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2024-92488記録媒体処理システム、記録媒体処理方法、及び、記録媒体処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092488
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】記録媒体処理システム、記録媒体処理方法、及び、記録媒体処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20240701BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240701BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240701BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240701BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240701BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B65H7/06
G03G15/00 480
B65H5/06 P
G03G21/16 138
G03G21/14
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208451
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀貴
【テーマコード(参考)】
2H072
2H171
2H270
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2H072AA02
2H072AA16
2H072AA22
2H072CB00
2H072EA11
2H072EA16
2H171FA22
2H171FA24
2H171GA06
2H171HA17
2H171HA29
2H171SA06
2H171WA26
2H270KA42
2H270KA57
2H270LA44
2H270LA75
2H270LC16
2H270LC22
2H270NE07
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA14
3F048BB02
3F048BD06
3F048CA08
3F048CC01
3F048DA06
3F048DC06
3F048DC12
3F048EA11
3F048EB21
3F049AA04
3F049DA12
3F049DB01
3F049EA27
3F049LA01
3F049LB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】記録媒体処理システムにおいて、装置間に構成される搬送路において生じた搬送異常の回復を容易にする。
【解決手段】記録媒体に第1処理を行う第1記録媒体処理装置と、前記第1記録媒体処理装置から搬送される前記記録媒体に第2処理を行う第2記録媒体処理装置の間に跨がるように存在する前記記録媒体を検知する検知部と、前記記録媒体が前記検知部において検知されると、前記第1記録媒体処理装置及び前記第2記録媒体処理装置のいずれかに、当該記録媒体の部分の残置量が多いかを判断する判断部と、前記第1記録媒体処理装置に係る残置量が少ない場合、当該第1記録媒体処理装置に残置されている前記記録媒体の部分を挟持した状態から開放するように第1搬送部を制御する制御部と、前記第1搬送部が前記記録媒体を離した後、前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を搬送方向へ移動させる移動部とを備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に第1処理を行う第1記録媒体処理装置と、前記第1記録媒体処理装置から搬送される前記記録媒体に第2処理を行う第2記録媒体処理装置とを有する記録媒体処理システムであって、
前記第1記録媒体処理装置と前記第2記録媒体処理装置との間に跨がるように存在する前記記録媒体を検知する検知部と、
前記記録媒体が前記検知部において検知されると、前記第1記録媒体処理装置及び前記第2記録媒体処理装置のいずれかに、当該記録媒体の部分の残置量が多いかを判断する判断部と、
前記第1記録媒体処理装置に係る残置量が少ない場合、当該第1記録媒体処理装置に残置されている前記記録媒体の部分を挟持した状態から開放するように第1搬送部を制御する制御部と、
前記第1搬送部が前記記録媒体を離した後、前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を搬送方向へ移動させる移動部と
を備える記録媒体処理システム。
【請求項2】
前記移動部は、
前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を移動させる距離である第1距離を前記記録媒体の前記搬送方向における長さ、及び、前記記録媒体の前記搬送方向の位置に基づいて算出し、
前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を前記第1距離よりも長く移動させる
請求項1に記載の記録媒体処理システム。
【請求項3】
前記移動部は、
前記第1距離にユーザが指定する指定距離を加えた第2距離よりも長い距離を移動させる
請求項2に記載の記録媒体処理システム。
【請求項4】
前記移動部は、
10センチメートル乃至30センチメートルの距離である第3距離よりも長い距離を移動させる
請求項3に記載の記録媒体処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記移動部によって移動させる際に、前記残置量が多い前記第2記録媒体処理装置において、前記記録媒体を挟んで搬送する第2搬送部で前記記録媒体を挟むように制御し、
移動が完了すると、前記第2搬送部が挟んでいる前記記録媒体を離すように制御する
請求項1又は請求項2に記載の記録媒体処理システム。
【請求項6】
前記記録媒体は、
前記第1記録媒体処理装置で前記第1処理が行われた後、前記第1記録媒体処理装置から前記第2記録媒体処理装置へ前記第1記録媒体処理装置、及び、前記第2記録媒体処理装置をつなぐ搬送路を用いて前記搬送方向へ搬送され、
前記検知部は、
前記記録媒体が前記搬送路において停止する状態であるジャム状態になり、かつ、前記第1記録媒体処理装置と、前記第2記録媒体処理装置との装置間に跨った位置に停止した状態であるのを検知し、
前記記録媒体が基準位置に対して、前記第1記録媒体処理装置、及び、前記第2記録媒体処理装置のどちら側に多く存在するかを検知し、
前記判断部は、
前記第1記録媒体処理装置、及び、前記第2記録媒体処理装置のうち、前記基準位置に対して前記残置量が多い方を第3記録媒体処理装置と判断し、
前記第1記録媒体処理装置、及び、前記第2記録媒体処理装置のうち、前記基準位置に対して前記残置量が少ない方を第4記録媒体処理装置と判断し、
前記第1搬送部、及び、前記第2搬送部は、
搬送ローラ対で前記記録媒体を挟んで搬送し、
前記制御部は、
前記第1搬送部が挟んでいる前記記録媒体を離し、かつ、前記第2搬送部が前記記録媒体を挟んでいる状態で、前記移動部が前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を移動させて、前記記録媒体が前記第4記録媒体処理装置から抜けるようにし、
前記移動部は、
前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を前記搬送方向に移動させる移動機構によって、前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を移動させる
請求項5に記載の記録媒体処理システム。
【請求項7】
記録媒体に第1処理を行う第1記録媒体処理装置と、前記第1記録媒体処理装置から搬送される前記記録媒体に第2処理を行う第2記録媒体処理装置とを有する記録媒体処理システムが行う記録媒体処理方法であって、
前記第1記録媒体処理装置と前記第2記録媒体処理装置との間に跨がるように存在する前記記録媒体を検知する検知手順と、
前記記録媒体が前記検知手順において検知されると、前記第1記録媒体処理装置及び前記第2記録媒体処理装置のいずれかに、当該記録媒体の部分の残置量が多いかを判断する判断手順と、
前記第1記録媒体処理装置に係る残置量が少ない場合、当該第1記録媒体処理装置に残置されている前記記録媒体の部分を挟持した状態から開放するように第1搬送部を制御する制御手順と、
前記第1搬送部が前記記録媒体を離した後、前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を搬送方向へ移動させる移動手順と
を含む記録媒体処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の記録媒体処理方法を実行させるための記録媒体処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体処理システム、記録媒体処理方法、及び、記録媒体処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置、又は、後処理装置等の記録媒体を処理する記録媒体処理装置において、搬送中に記録媒体の搬送不良を起こすことがある。例えば、搬送路の途中において記録媒体が詰まる搬送異常(いわゆるジャム(jam))が発生した場合に、記録媒体を除去しなければならない。そこで、搬送異常の元になった記録媒体の除去作業を容易にする技術が知られている。
【0003】
具体的には、複数のユニットを組み合わせて記録媒体に所定の処理を行う記録媒体処理システムにおいて、隣接するユニットとの間に離接可能な係止具を配置して、ユニットを移動できる構成にする。そして、ジャムが発生したときには、ユニットを移動させて、記録媒体が搬送される垂直方向の搬送路を開放する。このように、ジャムが生じた場合に、ユニットを離間させて、ジャムの原因となった記録媒体の除去作業を容易にする技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている従来技術では、記録媒体処理システムを構成する装置間においてジャムが発生し、記録媒体が異なる装置に跨って搬送方向に残る場合を考慮していない。そのため、従来技術では、装置間に構成される搬送路において、装置を跨る位置でジャムが生じた場合に行う記録媒体の除去作業による搬送異常の回復が困難になる、という課題がある。
【0005】
本発明は、上記に示す課題に鑑みて、記録媒体処理システムにおいて、装置間に構成される搬送路において生じた搬送異常の回復を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、記録媒体処理システムは、
記録媒体に第1処理を行う第1記録媒体処理装置と、前記第1記録媒体処理装置から搬送される前記記録媒体に第2処理を行う第2記録媒体処理装置とを有する記録媒体処理システムであって、
前記第1記録媒体処理装置と前記第2記録媒体処理装置との間に跨がるように存在する前記記録媒体を検知する検知部と、
前記記録媒体が前記検知部において検知されると、前記第1記録媒体処理装置及び前記第2記録媒体処理装置のいずれかに、当該記録媒体の部分の残置量が多いかを判断する判断部と、
前記第1記録媒体処理装置に係る残置量が少ない場合、当該第1記録媒体処理装置に残置されている前記記録媒体の部分を挟持した状態から開放するように第1搬送部を制御する制御部と、
前記第1搬送部が前記記録媒体を離した後、前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を搬送方向へ移動させる移動部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録媒体処理システムにおいて、装置間に構成される搬送路において生じた搬送異常の回復を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】記録媒体処理システムのシステム構成例を示す図である。
図2】第1記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その1)を説明する図である。
図3】第1記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その2)を説明する図である。
図4】第1記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その3)を説明する図である。
図5】第1記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その4)を説明する図である。
図6】第2記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その1)を説明する図である。
図7】第2記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その2)を説明する図である。
図8】第2記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その3)を説明する図である。
図9】第2記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その4)を説明する図である。
図10】ハードウェア構成例を示す図である。
図11】全体処理例を示す図である。
図12】開放距離の算出例を示す図である。
図13】移動例を示す図である。
図14】機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0010】
[記録媒体処理システムのシステム構成例]
図1は、記録媒体処理システムのシステム構成例を示す図である。例えば、記録媒体処理システム100は、2台の記録媒体処理装置で構成される。なお、記録媒体処理システム100は、3台以上の装置を連携して構成してもよい。
【0011】
以下、記録媒体処理システム100による処理の対象となる記録媒体を「用紙1」とする。したがって、用紙1は、記録媒体処理システム100において、2台の記録媒体処理装置のそれぞれにおいて異なる処理が施される媒体である。
【0012】
以下、用紙1の搬送方向において、用紙1に対し、複数の処理を行う場合における先に処理を行う方を「上流」という。したがって、用紙1は、上流で処理をされた後に「下流」へ搬送される。そして、記録媒体処理システム100は、上流から下流へ複数の記録媒体処理装置を配置する構成である。以下、上流となる記録媒体処理装置を「第1記録媒体処理装置」という。一方で、第1記録媒体処理装置に対して下流となる記録媒体処理装置を「第2記録媒体処理装置」という。また、第1記録媒体処理装置が用紙1に対して行う処理を「第1処理」という。一方で、第2記録媒体処理装置が用紙1に対して行う処理を「第2処理」という。したがって、記録媒体処理システム100では、用紙1に対し、第1処理、第2処理の順で処理が行われる。
【0013】
例えば、第1記録媒体処理装置は、画像形成の前処理を行う周辺装置101である。したがって、第1処理には、画像形成前の用紙1に対して、画像形成結果を向上させるための処理液を塗布する前処理等が含まれる。また、第2記録媒体処理装置は、例えば、画像形成装置102である。したがって、第2処理は、画像形成の処理となる。
【0014】
ただし、記録媒体処理システム100は、周辺装置101、及び、画像形成装置102の組み合わせに限られない。すなわち、第1処理、及び、第2処理の組み合わせは、前処理、及び、画像形成の処理の組み合わせ以外でもよい。例えば、記録媒体処理システム100は、画像形成装置102と後処理を行う装置との組み合わせでもよい。後処理としては、例えば、所定枚数の用紙1で複数の束を形成する処理や、形成した束を綴る綴じ処理等を行う装置が含まれる。このような装置は、「フィニッシャー」と称されることがある。また、記録媒体処理システム100は、1台の記録媒体処理装置において複数の処理機能を実行可能に構成した装置であってもよい。
【0015】
図1において、用紙1が搬送される方向であって、搬送方向に相当する方向を「Y軸方向」とする。したがって、用紙1は、周辺装置101から給紙されて、Y軸方向に搬送される。なお、以下の例では、搬送方向は水平方向でもあるとする。ただし、搬送方向は、水平方向に限られず、水平方向に対して傾き等があってもよい。また、Y軸方向に対して直交する方向であって、Y軸とともに水平面を構成する方向を「X軸方向」とする。次に、X-Y平面に対する垂直方向を「Z軸方向」とする。
【0016】
周辺装置101、及び、画像形成装置102は、搬送ローラ対2を有する。搬送ローラ対2は、用紙1を挟持しながら所定方向へ回転することで用紙1を搬送方向へと搬送するいわゆるニップ(nip)ローラである。搬送ローラ対2は、搬送路4に配置されているので、用紙1は搬送路4に沿って搬送される。
【0017】
なお、搬送ローラ対2には、回転数や回転速度を計測するための構成としてエンコーダ3等の計測装置を備えてもよい。エンコーダ3は、搬送ローラ対2を構成するローラの一つに備えられてもよいし、その他のローラにも備えられてもよい。なお、エンコーダ3を備える搬送ローラ対2は、複数の装置のうち、上流に配置されている装置に設けられることが望ましい。また、搬送ローラ対2の回転数や回転方向を計測できる構成であれば、エンコーダ3以外の構成でもよい。すなわち、搬送ローラ対2は、枚葉の用紙1のそれぞれの搬送距離を計測可能な構成であればよい。例えば、搬送距離は、光センサで用紙1の先端を検知してから、用紙1を搬送する駆動装置に搬送距離を指示するパルスの数等で算出されてもよい。ほかにも、用紙1は、センサを複数箇所に配置して、センサで検知される位置から搬送距離が特定されてもよい。
【0018】
搬送路4は、周辺装置101、及び、画像形成装置102をつなぐ経路である。したがって、用紙1は、搬送路4に沿って周辺装置101と画像形成装置102の間を跨いで動くことができる。以下、周辺装置101によって用紙1に対し前処理をした後、用紙1が、搬送路4に沿って画像形成装置102に搬送され、レジストローラ5の位置に至るまでの搬送において搬送異常が生じた場合に、用紙1を搬送路4から除去する作業について説明する。なお、レジストローラ5まで正常に搬送された用紙1は、その後、レジストローラ5によって転写ローラ10の位置に搬送される。本実施形態において、搬送路4の形状、分岐、及び、長さは、図1に例示したものに限定されることはなく、複数の装置に跨って用紙1を所定の方向に移動させるための構成であればよい。
【0019】
画像形成装置102は、転写ローラ10によって用紙1に画像形成の処理を行う。
【0020】
周辺装置101は、センサ6を有する。センサ6は、例えば、光センサ等である。ただし、センサ6は、用紙1を検知できるセンサであれば、センサの種類を問わない。したがって、センサ6は、超音波センサ等でもよい。
【0021】
センサ6は、周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って存在する用紙1を検知するセンサの例である。以下、センサ6が検知を行う位置を「基準位置8」という。基準位置8は、周辺装置101、及び、画像形成装置102の境界となる位置が望ましい。
【0022】
センサ6、及び、基準位置8の位置は、図1に示す位置に限られない。例えば、センサ6、及び、基準位置8の位置は、画像形成装置102側でもよい。また、センサ6以外の位置にセンサが更にあって、冗長して検知を行う、又は、複数の位置で用紙1を検知する構成でもよい。
【0023】
周辺装置101は、レール9等の移動機構を有する。なお、移動機構は、レール9に限られず、ベルト等でもよい。
【0024】
[第1動作例]
図2は、第1記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その1)を説明する図である。例えば、周辺装置101と画像形成装置102との間に跨った状態で用紙1の搬送が停止したとする。このように、用紙1の搬送中において、何らかの原因で搬送異常が停止し、その異常発生時に用紙1が複数の装置間(周辺装置101と画像形成装置102)において、跨る状態でジャム状態となった場合において、1枚の用紙1のより多くの部分が残置している方の装置は第2記録媒体処理装置(この例では、画像形成装置102)である。以下の説明において、枚葉(例えば、A4サイズといったように、規格等で定めるサイズの形状、及び、寸法である。)の用紙1が装置間に跨った状態で搬送停止したときに、より多くの部分が残置していることを、「用紙1が多く存在する」と表記する。
【0025】
また、用紙1の停止によって、用紙1が残っている距離を「残置量」という。具体的には、残置量は、基準位置8を基準に用紙1がどの距離までにあるかを計測した結果である。したがって、残置量は、基準位置8から用紙1の先端までの距離、及び、基準位置8から用紙1の後端までの距離を計測して取得される。
【0026】
以下、記録媒体処理システム100が有する2台の記録媒体処理装置のうち、用紙1が多く存在すると判断された方の記録媒体処理装置を「第3記録媒体処理装置」という。一方で、第3記録媒体処理装ではない方、すなわち、用紙1が少なく存在すると判断された方の記録媒体処理装置を「第4記録媒体処理装置」という。
【0027】
例えば、第3記録媒体処理装置、及び、第4記録媒体処理装置は、基準位置8に対して、用紙1が周辺装置101、及び、画像形成装置102のどちらに多く存在するかで判断される。
【0028】
図2に示す例では、第3記録媒体処理装置は、画像形成装置102である。一方で、第4記録媒体処理装置は、周辺装置101である。
【0029】
以下、周辺装置101、及び、画像形成装置102が個々に有する搬送ローラ対2を第4記録媒体処理装置が有する方、すなわち、用紙1が少なく存在する方の搬送ローラ対2を「第1搬送部」という。一方で、第3記録媒体処理装置が有する方、すなわち、用紙1が多く存在する方の搬送ローラ対2を「第2搬送部」という。ゆえに、第1搬送部、及び、第2搬送部は、第3記録媒体処理装置、及び、第4記録媒体処理装置の判断結果に基づいて変化する。
【0030】
したがって、図2に示す例では、第1搬送部は、第1搬送ローラ21である。一方で、第2搬送部は、第2搬送ローラ22である。なお、第1搬送部、及び、第2搬送部は、複数のローラで構成されてもよい。
【0031】
以上のように、搬送路4において、用紙1が周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って停止するジャムが発生すると、周辺装置101、及び、画像形成装置102のどちらに多く用紙1が多く存在するか判断される。この判断結果によって、第3記録媒体処理装置、第4記録媒体処理装置、第1搬送部、及び、第2搬送部が判断される。このような判断がされた後、記録媒体処理システム100は、以下のように動作する。
【0032】
図3は、第1記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その2)を説明する図である。図2と比較すると、図3は、第1搬送ローラ21のローラ対が離間した状態となる点が異なる。
【0033】
第1搬送ローラ21のローラ対が離間すると、第1搬送ローラ21は、挟んでいた用紙1を離すことになる。このように制御すると、第1搬送ローラ21は、搬送するために、用紙1の部分を挟持した状態から、用紙1を離して開放した状態になる。
【0034】
一方で、第2搬送ローラ22は、用紙1を挟んでいる状態を維持する。このように、記録媒体処理システム100は、第4記録媒体処理装置の方、すなわち、用紙1が少なく存在する方の搬送部である第1搬送ローラ21が、用紙1を離すように制御する。このような制御がされた後、記録媒体処理システム100は、以下のように動作する。
【0035】
図4は、第1記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その3)を説明する図である。図3と比較すると、図4は、第1搬送ローラ21のローラ対が離間した状態を維持して、周辺装置101がY軸方向に移動した状態である点が異なる。
【0036】
なお、以下の説明では、周辺装置101が移動する構成を例に説明するが、画像形成装置102が移動する構成でもよい。また、周辺装置101、及び、画像形成装置102の両方が移動する構成でもよい。
このように、周辺装置101が移動すると、周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って水平方向に残る用紙1を取り除く作業をする空間が確保できる。そのため、ジャムによって残る用紙1の除去作業が容易にできる。
【0037】
以下、周辺装置101を移動させる距離を「開放距離30」という。周辺装置101が開放距離30分移動後、記録媒体処理システム100は、以下のように動作する。
【0038】
図5は、第1記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その4)を説明する図である。図4と比較すると、図5は、第2搬送ローラ22のローラ対が離間した状態となる点が異なる。
【0039】
第2搬送ローラ22のローラ対が離間すると、第2搬送ローラ22は、挟んでいた用紙1を離すことになる。そのため、用紙1は、抜き出しやすい状態となる。このように、第4記録媒体処理装置の方、すなわち、用紙1が少なく存在する方が抜ける構成とする。
【0040】
[第2動作例]
図6は、第2記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その1)を説明する図である。第1動作例、及び、図2と比較すると、用紙1が搬送中に停止し、ジャム状態となった場合において、第1記録媒体処理装置(この例では、周辺装置101である。)の方に、用紙1が多く存在する点が異なる。
【0041】
したがって、第2動作例では、第3記録媒体処理装置は、周辺装置101である。一方で、第4記録媒体処理装置は、画像形成装置102である。つまり、第2動作例では、第3記録媒体処理装置、及び、第4記録媒体処理装置が第1動作例とは逆である。
【0042】
ゆえに、第1搬送部、及び、第2搬送部も、第2動作例では、第1動作例と逆になる。したがって、第2動作例では、画像形成装置102側の搬送ローラが第1搬送ローラ21である。一方で、第2動作例では、周辺装置101側の搬送ローラが第2搬送ローラ22である。
【0043】
第1動作例と同様に、搬送路4において、用紙1が周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って停止するジャムが発生すると、周辺装置101、及び、画像形成装置102のどちらに多く用紙1が多く存在するか判断される。この判断結果によって、第3記録媒体処理装置、第4記録媒体処理装置、第1搬送部、及び、第2搬送部が判断される。このような判断がされた後、記録媒体処理システム100は、以下のように動作する。
【0044】
図7は、第2記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その2)を説明する図である。図6と比較すると、図7は、第1搬送ローラ21のローラ対が離間した状態となる点が異なる。第1動作例と比較すると、第1搬送ローラ21が画像形成装置102側にあるため、第1動作例とは逆の搬送ローラ対が離間する点が異なる。
【0045】
第1動作例と同様に、第1搬送ローラ21のローラ対が離間すると、第1搬送ローラ21は、挟んでいた用紙1を離すことになる。一方で、第2搬送ローラ22は、用紙1を挟んでいる状態を維持する。このように、記録媒体処理システム100は、第4記録媒体処理装置の方、すなわち、用紙1が少なく存在する方の搬送部である第1搬送ローラ21が、用紙1を離すように制御する。このような制御がされた後、記録媒体処理システム100は、以下のように動作する。
【0046】
図8は、第2記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その3)を説明する図である。図7と比較すると、図8は、第1搬送ローラ21のローラ対が離間した状態を維持して、周辺装置101がY軸方向に移動した状態である点が異なる。第1動作例と同様に、周辺装置101を移動させる。
【0047】
このように、周辺装置101が移動すると、周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って水平方向に残る用紙1を取り除く作業をする空間が確保できる。そのため、ジャムによって残る用紙1を取り除く作業が容易にできる。
【0048】
周辺装置101が開放距離30分移動後、記録媒体処理システム100は、以下のように動作する。
【0049】
図9は、第2記録媒体処理装置に記録媒体が多く存在する場合の動作例(その4)を説明する図である。図8と比較すると、図9は、第2搬送ローラ22のローラ対が離間した状態となる点が異なる。第1動作例と比較すると、第2搬送ローラ22が周辺装置101側にあるため、第1動作例とは逆の搬送ローラ対が離間する点が異なる。
【0050】
第1動作例と同様に、第2搬送ローラ22のローラ対が離間すると、第2搬送ローラ22は、挟んでいた用紙1を離すことになる。そのため、用紙1は、抜き出しやすい状態となる。このように、第4記録媒体処理装置の方、すなわち、用紙1が少なく存在する方が抜ける構成とする。
【0051】
上記の第1動作例、及び、第2動作例が示すように、第4記録媒体処理装置の方、すなわち、用紙1が少なく存在する方において、搬送ローラ対が用紙1を離すようにする。
【0052】
記録媒体処理システム100において、どちらかの記録媒体処理装置を移動させる場合、移動によって、用紙1を引っ張るため、用紙1が装置内の抵抗に引っ掛かる場合がある。このように、引っ掛かった状態で移動を続けると、用紙1が破れる可能性がある。このように、用紙1が破れると、用紙1が残り、ジャム状態が解消しない場合がある。
【0053】
そこで、用紙1が破れる可能性を低くするため、より用紙1が少なく残っている方を選んで、挟んでいる用紙1を離させる。一方で、より用紙1が多く残っている方では、挟んでいる用紙1を搬送ローラ対で圧接する。このような状態で、レール9を用いて周辺装置101を移動させると、用紙1を取り除く作業をする空間が確保できる。そのため、ジャムによって残る用紙1を取り除く作業が容易にできる。
【0054】
[ハードウェア構成例]
図10は、ハードウェア構成例を示す図である。具体的には、周辺装置101は、センサ6、制御装置35、駆動装置36、及び、搬送ローラ対2等を有するハードウェア構成である。
【0055】
制御装置35は、処理の実行、及び、制御を行う。例えば、制御装置35は、センサ6から検知結果を入力する。そして、制御装置35は、検知結果に基づき、処理の実行、及び、制御を行う。
【0056】
ほかにも、制御装置35は、例えば、モータによる駆動距離(以下単に「駆動距離40」という。)、及び、用紙サイズ41といったデータ、及び、設定を入力する。このようなデータ、及び、設定に基づき、制御装置35は、用紙1の位置を算出する。
【0057】
制御装置35は、各々の搬送ローラ対2に対して、用紙1の搬送するために用紙1を挟む(用紙1を圧接する。)、又は、用紙1を挟むのをやめる(搬送ローラ対2を離間させる。)を切り替える制御等を行う。
【0058】
駆動装置36は、周辺装置101を移動させるためのアクチュエータ、及び、モータドライバ等である。また、駆動装置36は、制御装置35による制御に基づき、周辺装置101を移動させる。なお、駆動装置36は、レール9等の機構部品を有してもよい。
【0059】
駆動距離40、及び、用紙サイズ41といったデータ、及び、設定があると、制御装置35は、用紙1の先端、及び、後端が搬送路4内のどの位置に存在するかを算出できる。具体的には、センサ6が検知してから、駆動装置36に送信したパルス数(パルス数によって、駆動装置36に用紙1を搬送させる距離を指示する。)、又は、エンコーダ3による計測結果といったデータが駆動距離40として入力されると、制御装置35は、用紙1の位置を算出できる。また、用紙サイズ41が設定されていれば、制御装置35は、例えば、用紙サイズ41が示す用紙1の長さを用いて、先端の位置から後端等といった用紙1の各部の位置を算出できる。
【0060】
用紙1の位置は、センサ6を複数設置して、各センサ6の検知結果を考慮して特定されてもよい。このようにして、制御装置35は、用紙1の位置を監視する。
【0061】
駆動距離40、及び、用紙サイズ41といったデータ、及び、設定に基づいて、用紙1の位置が算出できると、制御装置35は、用紙1の位置を精度良く算出できる。
【0062】
以上のようなハードウェア資源を用いて、周辺装置101は、プログラムに基づき、演算装置、制御装置、及び、記憶装置等を協働させて処理を実行する。
【0063】
なお、ハードウェア構成は図示する構成に限られない。例えば、ハードウェア構成は、更に演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置、又は、補助装置を備える構成でもよい。
【0064】
また、上記のハードウェアは、周辺装置101以外の装置が有してもよい。すなわち、記録媒体処理システム100において、処理、及び、制御ができれば、上記のハードウェアは、画像形成装置102、又は、他の情報処理装置が有してもよい。
【0065】
[全体処理例]
図11は、全体処理例を示す図である。ジャムが発生すると、記録媒体処理システム100は、以下のような全体処理を開始する。
【0066】
ステップS1101では、記録媒体処理システム100は、用紙1が周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って水平方向に存在するか否かを判断する。
【0067】
次に、用紙1が周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って存在する場合(ステップS1101でYES)、記録媒体処理システム100は、ステップS1102に進む。一方で、用紙1が周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って存在しない場合(ステップS1101でNO)、記録媒体処理システム100は、全体処理を終了する。
【0068】
ステップS1102では、記録媒体処理システム100は、用紙1が周辺装置101、及び、画像形成装置102のどちらに多く存在するかを判断する。すなわち、記録媒体処理システム100は、用紙1が多く存在する「第3記録媒体処理装置」が周辺装置101、及び、画像形成装置102のどちらであるかを判断する。また、「第3記録媒体処理装置」でない方が「第4記録媒体処理装置」と判断される。
【0069】
次に、用紙1が周辺装置101の方に多く存在すると判断すると(ステップS1101で「第1記録媒体処理装置」)、ステップS1103に進む。一方で、用紙1が画像形成装置102の方に多く存在すると判断すると(ステップS1101で「第2記録媒体処理装置」)、ステップS1105に進む。
【0070】
ステップS1103では、記録媒体処理システム100は、画像形成装置102側で挟んでいる用紙1を離すように制御する。すなわち、用紙1の残りが少ない方において、搬送ローラ対2が離間し、用紙1を挟んでいるのを離すようにする。
【0071】
次に、画像形成装置102側が挟んでいる用紙1を離した状態となったことを示すフラグ(以下単に「フラグ」という。)をセットする。フラグは、ON、又は、OFFの1ビットデータである。以降、フラグを参照すると、記録媒体処理システム100は、周辺装置101、及び、画像形成装置102のどちらが用紙1を離した状態(すなわち、第3記録媒体処理装置、及び、第4記録媒体処理装置の判断結果である。)であるかを特定できる。なお、第3記録媒体処理装置、及び、第4記録媒体処理装置の判断結果は、フラグ以外の形式で管理されてもよい。
【0072】
ステップS1104では、記録媒体処理システム100は、周辺装置101側で用紙1を挟み続けるように制御する。
【0073】
ステップS1105では、記録媒体処理システム100は、周辺装置101側で挟んでいる用紙1を離すように制御する。すなわち、用紙1の残りが少ない方において、搬送ローラ対2が離間し、用紙1を挟んでいるのを離すようにする。
【0074】
また、フラグは、初期値をOFFとすると、OFFのままとする。
【0075】
ステップS1106では、記録媒体処理システム100は、画像形成装置102側で用紙1を挟み続けるように制御する。
【0076】
ステップS1107では、記録媒体処理システム100は、開放距離を算出する。ステップS1107は、例えば、以下のような処理である。
【0077】
図12は、開放距離の算出例を示す図である。
【0078】
ステップS1201では、記録媒体処理システム100は、フラグがONであるか否かを判断する。
【0079】
次に、フラグがONであると(ステップS1201でYES)、ステップS1202に進む。一方で、フラグがOFFであると(ステップS1201でNO)、ステップS1203に進む。
【0080】
ステップS1202では、記録媒体処理システム100は、開放距離を下記(1)式で算出する。
【0081】
開放距離 = 基準位置から先端が搬送された距離 + α (1)
【0082】
ステップS1203では、記録媒体処理システム100は、開放距離を下記(2)式で算出する。
【0083】
開放距離 = 記録媒体の長さ - 基準位置から先端が搬送された距離 + α (2)
【0084】
上記(1)式及び(2)式において、「開放距離」は、図4に示す開放距離30である。また、上記(1)式及び(2)式において、「基準位置から先端が搬送された距離」は、基準位置8から、先端がどの位置まで搬送されているかである。したがって、「基準位置から先端が搬送された距離」は、駆動距離40等で定まる。
【0085】
さらに、上記(1)式及び(2)式において、「α」は、ユーザが指定する指定距離(以下単に「指定距離」という。)である。したがって、「α」は、ユーザが設定する値であるため、開放距離30は、ユーザの操作により可変である。
【0086】
上記(2)式における「記録媒体の長さ」は、搬送方向における用紙1の長さである。例えば、「A4」のサイズであれば、用紙1を長手方向で搬送する設定では、「記録媒体の長さ」は、「290mm」である。この「記録媒体の長さ」は、例えば、事前に値が設定される。
【0087】
上記(1)式では、用紙1の先端が、基準位置8からどこまで搬送されたかに、指定距離を加えた距離が開放距離30となる。
【0088】
上記(2)式では、用紙1の長さから上記(1)式を除算した算出結果が開放距離30となる。
【0089】
上記(1)式、又は、上記(2)式のどちらで開放距離30を算出するかは、フラグ、すなわち、用紙1が周辺装置101、及び、画像形成装置102のどちらに多く存在するかによって切り替えられる。
【0090】
記録媒体処理システム100は、上記(1)式のように「基準位置から先端が搬送された距離」を考慮した距離、又は、上記(2)式のように「記録媒体の長さ」及び「基準位置から先端が搬送された距離」を考慮した距離で算出される距離(以下「第1距離」という。)よりも長く、周辺装置101を移動させる(後段のステップS1108による処理である。)のが望ましい。
【0091】
第1距離は、用紙1の位置、及び、長さを考慮して、用紙1を取り除きやすい程度の距離である。そして、第1距離以上に移動させると、用紙1が機内から抜けた状態になる。したがって、第1距離よりも長く、周辺装置101を移動させた作業領域が確保できると、ユーザは、用紙1を取り除く作業が容易にできる。
【0092】
さらに、開放距離30は、上記(1)式、又は、上記(2)式のように、第1距離に「α」を更に加えた距離(以下「第2距離」という。)よりも長く、周辺装置101を移動させる(後段のステップS1108による処理である。)のがより望ましい。
【0093】
指定距離が「α」で入力できると、ユーザビリティが向上し、ユーザは、より作業のしやすい作業領域が確保できる。
【0094】
さらにまた、開放距離30は、第1距離、又は、第2距離に、ユーザの手の幅分の距離(以下「第3距離」という。)を加えたよりも長い距離であるのが望ましい。例えば、第3距離は、「10センチメートル」乃至「30センチメートル」程度の距離が事前に設定される。このように、少なくとも第3距離以上の作業領域が確保できると、ユーザの手が入るため、ユーザは、用紙1を取り除く作業がしやすい。
【0095】
したがって、周辺装置101は、開放距離が上記(1)式及び(2)式のどちらで算出されても、最低限、第3距離よりも長い距離を移動する(後段のステップS1108による処理である。)のがより望ましい。
【0096】
ステップS1108では、記録媒体処理システム100は、周辺装置101を開放距離分移動させる。具体的には、記録媒体処理システム100は、ステップS1107で算出した開放距離30の算出結果に基づき、周辺装置101を移動させる。
【0097】
ステップS1109では、記録媒体処理システム100は、フラグがONであるか否かを判断する。
【0098】
次に、フラグがONであると(ステップS1109でYES)、ステップS1110に進む。一方で、フラグがOFFであると(ステップS1109でNO)、ステップS1111に進む。
【0099】
ステップS1110では、記録媒体処理システム100は、周辺装置101側で挟んでいる用紙1を離すように制御する。すなわち、用紙1の残りが多い方でも、搬送ローラ対2が離間し、用紙1を挟んでいるのを離すようにする。このようにして、用紙1を取り除く作業をしやすくする。
【0100】
次に、記録媒体処理システム100は、フラグをクリアする。そのため、フラグは、初期値(この例では、OFFとなる。)となる。
【0101】
ステップS1110では、記録媒体処理システム100は、画像形成装置102側で挟んでいる用紙1を離すように制御する。すなわち、用紙1の残りが多い方でも、搬送ローラ対2が離間し、用紙1を挟んでいるのを離すようにする。このようにして、用紙1を取り除く作業をしやすくする。
【0102】
[移動例]
図13は、移動例を示す図である。例えば、周辺装置101の移動は、以下のようにレール9を用いて行う。
【0103】
周辺装置101は、モータ等のアクチュエータにより、レール9上を移動する。また、周辺装置101の移動量は、エンコーダ等の計測装置を用いて計測される。そのため、記録媒体処理システム100は、周辺装置101を開放距離30分移動させ、開放距離30で指定した位置で周辺装置101を停止させることができる。
【0104】
具体的には、レール9のように、Y軸方向に周辺装置101を平行移動させる水平移動機構が事前に地面に設置される。一方で、周辺装置101には、車輪等のようにレール9と組み合わせて用いると、レール9上を周辺装置101がY軸方向に平行移動する移動装置が設置される。そして、周辺装置101は、画像形成装置102と接している位置を始点にし、開放距離30で算出された位置を終点とする移動を行う。移動は、アクチュエータによる自動でもよいし、ユーザが押して移動する手動があってもよい。また、移動を実現するための機構は、例えば、リニアアクチュエータ等を用いる構成でもよい。
【0105】
[機能構成例]
図14は、機能構成例を示す図である。具体的には、記録媒体処理システム100は、検知部501、判断部502、制御部503、及び、移動部504を備える。
【0106】
検知部501は、周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って用紙1が存在するか否かを検知する検知手順を行う。例えば、検知部501は、センサ6で実現する。
【0107】
判断部502は、周辺装置101、及び、画像形成装置102の間に跨って用紙1が存在する場合、周辺装置101が第3記録媒体処理装置であるか、又は、周辺装置101が第4記録媒体処理装置のどちらであるかを判断する判断手順を行う。例えば、判断部502は、制御装置35で実現する。
【0108】
制御部503は、周辺装置101が第3記録媒体処理装置と判断された場合に、画像形成装置102が有する第1搬送部505を、第1搬送部505が挟んでいる用紙1を離すように制御する制御手順を行う。例えば、制御部503は、制御装置35で実現する。
【0109】
移動部504は、第1搬送部505が用紙1を離した後、周辺装置101、又は、画像形成装置102を移動させる移動手順を行う。例えば、移動部504は、駆動装置36で実現する。
【0110】
記録媒体処理システム100では、上流で周辺装置101が前処理等の第1処理を行った後、用紙1に画像形成等の第2処理を行うため、下流にある画像形成装置102へ装置と装置の間を跨ぐように搬送される。そのため、装置と装置の間に跨って水平方向に用紙1が残るジャムが発生する場合がある。
【0111】
図2、又は、図6に示すように、装置と装置の間に跨って水平方向に用紙1が残るジャム状態が検知されると、記録媒体処理システム100は、周辺装置101、及び、画像形成装置102のどちらが、用紙1が多く存在する第3記録媒体処理装置であるか、及び、用紙1が少なく存在する第4記録媒体処理装置であるかを判断する。
【0112】
次に、記録媒体処理システム100は、第4記録媒体処理装置が有する搬送部、すなわち、用紙1が少なく存在する側を第1搬送部505と判断する。また、他方の搬送部、すなわち、用紙1が多く存在する側を第2搬送部506と判断する。
【0113】
そして、記録媒体処理システム100は、第1搬送部505で用紙1を離した状態で、周辺装置101を移動させる。このようにすると、用紙1が少なく残っている方が抜け、一方で、用紙1が多く残っている方が引っ張るため、用紙1を取り除く作業が容易にできる。
【0114】
以上のような構成であると、記録媒体処理システム100において、装置と装置の間に跨って水平方向に残る記録媒体を取り除く作業を容易にできる。
【0115】
[その他の実施形態]
記録媒体は、例えば、用紙(「普通紙」等ともいう。)である。なお、記録媒体は、用紙の束でもよい。ただし、記録媒体は、用紙以外のコート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、又は、可撓性を持つ薄板等でもよい。すなわち、記録媒体の素材は、インク滴が付着可能、一時的に付着可能、付着して固着、又は、付着して浸透する材質等であればよい。具体的には、記録媒体は、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子(「圧電部材」等ともいう。)等の電子部品、粉体層(「粉末層」等ともいう。)、臓器モデル、又は、検査用セル等である。また、3次元的な物体が形成されてもよい。このように、記録媒体の材質は、液体が付着可能であって、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等であればよい。また、液体は、上記の用途に応じて、インク以外の種類である、記録液、定着処理液、又は、樹脂等が含まれてもよい。
【0116】
上記手順による記録媒体処理方法は、例えば、コンピュータに処理を実行させて実現させる。なお、本発明に係る記録媒体処理方法は、上記に示す以外の処理が含まれてもよい。また、記録媒体処理方法は、一部の処理を外部装置による処理又は操作等で実行される方法を含む。
【0117】
上記の記録媒体処理方法は、上記に例示する処理、又は、上記に示す処理と等価な処理を実行する記録媒体処理プログラム(ファームウェア、及び、プログラムに準ずるものを含む。以下単に「プログラム」という。)で実現されてもよい。
【0118】
すなわち、上記の記録媒体処理方法は、コンピュータに対して指令を行って所定の結果が得られるように、プログラミング言語等で記載されたプログラム等で実現されてもよい。なお、プログラムは、処理の一部をIC(集積回路、Integrated Circuit)等のハードウェア等で実行する構成であってもよい。
【0119】
プログラムは、コンピュータが有する演算装置、制御装置、及び、記憶装置等を協働させて上記に示す処理等をコンピュータに実行させる。すなわち、プログラムは、主記憶装置等にロードされて、演算装置に命令を発して演算を行わせてコンピュータを動作させる。
【0120】
また、プログラムは、コンピュータが読み込み可能な記録媒体、又は、ネットワーク等の電気通信回線を介して提供されてもよい。
【0121】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0122】
<1>記録媒体に第1処理を行う第1記録媒体処理装置と、前記第1記録媒体処理装置から搬送される前記記録媒体に第2処理を行う第2記録媒体処理装置とを有する記録媒体処理システムであって、
前記第1記録媒体処理装置と前記第2記録媒体処理装置との間に跨がるように存在する前記記録媒体を検知する検知部と、
前記記録媒体が前記検知部において検知されると、前記第1記録媒体処理装置及び前記第2記録媒体処理装置のいずれかに、当該記録媒体の部分の残置量が多いかを判断する判断部と、
前記第1記録媒体処理装置に係る残置量が少ない場合、当該第1記録媒体処理装置に残置されている前記記録媒体の部分を挟持した状態から開放するように第1搬送部を制御する制御部と、
前記第1搬送部が前記記録媒体を離した後、前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を搬送方向へ移動させる移動部と
を備える記録媒体処理システムである。
【0123】
<2>前記移動部は、
前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を移動させる距離である第1距離を前記記録媒体の前記搬送方向における長さ、及び、前記記録媒体の前記搬送方向の位置に基づいて算出し、
前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を前記第1距離よりも長く移動させる
上記<1>に記載の記録媒体処理システムである。
【0124】
<3>前記移動部は、
前記第1距離にユーザが指定する指定距離を加えた第2距離よりも長い距離を移動させる
上記<2>に記載の記録媒体処理システムである。
【0125】
<4>前記移動部は、
10センチメートル乃至30センチメートルの距離である第3距離よりも長い距離を移動させる
上記<3>に記載の記録媒体処理システムである。
【0126】
<5>前記制御部は、
前記移動部によって移動させる際に、前記残置量が多い前記第2記録媒体処理装置において、前記記録媒体を挟んで搬送する第2搬送部で前記記録媒体を挟むように制御し、
移動が完了すると、前記第2搬送部が挟んでいる前記記録媒体を離すように制御する
上記<1>乃至<4>のいずれかに記載の記録媒体処理システムである。
【0127】
<6>前記記録媒体は、
前記第1記録媒体処理装置で前記第1処理が行われた後、前記第1記録媒体処理装置から前記第2記録媒体処理装置へ前記第1記録媒体処理装置、及び、前記第2記録媒体処理装置をつなぐ搬送路を用いて前記搬送方向へ搬送され、
前記検知部は、
前記記録媒体が前記搬送路において停止する状態であるジャム状態になり、かつ、前記第1記録媒体処理装置と、前記第2記録媒体処理装置との装置間に跨った位置に停止した状態であるのを検知し、
前記記録媒体が基準位置に対して、前記第1記録媒体処理装置、及び、前記第2記録媒体処理装置のどちら側に多く存在するかを検知し、
前記判断部は、
前記第1記録媒体処理装置、及び、前記第2記録媒体処理装置のうち、前記基準位置に対して前記残置量が多い方を第3記録媒体処理装置と判断し、
前記第1記録媒体処理装置、及び、前記第2記録媒体処理装置のうち、前記基準位置に対して前記残置量が少ない方を第4記録媒体処理装置と判断し、
前記第1搬送部、及び、前記第2搬送部は、
搬送ローラ対で前記記録媒体を挟んで搬送し、
前記制御部は、
前記第1搬送部が挟んでいる前記記録媒体を離し、かつ、前記第2搬送部が前記記録媒体を挟んでいる状態で、前記移動部が前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を移動させて、前記記録媒体が前記第4記録媒体処理装置から抜けるようにし、
前記移動部は、
前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を前記搬送方向に移動させる移動機構によって、前記第1記録媒体処理装置、又は、前記第2記録媒体処理装置を移動させる
上記<5>に記載の記録媒体処理システムである。
【0128】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1 :用紙
2 :搬送ローラ対
4 :搬送路
6 :センサ
8 :基準位置
9 :レール
30 :開放距離
35 :制御装置
36 :駆動装置
100 :記録媒体処理システム
101 :周辺装置
102 :画像形成装置
501 :検知部
502 :判断部
503 :制御部
504 :移動部
505 :第1搬送部
506 :第2搬送部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開平06-286922号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14