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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092443
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ウインドレギュレータ
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/48 20060101AFI20240701BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
E05F11/48 D
E05F11/48 B
B60J1/17 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208361
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 秀聡
【テーマコード(参考)】
3D127
【Fターム(参考)】
3D127AA19
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC05
3D127DF09
3D127DF15
3D127DF24
(57)【要約】
【課題】組付け工数を削減することができるウインドレギュレータを提供する。
【解決手段】車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレール11と、ガイドレール11と摺動して窓ガラス2と共に移動するキャリアプレートと、キャリアプレートを牽引する上昇側ワイヤ13と、ガイドレール11の下端部に配設され、上昇側ワイヤ13を駆動する駆動部と、ガイドレール11の上端部に配設され、上昇側ワイヤ13を方向転換するプーリと、ガイドレール11に取り付けられ、キャリアプレートの昇降方向下方への移動を規制するストッパ部材51と、駆動部とプーリとの間に配索された上昇側ワイヤ13を支持するワイヤ支持部材52と、を備え、ワイヤ支持部材52は、ストッパ部材51と一体に設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、
前記ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、
前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、
前記ガイドレールの長手方向一端部に配設され、前記ワイヤを駆動する駆動部と、
前記ガイドレールの長手方向他端部に配設され、前記ワイヤを方向転換する方向転換部と、
前記ガイドレールに取り付けられ、前記キャリアプレートの前記昇降方向への移動を規制するストッパ部材と、
前記駆動部と前記方向転換部との間に配索された前記ワイヤを支持するワイヤ支持部材と、を備え、
前記ワイヤ支持部材は、前記ストッパ部材と一体に設けられていることを特徴とするウインドレギュレータ。
【請求項2】
前記ストッパ部材及び前記ワイヤ支持部材は、樹脂で一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載のウインドレギュレータ。
【請求項3】
前記ストッパ部材は、
前記ストッパ部材を前記ガイドレールに取り付ける取付け部と、
前記キャリアプレートが当接し、前記キャリアプレートの前記昇降方向への移動を規制するストッパ部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のウインドレギュレータ。
【請求項4】
前記ガイドレールには、取付け孔が形成され、
前記取付け部は、スナップフィット形式で前記取付け孔に固定されることを特徴とする請求項3に記載のウインドレギュレータ。
【請求項5】
前記キャリアプレートは、前記ガイドレールの一方面側に配設され、
前記取付け部は、前記ガイドレールの他方面側から前記取付け孔に取り付けられ、
前記ストッパ部は、前記取付け部における、前記取付け孔を貫通して前記ガイドレールの前記一方面側に露出した部分によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載のウインドレギュレータ。
【請求項6】
前記ワイヤ支持部材は、前記ガイドレールと係合し、前記ワイヤからの応力による前記ワイヤ支持部材の変位を抑制する変位抑制部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のウインドレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドレギュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤ駆動式のウインドレギュレータとして、例えば、ガイドレールの下端部に駆動部を配設した下端レール式のウインドレギュレータがある(特許文献1参照)。このウインドレギュレータは、車両用窓ガラスの昇降方向に沿って設けられたガイドレールと、ガイドレールと摺動して窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、キャリアプレートを牽引する上昇側ケーブル及び下降側ケーブルと、ガイドレールの下端部に配設され、上昇側ケーブル及び下降側ケーブルを駆動する駆動部と、ガイドレールの上端部に配設され、上昇側ケーブルを方向転換する方向転換部材と、ガイドレールに取り付けられたケーブル支持部及びストッパ部材と、を備えている。ケーブル支持部は、駆動部と方向転換部材との間に配索された上昇側ワイヤを支持し、ストッパ部材は、キャリアプレートの下降方向への移動を規制する。このウインドレギュレータでは、キャリアプレート、駆動部、方向転換部材、ケーブル支持部及びストッパ部材を、それぞれガイドレールに組み付けることで、ウインドレギュレータが組み立てられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-203272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、この種のウインドレギュレータでは、製造コストを低減するために、組付け工数を削減することが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、組付け工数を削減することができるウインドレギュレータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、前記ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、前記キャリアプレートを牽引するワイヤと、前記ガイドレールの長手方向一端部に配設され、前記ワイヤを駆動する駆動部と、前記ガイドレールの長手方向他端部に配設され、前記ワイヤを方向転換する方向転換部と、前記ガイドレールに取り付けられ、前記キャリアプレートの前記昇降方向への移動を規制するストッパ部材と、前記駆動部と前記方向転換部との間に配索された前記ワイヤを支持するワイヤ支持部材と、を備え、前記ワイヤ支持部材は、前記ストッパ部材と一体に設けられていることを特徴とするウインドレギュレータを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るウインドレギュレータは、組付け工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータ、及び、ウインドレギュレータが取り付けられた車両用ドアを示した全体概略図である。
図2】(a)は、窓ガラスの全閉状態におけるウインドレギュレータを示した正面図であり、(b)は、窓ガラスの全開状態におけるウインドレギュレータを示した正面図である。
図3】(a)は、キャリアプレート、上昇側ワイヤ、下降側ワイヤ及び一体型ストッパを省略したウインドレギュレータを示した正面図であり、(b)は、ガイドレールを示した図3(a)のB‐B´線断面図である。
図4】(a)は、一体型ストッパ周りを示した正面斜視図であり、(b)は、一体型ストッパ周りを示した背面斜視図であり、(c)は、一体型ストッパ周りを示した図2(a)のA-A´線断面図である。
図5】一体型ストッパを示した正面図(a)、平面図(b)及び背面図(c)である。
図6】(a)は、第1変形例の一体型ストッパ周りを示した正面斜視図であり、(b)は、第1変形例の一体型ストッパを示した平面図であり、(c)は、第1変形例の一体型ストッパを示した正面図である。
図7】(a)は、第2変形例の一体型ストッパ周りを示した正面斜視図であり、(b)は、第2変形例の一体型ストッパを示した平面図であり、(c)は、第2変形例の一体型ストッパを示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るウインドレギュレータについて説明する。このウインドレギュレータは、車両(例えば、自動車)に設けられた車両用ドアの内部に取り付けられ、車両用ドアの窓ガラスを昇降する昇降装置である。特に、本ウインドレギュレータは、ストッパ部材及びワイヤ支持部材を一体として形成することで、組付け工数を削減したものである。なお、以下、車両の窓ガラスの昇降方向を、単に昇降方向と呼称する。また、以下、各図に示す通り、左右、前後及び上下を規定して説明する。なお、本実施形態においては、昇降方向とウインドレギュレータの上下方向とが一致し、車両の車幅方向とウインドレギュレータの前後方向とが一致しているものとする。また、昇降方向及び車幅方向に直交する方向を、ウインドレギュレータの左右方向とする。
【0010】
(ウインドレギュレータの構成)
図1及び図2に示すように、ウインドレギュレータ10は、車両用ドア1に取り付けられており、昇降方向に沿って設けられたガイドレール11と、窓ガラス2を支持すると共に、ガイドレール11と摺動して窓ガラス2と共に移動するキャリアプレート12と、キャリアプレート12を牽引する上昇側ワイヤ13及び下降側ワイヤ14と、を備えている。
【0011】
また、ウインドレギュレータ10は、ガイドレール11の下端部(長手方向一端部)に配設され、上昇側ワイヤ13及び下降側ワイヤ14を駆動する駆動部15と、プーリブラケット16を介してガイドレール11の上端部(長手方向他端部)に配設され、上昇側ワイヤ13を方向転換するプーリ17と、駆動部15の上方においてガイドレール11に取り付けられ、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52を一体形成した一体型ストッパ18と、を備えている。すなわち、ウインドレギュレータ10は、ワイヤ13、14を用いてキャリアプレート12を昇降するワイヤ駆動式のウインドレギュレータであると共に、駆動部15がガイドレール11の下端部に配設された下端レール式のウインドレギュレータである。なお、プーリ17は、方向転換部の一例である。
【0012】
ガイドレール11は、昇降方向に沿って延在した長尺な金属製部材であり、図1に示すように、車両用ドア1に対して車両前後方向の後方側に傾いて取り付けられている。また、ガイドレール11は、車幅方向における車室外側に向かって突出するように湾曲している。
【0013】
また、図3に示すように、ガイドレール11は、昇降方向に延在する平板部21と、平板部21の左右端部から前側に立設された右側板部22及び左側板部23と、各側板部22、23の前端から左右方向外側に張り出す右フランジ部24及び左フランジ部25と、を一体として有している。また、平板部21の下部には、一体型ストッパ18を取り付けるための方形の取付け孔21aが形成されている。
【0014】
図2に示すように、キャリアプレート12は、例えばポリアセタール等の樹脂によって形成された板状の部材であり、ガイドレール11の左側板部23に摺動自在に支持されて、ガイドレール11の前面側に配設されている。また、キャリアプレート12は、窓ガラス2を取り付けるための左右2つの締結孔31、31を有している。締結孔31、31は、窓ガラス2に固定されたガラスホルダ(図示省略)をボルト締結するためのものであり、ボルトによって、締結孔31、31にガラスホルダを締結することで、窓ガラス2がガラスホルダを介して、キャリアプレート12に取り付けられている。
【0015】
上昇側ワイヤ13は、一端部が駆動部15の回転ドラム42(後述する)に連結されており、駆動部15から上方に繰り出されてプーリ17に到り、プーリ17によって下方に方向転換された後、他端部がキャリアプレート12に取り付けられている。回転ドラム42とプーリ17との間に配索された上昇側ワイヤ13は、ガイドレール11から外れた位置に位置しているのに対し、プーリ17とキャリアプレート12との間に配索された上昇側ワイヤ13は、ガイドレール11上に位置している。回転ドラム42とプーリ17との間に配索されガイドレール11から外れた位置に位置する上昇側ワイヤ13は、一体型ストッパ18のワイヤ支持部材52によって支持されている。
【0016】
下降側ワイヤ14は、一端部が駆動部15の回転ドラム42に連結されており、駆動部15から上方に繰り出されて他端部がキャリアプレート12に取り付けられている。回転ドラム42とキャリアプレート12との間に配索された下降側ワイヤ14は、ガイドレール11上に位置している。
【0017】
駆動部15は、正逆回転駆動可能な減速機付きの駆動モータ41と、駆動モータ41によって回転駆動される回転ドラム42と、回転ドラム42を収容すると共に、駆動モータ41を保持するハウジング43と、を有している。ハウジング43は、ガイドレール11の下端部が嵌合すると共に回転ドラム42を回転自在に収容するドラムハウジング44と、駆動モータ41を保持するモータハウジング45と、を有している。
【0018】
駆動モータ41を正転駆動すると、回転ドラム42が正転し、これに伴って、下降側ワイヤ14が繰り出されつつ上昇側ワイヤ13が巻き取られる。これによって、キャリアプレート12が上昇側ワイヤ13に引っ張られ昇降方向上方に移動する。これにより、キャリアプレート12に取り付けられた窓ガラス2が上昇する(窓ガラス2の上昇動作)。一方、駆動モータ41を逆転駆動すると、回転ドラム42が逆転し、これに伴って、上昇側ワイヤ13が繰り出されつつ下降側ワイヤ14が巻き取られる。これによって、キャリアプレート12が下降側ワイヤ14に引っ張られ昇降方向下方に移動する。これにより、キャリアプレート12に取り付けられた窓ガラス2が下降する(窓ガラス2の下降動作)。これらによって、キャリアプレート12及び窓ガラス2を、ガイドレール11に沿って昇降させる。
【0019】
(一体型ストッパの構成)
次に図4及び図5を参照して、一体型ストッパ18について説明する。図4及び図5に示すように、一体型ストッパ18は、例えばポリアセタール等の樹脂で形成されており、ガイドレール11に取り付けられ、キャリアプレート12の昇降方向下方への移動を規制するストッパ部材51と、駆動部15とプーリ17との間に配索された上昇側ワイヤ13を支持するワイヤ支持部材52と、を一体として有している。すなわち、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52は、樹脂で一体成形されており、一体としてガイドレール11に取り付け可能に構成されている。
【0020】
ストッパ部材51は、ガイドレール11の平板部21後面に面して配設される板状のストッパ基部61と、ストッパ基部61から前方に突出すると共に、平板部21の取付け孔21aに係合する右取付け爪62及び左取付け爪63と、を有している。右取付け爪62及び左取付け爪63は、スナップフィット形式でストッパ部材51をガイドレール11に取り付ける取付け部を構成している。すなわち、右取付け爪62及び左取付け爪63は、取付け部の一例である。
【0021】
右取付け爪62及び左取付け爪63は、間隙を存して左右に隣接して配設されている。各取付け爪62は、ストッパ基部61から前方に延びて形成され、平板部21の取付け孔21aを貫通する胴部62a、63aと、胴部62a、63aの先端に形成された爪部62b、63bと、を有している。
【0022】
各取付け爪62、63の爪部62b、63bには、当該爪部62b、63bを取付け孔21aに押し付けたときに取付け孔21aの左右内縁が当接する傾斜面62c、63cが形成されている。爪部62b、63bを取付け孔21aに押し付けると、当該傾斜面62c、63cと取付け孔21aの左右内縁との当接によって、両取付け爪63が内側に変形し、各爪部62b、63bが取付け孔21aを通り抜け可能となる。そして、爪部62b、63bが取付け孔21aを通り抜けると、両取付け爪62、63の変形が戻ることで、両爪部62b、63bの後面が、平板部21の前面に係合する状態になり、取付け孔21aと右取付け爪62及び左取付け爪63とが係合する。このようにして、右取付け爪62及び左取付け爪63が、ガイドレール11の後面側(他方面側)から取付け孔21aに取り付けられ、スナップフィット形式で取付け孔21aに固定される。これにより、ストッパ部材51がガイドレール11に取り付けられ、一体型ストッパ18がガイドレール11に取り付けられる。
【0023】
また、両取付け爪62、63の爪部62b、63bの上面62d、63dは、キャリアプレート12の下面と当接してキャリアプレート12の昇降方向下方への移動を規制する下限ストッパ面として機能する。すなわち、各爪部62b、63bの上面62d、63dが、キャリアプレート12が当接し、キャリアプレート12の昇降方向下方への移動を規制するストッパ部を構成している。より言えば、各取付け爪62、63における、取付け孔21aを貫通してガイドレール11の前面側(一方面側)に露出した部分によって、ストッパ部が構成されている。窓ガラス2の下降動作によって窓ガラス2を全開状態にするとき、図2(b)に示すように、キャリアプレート12の下面が各爪部62b、63bの上面62d、63dに当接して、キャリアプレート12の更なる昇降方向下方への移動が規制される。これによって、キャリアプレート12の移動ストロークにおける下限位置が規定されている。また、両取付け爪62、63の各胴部62a、63aの下面は、取付け孔21aの下内縁に当接している。そのため、キャリアプレート12から各爪部62b、63bへの応力は、各胴部62a、63aの下面からガイドレール11に伝わり、ガイドレール11で受ける構成となっている。
【0024】
このように、ガイドレール11に取り付けるストッパ部材51を設けたことで、駆動部15の位置とキャリアプレート12の移動ストロークの下限位置とを位置ずれさせることができる。これによって、駆動部15の上方に、車両用ドア1の他の部品を配設するスペースを作ることができる。また、重量部である駆動部15の位置を、車両用ドア1上の任意の位置にずらすことができ、例えば、乗員の人体(太もも等)がある位置からずらすことができる。
【0025】
ワイヤ支持部材52は、ストッパ基部61の右端から右側に延出する板状の支持部材基部81と、支持部材基部81の右端部から前方に突出して形成され、上昇側ワイヤ13を支持するワイヤ支持部82と、支持部材基部81の左右方向中間部から前方に突出して形成され、ガイドレール11に係合する係合爪83と、を有している。なお、係合爪83は、変位抑制部の一例である。
【0026】
ワイヤ支持部82には、後側(車幅方向車室内側)から上昇側ワイヤ13に当接する当接部91が形成され、当該当接部91の後側からの当接によって、駆動部15とプーリ17との間に配索された上昇側ワイヤ13を後側から支持する。また、ワイヤ支持部82には、上昇側ワイヤ13を当接部91の位置に導入するための導入部92が形成されている。なお、ワイヤ支持部82に、前側(車幅方向車室外側)から上昇側ワイヤ13に当接する前側当接部が形成され、駆動部15とプーリ17との間に配索された上昇側ワイヤ13を前側から支持する構成であってもよい。
【0027】
係合爪83は、ストッパ基部61から前方に延びて形成された胴部83aと、胴部83aの先端に形成され、ガイドレール11の右フランジ部24に係合する爪部83bと、を有している。係合爪83の爪部83bがガイドレール11と係合することで、上昇側ワイヤ13からの応力によるワイヤ支持部材52の後方への変位を抑制する。
【0028】
このように、ワイヤ支持部材52を設けたことで、車両の車幅方向における上昇側ワイヤ13の配索位置をガイドレール11付近まで移動させることができ、駆動部15とプーリ17との間に配索された上昇側ワイヤ13が車両用ドア1のインナーパネル等に接触するのを防止することができる。また、プーリ17及び回転ドラム42からのワイヤ繰出し方向について、プーリ17及び回転ドラム42に設定されたワイヤ繰出し方向と実際のワイヤ繰出し方向とのズレを抑制することができ、当該ズレによる不要な摺接(例えばワイヤ溝の側面との摺接)を抑制することができる。さらに、ワイヤ支持部材52が上昇側ワイヤ13に当接することで、上昇側ワイヤ13から生じる振動音を抑制することができる。
【0029】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、ワイヤ支持部材52がストッパ部材51と一体に設けられていることで、ウインドレギュレータ10の組付け工数を削減することができる。すなわち、従来の構成では、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52が別体であったため、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52をガイドレール11に組み付けるのに、少なくとも、ストッパ部材51のガイドレール11への取付け、ワイヤ支持部材52のガイドレール11への取付け、及び、上昇側ワイヤ13のワイヤ支持部材52への導入の3工程を行う必要があった。ましてや、ワイヤ支持部材52を、別体のブラケットを介してガイドレール11に取り付ける構成であれば、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52をガイドレール11に組み付けるのに、ストッパ部材51のガイドレール11への取付け、ブラケットのガイドレール11への取付け(例えば溶接)、ワイヤ支持部材52のブラケットへの取付け、及び、上昇側ワイヤ13のワイヤ支持部材52への導入の4工程を行う必要があったが、上記実施形態においては、ワイヤ支持部材52がストッパ部材51と一体に設けられていることで、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52を一体型ストッパ18として一体にガイドレール11に取り付けることができるため、一体型ストッパ18のガイドレール11への取付け、及び、上昇側ワイヤ13のワイヤ支持部材52への導入の2工程で、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52の組付けを行うことができる。これにより、ウインドレギュレータ10の組付け工数を削減することができる。これによって、ウインドレギュレータ10の製造コストを低減することができる。
【0030】
また、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52が一体成形されていることで、ウインドレギュレータ10の部品点数を削減することができると共に、ストッパ部材51とワイヤ支持部材52との相対的な位置精度を向上させることができる。
【0031】
また、一体型ストッパ18をスナップフィット形式でガイドレール11に取り付け可能としたことで、一体型ストッパ18(ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52)のガイドレール11への取付けを容易に行うことができる。
【0032】
また、ワイヤ支持部材52に係合爪83を設けたことで、上昇側ワイヤ13からの応力で、ワイヤ支持部材52が後方に変位するのを抑制することができ、当該変位によるワイヤ支持部82の位置ずれを抑制することができる。
【0033】
また、一体型ストッパ18を、ガイドレール11の後面側から取り付けると共に、取付け爪62、63の爪部62b、63bを、ストッパ部としたことで、一体型ストッパ18が、ガイドレール11の前面上に配索した下降側ワイヤ14と干渉するのを避けることができる。
【0034】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態においては、取付け爪62、63の爪部62b、63bによってストッパ部を構成したが、取付け爪62、63とは別にストッパ部を設ける構成であってもよい。例えば、図6に示すように、右取付け爪62に代えて、ストッパ基部61から前方に突出して形成され、取付け孔21aを貫通するストッパ凸部101を設け、ストッパ凸部101によってストッパ部を構成してもよい。かかる場合、ストッパ凸部101の上面(厳密には、取付け孔21aを貫通してガイドレール11の前面側に露出した部分の上面)にキャリアプレート12の下面が当接して、キャリアプレート12の昇降方向下方への移動が規制される。なお、同図に示すように、ストッパ凸部101には、衝撃吸収部材101b(図6(a)参照)を装着する衝撃吸収部材装着部101aを形成することが好ましい。衝撃吸収部材101bは、弾性体で構成されており、キャリアプレート12がストッパ凸部101の上面に当接したとき、その衝撃を緩和する。また、一体型ストッパ18を上下反転させて左右両方の車両用ドア1に適用できるように、ストッパ凸部101において、衝撃吸収部材装着部101aを上下両方に配設することが好ましい。
【0036】
また、上記実施形態においては、一体型ストッパ18において、ワイヤ支持部82の位置とストッパ部(爪部62b、63b又はストッパ凸部101)の位置とが昇降方向において略一致する構成であったが、ワイヤ支持部82との位置を、ストッパ部材51の位置から昇降方向に位置ずれさせる構成であってもよい。例えば、図7に示すように、支持部材基部81を昇降方向上方に延ばし、ワイヤ支持部82がストッパ凸部101よりも昇降方向上方に位置するように、ワイヤ支持部82をストッパ凸部101に対し昇降方向上方に位置ずれさせる構成であってもよい。かかる構成によれば、ワイヤ支持部82をガイドレール11の長手方向中央寄りに配設することができ、駆動部15とプーリ17との間の上昇側ワイヤ13の配索位置を、よりガイドレール11に沿わせることができる。
【0037】
また、上記実施形態においては、樹脂による一体成形によって、ワイヤ支持部材52がストッパ部材51と一体に設けられている構成であったが、ワイヤ支持部材52がストッパ部材51と一体に設けられている構成であれば、これに限るものではない。例えば、ストッパ部材51に対して別体として形成したワイヤ支持部材52を取り付けて一体化する構成であっても良いし、2色成形によって、ストッパ部材51及びワイヤ支持部材52を別材料で形成する構成であってもよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、ストッパ部材51を、ガイドレール11の下部に配設し、ストッパ部材51が、下限ストッパとして、キャリアプレート12の昇降方向下方への移動を規制する構成であったが、ストッパ部材51を、ガイドレール11の上部に配設し、ストッパ部材51が、上限ストッパとして、キャリアプレート12の昇降方向上方への移動を規制する構成であってもよい。
【0039】
(実施形態のまとめ)
次に、以上説明した実施形態から把握される技術思想について、実施形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、請求の範囲における構成要素を実施形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0040】
《1》車両の窓ガラス(2)の昇降方向に沿って設けられるガイドレール(11)と、前記ガイドレール(11)と摺動して前記窓ガラス(2)と共に移動するキャリアプレート(12)と、前記キャリアプレート(12)を牽引するワイヤ(13)と、前記ガイドレール(11)の長手方向一端部に配設され、前記ワイヤ(13)を駆動する駆動部(15)と、前記ガイドレール(11)の長手方向他端部に配設され、前記ワイヤ(13)を方向転換する方向転換部(17)と、前記ガイドレール(11)に取り付けられ、前記キャリアプレート(12)の前記昇降方向への移動を規制するストッパ部材(51)と、前記駆動部(15)と前記方向転換部(17)との間に配索された前記ワイヤ(13)を支持するワイヤ支持部材(52)と、を備え、前記ワイヤ支持部材(52)は、前記ストッパ部材(51)と一体に設けられていることを特徴とするウインドレギュレータ(10)。
《2》前記ストッパ部材(51)及び前記ワイヤ支持部材(52)は、樹脂で一体成形されていることを特徴とする《1》に記載のウインドレギュレータ(10)。
《3》前記ストッパ部材(51)は、前記ストッパ部材(51)を前記ガイドレール(11)に取り付ける取付け部(62、63)と、前記キャリアプレート(12)が当接し、前記キャリアプレート(12)の前記昇降方向への移動を規制するストッパ部(62b、63b)と、を有することを特徴とする《1》又は《2》に記載のウインドレギュレータ(10)。
《4》前記ガイドレール(11)には、取付け孔(21a)が形成され、前記取付け部(62、63)は、スナップフィット形式で前記取付け孔(21a)に固定されることを特徴とする《3》に記載のウインドレギュレータ(10)。
《5》前記キャリアプレート(12)は、前記ガイドレール(11)の一方面側に配設され、前記取付け部(62、63)は、前記ガイドレール(11)の他方面側から前記取付け孔(21a)に取り付けられ、前記ストッパ部(51)は、前記取付け部(62、63)における前記取付け孔(21a)を貫通して前記ガイドレール(11)の前記一方面側に露出した部分によって構成されていることを特徴とする《4》に記載のウインドレギュレータ(10)。
《6》前記ワイヤ支持部材(52)は、前記ガイドレール(11)と係合し、前記ワイヤ(13)からの応力による前記ワイヤ支持部材(52)の変位を抑制する変位抑制部(83)を、更に有することを特徴とする《1》乃至《5》のいずれか1つに記載のウインドレギュレータ(10)。
【符号の説明】
【0041】
2:窓ガラス、 10:ウインドレギュレータ、 11:ガイドレール、 12:キャリアプレート、 13:上昇側ワイヤ、 15:駆動部、 17:プーリ、 21a:取付け孔、 51:ストッパ部材、 52:ワイヤ支持部材、 62:右取付け爪、 62b:爪部、 63:左取付け爪、 63b:爪部、 83:係合爪、 101:ストッパ凸部
図1
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図7