IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル ディハイドレーティッド フーズ, インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-9243ポンプ移送可能なブロス組成物を調製するための方法
<>
  • 特開-ポンプ移送可能なブロス組成物を調製するための方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009243
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ポンプ移送可能なブロス組成物を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/30 20160101AFI20240112BHJP
   A23L 27/10 20160101ALN20240112BHJP
   A23L 23/00 20160101ALN20240112BHJP
【FI】
A23L13/30
A23L27/10 B
A23L23/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199397
(22)【出願日】2023-11-24
(62)【分割の表示】P 2021088440の分割
【原出願日】2015-09-10
(31)【優先権主張番号】62/048,648
(32)【優先日】2014-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516010799
【氏名又は名称】インターナショナル ディハイドレーティッド フーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー リン デイク
(72)【発明者】
【氏名】ナンシー ルイス
(57)【要約】
【課題】ポンプ移送可能なブロス組成物を調製するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、高い割合の固形分および比較的長い棚寿命を有するポンプ移送可能なブロス組成物を提供する。本発明はまた、少なくとも以下のステップ:(a)液体原料を約50℃~160℃の間の温度で少なくとも30分間の期間インキュベートして、液体構成成分および固体構成成分を含有する懸濁物を生じるステップと、(b)懸濁物の固体構成成分から、懸濁物の液体構成成分を分離するステップと、(c)ステップ(b)からの液体構成成分を回収するステップとを含む方法を提供する。一態様では、液体原料は、家禽筋形質、家禽または他の動物からの血液、上記に説明する家禽または動物食肉の粗抽出物、動物筋形質、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのメンバであってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2014年9月10日に出願された米国特許出願番号第62/048,646号に基づく優先権を主張しており、その全体の内容は、本明細書によって参考として本出願中に援用される。
【0002】
(背景)
(1.発明の分野)
本開示は、ブロス(broth)組成物を製造するための方法に関する。より詳細には、本開示は、酵素を使用することなく、家禽または他の食肉源から調製されるポンプ移送可能な組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
動物から調製されるブロスまたはスープは、高い栄養価を有する。それらはタンパク質が豊富であり、栄養価および治療価の両方を有することが示されている。
【0004】
濃縮ブロスを製造するための多くの既存の方法は、食肉加工産業由来のブロスを効率的に利用することができていない。例えば、一部の方法は、ポンプ移送可能な、または注ぎ可能な、濃縮ストックまたはブロスを生成することができていない。ポンプ移送可能でないか、または注ぎ可能でないブロスは、加工することが困難である。ブロス利用が不十分であると、経済的な浪費をもたらすのみでなく、過剰な廃水および環境汚染も生じさせる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本明細書で開示される手段は、高い割合の固形分および比較的長い棚寿命を有するポンプ移送可能なブロス組成物を提供することにより、上記に概説される問題を克服する。別の実施形態では、本開示は、様々な食肉源から調製される低温粗抽出物も提供する。別の実施形態では、本開示は、様々な食肉源から調製されるタンパク質カード(curd)組成物も提供する。
【0006】
一実施形態では、開示される濃縮ブロス組成物のより高い固形分は、微生物の増殖を制御し、ブロス製品の腐敗を防ぐ助けとなり得る。別の実施形態では、水以外の非鳥肉成分は、本組成物に導入されない。別の実施形態では、外来性酵素は本組成物に添加されず、または本製品の製造方法で使用されない。
【0007】
一実施形態では、ポンプ移送可能な、または注ぎ可能なブロス組成物を製造するための方法が開示される。別の実施形態では、ブロス組成物は、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%固形分を有する濃縮形態であってもよい。
【0008】
別の実施形態では、少なくとも以下のステップ:(a)1つまたは複数の家禽部分または動物部分を水と混合するステップと、(b)(a)の混合物を-20℃~70℃の間の温度で少なくとも10分間インキュベートして、懸濁物を生じるステップと、(c)ステップ(b)からの懸濁物を、液体画分と固体画分とに分離するステップと、(d)ステップ(c)からの液体画分を回収して、抽出物を得るステップとを含み得る粗抽出方法が開示される。
【0009】
一態様では、ステップ(a)の温度は、-10℃~40℃の間、0℃~25℃の間、または5℃~15℃の間であってもよい。別の態様では、ステップ(a)のインキュベーション時間は、少なくとも5分間、10分間、または少なくとも30分間であってもよい。別の態様では、ステップ(a)のインキュベーションは、撹拌、混合などにより達成してもよい。家禽または動物部分は、機械的に分離した鳥肉(MSP)、機械的に分離した鶏肉(MSC)、鳥肉トリム(trim)、動物食肉トリム、家禽部分挽肉、動物部分挽肉、およびこれらの組合せからなる群から選択してもよい。別の態様では、抽出物中の家禽または動物部分と水との比は、重量で約1:1~1:4の間である。この方法に従って得た家禽または動物食肉の粗抽出物は、以下に説明するさらなる加工、例えば中でも濃縮、調理、膜分離に供してもよい。
【0010】
別の態様では、分離ステップ(c)は、懸濁物の遠心分離またはろ過により行ってもよい。別の態様では、遠心分離は、1,000rpm、2,000rpm、3,000rpm、4,000rpmの速度で行ってもよい。別の態様では、遠心分離は、10,000rpm未満の速度で行ってもよい。
【0011】
別の実施形態では、少なくとも以下のステップ:(a)液体原料を約50℃~160℃の間の温度で少なくとも30分間の期間インキュベートして、液体構成成分および固体構成成分を含有する懸濁物を生じるステップと、(b)懸濁物の固体構成成分から、懸濁物の液体構成成分を分離するステップと、(c)ステップ(b)からの液体構成成分を回収するステップとを含み得る方法が開示される。一態様では、液体原料は、ステップ(a)で50℃~160℃の範囲の温度で、またはより詳細には少なくとも60℃、70℃、80℃、もしくは90℃、もしくは100℃超で、対応する圧力とともに、インキュベートしてもよく、インキュベーション期間は、少なくとも0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、または少なくとも24時間であってもよい。液体原料は、家禽筋形質、家禽または他の動物からの血液、上記に説明する家禽または動物食肉の粗抽出物、動物筋形質、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのメンバであってもよい。本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、全ての哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、および両生類を含んでもよい。
【0012】
別の実施形態では、家禽の粗抽出物から調製した組成物は、比較的低レベルのヒドロキシプロリンを含有する。例として、本組成物中の全アミノ酸に占める割合としてのヒドロキシプロリンレベルは、2%、1%、0.5%、0.2%またはそれ未満、0.1%またはそれ未満、0.01%またはそれ未満ほど低い場合がある。
【0013】
一態様では、ステップ(c)からの液体構成成分は、濃縮ステップ(d)に供してもよく、このステップで、液体構成成分は煮沸されるか、または蒸発プロセスに供されて、体積を低減する。濃縮ステップは、例えば50%、60%、70%、80%を超える固形分の、高固形分を含有する濃縮ブロス組成物を調製する助けとなり得る。別の態様では、かかる組成物は、室温で、少なくとも12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、48ヶ月、60ヶ月、またはそれより長く、安定であることができる。別の態様では、ステップ(d)から得た組成物は、0.85、0.75、0.7、0.6、または0.5未満の水分活性を有する場合がある。
【0014】
液体原料は、鶏肉、七面鳥肉、牛肉、豚肉、または他の動物もしくは家禽源に由来してもよい。一実施形態では、液体原料は、著しい量の家禽筋形質を含有する、実質的液体形態であってもよい。「実質的液体形態」という用語は、液体原料はほとんど液体であるが、少量の不溶性材料を含有し得ることを意味する。例えば、液体原料は、鳥肉加工工場からまたは鳥肉保存容器もしくは包装から回収することができる。別の実施形態では、液体原料の1つの型は典型的に、切断および露出された筋肉または骨組織から滲み出し、これは筋血清またはミオゲンとしても知られている。別の実施形態では、液体原料は、その筋肉色素ミオグロビン、タンパク質、ミネラル、および代謝産物を有する、細胞間および/もしくは細胞内液体、筋形質、ならびに/または筋小胞体を含有し得るので、赤みがかって見える場合がある。別の実施形態では、液体原料は、家禽または他の動物から得た血液または血漿であってもよい。
【0015】
別の実施形態では、液体原料は、生の、機械的に分離した鳥肉(MSP)、機械的に分離した鶏肉(MSC)、または細かい鳥挽肉片(例えば鳥肉トリムまたは家禽部分挽肉)を水で抽出することにより得ることができる。例として、抽出は、生のMSCに水を添加することにより行うことができる。その後、混合および抽出を促進するために、混合物を撹拌してもよい。抽出混合物中のMSCと水との比は、重量で約4:1~約1:20、重量で約1:1~約1:4、または重量で約1:2に及んでもよい。別の実施形態では、MSCと水との混合物を、抽出の終わりに遠心分離に供してもよい。遠心分離から得られる液体相を回収し、本開示のポンプ移送可能なブロス組成物を調製するための液体原料として使用することができる。
【0016】
液体原料は、現場で調製してもよく、現場で新たに製造した直後に組成物を製造するために使用してもよい。あるいは、液体原料は、包装済み製品からのものであってもよく、または現場から離れて回収してもよい。
【0017】
液体原料が高温でインキュベートされるステップ(a)のインキュベーション後、例えば200メッシュふるいを通して注ぐことにより、懸濁物をろ過に供して、懸濁物の固体構成成分から液体構成成分を分離してもよい。別の態様では、液体構成成分からさらに脂肪を除去してもよい。例えば、液体相を冷却または冷蔵して、脂肪が液体相の上部に脂肪層を形成することを可能にしてもよい。その後、すくうことにより、または本分野で公知の他のデカント方法により上部脂肪層を除去することができる。
【0018】
別の実施形態では、液体原料は、高温、例えば50~160℃で、不溶性タンパク質カードが形成されるほどの期間、調理してもよい。一態様では、この不溶性タンパク質カードは、液体構成成分から分離してもよく、様々な食品で使用することができる。例えば、タンパク質カードは、タンパク質源として、またはスナックに使用することができる。別の態様では、タンパク質カードは、そのまま使用してもよく、または粉末に加工してもよい。
【0019】
別の実施形態では、ステップ(c)で得た液体構成成分は、濃縮ステップ(d)に供してもよい。一態様では、濃縮は、煮沸により達成することができる。別の態様では、濃縮ステップは、蒸発により達成することができる。別の態様では、ステップ(c)で得た液体構成成分は、膜分離に供して、ある特定の望ましくないタンパク質、ペプチド、化合物、もしくは脂質をさらに除去するか、またはある特定の望ましいタンパク質、ペプチド、化合物、もしくは脂質を富化させてもよい。別の態様では、膜分離は、抽出物中の1種または複数種のペプチドまたはタンパク質を富化させる助けとなり得る。
【0020】
別の実施形態では、ステップ(d)から得た開示される組成物は、比較的低い水分活性を有する。例として、最終製品の水分活性は、0.85未満、またはさらには0.8、0.7、もしくは0.6未満である場合がある。一態様では、塩を組成物に添加して、水分活性をさらに低減させてもよい。塩は、ステップ(d)の前、ステップ(d)の間、またはステップ(d)の実行後に組成物に添加することができる。塩の例として、NaClまたは他の食用塩を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、約5%の塩を、40%固形分である製品に添加して、約0.83の水分活性を達成することができる。
【0021】
最終ブロス製品中の水分活性を低減させると、保存および輸送中の微生物の増殖を低減させる助けとなる場合がある。その結果、プロセス中またはプロセスの終わりに、ブロスに抗菌剤または保存剤を添加する必要がない。抗菌剤および保存剤は消費者に否定的に認識される場合があるので、これらの物質を避けることは本ブロス製品の市場性に加えることができる。一実施形態では、窒素または他の不活性気体を包装中に使用して、カビまたは細菌の増殖を防ぐためにヘッドスペースを改変してもよい。
【0022】
水分活性の低減は、最終製品の包装プロセスを単純化することもができる。より詳細には、ステップ(d)から得たブロス組成物は、微生物の増殖を支持する水をほとんど含有しないので、本開示の組成物の包装の際に、滅菌条件が必要とされない場合がある。別の態様では、ステップ(d)で得た最終ブロス組成物の棚寿命は、室温で、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも24ヶ月、または少なくとも36ヶ月である場合がある。例として、最終ブロス組成物の棚寿命は、室温で、12~24ヶ月、12~36ヶ月、24~36ヶ月、または36~48ヶ月である場合がある。
【0023】
別の実施形態では、本開示に従って調製した組成物は、比較的、より高い量のグアノシン-5’-一リン酸およびイノシン-5’-一リン酸を有する。一態様では、グアノシン-5’-一リン酸およびイノシン-5’-一リン酸の総量は、組成物中の全ヌクレオチドの少なくとも25%である。別の態様では、組成物中の全タンパク質の70%超、またはさらに80%が、30キロダルトン(KD)未満の分子量(MW)を有する。
【0024】
別の実施形態では、本開示に従って調製した組成物は、ポンプ移送可能、または注ぎ可能であり、このことは包装および取り扱いに有利である。例えば、本ブロスは、少なくとも50%、60%、70%、80%、または85%固形分を含有し得るが、それでも室温で注ぎ可能(またはポンプ移送可能)である。
【0025】
一実施形態では、開示される組成物は、押潰し可能な、またはポンプ移送可能な瓶に詰めることができ、消費者が自宅でまたは任意の公の場、例えばレストランで使用することができる。別の実施形態では、開示される組成物は、輸送のために容器、例えば積み荷容器、トレーラータンカー、または鉄道タンカーに詰めることができる。一態様では、容器はヘッドスペースを有する場合があり、ヘッドスペース中の空気は、酸素含有量を低減させた気体で置換して、カビの増殖を防いでもよい。好適な気体として、窒素、二酸化炭素、または不活性気体を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
家禽部分または動物部分から抽出物を調製するための方法であって、
(a)1つまたは複数の家禽部分または動物部分を水と混合するステップと、
(b)(a)の混合物を-20℃~70℃の間の温度で少なくとも10分間インキュベートして、懸濁物を生じるステップと、
(c)前記懸濁物を液体画分と固体画分とに分離するステップと、
(d)ステップ(c)からの前記液体画分を回収して、抽出物を得るステップと、を含む、方法。
(項目2)
ステップ(b)の前記温度が、0℃~25℃の間である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記家禽部分または動物部分が、機械的に分離した鳥肉(MSP)、鳥肉トリム、動物食肉トリム、家禽部分挽肉、動物部分挽肉、およびこれらの組合せからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記抽出物中の前記家禽部分または動物部分と水との比が、重量で約1:1~1:4である、項目3に記載の方法。
(項目5)
ステップ(c)の前記分離が、前記懸濁物の遠心分離による、項目3に記載の方法。
(項目6)
ステップ(d)から得た前記液体画分に酸性剤を添加するステップ(e)をさらに含み、前記酸性剤が、炭酸水、炭酸ガス、およびこれらの組合せからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目7)
ステップ(d)からの前記抽出物を、膜を通して通過させて、前記抽出物中の1種または複数種のペプチドまたはタンパク質を富化させるステップ(f)をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
組成物を製造するための方法であって、
(a)液体原料を約50℃~160℃の間の温度で少なくとも10分間の期間インキュベートして、液体構成成分および固体構成成分を含有する懸濁物を生じるステップと、
(b)前記懸濁物の前記固体構成成分から、前記懸濁物の前記液体構成成分を分離するステップと、
(c)ステップ(b)からの前記液体構成成分を回収するステップと
を含み、前記液体原料が、家禽筋形質、家禽または他の動物からの血液、家禽または動物食肉の粗抽出物、動物筋形質、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのメンバである、方法。
(項目9)
前記液体原料が、項目1に記載の方法により調製される粗抽出物である、項目8に記載の方法。
(項目10)
ステップ(b)の前記分離が、100~300メッシュふるいを使用する、ろ過による、項目8に記載の方法。
(項目11)
外来性酵素が、前記方法に添加されない、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
ステップ(c)から得た前記液体構成成分を濃縮するステップ(d)をさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目13)
ステップ(d)から得た組成物が、少なくとも70%の固形分を含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
ステップ(d)から得た組成物が、0.85未満の水分活性を有する、項目12に記載の方法。
(項目15)
ステップ(c)から得た前記液体構成成分に酸性剤を添加するステップ(e)をさらに含み、前記酸性剤が、炭酸水、炭酸ガス、およびこれらの組合せからなる群から選択される、項目8に記載の方法。
(項目16)
ポンプ移送可能である、項目7または項目12に記載の方法に従って調製される組成物。
(項目17)
2%未満のヒドロキシプロリンを含む、項目16に記載の組成物。
(項目18)
前記組成物中のグアノシン-5’-一リン酸およびイノシン-5’-一リン酸両方の全量が、前記組成物中の全ヌクレオチドの少なくとも25%である、項目16に記載の組成物。
(項目19)
組成物を製造するための方法であって、
(a)液体原料を約50℃~160℃の間の温度で少なくとも10分間の期間インキュベートして、液体構成成分および固体構成成分を含有する懸濁物を生じるステップと、
(b)前記懸濁物の前記固体構成成分から、前記懸濁物の前記液体構成成分を分離するステップと、
(c)ステップ(b)からの前記固体構成成分を回収するステップと
を含み、前記液体原料が、家禽筋形質、家禽または他の動物からの血液、家禽または動物食肉の粗抽出物、動物筋形質、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのメンバである、方法。
(項目20)
2%未満のヒドロキシプロリンを含む、項目19に記載の方法に従って調製された組成物。
(項目21)
前記ポンプ移送可能な組成物が、押潰し可能な瓶、押潰し可能な管、ポンプ移送可能な瓶、積み荷容器、トレーラータンカー、および鉄道タンカーからなる群から選択される容器に詰められる、項目16に記載の組成物を使用する方法。
(項目22)
前記容器がヘッドスペースを有し、前記ヘッドスペース中の空気が窒素、二酸化炭素、不活性気体、およびこれらの組合せからなる群から選択される気体で置換される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記組成物が、スナックに製造される、項目20に記載の組成物を使用する方法。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、一方法に従って調製したミオゲンブロスのタンパク質プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(詳細な説明)
本開示は、様々な食肉源から調製した低温粗抽出物に関する。本開示は、様々な食肉源から調製したポンプ移送可能な組成物にも関する。本開示は、様々な食肉源から調製したタンパク質カード組成物にも関する。一態様では、開示されるブロス製品は、ポンプ移送可能であり、流動性であり、注ぎ可能である。別の態様では、開示されるポンプ移送可能な組成物は、既存の方法に従って調製した多くの他の製品より高い固形分を有する。本方法により与えられる別の利点は、得られるブロス製品の比較的、より長い棚寿命である。
【0028】
一実施形態では、1つまたは複数の酵素を、粗抽出プロセスに添加してもよい。一態様では、酵素は、例えばプロテアーゼを含む場合がある。別の態様では、粗抽出物の温度は、約50~60℃であってもよい。酵素の添加および温度の上昇の両方は、抽出される画分中に含まれる必須アミノ酸の量を増大する助けとなり得る。
【0029】
別の実施形態では、粗抽出方法は、酸性化ステップ(f)をさらに含んで、ステップ(e)から得た可溶性タンパク質組成物のpHを低減させてもよい。別の実施形態では、酸性化ステップ(f)は、ステップ(e)から得たブロス層に酸性剤を添加すること、またはブロス層を部分的に加水分解することを含んでもよく、ここで、酸性剤は、炭酸水、炭酸ガス、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一態様では、酸加水分解は、組成物から脂肪(脂質)を除去する助けとなり得る。別の態様では、酸加水分解は、タンパク質の選択的分画を促進し、アミノ酸プロファイルを改善して、特に必須アミノ酸の含有量を増大させることができる。
【0030】
「家禽部分」および「動物部分」という用語は、鳥または動物の部分、ならびに鳥全体または動物全体を指す。
【0031】
「ブロス」という用語は、少なくとも1つの溶質を含有する水性組成物を指す。ブロスは、液体、溶液、または懸濁物である場合がある。本開示の目的のために、「ブロス」という用語は、「ストック」、「抽出物」、「フォン・ド・ヴォー」、または「デミグラス」という用語と相互変換可能に使用することができる。ブロスがますます濃縮されるにつれて、ブロスは高粘性になる場合があり、希釈ブロスと比較してさらに、より低い液性を有する場合があることが認識されるべきである。本開示の濃縮ブロス組成物は、液体形態の高濃縮ブロスであってもよい。あるいは、濃縮ブロス組成物は、粉末またはペーストの形態の乾燥または半乾燥ブロス製品であってもよい。
【0032】
本出願の目的のために、「ポンプ移送可能な」および「注ぎ可能な」という用語は、食品(例えばブロス)包装産業で典型的に使用される装置(例えばポンプ)を使用することにより移送され得る、または1つの容器から別の容器に注ぐことができる、組成物の流体特徴を指すために相互変換可能に使用することができる。
【0033】
「水分活性」という用語は、材料、例えば食品中の非結合水を指す。食品分子に結合していない水は、細菌酵母またはカビ(真菌)の増殖を支持し得る。したがって、水分活性は、ある特定の食品材料が汚染されるか、または腐敗し得る、固有の傾向を示すために使用することができる。
【0034】
水分活性の範囲は、0(絶乾)~1.0(純水)に及び得る。ほとんどの食品は、非常に乾燥した食品についての0.2~湿った新鮮な食品についての0.99の範囲内の水分活性レベルを有する。実際に、水分活性は通常、平衡相対湿度(ERH)として測定される。新鮮な食肉の水分活性は典型的に約0.99であり、一方、熟成チェダーチーズの水分活性は約0.85である。乾燥食品は通常、より低い水分活性を有する。例えば、ほとんどの乾燥果実製品は約0.6の水分活性を有し、一方、乾燥粉乳は約0.2の水分活性を有する。
【0035】
「剤」、「成分」、「構成成分」、および「構成要素」という用語は、本開示で相互変換可能に使用することができる。「富化する」という用語は、1つ超の構成成分を含有する混合物中の1つの構成成分の濃度を増大させることを意味する。
【0036】
本開示の組成物は、追加の成分を含有してもよい。これらの追加の成分は、開示される組成物に、ある特定の望ましい特性を与え得る。かかる望ましい特性の例として、腐敗微生物の阻害の向上、風味の改善、または組成物の安定性の増大などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0037】
本開示で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに別のように規定しない限り、複数の指示物を含むことが留意されるべきである。したがって、例えば、「1つの組成物」についての言及は、2つまたはそれ超のかかる組成物についての言及を含む。
【0038】
別の実施形態では、開示される組成物は、濃縮形態で調製および/または分配することができる。濃縮物は、溶媒中に溶解または分散されて、再構成溶液を形成することができる。
【実施例0039】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、限定であるとは意図されない。試薬、材料、および器具は、典型的な構成要素として示され、本発明の原理および趣旨から逸脱することなく、当業者により上記開示に照らして様々な置換または改変がなされ得る。
【0040】
(実施例1)
液体原料筋形質からのポンプ移送可能なブロスの調製
鳥肉製造工場で、生鶏肉の骨格のトート(totes)から液体原料を回収した。この液体は、切断および露出された筋肉組織から滲み出し、筋血清またはミオゲンとしても知られる主要液体筋形質として特定された。この赤みがかった液体は筋肉組織の天然部分であり、多くの場合、生食肉および鳥肉の食料品店包装で見られる。完全に調理すると、赤色は消失し、製品はブロスの外観を呈する。
【0041】
ある量のこの液体原料を回収し、計量して大きなストックポットに入れた。それを弱火で沸騰させて85~99℃で約1時間完全に調理し、得られた液体ブロスを、230メッシュふるいを通して不溶性固形分から分離した。このブロス部分をコンロ天板で数時間煮詰める(低減させる)ことにより濃縮して、高い固形分を有する抽出物を得た。57%固形分に達した際に、試料を採り、試料の水分活性を決定すると、0.79であった。抽出物の残りの部分を73%固形分までさらに濃縮し、水分活性は0.59であった。両方の試料は水分活性が0.85未満であり、棚安定性であると考えられた。両方の試料は、冷却すると、非常に流動性かつポンプ移送可能であった。
【0042】
(実施例2)
生の機械的に分離した鶏肉からのポンプ移送可能なブロスの調製
新たに製造した生の機械的に分離した鶏肉(MSC)を、鳥肉工場から得た。MSCの一部を計量して調理ポットに入れ、2部の冷水をMSCに添加した。各バッチを、塊を壊すために十分に混合した。その後、原料スラリーを3,500rpmで5分間遠心分離し、底の肉の多い不溶性の相、中間の多くの液体相、および上部の薄い脂肪層に分離した。注ぐことにより、液体相および脂肪層を肉の多い相から分離した。その後、液体相および脂肪層を、コンロ天板で85~99℃で約1時間調理した。調理後、得られた液体ブロスを、230メッシュふるいを通して注ぐことにより不溶性固形分から分離した。冷蔵庫で一晩冷却し、凝固した脂肪を単純にすくって除くことにより、脂肪を除去した。ブロスをコンロ天板で煮詰める(低減させる)ことにより濃縮した。
【0043】
この濃縮したブロスの試料を採り、57.4%の固形分を有し、0.77の水分活性を有することを示した。この試料は、環境温度で非常に流動性、注ぎ可能、かつポンプ移送可能なままである。
【0044】
上記の手順を繰り返し、同様の結果を得た。抽出物を得、これは48.8%固形分であり、0.83の水分活性を有することが示され、これは冷蔵する必要なく棚安定性であると考えられる。
【0045】
(実施例3)
組成物の化学分析
実施例1に従って調製した組成物(ミオゲンブロスと呼ぶ)を化学分析に供し、ヌクレオチドおよびアミノ酸の含有量を決定した。従来法により調製した鶏肉ブロス(家庭料理風ブロスと呼ぶ)を対照として使用した。固形分に基づいて補正した後のミオゲンブロス中の全ヌクレオチド量は、3855.66mg/100グラムであった。対照的に、固形分に基づいて補正した後の家庭料理風ブロス中の全ヌクレオチド量は、2461.08mg/100グラムであった。これらの結果は、ミオゲンブロス中の全ヌクレオチドは、家庭料理風ブロス中の全ヌクレオチドより約56%(または少なくとも50%)多いことを示した。ミオゲンブロスおよび家庭料理風ブロスの全ヌクレオチドに占める割合としての各ヌクレオチドの量を、それぞれ、表1に示す。ミオゲンブロスの全アミノ酸に占める割合としての各アミノ酸の量を、表2に示す。
【表1】
【表2】
【0046】
また、同じミオゲンブロスをSDS-PAGE分析に供して、組成物中のタンパク質の分子量分布を決定した。図1で示されるように、全タンパク質の約70%超、または80%が、30KD未満のMWを有する。
【0047】
(実施例4)
高タンパク質、低灰分固形分組成物の調製
固形分高タンパク質、低灰分組成物を調製するために、試験1で、約10ポンドの生の機械的に分離した鶏肉(MSC)を、水および鶏肉ブロスの約20ポンドの溶液で抽出した。液体原料画分を、遠心分離を使用して、固形分のより多い画分から分離した。デカントした液体からは、脂肪はほとんど除去された。その後、液体を約80℃まで少なくとも10分間完全に調理した。調理すると、液体中で不溶性タンパク質カードが形成され、これをふるいで液体から分離した。カードを手でふるい内にて押して、余分の液体を除去した。得られたタンパク質カードを分析した。結果を以下で表3に示す。得られたカードは、水分が高く(72.2%)、タンパク質が比例的に高く(19.2%)、かつ灰分が低かった(0.77%)。乾燥または固形分に基づいて計算すると、製品は、約61%タンパク質、36%脂肪、および2.5%灰分を有していた。<>
【表3】
【0048】
試験2で、10ポンドの生MSC(6℃)を、20ポンドの氷水と混合した。固形分を、遠心分離を使用して液体から分離し、19ポンドの液体を得た。分離した液体を撹拌しながら80℃超まで10分間を超えて調理すると、透明な鶏肉ブロス画分および不溶性タンパク質カードの形成が得られた。標準の230番ふるいを使用して手で押して、カードを液体ブロスから分離し、その後、研究室で分析した。表4は、分析結果を示す。
【表4】
【0049】
タンパク質カードのアミノ酸含有量を、表5に示す。
【表5】
【0050】
タンパク質カードの栄養価を試験するために、上記試験2に従って調製したタンパク質カードのある量を、対照動物タンパク質食餌と共にラットに与え、ラットの成長をモニターし、他の動物タンパク質製品を与えたラットと比較した。試験群の体重増加および成長は、標準の動物タンパク質製品を与えた対照群に非常に近かった。
【0051】
(実施例5)
牛肉材料からの牛肉カードの調製
【0052】
2つの牛肉原料を、上記実施例で説明する低温粗抽出法により加工した。これらの原料は、いくらかの脂肪および生の不溶性の肉の多い固形分を含む、液体原料の同様の構成成分を含有する。液体原料抽出物相を85℃超で10分間を超えて完全に調理した。調理後に形成したタンパク質カードを、ふるいにかけることによりブロス相から分離した。カードを細かいふるい上にて手で押して、水分を低減させ、その後、タンパク質および脂肪について分析した。また、試料を、アミノ酸分析のために民間試験所へ送った。
【0053】
第1の原料は、Commercial Finely Textured Reduced Fat Beef製品のものであり、得られたタンパク質カードは15.8%のタンパク質および6.2%の脂肪(乾燥基準では71.8%のタンパク質および28.2%の脂肪)を有した。
【0054】
第2の原料は、地元のスーパーマーケットで購入した標準の牛挽肉のものであった。この試料から調製したタンパク質カードは、13.4%のタンパク質および3.7%の脂肪(乾燥基準では78.4%のタンパク質および21.6%の脂肪)を有した。
【0055】
両方のカード試料は乾燥基準で、PDCAASスコアにて完全な100点を得点する。表6は、第1の試料の粗抽出物から製造した牛肉タンパク質カードのPDCAASを示す。入力した値は、固形分基準に変換した、アミノ酸試験結果である。PDCAASは、卵白またはカゼイン標準に基づいて100である。
【表6-1】
【表6-2】
【0056】
牛肉タンパク質カード試料は、口当たりの良い風味および無定形の柔らかい食感を有し、まだらな(淡いおよび濃い)外観を有した。標準のペプシン消化率法により測定したタンパク質消化率は、98.8%であった。
【0057】
開示される組成物および方法において、その範囲から逸脱することなく、変更を行うことができる。したがって、上記の説明に含有される事柄は、例示として解釈され、限定の意味で解釈されるべきでないことに留意するべきである。以下の特許請求の範囲は、本明細書で説明する全ての一般的特徴および特定の特徴、ならびに言語上その間に入ると言われ得る本方法および組成物の範囲の全ての記載に及ぶと意図される。
【0058】
本出願全体を通して引用され得る全ての引用される参考文献(文献参考文献、特許、特許出願、およびウェブサイトを含む)の内容は、任意の目的のためにそれらを全体として参照により本明細書に明確に組み込まれ、その中で引用される参考文献も同様である。
図1