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特開2024-92536タオル織物、及び真空パッキングタオル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092536
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】タオル織物、及び真空パッキングタオル
(51)【国際特許分類】
   D03D 27/00 20060101AFI20240701BHJP
   A47K 10/02 20060101ALI20240701BHJP
   A47K 7/02 20060101ALI20240701BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20240701BHJP
   D03D 15/217 20210101ALI20240701BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20240701BHJP
【FI】
D03D27/00 A
A47K10/02 C
A47K7/02 C
D03D27/00 D
D03D15/283
D03D15/217
D03D15/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208550
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】300059201
【氏名又は名称】田中産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】田中 良史
【テーマコード(参考)】
2D134
4L048
【Fターム(参考)】
2D134CC02
4L048AA08
4L048AA20
4L048AA21
4L048AB01
4L048AB05
4L048AB12
4L048BA23
4L048BA28
4L048BA32
4L048CA00
4L048CA07
4L048CA12
4L048CA13
4L048DA14
4L048EA00
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、良好な吸水性と優れた速乾性を合わせ持ち、かつふんわり感を向上させたタオル織物、及び当該タオル織物が、圧縮袋内に圧縮状態で封入されている真空パッキングタオルを提供することである。
【解決手段】本発明のタオルは、経地糸、緯地糸、及びパイル糸で構成されており、前記経地糸、前記緯地糸、及び前記パイル糸は、それぞれ、ポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経地糸、緯地糸、及びパイル糸で構成されるタオル織物であって、
前記経地糸、前記緯地糸、及び前記パイル糸は、ポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸である、タオル織物。
【請求項2】
前記経地糸及び前記緯地糸は、ポリエステル短繊維を65質量%以上含み、かつ綿を35質量%以下で含む混紡糸である、請求項1に記載のタオル織物。
【請求項3】
前記経地糸及び前記緯地糸は、ポリエステル短繊維の紡績糸である、請求項1に記載のタオル織物。
【請求項4】
前記パイル糸は、ポリエステル短繊維を65質量%以上含み、かつ綿を35質量%以下で含む混紡糸である、請求項1に記載のタオル織物。
【請求項5】
前記パイル糸は、ポリエステル短繊維の紡績糸である、請求項1に記載のタオル織物。
【請求項6】
前記ポリエステル短繊維は、ポリエチレンテレフタレート短繊維である、請求項1に記載のタオル織物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のタオル織物が、圧縮袋内に圧縮状態で封入されている真空パッキングタオル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な吸水性と優れた速乾性を合わせ持ち、かつふんわり感を向上させたタオル織物、及び当該タオル織物が、圧縮袋内に圧縮状態で封入されている真空パッキングタオルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な綿タオルは、吸水性が高く、身体及び髪などについた水分の拭き取り性に優れるという長所があるが、その反面、優れた吸水性のために洗濯時に多くの水分を含み、水切りが悪くなり、その結果、乾燥時間が長くなり、速乾性に劣るという短所も併せ持つ。そのため、家庭での洗濯のみならず、病院、介護施設、ホテル等の業務用途での洗濯においても、長い乾燥時間と多大な消費電力を必要とするという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、例えば、特許文献1では、パイル糸として、非捲縮性のポリエステル系マルチフィラメント糸と植物性繊維との精紡合撚糸を用いたタオル地が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-50462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のタオル地は、速乾性について十分満足できるものではなく、また、ふんわり感についても改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、良好な吸水性と優れた速乾性を合わせ持ち、かつふんわり感を向上させたタオル織物、及び当該タオル織物が、圧縮袋内に圧縮状態で封入されている真空パッキングタオルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、タオル織物を構成する経地糸、緯地糸、及びパイル糸として、ポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸を用いることにより、良好な吸水性と優れた速乾性を合わせ持ち、かつふんわり感を向上させたタオル織物が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
項1.経地糸、緯地糸、及びパイル糸で構成されるタオル織物であって、
前記経地糸、前記緯地糸、及び前記パイル糸は、ポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸である、タオル織物。
項2.前記経地糸及び前記緯地糸は、ポリエステル短繊維を65質量%以上含み、かつ綿を35質量%以下で含む混紡糸である、項1に記載のタオル織物。
項3.前記経地糸及び前記緯地糸は、ポリエステル短繊維の紡績糸である、項1に記載のタオル織物。
項4.前記パイル糸は、ポリエステル短繊維を65質量%以上含み、かつ綿を35質量%以下で含む混紡糸である、項1~3のいずれかに記載のタオル織物。
項5.前記パイル糸は、ポリエステル短繊維の紡績糸である、項1~3のいずれかに記載のタオル織物。
項6.前記ポリエステル短繊維は、ポリエチレンテレフタレート短繊維である、項1~5のいずれかに記載のタオル織物。
項7.項1~6のいずれかに記載のタオル織物が、圧縮袋内に圧縮状態で封入されている真空パッキングタオル。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タオル織物を構成する経地糸、緯地糸、及びパイル糸として、それぞれポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸を用いることにより、良好な吸水性と優れた速乾性を合わせ持ち、かつふんわり感を向上させたタオル織物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.タオル織物
本発明のタオル織物は、経地糸、緯地糸、及びパイル糸で構成され、前記経地糸、前記緯地糸、及び前記パイル糸は、それぞれポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸であることを特徴とする。以下、本発明のタオル織物について詳述する。
【0011】
本発明のタオル織物において、経地糸及び緯地糸は、グランド(基布)部分を形成し、パイル糸はパイルループ部分とグランド部分とを形成する。パイルループは、片面のみにあってもよく、両面にあってもよい。
【0012】
前記ポリエステル短繊維の原料であるポリエステルは特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。本発明の効果をより向上させる観点から、好ましくはポリエチレンテレフタレートである。また、原料であるポリエステルとして、再生ポリエステル、及び生分解性ポリエステルを用いてもよい。
【0013】
前記紡績糸は、ポリエステル短繊維を65質量%以上含むものであればよく、ポリエステル短繊維の紡績糸であってもよく、ポリエステル短繊維以外の他の繊維を混紡した混紡糸であってもよい。他の繊維は特に制限されず、例えば、綿、麻、カポックなどの植物性繊維;絹、羊毛、山羊毛、ラマ毛、ラクダ毛、兎毛、馬毛、牛毛などの動物性繊維である天然繊維;レーヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生繊維;アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維;ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタンなどの合成繊維などの化学繊維が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。他の繊維は、吸水性、ふんわり感、肌触り、及び風合い等を向上させる観点から、好ましくは天然繊維、より好ましくは植物性繊維、更に好ましくは綿である。
【0014】
本発明のタオル織物を構成する経地糸及び緯地糸は、ポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸である。経地糸及び緯地糸に用いられる前記紡績糸におけるポリエステル短繊維の混率は、本発明の効果をより向上させる観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは100質量%、つまりポリエステル短繊維の紡績糸である。経地糸及び緯地糸として混紡糸を用いる場合、混紡糸の好ましい態様としては、具体的には、ポリエステル短繊維を65質量%以上含み、かつ綿を35質量%以下で含む混紡糸、ポリエステル短繊維を70質量%以上含み、かつ綿を30質量%以下で含む混紡糸、ポリエステル短繊維を80質量%以上含み、かつ綿を20質量%以下で含む混紡糸、ポリエステル短繊維を90質量%以上含み、かつ綿を10質量%以下で含む混紡糸、及びポリエステル短繊維を95質量%以上含み、かつ綿を5質量%以下で含む混紡糸が挙げられる。経地糸と緯地糸は、同じ紡績糸であってもよく、異なる紡績糸であってもよい。
【0015】
本発明のタオル織物を構成するパイル糸も、ポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸である。パイル糸に用いられる前記紡績糸におけるポリエステル短繊維の混率は、本発明の効果をより向上させる観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは100質量%、つまりポリエステル短繊維の紡績糸である。パイル糸として混紡糸を用いる場合、混紡糸の好ましい態様としては、具体的には、ポリエステル短繊維を65質量%以上含み、かつ綿を35質量%以下で含む混紡糸、ポリエステル短繊維を70質量%以上含み、かつ綿を30質量%以下で含む混紡糸、ポリエステル短繊維を80質量%以上含み、かつ綿を20質量%以下で含む混紡糸、ポリエステル短繊維を90質量%以上含み、かつ綿を10質量%以下で含む混紡糸、及びポリエステル短繊維を95質量%以上含み、かつ綿を5質量%以下で含む混紡糸が挙げられる。パイル糸は、経地糸や緯地糸と同じ紡績糸を用いてもよく、異なる紡績糸を用いてもよい。
【0016】
本発明のタオル織物において、本発明の効果をより向上させる観点から、経地糸、緯地糸、及びパイル糸として、ポリエステル短繊維を65質量%以上含み、かつ綿を35質量%以下で含む混紡糸を用いことが好ましい。
【0017】
また、本発明のタオル織物において、本発明の効果をより向上させる観点から、経地糸及び緯地糸としてポリエステル短繊維の紡績糸を用い、パイル糸としてポリエステル短繊維を65質量%以上含み、かつ綿を35質量%以下で含む混紡糸を用いことがより好ましい。
【0018】
また、本発明のタオル織物において、本発明の効果をより向上させる観点から、経地糸及び緯地糸としてポリエステル短繊維の紡績糸を用い、パイル糸としてポリエステル短繊維を70質量%以上含み、かつ綿を30質量%以下で含む混紡糸を用いことが更に好ましい。
【0019】
また、本発明のタオル織物において、本発明の効果をより向上させる観点から、経地糸、緯地糸、及びパイル糸として、ポリエステル短繊維の紡績糸を用いことが特に好ましい。
【0020】
前記紡績糸は、単糸であっても、双糸であっても、三子糸であってもよいが、好ましくは双糸である。
【0021】
前記紡績糸の総繊度は特に制限されないが、本発明の効果をより向上させる観点から、経地糸及び緯地糸に用いる前記紡績糸の総繊度は、前記紡績糸が単糸である場合、英式綿番手にて10~25番手であることが好ましく、より好ましくは15~23番手であり、前記紡績糸が双糸である場合、英式綿番手にて20~60番手であることが好ましく、より好ましくは30~40番手である。同様の観点から、パイル糸に用いる前記紡績糸の総繊度は、前記紡績糸が単糸である場合、英式綿番手にて10~35番手であることが好ましく、より好ましくは15~30番手であり、前記紡績糸が双糸である場合、英式綿番手にて20~60番手であることが好ましく、より好ましくは30~40番手である。
【0022】
パイルに使用する前記紡績糸の撚り数は特に制限されないが、本発明の効果をより向上させる観点、及びソフトな風合いにする観点から、好ましくは4~15回/インチ、より好ましくは4~8回/インチである。
【0023】
前記紡績糸の紡績方法は特に制限されず、公知の紡績方法、例えば、リング紡績、オープンエンド紡績、及び結束紡績等の各種方法が挙げられる。
【0024】
本発明のタオル織物において、パイル倍率(パイル糸長さ/経地糸長さ)は特に制限されないが、本発明の効果をより向上させる観点から、好ましくは4~9倍、より好ましくは5~8倍である。
【0025】
本発明のタオル織物において、縦密度及び緯密度は特に制限されないが、本発明の効果をより向上させる観点から、縦密度は、好ましくは9~20本/cm、より好ましくは11~16本/cmであり、緯密度は、好ましくは15~26本/cm、より好ましくは17~22本/cmである。
【0026】
本発明のタオル織物において、目付は特に制限されないが、本発明の効果をより向上させる観点から、好ましくは200~700g/m2、より好ましくは300~600g/m2である。
【0027】
本発明のタオル織物は、JIS L 1902:2015「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」に従って、菌液吸収法によって抗菌性試験して得られる、未使用及び洗濯10回後のタオル織物の抗菌活性値が、いずれも2.2以上であり、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは4.5以上である。また、未使用のタオル織物の抗菌活性値は、より更に好ましくは5.0以上、特に好ましくは6.0以上である。
【0028】
本発明のタオル織物は、織機を用いて定法により製造することができ、かかる織機としてはタオル生地を織ることが可能であれば特に限定されず、例えば、レピア織機、エアージェット織機、ウォータージェット織機、スルザー織機等の枠枚数16枚付ドビー機、及びジャガード機等が挙げられる。
【0029】
本発明のタオル織物は、必要に応じて各種の仕上げ加工が施されていてもよい。仕上げ加工としては、例えば、染め、起毛、剪毛、シルケット加工、UVカット加工、静電防止加工、消臭加工、抗菌・制菌加工、バフ加工、漂白、ヒートセットなどが挙げられる。
【0030】
本発明のタオル織物としては、例えば、バスタオル(湯上りタオル)、浴用タオル、フェイスタオル、タオルハンカチ(タオルチーフ)、おしぼりタオル、ウォッシュタオル、ハンドタオル、バスマット、スポーツタオル、ビーチタオル(ボディタオル)などが挙げられる。
【0031】
2.真空パッキングタオル
本発明の真空パッキングタオルは、本発明のタオル織物が、圧縮袋内に圧縮状態で封入されているものである。ここで、「圧縮袋内に圧縮状態で封入」とは、タオル織物が圧縮袋内に圧縮した状態(真空パックによる圧縮状態を含む)のままで封止されていることをいう。
【0032】
圧縮袋の素材及び種類は、本発明のタオル織物を圧縮状態で封入可能なものであれば特に制限されず、例えば、密封可能な、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレン及びポリ塩化ビニールなどの単層フィルム;ポリアミド系合成繊維とポリエチレンとを積層したもの、ナイロンフィルムとポリエチレンフィルムとをポリエチレン層を介して積層したもの、及びナイロンフィルムとポリエチレンフィルムとを積層したものなどのラミネートフィルムなど)の袋、金属箔(例えば、アルミニウム箔など)の袋、プラスチックフィルムと金属箔との複合材の袋などが挙げられる。また、前記袋の開口部に密封チャックを取り付け、かつ真空吸引部に逆止弁を設けた再使用可能なタイプのものでもよい。
【0033】
圧縮袋の形状及びサイズは特に制限されず、収納されるタオル織物に応じて適宜変更すればよい。なお、圧縮袋は、内部を視認できるように一部又は全体が透明であることが好ましい。
【0034】
タオル織物の圧縮形状は特に制限されず、例えば、折り畳み状、及びロール状などが挙げられる。
【0035】
圧縮袋内に封入するタオル織物の枚数は特に制限されず、収納されるタオル織物に応じて適宜変更すればよい。
【0036】
本発明の真空パッキングタオルは、タオル織物が圧縮袋内に圧縮した状態のままで封止されているため、タオル織物の嵩が減ってコンパクト化できる。それにより、真空パッキングタオルの輸送時および保管時のスペースが小さくなり、輸送コスト及び保管コストを削減できる。また、本発明の真空パッキングタオルは、密封されているため、水害時に真空パッキングタオルが水没したとしても、圧縮袋内のタオル織物は水に濡れることがなく、真空パッキングの開封後すぐにタオル織物を使えるという利点がある。また、本発明のタオル織物は、経地糸、緯地糸、及びパイル糸として、ポリエステル短繊維を65質量%以上含む紡績糸を用いているので、真空パッキングの開封後にすぐに嵩高くなり、パイル立ちが良く、ふんわりとした肌触りのタオルになるという特徴がある。
【実施例0037】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
経地糸及び緯地糸として、ポリエチレンテレフタレート(再生ポリエチレンテレフタレート)短繊維の紡績糸(経地糸:双糸、英式綿番手:30番、下撚り数:4回/インチ、上撚り数8回/インチ、緯地糸:単糸、英式綿番手:20番、撚り数:3回/インチ)を用い、パイル糸として、ポリエチレンテレフタレート(再生ポリエチレンテレフタレート)短繊維を70質量%、かつ綿を30質量%含む混紡糸(単糸、英式綿番手:20番、撚り数:5回/インチ)を用い、レピア織機を用いて、タオル織物を製織した。製織したタオル織物は、長さが75cm、幅が34cm、パイル倍率(パイル糸長さ/経地糸長さ)が6.98倍、縦密度が11.9本/cm、緯密度が18.1本/cm、目付が431g/m2であった。
【0039】
実施例2
経地糸及び緯地糸として、ポリエチレンテレフタレート(再生ポリエチレンテレフタレート)短繊維を65質量%、かつ綿を35質量%含む混紡糸(経地糸:双糸、英式綿番手:34番、下撚り数:18回/インチ、上撚り数15回/インチ、緯地糸:単糸、英式綿番手:23番、撚り数:16回/インチ)を用い、パイル糸として、ポリエチレンテレフタレート(再生ポリエチレンテレフタレート)短繊維を70質量%、かつ綿を30質量%含む混紡糸(単糸、英式綿番手:20番、撚り数:5回/インチ)を用い、レピア織機を用いて、タオル織物を製織した。製織したタオル織物は、長さが75cm、幅が34cm、パイル倍率(パイル糸長さ/経地糸長さ)が6.58倍、縦密度が11.9本/cm、緯密度が18.1本/cm、目付が392g/m2であった。
【0040】
比較例1
経地糸及び緯地糸として、綿の紡績糸(経地糸:双糸、英式綿番手:30番、下撚り数:20回/インチ、上撚り数12回/インチ、緯地糸:単糸、英式綿番手:20番、撚り数:17/インチ)を用い、パイル糸として、綿の紡績糸(単糸、英式綿番手:20番、撚り数:17/インチ)を用い、レピア織機を用いて、タオル織物を製織した。製織したタオル織物は、長さが75cm、幅が34cm、パイル倍率(パイル糸長さ/経地糸長さ)が6.7倍、縦密度が11.9本/cm、緯密度が17.7本/cm、目付が444g/m2であった。
【0041】
<乾燥性の評価>
実施例1、2、及び比較例1で製織したタオル織物を水に浸漬させ、遠心脱水機で2分間脱水を行った後、下記乾燥方法で、乾燥するまでの時間を30分間隔で測定した。なお、水に浸漬させる前の標準状態でのタオル織物の重量を残留水分率0%とした。結果を表1に示す。
乾燥方法
・吊干し
・温度:20±2℃
・湿度:65±4%RH
【0042】
【表1】
【0043】
表1から、実施例1のタオル織物は、乾燥時間150分で残留水分率が1%未満になっており、実施例2のタオル織物は、乾燥時間210分で残留水分率が1%未満になっており、乾燥時間300分で残留水分率が1%未満になっている比較例1の綿タオル織物と比べて速乾性に非常に優れることがわかった。また、実施例1及び2のタオル織物は、ポリエステル系マルチフィラメント糸と綿との混紡糸をパイル糸に用いたタオル織物に比べて良好な吸水性とふんわり感を有するものであった。
【0044】
<抗菌性の評価>
実施例1で製織したタオル織物の抗菌性は、JIS L 1902:2015「繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果」に従って、下記条件で抗菌性試験して得られる、未使用及び洗濯10回後のタオル織物の抗菌活性値にて評価した。結果を表2に示す。
抗菌性試験の条件
・試験菌:モラクセラ菌 Moraxella osloensis ATCC19976
・接種菌液濃度:1.4×105(CFU/mL)
・定量試験:菌液吸収法
・生菌数の測定法:混釈平板培養法
・試験菌懸濁液:非イオン界面活性剤0.05%添加
・試験片の滅菌方法:オートクレーブ
洗濯方法
・繊維評価技術協議会SEKマーク繊維製品の洗濯方法:標準洗濯法、吊干し
【0045】
【表2】
【0046】
表2から、実施例1のタオル織物は、洗濯10回後でも抗菌活性値が高く、抗菌性に優れるものであることがわかった。