IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-運転支援装置 図1
  • 特開-運転支援装置 図2
  • 特開-運転支援装置 図3
  • 特開-運転支援装置 図4
  • 特開-運転支援装置 図5
  • 特開-運転支援装置 図6
  • 特開-運転支援装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092450
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20240701BHJP
   B60W 30/02 20120101ALI20240701BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240701BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W30/02
B60W40/04
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208376
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 慎史
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA16
3D241BA31
3D241BB17
3D241BB37
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC01Z
3D241DC41Z
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】物標を検出して回避走行する自動運転車の挙動を安定させる。
【解決手段】本発明の運転支援装置は、自車両の少なくとも進行方向の物標の情報を取得する取得部と、前記物標に対応する領域を生成する生成部と、前記領域の大きさを算出する算出部と、前記領域の大きさの変化量に応じて、前記自車両の車速を設定する設定部と、前記設定部によって設定された車速に基づいて、前記自車両の走行を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の少なくとも進行方向の物標の情報を取得する取得部と、
前記物標に対応する領域を生成する生成部と、
前記領域の大きさを算出する算出部と、
前記領域の大きさの変化量に応じて、前記自車両の車速を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された車速に基づいて、前記自車両の走行を制御する制御部と、を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記領域の大きさの変化量が大きいほど、前記自車両の車速を小さく設定する、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記領域の大きさの変化量が第1の閾値を超える場合、前記自車両の車速を小さく設定する、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記自車両の車速を小さく設定した後、前記領域の大きさの変化量が第2の閾値以下になった場合、前記自車両の車速を大きく設定する、請求項3に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車の研究が進められている。自動運転車とは、運転者(人間)が運転時に行っている認知、判断、運転操作(加速、操舵、制動など)といった行為の少なくとも一部を、運転者の代わりにシステム(機械)が行う自動車を指す。
【0003】
以下、図6図7を参照して、従来技術について説明する。図6図7は、従来技術の説明図である。図6に示すように、元経路R1に沿って走行している自動運転車である自車両C1は、進行方向に存在する路駐車両C2(障害物の例。以下、「物標」とも称する。)を回避走行する場合、例えば、以下の(1)~(3)のプロセスを実行する。
【0004】
(1)路駐車両C2に対応する領域A(例えば矩形)を検出
(2)領域Aと適当なマージンに基づいて回避経路R2を生成
(3)速度を落として回避経路R2に沿って走行
【0005】
また、(3)における速度は、一般的には、例えば、以下の(11)~(13)のようにして決定される。
(11)事前に設定した回避走行用速度(固定値)に決定
(12)回避経路R2の曲率に基づいて決定
(13)回避経路R2と元経路R1の乖離度合いに基づいて決定
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-112350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術において、路駐車両C2に対応する領域Aは、必ずしもいつも安定して高精度に検出できるわけではない。例えば、図7に示すように、時間推移とともに、検出される領域Aが大きく変化することがある。また、一般的には、直進路よりもカーブにおいて、検出される領域Aが大きく変化しやすい。
【0008】
そして、領域検出が不安定な状況では、生成される回避経路も不安定になり、回避走行中に車体の横揺れが生じるなどの問題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、物標を検出して回避走行する自動運転車の挙動を安定させることができる運転支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の運転支援装置は、自車両の少なくとも進行方向の物標の情報を取得する取得部と、前記物標に対応する領域を生成する生成部と、前記領域の大きさを算出する算出部と、前記領域の大きさの変化量に応じて、前記自車両の車速を設定する設定部と、前記設定部によって設定された車速に基づいて、前記自車両の走行を制御する制御部と、を備える。
【0011】
上記構成によれば、物標に対応する領域の大きさの変化量に応じて自車両の車速を変化させることで、物標を検出して回避走行する自動運転車の挙動を安定させることができる。
【0012】
また、前記設定部は、前記領域の大きさの変化量が大きいほど、前記自車両の車速を小さく設定する。
【0013】
自車両の車速が小さいほど物標に対応する領域の検知精度は向上するため、上記構成によれば、領域の大きさの変化量が大きいほど自車両の車速を小さく設定することで、検知精度を向上させ、車両挙動を安定させることができる。
【0014】
また、前記設定部は、前記領域の大きさの変化量が第1の閾値を超える場合、前記自車両の車速を小さく設定する。
【0015】
自車両の車速が小さいほど物標に対応する領域の検知精度は向上するため、上記構成によれば、領域の大きさの変化量が第1の閾値を超える場合に自車両の車速を小さく設定することで、検知精度を向上させ、車両挙動を安定させることができる。
【0016】
また、前記設定部は、前記自車両の車速を小さく設定した後、前記領域の大きさの変化量が第2の閾値以下になった場合、前記自車両の車速を大きく設定する。
【0017】
上記構成によれば、領域の大きさの変化量が第2の閾値以下になった場合、領域の検知精度は向上していると考えられるので、車速を大きく設定することで、車両挙動を安定させながら、低速な状態を必要以上に継続する事態を回避できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、物標を検出して回避走行する自動運転車の挙動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態の運転支援装置が搭載される車両の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の自動運転ECUの機能構成図である。
図3図3は、第1実施形態の自動運転ECUによる処理を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態において、面積の変化量と車速の時系列の変化の様子を示すグラフである。
図5図5は、第2実施形態の自動運転ECUによる処理を示すフローチャートである。
図6図6は、従来技術の説明図である。
図7図7は、従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を用いて、本発明の運転支援装置等の実施形態について説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の運転支援装置が搭載される車両の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
車両1(自車両)は、自動運転車である。車両1には、各部を制御するため、複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が搭載されている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、マイコンには、例えば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、および、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。
【0023】
複数のECUには、駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13、メータECU14およびボデーECU15が含まれる。それらは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる通信が可能に接続されている。
【0024】
駆動ECU11は、駆動装置21を制御する制御部である。駆動装置21は、エンジンを駆動源として備える構成であってもよいし、モータを駆動源として備える構成であってもよいし、エンジンおよびモータの両方を駆動源として備える構成であってもよい。駆動装置21には、必要に応じて、駆動源からの駆動力を変速して出力する変速機が含まれる。
【0025】
操舵ECU12は、操舵装置22を制御する制御部である。操舵装置22は、例えば、電動モータのトルクをステアリング機構に付与する電動パワーステアリング装置である。ステアリング機構は、例えば、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤを含み、電動モータのトルクによりラック軸が車幅方向に移動すると、そのラック軸の移動に伴って左右の操向輪が左右に転舵するように構成されている。
【0026】
ブレーキECU13は、制動装置23を制御する制御部である。制動装置23は、油圧式であってもよいし、電動式であってもよい。例えば、油圧式の制動装置23であれば、ブレーキアクチュエータを備え、このブレーキアクチュエータの機能により、各車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダに油圧が分配され、その油圧により各ブレーキから駆動輪を含む車輪に制動力が付与される。
【0027】
メータECU14は、メータパネル(図示せず)の各部を制御する制御部である。メータパネルには、車速やエンジン回転数を表示する計器類のほか、各種の情報を表示するための液晶ディスプレイなどの表示器が設けられている。また、メータECU14には、自動運転の緊急停止を指示するために操作される緊急停止スイッチ24が接続されている。
【0028】
ボデーECU15は、車両1のイグニッションスイッチがオフの状態でも動作の必要がある各部、例えば、左右の各ウインカやドアロックモータなどを制御する制御部である。
【0029】
また、複数のECUには、自動運転機能のための制御部として、自動運転ECU31(運転支援装置)、ライダECU32および単眼カメラECU33が含まれる。
【0030】
自動運転ECU31は、自動運転制御の制御中枢である。自動運転ECU31は、各ECU11~15とCAN通信可能に接続されている。
【0031】
自動運転ECU31には、例えば、イーサネット(登録商標)規格の通信ケーブルを介して、全方位ライダ(LiDAR:Light Detection And Ranging)34が接続されている。全方位ライダ34は、360°全方位にレーザ光を照射し、探索範囲内に存在する物体からの反射光を光センサで受光して、その反射光に応じた検出信号を出力する。自動運転ECU31には、全方位ライダ34の検出信号が入力される。
【0032】
また、自動運転ECU31には、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格の通信ケーブルを介して、GPS受信機35が接続されている。GPS受信機35は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの測位信号を受信する受信機である。GPS受信機35が受信する測位信号は、GPS受信機35から自動運転ECU31に入力される。
【0033】
ライダECU32は、例えば、イーサネット規格の通信ケーブルを介して、自動運転ECU31と通信可能に接続されている。ライダECU32には、6個のライダ36が接続されている。ライダ36は、探索範囲にレーザ光を照射し、その探索範囲内に存在する物体からの反射光を光センサで受光して、その反射光に応じた検出信号を出力する。ライダ36は、例えば、車両1のフロントバンパの左端、中央および右端ならびにリヤバンパの左端、中央および右端にそれぞれ配置されている。ライダECU32には、各ライダ36から出力される検出信号が入力される。ライダECU32は、各ライダ36から出力される検出信号を処理し、その処理により得られるデータを自動運転ECU31に送信する。
【0034】
単眼カメラECU33は、例えば、USB規格の通信ケーブルを介して、自動運転ECU31と通信可能に接続されている。単眼カメラECU33には、単眼カメラ37が接続されている。単眼カメラ37は、車両1の前方の探索範囲の静止画を所定のフレームレートで連続して撮影可能なカメラである。単眼カメラECU33には、単眼カメラ37から連続して出力される静止画の画信号が入力される。単眼カメラECU33は、単眼カメラ37から入力される画信号を処理し、その処理により得られる画像データを自動運転ECU31に送信する。
【0035】
以下、図2も併せて参照して説明する。図2は、第1実施形態の自動運転ECU31の機能構成図である。自動運転ECU31は、機能構成として、取得部311と、物体認識部312と、領域生成部313(生成部)と、算出部314と、経路生成部315と、設定部316と、制御部317と、を備える。これらの機能構成は、プログラム処理によってソフトウエア的に実現されるか、または、論理回路などのハードウェアにより実現される。
【0036】
なお、自動運転ECU31は、ほかに、全方位ライダ34やGPS受信機35などからの情報に基づいて車両1の位置(自己位置)を推定する自己位置推定部なども備えるが、それらの詳細な説明は省略する。また、以下では、物標として、主に路駐車両を例にとって説明する。
【0037】
取得部311は、各種構成から各種情報を取得する。取得部311は、例えば、ライダECU32、単眼カメラECU33、全方位ライダ34などから、車両1の少なくとも進行方向の物標の情報を取得する。
【0038】
物体認識部312は、全方位ライダ34の検出信号から取得される物体(車両、歩行者、建物、縁石などの物標(障害物))までの距離の情報や、単眼カメラ37により撮影された画像などから、他の車両や歩行者などの物体(物標)を認識する。
【0039】
領域生成部313は、物体認識部312によって認識された物標に対応する領域を生成する。領域生成部313は、例えば、図6に示す、路駐車両C2に対応する矩形の領域Aを生成する。
【0040】
算出部314は、領域生成部313によって生成された領域の大きさを算出する。算出部314は、例えば、図6に示す矩形の領域Aの面積を算出する。また、この算出周期は、例えば、数十~数百ミリ秒程度である。なお、算出する「領域の大きさ」は、面積に限定されず、ほかに、体積などであってもよい。
【0041】
経路生成部315は、地図データや車両1の位置などの各種情報に基づいて、車両1の現在地から目的地までの経路を生成する。
【0042】
設定部316は、算出部314によって算出された領域の大きさの経時的な変化量に応じて、車両1の車速を設定する。設定部316は、例えば、領域の大きさの変化量が大きいほど、自車両の車速を小さく設定する。以下、具体例について説明する。
【0043】
算出部314によって計算された面積が時系列に蓄積されているものとする。その場合、設定部316は、例えば、面積の直近10秒間の分散(「平均値との差」の二乗の総和をデータ数で割った値)(var)を計算し、自車速(vel)を以下の式(1)で求める。
vel= max(ConstVel*(ConstVar-var),0) ・・・式(1)
【0044】
ここで、ConstVel, ConstVarは事前に設定した固定値である。また、max(a,b)はa,bの最大値をとる関数である。
【0045】
この式(1)によれば、分散(var)が大きい(つまり、経時的に矩形面積が不安定な)ときは、自車速(vel)は低下する。また、分散(var)が小さい(つまり、経時的に矩形面積が安定な)ときは、自車速(vel)は大きくなる。
【0046】
また、経時的に矩形面積があまりに不安定な時は自車速(vel)を0(車両停止)にする等の挙動も容易に実現することができる。
【0047】
制御部317は、経路生成部315によって生成された経路や、設定部316によって設定された車速などに基づいて、駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13などを制御することによって、車両1の走行を制御する。
【0048】
図3は、第1実施形態の自動運転ECU31による処理を示すフローチャートである。ここでは、本発明に直接的に関係のない事項(自己位置推定など)についての説明は適宜省略する。
【0049】
ステップS1において、取得部311は、ライダECU32、単眼カメラECU33、全方位ライダ34などから、車両1の少なくとも進行方向の路駐車両の情報を取得する。
【0050】
次に、ステップS2において、領域生成部313は、ステップS1で取得された路駐車両に対応する領域(矩形)を生成する。
【0051】
次に、ステップS3において、算出部314は、ステップS2で生成された領域の大きさ(例えば矩形面積)を算出する。算出された情報(矩形面積)は、自動運転ECU31の記憶部に蓄積される。
【0052】
次に、ステップS4において、設定部316は、過去N秒分(例えば直近10秒分)の面積情報から、面積の分散を計算する。
【0053】
次に、ステップS5において、設定部316は、例えば、上述の式(1)に基づいて、指示車速を算出(設定)する。
【0054】
次に、ステップS6において、制御部317は、ステップS5で算出された指示車速に追従するように車両1を制御する。
【0055】
このように、第1実施形態によれば、自領域の大きさの変化量に応じて自車両の車速を変化させることで、物標を検出して回避走行する自動運転車の挙動を安定させることができる。
【0056】
また、自車両の車速が小さいほど物標に対応する領域の検知精度は向上するため、領域の大きさの変化量が大きいほど自車両の車速を小さく設定することで、検知精度を向上させ、車両挙動を安定させることができる。さらに具体的には、以下の通りである。
【0057】
自車速を小さくすることで、物標に対応する領域の検知精度が向上する理由は、例えば、以下の通りである。
・車両1の振動が減ること。
・車体のたわみが減り、車両1に搭載された複数のセンサによる検知結果の統合精度が向上すること。
・車両1と路駐車両の相対的な位置関係の時系列の変化が小さくなること。
【0058】
また、領域検知が不安定な場合は車速を落とすことで、システム全体として安全な車両挙動となり、好ましい。
【0059】
また、近年の研究で、自動運転の手動介入要因としては路駐車両が最多要因であると言われている。したがって、路駐車両の自動的な回避の成功は、自動運転の実用化に対して重要な意味を持つ。つまり、本実施形態の手法で、領域検知が不安定な状態でも車速を十分に落とせば検知安定性を回復できる可能性があり、これによって手動介入率の低減を実現できる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。第1実施形態と異なる点は、上述の式(1)ではなく、面積の変化量の閾値を用いて車速を変化させることである。
【0061】
図4は、第2実施形態において、(a)が面積の変化量の時系列の変化の様子を示すグラフで、(b)が車速の時系列の変化の様子を示すグラフである。設定部316は、(a)に示すように時刻t1で面積(領域の大きさ)の変化量が第1の閾値を超えると、(b)に示すように、自車両の車速をそれまでよりも小さく設定する。つまり、車速の設定値を車速V1から車速V2に変更する。
【0062】
また、設定部316は、自車両の車速を小さく設定した後、(a)に示すように時刻t2で面積の変化量が第2の閾値以下になった場合、自車両の車速をそれまでよりも大きく設定する。つまり、車速の設定値を車速V2から車速V1に変更する。
【0063】
なお、図4では、図示や説明を簡潔にするために、車速を変更するとき以外について、車速を一定としているが、これに限定されず、車速は一定でなくてもよい。
【0064】
図5は、第1実施形態の自動運転ECU31による処理を示すフローチャートである。ステップS1~S3は、図3のステップS1~S3と同様である。なお、図5のフローチャートでは、説明を簡潔にするために、従来技術と同様の周囲環境等に応じた指示車速の設定や、その指示車速に追従するように車両1を制御することなどの記載を省略している。
【0065】
ステップS3の後、ステップS4において、設定部316は、面積の変化量が第1の閾値を超えたか否かを判定し、Yesの場合(図4の時刻t1)はステップS12に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0066】
ステップS12において、設定部316は、自車両の指示車速を小さく設定する。
【0067】
次に、ステップS13において、設定部316は、面積の変化量が第2の閾値以下になったか否かを判定し、Yesの場合(図4の時刻t2)はステップS14に進み、Noの場合はステップS13に戻る。
【0068】
ステップS14において、設定部316は、自車両の指示車速を大きく設定する。
【0069】
このように、第2実施形態によれば、自車両の車速が小さいほど物標に対応する領域の検知精度は向上するため、領域の大きさの変化量が第1の閾値を超える場合、自車両の車速を小さく設定することで、検知精度を向上させ、車両挙動を安定させることができる。
【0070】
また、その後、領域の大きさの変化量が第2の閾値以下になった場合、領域の検知精度は向上していると考えられるので、車速を大きく設定することで、車両挙動を安定させながら、低速な状態を必要以上に継続する事態を回避できる。
【0071】
なお、図4では、第1の閾値と第2の閾値を異なる値としており、これにより、車速の切り替えが頻繁に発生する事態を防止している。ただし、これに限定されず、第1の閾値と第2の閾値を同じ値としてもよい。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0073】
また、本実施形態の自動運転ECU31で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0074】
また、対象となる物標は、路駐車両等の他車両に限定されず、自転車、バイク、歩行者、動物(犬、猫など)などの移動体全般である。
【0075】
また、第1実施形態において、面積の分散を用いたが、これに限定されず、領域の検出精度と相関のある指標であれば、面積の標準偏差など、他の指標を用いてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…車両、11…駆動ECU、12…操舵ECU、13…ブレーキECU、21…駆動装置、31…自動運転ECU、32…ライダECU、33…単眼カメラECU、34…全方位ライダ、311…取得部、312…物体認識部、313…領域生成部、314…算出部、315…経路生成部、316…設定部、317…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7