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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092543
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】車載装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240701BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
H02H7/00 L
H02H7/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208560
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】内野 剛雄
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
(72)【発明者】
【氏名】谷中 裕太
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA02
5G053AA03
5G053BA01
5G053BA04
5G053DA02
5G053DA03
5G053EA01
5G053EC01
5G053EC03
5G053EC05
5G053FA05
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503DA04
5G503FA06
5G503FA14
5G503GA01
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】機械式リレー及び半導体スイッチを備える構成において、これら機械式リレー及び半導体スイッチを用いて効率的に給電することができる車載装置等を提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、一つ以上の負荷への給電を制御する車載装置であって、前記車両の状態は、前記負荷の消費電流が通常電流である通常電流状態と、前記負荷の消費電流が小さい低電流状態とを含み、前記車両のバッテリ電源と前記負荷との間に接続された機械式リレーと、前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーと、前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにする第1制御回路と、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする第2制御回路とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、一つ以上の負荷への給電を制御する車載装置であって、
前記車両の状態は、前記負荷の消費電流が通常電流である通常電流状態と、前記負荷の消費電流が通常電流よりも小さい低電流状態とを含み、
前記車両のバッテリ電源と前記負荷との間に接続された機械式リレーと、
前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーと、
前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにする第1制御回路と、
前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする第2制御回路と
を備える
車載装置。
【請求項2】
前記車両の状態を判定可能な処理部を備え、
前記処理部は、
前記車両の状態を判定し、
電流経路における前記機械式リレー及び前記第1半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値を取得し、
前記車両の状態の判定結果及び前記第1電圧値に基づいて、前記機械式リレーまたは前記第1半導体リレーが故障したか否かを判定し、
前記機械式リレーまたは前記第1半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記第1半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる
請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記第1半導体リレーは、電流経路においてドレインがソースの上流側に配置されるNチャネル型のFETであり、
前記第1半導体リレーと直列に接続され、電流経路においてソースがドレインの上流側に配置されるNチャネル型のFETである第2半導体リレーを備え、
前記第2制御回路は、前記車両が通常電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオンにする
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車両の状態を判定可能な処理部を備え、
前記処理部は、
前記車両の状態を判定し、
電流経路における前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、及び前記第2半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値を取得し、
電流経路における前記第1半導体リレーと前記第2半導体リレーとの間の箇所の第2電圧値を取得し、
前記車両の状態の判定結果、前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したか否かを判定し、
前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記第1半導体リレーまたは前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる
請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記第1半導体リレーに並列に接続される第2半導体リレーを備え、
前記第2制御回路は、前記車両が通常電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオンにする
請求項1に記載の車載装置。
【請求項8】
電流経路における前記第1半導体リレーの下流側に配置される抵抗と、
前記抵抗の両端間の電圧値が上昇した場合に上昇する抵抗電圧値を出力する故障検出回路と、
前記車両の状態を判定可能な処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記車両の状態を判定し、
電流経路における前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、及び前記第2半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値と、前記故障検出回路が出力した前記抵抗電圧値とを取得し、
前記車両の状態の判定結果、前記第1電圧値及び前記抵抗電圧値に基づいて、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したか否かを判定し、
前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する
請求項7に記載の車載装置。
【請求項9】
前記処理部は、
前記第1半導体リレー及び前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる
請求項8に記載の車載装置。
【請求項10】
前記第1半導体リレーは、電流経路においてドレインがソースの上流側に配置されるNチャネル型のFETであり、
前記第1半導体リレーと直列に接続され、電流経路においてドレインがソースの上流側に配置されるNチャネル型のFETである第2半導体リレーを備え、
前記第2制御回路は、前記車両が通常電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオンにする
請求項1に記載の車載装置。
【請求項11】
前記車両の状態を判定可能な処理部を備え、
前記処理部は、
前記車両の状態を判定し、
電流経路における前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、及び前記第2半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値を取得し、
電流経路における前記第1半導体リレーと前記第2半導体リレーとの間の箇所の第2電圧値を取得し、
前記車両の状態の判定結果、前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したか否かを判定し、
前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する
請求項10に記載の車載装置。
【請求項12】
前記処理部は、
前記第1半導体リレーまたは前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる
請求項11に記載の車載装置。
【請求項13】
前記第1半導体リレーは電流経路においてソースがドレインの上流側に配置されるPチャネル型のFETであり、
前記第2制御回路は、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーのゲートへ印加する電圧を上昇させることにより前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーのゲートへ印加する電圧を低下させることにより前記第1半導体リレーをオンにする
請求項1に記載の車載装置。
【請求項14】
前記車両の状態を判定可能な処理部を備え、
前記処理部は、
前記車両の状態を判定し、
電流経路における前記機械式リレー及び前記第1半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値を取得し、
前記車両の状態の判定結果及び前記第1電圧値に基づいて、前記機械式リレーまたは前記第1半導体リレーが故障したか否かを判定し、
前記機械式リレーまたは前記第1半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する
請求項13に記載の車載装置。
【請求項15】
前記処理部は、
前記第1半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる
請求項14に記載の車載装置。
【請求項16】
車両に搭載され、負荷へ給電を制御する車載装置の制御方法であって、
前記車載装置は、
バッテリ電源と負荷との間に接続された機械式リレーと、
前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーと
を備え、
前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、
前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにし、
前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、
前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする
制御方法。
【請求項17】
車両に搭載され、負荷へ給電を制御する車載装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記車載装置は、
バッテリ電源と負荷との間に接続された機械式リレーと、
前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーと
を備え、
前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、
前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにし、
前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、
前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、バッテリから負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、バッテリから負荷に流れる電流の電流経路に半導体スイッチが設けられ、半導体スイッチをオン又はオフに切替えることによって、バッテリから負荷への給電を制御する。
【0003】
半導体スイッチは制御端を有する。例えば、半導体スイッチがFET(Field Effect Transistor)である場合、制御端はゲートである。半導体スイッチの両端間の抵抗値は、制御端の電圧に応じて変化する。制御端の電圧を調整することによって、半導体スイッチの両端間の抵抗値を十分に小さい値に調整し、半導体スイッチをオンに切替える。制御端の電圧を調整することによって、半導体スイッチの両端間の抵抗値を十分に大きい値に調整し、半導体スイッチをオフに切替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-143905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、文献1の給電制御装置においては、機械式リレー及び半導体リレーを備える構成において、これら機械式リレー及び半導体リレーを用いて給電する観点について、考慮されていない。
【0006】
本開示は、機械式リレー及び半導体スイッチを備える構成において、これら機械式リレー及び半導体スイッチを用いて効率的に給電することができる車載装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る車載装置は、車両に搭載され、一つ以上の負荷への給電を制御する車載装置であって、前記車両の状態は、前記負荷の消費電流が通常電流である通常電流状態と、前記負荷の消費電流が通常電流よりも小さい低電流状態とを含み、前記車両のバッテリ電源と前記負荷との間に接続された機械式リレーと、前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーと、前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにする第1制御回路と、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする第2制御回路とを備える。
【0008】
本開示の一実施形態に係る制御方法は、車両に搭載され、負荷へ給電を制御する車載装置の制御方法であって、前記車載装置は、バッテリ電源と負荷との間に接続された機械式リレーと、前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーとを備え、前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにし、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする。
【0009】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、車両に搭載され、負荷へ給電を制御する車載装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記車載装置は、バッテリ電源と負荷との間に接続された機械式リレーと、前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーとを備え、前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにし、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態に係る車載装置にあっては、機械式リレー及び半導体スイッチを用いて効率的に給電することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1におけるマイコンの要部構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1における第2制御回路による制御処理手順を示すフローチャートである。
図4】実施形態1におけるマイコンによる制御処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図6】実施形態2におけるマイコンの要部構成を示すブロック図である。
図7】実施形態2における第2制御回路による制御処理手順を示すフローチャートである。
図8】実施形態2におけるマイコンによる制御処理手順を示すフローチャートである。
図9】実施形態3における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図10】実施形態3におけるマイコンの要部構成を示すブロック図である。
図11】実施形態3におけるマイコンによる制御処理手順を示すフローチャートである。
図12】実施形態4における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図13】実施形態5における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載され、一つ以上の負荷への給電を制御する車載装置であって、前記車両の状態は、前記負荷の消費電流が通常電流である通常電流状態と、前記負荷の消費電流が通常電流よりも小さい低電流状態とを含み、前記車両のバッテリ電源と前記負荷との間に接続された機械式リレーと、前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーと、前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにする第1制御回路と、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする第2制御回路とを備える。
【0014】
本態様にあっては、バッテリ電源から供給される電力は、車載装置を介して負荷に供給される。すなわち、車載装置は給電制御装置として作動する。車両が起動している場合、バッテリ電源から負荷に通常電流が流れ、車両が停止している場合、バッテリ電源から負荷に低電流(暗電流)が流れる。低電流の電流値は通常電流の電流値よりも低く、例えば10mA~100mAである。低電流の電流値は、例えば通常電流の電流値の百分の一程度、または千分の一程度などの低い値である。車両が停止している場合、車両の負荷に供給される電流を低電流にすることで、バッテリ電源の消耗を低減する。車両は、例えば、パワースイッチまたはイグニッションスイッチがオンである場合に起動し、オフである場合に停止する。通常電流は車載装置が備える機械式リレーを介してバッテリ電源から負荷に流れる。なお、車両は、車両内に乗員がいる場合に負荷に通常電流が流れ、車両内に乗員がいない場合に低電流が負荷に流れる態様であってもよい。機械式リレーがオンまたはオフに切替えられる回数(接点回数)が増えると、機械式リレーの劣化が進行することが懸念される。低電流が流れる低電流状態である場合に負荷を作動させる場合、機械式リレーを介さず第1半導体リレーを介して負荷に電流を流すことにより、機械式リレーを介して電流を流す回数を削減することが可能である。これにより、機械式リレーの接点回数を削減し、負荷に対して効率的に給電することが可能である。車両が低電流状態である場合においては負荷に流れる電流値は低いので、第1半導体リレーのオン抵抗値による影響を小さくすることが可能である。このため、第1半導体リレーには例えば、比較的定格電流値が低く安価な半導体(例えば、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor))を用いることができ、製品コストを低減して本態様に係る構成を実現することが可能である。なお、第1半導体リレーにはPチャネル型のFET、トランジスタ、サイリスタ、またはIPD(Intelligent Power Device)などが用いられてもよい。
【0015】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車両の状態を判定可能な処理部を備え、前記処理部は、前記車両の状態を判定し、電流経路における前記機械式リレー及び前記第1半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値を取得し、前記車両の状態の判定結果及び前記第1電圧値に基づいて、前記機械式リレーまたは前記第1半導体リレーが故障したか否かを判定し、前記機械式リレーまたは前記第1半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する。
【0016】
本態様にあっては、処理部は、負荷に流れる電流値が所定の閾値(状態閾値)以上である場合、車両は通常電流状態と判定し、状態閾値未満である場合、車両は低電流状態であると判定する。なお、処理部は、バッテリ電源から車載装置に流れる電流値に基づいて車両の状態を判定してもよい。また、状態閾値は固定の値でもよく、バッテリ電源の残容量、または負荷の作動状況に応じて変動する値であってもよい。前記車両が通常電流状態である場合、機械式リレーと負荷との間の第1電圧値を取得し、取得した第1電圧値が所定値未満である場合、機械式リレーがオンにならないオフ故障であると判定する。また、処理部は、車両が低電流状態である場合、第1半導体リレーと負荷との間の第1電圧値を取得し、取得した第1電圧値が所定値未満である場合、第1半導体リレーがオンにならないオフ故障であると判定する。処理部は、機械式リレーまたは第1半導体リレーが故障したと判定した場合、例えば、車内のナビゲーション機器のパネル、またはHMI(Human Machine Interface)などの表示機器に判定結果を出力することで、搭乗者に故障が発生した旨を通知することが可能である。なお、車外に位置する外部サーバに故障が発生した旨を通知してもよい。
【0017】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記処理部は、前記第1半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる。
【0018】
本態様にあっては、第1半導体リレーがオフ故障し、車両が低電流状態である場合に第1半導体リレーを介して負荷に電流を流すことが不可となった場合、機械式リレーをオンにすることで、継続して負荷に電流を流すことが可能である。
【0019】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1半導体リレーは、電流経路においてドレインがソースの上流側に配置されるNチャネル型のFETであり、前記第1半導体リレーと直列に接続され、電流経路においてソースがドレインの上流側に配置されるNチャネル型のFETである第2半導体リレーを備え、前記第2制御回路は、前記車両が通常電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオンにする。
【0020】
本態様にあっては、第1半導体リレーはNチャネル型のFETであり、ドレインがソースの上流側に配置されるため、第1半導体リレーがオフである場合、バッテリ電源から負荷に向かって電流は流れない。しかし、電源と負荷との間の半導体リレーが第1半導体リレーのみである場合、ボディダイオードの効果により、誤って逆接続された場合に負荷からバッテリ電源へ電流が流れてしまう恐れがある。第2半導体リレーは第1半導体と同じくNチャネル型のFETであるが、ソースがドレインの上流側に配置されるため、第2半導体リレーがオフである場合、ボディダイオードの効果により、負荷から電源に向かって電流が流れるのを防ぐことが可能である。よって、第1半導体リレー及び第2半導体リレーがオフである場合、バッテリ電源から負荷に向かって及び負荷からバッテリ電源に向かって電流が流れることはなく、他に逆接続された場合に電流を遮断する機構を設ける必要がない。なお、第1半導体リレーまたは第2半導体リレーは、どちらが上流側に設けられてもよい。
【0021】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車両の状態を判定可能な処理部を備え、前記処理部は、前記車両の状態を判定し、電流経路における前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、及び前記第2半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値を取得し、電流経路における前記第1半導体リレーと前記第2半導体リレーとの間の箇所の第2電圧値を取得し、前記車両の状態の判定結果、前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したか否かを判定し、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する。
【0022】
本態様にあっては、処理部は、前記車両が通常電流状態である場合、機械式リレーと負荷との間の第1電圧を取得し、取得した第1電圧が所定値未満である場合、機械式リレーがオンにならないオフ故障であると判定する。処理部は、車両が低電流状態である場合、第1半導体リレーまたは第2半導体リレーの下流側の半導体リレーと負荷との間の第1電圧を取得する。また、処理部は第1半導体リレーと第2半導体リレーとの間の第2電圧値を取得する。処理部は、第1電圧値及び第2電圧値が共に所定値未満である場合、上流側に配置された半導体リレーがオフ故障であると判定する。処理部は、第1電圧値が所定値未満であり、第2電圧値が所定値以上である場合、下流側に配置された半導体リレーがオフ故障であると判定する。処理部は、機械式リレー、第1半導体リレー、または第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力することで、搭乗者に故障が発生した旨を通知することが可能である。
【0023】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記処理部は、前記第1半導体リレーまたは前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる。
【0024】
本態様にあっては、第1半導体リレーまたは第2半導体リレーがオフ故障し、車両が低電流状態である場合に第1半導体リレー及び第2半導体リレーを介して負荷に電流を流すことが不可となった場合、機械式リレーをオンにすることで、継続して負荷に電流を流すことが可能である。
【0025】
(7)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1半導体リレーに並列に接続される第2半導体リレーを備え、前記第2制御回路は、前記車両が通常電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオンにする。
【0026】
本態様にあっては、第1半導体リレーと第2半導体リレーとは並列に接続されているため、車両が低電流状態である場合にどちらか一方がオフ故障となった場合においても、機械式リレーをオンにすることなく継続してバッテリ電源から負荷に電流を流すことが可能である。
【0027】
(8)本開示の一態様に係る車載装置は、電流経路における前記第1半導体リレーの下流側に配置される抵抗と、前記抵抗の両端間の電圧値が上昇した場合に上昇する抵抗電圧値を出力する故障検出回路と、前記車両の状態を判定可能な処理部とを備え、前記処理部は、前記車両の状態を判定し、電流経路における前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、及び前記第2半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値と、前記故障検出回路が出力した前記抵抗電圧値とを取得し、前記車両の状態の判定結果、前記第1電圧値及び前記抵抗電圧値に基づいて、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したか否かを判定し、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する。
【0028】
本態様にあっては、処理部は、前記車両が通常電流状態である場合、機械式リレーと負荷との間の第1電圧値を取得し、取得した第1電圧値が所定値未満である場合、機械式リレーがオンにならないオフ故障であると判定する。処理部は、車両が低電流状態である場合、第1半導体リレーまたは第2半導体リレーの下流側の半導体リレーと負荷との間の第1電圧を取得する。また、処理部は、故障検出回路が出力した抵抗電圧値を取得する。抵抗電圧値は、抵抗の両端間の電圧値に比例し、抵抗の両端間の電圧値が上昇した場合に抵抗電圧値も上昇する。抵抗電圧値に係る閾値として、下側閾値及び上側閾値が設定されている。下側閾値は、上側閾値未満であり、ゼロを超える。処理部は、車両が低電流状態である場合に第1電圧値が所定値以上である場合において抵抗電圧値が下側閾値未満である場合、第1半導体リレーがオフ故障であると判定する。処理部は、第1電圧値が所定値以上である場合において抵抗電圧値が上側閾値以上である場合、第2半導体リレーがオフ故障であると判定する。また、処理部は、車両が低電流状態である場合に取得した第1電圧値が所定値未満である場合、第1半導体リレー及び第2半導体リレーがオフ故障であると判定する。処理部は、機械式リレー、第1半導体リレー、または第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力することで、搭乗者に故障が発生した旨を通知することが可能である。
【0029】
(9)本開示の一態様に係る車載装置は、前記処理部は、前記第1半導体リレー及び前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる。
【0030】
本態様にあっては、第1半導体リレー及び第2半導体リレーがオフ故障し、車両が低電流状態である場合に第1半導体リレーまたは第2半導体リレーを介して負荷に電流を流すことが不可となった場合、機械式リレーをオンにすることで、継続して負荷に電流を流すことが可能である。
【0031】
(10)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1半導体リレーは、電流経路においてドレインがソースの上流側に配置されるNチャネル型のFETであり、前記第1半導体リレーと直列に接続され、電流経路においてドレインがソースの上流側に配置されるNチャネル型のFETである第2半導体リレーを備え、前記第2制御回路は、前記車両が通常電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第2半導体リレーをオンにする。
【0032】
本態様にあっては、第1半導体リレー及び第2半導体リレーはどちらもドレインがソースの上流側に配置されるNチャネル型のFETであり、第1半導体リレーと第2半導体リレーとは直列に接続されている。半導体リレーが一つである場合、該半導体リレーがオフにならないオン故障となったときに電流を遮断することが出来ない。第1半導体リレーと第2半導体リレーを直列に接続することで、どちらか一方がオン故障となった場合においても、他方をオフにすることで電流を遮断することが可能である。
【0033】
(11)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車両の状態を判定可能な処理部を備え、前記処理部は、前記車両の状態を判定し、電流経路における前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、及び前記第2半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値を取得し、電流経路における前記第1半導体リレーと前記第2半導体リレーとの間の箇所の第2電圧値を取得し、前記車両の状態の判定結果、前記第1電圧値及び前記第2電圧値に基づいて、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したか否かを判定し、前記機械式リレー、前記第1半導体リレー、または前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する。
【0034】
本態様にあっては、処理部は、前記車両が通常電流状態である場合、機械式リレーと負荷との間の第1電圧を取得し、取得した第1電圧が所定値未満である場合、機械式リレーがオンにならないオフ故障であると判定する。処理部は、車両が低電流状態である場合、第1半導体リレーまたは第2半導体リレーの下流側の半導体リレーと負荷との間の第1電圧を取得する。また、処理部は第1半導体リレーと第2半導体リレーとの間の第2電圧値を取得する。処理部は、第1電圧値及び第2電圧値が共に所定値未満である場合、上流側に配置された半導体リレーがオフ故障であると判定する。処理部は、第1電圧値が所定値未満であり、第2電圧値が所定値以上である場合、下流側の半導体リレーがオフ故障であると判定する。処理部は、機械式リレー、第1半導体リレー、または第2半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力することで、搭乗者に故障が発生した旨を通知することが可能である。
【0035】
(12)本開示の一態様に係る車載装置は、前記処理部は、前記第1半導体リレーまたは前記第2半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる。
【0036】
本態様にあっては、第1半導体リレーまたは第2半導体リレーがオフ故障し、車両が低電流状態である場合に第1半導体リレー及び第2半導体リレーを介して負荷に電流を流すことが不可となった場合、機械式リレーをオンにすることで、継続して負荷に電流を流すことが可能である。
【0037】
(13)本開示の一態様に係る車載装置は、前記第1半導体リレーは電流経路においてソースがドレインの上流側に配置されるPチャネル型のFETであり、前記第2制御回路は、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーのゲートへ印加する電圧を上昇させることにより前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーのゲートへ印加する電圧を低下させることにより前記第1半導体リレーをオンにする。
【0038】
本態様にあっては、第1半導体リレーはPチャネル型のFETであり、第2制御回路は、通常電流状態にされた場合、第1半導体リレーのソースに印加される電圧と同等の電圧をバッテリ電源からの電流を用いてゲートに印加することにより、第1半導体リレーをオフの状態に保つことが可能である。また、第2制御回路は、車両が低電流状態である場合、第1半導体リレーのゲートに印加される電圧を降圧させることにより、第1半導体をオンにすることが可能である。これにより、車両が低電流状態である場合に第1半導体リレーのゲートに印加される電圧を低くすることが出来るので、車両停車中におけるバッテリ電源の消費電力を低減することが可能である。
【0039】
(14)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車両の状態を判定可能な処理部を備え、前記処理部は、前記車両の状態を判定し、電流経路における前記機械式リレー及び前記第1半導体リレーの下流側かつ前記負荷の上流側である箇所の第1電圧値を取得し、前記車両の状態の判定結果及び前記第1電圧値に基づいて、前記機械式リレーまたは前記第1半導体リレーが故障したか否かを判定し、前記機械式リレーまたは前記第1半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力する。
【0040】
本態様にあっては、処理部は、前記車両が通常電流状態である場合、機械式リレーと負荷との間の第1電圧値を取得し、取得した第1電圧値が所定値未満である場合、機械式リレーがオンにならないオフ故障であると判定する。また、処理部は、車両が低電流状態である場合、第1半導体リレーと負荷との間の第1電圧値を取得し、取得した第1電圧値が所定値未満である場合、第1半導体リレーがオンにならないオフ故障であると判定する。処理部は、機械式リレーまたは第1半導体リレーが故障したと判定した場合、判定結果を出力することで、搭乗者に故障が発生した旨を通知することが可能である。
【0041】
(15)本開示の一態様に係る車載装置は、前記処理部は、前記第1半導体リレーが故障したと判定した場合、前記第1制御回路に、前記機械式リレーをオンにさせる。
【0042】
本態様にあっては、第1半導体リレーがオフ故障し、車両が低電流状態である場合に第1半導体リレーを介して負荷に電流を流すことが不可となった場合、機械式リレーをオンにすることで、継続して負荷に電流を流すことが可能である。
【0043】
(16)本開示の一態様に係る制御方法は、車両に搭載され、負荷へ給電を制御する車載装置の制御方法であって、前記車載装置は、バッテリ電源と負荷との間に接続された機械式リレーと、前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーとを備え、前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにし、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする。
【0044】
本態様にあっては、機械式リレー及び半導体スイッチを用いて効率的に給電することができる。
【0045】
(17)本開示の一態様に係るプログラムは、車両に搭載され、負荷へ給電を制御する車載装置を制御する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記車載装置は、バッテリ電源と負荷との間に接続された機械式リレーと、前記機械式リレーと並列に接続された第1半導体リレーとを備え、前記車両が通常電流状態である場合、前記機械式リレーをオンにし、前記車両が低電流状態である場合、前記機械式リレーをオフにし、前記車両が通常電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオフにし、前記車両が低電流状態である場合、前記第1半導体リレーをオンにする処理をコンピュータに実行させる。
【0046】
本態様にあっては、機械式リレー及び半導体スイッチを用いて効率的に給電することができる。
【0047】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る給電制御装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0048】
(実施形態1)
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。図1においては、電流線は実線によって示され、信号線は破線によって示される。電源システム1は車両に搭載されており、車載装置10、バッテリ電源11、及び負荷13を備える。バッテリ電源11は、直流電流を出力する電源である。車載装置10は、バッテリ電源11の正極と、複数の負荷13の一端とに接続される。車載装置10は、例えば、バッテリ電源11から負荷13への電流を制御するECU(Electronic Control Unit)である。バッテリ電源11の負極と負荷13の他端とは接地されている。以下の説明においては、バッテリ電源11から負荷13までの電流経路のうち、バッテリ電源11側を電流の上流とし、負荷13側を電流の下流とする。
【0049】
車両が起動した場合、バッテリ電源11は負荷を作動させるための電流(通常電流)の電力を供給する。車両が停止した場合、バッテリ電源11は通常電流よりも電流値が低い低電流の電力を供給する。低電流の電力が供給される負荷13は、例えば、車内灯、またはセキュリティに関する装置など、車両停止中であっても作動する必要がある負荷である。マイコン4は、複数の負荷13に供給される電力の電流値(負荷電流値)に基づいて、車両が通常電流状態であるか低電流状態であるかを判定することが可能である。なお、マイコン4はバッテリ電源11から車載装置に通電される電流値に基づいて、車両が通常電流状態であるか低電流状態であるかを判定してもよい。
【0050】
負荷13は電気機器である。負荷13に電力が供給された場合、負荷13は作動する。負荷13への給電が停止した場合、負荷13は動作を停止する。なお、車載装置10に接続される負荷13の個数は一つに限られず、複数の負荷13が車載装置10に接続されてもよい。
【0051】
車載装置10は、機械式リレー2、第1半導体リレー31、マイクロコンピュータ(マイコン)4、第1制御回路51、第2制御回路52、第1電圧検出部61、逆流防止素子7溶断素子8、及びプルアップ抵抗Rを備える。これらは、共通の基板上に設置されている。なお、上述した構成のうち、一部が車載装置10の外部に設置される構成であってもよい。
【0052】
機械式リレー2は、例えば、内蔵されたコイル21に電流が流れた場合、発生する磁力によって引き寄せられた導体22が電流経路を接続し、オンとなる有接点リレーである。機械式リレー2は、第1制御回路51からコイル21に電流が流れた場合、オンとなり、電流が停止された場合、オフとなる。機械式リレー2がオンである場合、バッテリ電源11から負荷13に電流が流れ、機械式リレー2がオフである場合、電流は流れない。
【0053】
本実施形態において、第1半導体リレー31は、例えば、Nチャネル型のFETである。第1半導体リレー31は、バッテリ電源11と負荷13との間で機械式リレー2と並列接続となるように配置されている。また、第1半導体リレー31は、ドレインがソースに対して上流側に配置されるように電流経路に接続されている。第1半導体リレー31は、第2制御回路52からゲートに電圧が印加された場合、オンとなり、ゲートへの電圧の印加が停止した場合、オフとなる。第1半導体リレー31がオンである場合、バッテリ電源11から負荷13に電流が流れ、第1半導体リレー31がオフである場合、電流は流れない。
【0054】
第1制御回路51は、機械式リレー2のコイル21への電流を制御することにより機械式リレー2をオンまたはオフに切替える。第1制御回路51は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはASSP(Application Specific Standard Product)などの電子デバイスである。なお、第1制御回路51は、マイクロコンピュータまたはDSP(Digital Signal Processor)等のソフトウェア処理部であってもよい。第1制御回路51は、マイコン4から機械式リレー2をオンにする指示を示す信号(Hi電圧)が入力された場合、機械式リレー2のコイル21へ電力を供給することによって機械式リレー2をオンにする。第1制御回路51は、マイコン4から機械式リレー2をオフにする指示を示す信号(Lоw電圧)が入力された場合、または信号が入力されない場合、機械式リレー2のコイル21へ電流を停止することによって機械式リレー2をオフにする。
【0055】
第2制御回路52は、第1半導体リレー31のゲートに電圧を印加することにより第1半導体リレー31をオンまたはオフに切替える。第2制御回路52は、例えば、FPGA、ASIC、またはASSPなどの電子デバイスである。なお、第2制御回路52はマイコンまたはDSP等のソフトウェア処理部であってもよい。第2制御回路52は、マイコン4から第1半導体リレー31をオフにする指示を示す信号(Lоw電圧)が入力された場合、第1半導体リレー31のゲートに電圧を印加せず、第1半導体リレー31をオフにする。また、第2制御回路52は、Hi電圧が入力された場合、マイコン4から第1半導体リレー31をオンにする指示を示す信号が入力されたとみなし、第1半導体リレー31のゲートに電圧を印加し、第1半導体リレー31をオンにする。
【0056】
プルアップ抵抗Rは、バッテリ電源11及びマイコン4から第2制御回路52への信号線に接続する。低電流時にマイコン4が動作を停止し、第2制御回路52への信号の出力を停止した場合、プルアップ抵抗Rを通電する電力の電圧がマイコン4から第2制御回路52への信号線に印加され、第2制御回路52にはHi電圧(Hi―z電圧)が入力される。これにより、マイコン4が動作を停止した場合、マイコン4が第1半導体リレー31をオンにする指示を示す信号を出力した場合に相当する電圧が第2制御回路52に印加される。これにより、マイコン4の動作が停止している場合でも、第2制御回路52は第1半導体リレー31の制御を行うことが可能である。また、第2制御回路52は第1半導体リレー31と一体的にIPDによって構成されてもよい。この場合、マイコン4によって制御される場合と比較して低電流状態である場合に消費する電力を低減することが可能である。
【0057】
第1電圧検出部61は、機械式リレー2及び第1半導体リレー31の下流側かつ負荷13の上流側の箇所の第1電圧値を検出する。すなわち、第1電圧検出部61は、機械式リレー2がオンにされた場合の機械式リレー2の下流側かつ負荷13の上流側の箇所の第1電圧値と、第1半導体リレー31がオンにされた場合の第1半導体リレー31の下流側かつ負荷13の上流側の箇所の第1電圧値とを検出することが可能である。第1電圧検出部61は検出した第1電圧値をマイコン4に出力する。
【0058】
逆流防止素子7は、例えばダイオードである。逆流防止素子7は、機械式リレー2及び第1半導体リレー31の上流側に設けられている。逆流防止素子7は、誤って逆接続された場合に負荷13からバッテリ電源11に向かう電流を遮断する。
【0059】
溶断素子8は、ヒューズまたはヒュージブルリンク等である。溶断素子8は機械式リレー2及び第1半導体リレー31の下流側かつ、各負荷13の上流側に一つずつ設けられている。基準電流以上の電流が溶断素子8を介して流れた場合、溶断素子8は溶断される。基準電流以上の電流が流れた場合、溶断素子8が溶断することで機械式リレー2及び第1半導体リレー31は保護される。
【0060】
図2は実施形態1におけるマイコン4の要部構成を示すブロック図である。マイコン4は、入力部41、記憶部42、制御部43、第1出力部441、第1A/D変換部451、外部出力部46、及び電流判定部48を有する。これらは内部バス47に接続されている。
【0061】
入力部41には、複数の負荷13に供給される電力の電流値の合計(負荷電流値)が入力される。なお、入力部41には、バッテリ電源11から車載装置に通電する電流値(装置電流値)が入力されてもよい。入力部41に負荷電流値が入力された場合、入力部41は入力された負荷電流値を電流判定部48に通知する。
【0062】
記憶部42は不揮発性メモリである。記憶部42には、コンピュータプログラムP(プログラム製品)が記憶されている。制御部43は、処理を実行する処理素子、例えばCPU(Central Processing Unit)を有し、処理部として機能する。制御部43の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、第1制御回路51に機械式リレー2のオンまたはオフを切替えさせる処理、第2制御回路52に第1半導体リレー31のオンまたはオフを切り替えさせる処理、機械式リレー2または第1半導体リレー31の故障を判定する処理、及び機械式リレー2または第1半導体リレー31の故障判定結果を出力する処理を実行する。
【0063】
なお、コンピュータプログラムPは、制御部43の処理素子が読み取り可能に記憶媒体Aに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Aから読み出されたコンピュータプログラムPが記憶部42に書き込まれる。記憶媒体Aは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない装置からコンピュータプログラムPをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPを記憶部42に書き込んでもよい。
【0064】
また、記憶部42は、電流判定部48が車両の状態を判定するための閾値(状態閾値)、及び機械式リレー2または第1半導体リレー31の故障を判定するための所定値等を記憶している。
【0065】
電流判定部48は、入力部41から通知された負荷電流値に基づいて車両の状態を判定する。電流判定部48は、記憶部42から状態閾値を読み出し、負荷電流値と状態閾値とを比較する。負荷電流値が状態閾値以上である場合、電流判定部48は、車両が通常電流状態であると判定する。負荷電流値が状態閾値未満である場合、電流判定部48は、車両が低電流状態であると判定する。電流判定部48は、判定した車両の状態を制御部43に出力する。なお、電流判定部48は、バッテリ電源11から車載装置に通電する電流値(装置電流値)に基づいて車両の状態を判定してもよい。電流判定部48は例えばCPUなどの処理素子によって上述の処理を実行し、制御部43の一機能部として構成されてもよい。なお、電流判定部48は、コンパレータ等のアナログ素子によって上述の処理を実行してもよい。
【0066】
第1出力部441は、第1制御回路51に、機械式リレー2をオンまたはオフに切替える指示を示す信号を出力する。制御部43は、第1出力部441に機械式リレー2のオン又はオフへの切替えを指示する。第1出力部441は、制御部43の指示に従って第1制御回路51に出力する信号を切替える。これにより、機械式リレー2はオンまたはオフに切替えられる。具体的に、第1出力部441は、第1制御回路51にLоw電圧またはHi電圧を出力することにより、第1制御回路51に機械式リレー2を切替えさせる。
【0067】
第2出力部442は、第2制御回路52に、第1半導体リレー31をオンまたはオフに切り替える指示を示す信号を出力する。制御部43は、第2出力部442に第1半導体リレー31のオンまたはオフへの切り替えを指示する。第2出力部442は、制御部43の指示に従って第2制御回路52に出力する信号を切り替える。具体的に、第2出力部442は、第1制御回路51にLоw電圧またはHi電圧を出力することにより、第2制御回路52に第1半導体リレー31を切替えさせる。なお、マイコン4が作動を停止している場合、第2出力部442は信号を出力しない。
【0068】
第1A/D変換部451には、第1電圧検出部61からアナログの第1電圧値に関する電圧情報が入力される。第1A/D変換部451は、アナログの電圧情報が入力された場合、入力されたアナログの電圧情報をデジタルの電圧情報に変換する。制御部43は、第1A/D変換部451が変換したデジタルの電圧情報を第1A/D変換部451から取得する。
【0069】
外部出力部46は、例えば、ナビゲーション機器またはHMIなどの表示機器に機械式リレー2または第1半導体リレー31の故障判定結果を出力する。制御部43は、取得した車両の状態と、第1A/D変換部451から取得した第1電圧値とに基づき、機械式リレー2または第1半導体リレー31が故障したか否かを判定する。制御部43は、機械式リレー2または第1半導体リレー31が故障したと判定した場合、外部出力部46に判定結果の出力を指示する。外部出力部46は、制御部43の指示に従って表示機器に判定結果を出力する。判定結果を取得した表示機器は、判定結果を表示する。すなわち、制御部43が、機械式リレー2が故障したと判定した場合、表示機器には機械式リレー2が故障した旨が表示され、制御部43が、第1半導体リレー31が故障したと判定した場合、表示機器には第1半導体リレー31が故障した旨が表示される。
【0070】
マイコン4は、イーサネット(Ethernet/登録商標)またはCAN(Control Area Network)等の通信プロトコルを用いる通信部を備えてもよい。マイコン4は、当該通信部を介して他の車載ECUと通信を行い、例えば負荷13を作動させる指示を示す作動信号を取得してもよい。
【0071】
図3は、実施形態1における第2制御回路52による制御処理手順を示すフローチャートである。第2制御回路52は、マイコン4からの信号を取得する(S1)。第2制御回路52は、マイコン4から取得した信号が第1半導体リレー31をオンにする指示であるか否かを判定する(S2)。なお、第2制御回路52は、Hi電圧が印加されている場合、マイコン4から第1半導体リレー31をオンにする指示を取得したと判定し、Lоw電圧が印加されている場合、マイコン4から第1半導体リレー31をオフにする指示を取得したと判定する。
【0072】
信号が第1半導体リレー31をオンにする指示である場合(S2:YES)、第2制御回路52は第1半導体リレー31をオンにする(S3)。なお、S3において既に第1半導体リレー31がオンである場合、第2制御回路52は第1半導体リレー31をオンの状態に保持する。
【0073】
信号が第1半導体リレー31をオフにする指示である場合(S2:NO)、第2制御回路52は、第1半導体リレー31をオフにする(S4)。なお、S4において既に第1半導体リレー31がオフである場合、第2制御回路52は第1半導体リレー31をオフの状態に保持する。第2制御回路52は、S3またはS4を実行後、処理をS1に返して同様の処理を繰り返す。
【0074】
図4は、実施形態1におけるマイコン4による制御処理手順を示すフローチャートである。マイコン4の制御部43は、電流判定部48から車両の状態を取得する(S11)。制御部43は取得した車両の状態が通常電流状態であるか否かを判定する(S12)。
【0075】
車両が通常電流状態である場合(S12:YES)、制御部43は、第2制御回路52に第1半導体リレー31をオフにさせる(S13)。なお、S13において既に第1半導体リレー31がオフである場合、制御部43は第1半導体リレー31をオフの状態に保持する。制御部43は第1制御回路51に機械式リレー2をオンにさせる(S14)。なお。S14において既に機械式リレー2がオンである場合、制御部43は機械式リレー2をオンの状態に保持する。
【0076】
制御部43は、第1電圧検出部61が検出した第1電圧値を取得する(S15)。制御部43は、取得した第1電圧値が所定値以上であるか否かを判定する(S16)。
【0077】
第1電圧値が所定値以上である場合(S16:YES)、制御部43は処理をS1に返す。第1電圧値が所定値未満である場合(S16:NO)、制御部43は機械式リレー2がオフ故障であると判定する(S17)。制御部43は機械式リレー2がオフ故障である判定結果を表示機器に出力し(S18)、処理を終了する。
【0078】
車両が通常電流状態でない場合、すなわち、低電流状態である場合(S12:NO)、制御部43は第1制御回路51に機械式リレー2をオフにさせる。(S19)なお、S19において既に機械式リレー2がオフである場合、制御部43は機械式リレー2をオフの状態に保持する。
【0079】
制御部43は、第2制御回路52に第1半導体リレー31をオンにさせる(S20)。S20において、制御部43は、第2制御回路52への信号の出力を停止することにより、第2制御回路52に第1半導体リレー31をオンにさせる。なお、S20において既に第1半導体リレー31がオンである場合、制御部43は、第1半導体リレー31をオンの状態に保持する。
【0080】
制御部43は、第1電圧検出部61が検出した第1電圧値を取得する(S21)。制御部43は、取得した第1電圧値が所定値以上であるか否かを判定する(S22)。なお、S22における所定値はS16における所定値と同値でもよく、異なる値であってもよい。
【0081】
第1電圧値が所定値以上である場合(S22:YES)、制御部43は処理をS11に返す。なお、制御部43は、処理をS11に返す前に、第1半導体リレー31が正常である旨の判定結果を表示機器に出力してもよい。第1電圧値が所定値未満である場合(S22:NO)、制御部43は第1半導体リレー31がオフ故障であると判定する(S23)。制御部43は、第1制御回路51に機械式リレー2をオンにさせる(S24)。制御部43は第1半導体リレー31がオフ故障である判定結果を表示機器に出力し(S25)、処理を終了する。
【0082】
以上の構成及び処理によれば、低電流状態である場合、機械式リレー2を介さず第1半導体リレー31を介して負荷に電流を流すことにより、機械式リレー2を介して電流を流す回数を削減することが可能である。これにより、機械式リレー2の接点回数を削減し、負荷に対して効率的に給電することが可能である。なお、第1半導体リレー31がオフ故障した場合にあっては、機械式リレー2を介して継続して負荷13に電流を流すことが可能である。
【0083】
(実施形態2)
実施形態1では、車載装置10が有する半導体リレーの数は1つである。しかしながら、車載装置10が有する半導体リレーの数は2つであってもよい。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除
く他の構成は実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には、
実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0084】
図5は、実施形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。実施形態2における車載装置10は第2半導体リレー32を備える。第2半導体リレー32は第1半導体リレー31と直列に接続されている。本実施形態において第2半導体リレー32は第1半導体リレー31の上流側に設けられるが、第1半導体リレー31の下流側に設けられてもよい。第2半導体リレー32は例えばNチャネル型のFETであり、ソースがドレインに対して上流側に配置されるように設けられている。第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32がオフである場合、第1半導体リレー31はバッテリ電源11から負荷13へ向かって流れる電流を遮断し、第2半導体リレー32は負荷13からバッテリ電源11に向かって流れる電流を遮断する。これにより、誤って逆接続された場合でも、電流が逆流することを防ぐことが可能である。
【0085】
実施形態2における第2制御回路52は、第2半導体リレー32のゲートに電圧を印加することにより第2半導体リレー32をオンまたはオフに切替える。第2制御回路52は、Hi電圧が印加されている場合、第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンにする。第2制御回路52は、Lоw電圧が印加されている場合、第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオフにする。
【0086】
実施形態2における車載装置10は、第2電圧検出部62を備える。第2電圧検出部は、第2半導体リレー32の下流側かつ第1半導体リレー31の上流側、すなわち第1半導体リレー31と第2半導体リレー32との間の箇所の第2電圧値を検出する。第2電圧検出部62は、検出した第2電圧値をマイコン4に出力する。なお、本実施形態において第1電圧検出部が検出する電圧は第1電圧値とする。
【0087】
図6は、実施形態2におけるマイコン4の要部構成を示すブロック図である。実施形態2におけるマイコン4は、第2A/D変換部452を備える。第2A/D変換部452には、第2電圧検出部62からアナログの第2電圧値に関する電圧情報が入力される。第2A/D変換部452は、アナログの電圧情報が入力された場合、入力されたアナログの電圧情報をデジタルの電圧情報に変換する。制御部43は、第2A/D変換部452が変換したデジタルの電圧情報を第2A/D変換部452から取得する。
【0088】
制御部43は、電流判定部48が判定した車両の状態と、第1A/D変換部451から取得した第1電圧値と、第2A/D変換部452から取得した第2電圧値とに基づき、機械式リレー2、第1半導体リレー31、または第2半導体リレー32が故障したか否かを判定する。
【0089】
図7は、実施形態2における第2制御回路52による制御処理手順を示すフローチャートである。第2制御回路52は、マイコン4からの信号を取得する(S31)。第2制御回路52は、マイコン4から取得した信号が第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンにする指示であるか否かを判定する(S32)。なお、第2制御回路52は、Hi電圧が印加されている場合、マイコン4から第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンにする指示を取得したと判定し、Lоw電圧が印加されている場合、マイコン4から第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオフにする指示を取得したと判定する。
【0090】
信号が第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンにする指示である場合(S32:YES)、第2制御回路52は第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンにする(S33)。なお、S33において既に第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32がオンである場合、第2制御回路52は第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンの状態に保持する。
【0091】
信号が第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオフにする指示である場合(S32:NO)、第2制御回路52は、第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオフにする(S34)。なお、S34において既に第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32がオフである場合、第2制御回路52は第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32オフの状態に保持する。第2制御回路52は、S33またはS34を実行後、処理をS31に返して同様の処理を繰り返す。
【0092】
図8は、実施形態2におけるマイコン4による制御処理手順を示すフローチャートである。S41~S48における処理は、図4に示すS11~S18と同様の処理である。なお、S43において制御部43は、第2制御回路52に第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオフにさせる。
【0093】
S42において車両が通常電流状態ではない、すなわち低電流状態である場合(S42:NO)、マイコン4の制御部43は、第1制御回路51に機械式リレー2をオフにさせる(S49)。制御部43は、第2制御回路52に第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンにさせる(S50)。
【0094】
制御部43は、第1電圧検出部61から第1電圧値を、及び第2電圧検出部62から第2電圧値を取得する(S51)。制御部43は、第1電圧値が所定値以上であるか否かを判定する(S52)。第1電圧値が所定値以上である場合(S52:YES)、制御部43は処理をS41に返す。第1電圧値が所定値未満である場合(S52:NO)、制御部43は第2電圧値が所定値以上であるか否かを判定する(S53)。なお、S53における所定値は、S46またはS52における所定値と同値でもよく、S46及びS52における所定値と異なる値であってもよい。
【0095】
第2電圧値が所定値以上である場合(S53:YES)、制御部43は第1半導体リレー31がオフ故障であると判定する(S54)。第2電圧値が所定値未満である場合(S53:NO)、制御部43は第2半導体リレー32がオフ故障であると判定する(S55)。制御部43は、S54またはS55を実行後、第1制御回路51に機械式リレー2をオンにさせる(S56)。制御部43は、S54またはS55における判定結果を表示機器に出力し(S57)、処理を終了する。
【0096】
以上の構成及び処理によれば、第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32がオフである場合、バッテリ電源から負荷に向かって及び負荷からバッテリ電源に向かって電流が流れることはなく、他に逆接続された場合に電流を遮断する機構を設ける必要がない。なお、マイコン4の記憶部42は、管理項目(フィールド)に車両の状態、第1電圧値、第2電圧値、及び故障状態を含むテーブルを記憶してもよい。故障状態のフィールドには、故障しているリレーの種類が格納されている。この場合、制御部43は、取得した車両の状態、実際に検出された第1電圧値及び第2電圧値をテーブルに格納された情報と照合することによって、機械式リレー2、第1半導体リレー31または第2半導体リレー32の故障を判定してもよい。
【0097】
(実施形態3)
実施形態2では、第2半導体リレー32は第1半導体リレー31と直列に接続される。しかしながら、第2半導体リレー32は第1半導体リレー31と並列に接続されてもよい。
以下では、実施形態3について実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態2と共通している。このため、実施形態2と共通する構成部には、実施形態2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0098】
図9は、実施形態3における電源システムの要部構成を示すブロック図である。実施形態3における第2半導体リレー32は、第1半導体リレー31と並列に接続される。第2半導体リレー32は例えばNチャネル型のFETであり、ドレインがソースの上流に配置されるように設けられている。
【0099】
第1半導体リレー31の下流側には、第1抵抗91が設けられており、第2半導体リレー32の下流側には第2抵抗92が設けられている。第1抵抗91の両端は故障検出回路9に接続されている。すなわち、第1抵抗91はシャント抵抗として機能する。
【0100】
故障検出回路9は、第1半導体リレー31及び第1抵抗91間の接続ノードから電流を引き込み、引き込んだ電流に基づいて、第1抵抗91の両端間の電圧値に比例するアナログの電圧値(抵抗電圧値)を出力する。具体的には、故障検出回路9は、特開2021―109477において開示されている電流検出回路と同様の回路であってもよい。すなわち、故障検出回路9は第1抵抗91の両端間の電圧値に応じて抵抗値が変化する可変抵抗(例えばPチャネル型のFET)を備え、該可変抵抗によって降圧後の電圧値を抵抗電圧値として出力する。
【0101】
実施形態3における第2制御回路52は、実施形態2と同様に、車両が低電流状態である場合、第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンにする。
【0102】
図10は、実施形態3におけるマイコン4の要部構成を示すブロック図である。実施形態3におけるマイコン4の第2A/D変換部452には、故障検出回路9からアナログの抵抗電圧値に関する電圧情報が入力される。第2A/D変換部452は、アナログの電圧情報が入力された場合、入力されたアナログの電圧情報をデジタルの電圧情報に変換する。制御部43は、第2A/D変換部452が変換したデジタルの電圧情報を第2A/D変換部452から取得する。
【0103】
実施形態3におけるマイコン4の記憶部42は、抵抗電圧値に係る閾値として、下側閾値及び上側閾値を記憶している。下側閾値は上側閾値未満であり、ゼロを超える。マイコン4の制御部43は、判定した車両の状態と、第1A/D変換部451から取得した第1電圧値と、第2A/D変換部452から取得した抵抗電圧値に基づき、機械式リレー2、第1半導体リレー31、または第2半導体リレー32が故障したか否かを判定する。具体的には、低電流状態である場合に抵抗電圧値が下側閾値未満である場合、制御部43は第1半導体リレー31がオフ故障であると判定する。また、低電流状態である場合に抵抗電圧値が上側閾値以上である場合、制御部43は第2半導体リレー32がオフ故障であると判定する。
【0104】
図11は、実施形態3におけるマイコン4による制御処理手順を示すフローチャートである。S61~S68は図8におけるS41~S48と同様の処理である。S62において車両が通常電流状態ではない、すなわち低電流状態である場合(S62:NO)、マイコン4の制御部43は機械式リレー2をオフにする(S69)。制御部43は、第2制御回路52に第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンにさせる(S70)。
【0105】
制御部43は第1電圧検出部61から第1電圧値を取得する(S71)。制御部43は第1電圧値が所定値以上であるか否かを判定する(S72)。
【0106】
第1電圧値が所定値未満である場合(S72:NO)、制御部43は第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32がオフ故障であると判定する(S73)。制御部43は第1制御回路51に機械式リレー2をオンにさせる(S74)。制御部43は、S73における判定結果を表示機器に出力し(S75)、処理を終了する。
【0107】
第1電圧値が所定値以上である場合(S72:YES)、制御部43は、故障検出回路9から抵抗電圧値を取得する(S76)。制御部43は、抵抗電圧値が下側閾値以上であるか否かを判定する(S77)。抵抗電圧値が下側閾値未満である場合(S77:NO)、制御部43は第1半導体リレー31がオフ故障であると判定する(S78)。
【0108】
抵抗電圧値が下側閾値以上である場合(S77:YES)、制御部43は抵抗電圧値が上側閾値以上であるか否かを判定する(S79)。抵抗電圧値が上側閾値未満である場合(S79:NO)、制御部43は処理をS61に返す。抵抗電圧値が上側閾値以上である場合(S79:YES)、制御部43は第2半導体リレー32がオフ故障であると判定する(S80)。
【0109】
制御部43は、S78またはS80における判定結果を表示機器に出力し(S81)、処理を終了する。
【0110】
以上の構成及び処理によれば、第1半導体リレー31または第2半導体リレー32の一方がオフ故障となった場合でも、他方の半導体リレーを介して負荷への電力の供給を継続することが可能である。
【0111】
(実施形態4)
実施形態2では、第2半導体リレー32はドレインがソースの上流側に配置されるように設けられる。しかしながら、第2半導体リレー32はソースがドレインの上流側に配置されるように設けられてもよい。
以下では、実施形態4について実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態2と共通している。このため、実施形態2と共通する構成部には、実施形態2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0112】
図12は、実施形態4における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態4における車載装置10の第2半導体リレー32は、ドレインがソースの上流側に配置され、第1半導体リレー31と直列に接続されるように設けられている。図12においては、第2半導体リレー32は第1半導体リレー31の上流側に設けられているが、第1半導体リレー31の下流側に設けられてもよい。
【0113】
また、機械式リレー2及び第1半導体リレー31の上流側には、逆流防止素子7が設けられている。これにより、誤って逆接続された場合に負荷13からバッテリ電源11に向かう電流を遮断することが可能である。
【0114】
実施形態4におけるマイコン4の構成、第2制御回路52による処理、及びマイコン4による処理は、実施形態2と同様である。
【0115】
以上の構成によれば、第1半導体リレー31または第2半導体リレー32の一方がオフにならないオン故障となった場合でも、他方の半導体リレーをオフにすることにより、電流を遮断することが可能である。
【0116】
(実施形態5)
実施形態1では、第1半導体リレー31はNチャネル型のFETである。しかしながら、第1半導体リレー31はPチャネル型のFETであってもよい。
以下では、実施形態5について実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には、実施形態2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0117】
図13は、実施形態5における電源システムの要部構成を示すブロック図である。実施形態5における車載装置10の第1半導体リレー31は、ソースがドレインの上流に設けられるPチャネル型のFETである。第2制御回路52は、車両が通常電流状態である場合、第1半導体リレー31のソースに印加される電圧と同等の電圧をゲートに印加し、第1半導体リレー31を電流が流れないオフの状態にする。第2制御回路52は、車両が低電流状態である場合、第1半導体リレー31のゲートに印加される電圧を降圧することにより、第1半導体リレー31を電流が流れるオフの状態にする。
【0118】
実施形態5におけるマイコン4の構成、第2制御回路52による処理、及びマイコン4による処理は、実施形態1と同様である。
【0119】
以上の構成によれば、第2制御回路52は、車両が低電流状態である場合に第1半導体リレー31のゲートに印加される電圧を低くすることが出来るので、
車両停車中におけるバッテリ電源11の消費電力を低減することが可能である。
【0120】
(変形例)
上述の各実施形態において、マイコン4の制御部43は、機械式リレー2、第1半導体リレー31または第2半導体リレー32がオフ故障であるか否かを判定するが、これに限られない。制御部43は車両の状態、第1電圧値、第2電圧値、または抵抗電圧値に基づいて機械式リレー2、第1半導体リレー31または第2半導体リレー32がオフにならないオン故障を判定してもよい。制御部43は機械式リレー2、第1半導体リレー31または第2半導体リレー32のオフ故障及びオン故障を判定し、故障したリレー及び故障の種類を表示機器に出力してもよい。
【0121】
上述の各実施形態において、第1制御回路51は機械式リレー2をオンまたはオフに切り替え、第2制御回路52は第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンまたはオフに切り替えるが、これに限られない。機械式リレー2、第1半導体リレー31または第2半導体リレー32は、マイコン4によってオンまたはオフへの切り替えが制御されてもよい。また、第2制御回路52は、マイコン4からの信号に基づいて第1半導体リレー31及び第2半導体リレー32をオンまたはオフに切り替えてもよい。
【0122】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0123】
1 電源システム
10 車載装置
11 バッテリ電源
13 負荷
2 機械式リレー
31 第1半導体リレー
32 第2半導体リレー
4 マイクロコンピュータ(マイコン)
41 入力部
42 記憶部
43 制御部
44 出力部
46 外部出力部
48 電流判定部
51 第1制御回路
52 第2制御回路
61 第1電圧検出部
62 第2電圧検出部
9 故障検出回路
91 第1抵抗
92 第2抵抗
A 記憶媒体
P コンピュータプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13