ADは、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金にチタン(Ti)等のバリアメタルを十分薄く積層し、更にインジウム錫酸化物(ITO)を積層する3層構造である。アルミニウムと合金する材料としてはネオジウム(Nd)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ランタン(La)等がある。
【0035】
陽極ADを覆って、絶縁層SEYが設けられる。絶縁層SEYは、外部から水分が有機EL層ELYに侵入することを防止する機能を有している。絶縁層SEYとしてはガスバリア性の高いものが好適である。絶縁層SEYとして、例えば、有機絶縁層を、窒素を含む無機絶縁層2層で挟持した絶縁層が挙げられる。当該有機絶縁層の材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。当該窒素を含む無機絶縁層の材料としては、例えば、窒化シリコン、窒化アルミニウムが挙げられる。
【0036】
絶縁層SEY上に、基材BA2が設けられている。基材BA2は、基材BA1と同様の材料で形成されている。基材BA2及び絶縁層SEYとの間に、透光性を有する無機絶縁層や有機絶縁層が設けられていてもよい。有機絶縁層が絶縁層SEYと基材BA2を接着する機能を有していてもよい。
【0037】
有機EL層ELYで生じた発光は、陽極ADを介して、上方に取り出される。すなわち、本実施形態の表示装置DSPは、トップエミッション構造を有している。
【0038】
図4は、実施形態の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図4に示す表示装置DSPでは、有機EL層ELYの近傍の構成のみを示ししている。
図4では、バックプレインBPS上に、陰極CD(陰極CDR、陰極CDG、陰極CDB)が設けられている。
【0039】
陰極CD上には、有機EL層ELYが設けられている。陰極CDR上には、有機EL層ELYRが設けられている。陰極CDB上には、有機EL層ELYBが設けられている。陰極CDG上には、有機EL層ELYGが設けられている。
【0040】
陰極CDR、陰極CDG、陰極CDB、有機EL層ELYR、有機EL層ELYG、及び有機EL層ELYBそれぞれの側面を覆って、保護層AOLが設けられている。保護層AOLは、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)で形成されている。
【0041】
図4には示されていないが、陰極CD及び有機EL層ELYとの間には、金属酸化物層及び中間層が設けられている。これらについては、
図5を用いて、後に詳述する。
【0042】
保護層AOL上に、また、隣り合う有機EL層ELY間に、バンクBKが設けられている。隣り合うバンクBKの間には、開口部OP(開口部OPR、開口部OPB、開口部OPG)が設けられる。
図4には示さないが、バンクBK、有機EL層ELY、保護層AOLを覆って、陽極ADが設けられる。
【0043】
図5は、実施形態の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図5は、
図4の部分拡大図である。
図5に示すように、陰極CD及び陽極ADの間には、第3方向Zに沿って、金属酸化物層MOLと、中間層ILLと、有機EL層ELYが設けられている、有機EL層ELYは、第3方向Zに沿って積層された、電子輸送層ETLと、発光層EMLと、正孔輸送層HTLと、正孔注入層HILと、を含んでいる。
【0044】
金属酸化物層MOLは、透光性を有する導電層、例えば、酸化亜鉛(ZnO)である。
中間層ILLは、アミン誘導体、例えば、ポリエチレンイミン(Polyethyleneimine:PEI)により形成されている。アミン誘導体の中間層ILLを形成することにより、電子注入が増加する。すなわち、中間層ILLは、電子注入層であるともいえる。
【0045】
図6乃至
図21は、実施形態の表示装置の製造方法を示す断面図である。
図6乃至
図21では、画素PXR、画素PXG、及び画素PXBのうちの1つである第1画素を、画素PX1とし、別の1つである第2画素を、画素PX2とする。
図6乃至
図21では、第1画素(画素PX1)、第2画素(画素PX2)の順番で形成される。図示しないが、画素PXR、画素PXG、及び画素PXBのうちの他の1つである第3画素(仮に画素PX3とする)は、第1画素及び第2画素と同様に形成される。
【0046】
まず、基材BA1に、陰極CD1及び陰極CD2が形成される(
図6参照)。陰極CD1は、画素PX1の陰極であり、陰極CD2は、画素PX2の陰極である。
図6には図示されていないが、
図5で説明したように、陰極CD1及び陰極CD2それぞれの上には、中間層及び金属酸化物層が設けられている。
【0047】
基材BA1、陰極CD1及び陰極CD2、並びに、上述の中間層及び金属酸化物層を覆って、有機EL層ELM1、犠牲層AOM1,犠牲層MWM1を形成する(
図7参照)。有機EL層ELM1は、画素PX1に対応する有機EL層である。
【0048】
犠牲層AOM1は、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)で形成されている。酸化アルミニウムは、原子堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD)により成膜すればよい。
【0049】
犠牲層MWM1は、例えば、モリブデンタングステン(MoW)で形成されている。モリブデンタングステンは、スパッタ法により成膜すればよい。
【0050】
陰極CD1に対向し、犠牲層MWM1上に、レジストマスクRES1を形成する(
図8参照)。陰極CD2上には、レジストマスクは形成されない。
【0051】
レジストマスクRES1を用い、犠牲層MWM1を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陰極CD1に対向し、犠牲層AOM1を挟んで、島状に犠牲層MWY1が形成される(
図9参照)。
【0052】
島状に形成された犠牲層MWY1をマスクとして、犠牲層AOM1及び有機EL層ELM1を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陰極CD1及び犠牲層MWY1の間に、有機EL層ELY1及び犠牲層の上層AOU1が、島状に形成される(
図10参照)。陰極CD2上の犠牲層AOM1及び有機EL層ELM1は、除去される。
【0053】
陰極CD1、有機EL層ELY1、上層AOU1、犠牲層MWY1の側面に接して、側壁AOS1を形成する。側壁AOS1は、犠牲層AOM1と同じ材料で形成されている。上層AOU1及び側壁AOS1を併せて、犠牲層AOY1とする(
図11参照)。
【0054】
側壁AOS1を形成するには、まず、有機EL層ELY1、上層AOU1、及び犠牲層MWY1の積層体を覆って、側壁AOS1となる材料膜を形成する。その後、当該材料膜を異方性エッチングして、当該積層体の側面接する領域のみを残し、その他の領域を除去する。
【0055】
基材BA1、犠牲層AOY1、犠牲層MWY1、及び陰極CD2を覆って、有機EL層ELM2、犠牲層AOM2、及び犠牲層MWM2が形成される(
図12参照)。有機EL層ELM2は、画素PX2に対応する有機EL層である。
【0056】
陰極CD2に対向し、犠牲層MWM2上に、レジストマスクRES2を形成する。レジストマスクRES2を用い、犠牲層MWM2を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陰極CD2に対向し、犠牲層AOM2を挟んで、島状に犠牲層MWY2が形成される(
図13参照)。次いで、レジストマスクRES2を除去する(
図14参照)。
【0057】
島状に形成された犠牲層MWY2をマスクとして、犠牲層AOM2及び有機EL層ELM2を、エッチングにより、部分的に除去する。これにより、陰極CD2及び犠牲層MWY2の間に、有機EL層ELY2及び犠牲層の上層AOU2が、島状に形成される(
図15参照)。
【0058】
陰極CD2、有機EL層ELY2、上層AOU2、犠牲層MWY2の側面に接して、側壁AOS2を形成する。側壁AOS2は、犠牲層AOM2と同じ材料で形成されている。上層AOU2及び側壁AOS2を併せて、犠牲層AOY2とする(
図16参照)。
【0059】
犠牲層MWY1及び犠牲層MWY2を除去する(
図17参照)。このとき、犠牲層AOY1の上層AOU1及び犠牲層AOY2の上層AOU2が平坦化される。
【0060】
犠牲層AOY1の上層AOU1及び側壁AOS1、並びに、犠牲層AOY2の上層AOU2及び側壁AOS2を覆って、これら犠牲層と同じ材料、すなわち、犠牲層AOM1及び犠牲層AOM2と同じ材料で、犠牲層を形成する。これにより、上層AOU1、側壁AOS1、上層AOU2、側壁AOS2、及び新たに形成された犠牲層は一体化し、犠牲層AOTが形成される(
図18参照)。これにより、上層AOU1の厚さtu1及び上層AOU2の厚さtu2は、側壁AOS1の厚さts1及び側壁AOS2の厚さts2より厚くなる。犠牲層AOTのうち、基材BA1に接する領域を、領域AOBとする。領域AOBの厚さtbは、厚さts1及び厚さts2と同じ厚さであればよい。
【0061】
犠牲層AOTに接して、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2の間に、バンクBKを形成する。有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2それぞれの上方には、バンクBKが形成されていない。すなわち、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2の上方には、それぞれ、開口部OP1及び開口部OP2が設けられている(
図19参照)。
【0062】
開口部OP1及び開口部OP2中の犠牲層AOTを除去する。これにより、バンクBK及び犠牲層AOLに設けられた、開口部OP1及び開口部OP2内で、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2が露出する(
図20参照)。
【0063】
露出した有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2、並びに、バンクBKを覆って、陽極AD、絶縁層INS、絶縁層PCLを形成する。絶縁層PCL上には、基材BA2を設ける。
【0064】
開口部OP1及び開口部OP2において、それぞれ、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2上に、陽極ADが設けられている。つまり、陽極ADは、有機EL層ELY1及び有機EL層ELY2に接している。以上により、実施形態の表示装置DSPが形成される(
図21参照)。
【0065】
絶縁層INSは、例えば、窒化珪素(SiN)により形成する。絶縁層INSは、外部から水分が有機EL層に侵入するのを防ぐ。絶縁層PCLは、例えば、樹脂絶縁材料により形成する。絶縁層PCLは、表面を平坦化する機能を有する。基材BA2は、基材BA1と同様の材料を用いればよい。
【0066】
第3画素である画素PX3の陽極及び有機EL層を形成するには、
図16に示す工程終了後に、
図12と同様に、画素PX3の陽極を覆って、有機EL層及び犠牲層2層を形成すればよい。
図16と同様に、画素PX3の犠牲層の側壁形成後に、
図17に示す工程に進めばよい。
【0067】
犠牲層AOT(犠牲層AOY1、犠牲層AOY2、犠牲層AOS1、犠牲層AOS2、及び犠牲層AOB)は、
図4に示す保護層AOLに相当する。酸化アルミニウムによって形成される保護層AOL(犠牲層AOT)が有機EL層の側面を覆うことにより、当該有機EL層を保護することができる。
【0068】
図22乃至
図24は、比較例の表示装置の製造方法を示す断面図である。比較例の表示装置DSPrを製造するには、まず、基材BA1上に、陽極AD1及び陽極AD2を形成する(
図22参照)。
図22に示す工程は、
図6に示す工程に対応している。
【0069】
図7乃至
図9に示す工程を経て、陽極AD1上に、有機EL層ELY1、犠牲層の上層AOU1、犠牲層MWY1が形成される。陽極AD2上には、犠牲層が除去されている(
図23参照)。
図23に示す工程は、
図10に示す工程に対応している。
【0070】
次いで、
図11と同様に、陽極AD1、有機EL層ELY1、上層AOU1、犠牲層MWY1の側面に接して、側壁AOS1を形成する(
図24参照)。上述と同様に、有機EL層ELY1、上層AOU1、犠牲層MWY1の積層体を覆って、側壁AOS1となる材料膜を形成する。その後、当該材料膜を異方性エッチングして、当該積層体の側面接する領域のみを残し、その他の領域を除去することにより、側壁AOS1が形成される。
【0071】
側壁AOS1の材料は、犠牲層AOM1と同じ材料であり、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)である。一方、陽極AD1及び陽極AD2は、例えば、上述のように、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、銀(Ag)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)の3層積層構造や、モリブデンタングステン合金(MoW)及びインジウム錫酸化物(ITO)の2層構造等で形成される。
【0072】
すなわち、側壁AOS1、並びに、陽極AD1及び陽極AD2は、金属酸化物を含む材料で形成されている。このような金属酸化物をエッチングする際に、選択比が取れないエッチャントを使用する必要がある場合がある。
【0073】
この場合、側壁AOS1を形成するためのエッチングで、陽極AD2が一緒に除去される恐れがある。陽極が除去されてしまうと、その画素は発光しない。このような表示装置では、表示品質が低下してしまう。
【0074】
本実施形態の表示装置DSPでは、陽極と陰極が逆の位置に設けられている。本実施形態の表示装置DSPは、
図6乃至
図21に示す製造工程において、陽極を消失させることなく、製造することができる。
【0075】
陰極CD(陰極CDR、陰極CDG、陰極CDB)は、上述のように、マグネシウム-銀合金(MgAg)により形成されている。
図10に示す工程において、金属酸化物で形成される犠牲層AOM1及び有機EL層ELM1のエッチャントでは、陰極CDはエッチングされない。したがって、陰極CDは消失しない。よって、画素が発光しないということが起こらず、表示装置DSPの表示品質が低下することを防ぐことが可能である。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
AD…陽極、AOL…保護層、AOS1…側壁、AOS2…側壁、AOU1…上層、AOU2…上層、CD…陰極、DSP…表示装置、ELY…有機EL層、ILL…中間層、MOL…金属酸化物層。