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特開2024-92442ウインドレギュレータ及びストッパ部材の取付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092442
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ウインドレギュレータ及びストッパ部材の取付け方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/48 20060101AFI20240701BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
E05F11/48 D
B60J1/17 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208360
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 秀聡
【テーマコード(参考)】
3D127
【Fターム(参考)】
3D127AA19
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC05
3D127DF09
3D127DF15
3D127DF24
(57)【要約】
【課題】ストッパ部材の取付けを容易に行うことができる。
【解決手段】車両の窓ガラス2の昇降方向に沿って設けられるガイドレール11と、ガイドレール11と摺動して窓ガラス2と共に移動するキャリアプレートと、ガイドレール11の前面上に配索され、キャリアプレートを牽引する下降側ワイヤ14と、ガイドレール11の前面上において下降側ワイヤ14の配索位置と重なるように取り付けられ、キャリアプレートの昇降方向への移動を規制するストッパ部材18と、を備え、ストッパ部材18には、ストッパ部材18を、前面側からガイドレール11に取り付ける取付け部52と、下降側ワイヤ14の配索位置を、ガイドレール11とは逆側に迂回する迂回部71と、が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、
前記ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、
前記ガイドレールの一方面上に配索され、前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、
前記ガイドレールの前記一方面上において前記ワイヤの配索位置と重なるように取り付けられ、前記キャリアプレートの前記昇降方向への移動を規制するストッパ部材と、を備え、
前記ストッパ部材には、
前記ストッパ部材を、前記一方面側から前記ガイドレールに取り付ける取付け部と、
前記ワイヤの配索位置を、前記ガイドレールとは逆側に迂回する迂回部と、が形成されていることを特徴とするウインドレギュレータ。
【請求項2】
前記ストッパ部材には、前記取付け部が複数形成され、
前記複数の取付け部は、前記昇降方向に直交する方向において、前記ワイヤの配設位置を挟むように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のウインドレギュレータ。
【請求項3】
前記取付け部は、スナップフィット形式で前記ストッパ部材を前記ガイドレールに取り付けることを特徴とする請求項1又は2に記載のウインドレギュレータ。
【請求項4】
前記ストッパ部材には、前記キャリアプレートが前記ストッパ部材に当接するときの衝撃を吸収する衝撃吸収部材を装着する衝撃吸収部材装着部が、更に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のウインドレギュレータ。
【請求項5】
前記ストッパ部材には、前記衝撃吸収部材装着部が、前記昇降方向の上下に2つ形成されていることを特徴とする請求項4に記載のウインドレギュレータ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のウインドレギュレータにおける、前記ストッパ部材を前記ガイドレールに取り付けるストッパ部材の取付け方法であって、
前記取付け部によって、前記ガイドレールの前記一方面側から前記ストッパ部材を前記ガイドレールに取り付けることを特徴とするストッパ部材の取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドレギュレータ及びストッパ部材の取付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウインドレギュレータとして、ガイドレールに取り付けられたストッパ部材によって、キャリアプレートの下降方向への移動を規制するものがある(特許文献1参照)。このウインドレギュレータは、車両用窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレールと、ガイドレールと摺動して窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、キャリアプレートを牽引するワイヤ(下降側ケーブル)と、ガイドレールに取り付けられると共に、キャリアプレートが下降方向に移動することを規制するストッパ部材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-203272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のウインドレギュレータでは、ウインドレギュレータの組立てにおいて、ワイヤを配索した状態でストッパ部材をガイドレールに取り付ける場合、ワイヤを持ち上げ、持ち上げたワイヤとガイドレールとの間に入れ込む形でストッパ部材を取り付ける必要がある。そのため、ストッパ部材の取付けが煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明は、ストッパ部材の取付けを容易に行うことができるウインドレギュレータ及びストッパ部材の取付け方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、前記ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、前記ガイドレールの一方面上に配索され、前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、前記ガイドレールの前記一方面上において前記ワイヤの配索位置と重なるように取り付けられ、前記キャリアプレートの前記昇降方向への移動を規制するストッパ部材と、を備え、前記ストッパ部材には、前記ストッパ部材を、前記一方面側から前記ガイドレールに取り付ける取付け部と、前記ワイヤの配索位置を、前記ガイドレールとは逆側に迂回する迂回部と、が形成されていることを特徴とするウインドレギュレータを提供する。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、上記のウインドレギュレータにおける、前記ストッパ部材を前記ガイドレールに取り付けるストッパ部材の取付け方法であって、前記取付け部によって、前記ガイドレールの前記一方面側から前記ストッパ部材を前記ガイドレールに取り付けることを特徴とするストッパ部材の取付け方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るウインドレギュレータ及びストッパ部材の取付け方法は、ストッパ部材の取付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータ、及び、ウインドレギュレータが取り付けられた車両用ドアを示した全体概略図である。
図2】(a)は、窓ガラスの全閉状態におけるウインドレギュレータを示した正面図であり、(b)は、窓ガラスの全開状態におけるウインドレギュレータを示した正面図である。
図3】(a)は、キャリアプレート、上昇側ワイヤ、下降側ワイヤ及びストッパ部材を省略したウインドレギュレータを示した正面図であり、(b)は、ガイドレールを示した図3(a)のA‐A´線断面図である。
図4】(a)は、ストッパ部材周りを示した正面斜視図であり、(b)は、ストッパ部材周りを示した背面斜視図である。
図5】(a)は、ストッパ部材周りを示した正面図であり、(b)は、ストッパ部材周りを示した図5(a)のB‐B´線端面図であり、(c)は、ストッパ部材周りを示した図5(a)のC‐C´線端面図である。
図6】(a)は、ストッパ部材周りを示した図5(a)のD‐D´線端面図であり、(b)は、ストッパ周りを示した図5(a)のE‐E´線端面図である。
図7】ストッパ部材を示した平面図(a)、正面図(b)、背面図(c)及び右側面図(d)である。
図8】ストッパ部材の取付け動作を示した説明図である。
図9】(a)は、第1変形例のストッパ部材周りを示した正面斜視図であり、(b)は、第1変形例のストッパ部材周りを示した背面斜視図であり、(c)は、第1変形例のストッパ部材を示した平面図である。
図10】(a)は、第2変形例のストッパ部材周りを示した正面斜視図であり、(b)は、第2変形例のストッパ部材周りを示した背面斜視図であり、(c)は、第2変形例のストッパ部材を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータ及びストッパ部材の取付け方法について説明する。このウインドレギュレータは、車両(例えば、自動車)に設けられた車両用ドアの内部に取り付けられ、車両用ドアの窓ガラスを昇降する昇降装置である。特に、本ウインドレギュレータは、ワイヤが配索された状態においても、ガイドレールに対してストッパ部材を容易に取付け可能な取付け構造を採用したものである。なお、以下、車両の窓ガラスの昇降方向を、単に昇降方向と呼称する。また、以下、各図に示す通り、左右、前後及び上下を規定して説明する。なお、本実施形態においては、昇降方向とウインドレギュレータの上下方向とが一致し、車両の車幅方向とウインドレギュレータの前後方向とが一致しているものとする。また、昇降方向及び車幅方向に直交する方向を、ウインドレギュレータの左右方向とする。
【0011】
(ウインドレギュレータの構成)
図1及び図2に示すように、ウインドレギュレータ10は、車両用ドア1に取り付けられており、昇降方向に沿って設けられたガイドレール11と、窓ガラス2を支持すると共にガイドレール11と摺動して窓ガラス2と共に移動するキャリアプレート12と、キャリアプレート12を牽引する上昇側ワイヤ13及び下降側ワイヤ14と、を備えている。
【0012】
また、ウインドレギュレータ10は、ガイドレール11の下端部に配設され、上昇側ワイヤ13及び下降側ワイヤ14を駆動する駆動部15と、プーリブラケット16を介してガイドレール11の上端部に配設され、上昇側ワイヤ13を方向転換するプーリ17と、駆動部15の上方においてガイドレール11に取り付けられ、キャリアプレート12の昇降方向下方への移動を規制するストッパ部材18と、ガイドレール11の長手方向中間部に取り付けられ、駆動部15及びプーリ17の間に配索された上昇側ワイヤ13を支持するワイヤ支持部材19と、を備えている。すなわち、ウインドレギュレータ10は、ワイヤ13、14を用いてキャリアプレート12を昇降するワイヤ駆動式のウインドレギュレータであると共に、駆動部15がガイドレール11の下端部に配設された下端レール式のウインドレギュレータである。
【0013】
ガイドレール11は、昇降方向に沿って延在した長尺な金属製部材であり、図1に示すように、車両用ドア1に対して車両前後方向の後方側に傾いて取り付けられている。また、ガイドレール11は、車幅方向における車室外側に向かって突出するように湾曲している。
【0014】
また、図3に示すように、ガイドレール11は、昇降方向に延在する平板部21と、平板部21の左右端部から前側に立設された一対の側板部22、23と、各側板部22、23の前端から左右方向外側に張り出す一対のフランジ部24、25と、を一体として有している。
【0015】
また、平板部21の下部には、ストッパ部材18を取り付けるための3つの取付け孔21aと、円形孔21bとが形成されている。3つの取付け孔21aは、方形の形状を有し、3つの取付け孔21aのうちの2つは、平板部21の右端部において上下に並んで形成され、3つの取付け孔21aのうちの1つは、平板部21の左右方向中央部に形成されている。また、円形孔21bは、これら右端部の取付け孔21aと中央部の取付け孔21aの間に形成されている。
【0016】
図2に示すように、キャリアプレート12は、例えばポリアセタール等の樹脂によって形成された板状の部材であり、ガイドレール11の左側の側板部23に摺動自在に支持されて、ガイドレール11の前面側に配設されている。また、キャリアプレート12は、窓ガラス2を取り付けるための左右2つの締結孔31、31を有している。締結孔31、31は、窓ガラス2に固定されたガラスホルダ(図示省略)をボルト締結するためのものであり、ボルトによって、締結孔31、31にガラスホルダを締結することで、窓ガラス2がガラスホルダを介して、キャリアプレート12に取り付けられている。
【0017】
上昇側ワイヤ13は、一端部が駆動部15の回転ドラム42(後述する)に連結されており、駆動部15から上方に繰り出されてプーリ17に到り、プーリ17によって下方に方向転換された後、他端部がキャリアプレート12に取り付けられている。回転ドラム42とプーリ17との間に配索された上昇側ワイヤ13は、ガイドレール11から外れた位置に位置しているのに対し、プーリ17とキャリアプレート12との間に配索された上昇側ワイヤ13は、ガイドレール11上に位置している。
【0018】
下降側ワイヤ14は、一端部が駆動部15の回転ドラム42に連結されており、駆動部15から上方に繰り出されて他端部がキャリアプレート12に取り付けられている。回転ドラム42とキャリアプレート12との間に配索された下降側ワイヤ14は、ガイドレール11上に位置している。すなわち、下降側ワイヤ14は、ガイドレール11の前面上(一方面上)に配索されている。
【0019】
駆動部15は、正逆回転駆動可能な減速機付きの駆動モータ41と、駆動モータ41によって回転駆動される回転ドラム42と、回転ドラム42を収容すると共に、駆動モータ41を保持するハウジング43と、を有している。ハウジング43は、ガイドレール11の下端部が嵌合すると共に回転ドラム42を回転自在に収容するドラムハウジング44と、駆動モータ41を保持するモータハウジング45と、を有している。
【0020】
駆動モータ41を正転駆動すると、回転ドラム42が正転し、これに伴って、下降側ワイヤ14が繰り出されつつ上昇側ワイヤ13が巻き取られる。これによって、キャリアプレート12が上昇側ワイヤ13に引っ張られ昇降方向上方に移動する。これにより、キャリアプレート12に取り付けられた窓ガラス2が上昇する(窓ガラス2の上昇動作)。一方、駆動モータ41を逆転駆動すると、回転ドラム42が逆転し、これに伴って、上昇側ワイヤ13が繰り出されつつ下降側ワイヤ14が巻き取られる。これによって、キャリアプレート12が下降側ワイヤ14に引っ張られ昇降方向下方に移動する。これにより、キャリアプレート12に取り付けられた窓ガラス2が下降する(窓ガラス2の下降動作)。これらによって、キャリアプレート12及び窓ガラス2を、ガイドレール11に沿って昇降させる。
【0021】
(ストッパ部材の構成)
次に図4乃至図7を参照して、ストッパ部材18について説明する。図4乃至図7に示すように、ストッパ部材18は、例えばポリアセタール等の樹脂で形成されており、ガイドレール11の前面上において、前方から見て下降側ワイヤ14と重なるように取り付けられ、キャリアプレート12の昇降方向下方への移動を規制する。ストッパ部材18は、ガイドレール11の平板部21前面に配設されるストッパ本体部51と、ストッパ本体部51から後方に突出して形成され、3つの取付け孔21aに係合する3つの取付け部52と、ストッパ本体部51から後方に突出して形成され、円形孔21bに係合する円柱状係合部53と、ガイドレール11の平板部21前面に当接する当接部54と、を一体として有している。
【0022】
3つの取付け部52は、左右方向において、下降側ワイヤ14の配索位置14aを挟むように配設されている。また、各取付け部52は、スナップフィット形式の取付け構造を有しており、ストッパ本体部51から後方に延びる胴部61と、胴部61の先端に形成された右向きの爪部62と、爪部62の背面側(左側)に配設され、爪部62を受ける板状の受け板部63と、を有している。
【0023】
各取付け部52の爪部62には、当該爪部62を取付け孔21aに押し付けたときに取付け孔21aの右内縁が当接する傾斜面が形成されている。爪部62を取付け孔21aに押し付けると、当該傾斜面と取付け孔21aの右内縁との当接によって、胴部61又は爪部62が左側に変形し、爪部62が取付け孔21aを通り抜け可能となる。そして、爪部62が取付け孔21aを通り抜けると、胴部61又は爪部62の変形が戻ることで、爪部62の前面が、平板部21の後面に係合する状態になり、取付け孔21aと取付け部52とが係合する。このようにして、取付け部52が、ガイドレール11の前面側(一方面側)から取付け孔21aに取り付けられ、スナップフィット形式で取付け孔21aに固定される。これにより、3つの取付け部52によって、ガイドレール11の前面側からスナップフィット形式でストッパ部材18をガイドレール11に取り付ける。
【0024】
また、各取付け部52の受け板部63は、ストッパ部材18の取付け時に胴部61又は爪部62は変形したとき、爪部62を受けて当該変形を規制する。
【0025】
円柱状係合部53は、平板部21の円形孔21bと係合する。円柱状係合部53は、ストッパ部材18の略中央に配設されており、円形孔21bとの係合によって、キャリアプレート12からの応力をガイドレール11に伝え、ガイドレール11に受けさせる役割を担っている。
【0026】
当接部54は、右側の2つの取付け部52の間に配設されており、ガイドレール11の平板部21前面に当接する。当該当接部54の当接によって、ガイドレール11に対するストッパ部材18のがたつきを抑制している。
【0027】
ストッパ本体部51は、ガイドレール11上において下降側ワイヤ14と重なるように配設されている。また、ストッパ本体部51の上面51aが、キャリアプレート12の昇降方向下方への移動を規制するストッパ面となっている。図5(a)に示すように、窓ガラス2の下降動作によって窓ガラス2を全開状態にするとき、キャリアプレート12の下面がストッパ本体部51の上面51aに当接して、キャリアプレート12の更なる昇降方向下方への移動が規制される。これによって、キャリアプレート12の移動ストロークにおける下限位置が規定されている。
【0028】
また、ストッパ本体部51の右部には、下降側ワイヤ14の配索位置14aを避けるように、ガイドレール11とは逆側に「U」字状に迂回する迂回部71が形成されている。この迂回部71によって、ストッパ本体部51の上面51a(ストッパ面)が、ガイドレール11側を除き、下降側ワイヤ14の配索位置14aを囲うように形成される。このように、下降側ワイヤ14周りに、ストッパ本体部51が設けられていることで、下降側ワイヤ14に引っ張られて移動するキャリアプレート12を、精度良く規制することができる。なお、下降側ワイヤ14は、キャリアプレート12の移動に伴って前後方向に移動する。そのため、これを考慮して、迂回部71は、下降側ワイヤ14が最大限前方に移動した場合にも、ストッパ本体部51に接触しないように形成されている。
【0029】
また、ストッパ本体部51の左部には、衝撃吸収部材72を装着する衝撃吸収部材装着部73が形成されている。衝撃吸収部材72は、弾性体で構成されており、キャリアプレート12がストッパ本体部51の上面51aに当接するとき、その衝撃を緩和する。なお、ストッパ部材18を上下反転することで左右両方の車両用ドア1に適用できるように、ストッパ本体部51において、衝撃吸収部材装着部73が昇降方向上下に2つ形成されていることが好ましい。
【0030】
このように、ガイドレール11に取り付けるストッパ部材18を設けたことで、駆動部15の位置とキャリアプレート12の移動ストロークの下限位置とを位置ずれさせることができる。これによって、駆動部15の上方に、車両用ドア1の他の部品を配設するスペースを作ることができる。また、重量部である駆動部15の位置を、車両用ドア1上の任意の位置にずらすことができ、例えば、乗員の人体(太もも等)がある位置からずらすことができる。
【0031】
(ストッパ部材の取付け動作)
ここで図8を参照して、ガイドレール11にストッパ部材18を取り付けるストッパ部材18の取付け動作について説明する。このストッパ部材18の取付け動作は、ストッパ部材18、駆動モータ41、モータハウジング45以外の部品がガイドレール11に取り付けられた状態で行われる。具体的には、ウインドレギュレータ10の組立て動作では、上昇側ワイヤ13及び下降側ワイヤ14の一端部を回転ドラム42に取り付けた後、回転ドラム42をドラムハウジング44に取り付け、その後、上昇側ワイヤ13及び下降側ワイヤ14の他端部をキャリアプレート12に取り付ける。そして、ドラムハウジング44及びキャリアプレート12をガイドレール11に取り付けた後、プーリ17に上昇側ワイヤ13を巻回させつつ、プーリブラケット16及びプーリ17をガイドレール11に取り付ける。この状態で、ストッパ部材18の取付け動作が行われる。なお、ストッパ部材18の取付け動作の後、駆動モータ41を組み込んだモータハウジング45を、ドラムハウジング44に取り付けることで、ウインドレギュレータ10の組立動作が終了する。なお、ストッパ部材18の取付け動作は、ストッパ部材18の取付け方法の一例である。
【0032】
ストッパ部材18の取付け動作では、図8(a)に示すように、ガイドレール11の前方において、3つの取付け部52及び円柱状係合部53の位置が、3つの取付け孔21a及び円形孔21bの位置に来るようにガイドレール11に対しストッパ部材18を位置合わせする。その後、図8(b)に示すように、ガイドレール11の前面側からストッパ部材18をガイドレール11に押し付ける。これによって、3つの取付け部52が3つの取付け孔21aに押し付けられて、スナップフィット形式で3つの取付け部52が3つの取付け孔21aに固定されると共に、円柱状係合部53が円形孔21bと係合する。これによって、ガイドレール11の前面側からスナップフィット形式で、ストッパ部材18をガイドレール11に取り付ける。
【0033】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、ストッパ部材18において、ガイドレール11上に配索された下降側ワイヤ14を、ガイドレール11とは逆側に迂回する迂回部71を設けたことで、ストッパ部材18をガイドレール11に取り付けるとき、下降側ワイヤ14を持ち上げてストッパ部材18を下降側ワイヤ14とガイドレール11との間に入れ込むことなく、ストッパ部材18を取り付けることができる。これにより、下降側ワイヤ14がガイドレール11上に配索された状態であっても、ストッパ部材18の取付けを容易に行うことができる。これによって、ウインドレギュレータ10の組付け加工時間を短縮することができ、ウインドレギュレータ10の製造コストを削減することができる。
【0034】
また、ガイドレール11上において、ストッパ部材18を下降側ワイヤ14と重なるように配設したことで、下降側ワイヤ14付近で、キャリアプレート12の移動を規制することができ、キャリアプレート12の移動を精度良く規制することができる。
【0035】
また、左右方向において、下降側ワイヤ14の配索位置14aを挟むように3つの取付け部52を配設したことで、キャリアプレート12の当接に対するストッパ部材18の剛性を向上させることができる。
【0036】
また、ガイドレール11に対しストッパ部材18をスナップフィット形式で取り付け可能としたことで、ガイドレール11に対しストッパ部材18を押し付けるだけで、ワンタッチでガイドレール11に対しストッパ部材18を取り付けることができ、ストッパ部材18の取付けをより容易に行うことができる。
【0037】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態においては、3つの取付け部52によってストッパ部材18をガイドレール11に取り付ける構成であったが、図9に示すように、右側の2つの取付け部52に代えて、ガイドレール11の右側のフランジ部24と係合する取付け爪101を備え、左側の1つの取付け部52と、取付け爪101とによって、ストッパ部材18をガイドレール11に取り付ける構成であってもよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、ガイドレール11の前面側からストッパ部材18をガイドレール11に取り付ける構成であったが、ストッパ部材18の取付け容易性のみを考慮するのであれば、ガイドレール11の後面側からストッパ部材18をガイドレール11に取り付ける構成であってもよい。例えば、図10に示すように、ストッパ部材18が、ガイドレール11の後面に面して配設されたストッパ基部102を有し、ストッパ本体部51及び取付け部52が、ストッパ基部102から前方に突出して形成される。かかる場合、ストッパ本体部51が、取付け孔21aを貫通してガイドレール11の前面側に露出することで、当該露出した部分の上面51aが、キャリアプレート12の下面と当接して、キャリアプレート12の移動を規制する。
【0040】
また、上記実施形態においては、ストッパ部材18を、ガイドレール11の下部に配設し、ストッパ部材18が、下限ストッパとして、キャリアプレート12の昇降方向下方への移動を規制する構成であったが、ストッパ部材18を、ガイドレール11の上部に配設し、ストッパ部材18が、上限ストッパとして、キャリアプレート12の昇降方向上方への移動を規制する構成であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、ストッパ部材18に、衝撃吸収部材72を装着する衝撃吸収部材装着部73を設ける構成であったが、ストッパ部材18において、衝撃吸収部材装着部73を省略する構成であってもよい。かかる場合、例えば、キャリアプレート12に、衝撃吸収部材装着部73を設け、キャリアプレート12に設けられた衝撃吸収部材装着部73の衝撃吸収部材72が、ストッパ部材18のストッパ本体部51に接触して衝撃を吸収する構成としてもよいし、例えば、キャリアプレート12にも、衝撃吸収部材装着部73を設けない構成であってもよい。
【0042】
(実施形態のまとめ)
次に、以上説明した実施形態から把握される技術思想について、実施形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、請求の範囲における構成要素を実施形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0043】
《1》車両の窓ガラス(2)の昇降方向に沿って設けられるガイドレール(11)と、前記ガイドレール(11)と摺動して前記窓ガラス(2)と共に移動するキャリアプレート(12)と、前記ガイドレール(11)の一方面上に配索され、前記キャリアプレート(12)を牽引するワイヤ(14)と、前記ガイドレール(11)の前記一方面上において前記ワイヤ(14)の配索位置(14a)と重なるように取り付けられ、前記キャリアプレート(12)の前記昇降方向への移動を規制するストッパ部材(18)と、を備え、前記ストッパ部材(18)には、前記ストッパ部材(18)を、前記一方面側から前記ガイドレール(11)に取り付ける取付け部(52)と、前記ワイヤ(14)の配索位置(14a)を、前記ガイドレール(11)とは逆側に迂回する迂回部(71)と、が形成されていることを特徴とするウインドレギュレータ(10)。
《2》前記ストッパ部材(18)には、前記取付け部(52)が複数形成され、前記複数の取付け部(52)は、前記昇降方向に直交する方向において、前記ワイヤ(14)の配設位置(14a)を挟むように配設されていることを特徴とする《1》に記載のウインドレギュレータ(10)。
《3》前記取付け部(52)は、スナップフィット形式で前記ストッパ部材(18)を前記ガイドレール(11)に取り付けることを特徴とする《1》又は《2》に記載のウインドレギュレータ(10)。
《4》前記ストッパ部材(18)には、前記キャリアプレート(12)が前記ストッパ部材(18)に当接するときの衝撃を吸収する衝撃吸収部材(72)を装着する衝撃吸収部材装着部(73)が、更に形成されていることを特徴とする《1》乃至《3》のいずれか1つに記載のウインドレギュレータ(10)。
《5》前記ストッパ部材(18)には、前記衝撃吸収部材装着部(73)が、前記昇降方向の上下に2つ形成されていることを特徴とする《4》に記載のウインドレギュレータ(10)。
《6》《1》乃至《5》のいずれか1つに記載のウインドレギュレータ(10)における、前記ストッパ部材(18)を前記ガイドレール(11)に取り付けるストッパ部材(18)の取付け方法であって、前記取付け部(52)によって、前記ガイドレール(11)の前記一方面側から前記ストッパ部材(18)を前記ガイドレール(11)に取り付けることを特徴とするストッパ部材(18)の取付け方法。
【符号の説明】
【0044】
2:窓ガラス、 10: ウインドレギュレータ、 11:ガイドレール、 12:キャリアプレート、 14:下降側ワイヤ、 14a:下降側ワイヤの配索位置、 18:ストッパ部材、 52:取付け部、 71:迂回部、 72:衝撃吸収部材、 73: 衝撃吸収部材装着部
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