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特開2024-92501アイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置及び故障判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092501
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】アイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置及び故障判定方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/22 20060101AFI20240701BHJP
   F02D 41/08 20060101ALI20240701BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240701BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
F02D41/22
F02D41/08
F02D45/00 358
F02D9/02 341A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208477
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】小峰 拓也
【テーマコード(参考)】
3G065
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G065AA11
3G065CA27
3G065CA31
3G065EA03
3G065FA11
3G065GA10
3G301JA15
3G301JA16
3G301JB01
3G301JB02
3G301JB09
3G301KA07
3G301LA01
3G301LC03
3G301ND01
3G301NE24
3G301PE01Z
3G384BA05
3G384CA05
3G384CA25
3G384DA35
3G384DA42
3G384EA01
3G384EG03
3G384FA56Z
(57)【要約】
【課題】容易に機械的な故障判定が可能なアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置及び故障判定方法を提供する。
【解決手段】内燃機関1の吸気通路17に備えられるスロットルバルブ20のバイパス路22に配置され、内燃機関1のアイドル状態での実回転速度を目標アイドル回転速度にするためのフィードバック補正値であるISC補正値Cdisc(Csisc)に基づいて開度が制御されるDSV23(STM70)において、DSV23(STM70)の故障を判定する故障判定装置及び故障判定方法であって、故障判定装置は、内燃機関1のアイドル状態において、ISC補正値Cdisc(Csisc)と、エンジン回転速度Nとに基づいて、DSV23(STM70)の機械的故障を判定する故障判定部66を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に備えられるスロットルバルブのバイパス路に配置され、前記内燃機関のアイドル状態での実回転速度を目標アイドル回転速度にするためのフィードバック補正値であるアイドルスピードコントロール補正値に基づいて開度が制御されるアイドルスピードコントロールバルブにおいて、前記アイドルスピードコントロールバルブの故障を判定する故障判定装置であって、
前記内燃機関のアイドル状態において、前記アイドルスピードコントロール補正値と、前記内燃機関の回転速度とに基づいて、前記アイドルスピードコントロールバルブの機械的故障を判定する故障判定部を有する
ことを特徴とするアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置。
【請求項2】
前記アイドルスピードコントロールバルブはデューティソレノイドバルブであって、
前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第1所定値以下の場合に、前記アイドルスピードコントロールバルブが開固着故障、または前記バイパス路を過剰に吸気量が通過している状態である空気量過剰状態故障であることを判定する
請求項1に記載のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置。
【請求項3】
前記故障判定部は、
前記アイドルスピードコントロール補正値が第1所定値以下であって、かつ前記内燃機関の回転速度が第1所定回転速度以上の場合には、前記開固着故障と判定し、
前記アイドルスピードコントロール補正値が第1所定値以下であって、かつ前記内燃機関の回転速度が第1所定回転速度未満の場合には、前記空気量過剰状態故障と判定する
ことを特徴とする請求項2に記載のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置。
【請求項4】
前記アイドルスピードコントロールバルブはデューティソレノイドバルブであって、
前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第2所定値以上である場合には、前記バイパス路を通過する吸気量が不足状態である空気量不足状態故障であることを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置。
【請求項5】
前記アイドルスピードコントロールバルブは、前記バイパス路の開度を調整するバルブをステッピングモータで駆動するステッピングモータバルブであって、
前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第3所定値以下の場合に、前記バイパス路を過剰に吸気量が通過している状態である空気量過剰状態故障であることを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置。
【請求項6】
前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が前記第3所定値より低い第4所定値以下の場合に、前記アイドルスピードコントロールバルブが開固着故障であると判定する
ことを特徴とする請求項5に記載のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置。
【請求項7】
前記アイドルスピードコントロールバルブは、前記バイパス路の開度を調整するバルブをステッピングモータで駆動するステッピングモータバルブであって、
前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第5所定値以上である場合には、前記バイパス路を通過する吸気量が不足状態である空気量不足状態故障であることを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置。
【請求項8】
前記内燃機関の吸気圧を検出する吸気圧検出部を備え、
前記故障判定部は、前記内燃機関の始動が不能であって、前記吸気圧が所定圧力未満である場合には、前記アイドルスピードコントロールバルブが閉固着故障であると判定する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置。
【請求項9】
内燃機関の吸気通路に備えられるスロットルバルブのバイパス路に配置され、前記内燃機関のアイドル状態での実回転速度を目標アイドル回転速度にするためのフィードバック補正値であるアイドルスピードコントロール補正値に基づいて開度が制御されるアイドルスピードコントロールバルブにおいて、前記アイドルスピードコントロールバルブの故障を判定する故障判定方法であって、
前記内燃機関のアイドル状態において、前記アイドルスピードコントロール補正値と、前記内燃機関の回転速度と、に基づいて前記アイドルスピードコントロールバルブの機械的故障を判定する
ことを特徴とするアイドルスピードコントロールバルブの故障判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のアイドル時の吸気量を制御するアイドルスピードコントロールバルブの故障判定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気通路には、スロットルバルブやアイドルスピードコントロールバルブのように、吸気量を制御するデバイスが備えられている。更に、内燃機関の多くには、吸気量を制御するデバイスの故障判定装置が備えられている。
例えば、特許文献1には、スロットルバルブの上流側と下流側とを接続するバイパス路に設けられたアイドルスピードコントコントロールバルブの故障判定技術が開示されている。特許文献1では、スロットルバルブの開度が所定範囲内(例えば全閉領域)の場合で、且つスロットルバルブの下流側の吸気圧が所定の閾値と比較して小さいときに、アイドルスピードコントコントロールバルブが異常であると判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-154321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば自動2輪車に使用されるスロットルバルブのような手動のスロットルバルブでは、自動的にスロットルバルブを作動させることができず、容易にアイドルスピードコントロールバルブの故障を判定することが困難である。特に、手動のスロットルバルブに備えられたアイドルスピードコントロールバルブに適用できるとともに、開固着や閉固着のようにアイドルスピードコントロールバルブの機械的故障を判定可能な故障判定装置及び故障判定方法が要求されている。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、アイドルスピードコントロールバルブの機械的な故障を容易に判定できる故障判定装置及び故障判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置は、内燃機関の吸気通路に備えられるスロットルバルブのバイパス路に配置され、前記内燃機関のアイドル状態での実回転速度を目標アイドル回転速度にするためのフィードバック補正値であるアイドルスピードコントロール補正値に基づいて開度が制御されるアイドルスピードコントロールバルブにおいて、前記アイドルスピードコントロールバルブの故障を判定する故障判定装置であって、前記内燃機関のアイドル状態において、前記アイドルスピードコントロール補正値と、前記内燃機関の回転速度とに基づいて、前記アイドルスピードコントロールバルブの機械的故障を判定する故障判定部を有することを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記アイドルスピードコントロールバルブはデューティソレノイドバルブであって、前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第1所定値以下の場合に、前記アイドルスピードコントロールバルブが開固着故障、または前記バイパス路を過剰に吸気量が通過している状態である空気量過剰状態故障であることを判定するとよい。
【0008】
好ましくは、前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第1所定値以下であって、かつ前記内燃機関の回転速度が第1所定回転速度以上の場合には、前記開固着故障と判定し、前記アイドルスピードコントロール補正値が第1所定値以下であって、かつ前記内燃機関の回転速度が第1所定回転速度未満の場合には、前記空気量過剰状態故障と判定するとよい。
【0009】
好ましくは、前記アイドルスピードコントロールバルブはデューティソレノイドバルブであって、前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第2所定値以上である場合には、前記バイパス路を通過する吸気量が不足状態である空気量不足状態故障であることを判定するとよい。
【0010】
好ましくは、前記アイドルスピードコントロールバルブは、前記バイパス路の開度を調整するバルブをステッピングモータで駆動するステッピングモータバルブであって、前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第3所定値以下の場合に、前記バイパス路を過剰に吸気量が通過している状態である空気量過剰状態故障であるとよい。
【0011】
好ましくは、前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が前記第3所定値より低い第4所定値以下の場合に、前記アイドルスピードコントロールバルブが開固着故障であると判定するとよい。
【0012】
好ましくは、前記アイドルスピードコントロールバルブは、前記バイパス路の開度を調整するバルブをステッピングモータで駆動するステッピングモータバルブであって、前記故障判定部は、前記アイドルスピードコントロール補正値が第5所定値以上である場合には、前記バイパス路を通過する吸気量が不足状態である空気量不足状態故障であることを判定するとよい。
【0013】
好ましくは、前記内燃機関の吸気圧を検出する吸気圧検出部を備え、前記故障判定部は、前記内燃機関の始動が不能であって、前記吸気圧が所定圧力未満である場合には、前記アイドルスピードコントロールバルブが閉固着故障であると判定するとよい。
【0014】
本発明のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定方法は、内燃機関の吸気通路に備えられるスロットルバルブのバイパス路に配置され、前記内燃機関のアイドル状態での実回転速度を目標アイドル回転速度にするためのフィードバック補正値であるアイドルスピードコントロール補正値に基づいて開度が制御されるアイドルスピードコントロールバルブにおいて、前記アイドルスピードコントロールバルブの故障を判定する故障判定方法であって、前記内燃機関のアイドル状態において、前記アイドルスピードコントロール補正値と、前記内燃機関の回転速度と、に基づいて前記アイドルスピードコントロールバルブの機械的故障を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置及び故障判定方法によれば、アイドル時の実回転速度を目標アイドル回転速度に制御するためのアイドルスピードコントロール補正値が、所定範囲を逸脱している場合にアイドルスピードコントロールバルブの故障を判定することができる。アイドルスピードコントロール補正値を利用することで、スロットルバルブの作動制御値を使用せずに、手動式のスロットルバルブに備えられたアイドルスピードコントロールバルブにおいても容易に故障判定をすることができるとともに、アイドルスピードコントロールバルブの開固着や閉固着のような機械的な故障を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の故障判定装置を適用するアイドルスピードコントロールバルブを採用した車両の内燃機関の構成図である。
図2】DSVの開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御の制御手順を示すフローチャートである。
図3】DSVの閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御の制御手順を示すフローチャートである。
図4】DSVの故障判定領域を示す説明図である。
図5】STMの開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御の制御手順を示すフローチャートである。
図6】STMの閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御の制御手順を示すフローチャートである。
図7】STMの故障判定領域を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置を備えた内燃機関1の構成図である。
【0019】
本発明の一実施形態のアイドルスピードコントロールバルブの故障判定装置は、例えば自動2輪車(以下、車両という)に備えられた内燃機関1のアイドルスピードコントロールバルブ23に対して適用される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態を適用する内燃機関1は、吸気ポート2に吸気バルブ3、排気ポート4に排気バルブ5を備えるとともに、燃料タンク6から燃料ポンプ7によって供給された燃料を吸気ポート2内に噴射するインジェクタ8と、燃焼室9内に火花を発生させる点火プラグ10を備えた点火式のガソリンエンジンである。
内燃機関1の排気通路11には、排気浄化触媒13(3元触媒)が備えられている。排気通路11には、排気浄化触媒13を挟んで上流側O2センサ15、下流側O2センサ16を備えている。下流側O2センサ16には、低温時に活性化させるためのヒータが備えられている。
【0021】
スロットルバルブ20は、エアクリーナ21と内燃機関1の吸気ポート2との間に設けられている。スロットルバルブ20は、車両の図示しないスロットルとワイヤ等で接続され、機械的に駆動するマニュアルバルブである。
また、内燃機関1の吸気通路17にはスロットルバルブ20の弁体をバイパスするバイパス路22が備えられるとともにバイパス路22を開閉するアイドルスピードコントロールバルブとしてDSV23が備えられている。DSV23は、デューティ比の制御にとより開度を制御するデューティソレノイドバルブである。
【0022】
スロットルバルブ20と吸気バルブ3との間の吸気通路17には、燃料タンク6内の蒸発ガスを排出するブローバイガス路24が設けられ、ブローバイガス路24にはキャニスタ25が介装されている。
更に、本実施形態の内燃機関1の駆動軸に、スタータを兼ねたACジェネレータ26が備えられている。ACジェネレータ26は、スタータコントロールユニット27によって作動制御される。
【0023】
車両には、イグニッションスイッチ30、サイドスタンドスイッチ31、燃料残量警告スイッチ32、キルスイッチ33が備えられている。更に、車両に備えられたエンジン回転速度メータ等を有する表示部36には、燃料残量警告灯37、誤動作表示ランプ38が備えられている。
【0024】
内燃機関1は、メインコントロールユニット50(制御部)によって作動制御される。
【0025】
メインコントロールユニット50は、出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)等から構成されている。メインコントロールユニット50は、バッテリ51から電力が供給されて駆動し、クランクポジションセンサ52よりクランク角、エンジン温度センサ53よりエンジン温度、後述する吸気センサユニット60(吸気圧検出部)より吸気温度、吸気圧、スロットルバルブ20の開度、上流側O2センサ15及び下流側O2センサ16より酸素濃度等を入力するとともに、イグニッションスイッチ30及び上記各種スイッチの操作信号を入力する。そして、メインコントロールユニット50は、入力した各種情報に基づいて、インジェクタ8、点火プラグ10、スロットルバルブ20、DSV(デューティソレノイドバルブ)23、下流側O2センサ16のヒータ等を作動制御するとともに、燃料残量警告灯37及び誤動作表示ランプ38を作動制御する。
【0026】
スロットルバルブ20は、バルブボディ内にバイパス路22を有するとともに、DSV23と吸気センサユニット60(センサユニット)とが備えられてスロットルバルブユニット59を構成している。
【0027】
吸気センサユニット60は、図示しないスロットルポジションセンサ、吸気菅内圧力センサ及び吸気温度センサをまとめてユニット化して構成されている。
【0028】
吸気センサユニット60は、スロットルバルブ20のバルブボディに、ボルト等によって着脱可能に固定されている。
【0029】
また、メインコントロールユニット50には、アイドル時のエンジン回転速度(内燃機関1の回転速度)を制御するために、DSV23の開度を補正する補正制御を行うアイドル制御部65を備えている。
【0030】
アイドル制御部65は、アイドル時のエンジン回転速度を入力し、アイドル時のエンジン回転速度が所定の目標アイドル回転速度に維持されるように、DSV23の開度を制御する制御値であるISC補正値を演算して、ISC補正値に基づいてDSV23の開度をフィードバック制御する。ISC補正値を低下させることでエンジン回転速度は低下し、ISC補正値を増加させることでエンジン回転速度が上昇する。
【0031】
更に、メインコントロールユニット50には、DSV等のアイドルスピードコントロールバルブ23の故障判定制御を行う故障判定部66(故障判定装置)を備えている。
【0032】
次に、DSV23の故障判定制御について説明する。図2は、DSV23の開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御の制御手順を示すフローチャートである。図3は、DSV23の閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御の制御手順を示すフローチャートである。図4は、DSV23の故障判定領域を示す説明図である。
【0033】
図2に示す開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御及び図3に示す閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御は、イグニッションスイッチ30のオン直後のアイドル運転時に順次行われる。
【0034】
図2に示すように、DSV23の開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御は、イグニッションスイッチ30のONにより開始し、始めにステップS10では、DSV出力ピンは正常か否かを判別する。DSV23の出力ピンが正常であるか否かは、例えば、DSV23の出力が正常時においての出力範囲内であるか否かによって判別すればよい。DSV23の出力ピンが正常である場合には、ステップS20に進む。DSV23の出力ピンが異常である場合には、本ルーチンを終了する。
【0035】
ステップS20では、内燃機関1を始動させる。そしてステップS30に進む。
【0036】
ステップS30では、内燃機関1が始動完了したか否かを判別する。例えばエンジン回転速度N(rpm)を入力し、エンジン回転速度Nが所定値N1以上である場合にエンジン始動完了したと判定すればよい。所定値N1は、例えばエンジンが作動状態である場合の最低値付近に設定すればよい。エンジン始動完了した場合には、ステップS40に進む。エンジン始動完了していない場合には、本ルーチンを終了する。
【0037】
ステップS40では、エンジン回転速度Nが所定値N2以上であるか否かを判別する。所定値N2は、車両減速時に燃料カットするエンジン回転速度の閾値に設定すればよい。エンジン回転速度Nが所定値N2以上である場合には、ステップS50に進む。エンジン回転速度Nが所定値N2未満である場合には、ステップS110に進む。
【0038】
ステップS50では、適宜設定された所定時間内で燃料カットされた回数ncが適宜設定された所定値nc1以上であるか否かを判別する。燃料カットされた回数ncが所定値nc1以上である場合にはステップS60に進む。燃料カットされた回数ncが所定値nc1未満である場合には、ステップS50を繰り返す。
【0039】
ステップS60では、強制ISCを実行する、即ちISC補正値Cdiscを強制的に低下させる。そして、ステップS70に進む。
【0040】
ステップS70では、ISC補正値CdiscがISC補正値判定下限値Cdisc1(第1所定値)以下であるか否かを判別する。ISC補正値判定下限値Cdisc1は、DSV23の異常時(DSV開固着または空気量過剰)であることを判定するための閾値であり、正常時におけるISC補正値Cdiscの下限値付近に設定すればよい。ISC補正値CdiscがISC補正値判定下限値Cdisc1以下である場合には、ステップS80に進む。ISC補正値CdiscがISC補正値判定下限値Cdisc1より大きい合には、本ルーチンを終了する。
【0041】
ステップS80では、エンジン回転速度Nが所定値N3(第1所定回転速度)以上であるか否かを判定する。所定値N3は、アイドル時の回転速度の許容範囲の上限値付近に適宜設定すればよい。エンジン回転速度Nが所定値N3以上である場合には、ステップS90に進む。エンジン回転速度Nが所定値N3未満である場合には、ステップS100に進む。
【0042】
ステップS90では、DSV23が開固着している開固着故障判定をする。そして、本ルーチンを終了する。
【0043】
ステップS100では、DSV23の故障により空気量が過剰状態である空気量過剰故障判定をする。なお、空気量過剰故障判定では、エンジン回転速度Nは目標アイドル回転数の許容範囲内に維持されている。そして、本ルーチンを終了する。
【0044】
ステップS110では、エンジン回転速度Nが所定値N4以上であることが適宜設定された所定時間継続しているか否かを判別する。所定値N4は、所定値N2以下の値に適宜設定すればよい。エンジン回転速度Nが所定値N4以上であることが所定時間継続している場合には、ステップS60に進む。エンジン回転速度Nが所定値N4以上であることが所定時間継続していない場合には、本ルーチンを終了する。
【0045】
ステップS120では、DSV23が天絡または地絡または断線している故障状態であると判定する。そして、本ルーチンを終了する。
【0046】
図3に示すように、DSV23の閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御は、図2に示す上記DSV23の開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御におけるステップS10~30及びステップS120は同一である。ステップS30において、エンジン始動完了している場合には、ステップS200に進む。エンジン始動完了していない場合には、ステップS250に進む。
【0047】
ステップS200では、エンジン回転速度Nが所定値N5以下であるか否かを判別する。所定値N5は、アイドル時の回転速度の許容範囲の下限値付近に適宜設定すればよい。エンジン回転速度Nが所定値N5以下である場合には、ステップS210に進む。エンジン回転速度Nが所定値N5より大きい場合には本ルーチンを終了する。
【0048】
ステップS210では、エンジン回転速度Nが所定値N5以下であることが適宜設定された所定時間以上継続したか否かを判別する。エンジン回転速度Nが所定値N5以下であることが所定時間以上継続した場合にはステップS220に進む。エンジン回転速度Nが所定値N5以下であることが所定時間以上継続していない場合には、本ルーチンを繰り返す。
【0049】
ステップS220では、強制ISCを実行する、本ステップではISC補正値Cdiscを強制的に増加させる。そして、ステップS230に進む。
【0050】
ステップS230では、DSV23のDuty値が所定値D1以下であるか否かを判別する。所定値D1は、アイドル時に空気量不足となるようなDuty値の下限値付近に設定すればよい。DSV23のDuty値が所定値D1以下である場合には、本ルーチンを終了する。DSV23のDuty値が所定値D1より大きい場合には、ステップS240に進む。
【0051】
なお、DSV23のDuty値は、ISC補正値Cdiscが増加するに伴って増加するものである。したがって、本ステップはISC補正値CdiscがISC補正値判定上限値Cdisc2(第2所定値)以下であるか否かを判別することに相当する。
【0052】
ステップS240では、DSV23の故障により空気量が不足状態である空気量不足故障判定をする。なお、空気量不足故障判定では、エンジン回転速度Nは目標アイドル回転速度の許容範囲内に維持されている。そして、本ルーチンを終了する。
【0053】
ステップS250では、吸気センサユニット60より吸気通路17内の圧力を入力し、吸気通路内ボトム圧(負圧)が正常時の値(正常範囲)未満であるか否かを判別する。吸気通路内ボトム圧が正常範囲未満である場合には、ステップS260に進む。吸気通路内ボトム圧が正常範囲内である場合には、本ルーチンを終了する。
【0054】
ステップS260では、イグニッションスイッチ30のオンからの内燃機関1の始動不能回数が適宜設定された所定回数以上であるか否かを判別する。内燃機関1の始動不能回数が所定回数以上である場合には、ステップS270に進む。内燃機関1の始動不能回数が所定回数未満である場合には、ステップS260を繰り返す。
【0055】
ステップS270では、DSV23が閉固着している閉固着故障判定をする。そして、本ルーチンを終了する。
【0056】
以上のように、本実施形態では、内燃機関1の始動時におけるアイドル時において、ISC補正値Cdiscとエンジン回転速度N(内燃機関1の回転速度)に基づいて、DSV23の故障判定を行う。
【0057】
図4に示すように、ISC補正値CdiscがISC補正値判定下限値Cdisc1以下の場合にDSV23が故障であると判定する。更にエンジン回転速度Nが目標アイドル回転速度の上限値付近に設定された所定値N3以上である場合、即ちISC補正値Cdiscが大幅に低下し、それでもエンジン回転速度Nが目標アイドル回転数の許容範囲より高い場合には、DSV23は開固着状態であると判定する。またエンジン回転速度Nが所定値N3未満である場合、即ちエンジン回転速度Nが目標アイドル回転速度の許容範囲内であるものの、ISC補正値Cdiscが大幅に低下している場合には、空気量過剰状態であると判定する。
【0058】
また、ISC補正値CdiscがISC補正値判定上限値Cdisc2以上の場合にDSV23が故障状態(空気量不足状態あるいは閉固着状態)であると判定する。但し、DSV23が閉固着状態であると始動できないので、吸気菅内ボトム圧が正常範囲未満であることと始動不能回数が数回以上になった場合に、DSV23が開固着状態であると判定する。
【0059】
本実施形態に係る内燃機関1には、吸気通路17に設けられたスロットルバルブ20をバイパスするバイパス路22の開度を調整してアイドル時の吸気量を調整するアイドルスピードコントロールバルブとしてDSV23が備えられており、アイドル時の実回転速度を目標アイドル回転速度になるようにフィードバック制御を行うアイドル制御部65が備えられている。
【0060】
本実施形態では、アイドルスピードコントロールバルブがDSV23(デューティソレノイドバルブ)であることから、アイドル制御部65におけるフィードバック制御値であるISC補正値Cdiscが増加することでDSV23のDuty比が増加するように制御される。
【0061】
本実施形態では、このアイドル制御部65において演算される実回転速度と目標アイドル回転速度との差に基づくISC補正値Cdisc(アイドルスピードコントロール補正値)を利用して、DSV23の故障判定を行う。
【0062】
故障判定部66は、ISC補正値CdiscがISC補正値判定下限値Cdisc1(第1所定値)以下の場合に、DSV23が開固着故障またはバイパス路22を過剰に吸気が通過している状態である空気量過剰状態故障であると判定する。これは、アイドル時のエンジン回転速度Nを低下させるようにISC補正値Cdiscが低下している状態であり、このISC補正値Cdiscが許容範囲の下限値であるISC補正値判定下限値Cdisc1以下に低下している状態である。このような場合にはDSV23が開固着故障、またはバイパス路を過剰に吸気量が通過している状態である空気量過剰状態故障であると判定することができる。
【0063】
更に、ISC補正値CdiscがISC補正値判定下限値Cdisc1(第1所定値)以下であって、かつエンジン回転速度Nが所定値N3(第1所定回転速度)以上の場合には、開固着故障と判定し、ISC補正値CdiscがISC補正値判定下限値Cdisc1以下であって、かつ内燃機関1の回転速度が第1所定回転速度未満の場合には、空気量過剰状態故障と判定する。
【0064】
このように、ISC補正値Cdiscとエンジン回転速度Nとを用いることで、アイドル時のエンジン回転速度Nを目標回転速度に制御できない開固着故障状態と、アイドル時のエンジン回転速度Nを目標回転速度に制御できるものの中間開度で固着あるいは閉状態に制御できないような空気量過剰状態故障とに判別することができる。
【0065】
また、ISC補正値CdiscがISC補正値判定上限値Cdisc2(第2所定値)以上である場合には、バイパス路22を通過する吸気量が不足状態である空気量不足状態故障であることを判定する。これは、アイドル時のエンジン回転速度Nを上昇させるようにISC補正値Cdiscが増加している状態であり、このISC補正値Cdiscが許容範囲の上限値であるISC補正値判定上限値Cdisc2以上に上昇している状態である。このような場合にはバイパス路22を通過する吸気量が不足している状態である空気量不足状態故障であると判定することができる。
【0066】
また、内燃機関1が始動できず、吸気圧が正常範囲より低い場合には、DSV23が閉固着状態であると判定することができる。
【0067】
以上のように、本実施形態では、ISC補正値Cdiscを使用することでDSV23の機械的な故障状態を容易に判定することができる。また、エンジン回転速度Nを合わせて使用することで、開固着故障と空気量過剰状態故障とを区別することができる。
【0068】
次に、ステッピングモータで駆動するステッピングモータバルブ(以下、STM70という)をアイドルスピードコントロールバルブとした使用した内燃機関1において、STM70の故障判定制御について説明する。なお、STM70は、ステップ数が増加することで開度が増加し、ステップ数が減少することで開度が低下する。更に、STM70は、機械的にステップ値の上限値及び下限値を有している。STM70におけるISC補正値をCsiscとする。
【0069】
図5は、STM70の開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御の制御手順を示すフローチャートである。図6は、STM70の閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御の制御手順を示すフローチャートである。図7は、STM70の故障判定領域を示す説明図である。
【0070】
図5に示す開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御及び図6に示す閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御は、イグニッションスイッチ30のオン直後のアイドル運転時に順次行われる。
【0071】
以下、上記DSV23の開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御、及び閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御と異なる点のみ説明する。
【0072】
図5に示すように、STM70の開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御は、図2に示すDSV23の開固着判定及び吸気量過剰故障判定制御のステップS60の後にステップS300に進む。
【0073】
ステップS300では、ISC補正値CsiscがISC補正値判定下限値Csisc1(第1所定値)以下であるか否かを判別する。ISC補正値判定下限値Csisc1は、STM70の異常時(STM開固着または空気量過剰)であることを判定するための閾値であり、正常時におけるISC補正値Csiscの下限値付近に設定すればよい。ISC補正値CsiscがISC補正値判定下限値Csisc1以下である場合には、ステップS310に進む。ISC補正値CsiscがISC補正値判定下限値Csisc1より大きい場合には、本ルーチンを終了する。
【0074】
ステップS310では、STM70のステップ値が機械的なリミット値に到達したか(以下であるか)否かを判別する。STM70のステップ値が機械的なリミット値以下である場合には、ステップS320に進む。STM70のステップ値が機械的なリミット値より大きい場合には、ステップS330に進む。
【0075】
ステップS320では、STM70が開固着している開固着故障判定をする。そして、本ルーチンを終了する。
【0076】
ステップS330では、STM70の故障により空気量が過剰状態である空気量過剰故障判定をする。なお、空気量過剰故障判定では、エンジン回転速度Nは目標アイドル回転速度の許容範囲内に維持されている。そして、本ルーチンを終了する。
【0077】
図6に示すように、STM70の閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御は、図3に示す上記DSV23の閉固着判定及び吸気量不足故障判定制御におけるステップS10~30、ステップS120、S250、S260は同一である。ステップS30において、エンジン始動完了している場合には、ステップS400に進む。
【0078】
ステップS400では、ISC補正値CsiscがISC補正値判定上限値Csisc2(第2所定値)以上であるか否かを判別する。ISC補正値判定上限値Csisc2は、STM70の異常時(STM閉固着または空気量不足)であることを判定するための閾値であり、正常時におけるISC補正値の上限値付近に設定すればよい。ISC補正値CsiscがISC補正値判定上限値Csisc2以上である場合には、ステップS410に進む。ISC補正値CsiscがISC補正値判定上限値Csisc2未満である場合には、本ルーチンを終了する。
【0079】
ステップS410では、ISC補正値CsiscがISC補正値判定上限値Csisc2以上であることが、適宜設定された所定時間継続しているか否かを判別する。ISC補正値CsiscがISC補正値判定上限値Csisc2以上であることが所定時間継続している場合には、ステップS420に進む。ISC補正値CsiscがISC補正値判定上限値Csisc2以上であることが所定時間継続していない場合には、ステップS410を繰り返す。
【0080】
ステップS420では、強制ISCを実行する、本ステップではISC補正値Csiscを強制的に増加させる。そして、ステップS430に進む。
【0081】
ステップS430では、STM70のステップ値が機械的リミット値に到達したか(以上になったか)否かを判別する。STM70のステップ値が機械的リミット値以上になった場合には、本ルーチンを終了する。STM70のステップ値が機械的リミット値以上になった場合には、ステップS440に進む
【0082】
ステップS440では、STM70の故障により空気量が不足状態である空気量不足故障判定をする。なお、空気量不足故障判定では、エンジン回転速度Nは目標アイドル回転速度の許容範囲内に維持されている。そして、本ルーチンを終了する。
【0083】
ステップS260において、エンジンの始動不能回数が所定回数以上である場合には、ステップS450に進む。
ステップS450では、STM70が閉固着している閉固着故障判定をする。そして、本ルーチンを終了する。
【0084】
図7に示すように、ISC補正値CsiscがISC補正値判定下限値Csisc1以下の場合にSTM70が故障状態(空気量過剰状態)であると判定する。更に、ISC補正値Csiscが低下し、STM70のステップ値が機械的リミット値以下になった場合にSTM70は開固着状態であると判定する。
【0085】
また、ISC補正値CsiscがISC補正値の上限値以上の場合にSTM70が空気量不足状態であると判定する。更に、ISC補正値Csiscが上昇し、STM70のステップ値が機械的リミット値(上限値)以上になった場合にSTM70は閉固着状態であると判定する。
【0086】
以上のように、本実施形態では、アイドルコントロールバルブとして、ステッピングモータにより駆動されるバルブであるSTM70が備えられている。
【0087】
本実施形態では、ISC補正値Csiscが増加することで、STM70の開度を段階的に増加させるステップ値が増加するように制御されており、アイドル時の実回転速度を目標アイドル回転速度になるようにフィードバック制御を行うアイドル制御部65が備えられている。
【0088】
本実施形態では、アイドル制御部65において演算されるISC補正値Csiscを利用して、STM70の故障判定を行う。
【0089】
故障判定部66は、ISC補正値CsiscがISC補正値判定下限値Csisc1(第3所定値)以下の場合に、バイパス路22を過剰に吸気が通過している状態である空気量過剰状態故障であると判定する。これは、アイドル時のエンジン回転速度Nを低下させるようにISC補正値Csiscが低下している状態であり、このISC補正値Csiscが許容範囲の下限値であるISC補正値判定下限値Csisc1以下に低下している状態である。このような場合にはSTM70が空気量過剰状態故障であると判定することができる。
【0090】
更に、STM70のステップ値が機械的なリミット値以下に到達した場合には、STM70が開固着故障であると判定する。これは、アイドル時のエンジン回転速度Nが大幅に高くこれを目標アイドル回転速度に低下させようとISC補正値Csiscが大幅に(ISC補正値判定下限値Csisc1よりも低い値Csisc min(第4所定値))以下に低下している状態である。ISC補正値Csiscが低下するに伴ってSTM70のステップ数が低下するが、機械的なリミット値以下に到達した場合には、STM70が開固着故障であると判定することができる。
【0091】
故障判定部66は、ISC補正値CsiscがISC補正値判定上限値Csisc2(第5所定値)以上の場合に、バイパス路22を通過する吸気量が不足状態である空気量不足状態故障であると判定する。これは、アイドル時のエンジン回転速度Nを上昇させるようにISC補正値Csiscが増加している状態であり、このISC補正値Csiscが許容範囲の上限値であるISC補正値判定上限値Csisc2以上に上昇している状態である。このような場合にはSTM70が空気量不足状態故障であると判定することができる。
【0092】
また、内燃機関1が始動できず、吸気圧が正常範囲より低い場合には、STM70が閉固着状態であると判定することができる。
【0093】
以上のように、本実施形態では、ISC補正値Csiscを使用することでSTM70の機械的な故障状態を容易に判定することができる。
【0094】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、各種判定用の閾値等の詳細な条件や制御について、適宜変更してもよい。
【0095】
また上記実施形態では、2輪自動車の内燃機関1に備えられたDSV23やSTM70に対して本発明を適用したが、各種内燃機関のアイドルスピードコントロールバルブに本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 エンジン(内燃機関)
17 吸気通路
20 スロットルバルブ
22 バイパス路
23 DSV(アイドルスピードコントロールバルブ)
50 メインコントロールユニット
60 吸気センサユニット(吸気圧検出部)
65 アイドル制御部
66 故障判定部(故障判定装置)
70 STM(アイドルスピードコントロールバルブ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7