(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092541
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】エレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20240701BHJP
B66B 17/20 20060101ALI20240701BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/14 E
B66B1/14 M
B66B17/20
B66B3/00 K
B66B3/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208557
(22)【出願日】2022-12-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 和諒
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303BA06
3F303CA11
3F303CA14
3F303CB04
3F303CB27
3F303DC25
3F502HB10
3F502HC07
3F502JA06
3F502JA08
3F502JA10
3F502JA11
3F502KA03
3F502MA48
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動体についてもセキュリティ階への進入を管理できるエレベーターシステムを提供する。
【解決手段】エレベーターシステム1において、セキュリティ管理装置22は、セキュリティ階にエレベーター4のかご10が停止する呼びの登録の制限を管理する。セキュリティ管理装置22は、セキュリティ階への呼びの登録の制限に対する正当な解除要求を移動体制御装置3から受信するときに、セキュリティ階にかご10が停止する呼びの登録の制限を解除させる指令をエレベーター制御装置17に送信する。移動体制御装置3は、セキュリティ階にかご10が停止する呼びの登録要求の送信を、セキュリティ階に対する解除要求を送信した後に行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床を有する施設に設けられたエレベーターのかごに乗車可能な移動体の前記施設における移動を制御する移動体制御装置と、
前記エレベーターの状態の情報を収集し、前記エレベーターの運行を制御するエレベーター制御装置と、
前記複数の階床のうちのセキュリティ階に前記かごが停止する呼びの登録の制限を管理するセキュリティ管理装置と、
前記移動体制御装置から送信される呼びの登録要求を前記エレベーター制御装置に中継し、前記エレベーター制御装置から送信される当該登録要求への登録応答および前記エレベーターの状態の情報を前記移動体制御装置に中継する中継装置と、
を備え、
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する正当な解除要求を前記移動体制御装置から受信するときに、前記セキュリティ階に前記かごが停止する呼びの登録の制限を解除させる指令を前記エレベーター制御装置に送信し、
前記移動体制御装置は、前記セキュリティ階に前記かごが停止する呼びの前記登録要求の送信を、前記セキュリティ階に対する前記解除要求を送信した後に行う、
エレベーターシステム。
【請求項2】
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する正当な前記解除要求を前記移動体制御装置から受信するときに、当該解除要求への解除応答を前記移動体制御装置に送信する、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記中継装置は、前記移動体制御装置から呼びの登録要求を受信するときに、前記かごの現在位置および走行方向に基づいて当該登録要求を前記エレベーター制御装置に送信するか否かを判定し、当該登録要求を送信した後に当該登録要求の呼びが登録されていない場合に予め設定された上限回数までの範囲で当該登録要求を前記エレベーター制御装置に再送し、再送の回数が前記上限回数に達したときに呼びの登録失敗を前記移動体制御装置に通知する、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記移動体制御装置は、前記中継装置から呼びの登録失敗の通知を受けるときに、前記移動体に失敗を通知して前記移動体の移動を中止する、
請求項3に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
前記中継装置は、前記エレベーター制御装置から送信される前記かごの現在位置を前記セキュリティ管理装置に送信し、
前記移動体制御装置は、前記移動体の現在位置を前記セキュリティ管理装置に送信し、
前記セキュリティ管理装置は、前記かごの現在位置および前記移動体の現在位置に基づいて前記指令を前記エレベーター制御装置に送信するか否かを判断する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
前記セキュリティ管理装置は、前記移動体が出発階の乗場に到着する前には前記指令を前記エレベーター制御装置に送信せず、前記移動体が出発階の乗場に到着した後に前記指令を前記エレベーター制御装置に送信する、
請求項5に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
前記セキュリティ管理装置は、前記移動体が前記かごに乗車する前において、当該かごが前記移動体の出発階に到着する前に前記指令を前記エレベーター制御装置に送信し、当該かごが前記移動体の出発階に到着した後には前記指令を前記エレベーター制御装置に送信しない、
請求項6に記載のエレベーターシステム。
【請求項8】
前記セキュリティ管理装置は、前記移動体が前記かごに乗車した後において、当該かごが前記移動体の行先階に到着する前に前記指令を前記エレベーター制御装置に送信し、当該かごが前記移動体の行先階に到着した後には前記指令を前記エレベーター制御装置に送信しない、
請求項6に記載のエレベーターシステム。
【請求項9】
前記エレベーター制御装置は、前記移動体制御装置からの前記セキュリティ階の前記解除要求に基づく前記指令を前記セキュリティ管理装置から受信した場合に、前記かごに設けられたかご操作盤からの前記セキュリティ階を行先階とする登録信号を受け付けない、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項10】
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する制限復帰要求を前記移動体制御装置から受信するときに、前記セキュリティ階に前記かごが停止する呼びの登録の制限を復帰させる指令を前記エレベーター制御装置に送信する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
【請求項11】
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する前記制限復帰要求を前記移動体制御装置から受信するときに、当該制限復帰要求への制限復帰応答を前記移動体制御装置に送信し、
前記移動体制御装置は、当該制限復帰応答を前記中継装置に送信する、
請求項10に記載のエレベーターシステム。
【請求項12】
前記中継装置は、前記移動体が前記かごへの乗車または前記かごからの降車を完了しても前記制限復帰要求を前記移動体制御装置から受信しない場合に、前記セキュリティ階に対する前記制限復帰要求を前記セキュリティ管理装置に送信する、
請求項10に記載のエレベーターシステム。
【請求項13】
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する前記制限復帰要求を前記中継装置から受信するときに、当該制限復帰要求への制限復帰応答を前記移動体制御装置に送信し、
前記移動体制御装置は、当該制限復帰応答を前記中継装置に送信する、
請求項12に記載のエレベーターシステム。
【請求項14】
前記移動体制御装置は、前記移動体が前記かごへの乗車もしくは前記かごからの降車に失敗した場合、または前記移動体の異常を検知した場合に、前記セキュリティ階に対する前記制限復帰要求をセキュリティ管理装置に送信し、呼びの取消要求を前記中継装置に送信し、
前記中継装置は、前記移動体制御装置から送信される前記取消要求を前記エレベーター制御装置に中継する、
請求項10に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターシステムの例を開示する。エレベーターシステムは、移動体と、エレベーターと、を備える。エレベーターは、セキュリティ階を有する建物に設置される。エレベーターは、移動体に無線接続される。移動体は、エレベーターのかごに乗り込んだときに、セキュリティ階を行先階とするかご呼びの登録要求情報を生成してエレベーターに無線送信する。セキュリティ階への進入は移動体にのみ許可され、一般利用者には許可されていない。エレベーターは、移動体から当該登録要求情報を取得するときに、かご内に設けられたカメラの映像によって一般利用者がいないことを認識すると、移動体のかご呼びを登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のエレベーターシステムにおいて、セキュリティ階のセキュリティ性は、セキュリティ階への進入が移動体に制限されることで確保される。このため、当該エレベーターシステムにおいて、移動体のセキュリティ階への呼びは、利用者がいない場合にセキュリティ上の制限を受けることなく登録される。すなわち、移動体についてはセキュリティ階への進入が管理されていない。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、移動体についてもセキュリティ階への進入を管理できるエレベーターシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターシステムは、複数の階床を有する施設に設けられたエレベーターのかごに乗車可能な移動体の前記施設における移動を制御する移動体制御装置と、前記エレベーターの状態の情報を収集し、前記エレベーターの運行を制御するエレベーター制御装置と、前記複数の階床のうちのセキュリティ階に前記かごが停止する呼びの登録の制限を管理するセキュリティ管理装置と、前記移動体制御装置から送信される呼びの登録要求を前記エレベーター制御装置に中継し、前記エレベーター制御装置から送信される当該登録要求への登録応答および前記エレベーターの状態の情報を前記移動体制御装置に中継する中継装置と、を備え、前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する正当な解除要求を前記移動体制御装置から受信するときに、前記セキュリティ階に前記かごが停止する呼びの登録の制限を解除させる指令を前記エレベーター制御装置に送信し、前記移動体制御装置は、前記セキュリティ階に前記かごが停止する呼びの前記登録要求の送信を、前記セキュリティ階に対する前記解除要求を送信した後に行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るエレベーターシステムであれば、移動体についてもセキュリティ階への進入を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るエレベーター制御装置の主要部のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すシーケンス図である。
【
図4】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すシーケンス図である。
【
図5】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すシーケンス図である。
【
図6A】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図6B】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図6C】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図6D】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の構成図である。
【0011】
エレベーターシステム1は、施設に適用される。施設は、例えば、屋内施設もしくは屋外施設、またはこれらを複合した施設などである。施設は、例えば、1つまたは複数の建物などからなる。施設は、例えば、建物などの一部であってもよい。施設において、複数の階床が設けられる。
【0012】
施設において、移動体2が稼働する。施設において、複数の移動体2が稼働していてもよい。移動体2は、例えば、施設を自律的に自走して移動するロボットまたはモビリティなどの装置である。この例において、移動体2は、センサおよびカメラを搭載する。移動体2は、センサおよびカメラなどを用いた利用者の検出などの機能を搭載する。この例において、移動体2の施設における移動は、移動体制御装置3によって遠隔制御される。移動体制御装置3は、例えば、移動体2の移動および移動体2が提供するサービスなどの管理を行うサーバ装置などである。移動体制御装置3の一部または全部は、施設に配置されていてもよいし、施設外に配置されていてもよい。移動体制御装置3の一部または全部の機能は、クラウドサービスの仮想マシン上に実装されていてもよいし、クラウドサービス上の記憶または処理のリソースを用いて実装されていてもよい。移動体2は、無線通信によって移動体制御装置3との通信を行う。移動体2および移動体制御装置3は、エレベーターシステム1の一部をなす装置であってもよいし、エレベーターシステム1の外部装置であってもよい。
【0013】
エレベーターシステム1は、エレベーター4を備える。エレベーター4は、施設に設けられる。施設において、エレベーター4の昇降路5が設けられる。昇降路5は、上下方向を長手方向として複数の階床にわたる空間である。施設において、少なくともいずれかの階床はセキュリティ階として設定される。セキュリティ階は、人である利用者および装置である移動体2などの進入が管理される階床である。施設において、複数の階床がセキュリティ階として設定されてもよい。エレベーター4は、利用者および移動体2などによって、施設における複数の階床の間の移動に利用される。
【0014】
施設において、各々の階床にエレベーター4の乗場6が設けられる。乗場6は、昇降路5に隣接する場所である。各々の階床の乗場6において、乗場操作盤7と、乗場表示盤8と、乗場コントローラ9と、が設けられる。乗場操作盤7は、乗場6にいる利用者の操作を受け付ける装置である。乗場操作盤7は、例えばボタン灯を備えた乗場呼びボタンなどを含む。乗場表示盤8は、乗場6にいる利用者にエレベーター4の情報を表示する装置である。乗場表示盤8は、例えばアナログインジケータ、デジタルインジケータ、および行先階表示器などを含む。乗場コントローラ9は、乗場6に設けられた乗場操作盤7および乗場表示盤8などの装置の制御を行う装置である。乗場コントローラ9は、例えばUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)などによって、乗場操作盤7および乗場表示盤8に電気的に接続される。
【0015】
エレベーター4は、かご10と、巻上機11と、主ロープ12と、を備える。かご10は、昇降路5の内部に設けられる。かご10は、昇降路5を上下方向に走行することで、かご10の内部に乗車している利用者などを施設の複数の階床の間で輸送する装置である。かご10の荷重は、主ロープ12によって支持される。主ロープ12は、巻上機11の駆動シーブに巻き掛けられる。巻上機11は、例えば昇降路5またはエレベーター4の機械室などに設けられる。巻上機11は、駆動シーブを回転させて主ロープ12を巻き上げることなどにより、かご10を昇降路5において上下方向に走行させる。
【0016】
かご10は、かごドア13と、かご操作盤14と、かご表示盤15と、かごコントローラ16と、を備える。かご操作盤14およびかご表示盤15は、かご10の内部に設けられる。かごドア13は、かご10の内部および外部を区画するドアである。かごドア13は、かご10がいずれかの階床に停止するときに、利用者が乗場6およびかご10の間を乗降しうるように開閉する装置である。かご操作盤14は、かご10の内部にいる利用者の操作を受け付ける装置である。かご操作盤14は、例えばボタン灯を備えた行先階ボタンなどを含む。かご表示盤15は、かご10の内部にいる利用者にエレベーター4の情報を表示する装置である。かご表示盤15は、例えばアナログインジケータ、デジタルインジケータ、および行先階表示器などを含む。かごコントローラ16は、かご10に設けられたかご操作盤14およびかご表示盤15などの装置の制御を行う装置である。かごコントローラ16は、例えばUARTなどによって、かご操作盤14およびかご表示盤15に電気的に接続される。
【0017】
エレベーター4は、エレベーター制御装置17を備える。エレベーター制御装置17は、例えば昇降路5またはエレベーター4の機械室などに設けられる。エレベーター制御装置17は、エレベーター4の運行などを制御する装置である。エレベーター制御装置17は、通信部18を備える。通信部18は、エレベーター制御装置17の外部の装置との通信を担う部分である。通信部18は、乗場伝送ケーブル19を介して、例えばUARTなどによって乗場コントローラ9と電気的に接続される。通信部18は、かご伝送ケーブル20を介して、例えばUARTなどによってかごコントローラ16と電気的に接続される。エレベーター制御装置17は、巻上機11に電気的に接続される。
【0018】
エレベーター制御装置17によるエレベーター4の運行の制御は、例えば、かご10に登録される呼びの管理を含む。エレベーター4における呼びは、利用者または移動体2の出発階への呼び、および行先階への呼びを含む。利用者の出発階への呼びは、例えば、乗場呼びなどである。乗場呼びの操作は、例えば、利用者の出発階の乗場6において、乗場操作盤7を通じて行われる。利用者の行先階への呼びは、例えば、かご呼びなどである。かご呼びの操作は、例えば、利用者が乗車するかご10において、かご操作盤14を通じて行われる。セキュリティ階ではない階床を出発階または行先階とする利用者の呼びの操作が受け付けられるときに、エレベーター制御装置17は、当該利用者の呼びをかご10に登録する。エレベーター制御装置17によるエレベーター4の運行の制御は、例えば、かご10に登録された呼びに当該かご10を応答させるように、当該かご10を利用者の出発階および行先階などに走行させることを含む。
【0019】
エレベーターシステム1は、中継装置21を備える。中継装置21は、例えば施設における管理室などに設けられる。中継装置21は、例えばUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)などによって移動体制御装置3と通信する。中継装置21は、エレベーター制御装置17の通信部18と電気的に接続される。中継装置21は、例えばエレベーターセキュリティゲートウェイ装置などである。
【0020】
エレベーターシステム1は、セキュリティ管理装置22を備える。セキュリティ管理装置22は、例えば施設における管理室などに設けられる。セキュリティ管理装置22は、例えばUDP/IPなどによって中継装置21と通信する。セキュリティ管理装置22は、例えばパラレル線または中継装置21を介したシリアル線によってエレベーター制御装置17に接続される。セキュリティ管理装置22は、施設におけるセキュリティの管理を行う装置である。セキュリティ管理装置22は、例えば、セキュリティ階にかご10が停止する呼びのエレベーター制御装置17による登録に対する制限を管理する。この例において、エレベーター制御装置17は、セキュリティ階への進入が許可されていない利用者などによるセキュリティ階にかご10が停止する呼びの登録を受け付けないように制限している。ここで、セキュリティ階にかご10が停止する呼びは、セキュリティ階を出発階または行先階とする呼びである。セキュリティ管理装置22は、エレベーター制御装置17に制限解除の指令信号を出力することで、セキュリティ階にかご10が停止する呼びのエレベーター制御装置17による登録に対する制限を解除させる。また、セキュリティ管理装置22は、エレベーター制御装置17に制限復帰の指令信号を出力することで、セキュリティ階にかご10が停止する呼びのエレベーター制御装置17による登録に対する制限を復帰させる。
【0021】
施設において、照合端末23が設けられる。照合端末23は、例えば利用者が所持する照合媒体などから照合情報を読み取る端末装置である。照合媒体は、例えばカードまたはキーなどの情報記憶媒体である。照合情報は、例えば利用者を識別するID(IDentifier)などである。エレベーターシステム1において、照合情報に、例えばセキュリティ階への進入可否などに関するセキュリティ権限が紐づけられている。
【0022】
セキュリティ管理装置22は、照合端末23と通信可能であるように接続される。セキュリティ管理装置22は、照合端末23が読み取った利用者の照合情報および当該照合情報に紐づけられたセキュリティ権限に基づいて、当該利用者がセキュリティ階への進入が許可されているか否かを判定する。セキュリティ管理装置22は、例えば、セキュリティ階への進入が許可された利用者の照合情報を読み取るときに、当該セキュリティ階への当該利用者の正当な呼びの登録に対する制限解除の指令信号をエレベーター制御装置17に送信する。当該利用者の正当な呼びが登録された後に、セキュリティ管理装置22は、当該セキュリティ階への呼びの登録に対する制限復帰の指令信号をエレベーター制御装置17に送信する。
【0023】
移動体2は、移動体制御装置3および中継装置21を介して、移動体2の出発階または行先階への呼びの登録要求をエレベーター制御装置17の通信部18に送信する。セキュリティ階ではない階床を出発階または行先階とする移動体2の呼びの登録要求が受け付けられるときに、エレベーター制御装置17は、当該移動体2の呼びをかご10に登録する。ここで、移動体2による呼びの登録要求は、当該移動体2を識別する照合情報を含む。エレベーターシステム1において、移動体2の照合情報に、例えばセキュリティ階への進入可否などに関するセキュリティ権限が紐づけられている。
【0024】
通信部18は、かご伝送ケーブル20を介して行われる中継装置21とかご操作盤14との通信を読み取ることができるので、かご10内のかご操作盤14の行先階ボタンの各々について、操作されたか否かの情報をシリアル伝送などで取得することができる。より具体的には、利用者がかご操作盤14の行先階ボタンを操作すると、通信部18および中継装置21は、当該行先階ボタンの点灯によりボタンが操作されたことを検知する。また、行先階ボタンの操作による対応する行先階への呼びの登録を禁止する禁止信号がエレベーター制御装置17からかご操作盤14に伝送されることがある。このとき、通信部18および中継装置21は、当該禁止信号の取得も可能である。なお、ある階床を行先階とする呼びの登録を禁止する禁止信号は、例えばかご10が当該階床に停止しているときなどに当該かご10のかご操作盤14に伝送される。
【0025】
中継装置21は、移動体2による行先階などへの呼びの情報を、エレベーター制御装置17およびかご伝送ケーブル20を介して、かご操作盤14およびかご表示盤15に常に送信する。通信部18は、かご伝送ケーブル20を介して行われる中継装置21とかご操作盤14との通信を読み取ることができるので、かご10内の各インジケータの全てのインジケータコードについての情報をシリアル伝送などで取得することができる。
【0026】
中継装置21は、移動体2による出発階などへの呼びの情報を、エレベーター制御装置17および乗場伝送ケーブル19を介して、乗場操作盤7および乗場表示盤8に常に送信する。通信部18は、乗場伝送ケーブル19を介して、中継装置21と乗場操作盤7との通信を読み取ることができるので、乗場6の各インジケータの全てのインジケータコードについての情報をシリアル伝送などで取得することができる。
【0027】
ここで、エレベーター4のエレベーター制御装置17などにおいて、施設の各階床はエレベーター管理階床によって管理される。エレベーター管理階床は、例えば、エレベーター4において各階床に付与される階床番号などである。また、移動体制御装置3などにおいて、施設の各階床はビル管理階床によって管理される。ビル管理階床は、例えば、移動体2を含むシステムなどにおいて各階床に付与される階床番号などである。
【0028】
通信部18は、エレベーター管理階床に基づいて、インジケータコードおよびエレベーター管理階床をチェックし、移動体制御装置3にエレベーター管理階床を伝送する。移動体2は、エレベーター管理階床からビル管理階床へ変換することで、呼びの登録を要求する出発階および行先階およびかご10の現在位置を認識できる。
【0029】
かご操作盤14は、中継装置21から受信した行先階などへの呼びの情報に基づき、最下階からの点灯情報または消灯情報に従って、物理的な行先階ボタンの接続順に行先階ボタンの点灯を指示する。その結果、行先階に対応する行先階ボタンが点灯する。
【0030】
かご表示盤15の行先階表示器は、中継装置21から受信した行先階などへの呼びの情報に基づいて、行先階ボタンの点灯指示がなされているエレベーター管理階床を判定する。行先階表示器は点灯指示がなされているエレベーター管理階床に階床テーブル情報を用いて、インジケータコードを取得する。行先階表示器は、当該インジケータコードに対応した階床の名称を行先階の名称として画面に表示する。その後、エレベーター制御装置17は、かご10を行先階へ走行させる。この際、エレベーター制御装置17は、かご伝送ケーブル20を介して現在のかご10の位置に対応するインジケータコードをかご10に常に送信する。アナログインジケータについても同様である。
【0031】
移動体2または移動体制御装置3は、中継装置21を介してエレベーター制御装置17などから取得する情報に基づいて、移動体2の出発階にかご10が到着したことを認識する。このとき、例えば移動体制御装置3は、移動体2をかご10に乗車させるため、戸開要求を通信部18に出力する。通信部18は、シリアル伝送またはパラレル伝送によってエレベーター制御装置17などを通じてかご操作盤14に戸開要求を伝送することで、移動体2によるかごドア13の戸開制御を実現する。通信部18は、かご伝送ケーブル20を介して、エレベーター制御装置17とかご操作盤14の通信を読み取ることができるため、かご10内のかご操作盤14の戸開ボタンおよび戸閉ボタンについて、操作されたか否かの情報をシリアル伝送などで取得することができる。その取得した情報をもって、通信部18が中継装置21および移動体制御装置3を介して戸開閉情報を伝えることで、移動体2はかごドア13の戸開を確認できる。このとき、例えば移動体制御装置3は、予め設定された時間戸開要求を出力することで、かごドア13の戸開を維持させることができる。移動体2がかご10に乗車した後のかごドア13の戸閉についての要求に関しても同様である。
【0032】
続いて、
図2を用いて、エレベーター制御装置17のハードウェア構成の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係るエレベーター制御装置17の主要部のハードウェア構成の例を示す図である。
【0033】
エレベーター制御装置17は、ROM17a(ROM:Read Only Memory)、RAM17b(RAM:Random Access Memory)、およびEEPROM17c(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、CPU17d(CPU:Central Processing Unit)と、を備える。ROM17aは、エレベーター制御装置17上で実行されるプログラムを記憶する。RAM17bは、例えば通信パケットのデータの一時保管などの、作業用の情報を記憶する。EEPROM17cは、プレイバック用の指令データ、指令応答データなどの情報を記憶する。CPU17dは、ROM17aに記憶されたプログラムを実行し、移動体制御装置3および中継装置21と通信する。このように、エレベーター制御装置17の各機能は、ROM17a、RAM17b、EEPROM17cなどの記憶装置およびCPU17dなどの処理装置を含む処理回路により実現される。処理回路の一部または全部は、専用ハードウェアによって構成されていてもよい。処理回路の一部または全部は、ソフトウェアまたはファームウェアなどによって構成されていてもよい。
【0034】
エレベーターシステム1における移動体制御装置3、中継装置21、およびセキュリティ管理装置22などの各装置の機能も、エレベーター制御装置17と同様に、各装置に搭載された処理回路により実現される。
【0035】
エレベーターシステム1は、例えば、エレベーター制御装置17、移動体制御装置3、中継装置21、およびセキュリティ管理装置22などの各装置が記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、当該プログラムに従って動作することで、各機能を実行する。当該プログラムを記録する記録媒体は、例えば各装置の処理回路などに内蔵されるものであってもよいし、各装置に接続されるものであってもよいし、各装置のドライブなどの読出装置によって情報が読み出されるものなどであってもよい。当該プログラムは、エレベーターシステム1を構成する複数の装置の各々の上で動作するソフトウェアを複数含むソフトウェアパッケージなどであってもよい。
【0036】
続いて、
図3を用いて、移動体2がセキュリティ階である出発階からかご10に乗車する場合のエレベーターシステム1の動作の例について説明する。
図3は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すシーケンス図である。
【0037】
エレベーター4を利用して階床間を移動する移動体2は、出発階の乗場6に到着するときに、移動体制御装置3に呼びの登録要求の送信を依頼する。移動体制御装置3は、移動体2の出発階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。
【0038】
中継装置21は、移動体制御装置3に呼びの登録を要求された出発階がセキュリティ階であるかを、例えば次のように判定する。中継装置21は、移動体制御装置3の呼びの登録要求をエレベーター制御装置17に伝送する。その後、エレベーター制御装置17などから取得する信号などに基づいて、乗場操作盤7またはかご操作盤14のボタン灯が消灯したままの場合に、当該信号に基づいて移動体2の出発階がセキュリティ階であると判定する。あるいは、中継装置21は、エレベーター制御装置17から移動体2の出発階への呼びの登録を禁止する禁止信号が出力されている場合に、当該禁止信号に基づいて移動体2の出発階がセキュリティ階であるか否かを判定してもよい。移動体2の出発階がセキュリティ階である場合に、中継装置21は、移動体制御装置3にセキュリティ解除の要求を指示する。
【0039】
中継装置21から指示を受けた移動体制御装置3は、移動体2が出発階の乗場6にいるかを確認する。移動体2が出発階の乗場6にいない場合に、移動体制御装置3は、出発階の乗場6に移動するように移動体2を制御する。一方、移動体2が出発階の乗場6にいる場合に、移動体制御装置3は、セキュリティ管理装置22にセキュリティ階である出発階の解除要求を送信する。このとき、移動体制御装置3は、中継装置21を介して解除要求を送信してもよい。移動体制御装置3から出力されるセキュリティ階の解除要求は、例えば移動体2の照合情報を含んでいてもよい。
【0040】
中継装置21は、エレベーター制御装置17から受信したかご10の現在位置の情報をセキュリティ管理装置22に送信する。移動体制御装置3は、移動体2の現在位置の情報をセキュリティ管理装置22に送信する。
【0041】
セキュリティ管理装置22は、移動体制御装置3から出力されたセキュリティ階の解除要求が正当なものであるかを確認する。セキュリティ管理装置22は、例えば、解除要求に含まれる移動体2の照合情報に基づいて当該移動体2のセキュリティ階への進入が許可されていると判定する場合に、当該解除要求が正当なものであると判定する。セキュリティ管理装置22は、解除要求が正当なものである場合に、移動体制御装置3に当該解除要求への解除許可の応答を送信する。一方、セキュリティ管理装置22は、解除要求が正当なものでない場合に、移動体制御装置3に当該解除要求への解除拒否の応答を送信する。このとき、セキュリティ管理装置22は、中継装置21を介して移動体制御装置3に応答を送信してもよい。
【0042】
セキュリティ管理装置22は、移動体制御装置3から正当な解除要求を受けた場合に、かご10および移動体2の現在位置に基づいて、例えば次のようにセキュリティ階の制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信するか否かを判断する。セキュリティ管理装置22は、移動体2が出発階の乗場6に到着する前の期間、またはかご10が出発階に到着した後の期間は、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信しない。一方、セキュリティ管理装置22は、移動体2が出発階の乗場6に到着してからかご10が出発階に到着するまでの期間は、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信する。
【0043】
エレベーター制御装置17は、移動体制御装置3からのセキュリティ階の解除要求に基づく制限解除の指令をセキュリティ管理装置22から受信した場合に、仮にかご操作盤14からのセキュリティ階を行先階とする登録信号が伝送されたとしても、当該登録信号を受け付けない。これにより、移動体2の呼びの登録のためにセキュリティ制限が解除されたときに、利用者の操作によってセキュリティ階への呼びの登録がされることが抑制される。エレベーター制御装置17は、セキュリティ管理装置22から制限復帰の指令を受信するまで、セキュリティ階のセキュリティ解除を継続する。
【0044】
移動体制御装置3は、セキュリティ管理装置22からセキュリティ解除拒否の応答を受けた場合に、呼びの登録に失敗した旨を移動体2に通知する。一方、移動体制御装置3は、セキュリティ管理装置22からセキュリティ解除許可の応答を受けた場合に、移動体2の出発階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。
【0045】
中継装置21は、エレベーター制御装置17からエレベーター4の状態を周期的に受信し、図示されない記憶部に記憶する。ここで、エレベーター4の状態は、乗場6およびかご10のボタン灯の点灯状態、乗場6およびかご10のインジケータの表示状態、かご10の走行方向または無方向停止などの情報を含む走行状態、ならびにかごドア13の開閉状態などを含む。中継装置21は、エレベーター制御装置17から受信したエレベーター4の状態を、一定の周期で移動体制御装置3に送信する。
【0046】
中継装置21は、かご10の走行状態を判定し、例えばかご10の走行方向と移動体2の出発階から行先階までの方向とが一致する場合、またはかご10が無方向停止している場合に、エレベーター制御装置17に移動体2の呼びの登録を要求する。エレベーター制御装置17は、かご10を移動体2の出発階に停止させる。かご10の走行方向と移動体2の出発階から行先階までの方向とが一致しない場合などに、中継装置21は、かご10の走行状態の判定を継続する。
【0047】
呼び登録が成功し、かご10が出発階に到着したことを移動体制御装置3が検知したときに、移動体制御装置3は、セキュリティ階である出発階の制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信する。このとき、移動体制御装置3は、中継装置21を介して制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信してもよい。セキュリティ管理装置22は、制限復帰要求を受信するときに、移動体制御装置3に当該制限復帰要求への制限復帰応答を送信し、制限復帰の指令をエレベーター制御装置17に送信する。このとき、エレベーター制御装置17は、セキュリティ階である出発階のセキュリティ制限を再開する。その後、移動体制御装置3は、移動体2をかご10に乗車させる。
【0048】
ここで、呼び登録が成功し、かご10が出発階に到着しても移動体制御装置3から制限復帰要求が送信されない場合に、中継装置21は、セキュリティ階である出発階の制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信する。セキュリティ管理装置22は、制限復帰要求を受信するときに、中継装置21および移動体制御装置3に当該制限復帰要求への制限復帰応答を送信し、制限復帰の指令をエレベーター制御装置17に送信する。このとき、エレベーター制御装置17は、セキュリティ階である出発階のセキュリティ制限を再開する。このように、移動体制御装置3に異常などが発生した場合であっても、中継装置21から制限復帰要求が出力されるので、セキュリティ階のセキュリティ性が確保される。
【0049】
続いて、
図4を用いて、通信遅延などが生じた場合のエレベーターシステム1の動作の例について説明する。
図4は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すシーケンス図である。
【0050】
エレベーターシステム1が接続するネットワークの通信環境によって、セキュリティ管理装置22およびエレベーター制御装置17間の通信、または移動体制御装置3およびエレベーター制御装置17間の通信に通信パケット遅延などの通信遅延が生じうる。このとき、エレベーター制御装置17は、移動体2の呼びの登録要求をセキュリティ階の制限解除の指令より先に受信する場合がある。このような場合に対処しうるように、中継装置21は、エレベーター制御装置17への呼びの登録が失敗するときに、上限回数までの範囲で当該呼びの登録要求をエレベーター制御装置17に再送する。ここで、上限回数は、例えば5回などの回数に予め設定される。中継装置21は、例えば、乗場操作盤7またはかご操作盤14のボタン灯の点灯信号、またはセキュリティ階への呼びの登録を禁止する禁止信号などによって呼びの登録の失敗を検知する。中継装置21は、登録要求の再送の回数が上限回数に達したときに、呼びの登録失敗を移動体制御装置3に通知する。このとき、移動体制御装置3は、移動体2に失敗を通知して移動体2の移動を中止する。
【0051】
続いて、
図5を用いて、移動体2がセキュリティ階である行先階にかご10から降車する場合のエレベーターシステム1の動作の例について説明する。
図5は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すシーケンス図である。
【0052】
移動体2がまだかご10に乗車していない場合に、エレベーターシステム1の動作は
図3の状態から開始する。移動体2は、移動体制御装置3に行先階への呼びの登録要求の送信を依頼する。移動体制御装置3は、移動体2の行先階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。
【0053】
中継装置21は、移動体制御装置3に呼びの登録を要求された行先階がセキュリティ階であるかを、出発階の場合と同様に判定する。移動体2の行先階がセキュリティ階である場合に、中継装置21は、移動体制御装置3にセキュリティ解除の要求を指示する。
【0054】
中継装置21から指示を受けた移動体制御装置3は、かご10が出発階に停止しているかを確認する。かご10が出発階に停止していない場合に、移動体制御装置3は、出発階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。一方、かご10が出発階の乗場6に停止している場合に、移動体制御装置3は、セキュリティ管理装置22にセキュリティ階である行先階の解除要求を送信する。このとき、移動体制御装置3は、中継装置21を介して解除要求を送信してもよい。移動体制御装置3から出力されるセキュリティ階の解除要求は、例えば移動体2の照合情報を含んでいてもよい。
【0055】
中継装置21は、エレベーター制御装置17から受信したかご10の現在位置の情報をセキュリティ管理装置22に送信する。移動体制御装置3は、移動体2の現在位置の情報をセキュリティ管理装置22に送信する。
【0056】
セキュリティ管理装置22は、移動体制御装置3から出力されたセキュリティ階の解除要求が正当なものであるかを確認する。セキュリティ管理装置22は、例えば、解除要求に含まれる移動体2の照合情報に基づいて当該移動体2のセキュリティ階への進入が許可されていると判定する場合に、当該解除要求が正当なものであると判定する。セキュリティ管理装置22は、解除要求が正当なものである場合に、移動体制御装置3に当該解除要求への解除許可の応答を送信する。一方、セキュリティ管理装置22は、解除要求が正当なものでない場合に、移動体制御装置3に当該解除要求への解除拒否の応答を送信する。このとき、セキュリティ管理装置22は、中継装置21を介して移動体制御装置3に応答を送信してもよい。
【0057】
セキュリティ管理装置22は、移動体制御装置3から正当な解除要求を受けた場合に、かご10および移動体2の現在位置に基づいて、例えば次のようにセキュリティ階の制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信するか否かを判断する。セキュリティ管理装置22は、かご10が出発階に到着する前の期間、またはかご10が行先階に到着した後の期間は、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信しない。一方、セキュリティ管理装置22は、かご10が出発階に到着してから当該かご10が行先階に到着するまでの期間は、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信する。
【0058】
エレベーター制御装置17は、移動体制御装置3からのセキュリティ階の解除要求に基づく制限解除の指令をセキュリティ管理装置22から受信した場合に、仮にかご操作盤14からのセキュリティ階を行先階とする登録信号が伝送されたとしても、当該登録信号を受け付けない。これにより、移動体2の呼びの登録のためにセキュリティ制限が解除されたときに、利用者の操作によってセキュリティ階への呼びの登録がされることが抑制される。エレベーター制御装置17は、セキュリティ管理装置22から制限復帰の指令を受信するまで、セキュリティ階のセキュリティ解除を継続する。
【0059】
移動体制御装置3は、セキュリティ管理装置22からセキュリティ解除拒否の応答を受けた場合に、呼びの登録に失敗した旨を移動体2に通知する。一方、移動体制御装置3は、セキュリティ管理装置22からセキュリティ解除許可の応答を受けた場合に、かごドア13の戸開継続要求および移動体2の行先階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。中継装置21は、戸開継続要求をエレベーター制御装置17に中継し、エレベーター制御装置17は、かごドア13の戸開を継続させる。ここで、中継装置21は、
図3の場合と同様にエレベーター4の状態の収集および中継を行う。
【0060】
また、呼びの登録要求の際の通信遅延については、
図4の場合と同様に対応する。すなわち、中継装置21は、エレベーター制御装置17への呼びの登録が失敗するときに、上限回数までの範囲で当該呼びの登録要求をエレベーター制御装置17に再送する。ここで、上限回数は、例えば5回などの回数に予め設定される。中継装置21は、例えば、乗場操作盤7またはかご操作盤14のボタン灯の点灯信号、またはセキュリティ階への呼びの登録を禁止する禁止信号などによって呼びの登録の失敗を検知する。中継装置21は、登録要求の再送の回数が上限回数に達したときに、呼びの登録失敗を移動体制御装置3に通知する。このとき、移動体制御装置3は、移動体2に失敗を通知して移動体2の移動を中止する。
【0061】
移動体制御装置3は、移動体2がかご10に乗車したかを検知する。移動体制御装置3は、移動体2がかご10に乗車した後に、かごドア13の戸閉要求を中継装置21に出力する。中継装置21は、戸閉要求をエレベーター制御装置17に中継し、エレベーター制御装置17は、かごドア13を戸閉させる。その後、エレベーター制御装置17は、かご10を移動体2の行先階に移動させる。
【0062】
呼び登録が成功し、かご10が行先階に到着したことを移動体制御装置3が検知したときに、移動体制御装置3は、セキュリティ階である行先階の制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信する。このとき、移動体制御装置3は、中継装置21を介して制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信してもよい。セキュリティ管理装置22は、制限復帰要求を受信するときに、移動体制御装置3に当該制限復帰要求への制限復帰応答を送信し、制限復帰の指令をエレベーター制御装置17に送信する。このとき、エレベーター制御装置17は、セキュリティ階である行先階のセキュリティ制限を再開する。
【0063】
その後、移動体制御装置3は、かごドア13の戸開継続要求をエレベーター制御装置17に中継装置21を介して出力する。移動体制御装置3は、移動体2をかご10から降車させた後に、移動体制御装置3は、かごドア13の戸閉要求をエレベーター制御装置17に中継装置21を介して出力する。
【0064】
ここで、呼び登録が成功し、かご10が行先階に到着しても移動体制御装置3から制限復帰要求が送信されない場合に、中継装置21は、セキュリティ階である行先階の制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信する。セキュリティ管理装置22は、制限復帰要求を受信するときに、中継装置21および移動体制御装置3に当該制限復帰要求への制限復帰応答を送信し、制限復帰の指令をエレベーター制御装置17に送信する。このとき、エレベーター制御装置17は、セキュリティ階である行先階のセキュリティ制限を再開する。このように、移動体制御装置3に異常などが発生した場合であっても、中継装置21から制限復帰要求が出力されるので、セキュリティ階のセキュリティ性が確保される。
【0065】
続いて、
図6を用いて、エレベーターシステム1の動作の例を説明する。
図6Aから
図6Dは、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
【0066】
図6AのステップS601において、移動体2は、出発階の乗場6に到着する。その後、ステップS602において、移動体2は、移動体制御装置3に呼びの登録要求の送信を依頼する。その後、ステップS603において、移動体制御装置3は、移動体2の出発階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。その後、エレベーターシステム1は、ステップS604の処理に進む。
【0067】
ステップS604において、中継装置21は、移動体2の出発階がセキュリティ階であるかを判定する。出発階がセキュリティ階である場合に、エレベーターシステム1は、ステップS605の処理に進む。一方、出発階がセキュリティ階でない場合に、エレベーターシステム1は、ステップS613の処理に進む。
【0068】
ステップS605において、中継装置21は、移動体制御装置3にセキュリティ解除の要求を指示する。その後、ステップS606において、移動体制御装置3は、移動体2が出発階の乗場6にいるかを判定する。移動体2が出発階の乗場6にいない場合に、移動体制御装置3は、ステップS607の処理として、出発階の乗場6に移動するように移動体2を制御する。その後、エレベーターシステム1は、ステップS601の処理に進む。一方、移動体2が出発階の乗場6にいる場合に、移動体制御装置3は、ステップS608の処理として、セキュリティ管理装置22に出発階のセキュリティの解除要求を送信する。その後、エレベーターシステム1は、ステップS609の処理に進む。
【0069】
ステップS609において、セキュリティ管理装置22は、移動体制御装置3から出力された出発階に対する解除要求が正当なものであるか判定する。解除要求が正当なものではない場合に、セキュリティ管理装置22は、ステップS610の処理として、解除拒否の応答を移動体制御装置3に送信する。その後、エレベーターシステム1の処理は、終了する。一方、解除要求が正当なものである場合に、セキュリティ管理装置22は、ステップS611の処理として、解除許可の応答を移動体制御装置3に送信し、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信する。その後、ステップS612において、エレベーター制御装置17は、セキュリティ管理装置22から制限復帰の指令を受信するまで、出発階のセキュリティ解除を継続する。その後、ステップ613において、移動体制御装置3は、移動体2の出発階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。その後、エレベーターシステム1は、
図6BのステップS614の処理に進む。
【0070】
図6BのステップS614において、中継装置21は、かご10の走行状態に基づいて、エレベーター制御装置17に移動体2の呼びの登録を要求する。その後、ステップS615において、中継装置21は、呼びの登録に失敗したかを判定する。呼びの登録に失敗した場合に、エレベーターシステム1は、ステップS616の処理に進む。一方、呼びの登録に成功した場合に、エレベーターシステム1は、ステップS618の処理に進む。
【0071】
ステップS616において、中継装置21は、呼びの登録要求の再送回数が上限回数に達したかを判定する。再送回数が上限回数に達していない場合に、中継装置21は呼びの登録要求をエレベーター制御装置17に再送して、エレベーターシステム1はステップS614の処理に進む。一方、再送回数が上限回数に達した場合に、中継装置21は、ステップS617の処理として、呼び登録の失敗を移動体制御装置3に通知する。その後、エレベーターシステム1の処理は、終了する。
【0072】
ステップS618において、中継装置21は、エレベーター制御装置17からエレベーター4の状態を受信し、受信したエレベーター4の状態を移動体制御装置3に送信する。その後、ステップS619において、移動体制御装置3は、かご10が出発階に到着したかを判定する。かご10が出発階に到着していない場合に、エレベーターシステム1は、ステップS618の処理に進む。一方、かご10が出発階に到着した場合に、移動体制御装置3は、ステップS620の処理として、出発階の制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信する。その後、ステップS621において、セキュリティ管理装置22は、出発階について制限復帰の指令をエレベーター制御装置17に送信する。その後、エレベーターシステム1は、
図6CのステップS622の処理に進む。
【0073】
図6CのステップS622において、移動体2は、移動体制御装置3に呼びの登録要求の送信を依頼する。その後、ステップS623において、移動体制御装置3は、移動体2の行先階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。その後、エレベーターシステム1は、ステップS624の処理に進む。
【0074】
ステップS624において、中継装置21は、移動体2の行先階がセキュリティ階であるかを判定する。行先階がセキュリティ階である場合に、エレベーターシステム1は、ステップS625の処理に進む。一方、行先階がセキュリティ階でない場合に、エレベーターシステム1は、ステップS632の処理に進む。
【0075】
ステップS625において、中継装置21は、移動体制御装置3にセキュリティ解除の要求を指示する。その後、ステップS626において、移動体制御装置3は、かご10が出発階に停止しているかを判定する。かご10が出発階に停止していない場合に、エレベーターシステム1は、
図6AのステップS602の処理に進む。一方、かご10が出発階に停止している場合に、移動体制御装置3は、ステップS627の処理として、セキュリティ管理装置22に行先階のセキュリティの解除要求を送信する。その後、エレベーターシステム1は、ステップS628の処理に進む。
【0076】
ステップS628において、セキュリティ管理装置22は、移動体制御装置3から出力された行先階に対する解除要求が正当なものであるか判定する。解除要求が正当なものではない場合に、セキュリティ管理装置22は、ステップS629の処理として、解除拒否の応答を移動体制御装置3に送信する。その後、エレベーターシステム1の処理は、終了する。一方、解除要求が正当なものである場合に、セキュリティ管理装置22は、ステップS630の処理として、解除許可の応答を移動体制御装置3に送信し、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信する。その後、ステップS631において、エレベーター制御装置17は、セキュリティ管理装置22から制限復帰の指令を受信するまで、行先階のセキュリティ解除を継続する。その後、ステップ632において、移動体制御装置3は、かごドア13の戸開継続要求および移動体2の行先階への呼びの登録要求を中継装置21に出力する。その後、エレベーターシステム1は、
図6DのステップS633の処理に進む。
【0077】
図6DのステップS633において、中継装置21は、エレベーター制御装置17にかごドア13の戸開継続および移動体2の呼びの登録を要求する。その後、ステップS634において、中継装置21は、呼びの登録に失敗したかを判定する。呼びの登録に失敗した場合に、エレベーターシステム1は、ステップS635の処理に進む。一方、呼びの登録に成功した場合に、エレベーターシステム1は、ステップS637の処理に進む。
【0078】
ステップS635において、中継装置21は、呼びの登録要求の再送回数が上限回数に達したかを判定する。再送回数が上限回数に達していない場合に、中継装置21は呼びの登録要求をエレベーター制御装置17に再送して、エレベーターシステム1はステップS633の処理に進む。一方、再送回数が上限回数に達した場合に、中継装置21は、ステップS636の処理として、呼び登録の失敗を移動体制御装置3に通知する。その後、エレベーターシステム1の処理は、終了する。
【0079】
ステップS637において、中継装置21は、エレベーター制御装置17からエレベーター4の状態を受信し、受信したエレベーター4の状態を移動体制御装置3に送信する。その後、ステップS638において、移動体制御装置3は、移動体2がかご10に乗車したかを判定する。移動体2がかご10に乗車していない場合に、エレベーターシステム1は、ステップS637の処理に進む。一方、移動体2がかご10に乗車した場合に、移動体制御装置3は、ステップS639の処理として、中継装置21を通じてかごドア13の戸閉要求をエレベーター制御装置17に出力する。その後、エレベーターシステム1は、ステップS640の処理に進む。
【0080】
ステップS640において、移動体制御装置3は、かご10が行先階に到着したかを判定する。かご10が行先階に到着していない場合に、中継装置21は、ステップS641の処理として、エレベーター制御装置17からエレベーター4の状態を受信し、受信したエレベーター4の状態を移動体制御装置3に送信する。その後、エレベーターシステム1は、ステップS640の処理に進む。一方、かご10が行先階に到着した場合に、移動体制御装置3は、ステップS642の処理として、出発階の制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信する。その後、ステップS643において、セキュリティ管理装置22は、行先階について制限復帰の指令をエレベーター制御装置17に送信する。その後、ステップS644において、移動体制御装置3は、中継装置21を通じてかごドア13の戸開継続要求をエレベーター制御装置17に出力する。その後、ステップS645において、移動体制御装置3は、移動体2をかご10から降車させる。その後、エレベーターシステム1の処理は、終了する。
【0081】
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーターシステム1は、移動体制御装置3と、エレベーター制御装置17と、セキュリティ管理装置22と、中継装置21と、を備える。移動体制御装置3は、移動体2の施設における移動を制御する。エレベーター制御装置17は、エレベーター4の状態の情報を収集し、エレベーター4の運行を制御する。セキュリティ管理装置22は、セキュリティ階にかご10が停止する呼びの登録の制限を管理する。中継装置21は、移動体制御装置3から送信される呼びの登録要求をエレベーター制御装置17に中継する。中継装置21は、エレベーター制御装置17から送信される当該登録要求への登録応答およびエレベーター4の状態の情報を移動体制御装置3に中継する。セキュリティ管理装置22は、セキュリティ階への呼びの登録の制限に対する正当な解除要求を移動体制御装置3から受信するときに、セキュリティ階にかご10が停止する呼びの登録の制限を解除させる指令をエレベーター制御装置17に送信する。移動体制御装置3は、セキュリティ階にかご10が停止する呼びの登録要求の送信を、セキュリティ階に対する解除要求を送信した後に行う。
【0082】
このような構成により、通常は呼びの登録が制限されるセキュリティ階について、移動体制御装置3から正当な解除要求が出力されるときに当該制限が解除される。移動体制御装置3は解除要求の送信の後に呼びの登録要求を送信するので、呼びの登録が制限されるセキュリティ階についても、セキュリティ階に進入が許可される移動体2については、呼びの登録を行うことができるようになる。これにより、移動体2についてもセキュリティ階への進入が適切に管理されるようになる。
【0083】
また、セキュリティ管理装置22は、セキュリティ階に対する正当な解除要求を移動体制御装置3から受信するときに、当該解除要求への解除応答を移動体制御装置3に送信する。これにより、移動体制御装置3は、セキュリティが解除されたか否かを確認した上で移動体2の制御を行うことができる。
【0084】
また、中継装置21は、移動体制御装置3から呼びの登録要求を受信するときに、かご10の現在位置および走行方向に基づいて当該登録要求をエレベーター制御装置17に送信するか否かを判定する。中継装置21は、当該登録要求を送信した後に当該登録要求の呼びが登録されていない場合に、予め設定された上限回数までの範囲で当該登録要求をエレベーター制御装置17に再送する。中継装置21は、再送の回数が上限回数に達したときに呼びの登録失敗を移動体制御装置3に通知する。これにより、通信遅延などによって呼び登録要求の受信が解除要求の受信より先になった場合であっても、呼び登録要求が中継装置21によって再送されるので、セキュリティ解除の処理および呼び登録の処理の順序性が担保される。
【0085】
また、移動体制御装置3は、中継装置21から呼びの登録失敗の通知を受けるときに、移動体2に失敗を通知して移動体2の移動を中止する。このとき、移動体制御装置3は、例えば施設に設けられた他のエレベーター4を利用して移動体2を移動させる、または移動体2に他のサービスを先に実行させるなどの対応を取ることができる。
【0086】
また、中継装置21は、エレベーター制御装置17から送信されるかご10の現在位置をセキュリティ管理装置22に送信する。移動体制御装置3は、移動体2の現在位置をセキュリティ管理装置22に送信する。セキュリティ管理装置22は、かご10の現在位置および移動体2の現在位置に基づいて、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信するか否かを判断する。また、セキュリティ管理装置22は、移動体2が出発階の乗場6に到着する前には制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信しない。一方、移動体2が出発階の乗場6に到着した後に、セキュリティ管理装置22は、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信する。また、セキュリティ管理装置22は、移動体2がかご10に乗車する前において、当該かご10が移動体2の出発階に到着する前に制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信する。一方、当該かご10が移動体2の出発階に到着した後には、セキュリティ管理装置22は、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信しない。また、セキュリティ管理装置22は、移動体2がかご10に乗車した後において、当該かご10が移動体2の行先階に到着する前に制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信する。一方、当該かご10が移動体2の行先階に到着した後には、セキュリティ管理装置22は、制限解除の指令をエレベーター制御装置17に送信しない。このように、移動体2がエレベーター4の乗場6にいない場合などの呼びの登録に適さないタイミングでは制限解除の指令がエレベーター制御装置17に送信されないので、セキュリティ階への呼びの登録の制限が無用に解除されない。このため、セキュリティ階のセキュリティ性がより確実に保たれるようになる。
【0087】
また、エレベーター制御装置17は、移動体制御装置3からのセキュリティ階の解除要求に基づくセキュリティ階に対する制限解除の指令をセキュリティ管理装置22から受信した場合に、利用者によるかご操作盤14からの当該セキュリティ階を行先階とする登録信号を受け付けない。これにより、移動体2の呼びの登録のためにセキュリティ制限が解除されたときに、利用者の操作によってセキュリティ階への呼びの登録がされることが抑制される。
【0088】
また、セキュリティ管理装置22は、セキュリティ階に対する制限復帰要求を移動体制御装置3から受信するときに、セキュリティ階にかご10が停止する呼びの登録の制限を復帰させる指令をエレベーター制御装置17に送信する。セキュリティ管理装置22は、セキュリティ階に対する制限復帰要求を移動体制御装置3から受信するときに、当該制限復帰要求への制限復帰応答を移動体制御装置3に送信する。移動体制御装置3は、当該制限復帰応答を中継装置21に送信する。このように、移動体制御装置3が呼びの登録を完了した後などに制限復帰要求を出力することができるので、セキュリティ階において呼びの登録の制限が速やかに復帰されるようになる。これにより、セキュリティ階におけるセキュリティ性がより確実に保たれるようになる。
【0089】
また、中継装置21は、移動体2がかご10への乗車またはかご10からの降車を完了しても制限復帰要求を移動体制御装置3から受信しない場合に、セキュリティ階に対する制限復帰要求をセキュリティ管理装置22に送信する。セキュリティ管理装置22は、セキュリティ階に対する制限復帰要求を中継装置21から受信するときに、当該制限復帰要求への制限復帰応答を移動体制御装置3に送信する。移動体制御装置3は、当該制限復帰応答を中継装置21に送信する。このように、移動体制御装置3に異常などが発生した場合であっても、中継装置21から制限復帰要求が出力されるので、セキュリティ階のセキュリティ性がより確実に保たれるようになる。
【0090】
なお、移動体2がかご10への乗車または降車に失敗した場合、または移動体2の機器の故障などの異常を検知した場合などに、移動体制御装置3は、セキュリティ階の制限復帰要求をセキュリティ管理装置22および中継装置21に出力してもよい。また、移動体制御装置3は、中継装置21を通じて、移動体2の呼びの取消要求をエレベーター制御装置17に出力してもよい。これにより、移動体2に異常が生じた場合であっても、呼びの登録制限を復帰させることができるので、セキュリティ階のセキュリティ性が確保される。また、エレベーター制御装置17は、取消要求に基づいて移動体2の呼びの登録を取り消すことができるので、エレベーター4の運行効率の低下が抑制される。
【0091】
また、移動体制御装置3からの呼びの登録要求は、かご呼びの信号として出発階または行先階にかご10を呼びよせるものであってもよいし、乗場呼びの信号として出発階または行先階にかご10を呼びよせるものであってもよい。
【0092】
また、移動体制御装置3、セキュリティ管理装置22、中継装置21は、個別のハードウェアであってもよいし、同一のハードウェアによって実装されるものであってもよい。また、移動体制御装置3は、移動体2と別体の装置であってもよいし、移動体2自身に搭載される装置であってもよい。
【0093】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
複数の階床を有する施設に設けられたエレベーターのかごに乗車可能な移動体の前記施設における移動を制御する移動体制御装置と、
前記エレベーターの状態の情報を収集し、前記エレベーターの運行を制御するエレベーター制御装置と、
前記複数の階床のうちのセキュリティ階に前記かごが停止する呼びの登録の制限を管理するセキュリティ管理装置と、
前記移動体制御装置から送信される呼びの登録要求を前記エレベーター制御装置に中継し、前記エレベーター制御装置から送信される当該登録要求への登録応答および前記エレベーターの状態の情報を前記移動体制御装置に中継する中継装置と、
を備え、
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する正当な解除要求を前記移動体制御装置から受信するときに、前記セキュリティ階に前記かごが停止する呼びの登録の制限を解除させる指令を前記エレベーター制御装置に送信し、
前記移動体制御装置は、前記セキュリティ階に前記かごが停止する呼びの前記登録要求の送信を、前記セキュリティ階に対する前記解除要求を送信した後に行う、
エレベーターシステム。
(付記2)
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する正当な前記解除要求を前記移動体制御装置から受信するときに、当該解除要求への解除応答を前記移動体制御装置に送信する、
付記1に記載のエレベーターシステム。
(付記3)
前記中継装置は、前記移動体制御装置から呼びの登録要求を受信するときに、前記かごの現在位置および走行方向に基づいて当該登録要求を前記エレベーター制御装置に送信するか否かを判定し、当該登録要求を送信した後に当該登録要求の呼びが登録されていない場合に予め設定された上限回数までの範囲で当該登録要求を前記エレベーター制御装置に再送し、再送の回数が前記上限回数に達したときに呼びの登録失敗を前記移動体制御装置に通知する、
付記1に記載のエレベーターシステム。
(付記4)
前記移動体制御装置は、前記中継装置から呼びの登録失敗の通知を受けるときに、前記移動体に失敗を通知して前記移動体の移動を中止する、
付記3に記載のエレベーターシステム。
(付記5)
前記中継装置は、前記エレベーター制御装置から送信される前記かごの現在位置を前記セキュリティ管理装置に送信し、
前記移動体制御装置は、前記移動体の現在位置を前記セキュリティ管理装置に送信し、
前記セキュリティ管理装置は、前記かごの現在位置および前記移動体の現在位置に基づいて前記指令を前記エレベーター制御装置に送信するか否かを判断する、
付記1から付記4のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
(付記6)
前記セキュリティ管理装置は、前記移動体が出発階の乗場に到着する前には前記指令を前記エレベーター制御装置に送信せず、前記移動体が出発階の乗場に到着した後に前記指令を前記エレベーター制御装置に送信する、
付記5に記載のエレベーターシステム。
(付記7)
前記セキュリティ管理装置は、前記移動体が前記かごに乗車する前において、当該かごが前記移動体の出発階に到着する前に前記指令を前記エレベーター制御装置に送信し、当該かごが前記移動体の出発階に到着した後には前記指令を前記エレベーター制御装置に送信しない、
付記6に記載のエレベーターシステム。
(付記8)
前記セキュリティ管理装置は、前記移動体が前記かごに乗車した後において、当該かごが前記移動体の行先階に到着する前に前記指令を前記エレベーター制御装置に送信し、当該かごが前記移動体の行先階に到着した後には前記指令を前記エレベーター制御装置に送信しない、
付記6に記載のエレベーターシステム。
(付記9)
前記エレベーター制御装置は、前記移動体制御装置からの前記セキュリティ階の前記解除要求に基づく前記指令を前記セキュリティ管理装置から受信した場合に、前記かごに設けられたかご操作盤からの前記セキュリティ階を行先階とする登録信号を受け付けない、
付記1に記載のエレベーターシステム。
(付記10)
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する制限復帰要求を前記移動体制御装置から受信するときに、前記セキュリティ階に前記かごが停止する呼びの登録の制限を復帰させる指令を前記エレベーター制御装置に送信する、
付記1から付記9のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
(付記11)
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する前記制限復帰要求を前記移動体制御装置から受信するときに、当該制限復帰要求への制限復帰応答を前記移動体制御装置に送信し、
前記移動体制御装置は、当該制限復帰応答を前記中継装置に送信する、
付記10に記載のエレベーターシステム。
(付記12)
前記中継装置は、前記移動体が前記かごへの乗車または前記かごからの降車を完了しても前記制限復帰要求を前記移動体制御装置から受信しない場合に、前記セキュリティ階に対する前記制限復帰要求を前記セキュリティ管理装置に送信する、
付記10に記載のエレベーターシステム。
(付記13)
前記セキュリティ管理装置は、前記セキュリティ階に対する前記制限復帰要求を前記中継装置から受信するときに、当該制限復帰要求への制限復帰応答を前記移動体制御装置に送信し、
前記移動体制御装置は、当該制限復帰応答を前記中継装置に送信する、
付記12に記載のエレベーターシステム。
(付記14)
前記移動体制御装置は、前記移動体が前記かごへの乗車もしくは前記かごからの降車に失敗した場合、または前記移動体の異常を検知した場合に、前記セキュリティ階に対する前記制限復帰要求をセキュリティ管理装置に送信し、呼びの取消要求を前記中継装置に送信し、
前記中継装置は、前記移動体制御装置から送信される前記取消要求を前記エレベーター制御装置に中継する、
付記10に記載のエレベーターシステム。
【符号の説明】
【0094】
1 エレベーターシステム、 2 移動体、 3 移動体制御装置、 4 エレベーター、 5 昇降路、 6 乗場、 7 乗場操作盤、 8 乗場表示盤、 9 乗場コントローラ、 10 かご、 11 巻上機、 12 主ロープ、 13 かごドア、 14 かご操作盤、 15 かご表示盤、 16 かごコントローラ、 17 エレベーター制御装置、 18 通信部、 19 乗場伝送ケーブル、 20 かご伝送ケーブル、 21 中継装置、 22 セキュリティ管理装置、 23 照合端末、 17a ROM、 17b RAM、 17c EEPROM、 17d CPU