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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092512
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】スピーカシステム及び移動体
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240701BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20240701BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B60R11/02 S
B60R11/02 W
H04R1/02 102B
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208500
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鯖戸 隆史
【テーマコード(参考)】
3D020
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
3D020BA06
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC03
3D020BC05
3D020BC11
3D020BD03
3D020BD05
3D020BE04
5D017AE12
5D017AE18
5D220AA50
(57)【要約】
【課題】移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができるスピーカシステムを提供する。
【解決手段】スピーカシステム2は、第1の前席6の前方に配置される第1のスピーカユニット40等を備える。第1のスピーカユニット40は、ボイスコイル78が内蔵された携帯端末48を保持可能な保持部58と、保持部58に保持された携帯端末48のボイスコイル78に対向するように配置され、ボイスコイル78で発生した磁界に起因する電磁誘導により音声信号を生成する一対のセンサコイル62a,62bと、音声信号に基づく音声を、当該第1のスピーカユニット40に対応する第1の前席6に向けて出力する一対のスピーカ64a,64bとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座席が搭載された移動体の室内に配置されるスピーカシステムであって、
前記複数の座席の各々の前方又は側方にそれぞれ配置される複数のスピーカユニットを備え、
前記複数のスピーカユニットの各々は、
ボイスコイルが内蔵された携帯端末を保持可能な保持部と、
前記保持部に保持された前記携帯端末の前記ボイスコイルに対向するように配置され、前記ボイスコイルで発生した磁界に起因する電磁誘導により音声信号を生成するセンサコイルと、
前記音声信号に基づく音声を、前記複数の座席のうち当該スピーカユニットに対応する座席に向けて出力するスピーカと、を有する
スピーカシステム。
【請求項2】
前記複数のスピーカユニットの各々は、さらに、前記携帯端末を前記保持部に対して位置決めするための位置決め部を有する
請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項3】
前記複数のスピーカユニットの各々は、さらに、前記センサコイルからの前記音声信号に含まれるノイズを除去するためのフィルタを有する
請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項4】
前記移動体は、インストルメントパネルを有する車両であり、
前記複数の座席は、
第1の前席と、
前記第1の前席と横並びの第2の前席と、
前記第1の前席の後方に配置された第1の後席と、
前記第2の前席の後方に配置された第2の後席と、を含み、
前記複数のスピーカユニットは、
前記第1の前席の前方に面する前記インストルメントパネルの領域に配置された第1のスピーカユニットと、
前記第2の前席の前方に面する前記インストルメントパネルの領域に配置された第2のスピーカユニットと、
前記第1の後席の前方に面する前記第1の前席の背面に配置された第3のスピーカユニットと、
前記第2の後席の前方に面する前記第2の前席の背面に配置された第4のスピーカユニットと、を含む
請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項5】
前記移動体は、第1の前側ドア、第2の前側ドア、第1の後側ドア及び第2の後側ドアを有する車両であり、
前記複数の座席は、
第1の前席と、
前記第1の前席と横並びの第2の前席と、
前記第1の前席の後方に配置された第1の後席と、
前記第2の前席の後方に配置された第2の後席と、を含み、
前記複数のスピーカユニットは、
前記第1の前席の側方に面する前記第1の前側ドアに配置された第1のスピーカユニットと、
前記第2の前席の側方に面する前記第2の前側ドアに配置された第2のスピーカユニットと、
前記第1の後席の側方に面する前記第1の後側ドアに配置された第3のスピーカユニットと、
前記第2の後席の側方に面する前記第2の後側ドアに配置された第4のスピーカユニットと、を含む
請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項6】
複数の座席と、
前記複数の座席の各々の前方又は側方にそれぞれ配置された、請求項1~5のいずれか1項に記載の複数のスピーカシステムと、を備える
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スピーカシステム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の車室内に搭載されるスピーカシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のスピーカシステムは、車両のインストルメントパネルに配置されたヘッドユニットと、車両の複数のドアの各内側にそれぞれ配置された複数のスピーカとを備えている。搭乗者のスマートフォン等の携帯端末とヘッドユニットとをBluetooth(登録商標)等で無線接続することにより、携帯端末で再生された音楽等の音声が複数のスピーカから同時に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015-510309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のスピーカシステムでは、車両に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができないという課題が生じる。
【0005】
そこで、本開示は、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができるスピーカシステム及び移動体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るスピーカシステムは、複数の座席が搭載された移動体の室内に配置されるスピーカシステムであって、前記複数の座席の各々の前方又は側方にそれぞれ配置される複数のスピーカユニットを備え、前記複数のスピーカユニットの各々は、ボイスコイルが内蔵された携帯端末を保持可能な保持部と、前記保持部に保持された前記携帯端末の前記ボイスコイルに対向するように配置され、前記ボイスコイルで発生した磁界に起因する電磁誘導により音声信号を生成するセンサコイルと、前記音声信号に基づく音声を、前記複数の座席のうち当該スピーカユニットに対応する座席に向けて出力するスピーカと、を有する。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係るスピーカシステムによれば、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るスピーカシステムが搭載された車両の車室内を示す概略図である。
図2】携帯端末を保持する前の状態での、実施の形態1に係る第1のスピーカユニットを示す斜視図である。
図3】携帯端末を保持した状態での、実施の形態1に係る第1のスピーカユニットを示す斜視図である。
図4図3のIV-IV線による、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット及び携帯端末の概略断面図である。
図5図4のV-V線による、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット及び携帯端末の概略断面図である。
図6】実施の形態1に係る第1のスピーカユニットの機能構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態2に係るスピーカシステムが搭載された車両の車室内を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の態様に係るスピーカシステムは、複数の座席が搭載された移動体の室内に配置されるスピーカシステムであって、前記複数の座席の各々の前方又は側方にそれぞれ配置される複数のスピーカユニットを備え、前記複数のスピーカユニットの各々は、ボイスコイルが内蔵された携帯端末を保持可能な保持部と、前記保持部に保持された前記携帯端末の前記ボイスコイルに対向するように配置され、前記ボイスコイルで発生した磁界に起因する電磁誘導により音声信号を生成するセンサコイルと、前記音声信号に基づく音声を、前記複数の座席のうち当該スピーカユニットに対応する座席に向けて出力するスピーカと、を有する。
【0011】
本態様によれば、複数の座席にそれぞれ着座している複数の搭乗者の各々は、自分の好みの音楽等を聴きたい場合に、携帯端末を当該搭乗者が着座している座席に対応するスピーカユニットの保持部に保持することにより、当該スピーカユニットのスピーカからの音楽等の音声が当該座席に向けて出力される。これにより、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0012】
また、本開示の第2の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様において、前記複数のスピーカユニットの各々は、さらに、前記携帯端末を前記保持部に対して位置決めするための位置決め部を有するように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、位置決め部が携帯端末を保持部に対して位置決めするので、例えば移動体が移動時に振動した場合等であっても、携帯端末のボイスコイルとセンサコイルとの位置関係を保持することができる。
【0014】
また、本開示の第3の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様又は第2の態様において、前記複数のスピーカユニットの各々は、さらに、前記センサコイルからの前記音声信号に含まれるノイズを除去するためのフィルタを有するように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、フィルタがセンサコイルからの音声信号に含まれるノイズを除去するので、スピーカから出力される音声をクリアに保つことができる。
【0016】
また、本開示の第4の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様~第3の態様のいずれか一態様において、前記移動体は、インストルメントパネルを有する車両であり、前記複数の座席は、第1の前席と、前記第1の前席と横並びの第2の前席と、前記第1の前席の後方に配置された第1の後席と、前記第2の前席の後方に配置された第2の後席と、を含み、前記複数のスピーカユニットは、前記第1の前席の前方に面する前記インストルメントパネルの領域に配置された第1のスピーカユニットと、前記第2の前席の前方に面する前記インストルメントパネルの領域に配置された第2のスピーカユニットと、前記第1の後席の前方に面する前記第1の前席の背面に配置された第3のスピーカユニットと、前記第2の後席の前方に面する前記第2の前席の背面に配置された第4のスピーカユニットと、を含むように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、第1のスピーカユニット、第2のスピーカユニット、第3のスピーカユニット及び第4のスピーカユニットをそれぞれ、車両の第1の前席、第2の前席、第1の後席及び第2の後席の各前方に配置することができる。
【0018】
また、本開示の第5の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様~第3の態様のいずれか一態様において、前記移動体は、第1の前側ドア、第2の前側ドア、第1の後側ドア及び第2の後側ドアを有する車両であり、前記複数の座席は、第1の前席と、前記第1の前席と横並びの第2の前席と、前記第1の前席の後方に配置された第1の後席と、前記第2の前席の後方に配置された第2の後席と、を含み、前記複数のスピーカユニットは、前記第1の前席の側方に面する前記第1の前側ドアに配置された第1のスピーカユニットと、前記第2の前席の側方に面する前記第2の前側ドアに配置された第2のスピーカユニットと、前記第1の後席の側方に面する前記第1の後側ドアに配置された第3のスピーカユニットと、前記第2の後席の側方に面する前記第2の後側ドアに配置された第4のスピーカユニットと、を含むように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、第1のスピーカユニット、第2のスピーカユニット、第3のスピーカユニット及び第4のスピーカユニットをそれぞれ、車両の第1の前席、第2の前席、第1の後席及び第2の後席の各側方に配置することができる。
【0020】
また、本開示の第6の態様に係る移動体は、複数の座席と、前記複数の座席の各々の前方又は側方にそれぞれ配置された、第1の態様~第5の態様のいずれか一態様に係る複数のスピーカシステムと、を備える。
【0021】
本態様によれば、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0022】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0023】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0024】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0025】
(実施の形態1)
[1-1.スピーカシステムの概要]
まず、図1を参照しながら、実施の形態1に係るスピーカシステム2の概要について説明する。図1は、実施の形態1に係るスピーカシステム2が搭載された車両4の車室内を示す概略図である。
【0026】
なお、図1において、車両4の左右方向をX軸、車両4の前後方向をY軸、車両4の上下方向をZ軸とする。また、本明細書において、X軸のプラス側を「右」、X軸のマイナス側を「左」、Y軸のプラス側を「前」、Y軸のマイナス側を「後」、Z軸のプラス側を「上」、Z軸のマイナス側を「下」とする。
【0027】
図1に示すように、スピーカシステム2は、例えば自動車等の車両4(移動体の一例)の車室内(移動体の室内の一例)に配置されている。本実施の形態では、車両4は、右ハンドルの自動車である。
【0028】
車両4の車室内における前方(Y軸のプラス側)には、第1の前席6(座席の一例)及び第2の前席8(座席の一例)が横並びで搭載されている。第1の前席6は例えば運転席であり、第1の前席6には第1の搭乗者10(運転者)が着座している。第2の前席8は例えば助手席であり、第2の前席8には第2の搭乗者12が着座している。第1の前席6と第2の前席8との間には、フロントセンターコンソール14が配置されている。
【0029】
なお、本明細書において、「横並び」とは、第1の前席6に着座している第1の搭乗者10と、第2の前席8に着座している第2の搭乗者12とがともに同じ方向(例えばY軸のプラス側)を向くように、第1の前席6と第2の前席8とが横方向(例えばX軸方向)に並ぶ配置をいう。
【0030】
また、車両4の車室内において、第1の前席6及び第2の前席8の各前方には、インストルメントパネル16が配置されている。第1の前席6の前方に面するインストルメントパネル16の領域には、速度計及び燃料計等を有する計器盤18が配置されている。また、第2の前席8の前方に面するインストルメントパネル16の領域には、グローブボックス20が配置されている。
【0031】
また、車両4の車室内における後方(Y軸のマイナス側)には、第1の後席22(座席の一例)及び第2の後席24(座席の一例)が横並びで搭載されている。第1の後席22は第1の前席6の後方に配置され、第1の後席22には第3の搭乗者26が着座している。第2の後席24は第2の前席8の後方に配置され、第2の後席24には第4の搭乗者28が着座している。第1の後席22と第2の後席24との間には、リアセンターコンソール30が配置されている。
【0032】
また、車両4には、第1の前側ドア32、第2の前側ドア34、第1の後側ドア36及び第2の後側ドア38が配置されている。第1の前側ドア32は、車両4の前方に向かって第1の前席6の右側方(X軸のプラス側)に面するように配置されている。第2の前側ドア34は、車両4の前方に向かって第2の前席8の左側方(X軸のマイナス側)に面するように配置されている。第1の後側ドア36は、車両4の前方に向かって第1の後席22の右側方に面するように配置されている。第2の後側ドア38は、車両4の前方に向かって第2の後席24の左側方に面するように配置されている。
【0033】
スピーカシステム2は、第1のスピーカユニット40、第2のスピーカユニット42、第3のスピーカユニット44及び第4のスピーカユニット46(複数のスピーカユニットの一例)を備えている。なお、第1のスピーカユニット40、第2のスピーカユニット42、第3のスピーカユニット44及び第4のスピーカユニット46は、同一の構成を有している。
【0034】
第1のスピーカユニット40は、第1の前席6の前方に面するインストルメントパネル16の領域(例えば、計器盤18等)に配置されており、第1の前席6に向けて第1の音声を出力する。第1の音声は、第1の搭乗者10が携帯しているスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末48で実行された第1のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第1のアプリケーションは音楽プレーヤであり、第1の音声は音楽の音声である。
【0035】
また、第2のスピーカユニット42は、第2の前席8の前方に面するインストルメントパネル16の領域(例えば、グローブボックス20等)に配置されており、第2の前席8に向けて第2の音声を出力する。第2の音声は、第2の搭乗者12が携帯しているスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末50で実行された第2のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第2のアプリケーションはラジオであり、第2の音声はラジオ番組の音声である。
【0036】
また、第3のスピーカユニット44は、第1の後席22の前方に面する第1の前席6の背面に配置されており、第1の後席22に向けて第3の音声を出力する。第3の音声は、第3の搭乗者26が携帯しているスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末52で実行された第3のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第3のアプリケーションはテレビであり、第3の音声はテレビ番組の音声である。
【0037】
また、第4のスピーカユニット46は、第2の後席24の前方に面する第2の前席8の背面に配置されており、第2の後席24に向けて第4の音声を出力する。第4の音声は、第4の搭乗者28が携帯しているスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末54で実行された第4のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第4のアプリケーションはゲームであり、第4の音声はゲームの音声である。
【0038】
なお、上述した第1の音声、第2の音声、第3の音声及び第4の音声は、互いに異なる音声である。
【0039】
[1-2.第1のスピーカユニットの構成]
上述したように、第1のスピーカユニット40、第2のスピーカユニット42、第3のスピーカユニット44及び第4のスピーカユニット46は同一の構成を有しているので、以下、図2図5を参照しながら、第1のスピーカユニット40の構成についてのみ説明する。
【0040】
図2は、携帯端末48を保持する前の状態での、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット40を示す斜視図である。図3は、携帯端末48を保持した状態での、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット40を示す斜視図である。図4は、図3のIV-IV線による、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット40及び携帯端末48の概略断面図である。図5は、図4のV-V線による、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット40及び携帯端末48の概略断面図である。
【0041】
図2図5に示すように、第1のスピーカユニット40は、筐体56と、保持部58と、位置決め部60と、一対のセンサコイル62a,62bと、一対のスピーカ64a,64bとを備えている。
【0042】
筐体56は、中空状の箱状に形成されている。筐体56は、第1の前席6の前方に面するインストルメントパネル16の領域(例えば、計器盤18等)に配置されている。筐体56の第1の前席6に面する側面には、円形状の一対の開口部66a,66bが形成されている。一対の開口部66a,66bは、車両4(図1参照)の左右方向(X軸方向)に間隔を置いて配置されている。
【0043】
保持部58は、携帯端末48を保持するためのものであり、筐体56の上側に配置されている。保持部58は、支持板68と、ガイド部70とを有している。支持板68は、XZ側面視で略矩形状に形成され、筐体56の上面における一端部(Y軸のプラス側における端部)から上方に立設している。ガイド部70は、XY平面視で略コの字状に形成され、支持板68の第1の前席6に面する側面における下端部に接続されている。支持板68とガイド部70との間には、携帯端末48の下端部を挿通可能なスロット部72が形成されている。スロット部72の上端部は開口され、且つ、スロット部72の下端部は閉塞されている。
【0044】
図2に示すように、携帯端末48は、長方形の板状に形成されている。携帯端末48の主面には、タッチパネルディスプレイ74が配置されている。また、携帯端末48の主面の下端部には、物理ボタン76が配置されている。
【0045】
図3に示すように、携帯端末48の主面が第1の搭乗者10側を向くようにして、携帯端末48の下端部を上方からスロット部72に挿通した際には、携帯端末48の下端部は、スロット部72の閉塞された下端部に接触する。この時、支持板68は携帯端末48の背面(主面と反対側の面)を支持し、且つ、ガイド部70は携帯端末48の主面における下端部をガイドする。これにより、携帯端末48が立設した状態で保持部58に保持される。第1の搭乗者10(図1参照)は、携帯端末48が保持部58に保持された状態で、携帯端末48のタッチパネルディスプレイ74をタッチ操作することができる。
【0046】
なお、図示しないが、スロット部72の閉塞された下端部には、携帯端末48を充電するための充電用端子が配置されていてもよい。この場合、携帯端末48の下端部をスロット部72に挿通した際に、携帯端末48の下端部に配置された接続端子(図示せず)と充電用端子とが電気的に接続されることにより、携帯端末48のバッテリへの充電を行うことができる。
【0047】
また、図2に示すように、携帯端末48の内部には、マイクロスピーカを構成するボイスコイル78及び振動板(図示せず)が収容されている。ボイスコイル78は、携帯端末48の長手方向における中央部よりも下端部側(物理ボタン76側)に偏った位置に配置されている。ボイスコイル78に音声信号を示す電流が流れた際に、ボイスコイル78が音声信号に応じて振動する。この時、ボイスコイル78で磁界が発生する。ボイスコイル78の振動が振動板に伝達されることにより、携帯端末48のマイクロスピーカから音声が出力される。なお、携帯端末50,52,54(図1参照)の各々は、携帯端末48と同一の構成を有している。
【0048】
位置決め部60は、携帯端末48を保持部58に対して位置決めするためのものである。位置決め部60は、ガイド部70の両端部の各内側面により規定される。すなわち、一対の位置決め部60は、車両4の左右方向に、互いに対向して配置される。携帯端末48の下端部をスロット部72に挿通した際に、携帯端末48の下端部における両側面がそれぞれ一対の位置決め部60に接触(又は近接)することにより、携帯端末48が保持部58に対して位置決めされる。
【0049】
このように携帯端末48が保持部58に対して位置決めされた状態では、携帯端末48のボイスコイル78は、一対のセンサコイル62a,62bに対向するように配置される。これにより、例えば車両4が走行時に振動した場合等であっても、ボイスコイル78と一対のセンサコイル62a,62bとの位置関係を保持することができる。
【0050】
一対のセンサコイル62a,62bは、保持部58の支持板68の内部に配置されている。具体的には、一対のセンサコイル62a,62bは、支持板68の中央部よりも下端部側に偏った位置に配置され、且つ、車両4の左右方向に間隔を置いて配置されている。
【0051】
図4及び図5に示すように、携帯端末48を保持部58に保持した際には、携帯端末48のボイスコイル78は、一対のセンサコイル62a,62bに対向するように配置される。この状態で、携帯端末48のマイクロスピーカから音声が出力された際には、ボイスコイル78で発生した磁界に起因して、一対のセンサコイル62a,62bの各々で電磁誘導が発生する。この時、携帯端末48のマイクロスピーカから出力される音声の音量は、例えば最小の音量(ミュートを除く)でも構わない。
【0052】
これにより、一対のセンサコイル62a,62bの各々には、電磁誘導によって音声信号を示す電流が流れる。すなわち、一対のセンサコイル62a,62bの各々は、電磁誘導により、携帯端末48のマイクロスピーカから出力されている音声を示す音声信号を生成する。センサコイル62aは、生成した音声信号をスピーカ64aに出力する。また、センサコイル62bは、生成した音声信号をスピーカ64bに出力する。
【0053】
一対のスピーカ64a,64bは、例えばステレオスピーカであり、筐体56の内部に配置されている。一対のスピーカ64a,64bの各放音面80a,80bはそれぞれ、筐体56の一対の開口部66a,66bを通して筐体56の外部に露出され、第1の前席6を向くように配置されている。これにより、一対のスピーカ64a,64bの各放音面80a,80bからの音声(第1の音声)は、第1の前席6に向けて出力される。なお、一対のスピーカ64a,64bの各放音面80a,80bからの音声は、第1の前席6に向けて強い指向性を有するようにしてもよい。
【0054】
次に、図6を参照しながら、第1のスピーカユニット40の機能構成について説明する。図6は、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット40の機能構成を示すブロック図である。
【0055】
図6に示すように、第1のスピーカユニット40は、機能構成として、一対のセンサコイル62a,62bと、フィルタ82と、アンプ84と、一対のスピーカ64a,64bとを備えている。なお、フィルタ82およびアンプ84は、筐体56(図2参照)の内部に再生ユニットとして配置される。
【0056】
携帯端末48を保持部58に保持した状態で、携帯端末48のマイクロスピーカから音声が出力された際には、一対のセンサコイル62a,62bの各々は、電磁誘導により音声信号を生成し、生成した音声信号をフィルタ82に出力する。
【0057】
フィルタ82は、一対のセンサコイル62a,62bの各々からの音声信号に含まれるノイズを除去する。フィルタ82は、ノイズを除去した音声信号をアンプ84に出力する。
【0058】
アンプ84は、フィルタ82からの音声信号を増幅し、一対のスピーカ64a,64bの各々に出力する。
【0059】
すなわち、携帯端末48を保持部58に保持した状態で、携帯端末48のマイクロスピーカから音声が出力された際には、センサコイル62aは、フィルタ82及びアンプ84を介してスピーカ64aに音声信号を出力し、センサコイル62bは、フィルタ82及びアンプ84を介してスピーカ64bに音声信号を出力する。これにより、一対のスピーカ64a,64bはそれぞれ、一対のセンサコイル62a,62bの各々により生成された音声信号に基づく音声を出力する。
【0060】
[1-3.効果]
図1に示すように、例えば第1の搭乗者10が音楽を鑑賞したい場合には、携帯端末48を第1のスピーカユニット40に保持し、携帯端末48で音楽プレーヤの第1のアプリケーションを実行する。これにより、第1のスピーカユニット40から第1の前席6向けて、第1のアプリケーションにより再生された音楽の音声(第1の音声)が出力される。
【0061】
また、例えば第2の搭乗者12がラジオを聴きたい場合には、携帯端末50を第2のスピーカユニット42に保持し、携帯端末50でラジオの第2のアプリケーションを実行する。これにより、第2のスピーカユニット42から第2の前席8に向けて、第2のアプリケーションにより再生されたラジオ番組の音声(第2の音声)が出力される。
【0062】
また、例えば第3の搭乗者26がテレビ番組を視聴したい場合には、携帯端末52を第3のスピーカユニット44に保持し、携帯端末52でテレビの第3のアプリケーションを実行する。これにより、第3のスピーカユニット44から第1の後席22に向けて、第3のアプリケーションにより再生されたテレビ番組の音声(第3の音声)が出力される。
【0063】
また、例えば第4の搭乗者28がゲームで遊びたい場合には、携帯端末54を第4のスピーカユニット46に保持し、携帯端末54でゲームの第4のアプリケーションを実行する。これにより、第4のスピーカユニット46から第2の後席24に向けて、第4のアプリケーションにより再生されたゲームの音声(第4の音声)が出力される。
【0064】
したがって、本実施の形態では、車両4に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽やラジオ番組等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0065】
(実施の形態2)
図7を参照しながら、実施の形態2に係るスピーカシステム2Aの概要について説明する。図7は、実施の形態2に係るスピーカシステム2Aが搭載された車両4の車室内を示す概略図である。なお、本実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0066】
図7に示すように、実施の形態2に係るスピーカシステム2Aでは、第1のスピーカユニット40A、第2のスピーカユニット42A、第3のスピーカユニット44A及び第4のスピーカユニット46Aの各配置が上記実施の形態1と異なっている。
【0067】
具体的には、第1のスピーカユニット40Aは、車両4の前方に向かって第1の前席6の右側方に面する第1の前側ドア32の車室内側の側面に配置されている。第1のスピーカユニット40Aからの音声(第1の音声)は、第1の前席6に向けて出力される。
【0068】
第2のスピーカユニット42Aは、車両4の前方に向かって第2の前席8の左側方に面する第2の前側ドア34の車室内側の側面に配置されている。第2のスピーカユニット42Aからの音声(第2の音声)は、第2の前席8に向けて出力される。
【0069】
第3のスピーカユニット44Aは、車両4の前方に向かって第1の後席22の右側方に面する第1の後側ドア36の車室内側の側面に配置されている。第3のスピーカユニット44Aからの音声(第3の音声)は、第1の後席22に向けて出力される。
【0070】
第4のスピーカユニット46Aは、車両4の前方に向かって第2の後席24の左側方に面する第2の後側ドア38の車室内側の側面に配置されている。第4のスピーカユニット46Aからの音声(第4の音声)は、第2の後席24に向けて出力される。
【0071】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(他の変形例等)
以上、一つ又は複数の態様に係るスピーカシステム及び移動体について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記各実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を上記各実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0073】
上記各実施の形態では、移動体が車両4である場合について説明したが、これに限定されず、例えば航空機、電車又は船舶等であってもよい。
【0074】
また、上記各実施の形態では、第1のスピーカユニット40(40A)が一対のスピーカ64a,64bを備えるようにしたが、これに限定されず、単一のスピーカを備えるようにしてもよい。この場合、単一のスピーカは、例えばモノラルスピーカとして機能する。
【0075】
また、上記各実施の形態では、位置決め部60をガイド部70の両端部の各内側面により規定したが、これに限定されない。例えば、位置決め部を、支持板68の第1の前席6に面する側面に形成された吸着部で構成してもよい。この場合、携帯端末48の背面が位置決め部である吸着部に吸着されることにより、携帯端末48が保持部58に対して位置決めされる。
【0076】
また、上記各実施の形態において、各搭乗者が自分の好みの音楽やラジオ番組等をそれぞれ同時に楽しむ場合に、他の音が自分のエリアに入ってこないように強い指向性を有する指向性スピーカを用いる以外に、車室内の各エリアを透明なアクリル板等を用いて仕切ることにより、音響的に隔離できる構成としてもよい。
【0077】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したコンピュータプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態に係るスピーカシステム2(2A)の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0079】
上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしても良い。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0080】
本開示は、上記に示す方法であるとしても良い。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、前記コンピュータプログラムを含むデジタル信号であるとしても良い。また、本開示は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ等に記録したものとしても良い。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしても良い。また、本開示は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしても良い。また、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示は、例えば自動車等の車両の車室内に配置されるスピーカシステム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
2,2A スピーカシステム
4 車両
6 第1の前席
8 第2の前席
10 第1の搭乗者
12 第2の搭乗者
14 フロントセンターコンソール
16 インストルメントパネル
18 計器盤
20 グローブボックス
22 第1の後席
24 第2の後席
26 第3の搭乗者
28 第4の搭乗者
30 リアセンターコンソール
32 第1の前側ドア
34 第2の前側ドア
36 第1の後側ドア
38 第2の後側ドア
40,40A 第1のスピーカユニット
42,42A 第2のスピーカユニット
44,44A 第3のスピーカユニット
46,46A 第4のスピーカユニット
48,50,52,54 携帯端末
56 筐体
58 保持部
60 位置決め部
62a,62b センサコイル
64a,64b スピーカ
66a,66b 開口部
68 支持板
70 ガイド部
72 スロット部
74 タッチパネルディスプレイ
76 物理ボタン
78 ボイスコイル
80a,80b 放音面
82 フィルタ
84 アンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7