IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライオン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092492
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】繊維処理液及び繊維製品処理方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/224 20060101AFI20240701BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20240701BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20240701BHJP
   D06M 15/356 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
D06M13/224
D06M15/643
D06M15/53
D06M15/356
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208458
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】小林 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】渡瀬 寛也
(72)【発明者】
【氏名】新保 美咲
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AB04
4L033AC10
4L033BA21
4L033CA48
4L033CA58
(57)【要約】
【課題】きしみ感を抑制しつつ、肌保湿の実感が向上した繊維製品をもたらすことのできる繊維処理液を提供する。
【解決手段】繊維処理液であって、以下の(A)~(B)成分:
(A)(A1)及び(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のエステル、
(A1)炭素数6~24の脂肪酸と炭素数16~26の1価アルコールとのエステル
(A2)炭素数8~14の脂肪酸と炭素数2~6の多価アルコールとのエステル
並びに、
(B)シリコーン化合物
を含有し、
(A)成分の濃度((A)成分の体積/繊維処理液の体積)が100~1000ppmであり、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が3~40である、繊維処理液。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維処理液であって、以下の(A)~(B)成分:
(A)(A1)及び(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のエステル、
(A1)炭素数6~24の脂肪酸と炭素数16~26の1価アルコールとのエステル
(A2)炭素数8~14の脂肪酸と炭素数2~6の多価アルコールとのエステル
並びに、
(B)シリコーン化合物
を含有し、
(A)成分の濃度((A)成分の体積/繊維処理液の体積)が100~1000ppmであり、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が3~40である、繊維処理液。
【請求項2】
(C)カチオン性ポリマー、及び/又は
(D)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤
を更に含有する、請求項1に記載の繊維処理液。
【請求項3】
(D)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤を更に含有し、
(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)が0.4~14である、請求項1に記載の繊維処理液。
【請求項4】
請求項1に記載の繊維処理液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の処理方法。
【請求項5】
繊維処理剤組成物であって、以下の(A)~(B)成分:
(A)(A1)及び(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のエステル、
(A1)炭素数6~24の脂肪酸と炭素数16~26の1価アルコールとのエステル
(A2)炭素数8~14の脂肪酸と炭素数2~6の多価アルコールとのエステル
並びに、
(B)シリコーン化合物
を含有し、
希釈後の繊維処理剤組成物における(A)成分の濃度((A)成分の体積/希釈後の繊維処理剤組成物の体積)が100~1000ppmであり、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が3~40である、繊維処理剤組成物。
【請求項6】
(C)カチオン性ポリマー、及び/又は
(D)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤
を更に含有する、請求項5に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項7】
(D)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤を更に含有し、
(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)が0.4~14である、請求項5に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項8】
500~3000倍に希釈された後に繊維処理に用いられる、請求項5に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項9】
請求項5に記載の繊維処理剤組成物の希釈液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維処理液及びこれを用いた繊維製品の処理方法、並びに、当該繊維処理液の調製に用いる繊維処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維処理剤の市場は年々拡大している。柔軟性、抗菌性や静電気防止効果を繊維製品へ付与するという基本的機能に加えて、近年は香りが重視され、様々な香りを持つ繊維処理剤が販売されている。
また、化粧品で採用されているスキンケア成分を配合することで、処理した繊維製品にスキンケア機能を付与する繊維処理剤も展開されている(特許文献6)。
肌の保湿は重要なスキンケア機能の一つである。肌へ直接塗布する保湿用スキンケア化粧品(化粧水、乳液やクリーム等)は高い保湿効果を容易に得られるが、手のべたつきを生じやすい、全身に塗るには手間がかかる、手の届かない部位(背中等)を保湿できないという課題もある。この課題を解決するために、保湿成分を繊維表面に固着させる技術(スキンケア繊維)が知られている(特許文献4~5)。しかし、この技術には、固着処理を消費者が自宅で容易に実施できない、適用できる繊維製品の種類が制限される、洗濯耐久性に劣る等の課題がある。
繊維製品の種類を問わず、その全体へ肌保湿機能を付与できる繊維処理剤では、これらの課題が解決されている。
その他、保湿を訴求するものではないが、エステルとシリコーン化合物とを含む繊維処理剤が知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO01/075218号
【特許文献2】特開2006-219793号公報
【特許文献3】特開2006-274499号公報
【特許文献4】特開2005-350805号公報
【特許文献5】特開平6-322670号公報
【特許文献6】特開2005-54305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、保湿成分として油性成分(エステル)を配合した繊維処理剤を開発するにあたり、処理された繊維製品のきしみ感(エステルに起因)は抑制しつつ、肌保湿の実感を向上させることを課題として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を鋭意検討した結果、本発明者は、(A)特定種類のエステルと(B)シリコーン化合物とを特定の質量比で配合した繊維処理剤を、(A)成分の濃度が特定の範囲になるように希釈してなる繊維処理液が、前記課題を解決できることを見いだした。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔9〕に関するものである。
〔1〕繊維処理液であって、以下の(A)~(B)成分:
(A)(A1)及び(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のエステル、
(A1)炭素数6~24の脂肪酸と炭素数16~26の1価アルコールとのエステル
(A2)炭素数8~14の脂肪酸と炭素数2~6の多価アルコールとのエステル
並びに、
(B)シリコーン化合物
を含有し、
(A)成分の濃度((A)成分の体積/繊維処理液の体積)が100~1000ppmであり、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が3~40である、繊維処理液。
〔2〕(C)カチオン性ポリマー、及び/又は
(D)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤
を更に含有する、前記〔1〕に記載の繊維処理液。
〔3〕(D)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤を更に含有し、
(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)が0.4~14である、前記〔1〕に記載の繊維処理液。
〔4〕前記〔1〕に記載の繊維処理液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の処理方法。
〔5〕繊維処理剤組成物であって、以下の(A)~(B)成分:
(A)(A1)及び(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のエステル、
(A1)炭素数6~24の脂肪酸と炭素数16~26の1価アルコールとのエステル
(A2)炭素数8~14の脂肪酸と炭素数2~6の多価アルコールとのエステル
並びに、
(B)シリコーン化合物
を含有し、
希釈後の繊維処理剤組成物における(A)成分の濃度((A)成分の体積/希釈後の繊維処理剤組成物の体積)が100~1000ppmであり、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が3~40である、繊維処理剤組成物。
〔6〕(C)カチオン性ポリマー、及び/又は
(D)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤
を更に含有する、前記〔5〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔7〕(D)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤を更に含有し、
(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)が0.4~14である、前記〔5〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔8〕500~3000倍に希釈された後に繊維処理に用いられる、前記〔5〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔9〕前記〔5〕に記載の繊維処理剤組成物の希釈液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の処理方法。
【発明の効果】
【0007】
後述の実施例に示すように、本発明の繊維処理液は、きしみ感が抑制されつつ、肌保湿の実感が向上した繊維製品をもたらすことができる。したがって、本発明は、従来製品にはない付加価値を有する繊維処理手段を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔(A)成分:エステル〕
(A)成分は、肌保湿の実感(以下、肌保湿感ともいう)を繊維製品へ付与するために配合する。(A)成分は、下記の(A1)及び(A2)のエステルからなる群より選択される。
【0009】
〔(A1):炭素数6~24の脂肪酸と炭素数16~26の1価アルコールとのエステル〕
(A1)を構成する脂肪酸の炭素数は6~24、好ましくは8~18、より好ましくは8~12である。脂肪酸を構成する炭化水素基は直鎖でも分岐鎖でもよく、不飽和炭素結合を含んでいてもよい。
脂肪酸の例としては、カプロン酸(炭素数6、直鎖)2-エチルヘキサン酸(炭素数8、分岐鎖)、カプリル酸(炭素数8、直鎖)、カプリン酸(炭素数10、直鎖)、ラウリン酸(炭素数12、直鎖)、ミリスチン酸(炭素数14、直鎖)、ペンタデシル酸(炭素数15、直鎖)、パルミチン酸(炭素数16、直鎖)、ステアリン酸(炭素数18、直鎖)や、イソステアリン酸(炭素数18、分岐)等が挙げられ、2-エチルヘキサン酸が好ましい。
【0010】
(A1)を構成する1価アルコールの炭素数は16~26、好ましくは16~24、より好ましくは16~18である。1価アルコールを構成する炭化水素基は直鎖でも分岐鎖でもよく、不飽和炭素結合を含んでいてもよい。
1価アルコールの例としては、セチルアルコール(セタノール)(炭素数16)、ステアリルアルコール(炭素数18)や、イソステアリルアルコール(炭素数18)、オレイルアルコール(炭素数18)等が挙げられ、セチルアルコールが好ましい。
【0011】
(A1)の例としては、エチルヘキサン酸セチル(2-エチルヘキサン酸セチル)、エチルヘキサン酸ステアリル(2-エチルヘキサン酸ステアリル)、エチルヘキサン酸イソステアリル(2-エチルヘキサン酸イソステアリル)、ラウリン酸セチル、パルミチン酸ステアリル等が挙げられる。中でも、エチルヘキサン酸セチル(2-エチルヘキサン酸セチル)及びエチルヘキサン酸ステアリル(2-エチルヘキサン酸ステアリル)が好ましく、エチルヘキサン酸セチル(2-エチルヘキサン酸セチル)がより好ましい。
(A1)は、単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0012】
〔(A2):炭素数8~14の脂肪酸と炭素数2~6の多価アルコールとのエステル〕
(A2)を構成する脂肪酸の炭素数は8~14、好ましくは8~12、より好ましくは8~10である。脂肪酸を構成する炭化水素基は直鎖でも分岐鎖でもよく、不飽和炭素結合を含んでいてもよい。
脂肪酸の例としては、カプリル酸(炭素数8、直鎖)、カプリン酸(炭素数10、直鎖)、ラウリン酸(炭素数12、直鎖)や、ミリスチン酸(炭素数14、直鎖)等が挙げられ、カプリル酸及びカプリン酸が好ましい。
【0013】
(A2)を構成する多価アルコールの炭素数は2~6、好ましくは2~4、より好ましくは2~3である。多価アルコールを構成する炭化水素基は直鎖でも分岐鎖でもよく、不飽和炭素結合を含んでいてもよい。
多価アルコールの価数は2~6、好ましくは3である。多価アルコールのヒドロキシル基は一種類の脂肪酸とエステルを形成してもよく、異なる種類の脂肪酸とエステルを形成していてもよい。
多価アルコールの例としては、グリセリン(炭素数3の3価アルコール)、プロピレングリコール(炭素数3の2価アルコール)、1,3-ブチレングリコール(炭素数4の2価アルコール)、ソルビトール(炭素数6の6価アルコール)や、キシリトール(炭素数5の5価アルコール)等が挙げられ、グリセリンが好ましい。
【0014】
(A2)の例としては、カプリル酸プロピレングリコールや、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)が挙げられ、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが好ましい。なお、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)は、1分子のグリセリンに含まれるヒドロキシル基が2種類の脂肪酸(カプリル酸及びカプリン酸)と結合してなるエステルである。
(A2)は、単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0015】
(A)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
(A)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用((A1)と(A2)との併用を含む)してもよい。
【0016】
繊維処理液における(A)成分の濃度(体積基準。すなわち(A)成分の体積/繊維処理液の体積)は100~1000ppm、好ましくは150~800ppm、より好ましくは200~500ppmである。濃度が100ppm以上であると配合目的を達成できる。濃度が1000ppm以下であると、処理後の繊維製品のきしみ感を抑制できる。
【0017】
〔(B)成分:シリコーン化合物〕
(B)成分は、(A)成分との併用により肌保湿感を繊維製品へ付与しつつ、(A)成分に起因するきしみ感を抑制するために配合する。
(B)成分として、繊維処理剤で使用されているシリコーン化合物を特に制限なく使用できる。(B)成分は、未変性シリコーン化合物及び変性シリコーン化合物のいずれでもよいが、変性シリコーン化合物が好ましい。
(B)成分の例としては、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンや、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、ポリエーテル変性シリコーン及びアミノ・ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。より好ましくは、ポリエーテル変性シリコーンである。
ポリエーテル変性シリコーンの例としては、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体などが挙げられる。アルキルシロキサンのアルキル基の炭素数としては、1~3が好ましい。ポリオキシアルキレンのアルキレン基の炭素数としては、2~5が好ましい。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンや、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体等)との共重合体が挙げられ、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。
アミノ・ポリエーテル変性シリコーンの例としては、(PEG-40/PPG-8メチルアミノプロピル/ヒドロキシプロピルジメジコン)コポリマーが挙げられる。
(B)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能である。
市販品の例としては、Dowsil SH 3775M(東レ・ダウ社製。成分名:ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体)、Dowsil SH 3771M(東レ・ダウ社製。成分名:ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体)や、Silsoft A+(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製。成分名:(PEG-40/PPG-8メチルアミノプロピル/ヒドロキシプロピルジメジコン)コポリマー)等が挙げられる。
(B)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0018】
繊維処理液における(B)成分の濃度(体積基準。すなわち(B)成分の体積/繊維処理液の体積)は、後述する(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)を達成できる限り特に制限されないが、好ましくは10~100ppm、さらに好ましくは15~80ppm、より好ましくは15~40ppmである。濃度が10ppm以上であるとより高いレベルで配合目的を達成できる。濃度が100ppm以下であると、処理後の繊維製品のきしみ感をより抑制できる。
【0019】
〔(A)成分と(B)成分との質量比〕
繊維処理液における(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)は3~40、好ましくは5~25、より好ましくは7~20である。A/Bが3~40であると、処理された繊維製品のきしみ感を抑制しつつ、肌保湿感を向上させることができる。
なお、前記のA/Bの説明は、繊維処理剤組成物(水で希釈されて繊維処理液になる)における(A)成分と(B)成分との質量比にも適用される。
【0020】
〔任意成分〕
本発明の効果を損なわない範囲で、(A)及び(B)の必須成分以外の任意成分を繊維処理液へ配合してもよい。任意成分は、繊維処理剤に一般的に配合される成分を特に制限なく使用できる。任意成分の例としては、カチオン性ポリマー、アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤、水、水溶性溶剤、防腐剤、抗菌剤や、安定剤等が挙げられる。以下、いくつかの任意成分を詳細に説明する。
【0021】
〔(C)成分:カチオン性ポリマー〕
(C)成分は、繊維製品のきしみ感の更なる抑制や、繊維製品へしっとり感を付与するために配合する。
(C)成分は、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。
(C)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。市販品としては、マーコート100(成分名:塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体)等が挙げられる。
繊維処理液における(C)成分の濃度(体積基準。すなわち(C)成分の体積/繊維処理液の体積)は特に制限されないが、好ましくは1~50ppm、より好ましくは2~30ppmである。
【0022】
〔(D)成分:アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤〕
(D)成分は、(A)成分の繊維製品への吸着性を向上させ、その配合効果を高めるために配合する。
(D)成分は、繊維処理剤へ一般的に配合されるもの(多価アルコール、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるもの等)を特に制限なく使用できる。
アルキレンオキシドは、炭素数2~4のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
(D)成分1分子あたりのアルキレンオキシドの平均付加モル数は、好ましくは7~100モル、より好ましくは10~80モル、さらに好ましくは10~60モル、特に好ましくは20~60モル、最も好ましくは20~40モルである。アルキレンオキシドの平均付加モル数が7~100モルであると、(A)成分の分散性を高めて繊維製品への吸着性をより向上させることができる。
(D)成分の例としては、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミンや、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド等が挙げられる。前記の化合物名中の「オキシアルキレン」は、アルキレンオキシド付加物であることを示す。
これらのなかでも、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油及びポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルが好ましく、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルが特に好ましい。
【0023】
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルについて詳述する。構成脂肪酸は、好ましくは炭素数10~20の飽和又は不飽和脂肪酸、より好ましくはオレイン酸である。ソルビトールとエステル結合する脂肪酸の数は、好ましくは1~4、より好ましくは4(テトラエステル)である。付加するポリオキシアルキレンは、好ましくはエチレンオキシド(EO)である。1分子あたりのアルキレンオキシドの平均付加モル数は、好ましくは4~100、より好ましくは4~40である。
【0024】
(D)成分のHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)は、好ましくは8.5~16.5、より好ましくは10~13、最も好ましくは11~13である。HLBが8.5~16.5であると、処理後の繊維製品(特に、合成繊維製品)の触感が良好になる。
【0025】
(D)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
(D)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0026】
繊維処理液における(D)成分の濃度(体積基準。すなわち(D)成分の体積/繊維処理液の体積)は特に制限されないが、好ましくは60~260ppm、より好ましくは100~240ppmである。
【0027】
〔(A)成分と(D)成分との質量比〕
繊維処理液における(A)成分と(D)成分との質量比(A/D)は0.4~14、好ましくは0.6~8、より好ましくは0.9~5である。A/Dが0.4~14であると、肌保湿感を向上させることができる。
なお、前記のA/Dの説明は、繊維処理剤組成物(水で希釈されて繊維処理液になる)における(A)成分と(D)成分との質量比にも適用される。
【0028】
〔水〕
繊維処理液は、好ましくは水を含む水性組成物である。水として、水道水、精製水、純水、蒸留水や、イオン交換水を使用できる。なかでもイオン交換水や精製水が好ましい。
【0029】
〔水溶性溶剤〕
水溶性溶剤は、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。
水溶性溶剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
水溶性溶剤の例としては、炭素数2~3の1級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、炭素数2~6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等)や、炭素数3~8の多価アルコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)等が挙げられる。なかでも、香気や価格に優れた1級アルコールと多価アルコールが好ましく、エタノールが更に好ましい。
水溶性溶剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0030】
〔防腐剤〕
防腐剤としては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。
防腐剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
市販品としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Nipacide BIT20)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(ダイドールEC-004、大同化成工業(株)や、ブチル化ヒドロキシトルエン(SUMILIZER BHT、住友化学(株))、フェノキシエタノール、安息香酸塩等が挙げられる。
【0031】
〔繊維処理液の製造方法〕
繊維処理液は、各成分を混合することで製造できる。好ましくは、後述する繊維処理剤組成物を水で希釈することで製造できる。
【0032】
〔繊維処理液の使用方法〕
繊維処理液を用いた繊維製品の処理方法は特に制限されず、例えば、柔軟剤やしわとり剤として使用できる。
柔軟剤として使用する場合、洗濯機でのすすぎ段階で、すすぎ水へ繊維処理剤組成物を溶解させてなる繊維処理液に繊維製品を浸漬する方法が挙げられる。
しわとり剤として使用する場合、繊維製品への適用方法は特に限定されない。例えば、繊維製品を繊維処理液に浸漬した後風乾してもよい。
繊維製品の種類は特に限定されないが、例えば、肌着、ワイシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、ジャケット、コート、ニット、ジーンズ、パジャマ、タイツ、靴下、テーブルクロス、ランチョンマット、カーテン、クッション、座布団、ソファ、枕カバー、シーツ、ベッドパッド、枕、布団、ベッドカバー、毛布、マットレス、靴、トイレマット、バスマット、玄関マット、カーペット、ラグや、絨毯等が挙げられる。
繊維製品の素材も特に限定されないが、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維及びこれら各種繊維の混紡品、混織品、混編品等が挙げられる。
【0033】
〔繊維処理剤組成物〕
繊維処理剤組成物は、水で希釈されて前述の繊維処理液となり、繊維処理に供される。
したがって、「希釈後の繊維処理剤組成物」及び「繊維処理剤組成物の希釈液」は、繊維処理液として把握できる。
前述した繊維処理液が含有する各成分の説明(A/B比の説明を含む)は、繊維処理剤組成物にも適用される。
【0034】
繊維処理剤組成物における(A)成分の含量は、希釈後の繊維処理剤組成物(繊維処理液)における(A)成分の濃度を達成できる限り特に制限されないが、例えば、750倍に希釈して繊維処理に供される繊維処理剤組成物の(A)成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して7.5~75質量%、好ましくは11~60質量%、より好ましくは15~37.5質量%である。
【0035】
繊維処理剤組成物における(B)成分の含量は、希釈後の繊維処理剤組成物(繊維処理液)における(B)成分の濃度を達成できる限り特に制限されないが、例えば、750倍に希釈して繊維処理に供される繊維処理剤組成物の(B)成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して1~7質量%、好ましくは1.2~5質量%、より好ましくは1.5~3質量%である。
【0036】
繊維処理剤組成物における(C)成分の含量は、希釈後の繊維処理剤組成物(繊維処理液)における(C)成分の濃度を達成できる限り特に制限されないが、例えば、750倍に希釈して繊維処理に供される繊維処理剤組成物の(C)成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.2~2質量%、より好ましくは0.3~1質量%である。
【0037】
繊維処理剤組成物における(D)成分の含量は、希釈後の繊維処理剤組成物(繊維処理液)における(D)成分の濃度を達成できる限り特に制限されないが、例えば、750倍に希釈して繊維処理に供される繊維処理剤組成物の(D)成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは5質量%超(5質量%は含まない)~20質量%、より好ましくは7.5~18質量%である。(D)成分の含量が5質量%超~20質量%であると、繊維処理剤組成物の粘度を適切な範囲に保持しつつ、配合目的を達成できる。
【0038】
繊維処理剤組成物における水の含量は特に限定されないが、例えば、750倍に希釈して繊維処理に供される繊維処理剤組成物の水の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~60質量%、更に好ましくは30~50質量%である。
【0039】
〔繊維処理剤組成物のpH〕
繊維処理剤組成物のpHは特に限定されないが、保存安定性の観点から、25℃におけるpHを、好ましくは4.5~8.0の範囲へ調整する。pHは、公知のpH調整剤(例えば、クエン酸等)の添加により調整できる。pHは、pHメーター(例えば、Mettler Toledo社製 型番MP230)で測定できる。
【0040】
〔繊維処理剤組成物の粘度〕
繊維処理剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、25℃における粘度が1000mPa・s未満であることが好ましい。粘度が1000mPa・s未満であると使用性(洗濯機への投入の際のハンドリング性等)が良好である。
繊維処理剤組成物の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定できる。
【0041】
〔繊維処理剤組成物の製造方法〕
繊維処理剤組成物は、公知の方法に従い製造できる。例えば、(A)成分と(B)成分とを混合し、次いで水を添加して攪拌することにより繊維処理剤組成物を製造できる。
【0042】
〔繊維処理剤組成物の希釈倍率〕
繊維処理に用いる際の繊維処理剤組成物の希釈倍率は、前述した希釈後の各成分(特に(A)成分及び(B)成分)の濃度と、希釈前の各成分の含量とに応じて適宜設定できるが、洗濯機でのすすぎ段階ですすぎ水に繊維処理剤組成物を溶解させて処理を行う場合の希釈倍率は、好ましくは500~3000倍、より好ましくは600~2000倍、特に好ましくは700~1000倍である。たらいのような容器中で繊維処理剤組成物を水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する場合の希釈倍率は、好ましくは150~1000倍、より好ましくは200~700倍、特に好ましくは250~350倍である。希釈倍率が上記上限以下または下限以上であれば投入量が多すぎず少なすぎず投入しやすい適量となる。
【実施例0043】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、各成分の含量(%)はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0044】
〔(A)成分:エステル〕
下記のa-1~a-2を使用した。

a-1:エチルヘキサン酸セチル(2-エチルヘキサン酸セチル、(日光ケミカルズ株式会社「NIKKOL CIO」)。a-1は、炭素数8の脂肪酸と炭素数16の一価アルコールとのエステルである。

a-2:トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル(日光ケミカルズ株式会社「NIKKOL トリエスターF-810」)。a-2は、1分子のグリセリン(炭素数3)に含まれるヒドロキシル基が2種類のカルボン酸(カプリル酸(炭素数8)及びカプリン酸(炭素数10))と結合することで形成されるエステルである。
【0045】
〔(B)成分:シリコーン化合物〕
下記のb-1~b-2を使用した。

b-1:ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(東レ・ダウ「Dowsil SH 3775M」)

b-2:(PEG-40/PPG-8メチルアミノプロピル/ヒドロキシプロピルジメジコン)コポリマー(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ「Silsoft A+)
【0046】
〔(C)成分:カチオン性ポリマー〕
下記のc-1を使用した。

c-1:塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(日本ルーブリゾール「マーコート100」)
【0047】
〔(D)成分:アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤〕
下記のd-1を使用した。

d-1:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(30EO)(日光ケミカルズ株式会社「NIKKOL GO-430NV」)。d-1のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は30モルである。d-1のHLBは11.5であった。
【0048】
〔繊維処理剤組成物及び繊維処理液の調製〕
表1-1に示す組成を有する繊維処理剤組成物を調製した。
表1-1中、「希釈前含量」は、希釈前の繊維処理剤組成物の総質量に対する(A)~(D)の各成分の含量(質量%)である。
表1-1中の「A/B」は、希釈前の繊維処理剤組成物における(A)成分と(B)成分との質量比を示す。
表1-1中の「A/D」は、希釈前の繊維処理剤組成物における(A)成分と(D)成分との質量比を示す。
繊維処理剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分を混合し、精製水を添加して攪拌し、さらに(C)成分を添加し混合することで調製した。
調製した繊維処理剤組成物を精製水で750倍に希釈したものを、希釈後の繊維処理剤組成物(すなわち、繊維処理液)として繊維製品の処理に供した。
繊維処理液の組成を表1-2に示す。表1-2中、「希釈後濃度」は、繊維処理液の体積に対する(A)~(D)の各成分の体積の比(ppm)を示す。
【0049】
〔繊維処理剤組成物の評価〕
「処理された繊維製品による肌保湿の実感」及び「処理された繊維製品のきしみ感」の観点で繊維処理剤組成物を評価した。
【0050】
〔肌保湿の実感〕
繊維製品(ユニクロ「ヒートテック長袖」(素材:ポリエステル、アクリル、レーヨン、ポリウレタン))の腕部分から筒状の布片3枚を裁断した。
布片を、1Lの繊維処理液と攪拌子とを含む1Lビーカーへ投入し、3分間攪拌して、すすぎ処理に供した。すすぎ後の布片を、二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)で1分間脱水し、更に一晩乾燥させたものを「評価布」とした。
繊維処理液の代わりに1Lのイオン交換水を用いて同様の処理に供したものを「未処理布」(対照)とした。
被験者は、両腕の前腕部及び上腕部を界面活性剤AES(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)で洗浄した後、恒温室(20℃、40%RH)内で30分間安静にした。
評価布及び未処理布を筒状のまま半分に裁断したものを着用した。具体的には、被験者は、左前腕部に評価布1枚を、左上腕部に未処理布1枚を着用し、他方、右前腕部に未処理布1枚を、右上腕部に処理布1枚を着用した。
6時間着用し、続いて恒温室(20℃、40%RH)内で30分間安静にした後、被験者は各布を外し、着用していた部分の肌を指で触ったときの「保湿実感」を、対照と比較して下記の基準に従い官能評価した。
評価者3名の平均点(小数点第1位まで算出)を、下記の判定基準に適用して、「肌保湿の実感」の評価とした。結果を、表1-2の「保湿実感」欄に示す。○○及び○を合格とした。

<評価基準>
3点:強く感じる
2点:感じる
1点:やや感じる
0点:感じない

<判定基準>
〇〇:平均点が2.0点以上
〇:平均点が1.0点以上、2.0点未満
×:平均点が1.0点未満
【0051】
〔繊維製品のきしみ感〕
繊維製品(ユニクロ「ヒートテック長袖」(素材:ポリエステル、アクリル、レーヨン、ポリウレタン))の腕部分から筒状の布片3枚を裁断した。
布片を、1Lの繊維処理液と攪拌子とを含む1Lビーカーへ投入し、3分間攪拌して、すすぎ処理に供した。すすぎ後の布片を、二槽式洗濯機(東芝製VH-30S)で1分間脱水し、更に一晩乾燥させたものを「評価布」とした。
評価布を手で触ったときの「きしみ感のなさ」を、下記の基準に従い官能評価した。
評価者3名の平均点(小数点第1位まで算出)を、下記の判定基準に適用して、「繊維製品のきしみ感」の評価とした。結果を、表1-2の「繊維のきしみ感」欄に示す。○○及び○を合格とした。

<評価基準>
3点:非常によい
2点:よい
1点:ややよい
0点:どちらともいえない

<判定基準>
〇〇:平均点が2.0点以上
〇:平均点が1.0点以上、2.0点未満
×:平均点が1.0点未満
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、繊維処理剤分野で利用可能である。
【0053】
【表1-1】
【表1-2】