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特開2024-92484作業現場の管理システム及び作業現場の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092484
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】作業現場の管理システム及び作業現場の管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240701BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208440
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一釣 彰吾
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】作業現場の生産性の低下を抑制すること。
【解決手段】作業現場の管理システムは、作業機械により整地された作業現場を作業機械に搭載された障害物センサが検出したときの検出データを取得する検出データ取得部と、障害物センサの検出データに基づいて、作業現場に障害物を設定する障害物設定部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械により整地された作業現場を前記作業機械に搭載された障害物センサが検出したときの検出データを取得する検出データ取得部と、
前記障害物センサの検出データに基づいて、前記作業現場に障害物を設定する障害物設定部と、を備える、
作業現場の管理システム。
【請求項2】
前記障害物設定部は、前記障害物センサの検出データに基づいて、前記作業現場の地面の所定エリアの最大高さと最小高さとの差を算出し、前記差が予め定められた閾値以上である場合、前記所定エリアに障害物を設定する、
請求項1に記載の作業現場の管理システム。
【請求項3】
前記作業機械は、前記作業現場に盛土が生成されるように前記作業現場を整地し、
前記障害物設定部は、前記盛土を前記障害物センサが検出したときの検出データに基づいて、前記障害物を設定する、
請求項1に記載の作業現場の管理システム。
【請求項4】
検出データ取得部は、前記作業機械の位置を検出する位置センサの検出データを取得し、
前記障害物設定部は、前記障害物センサの検出データと前記位置センサの検出データとに基づいて前記盛土の位置を算出し、前記盛土の位置に前記障害物を設定する、
請求項3に記載の作業現場の管理システム。
【請求項5】
前記作業現場における無人車両の走行パスを生成する走行データ生成部を備え、
前記走行データ生成部は、前記障害物を回避するように前記走行パスを生成する、
請求項1に記載の作業現場の管理システム。
【請求項6】
作業機械により整地された作業現場を前記作業機械に搭載された障害物センサが検出したときの検出データを取得することと、
前記障害物センサの検出データに基づいて、前記作業現場に障害物を設定することと、を含む、
作業現場の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業現場の管理システム及び作業現場の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業現場の管理システムに係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、車両の誘導装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-296229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業現場において無人車両が走行する場合がある。作業現場に障害物が存在すると、無人車両の走行が妨げられ、作業現場の生産性が低下する可能性がある。作業現場の生産性の低下を抑制するために、障害物を適切に認識し、障害物に応じて無人車両を走行させる必要がある。
【0005】
本開示は、作業現場の生産性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、作業機械により整地された作業現場を作業機械に搭載された障害物センサが検出したときの検出データを取得する検出データ取得部と、障害物センサの検出データに基づいて、作業現場に障害物を設定する障害物設定部と、を備える、作業現場の管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業現場の生産性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業現場の管理システムを示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る作業現場の管理システムを示す機能ブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る走行パスの生成方法を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係る作業機械の動作を模式的に示す図である。
図5図5は、実施形態に係る障害物の判定方法を説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る走行パスの設定方法を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る作業現場の管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[管理システム]
図1は、実施形態に係る作業現場の管理システム1を模式的に示す図である。実施形態において、作業現場は、鉱山である。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。鉱山として、金属を採掘する金属鉱山、石灰石を採掘する非金属鉱山、又は石炭を採掘する石炭鉱山が例示される。作業現場において、作業機械2及び無人車両3が稼働する。管理システム1は、作業機械2及び無人車両3を管理する。実施形態において、作業機械2は、ブルドーザである。作業機械2は、作業現場において所定の作業を実施する。作業機械2が実施する作業として、掘削作業、押土作業、及び整地作業が例示される。無人車両3とは、運転者による運転操作によらずに無人で稼働する作業車両をいう。実施形態において、無人車両3は、無人で作業現場を走行して積荷を運搬する無人運搬車両である。無人車両3として、無人ダンプトラックが例示される。無人車両3に運搬される積荷として、作業現場において掘削された掘削物が例示される。
【0011】
管理システム1は、管理装置4と、通信システム5とを備える。管理装置4は、作業現場の管制施設6に設置される。管制施設6に管理者が存在する。管理装置4と作業機械2と無人車両3とは、通信システム5を介して無線通信する。通信システム5として、インターネット(internet)、携帯電話通信網、衛星通信網、及びローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)が例示される。
【0012】
作業機械2は、車体7と、走行装置8と、作業機9とを備える。車体7にエンジンが搭載される。エンジンは、作業機械2の駆動源である。走行装置8は、車体7を支持して走行する。走行装置8は、一対の履帯10を有する。履帯10が回転することにより、作業機械2が走行する。作業機9は、作業対象の掘削作業、押土作業、又は整地作業を実施する。作業機9は、車体7に取り付けられる。作業機9の少なくとも一部は、車体7の前方に配置される。作業機9は、掘削ブレード11と、リフトフレーム12と、チルトシリンダ13と、リフトシリンダ14とを有する。掘削ブレード11は、車体7の前方に配置される。リフトフレーム12は、掘削ブレード11を支持する。リフトフレーム12の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード11の背面に連結される。リフトフレーム12の他端部は、回動機構を介して車体7に連結される。なお、リフトフレーム12の他端部は、回動機構を介して走行装置8に連結されてもよい。チルトシリンダ13及びリフトシリンダ14のそれぞれは、掘削ブレード11を動作させる。チルトシリンダ13は、掘削ブレード11をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ14は、掘削ブレード11を上下動作させるために駆動する。チルトシリンダ13の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード11の背面に連結される。チルトシリンダ13の他端部は、リフトフレーム12の上面に接続される。チルトシリンダ13が伸縮することにより、掘削ブレード11のチルト角が変化する。リフトシリンダ14の一端部は、回動機構を介してリフトフレーム12に連結される。リフトシリンダ14の他端部は、回動機構を介して車体7に接続される。リフトシリンダ14が伸縮することにより、掘削ブレード11が上下方向に移動する。
【0013】
無人車両3は、車両本体15と、走行装置16と、ダンプボディ17とを備える。車両本体15は、車体フレームを含む。車両本体15は、走行装置16に支持される。車両本体15は、ダンプボディ17を支持する。走行装置16は、車両本体15を支持した状態で作業現場を走行する。走行装置16は、車輪と、車輪に装着されるタイヤと、エンジンと、ブレーキ装置と、ステアリング装置とを含む。エンジンは、無人車両3を走行させるための駆動力を発生する。タイヤが回転することにより、無人車両3が走行する。ブレーキ装置は、無人車両3を減速又は停止させるための制動力を発生する。ステアリング装置は、無人車両3を旋回させるための操舵力を発生する。ダンプボディ17は、積荷が積載される部材である。ダンプボディ17の少なくとも一部は、車両本体15よりも上方に配置される。
【0014】
[管理システム]
図2は、実施形態に係る作業現場の管理システム1を示す機能ブロック図である。作業機械2は、制御装置18と、作業機9と、走行装置8と、センサシステム19とを有する。無人車両3は、制御装置22と、走行装置16と、センサシステム23とを有する。
【0015】
センサシステム19は、位置センサ20と、障害物センサ21とを含む。位置センサ20は、作業機械2の位置を検出する。作業機械2の位置は、全地球航法衛星システム(GNSS)を利用して検出される。位置センサ20は、GNSS受信機を含み、作業機械2のグローバル座標系の位置を検出する。障害物センサ21は、作業機械2の周辺を検出する。障害物センサ21は、作業現場に存在する作業機械2の障害物を検出する。障害物センサ21は、障害物に非接触で障害物を検出する。障害物センサ21として、レーザ光を射出することにより障害物を検出するレーザセンサ(LIDAR:Light Detection and Ranging)が例示される。なお、障害物センサ21は、電波を射出することにより障害物を検出するレーダセンサ(RADAR:Radio Detection and Ranging)でもよいし、赤外光を射出することにより障害物を検出する赤外線センサでもよい。障害物センサ21は、車体7に配置される。
【0016】
センサシステム23は、位置センサ24と、方位センサ25と、速度センサ26とを含む。位置センサ24は、無人車両3の位置を検出する。位置センサ24は、GNSS受信機を含み、無人車両3のグローバル座標系の位置を検出する。方位センサ25は、無人車両3の方位を検出する。方位センサ25として、ジャイロセンサが例示される。速度センサ26は、無人車両3の走行速度を検出する。速度センサ26として、車輪の回転を検出するパルスセンサが例示される。
【0017】
管理システム1は、管理装置4と、通信システム5と、制御装置18と、制御装置22とを含む。管理装置4は、コンピュータシステムを含む。管理装置4は、通信インタフェース41と、記憶回路42と、処理回路43とを有する。通信インタフェース41は、処理回路43に接続される。通信インタフェース41は、管理装置4と制御装置18及び制御装置22の少なくとも一方との間の通信を制御する。通信インタフェース41は、通信システム5を介して制御装置18及び制御装置22の少なくとも一方と通信する。
【0018】
記憶回路42は、処理回路43に接続される。記憶回路42は、データを記憶する。記憶回路42として、不揮発性メモリ又は揮発性メモリが例示される。不揮発性メモリとして、ROM(Read Only Memory)又はストレージが例示される。ストレージとして、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)又はソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)が例示される。揮発性メモリとして、RAM(Random Access Memory)が例示される。
【0019】
処理回路43は、演算処理及び制御指令の出力処理を実施する。処理回路43として、プロセッサが例示される。プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)が例示される。コンピュータプログラムが記憶回路42に記憶される。処理回路43は、記憶回路42からコンピュータプログラムを取得して実行することにより、所定の機能を発揮する。
【0020】
処理回路43は、走行データ生成部61と、検出データ取得部62と、障害物設定部63とを有する。走行データ生成部61は、作業現場に設定される無人車両3の走行条件を示す走行データを生成する。無人車両3の走行データは、無人車両3の目標走行経路を示す走行パス31を含む。
【0021】
図3は、実施形態に係る走行パス31の生成方法を説明するための図である。作業現場に地形の境界ライン27が規定される。地形の境界ライン27とは、例えば土手又は崖のような作業現場を区画できる特徴部分をいう。境界ライン27は、作業現場の測量結果から導出されてもよい。境界ライン27は、作業現場の上空を飛行可能な無人航空機に搭載された計測装置よって計測される地形の計測データから導出されてもよい。作業現場がコンピュータ支援設計(CAD:Computer Aided Design)等の設計手法を用いて設計されている場合、境界ライン27は、作業現場の設計データから導出されてもよい。境界ライン27に隣接するようにサーベイライン28が規定される。サーベイライン28とは、サーベイ車両を用いて導出された走行エリアと禁止エリアとを区画する仮想線をいう。走行エリアとは、作業現場において無人車両3が走行可能なエリアをいう。禁止エリアとは、無人車両3が走行不可能なエリアをいう。サーベイ車両は、搭乗した運転者の運転に基づいて走行する有人車両である。一般に、サーベイ車両の外形は、無人車両3の外形よりも小さい。走行するサーベイ車両の位置が、全地球航法衛星システム(GNSS)を利用して検出される。サーベイ車両には、グローバル座標系におけるサーベイ車両の位置を検出する位置センサが搭載されている。サーベイ車両の位置センサは、GNSS受信機を含む。サーベイ車両は、位置センサでサーベイ車両の絶対位置を検出しながら、境界ライン27に沿って走行する。サーベイ車両の走行軌跡に基づいてサーベイライン28が設定される。
【0022】
走行データ生成部61は、サーベイライン28に基づいて、作業現場における無人車両3の走行パス31を生成する。走行データ生成部61は、例えばサーベイライン28を走行エリアの中心側に所定量だけシフトした位置に走行パス31を設定してもよい。走行データ生成部61は、例えば所定の演算手法に基づいてサーベイライン28の形状から走行パス31を生成してもよい。
【0023】
無人車両3の走行データは、無人車両3の走行条件を規定する。走行データは、コース点30、走行パス31、無人車両3の目標位置、無人車両3の目標方位、及び無人車両3の目標走行速度を含む。コース点30は、作業現場に複数設定される。コース点30は、無人車両3の目標位置を規定する。複数のコース点30のそれぞれに、無人車両3の目標方位及び目標走行速度が設定される。複数のコース点30は、間隔をあけて設定される。コース点30の間隔は、例えば1[m]以上5[m]以下に設定される。コース点30の間隔は、均一でもよいし、不均一でもよい。走行パス31とは、無人車両3の目標走行経路を示す仮想線をいう。走行パス31は、複数のコース点30を通過する軌跡によって規定される。無人車両3は、走行パス31に従って、作業現場を走行する。無人車両3の目標位置とは、コース点30を通過するときの無人車両3の目標位置をいう。無人車両3の目標位置は、無人車両3のローカル座標系において規定されてもよいし、グローバル座標系において規定されてもよい。無人車両3の目標方位とは、コース点30を通過するときの無人車両3の目標方位をいう。無人車両3の目標走行速度とは、コース点30を通過するときの無人車両3の目標走行速度をいう。走行データ生成部61において生成された走行データは、通信システム5を介して、無人車両3に送信される。
【0024】
検出データ取得部62は、センサシステム19の検出データを取得する。実施形態において、検出データ取得部62は、作業機械2により整地された作業現場を障害物センサ21が検出したときの検出データを取得する。また、検出データ取得部62は、作業機械2の位置を検出する位置センサ20の検出データを取得する。
【0025】
図4は、実施形態に係る作業機械2の動作を模式的に示す図である。作業機械2は、作業機9を用いて作業現場を整地する。作業機械2は、例えば作業現場に盛土32が生成されるように作業現場を整地する。作業機械2に搭載された障害物センサ21は、作業機械2による整地作業において作業機械2の周辺を検出する。作業機械2の整地作業により盛土32が生成された場合、障害物センサ21は、盛土32を検出することができる。障害物センサ21は、障害物センサ21が搭載された作業機械2によって生成された盛土32を検出する。位置センサ20は、障害物センサ21が盛土32を検出したときの作業機械2の位置を検出する。位置センサ20の検出データ及び障害物センサ21の検出データは、通信システム5を介して管理装置4に送信される。検出データ取得部62は、位置センサ20の検出データ及び障害物センサ21の検出データを取得する。
【0026】
障害物設定部63は、検出データ取得部62により取得された障害物センサ21の検出データに基づいて、作業現場に障害物33を設定する。障害物33は、作業現場に仮想的に設定される。作業機械2により生成された盛土32を障害物センサ21が検出した場合、障害物設定部63は、盛土32を障害物センサ21が検出したときの検出データに基づいて、作業現場に障害物33を設定する。作業機械2により生成された盛土32を障害物センサ21が検出した場合、障害物設定部63は、同一タイミングで取得された障害物センサ21の検出データと位置センサ20の検出データとに基づいて、グローバル座標系における盛土32の位置を算出することができる。障害物設定部63は、算出した盛土32の位置に障害物33を設定する。障害物設定部63は、障害物センサ21の検出データと予め定められている障害物条件とに基づいて、障害物33を設定する。
【0027】
図5は、実施形態に係る障害物の判定方法を説明するための図である。障害物設定部63は、障害物センサ21の検出データに基づいて、作業現場の地面の所定エリアArの最大高さHaと最小高さHbとの差Dを算出する。所定エリアArは、予め定められた広さであり、例えば直径5mの円形状のエリアである。障害物設定部63は、所定エリアArの最大高さHaと最小高さHbとの差Dが予め定められた閾値以上である場合、所定エリアArに障害物33を設定する。作業現場の地面から突出する物体を障害物センサ21が検出しても、物体の高さが低すぎる場合、障害物33は設定されない。障害物センサ21により検出された物体の高さが高い場合、障害物設定部63は、物体の位置に障害物33を設定する。障害物33は、管理装置4により作業現場に仮想的に設定される。以下の説明において、作業現場の地面の所定エリアArの最大高さHaと最小高さHbとの差Dが予め定められた閾値以上である条件を満足することを適宜、障害物条件を満足する、と称する。
【0028】
作業現場に障害物33が設定された場合、走行データ生成部61は、障害物を回避するように走行パス31を生成する。
【0029】
図6は、実施形態に係る走行パス31の設定方法を説明するための図である。上述のように、走行パス31は、サーベイライン28に基づいて設定される。走行パス31が設定された後、作業機械2の整地作業により、走行パス31に重複するように盛土32が生成され、走行パス31に重複するように障害物33が設定される可能性がある。すなわち、図6の[更新前]に示すように、走行パス31が設定された位置に障害物33が設定される可能性がある。障害物33と走行パス31とが重複する場合、走行パス31に従って走行する無人車両3は、盛土32を乗り上げてしまう可能性がある。障害物33により無人車両3の円滑な走行が妨げられると、作業現場の生産性が低下する可能性がある。
【0030】
実施形態において、走行データ生成部61は、障害物設定部63により設定された障害物33を回避するように走行パス31を生成する。すなわち、走行パス31に重複するように障害物33が設定された場合、走行データ生成部61は、図6の[更新後]に示すように、障害物33を回避するように、走行パス31を再設定する。これにより、走行パス31に従って走行する無人車両3が盛土32を乗り上げてしまうことが抑制される。無人車両3の円滑な走行が維持されるので、作業現場の生産性が低下することが抑制される。
【0031】
制御装置18は、コンピュータシステムを含む。管理装置4と同様、制御装置18は、通信インタフェース、記憶回路、及び処理回路を有する。制御装置18は、作業機9及び走行装置8を制御する。
【0032】
制御装置22は、コンピュータシステムを含む。管理装置4と同様、制御装置22は、通信インタフェース、記憶回路、及び処理回路を有する。制御装置22は、管理装置4から送信された走行データに基づいて、走行装置16を制御する。
【0033】
制御装置22は、走行データ及びセンサシステム23の検出データに基づいて、走行装置16を制御する。制御装置22は、位置センサ24の検出データ及び方位センサ25の検出データに基づいて、無人車両3が走行パス31に基づいて走行するように、走行装置16を制御する。すなわち、制御装置22は、コース点30を通過するときに位置センサ24により検出された無人車両3の検出位置とコース点30に設定されている無人車両3の目標位置との偏差が小さくなるように、走行装置16を制御する。また、制御装置22は、コース点30を通過するときに方位センサ25により検出された無人車両3の検出方位とコース点30に設定されている無人車両3の目標方位との偏差が小さくなるように、走行装置16を制御する。また、制御装置22は、速度センサ26の検出データに基づいて、無人車両3が目標走行速度で走行するように、走行装置16を制御する。すなわち、制御装置22は、コース点30を通過するときに速度センサ26により検出された無人車両3の検出走行速度とコース点30に設定されている無人車両3の目標走行速度との偏差が小さくなるように、走行装置16を制御する。
【0034】
[管理方法]
図7は、実施形態に係る作業現場の管理方法を示すフローチャートである。走行データ生成部61は、走行パス31を含む走行データを生成する(ステップS1)。検出データ取得部62は、位置センサ20の検出データ及び障害物センサ21の検出データを取得する(ステップS2)。
【0035】
障害物設定部63は、障害物センサ21により検出された物体が障害物条件を満足するか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3において、障害物センサ21により検出された物体が障害物条件を満足すると判定した場合(ステップS3:Yes)、障害物設定部63は、所定エリアArに障害物33を設定する(ステップS4)。走行データ生成部61は、障害物33を回避するように、走行パス31を含む走行データを更新する(ステップS5)。更新された走行データは、通信システム5を介して無人車両3に送信される(ステップS6)。無人車両3は、更新された走行データに基づいて走行する。これにより、無人車両3と障害物33(盛土32)との干渉が抑制される。ステップS3において、障害物センサ21により検出された物体が障害物条件を満足しないと判定された場合(ステップS3:No)、走行データは、更新されない。未更新の走行データが、通信システム5を介して無人車両3に送信される(ステップS6)。
【0036】
[効果]
以上説明したように、作業現場の管理システム1は、作業機械2により整地された作業現場を作業機械2に搭載された障害物センサ21が検出したときの検出データを取得する検出データ取得部62と、障害物センサ21の検出データに基づいて、作業現場に障害物33を設定する障害物設定部63と、を備える。作業機械2により生成された盛土32が作業機械2に搭載された障害物センサ21により検出されるので、盛土32が適切に認識され、障害物33が適切に設定される。障害物33が適切に設定されるので、障害物33によって無人車両3の走行が妨げられないように、障害物33に応じて無人車両3を走行させることができる。実施形態においては、障害物33を回避するように無人車両3の走行パス31を生成される。無人車両3の円滑な走行が妨げられないので、作業現場の生産性の低下が抑制される。
【0037】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、作業機械2は、ブルドーザであることとした。作業機械2は油圧ショベル、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の作業機械でもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…管理システム、2…作業機械、3…無人車両、4…管理装置、5…通信システム、6…管制施設、7…車体、8…走行装置、9…作業機、10…履帯、11…掘削ブレード、12…リフトフレーム、13…チルトシリンダ、14…リフトシリンダ、15…車両本体、16…走行装置、17…ダンプボディ、18…制御装置、19…センサシステム、20…位置センサ、21…障害物センサ、22…制御装置、23…センサシステム、24…位置センサ、25…方位センサ、26…速度センサ、27…境界ライン、28…サーベイライン、30…コース点、31…走行パス、32…盛土、33…障害物、41…通信インタフェース、42…記憶回路、43…処理回路、61…走行データ生成部、62…検出データ取得部、63…障害物設定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7