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特開2024-92520マイクロモビリティ及びマイクロモビリティの制御方法
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  • 特開-マイクロモビリティ及びマイクロモビリティの制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092520
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】マイクロモビリティ及びマイクロモビリティの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240701BHJP
   B62J 50/22 20200101ALI20240701BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240701BHJP
【FI】
G01C21/36
B62J50/22
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208508
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】桜木 友喜
(72)【発明者】
【氏名】森林 健
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】長廻 武志
(72)【発明者】
【氏名】北尾 雄一朗
(72)【発明者】
【氏名】平川 太樹
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB26
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF71
2F129GG04
2F129GG17
2F129HH07
2F129HH12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザの安全に配慮したマイクロモビリティ及びマイクロモビリティの制御方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係るマイクロモビリティ100は、位置情報を検出する第1検出部111と、走行状況を検出する第2検出部112と、ユーザの乗車状況を検出する第3検出部113と、位置情報、走行状況、及び乗車状況をサーバ120に送信する通信手段115と、ユーザに案内を行う表示部116とを備え、表示部は、位置情報とサーバが所有する地図情報に基づいて歩道の入口がマイクロモビリティの進行方向にあることをユーザに報知し、報知が行われた位置から所定の範囲内において第2検出部がユーザによるブレーキの作動を検出した場合には、歩道を走行する案内を行い、報知が行われた位置から所定の範囲内において第2検出部がユーザによるブレーキの作動を検出しなかった場合には、車道を走行する案内を行うものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩道及び車道を走行可である動力付きのマイクロモビリティであって、
当該マイクロモビリティの位置情報を検出する第1検出部と、
当該マイクロモビリティの走行状況を検出する第2検出部と、
ユーザの乗車状況を検出する第3検出部と、
前記位置情報、前記走行状況、及び前記乗車状況をサーバに送信する通信手段と、
前記ユーザに案内を行う表示部と、を備え、
前記表示部は、
前記位置情報と前記サーバが所有する地図情報に基づいて歩道の入口が当該マイクロモビリティの進行方向にあることを前記ユーザに報知し、
報知が行われた位置から所定の範囲内において前記第2検出部が前記ユーザによるブレーキの作動を検出した場合には、前記歩道を走行する案内を行い、
報知が行われた位置から所定の範囲内において前記第2検出部が前記ユーザによるブレーキの作動を検出しなかった場合には、車道を走行する案内を行う
マイクロモビリティ。
【請求項2】
前記走行状況は、前記ユーザが前記車道から前記歩道へ移行する際のブレーキの作動位置及び走行速度を含み、
前記所定の範囲は、当該マイクロモビリティの前記走行状況と前記サーバに保管された前記ブレーキの作動位置の履歴に基づいて決定される
請求項1に記載のマイクロモビリティ。
【請求項3】
前記表示部は、前記歩道を走行する案内を行った後に、当該マイクロモビリティの走行速度が閾値以下となるまでブレーキの作動を保持する報知を行う
請求項1に記載のマイクロモビリティ。
【請求項4】
前記第3検出部は、当該マイクロモビリティに対する前記ユーザの重量に基づいて、前記ユーザの前記乗車状況を決定する
請求項1に記載のマイクロモビリティ。
【請求項5】
歩道及び車道を走行可である動力付きのマイクロモビリティの制御方法であって、
当該マイクロモビリティの位置情報及び走行状況、ならびにユーザの乗車状況を検出し、
前記位置情報、前記走行状況、及び前記乗車状況をサーバに送信し、
前記位置情報と前記サーバが所有する地図情報に基づいて歩道の入口が当該マイクロモビリティの進行方向にあることを前記ユーザに報知し、
報知が行われた位置から所定の範囲内において前記ユーザによるブレーキの作動を検出した場合には、前記歩道を走行する案内を行い、
報知が行われた位置から所定の範囲内において前記ユーザによるブレーキの作動を検出しなかった場合には、車道を走行する案内を行う
マイクロモビリティの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロモビリティ及びマイクロモビリティの制御方法に関し、特に歩道/車道を走行可である動力付きマイクロモビリティ及びマイクロモビリティの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラの画像で検出した特定エリアを通過する前に、特定エリア通過時の車両速度を予測する、車両の挙動把握システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-047875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電動キックボードや電動アシスト自転車など、歩道/車道を走行可である動力付きマイクロモビリティの普及が進んでいる。当該マイクロモビリティは、車道から歩道への移行において、制限速度以上で歩道に入ることが懸念される。このことから、歩道の歩行者及びマイクロモビリティのユーザへの安全性に関する開発の重要性は高い。
【0005】
特許文献1に開示される車両の挙動把握システムのように、走行中の車両が制限速度や法定速度を超えた場合に、速度超過警告を出すなど、車道を走行する車両への開発は進んでいる。一方、歩道も走行可であるマイクロモビリティにおける安全性に関する課題は多い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るマイクロモビリティは、歩道及び車道を走行可である動力付きのマイクロモビリティであって、当該マイクロモビリティの位置情報を検出する第1検出部と、当該マイクロモビリティの走行状況を検出する第2検出部と、ユーザの乗車状況を検出する第3検出部と、前記位置情報、前記走行状況、及び前記乗車状況をサーバに送信する通信手段と、前記ユーザに案内を行う表示部とを備え、前記表示部は、前記位置情報と前記サーバが所有する地図情報に基づいて歩道の入口が当該マイクロモビリティの進行方向にあることを前記ユーザに報知し、報知が行われた位置から所定の範囲内において前記第2検出部が前記ユーザによるブレーキの作動を検出した場合には、前記歩道を走行する案内を行い、報知が行われた位置から所定の範囲内において前記第2検出部が前記ユーザによるブレーキの作動を検出しなかった場合には、車道を走行する案内を行うものである。
【0007】
また、本開示に係るマイクロモビリティの制御方法は、歩道及び車道を走行可である動力付きのマイクロモビリティの制御方法であって、当該マイクロモビリティの位置情報及び走行状況、ならびにユーザの乗車状況を検出し、前記位置情報、前記走行状況、及び前記乗車状況をサーバに送信し、前記位置情報と前記サーバが所有する地図情報に基づいて歩道の入口が当該マイクロモビリティの進行方向にあることを前記ユーザに報知し、報知が行われた位置から所定の範囲内において前記ユーザによるブレーキの作動を検出した場合には、前記歩道を走行する案内を行い、報知が行われた位置から所定の範囲内において前記ユーザによるブレーキの作動を検出しなかった場合には、車道を走行する案内を行うものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、ユーザの安全に配慮したマイクロモビリティ及びマイクロモビリティの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係るマイクロモビリティの図である。
図2】本実施の形態に係るマイクロモビリティのブロック図である。
図3】本実施の形態に係るマイクロモビリティの制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るマイクロモビリティを表している。本実施の形態に係るマイクロモビリティ100は、歩道を走行可である動力付きマイクロモビリティであり、少なくとも、ハンドル101、ブレーキレバー102、車輪103、ボディ部104を備えている。また、本実施の形態に係るマイクロモビリティ100は、サーバ120と通信する機能を有する。
【0011】
また、マイクロモビリティ100は、さらにライト、バックミラー、動力、バッテリー、ナンバープレートホルダなどを備えていることが好ましいが、煩雑さを避けるために、図1からは割愛している。
【0012】
なお、図1では、電動キックボードの形状の例を示しているが、これに限定されず、一輪車の構造や、前方又は後方の車輪を2つ備える三輪車の構造などを有してもよい。
【0013】
図2は、マイクロモビリティ100が備える機能を表している。本実施の形態に係るマイクロモビリティ100は、第1検出部111、第2検出部112、第3検出部113、制御部114、通信手段115、表示部116を備える。
【0014】
第1検出部111は、マイクロモビリティ100の位置情報を検出する機能を有する。第1検出部111の取り付け位置は、特に限定されない。位置情報の取得には、車両CAN情報(Controller Area Network)や、GPS衛星情報(Global Positioning System)などを用いることができる。図2に示される例では、GPSセンサ117においてマイクロモビリティ100の位置情報を取得し、その信号を第1検出部111に送信している。
【0015】
第2検出部112は、マイクロモビリティ100の走行状況を検出する機能を有する。第2検出部112の取り付け位置は、ボディ部104の内部又は近傍が好ましい。第2検出部112として、加速度センサや車速センサなど、単体或いは任意に組み合わせて用いることができる。図2に示される例では、加速度センサ又は車速センサ118においてマイクロモビリティ100の走行状況を取得し、その信号を第2検出部112に送信している。
【0016】
本実施の形態におけるマイクロモビリティ100の走行状況とは、マイクロモビリティの走行速度、ユーザが車道から歩道へ移行する際のブレーキの作動位置などが挙げられる。
【0017】
第3検出部113は、ユーザの乗車状況を検知する機能を有する。第3検出部113の取り付け位置は、ボディ部104の内部又は近傍が好ましい。第3検出部113として、重量センサなどを用いることができる。図2に示される例では、重量センサ119においてユーザの乗車状況を取得し、その信号を第3検出部113に送信している。
【0018】
本実施の形態におけるユーザの乗車状況とは、荷物も含めたユーザの重量や、乗車位置や、荷重のかかり方や、走行中の重心移動などが挙げられる。特に、ユーザの重量は、乗車状況の中でブレーキの利き具合に関連するため、重要なパラメータである。したがって、第3検出部113による走行中の観測だけでなく、マイクロモビリティ100に乗る前に、ユーザの重量などの情報を予め入力すると、ユーザの乗車状況の精度をより向上させることが可能となるため好ましい。なお、ユーザの重量に関する情報入力については、荷物を含めたユーザの重量を入力するのが望ましいが、荷物の重量が不明な場合は、ユーザの体重の入力のみでも構わない。
【0019】
制御部114は、第1検出部111、第2検出部112、第3検出部113を制御し、マイクロモビリティ100の位置情報及び走行状況、ならびにユーザの乗車状況を取得し、通信手段115を介して、サーバ120に送信する。また、制御部114は、サーバ120からの情報を表示部116に表示する指示を行う。
【0020】
通信手段115は、上述の位置情報、走行状況、乗車状況をサーバ120に送信する機能を有し、サーバ120からの情報を受信する機能を有する。
【0021】
サーバ120は、通信手段115から受信した位置情報、走行状況、乗車状況を保管する領域を有する。また、サーバ120は、地図情報を所有しており、通信手段115から受信したマイクロモビリティ100の位置情報と地図情報とを照合して、マイクロモビリティ100へ照合結果を返信する機能を備えているとより好ましい。照合結果の例として、マイクロモビリティ100が車道から移行可能である歩道の入口が進行方向にあるかどうかの情報などが挙げられる。
【0022】
また、サーバ120は、ユーザが車道から歩道に制限速度内にて移行する際の、ユーザの乗車状況、特に重量別に、車道におけるブレーキ位置を示すデータを保管し、ビッグデータを構築している。
【0023】
走行するマイクロモビリティ100の位置情報を得る手段として、マイクロモビリティ100にカメラやセンサなどを設けてもよい。カメラにて取得した画像から、歩道の入口エリアの矩形情報を得ることが可能であり、サーバ120の照合結果の精度を上げることができる。ここで、歩道の入口エリアの矩形情報とは、点字ブロック、歩行者通行標識、車両侵入禁止標識、縁石等の歩道入口を示す特徴画像を囲むように枠表示した際の座標、幅、高さを含む枠情報のことである。
【0024】
表示部116は、サーバ120から送信された照合結果をユーザに表示する機能を有する。表示部116の取り付け位置は特に限定されないが、ハンドル101及びブレーキレバー102の近傍であると、ユーザに伝えやすいため好ましい。また、ユーザがヘルメットを装着している場合は、ヘルメット内に設けてもよい。
【0025】
次に、マイクロモビリティ100の制御部114の制御について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0026】
車道を走行しているマイクロモビリティ100の位置情報、走行状況、乗車状況を検出する(S101)。位置情報の検出は第1検出部111にて行い、走行状況の検出は第2検出部112にて行い、乗車状況の検出は第3検出部113にて行う。また、この時にカメラやセンサを用いて、歩道の入口エリアの矩形情報を得てもよい。
【0027】
次に、検出された位置情報、走行状況、乗車状況を、通信手段115を介してサーバ120に送信する(S102)。サーバ120は、位置情報、走行状況、乗車状況を紐付けて保管することにより、ビッグデータを構築する。
【0028】
次に、ユーザの乗車状況、特に荷物も含めた重量と、走行速度に該当する車道から歩道に制限速度内で移行するためのブレーキ位置のデータを、サーバ120に構築されたビッグデータの中から検索する(S103)。その後、歩道の入口近くの該当するブレーキ位置に到達するユーザに対して、表示部にてユーザに歩道の入口が進行方向にあることを報知する(S104)。この報知により、ユーザにブレーキを促すことができる。
【0029】
次に、報知が行われた位置から所定の範囲内において、ユーザがブレーキの作動を行ったかどうかを、第2検出部112によって判定する(S105)。所定の範囲は、マイクロモビリティ100の走行状況と、サーバ120に保管されたブレーキの作動位置の履歴に基づいて決定される。所定の範囲は、即ち、ユーザのブレーキ操作のタイミングのマージンを加味したものであり、報知から反応するまでの時間は同じである場合においても、走行速度が速くなるにつれ、所定の範囲は広くなる。
【0030】
第2検出部112がブレーキの作動を検出した場合、即ち、ユーザが所定の範囲内にブレーキを作動させた場合は、制限速度内にて歩道に移行できることが予測されるため、表示部にてユーザに歩道を走行するよう案内する(S106)。
【0031】
一方、第2検出部112がブレーキの作動を検出しなかった場合、即ち、ユーザが所定の範囲内にブレーキを作動させなかった場合は、制限速度内にて歩道に移行することは困難と予測されるため、表示部にてユーザに車道を走行するよう案内する(S107)。
【0032】
また、表示部116は、歩道を走行する案内を行った後に、マイクロモビリティ100の走行速度が閾値以下となるまで、ブレーキの作動を保持する報知を行ってもよい。閾値は、法定速度に基づいて設定されることが好ましく、本実施の形態においては、現行の法定速度に基づき、時速6kmとする。これにより、ユーザのブレーキ操作にばらつきが生じて、制限速度よりも早いスピードで歩道に移行しそうになった場合においても、ブレーキを促すことができる。
【0033】
このような制御を行う構成とすることにより、本実施の形態に係るマイクロモビリティ及びマイクロモビリティの制御方法は、ユーザの安全に配慮したものとなる。
【0034】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 マイクロモビリティ
101 ハンドル
102 ブレーキレバー
103 車輪
104 ボディ部
111 第1検出部
112 第2検出部
113 第3検出部
114 制御部
115 通信手段
116 表示部
117 GPSセンサ
118 加速度センサ又は車速センサ
119 重量センサ
120 サーバ
図1
図2
図3