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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092476
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】柱梁接合部およびその設計方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20240701BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240701BHJP
   E04C 3/32 20060101ALI20240701BHJP
   E04C 3/36 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
E04B1/24 L
E04B1/58 505S
E04B1/58 508S
E04C3/32
E04C3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208427
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【弁理士】
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【弁理士】
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】荒木田 椋太
(72)【発明者】
【氏名】梅田 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】木下 智裕
【テーマコード(参考)】
2E125
2E163
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB01
2E125AB16
2E125AE13
2E125AF03
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG58
2E163FA02
2E163FB07
2E163FB09
2E163FF17
(57)【要約】
【課題】 溶接組立箱形断面柱と鉄骨梁との柱梁接合部において、柱梁接合部の崩壊形を柱崩壊形ではなく柱梁接合部パネル崩壊形とすることにより、建築物全体の崩壊形をエネルギー吸収量の大きい全体崩壊形とする。
【解決手段】 4枚のスキンプレートが角溶接により相互に接合されて構成される溶接組立箱形断面柱と鉄骨梁との柱梁接合部であって、前記角溶接がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であり、前記柱梁接合部の接合部パネルに取り付く前記鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルに取り付く前記溶接組立箱形断面柱の材端の全塑性モーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルの全塑性モーメントp1 、前記角溶接がオーバーマッチ溶接かつ完全溶け込み溶接であると仮定したときの前記接合部パネルの全塑性モーメントp2 が、所定の関係を満たすようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4枚のスキンプレートが角溶接により相互に接合されて構成される溶接組立箱形断面柱と鉄骨梁との柱梁接合部であって、
前記角溶接がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であり、
前記柱梁接合部の接合部パネルに取り付く前記鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルに取り付く前記溶接組立箱形断面柱の材端の全塑性モーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルの全塑性モーメントp1 、前記角溶接がオーバーマッチ溶接かつ完全溶け込み溶接であると仮定したときの前記接合部パネルの全塑性モーメントp2 が、下記(1)式および(2)式の関係を満たす、柱梁接合部。
Σ p2 ・・・(1)
p1 <Σ <Σ ・・・(2)
【請求項2】
前記スキンプレートの引張強度が780N/mm以上である、請求項1に記載の柱梁接合部。
【請求項3】
前記角溶接の開先深さが60mm以下である、請求項1または2に記載の柱梁接合部。
【請求項4】
前記溶接組立箱形断面部材の内部にコンクリートが充填されている、請求項1または2に記載の柱梁接合部。
【請求項5】
前記溶接組立箱形断面部材の内部にコンクリートが充填されている、請求項3に記載の柱梁接合部。
【請求項6】
4枚のスキンプレートが角溶接により相互に接合されて構成される溶接組立箱形断面柱と鉄骨梁との柱梁接合部の設計方法であって、
前記角溶接がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であり、
前記スキンプレートの板厚および基準強度、前記鉄骨梁の断面形状および基準強度、ならびに前記角溶接の溶接深さおよび溶接金属の基準強度から算出される、前記柱梁接合部の接合部パネルに取り付く前記鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルに取り付く前記溶接組立箱形断面柱の材端の全塑性モーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルの全塑性モーメントp1 、前記角溶接がオーバーマッチ溶接かつ完全溶け込み溶接であると仮定したときの前記接合部パネルの全塑性モーメントp2 が、下記(1)式および(2)式の関係を満たすように、前記スキンプレートの板厚および基準強度、前記鉄骨梁の断面形状および基準強度、ならびに前記角溶接の溶接深さおよび溶接金属の基準強度を設定する、柱梁接合部の設計方法。
Σ p2 ・・・(1)
p1 <Σ <Σ ・・・(2)
【請求項7】
前記スキンプレートの引張強度が780N/mm以上である、請求項6に記載の柱梁接合部の設計方法。
【請求項8】
前記角溶接の開先深さが60mm以下である、請求項6または7に記載の柱梁接合部の設計方法。
【請求項9】
前記溶接組立箱形断面部材の内部にコンクリートが充填されている、請求項6または7に記載の柱梁接合部の設計方法。
【請求項10】
前記溶接組立箱形断面部材の内部にコンクリートが充填されている、請求項8に記載の柱梁接合部の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4枚のスキンプレートが角溶接により相互に接合されて構成される溶接組立箱形断面部材と鉄骨梁との柱梁接合部およびその設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の柱部材には、冷間ロール成形角形鋼管、冷間プレス成形角形鋼管、溶接組立箱形断面部材などの角形鋼管が用いられることが多い。中低層建築物および高層建築物の柱部材には、比較的安価な冷間ロール成形角形鋼管や冷間プレス成形角形鋼管が用いられることが多い。これに対し、超高層建築物の柱部材には、要求される剛性および耐力が非常に大きいため、大断面化、厚肉化、高強度化が可能な溶接組立箱形断面部材が用いられることが多い。
【0003】
ここで、溶接組立箱形断面部材は、冷間ロール成形角形鋼管や冷間プレス成形角形鋼管に比べて製作コストが高い。その要因としては、部材の高強度化に伴って、溶接組立箱形断面部材のスキンプレートを構成する鋼板のコスト自体が高いことに加えて、溶接組立箱形断面部材の製作時の溶接施工管理等に多くの工数および製作期間を要することが挙げられる。
【0004】
特に、溶接組立箱形断面部材の肉厚が極厚である場合は、溶接組立箱形断面部材のスキンプレートを角溶接により相互に接合するときの溶接深さが大きくなる。溶接組立箱形断面部材の角溶接は、CO溶接またはサブマージアーク溶接で行われることが多いが、いずれも、角溶接の溶接深さが大きくなると、角溶接を1パスで行うことができず溶接パス数が増える。よって、角溶接が多層化して、溶接組立箱形断面部材の製作コストが上昇し、製作期間が長期化する。
【0005】
また、多層サブマージアーク溶接の場合には、例えば非特許文献1および非特許文献2に開示されるように、溶接金属が早期に低位破断して母材規格強度を下回ることを防ぐべく、パス間温度およびその保持時間、ならびに後熱温度およびその保持時間等の熱管理を行う必要がある。
【0006】
サブマージアーク溶接では、1パスで施工可能な溶接深さは、最大60mm程度である。よって、肉厚が60mm以上の溶接組立箱形断面部材をサブマージアーク溶接で製作する場合には、角溶接が多層サブマージアーク溶接となる。そして、上述のような熱管理が必要となり、溶接組立箱形断面部材の製作期間が急激に長期化する。
【0007】
このような問題に対応して、溶接組立箱形断面部材を構成するスキンプレートの板厚を小さくし、この板厚減少に起因する溶接組立箱形断面部材全体の耐力低下を補うように、スキンプレートの強度を高める方法も考えられる。このようにすると、溶接組立箱形断面部材の角溶接を、1パスのCO溶接またはサブマージアーク溶接で行うことができる。しかし、溶接組立箱形断面部材を構成するスキンプレートの高強度化に合わせて、角溶接の溶接材料も高強度化する必要があるため、角溶接の施工性が低下しうる。
【0008】
また、例えば特許文献1では、溶接組立箱形断面部材の隅角部を内側から隅肉溶接するボックス柱の製造方法が提案されている。しかし、溶接組立箱形断面部材の内側での溶接作業は、溶接者への作業負荷が高く、危険な作業となる恐れもある。そこで、例えば非特許文献3に開示されるように、溶接組立箱形断面部材の角溶接を部分溶込み溶接とすることが検討されてきた。
【0009】
さらに、近年の高層ビルの大型化や柱スパンの長大化に伴い、鉄骨梁の部材断面のサイズアップやの高強度化が必要とされている。すなわち、建築物の種類により、柱スパンの長大化に伴って、梁のたわみがたわみ制限より大きくならないようにすることを主な要因として梁の断面が決定されることとなり、鉄骨梁を大断面化かつ高強度化する必要が生じることがある。このように、大断面および高強度の鉄骨梁が柱梁接合部に取り付く場合には、柱梁接合部パネルの周囲に取り付く一または複数の梁部材の材端の全塑性耐力の合計値が大きくなりやすい。そして、梁部材の材端の全塑性耐力の合計値が、柱梁接合部パネルの上下に取り付く柱部材の材端の全塑性耐力の合計値を上回ると、柱梁接合部に大きな曲げモーメントが作用するときに、柱部材の材端に損傷が集中して、柱梁接合部の崩壊形が柱崩壊形となる恐れがある。
【0010】
柱梁接合部の崩壊形が柱崩壊形となると、建築物全体の崩壊形も、エネルギー吸収量の大きい全体崩壊形ではなくエネルギー吸収量の小さい部分崩壊形となる恐れが高まり、比較的小さな地震の入力エネルギーで、建築物の層崩壊が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第5157556号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】湯田 誠、外3名、「極厚ボックス角継手(SA440)への多層盛サブマージアーク溶接の検討 その1 試験概要及び事前試験結果」、日本建築学会大会学術講演梗概集(近畿)、一般社団法人日本建築学会、2014年9月、pp.1045-1046
【非特許文献2】福元 孝男、外3名、「極厚ボックス角継手(SA440)への多層盛サブマージアーク溶接の検討 その2 事前試験の考察と本試験結果」、日本建築学会大会学術講演梗概集(近畿)、一般社団法人日本建築学会、2014年9月、pp.1047-1048
【非特許文献3】井上 末冨、外2名、「部分溶込み溶接で組み立てられたボックス柱の耐荷力の研究(その1.実験計画および部分溶込み溶接せん断実験)」、日本建築学会大会学術講演梗概集(九州)、一般社団法人日本建築学会、1989年10月、pp.1253-1254
【非特許文献4】日本建築学会編、「鋼構造塑性設計指針 第3版」、一般社団法人日本建築学会、2017年2月、pp.150-155
【非特許文献5】日本建築学会編、「鋼構造接合部設計指針 第3版」、一般社団法人日本建築学会、2012年3月、pp.225-226
【非特許文献6】栗田 舞人、外3名、「アンダーマッチング溶接により組み立てられた超高強度鋼CFT部材の構造性能に関する研究 その14 幅厚比16.7のCFT接合部パネルの履歴挙動および耐力評価」、日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)、一般社団法人日本建築学会、2018年9月、pp.1425-1426
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
梁部材の断面が決定している条件下で、柱梁接合部の崩壊形が柱崩壊形となることを回避するには、柱梁接合部パネルの全塑性耐力を柱部材の材端の全塑性耐力の合計値よりも小さくして、柱梁接合部パネル崩壊形とする必要がある。しかし、溶接組立箱形断面柱と鉄骨梁との柱梁接合部では内ダイアフラム形式が採用されることが多いため、柱梁接合部パネル部分での柱の肉厚を他の部分での柱の肉厚よりも小さくする等の方法により柱梁接合部パネルの全塑性耐力を小さくすることは難しい。このように、溶接組立箱形断面柱と鉄骨梁との柱梁接合部では、柱梁接合部パネルの全塑性耐力を柱の全塑性耐力の合計値より小さくすることが難しい。
【0014】
上記課題に鑑み、本発明は、溶接組立箱形断面柱と鉄骨梁との柱梁接合部において、柱梁接合部の崩壊形を柱崩壊形ではなく柱梁接合部パネル崩壊形とすることにより、建築物全体の崩壊形をエネルギー吸収量の大きい全体崩壊形とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は以下の特徴を有する。
【0016】
[1] 4枚のスキンプレートが角溶接により相互に接合されて構成される溶接組立箱形断面柱と鉄骨梁との柱梁接合部であって、前記角溶接がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であり、前記柱梁接合部の接合部パネルに取り付く前記鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルに取り付く前記溶接組立箱形断面柱の材端の全塑性モーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルの全塑性モーメントp1 、前記角溶接がオーバーマッチ溶接かつ完全溶け込み溶接であると仮定したときの前記接合部パネルの全塑性モーメントp2 が、下記(1)式および(2)式の関係を満たす、柱梁接合部。
【0017】
Σ p2 ・・・(1)
p1 <Σ <Σ ・・・(2)
ここで、鉄骨梁の材端にハンチ等の拡幅部や補強材が設けられず、鉄骨梁が材軸方向に一様の断面を有する場合には、鉄骨梁は材端位置で全塑性状態となる。よって、この場合には、鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントは、鉄骨梁の全塑性モーメントに等しくなる。また、鉄骨梁の材端にハンチ等の拡幅部や補強材が設けられる場合には、拡幅部や補強材が設けられる部分と設けられない部分との境界位置等で、鉄骨梁が全塑性状態となることがある。このとき、鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントは、鉄骨梁の材軸方向の曲げモーメント分布に応じて、上記境界位置等における鉄骨梁の全塑性モーメントよりも大きくなる。そこで、鉄骨梁の材端にハンチ等の拡幅部や補強材が設けられる場合には、拡幅部や補強材が設けられることにより鉄骨梁の曲げ耐力が材軸方向に変化すること等も考慮して、鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントを計算するものとする。
【0018】
[2] 前記スキンプレートの引張強度が780N/mm以上である、[1]に記載の柱梁接合部。
【0019】
[3] 前記角溶接の開先深さが60mm以下である、[1]または[2]に記載の柱梁接合部。
【0020】
[4] 前記溶接組立箱形断面部材の内部にコンクリートが充填されている、[1]または[2]に記載の柱梁接合部。
【0021】
[5] 前記溶接組立箱形断面部材の内部にコンクリートが充填されている、[3]に記載の柱梁接合部。
【0022】
[6] 前記角溶接がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であり、前記スキンプレートの板厚および基準強度、前記鉄骨梁の断面形状および基準強度、ならびに前記角溶接の溶接深さおよび溶接金属の基準強度から算出される、前記柱梁接合部の接合部パネルに取り付く前記鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルに取り付く前記溶接組立箱形断面柱の材端の全塑性モーメントの合計値Σ 、前記接合部パネルの全塑性モーメントp1 、前記角溶接がオーバーマッチ溶接かつ完全溶け込み溶接であると仮定したときの前記接合部パネルの全塑性モーメントp2 が、下記(1)式および(2)式の関係を満たすように、前記スキンプレートの板厚および基準強度、前記鉄骨梁の断面形状および基準強度、ならびに前記角溶接の溶接深さおよび溶接金属の基準強度を設定する、柱梁接合部の設計方法。
【0023】
Σ p2 ・・・(1)
p1 <Σ <Σ ・・・(2)
ここで、鉄骨梁の材端にハンチ等の拡幅部や補強材が設けられず、鉄骨梁が材軸方向に一様の断面を有する場合には、鉄骨梁は材端位置で全塑性状態となる。よって、この場合には、鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントは、鉄骨梁の全塑性モーメントに等しくなる。また、鉄骨梁の材端にハンチ等の拡幅部や補強材が設けられる場合には、拡幅部や補強材が設けられる部分と設けられない部分との境界位置等で、鉄骨梁が全塑性状態となることがある。このとき、鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントは、鉄骨梁の材軸方向の曲げモーメント分布に応じて、上記境界位置等における鉄骨梁の全塑性モーメントよりも大きくなる。そこで、鉄骨梁の材端にハンチ等の拡幅部や補強材が設けられる場合には、拡幅部や補強材が設けられることにより鉄骨梁の曲げ耐力が材軸方向に変化すること等も考慮して、鉄骨梁が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントを計算するものとする。
【0024】
[7] 前記スキンプレートの引張強度が780N/mm以上である、[6]に記載の柱梁接合部の設計方法。
【0025】
[8] 前記角溶接の開先深さが60mm以下である、[6]または[7]に記載の柱梁接合部の設計方法。
【0026】
[9] 前記溶接組立箱形断面部材の内部にコンクリートが充填されている、[6]または[7]に記載の柱梁接合部の設計方法。
【0027】
[10] 前記溶接組立箱形断面部材の内部にコンクリートが充填されている、[8]に記載の柱梁接合部の設計方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明の柱梁接合部およびその設計方法によれば、溶接組立箱形断面柱の角溶接がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であるので、柱梁接合部の接合部パネルの全塑性耐力を、接合部パネルに取り付く鉄骨梁の材端の全塑性耐力の合計値よりも小さくすることができる。そして、柱梁接合部の接合部パネルの全塑性耐力が、柱梁接合部パネルの上下に取り付く柱部材の材端の全塑性耐力の合計値よりも小さくすることにより、柱梁接合部の崩壊形を柱梁接合部パネル崩壊形とすることができる。これにより、鉄骨梁が大断面や高強度で、柱梁接合部パネルに取り付く梁部材の材端の全塑性耐力の合計値が大きい場合にも、柱梁接合部の崩壊形を柱崩壊形ではなく柱梁接合部パネル崩壊形とし、建築物全体の崩壊形をエネルギー吸収量の大きい全体崩壊形にできる。
【0029】
また、溶接組立箱形断面柱の角溶接がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であるので、溶接組立箱形断面柱の角溶接の施工性を大幅に向上させることができ、製作コストおよび製作期間を大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1(a)は、本発明の柱梁接合部の一例を示す斜視図である。図1(b)は、溶接組立箱形断面部材の断面図である。
図2図2(a)および図2(b)は、溶接組立箱形断面部材の断面図および側面図である。図2(c)および図2(d)は、溶接組立箱形断面部材を力学モデル化した断面図および側面図である。図2(e)および図2(f)は、溶接組立箱形断面部材に0°方向からせん断力が作用するときの力学モデルを示す断面図および側面図である。
図3図3(a)~図3(c)は、溶接組立箱形断面部材に0°方向からせん断力が作用するときに発生するせん断変形領域および曲げ変形領域を示す側面図である。
図4図4は、溶接組立箱形断面部材に0°方向からせん断力が作用するときの柱梁接合部パネル部の耐力を示すグラフである。
図5図5(a)および図5(b)は、本発明の柱梁接合部およびその設計方法の効果を検証するために実施した加力試験における試験体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の柱梁接合部およびその設計方法の実施形態について、詳細に説明する。
【0032】
図1(a)に、本実施形態の柱梁接合部1を示す。また、図1(b)に、柱梁接合部1の柱梁接合部パネル部分を構成する溶接組立箱形断面柱10の断面図を示す。
【0033】
図1(a)および図1(b)に示すように、本実施形態の柱梁接合部1は、4枚のスキンプレート11、12が角溶接13により相互に接合されて構成される溶接組立箱形断面柱10と鉄骨梁20との柱梁接合部である。本実施形態では、鉄骨梁20はH形鋼から構成されているが、本発明における鉄骨梁は、これに限定されるものではない。
【0034】
また、図1(a)では、本発明の柱梁接合部の一例として、柱梁接合部パネルの上下に溶接組立箱形断面柱10が取り付き、柱梁接合部パネルの左右に鉄骨梁20が取り付く例を示している。本発明は、これに限定されるものでなく、柱梁接合部パネルの下のみに溶接組立箱形断面柱10が取り付く場合や、柱梁接合部パネルの周囲に取り付く鉄骨梁20の本数が1本または3本以上である場合にも適用可能である。
【0035】
図1(b)に示すように、本実施形態の柱梁接合部1では、4枚のスキンプレート11、12を接合する角溶接13は、部分溶け込み溶接である。本発明における角溶接は、これに限定されるものではなく、角溶接を完全溶け込みのアンダーマッチ溶接としてもよく、部分溶け込み溶接かつアンダーマッチ溶接としてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態の柱梁接合部1を構成する溶接組立箱形断面柱10のスキンプレート11、12および角溶接13、ならびに鉄骨梁20の形状および材料強度は、下記(1)式および(2)式の関係を満たすように設定されている。すなわち、溶接組立箱形断面柱10のスキンプレート11、12の板厚tおよび降伏強度σ、角溶接13の溶接深さtおよび溶接金属の強度σyw、ならびに鉄骨梁20の断面サイズおよび降伏強度が、上記(1)式および(2)式の関係を満たすように設定されている。
【0037】
Σ p2 ・・・(1)
p1 <Σ <Σ ・・・(2)
また、本実施形態の柱梁接合部の設計方法は、上記(1)式および(2)式の関係を満たすように、スキンプレート11、12の板厚tおよび基準強度σ、角溶接13の溶接深さtおよび溶接金属の強度σyw、ならびに鉄骨梁20の断面サイズおよび基準強度を設定するものである。
【0038】
ここで、上記(1)式および(2)式において、Σ は、柱梁接合部1の接合部パネルに取り付く鉄骨梁20が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値であり、Σ は、接合部パネルに取り付く溶接組立箱形断面柱10の材端の全塑性モーメントの合計値である。また、p1 は、接合部パネルの全塑性モーメントであり、p2 は、角溶接13がオーバーマッチ溶接かつ完全溶け込み溶接であると仮定したときの接合部パネルの全塑性モーメントである。
【0039】
鉄骨梁20が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメント 、溶接組立箱形断面柱10の材端の全塑性モーメント 、および角溶接13がオーバーマッチ溶接かつ完全溶け込み溶接であると仮定したときの接合部パネルの全塑性モーメントp2 は、例えば非特許文献4に記載される方法により計算できる。
【0040】
また、角溶接13がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であることによる耐力減少を考慮した接合部パネルの全塑性モーメントp1 については、下記のとおり検討を行った。
【0041】
まず、図2(a)~図2(d)に示すように、溶接組立箱形断面柱10において、スキンプレートの板厚tおよび角溶接の溶接深さtが、スキンプレート11、12の板幅に対して十分に小さく、スキンプレート11、12が板厚中心に集中すると仮定して、スキンプレート11、12の板厚方向に生じるせん断応力を無視した力学モデルを設定した。
【0042】
そして、溶接組立箱形断面柱10にせん断力が作用するとき、溶接組立箱形断面柱10の各部位には、せん断変形および曲げ変形が、次のように生じるものと仮定した。
【0043】
まず、図2(e)および図2(f)に示すように、溶接組立箱形断面柱10に作用するせん断力の方向が、対向する一対のスキンプレート11と、対向するもう一対のスキンプレート12のうち、一方の幅方向と平行であるとき(以下、「0°方向加力時」という)について、次のとおり仮定した。すなわち、せん断力と平行な一対のスキンプレート11には、幅方向中央部の幅(d-X)mmの領域でせん断変形が生じ、幅方向両端部の幅(X/2)mmの領域のうち柱梁接合部パネル部の上下端部で曲げ変形が生じるものと仮定した。ただし、dは溶接組立箱形断面柱10のスキンプレート11、12の板厚中心間距離であって、溶接組立箱形断面柱10の幅Dに対してd=D-tの関係にあり、Xの範囲は0≦X≦d/2である。さらに、全ての角溶接13には、せん断変形が生じるものと仮定した。
【0044】
上述のような力学モデルにおいて、Xの値を0≦X≦d/2の範囲内で変化させながら、溶接組立箱形断面柱10の柱梁接合部パネル部のせん断耐力をそれぞれ計算した。そして、これらのせん断耐力のうち最小値となるものを、溶接組立箱形断面柱10の柱梁接合部パネル部のせん断耐力とした。具体的には、非特許文献4および非特許文献5に記載される計算方法を参考にして、上記計算を行った。このようにして、溶接組立箱形断面柱10の柱梁接合部パネル部のせん断耐力paを求めたところ、下記(3)式~(5)式のとおりとなった。
【0045】
0°方向加力時は、
(1)1≦(t・σyw)/(t・σ)のとき(図3(a)参照)、
【0046】
【数1】
【0047】
(2)1-√3(d/d)≦(t・σyw)/(t・σ)≦1のとき(図3(b)参照)、
【0048】
【数2】
【0049】
(3)(t・σyw)/(t・σ)≦1-√3(d/d)のとき(図3(c)参照)、
【0050】
【数3】
【0051】
ただし、上記(4)式~(5)式中のdは、柱梁接合部パネル部の高さである。また、上記(3)式~(5)式中の「p0指針」は、それぞれ下記(6)式のとおり算出される値である。
【0052】
【数4】
【0053】
ここで、上記(6)式に示す「p0指針」は、非特許文献5に記載されている柱梁接合部パネル部の耐力評価式であって、柱梁接合部パネル部の全体がせん断変形して全塑性耐力に達する時に柱梁接合部パネル部に作用する曲げモーメントの値である。「p0指針」は、角溶接13が完全溶込み溶接かつ角溶接の溶接金属の強度が母材強度を上回るオーバーマッチ溶接となるように施工された溶接組立箱形断面部材の柱梁接合部パネル部の耐力評価式として、現在最も広く用いられているものである。
【0054】
上記(3)式~(5)式により求められる溶接組立箱形断面柱10の柱梁接合部パネル部のせん断耐力paは、角溶接の溶接金属の耐力(t・σyw)と母材耐力(t・σ)との比(t・σyw)/(t・σ)および柱梁接合部パネル部のアスペクト比db/dcに依存して変化する。これについて以下に説明する。
【0055】
図4に、角溶接13の耐力の母材耐力に対する比(t・σyw)/(t・σ)を0.0~1.2の範囲で変化させたとき、上記(3)式~(5)式により計算される0°方向加力時の柱梁接合部パネル部のせん断耐力paの値の「p0指針」に対する比pa/(p0指針)の変化を、柱梁接合部パネル部のアスペクト比d/dが1.0、1.5、2.0の場合について、グラフで示す。
【0056】
図4に示すとおり、角溶接13の溶接金属の耐力(t・σyw)と母材耐力(t・σ)との比(t・σyw)/(t・σ)が小さくなるほど、柱梁接合部パネル部の耐力が減少し、また柱梁接合部パネル部のアスペクト比d/dが大きくなるほど、柱梁接合部パネル部の耐力の低下量が大きくなっている。すなわち、柱梁接合部1の少なくとも接合部パネル部分において、角溶接13をアンダーマッチ溶接と部分溶込み溶接との一方または両方とすることで、柱梁接合部1の接合部パネルの全塑性耐力p1 を小さくすることができる。そして、角溶接13がアンダーマッチ溶接と部分溶け込み溶接との一方または両方であることによる耐力減少を考慮した接合部パネルの全塑性耐力p1 は、図4に示すように、角溶接13の溶接金属の耐力(t・σyw)と母材耐力(t・σ)との比(t・σyw)/(t・σ)に基づいて把握できる。
【0057】
また、本実施形態の柱梁接合部1およびその設計方法では、溶接組立箱形断面柱10を構成するスキンプレート11、12の引張強度を780N/mm以上とすることができる。現在、溶接組立箱形断面柱のスキンプレートとして一般的に用いられている鋼板の強度は、最大で780N/mm級程度である。780N/mm級またはそれ以上の鋼板は、これよりも低強度の鋼材に比べて破断伸びが小さくなりやすく、これを溶接組立箱形断面柱のスキンプレートに用いる場合には、スキンプレートには変形能力を期待せず、弾性範囲内で用いるように設計されるのが一般的である。しかし、非特許文献6に記載されているように、780N/mm級の鋼材であっても、柱梁接合部のパネル内では大きな変形能力を発揮することが報告されている。これより、780N/mm級の鋼板をスキンプレート11、12に用いても、溶接組立箱形断面柱10と鉄骨梁20との柱梁接合部1の崩壊形を柱接合部パネル部崩壊形とし、柱梁接合部1の変形能力を十分に確保できる。
【0058】
また、本実施形態の柱梁接合部1およびその設計方法では、角溶接13の開先深さを60mm以下とすることが好ましい。上述のとおり、サブマージアーク溶接では、1パスで施工可能な最大溶接深さは60mm程度である。よって、肉厚が60mm以上の溶接組立箱形断面部材をオーバーマッチ溶接かつ完全溶込み溶接のサブマージアーク溶接で製作する場合には、角溶接13が多層サブマージアーク溶接となり、後熱管理が必要となるため、溶接組立箱形断面部材の製作工期が急激に長期化する。
【0059】
これに対し、本実施形態の柱梁接合部1では、溶接組立箱形断面柱10の角溶接13の溶接深さtを小さくして部分溶込み溶接とし、さらに角溶接13の開先深さを60mm以下とすることにより、溶接組立箱形断面柱10のスキンプレート11、12の板厚tが大きい場合にも角溶接13を1パスで溶接することが可能となる。よって、肉厚が60mm以上の溶接組立箱形断面部材を完全溶込みの多層サブマージアーク溶接により施工する場合のような後熱管理が不要なため、角溶接13の溶接施工性が大幅に高められ、溶接組立箱形断面柱10の製作コストや製作期間を大幅に削減できる。溶接組立箱形断面柱10のスキンプレート11、12の板厚tが65mm程度またはそれ以下である場合には、角溶接13の開先深さを60mm以下としなくても、角溶接13を部分溶込み溶接とすることにより、上述の効果を得ることができる。
【0060】
なお、角溶接13をアンダーマッチ溶接または部分溶込み溶接とすることにより、溶接組立箱形断面柱10の部材耐力が大きく影響を受けるのは、接合部パネル部分が主である。ただし、接合部パネル部分以外の部位においても、溶接組立箱形断面柱10が確実にせん断力を伝達できるようにするには、溶接組立箱形断面柱10の角溶接13の溶接金属の耐力の母材耐力に対する比(t・σyw)/(t・σ)を0.3以上とすることが好ましい。
【0061】
また、本実施形態の柱梁接合部1およびその設計方法は、溶接組立箱形断面柱10の内部にコンクリート(図示せず)が充填されているにも適用可能である。
【実施例0062】
本発明の柱梁接合部およびその設計方法の効果を検証すべく、数値解析により柱梁接合部の崩壊形を確認したので、これについて以下に説明する。
【0063】
本数値解析では、図5に示す平面十字骨組の解析モデルに対し、溶接組立箱形断面柱10に軸方向力を付与しつつ鉄骨梁20の両端に逆対称にせん断力を付与する条件で数値解析を行い、柱梁接合部1の崩壊形を確認した。
【0064】
具体的には、平面十字骨組の溶接組立箱形断面柱10を構成するスキンプレート11、12の降伏強度σを630N/mmとし、柱幅を800mm、板厚tを80mm、柱高さを12000mmとした。また、角溶接13として、角溶接A(本発明例)と角溶接B(比較例)の2種類を設定した。角溶接Aについては、溶接金属の降伏強度σywを630N/mm、開先深さtを80mmとして、多パスのサブマージアーク溶接によりイーブンマッチ溶接となるように施工されているものとして、解析モデルを設定した。また、角溶接Bについては、溶接金属の降伏強度σywを325N/mm、開先深さtを50mmとして、1パスのサブマージアーク溶接によりアンダーマッチ溶接となるように施工されているものとして、解析モデルを設定した。
【0065】
また、鉄骨梁20については、鉄骨梁20が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントが大きい場合を再現すべく、降伏強度を440N/mm、梁幅を600mm、梁せいを1600mm、梁フランジの板厚を80mm、梁ウェブの板厚を40mm、梁長さを24000mmとした。
【0066】
溶接組立箱形断面柱10の材軸方向上端をピンローラー支持、材軸方向下端をピン支持とし、軸力比0.4の軸方向力(溶接組立箱形断面柱10の降伏軸力をNとすると、0.4N)が作用するものとした。そして、図5に示すように、鉄骨梁20の材軸方向端部に上下逆方向にせん断力Qが作用するときの、接合部パネルに取り付く鉄骨梁20が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値Σ 、接合部パネルに取り付く溶接組立箱形断面柱10の材端の全塑性モーメントの合計値Σ 、接合部パネルの全塑性モーメントp1 またはp2 を計算した。表1に、本数値解析の結果を示す。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示すとおり、角溶接13が角溶接Bの比較例では、鉄骨梁20が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値Σ 、溶接組立箱形断面柱10の材端の全塑性モーメントの合計値Σ 、接合部パネルの全塑性モーメントp2 のうち、Σ が最も小さくなっている。つまり、柱梁接合部1の接合部パネルに隣接する溶接組立箱形断面柱10の材端に損傷が集中して、柱梁接合部1の崩壊形が柱崩壊形となる可能性が高いことがわかる。
【0069】
これに対し、角溶接13が角溶接Aの本発明例では、鉄骨梁20が全塑性状態となるときの材端の曲げモーメントの合計値Σ 、溶接組立箱形断面柱10の材端の全塑性モーメントの合計値Σ 、接合部パネルの全塑性モーメントp1 のうち、p1 が最も小さくなっている。つまり、柱梁接合部1の崩壊形を接合部パネル崩壊形とすることができている。また、接合部パネルの全塑性モーメントp1 と溶接組立箱形断面柱10の材端の全塑性モーメントの合計値Σ との比 /Σ は0.77であり、接合部パネル崩壊時に、溶接組立箱形断面柱10の材端の耐力は、2~3割ほど余力を残している。
【0070】
以上より、本発明の柱梁接合部およびその設計方法により、鉄骨梁が大断面や高強度で、柱梁接合部パネルに取り付く梁部材の材端の全塑性耐力の合計値が大きい場合にも、柱梁接合部の崩壊形を柱崩壊形ではなく柱梁接合部パネル崩壊形にできることが確認された。
【符号の説明】
【0071】
1 柱梁接合部
10 溶接組立箱形断面柱
11、12 スキンプレート
13 角溶接
20 鉄骨梁
t スキンプレートの板厚
角溶接の溶接深さ
σ スキンプレートの降伏強度
σyw 角溶接の溶接金属の降伏強度
図1
図2
図3
図4
図5