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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092534
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】吊下展示具
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/11 20060101AFI20240701BHJP
   A47F 5/10 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A47F5/11
A47F5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208545
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】森 彩乃
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118AA14
3B118BB04
3B118DA21
3B118GA04
(57)【要約】
【課題】棚部の脱落を抑制しながら、左右方向の長さを変更することができる吊下展示具を提供する。
【解決手段】
吊下展示具1は、第1展示部5と第2展示部6とを左右方向にスライド可能に接続している。第1展示部5は、第1背面部10の左右方向の一端から前方に延設される第1側面板11と、第1背面部10に支持される第1棚底部30および第1棚底部30の前端に立設される第1棚前部31を含む第1棚部12と、を有し、第2展示部6は、第1背面部10の背面に重なり、第1背面部10に係合部55を介して左右方向にスライド可能に接続される第2背面板40と、第2背面板40の左右方向の他端から前方に延設される第2側面板41と、第2側面板41に支持される第2棚底板60および第2棚底板60の前端に立設される第2棚前部61を含み、第1棚部12に左右方向にスライド可能に挿設される第2棚部42と、を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1展示部(5)と第2展示部(6)とを左右方向にスライド可能に接続し、吊り下げられた状態で展示される吊下展示具(1,2)であって、
前記第1展示部は、
第1背面部(10)と、
前記第1背面部の左右方向の一端から前方に延設される第1側面部(11)と、
前記第1背面部と前記第1側面部の少なくとも一方に支持される第1棚底部(30)および前記第1棚底部の前端に立設される第1棚前部(31)を含む第1棚部(12)と、を有し、
前記第2展示部は、
前記第1背面部の背面に重なり、前記第1背面部に係合部(55,75)を介して左右方向にスライド可能に接続される第2背面部(40)と、
前記第2背面部の左右方向の他端から前方に延設される第2側面部(41)と、
前記第2側面部に支持される第2棚底部(60)および前記第2棚底部の前端に立設される第2棚前部(61)を含み、前記第1棚部に左右方向にスライド可能に挿設される第2棚部(42)と、を有していることを特徴とする吊下展示具。
【請求項2】
前記第1棚底部および前記第1棚前部は、側方から見てL字状を成すスライド空間(39)を挟んだ二重壁構造に形成され、
前記第2棚底部および前記第2棚前部は、前記スライド空間に左右方向にスライド可能に挿設されることを特徴とする請求項1に記載の吊下展示具。
【請求項3】
前記係合部は、
前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方に左右方向に延びるように穿設されるスライド溝(50)と、
前記第1背面部と前記第2背面部の何れか他方の一部を刳り貫くことで形成され、前記スライド溝に差し込まれて前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方を貫通するスライド片(20)と、を有し、
前記スライド片は、前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方を貫通した状態で、前記スライド溝から下方に延設される下側係合片(21)と、前記スライド溝から上方に延設される上側係合片(22)と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の吊下展示具。
【請求項4】
前記係合部は、
前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方に左右方向に延びるように穿設されるスライド溝(50)と、
前記第1背面部と前記第2背面部の何れか他方に取り付けられ、前記スライド溝に差し込まれて前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方を貫通し、前記第1背面部と前記第2背面部とをスライド可能に接続する連結部材(70)と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の吊下展示具。
【請求項5】
前記第1背面部は、前記第1側面部の後端に連設され、
前記第1棚前部は、前記第1側面部の前端に連設され、
前記第1棚底部は、前記第1背面部と前記第1側面部の少なくとも一方に着脱可能に支持され、
前記第2背面部は、前記第2側面部の後端に連設され、
前記第2棚前部は、前記第2側面部の前端に連設され、
前記第2棚底部は、前記第2側面部に着脱可能に支持され、
前記第2棚部が前記第1棚部から引き抜かれ、前記第1棚底部および前記第2棚底部が取り外され、前記第1背面部と前記第2背面部とが前記係合部を介して接続された状態において、前記第1側面部および前記第1棚部は、前記第1背面部と略平行となるように展開され、前記第2側面部および前記第2棚部は、前記第2背面部と略平行となるように展開されることを特徴とする請求項1または2に記載の吊下展示具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げられた状態で展示される吊下展示具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、商品を収納して吊り下げて展示するための紙容器(吊下展示用紙容器)が開示されている。この吊下展示用紙容器は、前面板と両側面板と背面板を備えた角筒状体と、角筒状体を上下方向に仕切る複数の棚部と、を備えている。棚部は、前面板に形成された棚部前板と、その上縁に順次連接された棚部前内面板、棚部底板および棚部後面板から成る棚板と、を有している。背面板には上方を向く係止片が形成され、棚部底板と棚部後面板の間の折目には切込が形成されている。棚板を折り曲げて棚部を形成し、係止片を切込に挿入することで、棚部が確りと保持される。これにより、重い商品を収容して吊り下げた場合でも、棚部の脱落が防止される。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、商品の種類や陳列数の変更等に対応可能な据置型の陳列装置が開示されている。この陳列装置は、雛壇部、背板部および底板部を有する外側構造体と、同じく雛壇部、背板部および底板部を有して断面形状が外側構造体と相似形である内側構造体と、を備えている。外側構造体の雛壇部と背板部と底板部の間に、内側構造体が摺動可能に挿設されることで、陳列装置が左右方向に伸長または縮小する。これにより、陳列装置の左右方向の長さが任意に選択され、商品の種類や陳列数の変更等に対応可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-95659号公報
【特許文献2】特開2010-252950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した吊下展示用紙容器では、左右方向の長さ(幅)が変更不能であり、商品の種類や陳列数の変更等に対応することができなかった。そこで、吊下展示用紙容器の左右方向の長さを変更するために、上記した陳列装置の外側構造体と内側構造体から成る左右方向にスライドさせる構造(スライド構造)を適用することが考えられる。
【0006】
しかしながら、吊下展示用紙容器では、重い商品を棚部底板に載せて吊り下げた場合でも、棚部の脱落を防止する構造が求められるのに対し、据置型の陳列装置はカウンタの天板等の上に置かれるため、底板部には重い商品を支える構造は求められない。このように、吊下展示用紙容器と据置型の陳列装置とでは、使用状態(状況)が全く異なることから、吊下展示用紙容器に対し、据置型の陳列装置のスライド構造を単純に適用することは非常に困難であった。すなわち、吊下展示用紙容器では、棚部の脱落防止を目的として背面板の係止片が棚板の切込に挿入されているため、係止片を切込に挿入した状態を維持させながら、据置型の陳列装置のスライド構造を適用することは困難であった。仮に、吊下展示用紙容器に対し、据置型の陳列装置のスライド構造を適用した場合、係止片や切込を削除することになるため、棚部が脱落してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮し、棚部の脱落を抑制しながら、左右方向の長さを変更することができる吊下展示具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1展示部と第2展示部とを左右方向にスライド可能に接続し、吊り下げられた状態で展示される吊下展示具であって、前記第1展示部は、第1背面部と、前記第1背面部の左右方向の一端から前方に延設される第1側面部と、前記第1背面部と前記第1側面部の少なくとも一方に支持される第1棚底部および前記第1棚底部の前端に立設される第1棚前部を含む第1棚部と、を有し、前記第2展示部は、前記第1背面部の背面に重なり、前記第1背面部に係合部を介して左右方向にスライド可能に接続される第2背面部と、前記第2背面部の左右方向の他端から前方に延設される第2側面部と、前記第2側面部に支持される第2棚底部および前記第2棚底部の前端に立設される第2棚前部を含み、前記第1棚部に左右方向にスライド可能に挿設される第2棚部と、を有している。
【0009】
この場合、前記第1棚底部および前記第1棚前部は、側方から見てL字状を成すスライド空間を挟んだ二重壁構造に形成され、前記第2棚底部および前記第2棚前部は、前記スライド空間に左右方向にスライド可能に挿設されてもよい。
【0010】
この場合、前記係合部は、前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方に左右方向に延びるように穿設されるスライド溝と、前記第1背面部と前記第2背面部の何れか他方の一部を刳り貫くことで形成され、前記スライド溝に差し込まれて前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方を貫通するスライド片と、を有し、前記スライド片は、前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方を貫通した状態で、前記スライド溝から下方に延設される下側係合片と、前記スライド溝から上方に延設される上側係合片と、を有してもよい。
【0011】
また、他の場合、前記係合部は、前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方に左右方向に延びるように穿設されるスライド溝と、前記第1背面部と前記第2背面部の何れか他方に取り付けられ、前記スライド溝に差し込まれて前記第1背面部と前記第2背面部の何れか一方を貫通し、前記第1背面部と前記第2背面部とをスライド可能に接続する連結部材と、を有してもよい。
【0012】
この場合、前記第1背面部は、前記第1側面部の後端に連設され、前記第1棚前部は、前記第1側面部の前端に連設され、前記第1棚底部は、前記第1背面部と前記第1側面部の少なくとも一方に着脱可能に支持され、前記第2背面部は、前記第2側面部の後端に連設され、前記第2棚前部は、前記第2側面部の前端に連設され、前記第2棚底部は、前記第2側面部に着脱可能に支持され、前記第2棚部が前記第1棚部から引き抜かれ、前記第1棚底部および前記第2棚底部が取り外され、前記第1背面部と前記第2背面部とが前記係合部を介して接続された状態において、前記第1側面部および前記第1棚部は、前記第1背面部と略平行となるように展開され、前記第2側面部および前記第2棚部は、前記第2背面部と略平行となるように展開されるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、棚部の脱落を抑制しながら、吊下展示具の左右方向の長さを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具(幅狭形態)を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具(幅広形態)を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第1展示部のブランクを示す平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第2展示部のブランクを示す平面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第1展示部を組み立てる工程を説明する斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第1展示部を示す斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第2展示部を組み立てる工程を説明する斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第2展示部を示す斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第1棚部と第2棚部との下側を示す斜視図である。
図10A】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第1展示部と第2展示部とを接続する過程を説明する断面図である。
図10B】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具の第1展示部と第2展示部とを接続した状態を示す断面図である。
図11A】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具(幅狭形態)の背面上部を示す斜視図である。
図11B】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具(幅広形態)の背面上部を示す斜視図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る吊下展示具を展開した状態を示す斜視図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る吊下展示具(幅狭形態)を示す斜視図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る吊下展示具(幅広形態)を示す斜視図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る吊下展示具の第1展示部のブランクを示す平面図である。
図16】本発明の第2実施形態に係る吊下展示具の第2展示部のブランクを示す平面図である。
図17】本発明の第2実施形態に係る吊下展示具の第1展示部と第2展示部とを接続した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、吊下展示具を使用する状態での方向や位置を基準にしている。
【0016】
[第1実施形態]
図1ないし図4を参照して、第1実施形態に係る吊下展示具1について説明する。図1は吊下展示具1(幅狭形態P1)を示す斜視図である。図2は吊下展示具1(幅広形態P2)を示す斜視図である。図3は吊下展示具1の第1展示部5のブランク5A,5Bを示す平面図である。図4は吊下展示具1の第2展示部6のブランク6A,6B,6Cを示す平面図である。
【0017】
図1および図2に示すように、吊下展示具1は、例えば、背面上部に連結された紐99を介して店舗の壁面に取り付けられたフック(図示せず)に吊り下げられた状態で展示される。吊下展示具1には、複数の商品(図示せず)を陳列(載置)するための複数(例えば2つ)の置棚が上下方向に間隔をあけて設けられている。なお、紐99には、壁面のフックに掛けるためのS字状の金具(図示せず)が取り付けられてもよい。
【0018】
吊下展示具1は、第1展示部5と第2展示部6とを左右方向にスライド可能に接続しており、陳列される商品の数や大きさ等に応じて左右方向の長さ(横幅)を変更可能とされている。吊下展示具1は、最短の横幅となる幅狭形態P1(図1参照)と、最長の横幅となる幅広形態P2(図2参照)との間でスライド可能とされている。幅狭形態P1とされた吊下展示具1は、概ね第1展示部5と同じの大きさになる(図1参照)。幅広形態P2とされた吊下展示具1では、第2展示部6の大部分が、第1展示部5から右方に引き出され、第1展示部5の右隣りに並んで設けられている(図2参照)。幅広形態P2では、第2展示部6の一部分が、第1展示部5の内部に収容され、第1展示部5に支持されている。なお、吊下展示具1は、幅狭形態P1または幅広形態P2にされた状態で使用されることが多いが、幅狭形態P1と幅広形態P2との間の任意の横幅(形態)にされた状態(図示せず)で使用されてもよい。
【0019】
第1展示部5は、図3に示すブランク5A,5Bを組み立てることで形成される。第2展示部6は、図4に示すブランク6A,6B,6Cを組み立てることで形成される。これらのブランク5A,5B,6A,6B,6Cは、それぞれ1枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aに表ライナ9Bと裏ライナ9Cとを貼り合せた両面段ボールシートである。また、例えば、段ボールシートの表面(表ライナ9B)には、コーティング材が塗工されている。なお、各ブランク5A,5B,6A,6Bには、接着する位置等の目印となるマーク(全切線、半切り線等)が適所に形成されている。また、本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0020】
[第1展示部のブランク]
図3に示すように、第1展示部5のブランク5Aは、第1背面部10と、第1側面板11と、2つの第1棚部12と、を有している。また、第1展示部5のブランク5Bは、第1上底板35と、第1補助片36と、有している。ブランク5Bは、下段の第1棚部12の一部を構成する。なお、本明細書では、2つの第1棚部12等、上下方向に2つ存在する部分(構成)について、特に明示した場合を除いて、1つの部分(構成)について説明する。
【0021】
<第1背面部>
第1背面部10は、第1内背板13と、第1外背板14と、を有している。第1内背板13および第1外背板14は、段方向(上下方向)に長い略長方形状であって、略同一の大きさに形成されている。第1外背板14は、第1背面額板15を介して第1内背板13の流れ方向の一端に連設されている。第1内背板13と第1背面額板15との境界、および第1外背板14と第1背面額板15との境界には、略平行となる一対の第1折曲線L1が形成されている。なお、第1内背板13と第1外背板14との上部の流れ方向の両端部には、紐99を通すための丸穴H1が穿設されている。第1外背板14に開口した丸穴H1は、第1内背板13に開口した丸穴H1よりも一回り大きく形成されている。
【0022】
(第1支持片、押込み穴)
第1内背板13には、段方向(上下方向)に間隔をあけて2つの第1支持片16が形成されている。第1支持片16は、倒立した略U字状(略バスタブ状)の第1切溝17を第1内背板13に穿設することで、自由端を上方に向けた略台形状に形成されている。第1切溝17は、全体を数mm程度の略同一幅で形成され、第1切溝17の両端部は、下方に凸となるように湾曲している。また、第1内背板13には、2つの第1支持片16から右斜め上方に離れた位置に2つの押込み穴27が穿設されている。押込み穴27は、例えば、流れ方向(左右方向)に長い略長方形状に形成され、人(作業者)の指を通すことができる程度の大きさとされている。
【0023】
(補助穴)
第1外背板14には、段方向(上下方向)に間隔をあけて2つの第1補助穴18が穿設されている。第1補助穴18は、一対の第1折曲線L1で折り返された第1外背板14を第1内背板13の裏面に重ねた際に、第1内背板13に形成された第1支持片16に対向する位置に開口している。第1補助穴18は、例えば、流れ方向(左右方向)に長い略長方形状に形成され、第1支持片16(第1切溝17)を全て露出させることができる程度の大きさとされている。
【0024】
(スライド片)
第1外背板14には、2つの第1補助穴18から左斜め上方に離れた位置に2つのスライド片20が形成されている。スライド片20は、第1外背板14の一部を刳り貫くことで形成されている。スライド片20は、下方に凸となる下側係合片21と、上方に凸となる上側係合片22と、を有している。
【0025】
下側係合片21は、第1外背板14に略U字状の下側切線24を入れることで、自由端を下方に向けた略長方形状に形成されている。下側切線24の両端部は、上方に凸となるように湾曲している。下側切線24の下側には、略半円形状の指掛け穴25が穿設されている。上側係合片22は、第1外背板14に倒立した略U字状の上側切線26を入れることで、自由端を上方に向けた略長方形状に形成されている。上側係合片22(上側切線26)は、下側係合片21(下側切線24)よりも上下左右に小さな略長方形状に形成されている。上側係合片22は、下側係合片21(下側切線24)の上端から若干下がった位置から上方に突設されている。つまり、下側係合片21の上部と上側係合片22の下部とはオーバーラップしている。下側係合片21と上側係合片22とは流れ方向(左右方向)の中心を合わせて配置され、オーバーラップ部分において、下側切線24と上側切線26との間には、流れ方向に伸長する一対のスライド折線L10が形成されている。一対のスライド折線L10の間には、段ボールシート1枚分の厚み程度のスライド額縁部23が形成されている。なお、スライド額縁部23(一対のスライド折線L10)は、上側係合片22によって流れ方向(左右方向)に2つに分断されている。
【0026】
<第1側面板>
第1側面部の一例としての第1側面板11は、第2折曲線L2を介して第1外背板14の流れ方向の一端に連設されている。第1側面板11の流れ方向の一側において、段方向の両側が略三角形状に切り欠かれ、段方向の中間部が略台形状に切り欠かれている。このため、第1側面板11の流れ方向の一側で、上下方向に間隔をあけた位置には、2つの第1凸部28が相対的に流れ方向の一方に向けて突設されている。第1凸部28は、流れ方向の他方から一方に向かって上下方向の寸法が徐々に狭くなる略台形状に形成されている。
【0027】
<第1棚部>
上方(上段)の第1棚部12は、第1外前板32と、第1内前板33と、第1上底板35と、第1補助片36と、第1下底板37と、第1掛止片38と、を有している。下方(下段)の第1棚部12は、第1外前板32と、第1内前板33と、第1継代片39と、第1下底板37と、第1掛止片38と、を有している。また、上記したように、ブランク5Bは、下段の第1棚部12の一部となる第1上底板35および第1補助片36を有している。
【0028】
(第1外前板、第1内前板)
2つの第1外前板32は、第3折曲線L3を介して第1側面板11の2つの第1凸部28の先端に連設されている。第1内前板33は、第1棚額板34を介して第1外前板32の上端に連設されている。第1外前板32および第1内前板33は、流れ方向に長い略長方形状に形成されている。第1内前板33は、第1外前板32よりも段方向に短く(高さが低く)なっている。第1棚額板34は、段ボールシートの数枚分の厚み程度の幅で流れ方向に細長い略長方形状に形成されている。第1外前板32と第1棚額板34との境界、および第1内前板33と第1棚額板34との境界には、略平行となる一対の第4折曲線L4が形成されている。
【0029】
(第1上底板、第1継代片)
第1上底板35は、流れ方向に長い略長方形状に形成され、その段方向の寸法(奥行き)は、第1外前板32の高さよりも長く、且つ第1側面板11の流れ方向の最大寸法(奥行き)よりも若干短くなっている。上段の第1上底板35は、第5折曲線L5を介して上段の第1内前板33の段方向の一端(下端)に連設されている。下段の第1継代片39は、第5折曲線L5を介して下段の第1内前板33の段方向の一端(下端)に連設されている。第1継代片39は、略台形状に形成され、その段方向の寸法(延出寸法)は、第1内前板33の高さよりも短くなっている。
【0030】
(第1補助片)
第1補助片36は、第6折曲線L6を介して第1上底板35の流れ方向の他端に連設されている。第1補助片36は、略台形状に形成され、その流れ方向の寸法(延出寸法)は、第1継代片39の延出寸法と略同等である。
【0031】
(第1下底板、第1掛止片)
第1下底板37は、第7折曲線L7を介して第1外前板32の段方向の他端(下端)に連設されている。第1下底板37は、第1上底板35よりも段方向に若干長い略長方形状に形成されている。第1掛止片38は、第8折曲線L8を介して第1下底板37の段方向の他端(後端)に連設されている。第1掛止片38は、段方向に反転させた第1継代片39と略同一形状に形成されている。なお、ブランク5Aでは、上段の第1掛止片38の先端は、下段の第1継代片39の先端に突き合わされている。
【0032】
なお、第1~第4折曲線L1~L4、第7折曲線L7およびスライド折線L10は、段ボールシートを裏ライナ9Cから凹ませた汎用罫線である。第5~第6折曲線L5~L6および第8折曲線L8は、汎用罫線上にミシン目を入れたリード罫である。汎用罫線は、主に、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有し、リード罫は、主に、表ライナ9Bを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(逆折りする)機能を有している。なお、第1~第8折曲線L1~L8およびスライド折線L10は、汎用罫線やリード罫に限らず、ミシン目等、段ボールシートを所望の向きに折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0033】
[第2展示部のブランク]
図4に示すように、第2展示部6のブランク6Aは第2背面板40である。また、第2展示部6のブランク6Bは、第2側面板41と、2つの第2棚部42と、を有している。また、第2展示部6のブランク6Cは第2支持部材43である。なお、図4では、1つの第2支持部材43(ブランク6C)を示しているが、第2展示部6には、上下方向に2つの第2支持部材43が取り付けられる。
【0034】
<第2背面板>
第2背面部の一例としての第2背面板40は、第1内背板13と略同一形状に形成されている。なお、第2背面板40の右上角部には、紐99を通すための丸穴H2が穿設されている。
【0035】
(スライド溝)
第2背面板40には、段方向(上下方向)に離れた位置に、流れ方向(左右方向)に延びるように2つのスライド溝50が穿設されている。スライド溝50は、数mm程度の幅で、略水平となる直線状に形成されている。スライド溝50の右側には、上縁から上方に向かって一対の切目51が切り込まれ、一対の切目51の間には、着脱可能片52が形成されている。着脱可能片52の下辺は、スライド溝50の他の部分の上縁よりも僅かに上方にずれており、スライド溝50の上下方向の幅は、一対の切目51の間で僅かに広がっている。なお、スライド溝50の周囲には段ボールシートの中しん9Aを若干潰した段潰し加工が施され、スライド溝50の周囲は他の部分よりも僅かに薄く形成されている(図4に示す斜線部分を参照)。
【0036】
詳細は後述するが、第1展示部5のスライド片20は、第2展示部6のスライド溝50に差し込まれ、スライド溝50に沿って左右方向にスライドする。スライド片20とスライド溝50とが、第1背面部10に対して第2背面板40を左右方向にスライド可能に接続する係合部55となる。
【0037】
<第2側面板>
第2側面部の一例としての第2側面板41は、流れ方向(左右方向)に反転させた第1側面板11と略同一形状に形成されている。第2側面板41の流れ方向の一側には、2つの第2凸部44が相対的に流れ方向の一方に向けて突設されている。第2側面板41の流れ方向の他端には、背面接合片45が第11折曲線L11を介して連設されている。背面接合片45は、流れ方向の一方から他方に向かって上下方向の寸法が徐々に狭くなる略台形状に形成され、その上部には、紐99を通すための丸穴H2が穿設されている。なお、背面接合片45に開口した丸穴H2は、第2背面板40に開口した丸穴H2よりも一回り大きく形成されている。
【0038】
<第2棚部>
2つの第2棚部42は、それぞれ、第2外前板62と、第2内前板63と、第2棚底板60と、第2掛止片65と、棚折込片66と、を有している。
【0039】
(第2外前板、第2内前板)
第2外前板62は、第12折曲線L12を介して第2側面板41の第2凸部44の先端に連設されている。第2内前板63は、第2棚額板64を介して第2外前板62の上端に連設されている。第2外前板62および第2内前板63は、第1棚部12の第1内前板33と略同一形状に形成されている。第2棚額板64は、流れ方向に細長い略長方形状に形成され、その段方向の寸法(幅)は、第1棚部12の第1棚額板34の幅よりも若干短くなっている。第2外前板62と第2棚額板64との境界、および第2内前板63と第2棚額板64との境界には、略平行となる一対の第13折曲線L13が形成されている。
【0040】
(第2棚底板、第2掛止片)
第2棚底部の一例としての第2棚底板60は、第14折曲線L14を介して第2内前板63の段方向の一端(下端)に連設されている。第2棚底板60は、第1棚部12の第1上底板35と略同一形状に形成されている。第2掛止片65は、第15折曲線L15を介して第2棚底板60の流れ方向の他端に連設されている。第2掛止片65は、流れ方向(左右方向)に反転させた第1棚部12の第1補助片36と略同一形状に形成されている。
【0041】
(棚折込片)
棚折込片66は、第16折曲線L16を介して第2外前板62の下端に連設されている。棚折込片66は、第1棚部12の第1掛止片38と略同一形状に形成されている。なお、棚折込片66には段ボールシートの中しん9Aを若干潰した段潰し加工が施され、棚折込片66は他の部分よりも僅かに薄くなっている(図4に示す斜線部分を参照)。
【0042】
<第2支持部材>
第2支持部材43は、流れ方向に長く、角部を丸めた略長方形状に形成されている。第2支持部材43には、倒立した略U字状(略バスタブ状)の第2切溝47が穿設されることで、自由端を上方に向けた略台形状の第2支持片46が形成されている。第2支持片46(第2切溝47)は、第1内背板13に形成された第1支持片16(第1切溝17)と略同一形状に形成されている。
【0043】
なお、第11~第13折曲線L11~L3および第16折曲線L16は汎用罫線、第14~第15折曲線L14~L15はリード罫であるが、これに限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0044】
[吊下展示具の組立]
次に、吊下展示具1の組立手順の一例について説明する。ここでは、一例として、作業者が手作業で吊下展示具1を組み立てる場合について説明する。
【0045】
<第1展示部の組立>
図5および図6を参照して、第1展示部5の組立手順の一例について説明する。図5は第1展示部5を組み立てる工程を説明する斜視図である。図6は第1展示部5を示す斜視図である。
【0046】
(第1背面部の組立)
図5に示すように、作業者は、ブランク5Aの第1外背板14(第1背面額板15)を一対の第1折曲線L1に沿って裏側に折り返し(正折りし)、第1外背板14を第1内背板13の裏面(裏ライナ9C)に接着する。第1背面部10は、第1内背板13と第1外背板14とを重ね合わせた二重壁となる。なお、第1支持片16は第1補助穴18から露出し、押込み穴27は上側係合片22に対向している。また、第1内背板13と第1外背板14とに開口した2つの丸穴H1は略一致している。
【0047】
作業者は、第1側面板11を第2折曲線L2に沿って略直角に正折りする。第1側面板11は、第1背面部10(第1外背板14)の左端(左右方向の一端)から前方に延設される。
【0048】
(第1棚部の組立)
図5に示すように、作業者は、第1下底板37を第7折曲線L7に沿って正折りし、ブランク5Bの第1上底板35をブランク5Aの第1継代片39の表面(表ライナ9B)に接着し、第1掛止片38を第8折曲線L8に沿って逆折りする。
【0049】
作業者は、第1内前板33(第1棚額板34)を一対の第4折曲線L4に沿って裏側に折り返す(正折りする)(図6参照)。第1外前板32と第1内前板33とは、隙間をあけて対向して第1棚前部31を構成する。また、作業者は、第1上底板35(第1継代片39)を第5折曲線L5に沿って逆折りして横向きにし、第1補助片36を第6折曲線L6に沿って正折りして垂設させる(図6参照)。第1上底板35と第1下底板37とは、隙間をあけて対向して第1棚底部30を構成する。
【0050】
図6に示すように、作業者は、第1外前板32を第3折曲線L3に沿って正折りし、第1掛止片38を第1内背板13に形成された第1支持片16に引っ掛ける。第1支持片16の上端は、第1棚底部30(第1下底板37)の下面に突き当たり、第1掛止片38の下端は、第1切溝17の下端部(湾曲した部分)に突き当たる(後述する図9も参照)。なお、第1掛止片38を第1支持片16に引っ掛ける際、作業者は、第1外背板14に開口した第1補助穴18を通じて第1支持片16を前方に押し出すとよい(図5参照)。これにより、第1支持片16の上端部が第1内背板13の表面から前方に突き出すため、第1掛止片38を引っ掛けやすくなる。
【0051】
図5に示すように、第1棚底部30は、第1掛止片38(第1支持片16)を介して第1内背板13に着脱可能に支持されて横臥姿勢となる。第1棚前部31は、第1棚底部30の前端に立設される。第1棚底部30および第1棚前部31は、側方から見てL字状を成すスライド空間Sを挟んだ(中空の)二重壁構造に形成される。なお、スライド空間Sの右端は開放されている。第1上底板35の後端は、第1内背板13の表面に突き当たる(または僅かな隙間を挟んで対向する)。また、第1補助片36は、第1側面板11と第1下底板37の左端との間に挟まれ、第1側面板11の内面(裏ライナ9C)に面接触している。なお、第1補助片36が第1側面板11と第1下底板37の左端との間に挟まれて容易に引き抜けないため、第1上底板35が開いてスライド空間Sが開放されることが抑制されている。
【0052】
以上によって、上下2段の第1棚部12が組み立てられると共に、第1展示部5が完成する(図6参照)。
【0053】
<第2展示部の組立>
図7および図8を参照して、第2展示部6の組立手順の一例について説明する。図7は第2展示部6を組み立てる工程を説明する斜視図である。図8は第2展示部6を示す斜視図である。
【0054】
図7に示すように、作業者は、2つの第2支持部材43(ブランク6C)を、ブランク6Bの第2側面板41の内面(裏ライナ9C)の適所に接着する。第2支持部材43は、第2支持片46の先端を上方に向けた姿勢で第2側面板41に固定される。また、作業者は、ブランク6Aの第2背面板40を、ブランク6Bの背面接合片45の内面(裏ライナ9C)に接着する。第2背面板40は、表面(表ライナ9B)を前方に向けた姿勢で背面接合片45に連結される。なお、第2背面板40と背面接合片45とに開口した2つの丸穴H2は略一致している。
【0055】
作業者は、第2側面板41を第11折曲線L11に沿って略直角に正折りする。第2側面板41は、第2背面板40(背面接合片45)の右端(左右方向の他端)から前方に延設される。
【0056】
(第2棚部の組立)
図7に示すように、作業者は、棚折込片66を第16折曲線L16に沿って裏側に折り替えし(正折りし)、棚折込片66を第2外前板62の裏面(裏ライナ9C)に接着する。作業者は、第2内前板63(第2棚額板64)を一対の第13折曲線L13に沿って裏側に折り返し(正折りし)、第2内前板63を棚折込片66の表面(表ライナ9B)に接着する(図8参照)。第2外前板62と第2内前板63は、棚折込片66を挟んで対向して二重壁となる第2棚前部61を構成する。また、作業者は、第2棚底板60を第14折曲線L14に沿って逆折りして横向きにし、第2掛止片65を第15折曲線L15に沿って逆折りして垂設させる(図8参照)。
【0057】
図8に示すように、作業者は、第2外前板62を第12折曲線L12に沿って正折りし、第2掛止片65を第2側面板41に固定された第2支持片46に引っ掛ける。第2支持片46の上端は、第2棚底板60の下面に突き当たり、第2掛止片65の下端は、第2切溝47の下端部(湾曲した部分)に突き当たる(後述する図9も参照)。
【0058】
第2棚底板60は、第2掛止片65(第2支持片46)を介して第2側面板41に着脱可能に支持されて横臥姿勢となる。第2棚前部61は、第2棚底板60の前端に立設される。第2棚底板60の後端は、第1展示部5の第1背面部10の厚み相当分だけ、第2背面板40の表面から前方に離間している。
【0059】
以上によって、上下2段の第2棚部42が組み立てられると共に、第2展示部6が完成する。
【0060】
<第1展示部と第2展示部との接続>
図1図2図9図10A図10B図11Aおよび図11Bを参照して、第1展示部5と第2展示部6とを接続する手順の一例について説明する。図9は第1棚部12と第2棚部42との下側を示す斜視図である。図10Aは第1展示部5と第2展示部6とを接続する過程を説明する断面図である。図10Bは第1展示部5と第2展示部6とを接続した状態を示す断面図である。図11Aは吊下展示具1(幅狭形態P1)の背面上部を示す斜視図である。図11Bは吊下展示具1(幅広形態P2)の背面上部を示す斜視図である。
【0061】
作業者は、第1展示部5を左側に、第2展示部6を右側に配置し、第2棚部42(第2棚底板60および第2棚前部61)を、第1棚部12(第1棚底部30および第1棚前部31)のスライド空間Sに挿入する(図2および図9参照)。第2棚部42(第2棚底板60および第2棚前部61)は、第1棚部12(第1棚底部30および第1棚前部31)のスライド空間Sに左右方向にスライド可能に挿設される。第1棚部12と第2棚部42とが、互いにスライド可能に連なることで1つの置棚を構成する。なお、第2背面板40は、第1背面部10(第1外背板14)の後側に配置される。
【0062】
作業者は、第2棚部42の略全体をスライド空間Sに収容し、指掛け穴25に指を入れて下側係合片21を後方に引き上げ、下側係合片21を略水平になるようにスライド折線L10に沿って逆折りする(図10A参照)。作業者は、第2背面板40を第1背面部10(第1外背板14)の背面に重ね、略水平姿勢とした下側係合片21を第2背面板40に開口したスライド溝50に通す(図10A参照)。
【0063】
第2棚部42の略全体をスライド空間Sに挿設(収容)した状態(幅狭形態P1)で、第1背面部10の押込み穴27および上側係合片22は、第2背面板40の着脱可能片52(一対の切目51の間)に対向する(図1および図11A参照)。続いて、作業者は、第1内背板13に開口した押込み穴27に指を差し込んで上側係合片22を後方に押し、着脱可能片52を撓ませながら上側係合片22をスライド溝50に押し込む(図10Bおよび図11A参照)。
【0064】
以上によって、図10Bおよび図11Aに示すように、スライド片20(全体)がスライド溝50に差し込まれて第2背面板40を貫通する。この状態で、下側係合片21はスライド溝50から下方に延設され、上側係合片22はスライド溝50から上方に延設されている。スライド額縁部23(一対のスライド折線L10の間)は、スライド溝50の下縁に接触または対向している。これにより、第2背面板40は、第1背面部10の背面に重なり、第1背面部10とスライド片20との間に挟まれ、係合部55を介して第1背面部10に左右方向にスライド可能に接続される。なお、スライド溝50の周囲が段潰しされて薄くなっているため、スライド片20をスライド溝50に通し易く、且つスライド片20をスライド溝50に沿ってスライドさせ易くなっている。
【0065】
以上のように、第1展示部5と第2展示部6とが左右方向にスライド可能に接続される(図11Aおよび図11B等参照)。最後に、第1背面部10の丸穴H1と第2背面板40等の丸穴H2とに紐99が通されることで、吊下展示具1が完成する(図1および図2参照)。
【0066】
図1および図11Aに示すように、幅狭形態P1にされた吊下展示具1では、第2棚部42の略全体がスライド空間Sに挿設(収容)され、第2背面板40の略全体が第1背面部10の背面に重なっている。また、スライド片20は、スライド溝50の右端部に配置されている(図11A参照)。
【0067】
例えば、作業者が第1側面板11と第2側面板41とを把持して左右両側に広げると、スライド片20は、スライド溝50に案内されながら左方へ移動し、吊下展示具1は幅狭形態P1から幅広形態P2に変形される(図11B参照)。図2図9および図11Bに示すように、幅広形態P2にされた吊下展示具1では、第2棚部42の略左半分がスライド空間Sから左方に引き出され、第2棚部42の略右半分がスライド空間Sに挿設されて第1棚部12に支持されている。また、第2背面板40の略右半分が第1背面部10から左方にずれ、第2背面板40の略左半分が第1背面部10の背面に重なっている。また、スライド片20は、スライド溝50の左端部に配置されている(図11B参照)。
【0068】
以上説明した第1実施形態に係る吊下展示具1では、第2背面板40が第1背面部10の背面に重なり、第1背面部10に係合部55を介して左右方向にスライド可能に接続されていた(図10B等参照)。また、第1棚底部30が第1背面部10に支持され、第2棚底板60が第2側面板41に支持されていた(図9等参照)。この構成によれば、第1背面部10および第2側面板41は、第1棚部12に対してスライドする第2棚部42に干渉することがなく、常に吊下展示具1の内側に表れるため、第1棚部12と第2棚部42とを確りと支え続けることができる。また、第1棚部12および第2棚部42は、側方から見て略L字状を成しているため(図6および図10B等参照)、単なる平板形状に比べて、剛性を高めることができる。さらに、第2棚部42が第1棚部12に左右方向にスライド可能に挿設された入れ子構造であるため(図2および図10B等参照)、第1棚部12と第2棚部42とが互いに支え合うことができる。これらにより、第1棚部12と第2棚部42との脱落を抑制しながら、吊下展示具1の左右方向の長さを変更することができる。
【0069】
また、第1実施形態に係る吊下展示具1によれば、第1棚部12(第1棚底部30および第1棚前部31)を中空の二重壁構造とすることで(図6および図10B等参照)、第1棚底部30または第1棚前部31が一枚の板状である場合に比べて、第1棚部12の剛性(曲げ強度)を向上させることができる。また、第2棚部42を第1棚部12のスライド空間Sに挿設することで、第1棚部12に対して第2棚部42を円滑にスライドさせることができる。さらに、第2棚部42全体を第1棚底部30のスライド空間Sに収めることで、第1棚部12のみが置棚を構成するような見た目となり(図1参照)、幅狭形態P1とされた吊下展示具1の美粧性を高めることができる。
【0070】
また、第1実施形態に係る吊下展示具1では、係合部55が、第2背面板40に穿設されたスライド溝50と、第1背面部10の一部を刳り貫くことで形成されたスライド片20と、で構成されていた(図11A等参照)。この構成によれば、第1背面部10の一部であるスライド片20をスライド溝50に通すだけで、第1背面部10と第2背面板40とをスライド可能に接続することができる。これにより、第1背面部10と第2背面板40とをスライド可能に接続するために、ボルト・ナット等の連結部材を不要とすることができ、製造コストを削減することができると共に、組立工数を削減することもできる。また、吊下展示具1を廃棄する際に、連結部材を分別する手間を削減することもできる。また、スライド片20が第2背面板40を貫通した状態で、下側係合片21と上側係合片22とがスライド溝50から上下両方に延びる構成とした(図11A等参照)。この構成によれば、スライド片20がスライド溝50から引き抜かれることが規制され、第1背面部10と第2背面板40とをスライド可能に接続した状態を保持することができる。
【0071】
なお、第1実施形態に係る吊下展示具1では、スライド溝50が第2背面板40に穿設され、スライド片20が第1背面部10(第1外背板14)の一部を刳り貫くことで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。これとは逆に、スライド溝50が第1背面部10に穿設され、スライド片20が第2背面板40の一部を刳り貫くことで形成されてもよい(図示せず)。この場合、スライド片20が正面側に露出し、吊下展示具1の美粧性が低下することになるため、吊下展示具1の美粧性を考慮するのであれば、第1実施形態に係る吊下展示具1のように、スライド片20が背面側に露出する構成とすることが好ましい。
【0072】
また、第1実施形態に係る吊下展示具1では、第2背面板40のスライド溝50の周囲に段潰し加工(図4に示す斜線部分)が施されていたが、これに限らず、この段潰し加工は省略されてもよい(段潰しされなくてもよい)。
【0073】
[吊下展示具の展開等]
吊下展示具1は、輸送時や保管時等、使用しない場合に、平坦に展開可能に構成されている。例えば、作業者は、吊下展示具1を幅広形態P2(図2等参照)にした状態で、第1側面板11と第2側面板41とを把持して後端を支点にして前側を左右両側に広げるように回動させ、第1棚部12に挿設された第2棚部42をこじりながら引き抜く。続いて、作業者は、第1掛止片38を第1支持片16から引き抜き、第2掛止片65を第2支持片46から引き抜く。その後、作業者は、第1背面部10と第2背面板40とを幅狭形態P1となるように互いに重ねる。
【0074】
以上によって、第2棚部42が第1棚部12から引き抜かれ、第1棚底部30および第2棚底板60が取り外され、第1背面部10と第2背面板40とが係合部55を介して接続された状態になる。この状態で、図12に示すように、第1側面板11および第1棚部12は、第1背面部10と略平行となるように展開され、第2側面板41および第2棚部42は、第2背面板40と略平行となるように展開される。第1背面部10が第1側面板11の後端に連設され、第1棚前部31(第1外前板32)が第1側面板11の前端に連設されているため、第1背面部10、第1側面板11および第1棚部12は、ひとつながりの状態で展開される。第2背面板40が第2側面板41の後端に連設され、第2棚前部61が第2側面板41の前端に連設されているため、第2背面板40、第2側面板41および第2棚部42は、ひとつながりの状態で展開される。以上のように、吊下展示具1は展開された状態で輸送されたり保管されたりする。
【0075】
なお、第1棚部12と第2棚部42とを分離する他の方法として、作業者は、第1上底板35および第1内前板33を第1外前板32の上端(第4折曲線L4)まわりに上方に回動させ、スライド空間Sを開放し、第2棚底板60を第2側面板41から取り外してもよい(第2掛止片65を第2支持片46から引き抜いてもよい)。
【0076】
吊下展示具1は、図12に示すように展開された状態で輸送や保管されてもよいが、展開された第1展示部5や第2展示部6が更に折り返されてもよい。第1展示部5において、例えば、第1側面板11が第2折曲線L2で折り返されて(正折りされて)第1内背板13の表面に重ねられてもよい(図示せず)。また、例えば、展開された第1棚部12の第1外前板32が第3折曲線L3で折り返され(正折りされ)、展開された第1棚部12が第1側面板11の裏面や第1内背板13の表面に重ねられてもよい(図示せず)。さらに、例えば、第1側面板11が第1内背板13の表面に重ねられた後、展開された第1棚部12の第1外前板32が第3折曲線L3で折り返され(逆折りされ)、展開された第1棚部12が第1側面板11の表面に重ねられてもよい(図示せず)。第1展示部5と同様にして、第2展示部6において、例えば、第2側面板41が第11折曲線L11で折り返されて(逆折りされて)第2背面板40の裏面に重ねられてもよい(図示せず)。また、例えば、展開された第2棚部42の第2外前板62が第12折曲線L12で折り返され(逆折りされ)、展開された第2棚部42が第2側面板41の表面等に重ねられてもよい(図示せず)。さらに、例えば、第2側面板41が第2背面板40の裏面に重ねられた後、展開された第2棚部42の第2外前板62が第12折曲線L12で折り返され(正折りされ)、展開された第2棚部42が第2側面板41の裏面に重ねられてもよい(図示せず)。
【0077】
以上説明した第1実施形態に係る吊下展示具1によれば、第2棚部42を第1棚部12から引き抜き、第1棚底部30および第2棚底板60を取り外すことで、第1背面部10と第2背面板40とを接続したまま、第1展示部5および第2展示部6を平坦に展開する(または折り畳む)ことができる。これにより、吊下展示具1の体積を大幅に小さくすることができるため、例えば、吊下展示具1の輸送コストを低減することができると共に、吊下展示具1の保管に必要な場所の省スペース化を図ることができる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、図13ないし図17を参照して、第2実施形態に係る吊下展示具2について説明する。図13は吊下展示具2(幅狭形態P1)を示す斜視図である。図14は吊下展示具2(幅広形態P2)を示す斜視図である。図15は吊下展示具2の第1展示部5のブランク5A2,5Bを示す平面図である。図16は吊下展示具2の第2展示部6のブランク6A2,6B,6Cを示す平面図である。図17は吊下展示具2の第1展示部5と第2展示部6とを接続した状態を示す断面図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る吊下展示具1と同一または対応する構成には同一の符号を付し、同一または対応する説明は省略する。
【0079】
第1実施形態に係る吊下展示具1では、係合部55が、第2背面板40に穿設されたスライド溝50と、第1外背板14の一部を刳り貫くことで形成されたスライド片20と、を有していたが、第2実施形態に係る吊下展示具2では、係合部75が、第1背面部10に穿設されるスライド溝50と、第2背面板40に取り付けられる連結部材70と、を有している点で相違する。つまり、第2実施形態に係る吊下展示具2では、スライド片20に代えて連結部材70が設けられ、押込み穴27が省略されている。
【0080】
[連結部材]
2つの連結部材70は、それぞれ、例えば、ポリエチレン等の合成樹脂で構成され、雄ネジ部材71と雌ネジ部材72とを一組として用いる所謂プラネジである(図13図14および図17参照)。雄ネジ部材71には、雄ネジが形成された円柱状の雄ネジ本体の一端にフランジ状の頭部が形成されている。雌ネジ部材72には、雌ネジが形成された円筒状の雌ネジ本体の他端にフランジ状の頭部が形成されている。
【0081】
[第1展示部のブランク]
図15に示すように、第2実施形態における第1展示部5のブランク5A2では、第1背面部10の第1内背板13に段方向に間隔をあけて2つの内背溝53が流れ方向に延びるように穿設され、第1背面部10の第1外背板14に段方向に間隔をあけて2つの外背溝54が流れ方向に延びるように穿設されている。内背溝53および外背溝54は、略同一形状であり、略水平となる直線状に形成されている。内背溝53および外背溝54は、雌ネジ部材72の雌ネジ本体(雄ネジ部材71の雄ネジ本体)を挿通可能とし、雌ネジ部材72(雄ネジ部材71)の頭部を挿通不能とする大きさに形成されている。内背溝53は、第1支持片16から右斜め上方に離れた位置に形成されている。外背溝54は、第1補助穴18から左斜め上方に離れた位置に形成されている。第1外背板14を一対の第1折曲線L1に沿って裏側に折り返して第1内背板13の裏面に接着した状態(二重壁となる第1背面部10が形成された状態)で、内背溝53と外背溝54とは略一致してスライド溝50を形成する(図13図14および図17参照)。
【0082】
なお、第2実施形態では、スライド溝50の長さ(横幅)が、第1実施形態でのスライド溝50の長さよりも短くなっている。また、第2実施形態では、第1背面部10等や第2背面板40等の高さが、第1実施形態での第1背面部10等や第2背面板40等よりも高く(上下方向に長く)形成され、第1支持片16や第1補助穴18等の形成位置も適宜調整されている。また、内背溝53と外背溝54との周囲には段潰し加工は施されていない。
【0083】
[第2展示部のブランク]
図16に示すように、第2実施形態における第2展示部6のブランク6A2では、第2背面板40に段方向に間隔をあけて2つの取付穴73が穿設されている。取付穴73は、雌ネジ部材72の雌ネジ本体(雄ネジ部材71の雄ネジ本体)を挿通可能とし、雌ネジ部材72(雄ネジ部材71)の頭部を挿通不能とする大きさに形成された丸穴である。
【0084】
[吊下展示具の組立]
次に、図17を参照して、第2実施形態に係る吊下展示具2の組立手順の一例について簡単に説明する。第2実施形態に係る吊下展示具2は、第1実施形態に係る吊下展示具1と略同一の手順で組み立てられる。
【0085】
第1展示部5および第2展示部6を組み立てた後、作業者は、第2棚部42を第1棚部12のスライド空間Sに挿設し、第2背面板40(略全面)を第1背面部10(第1外背板14)の後面に重ねる。第2背面板40に開口した取付穴73は、第1背面部10に開口したスライド溝50に略一致する。作業者は、連結部材70の雌ネジ部材72の雌ネジ本体を取付穴73に差し込む(取り付ける)。雌ネジ部材72の雌ネジ本体は、取付穴73とスライド溝50との内部に配置される。
【0086】
作業者は、スライド溝50内に配置された雌ネジ部材72の雌ネジ本体に、正面側から雄ネジ部材71の雄ネジ本体を螺合させる。雄ネジ部材71と雄ネジ部材71とが連結され、雄ネジ部材71の頭部は、第1内背板13の表面(スライド溝50の縁部)に接触(または対向)し、雌ネジ部材72の頭部は、第2背面板40の裏面(取付穴73の縁部)に接触(または対向)する。これにより、連結部材70は、スライド溝50に差し込まれて第1背面部10を貫通し、第1背面部10と第2背面板40とをスライド可能に接続する。
【0087】
以上によって、第1展示部5と第2展示部6とが係合部75を介して左右方向にスライド可能に連結され、吊下展示具2が完成する(図13および図14参照)。なお、上記した組立手順の一例では、雄ネジ部材71が正面側に配置され、雌ネジ部材72が背面側に配置されていたが、これとは逆に、雌ネジ部材72が正面側に配置され、雄ネジ部材71が背面側に配置されてもよい(図示せず)。
【0088】
以上説明した第2実施形態に係る吊下展示具2よれば、第1棚部12と第2棚部42との脱落を抑制しながら、吊下展示具2の左右方向の長さを変更することができる等、第1実施形態に係る吊下展示具1と同様の効果を得ることができる。なお、第2実施形態に係る吊下展示具2も、第1実施形態に係る吊下展示具1と同様に、第1背面部10と第2背面板40とを接続したまま、第1展示部5および第2展示部6を平坦に展開する(または折り畳む)ことができる。
【0089】
なお、第1実施形態に係る吊下展示具1では、スライド溝50に沿ったスライド片20のスライドに必要な強度を担保するために、スライド片20には、ある程度の左右幅が必要とされる。その結果、スライド片20が刳り貫かれる第1背面部10の左右幅、スライド溝50およびスライド溝50を開口させる第2背面板40の左右幅も広くなる傾向があり、吊下展示具1では、左右方向の最小寸法を短くすることが難しいというデメリットがあった。これに対し、第2実施形態に係る吊下展示具2では、スライド溝50に沿ってスライドする連結部材70が、合成樹脂製であり、紙製のスライド片20に比べて、高い強度を備えているため、紙製のスライド片20よりも細くすることができる。その結果、第1背面部10、スライド溝50および第2背面板40の左右幅も狭くすることができ、吊下展示具2の左右方向の最小寸法を短くすることができる(図15および図16等参照)。
【0090】
なお、第2実施形態に係る吊下展示具2では、連結部材70が所謂プラネジであったが、本発明はこれに限定されない。連結部材70は、例えば、金属製のボルト・ナットであってもよい(図示せず)。また、連結部材70は、螺子作用によって連結するものに限らず、例えば、嵌め込み鋲やリベット等であってもよい(図示せず)。
【0091】
また、第2実施形態に係る吊下展示具2では、第1背面部10にスライド溝50が穿設され、第2背面板40に連結部材70が取り付けられていた(取付穴73が穿設されていた)が、本発明はこれに限定されない。これとは逆に、スライド溝50が第2背面板40に穿設され、連結部材70が第1背面部10に取り付けられ(取付穴73が穿設され)てもよい(図示せず)。この場合、吊下展示具2を幅狭形態P1とした際に、正面からスライド溝50が見えなくなるため、吊下展示具2の美粧性を向上させることができる。
【0092】
なお、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、第2展示部6が、第1展示部5の右側に配置されていたが、これに限らず、第1展示部5の左側に配置されてもよい(図示せず)。また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、2つの第1棚部12および2つの第2棚部42が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。第1棚部12および第2棚部42は、それぞれ、1つ設けられてもよいし、上下方向に間隔をあけて3つ以上設けられてもよい(図示せず)。
【0093】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、第1背面部10が、第1内背板13と第1外背板14とを重ねた二重壁とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1背面部10は、1枚の板のみで構成されてもよい(図示せず)。また、第1外背板14の第1補助穴18は省略されてもよい(図示せず)。また、第2背面板40が、第1背面部10と同様に、二重壁とされてもよい(図示せず)。
【0094】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、第1側面板11および第2側面板41が、それぞれ1枚の板であったが、例えば、補強板を接着する等して二重壁とされてもよい(図示せず)。
【0095】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、第1棚部12に第1補助片36が設けられていたが、これは省略されてもよい(図示せず)。また、第1棚部12に第1棚額板34が設けられていたが、これを省略し、第1内前板33が第1外前板32の上端に直接連設されてもよい(図示せず)。また、上段の第1上底板35が、第1内前板33に連設されていたが、これに限らず、下段の第1上底板35と同様に、別部材(ブランク5B)とされてもよい(図示せず)。
【0096】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、棚折込片66に段潰し加工(図4および図16に示す斜線部分)が施されていたが、これに限らず、段潰し加工は省略されてもよい(図示せず)。また、第2棚部42から棚折込片66が省略されてもよく、この場合、第2内前板63は第2外前板62に直接接着されてもよい(図示せず)。また、第2棚部42に第2棚額板64が設けられていたが、これを省略し、第2内前板63が第2外前板62の上端に直接連設されてもよい(図示せず)。さらに、第2内前板63、第2棚額板64および棚折込片66を省略し、第2棚底板60が第2外前板62の下端に連設されてもよい(図示せず)。つまり、第2棚前部61が第2外前板62のみで構成されてもよい。また、第2棚底板60が、1枚の板であったが、例えば、補強板を接着する等して二重壁とされてもよい(図示せず)。
【0097】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、第1支持片16が第1背面部10(第1内背板13)に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。第1支持片16は、第1内背板13に形成された第1支持片16に代えて/加えて、例えば、第1側面板11に第1切溝17を切り込むことで形成されてもよいし、第1側面板11の内面(裏ライナ9C)に第2側面板41の内面に接着された第2支持部材43と同様のものを接着してもよい(いずれも図示せず)。この場合、第1補助片36が第1側面板11に設けられた第1支持片16に掛けられる。以上のように、第1棚底部30は、第1背面部10と第1側面板11の少なくとも一方(第1背面部10等)に支持されていればよい。
【0098】
第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、第1支持片16に第1掛止片38を掛止させることで、第1棚底部30が支持されていたが、本発明はこれに限定されない。他の例としての第1支持片は、第1背面部10等の内面に固定された厚板状またはブロック状の部材であってもよい(図示せず)。この場合、第1掛止片38が省略され、第1棚底部30が第1背面部10等の内面から突き出した第1支持片に載せられる。
【0099】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、第2支持部材43(第2支持片46)が第2側面板41の内面(裏ライナ9C)に接着されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1内背板13に第1切溝17を切り込むことで形成された第1支持片16と同様に、第2側面板41に第2切溝47を切り込むことで第2支持片46が形成されてもよい(図示せず)。また、他の例としての第2支持片(図示せず)は、第2側面板41の内面に固定された厚板状またはブロック状の部材であって、第2掛止片65が省略され、第2棚底板60が第2側面板41の内面から突き出した第2支持片に載せられてもよい。
【0100】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、第1背面部10および第2背面板40を展開して平坦にする(または折り畳む)ために、第1棚底部30および第2棚底板60を第1背面部10や第2側面板41に着脱可能に支持していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、組み立てた第1背面部10および第2背面板40を展開しない構成とするのであれば、第1棚底部30(第1掛止片38)は第1背面部10と第1側面板11の少なくともいずれか一方に接着され、第2棚底板60(第2掛止片65)は第2側面板41に接着されてもよい(図示せず)。
【0101】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2では、紐99を通す丸穴H1,H2が第1背面部10および第2背面板40等に穿設されていたが、これに限らず、第1側面板11や第2側面板41に穿設されてもよい(図示せず)。また、丸穴H1,H2を省略し、紐99が、第1背面部10等に直接固定されてもよい(図示せず)。
【0102】
また、第1~第2実施形態に係る吊下展示具1,2は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。吊下展示具1,2は、片面段ボール、複両面段ボール、複々両面段ボール、単紙(厚紙)または合成樹脂製の板材等で形成されていてもよい。
【0103】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る吊下展示具における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0104】
1,2 吊下展示具
5 第1展示部
6 第2展示部
10 第1背面部
11 第1側面板(第1側面部)
30 第1棚底部
31 第1棚前部
12 第1棚部
40 第2背面板(第2背面部)
41 第2側面板(第2側面部)
60 第2棚底板(第2棚底部)
61 第2棚前部
42 第2棚部
55,75 係合部
39 スライド空間
50 スライド溝
20 スライド片
21 下側係合片
22 上側係合片
70 連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17