(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092548
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】冷却システム、これを備えた輸送用冷凍機及び冷却システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20240701BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240701BHJP
F25B 27/00 20060101ALI20240701BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
F25B49/02 570A
F25B27/00 C
F25B1/00 341V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208571
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】角島 悠太
(72)【発明者】
【氏名】西井 智広
(72)【発明者】
【氏名】桑田 塁
(72)【発明者】
【氏名】安部 隼人
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA04
3L045LA17
3L045LA18
3L045NA01
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】メインコンプレッサの停止時においても、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく冷凍能力が低下することを抑制することができる冷却システムを提供する。
【解決手段】冷却システムは、車両走行用のエンジン9と、エンジンの動力によって駆動する発電機11とを備える輸送用冷凍車両に搭載可能な輸送用冷凍機の冷却システムであって、エンジンの動力又は発電機から供給される電力によって駆動されて冷媒を圧縮するメインコンプレッサ5と、冷媒を凝縮させるコンデンサ61と、冷媒を蒸発させるエバポレータ71とを備える冷凍サイクルと、発電機から供給される電力によって駆動されるとともに、冷凍サイクルに接続されたサブコンプレッサ8と、メインコンプレッサの停止時において、メインコンプレッサに代わってサブコンプレッサを運転するように制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行用のエンジンと、
前記エンジンの動力によって駆動する発電機と
を備える輸送用冷凍車両に搭載可能な輸送用冷凍機の冷却システムであって、
前記エンジンの動力又は前記発電機から供給される電力によって駆動されて冷媒を圧縮するメインコンプレッサと、冷媒を凝縮させるコンデンサと、冷媒を蒸発させるエバポレータとを備える冷凍サイクルと、
前記発電機から供給される電力によって駆動されるとともに、前記冷凍サイクルに接続されたサブコンプレッサと、
前記メインコンプレッサの停止時において、前記メインコンプレッサに代わって前記サブコンプレッサを運転するように制御する制御部と、
を備える冷却システム。
【請求項2】
前記メインコンプレッサの異常を検知する異常検知部を備え、
前記制御部は、前記異常検知部が前記メインコンプレッサの異常を検知した場合に、前記メインコンプレッサに代わって前記サブコンプレッサを運転する請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記異常検知部によって検知された前記メインコンプレッサの異常の内容に応じて、異なる異常報知を行う報知部を備える請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記サブコンプレッサは、輸送用冷凍車両停車時において、外部電源から供給される電力を用いて駆動される請求項1に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記サブコンプレッサへ電力供給可能であるとともに、前記エンジンの動力によって駆動するサブ発電機を備え、
前記制御部は、前記発電機の停止時において、前記発電機に代わって前記サブ発電機を運転するように制御する請求項1に記載の冷却システム。
【請求項6】
請求項1に記載の冷却システムを備えた輸送用冷凍機。
【請求項7】
車両走行用のエンジンと、
前記エンジンの動力によって駆動する発電機と
を備える輸送用冷凍車両に搭載可能な輸送用冷凍機の冷却システムの制御方法であって、
前記冷却システムは、前記エンジンの動力又は前記発電機から供給される電力によって駆動されて冷媒を圧縮するメインコンプレッサと、冷媒を凝縮させるコンデンサと、冷媒を蒸発させるエバポレータとを備える冷凍サイクルと、
前記発電機から供給される電力によって駆動されるとともに、前記冷凍サイクルに接続されたサブコンプレッサと、を備え、
前記メインコンプレッサの停止時において、前記メインコンプレッサに代わって前記サブコンプレッサを運転するように制御する冷却システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システム、これを備えた輸送用冷凍機及び冷却システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬品や食品の輸送時には、輸送対象を格納するコンテナ内の温度管理が必要である。そのため、輸送用冷凍車両には、専用の輸送用冷凍機が搭載される。輸送用冷凍機は、冷媒を圧縮するコンプレッサ(圧縮機)と、冷媒を凝縮させるコンデンサ(凝縮器)と、冷媒を蒸発させるエバポレータ(蒸発器)を含む冷凍サイクルによって、温度が調整された冷媒とコンテナ内の空気とを熱交換させる。このように、輸送用冷凍機が運転されることにより、コンテナ内の温度が管理される。
【0003】
特許文献1には、輸送用車両の走行中である場合に、メインコンプレッサを駆動させ、エンジン停止後に所定時間が経過し、かつ冷凍庫内の温度が閾値以上である場合にサブコンプレッサを駆動させることが開示されている。エンジン停止からサブコンプレッサを駆動させるまでに所定時間を設けることにより、エンジンを停止する時間が短時間である場合には、サブコンプレッサは起動しない。このように、サブコンプレッサの起動頻度を低減することにより、消費電力を低減することができる制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたコンプレッサの切替制御は、エンジン停止後に所定時間が経過した場合に、サブコンプレッサを駆動させるものである。そのため、輸送用冷凍車両の走行中において、サブコンプレッサを駆動させるように切替えることはせず、また、メインコンプレッサが故障した場合において、柔軟にサブコンプレッサを駆動させることができていなかった。そのため、コンテナ内の温度及び輸送対象の品質を維持することができない可能性があった。
【0006】
また、メインコンプレッサの故障時を想定して、2台目の冷凍機を搭載する場合、2台の冷凍機を設置するために要するイニシャルコストの増加、及び冷凍機を2台搭載することによる輸送用冷凍車両の燃費効率低下、メンテナンスの負担の増加及び消費電力の向上等のランニングコストの増加が懸念され、好ましくない。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、メインコンプレッサの停止時においても、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく冷凍能力が低下することを抑制することができる冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る冷却システムは、車両走行用のエンジンと、前記エンジンの動力によって駆動する発電機とを備える輸送用冷凍車両に搭載可能な輸送用冷凍機の冷却システムであって、前記エンジンの動力又は前記発電機から供給される電力によって駆動されて冷媒を圧縮するメインコンプレッサと、冷媒を凝縮させるコンデンサと、冷媒を蒸発させるエバポレータとを備える冷凍サイクルと、前記発電機から供給される電力によって駆動されるとともに、前記冷凍サイクルに接続されたサブコンプレッサと、前記メインコンプレッサの停止時において、前記メインコンプレッサに代わって前記サブコンプレッサを運転するように制御する制御部と、を備える。
【0009】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る輸送用冷凍機は、上記冷却システムを備える。
【0010】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る冷却システムの制御方法は、車両走行用のエンジンと、前記エンジンの動力によって駆動する発電機とを備える輸送用冷凍車両に搭載可能な輸送用冷凍機の冷却システムの制御方法であって、前記冷却システムは、前記エンジンの動力又は前記発電機から供給される電力によって駆動されて冷媒を圧縮するメインコンプレッサと、冷媒を凝縮させるコンデンサと、冷媒を蒸発させるエバポレータとを備える冷凍サイクルと、前記発電機から供給される電力によって駆動されるとともに、前記冷凍サイクルに接続されたサブコンプレッサと、を備え、前記メインコンプレッサの停止時において、前記メインコンプレッサに代わって前記サブコンプレッサを運転するように制御する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、メインコンプレッサの停止時においても、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく冷凍能力が低下することを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の側面図である。
【
図2】
図1の輸送用冷凍機の制御装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
【
図3】
図3の制御装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係るベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが停止し、サブコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係るベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の停車時において、冷却システムのメインコンプレッサが停止し、サブコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが停止し、サブコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係るインバータ及び発電機を2台備えた電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係るインバータ及び発電機を2台備えた電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが停止し、サブコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(輸送用冷凍車両及び輸送用冷凍機について)
以下に、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の概略構成である。輸送用冷凍車両1は、トラクタ(車両本体)2と、輸送対象である輸送物を格納する収納庫3と、トラクタ2の後方に接続されるとともに、収納庫3内の空間の温度を調整するための輸送用冷凍機4とを備えている。また、輸送用冷凍機4は、冷媒を圧縮するメインコンプレッサ5と、冷媒を凝縮するコンデンシングユニット6と、冷媒を蒸発するエバポレータユニット7と、冷媒を圧縮するサブコンプレッサ8、及びこれらの電装部品を制御する制御装置20とを備える。また、メインコンプレッサ5、コンデンシングユニット6、エバポレータユニット7及びサブコンプレッサ8それぞれが、冷媒搬送用の配管(不図示)で接続されることにより、冷凍サイクルが構成される。
なお、メインコンプレッサ5は、輸送用冷凍機4の種類に応じて、駆動形式が異なる。
【0014】
また、トラクタ2は、エンジン9と、発電モジュール10とを備えている。また、発電モジュール10は、後述する発電機(オルタネータ)及びインバータを備える。発電機は、エンジン9とベルトを介して連結されており、エンジン9が駆動することにより発生するエネルギーを利用して発電を行う。そして、発電機で発電された電力は、メインコンプレッサ5、サブコンプレッサ8に供給される。また、発電機で発電された電力は、輸送用冷凍車両1が備えるバッテリ(不図示)へ供給され、バッテリの充電に利用されてもよい。
また、インバータは、発電機と電気的に接続されており、発電機が発電した電力に基づいて周波数の異なる電流及び電圧を生成する電気回路である。なお、インバータの構成については公知の技術であり、それら公知の技術を適宜採用すればよい。
【0015】
収納庫3は、トラクタ2の荷台に積載され、輸送物を収納するために用いられる密閉可能な容器である。収納庫3には、エバポレータユニット7が設けられている。収納庫3内の空気は、エバポレータユニット7のエバポレータ(蒸発器)71と収納庫3内の空気が熱交換されることにより、低温となる。
【0016】
コンデンシングユニット6は、輸送用冷凍車両1のシャーシに固定される箱状のケースにより外殻が形成されている。ケース内には、ファン(不図示)、ファンを回転させるファン駆動用モータ(不図示)、圧縮機から送られた高温高圧冷媒を凝縮するコンデンサ(凝縮器)61、圧縮機を駆動するモータ(不図示)および/またはエンジン(不図示)などが収容されている。コンデンサ61は、例えば、内部に冷媒が流通する伝熱管と、伝熱管に取り付けられたフィンを有する熱交換器である。コンデンサ61で冷媒が凝縮することによって、外気へと排熱する。
【0017】
エバポレータユニット7には、ケース内に、ファン(不図示)、ファンを回転させるファン駆動用モータ(不図示)、冷媒を絞る膨張弁(例えば、
図4~
図10の膨張弁14)、膨張弁から導かれた冷媒を蒸発させるエバポレータなどが収容されている。エバポレータ71は、例えば、内部に冷媒が流通する伝熱管と、伝熱管に取り付けられたフィンを有する熱交換器である。エバポレータ71と熱交換されることにより冷媒が蒸発することによって、庫内空気から熱を奪い、庫内空気を冷却する。
【0018】
輸送用冷凍機4は、上述する輸送用冷凍機4が備える各電装部品を制御するための制御装置20を備えている。制御装置20は、トラクタ2が備える電装系統を制御するとともに、輸送用冷凍機4が備える各電装部品の電気的な接続状態及び駆動状態を制御する。
【0019】
(制御装置について)
図2は、本開示の実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。制御装置20は、
図2に示すように、コンピュータ(計算機システム)を有し、例えば、CPU21、CPU21が実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための補助記憶装置(ROM)22、各プログラム実行時のワーク領域として機能する主記憶装置(RAM)23、ネットワークに接続するための通信インターフェース24、外部機器からの入力を受付けるとともに、制御装置20と通信可能な外部機器へ制御指令を出力する入出力部25等を備えている。これら各部は、例えば、バス26を介して接続されている。補助記憶装置22は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が一例として挙げられる。
【0020】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で補助記憶装置22に記憶されており、このプログラムをCPU21が主記憶装置23に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、補助記憶装置22に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0021】
図3は、本開示の実施形態に係る制御装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
図3に示すように、制御装置20は、制御部27、計時部28、異常検知部29及び報知部30を備えている。なお、制御装置20が備えるこれらの構成部は互いに電気通信可能である。
【0022】
制御部27は、輸送用冷凍車両の運転条件及び輸送用冷凍機の運転目標に基づいて、輸送用冷凍機が備える各電装部品の操作量を演算又は決定し、輸送用冷凍機が備える各電装部品を制御する。また、制御部27は、制御装置20が備える後述の計時部28が計時した時間情報や、後述の異常検知部29が検知した異常の内容に応じて、後述のバックアップ制御を実行するか否かを判断する。
【0023】
計時部28は、現在の時刻、輸送用冷凍車両又は輸送用冷凍機が備える電装部品を制御するための時間情報や、後述のバックアップ制御に関連する時間情報等を計時する。例えば、時間情報は連続運転時間等であり、計時部28は、輸送用冷凍機が備えるメインコンプレッサの連続駆動時間を計時する。
なお、計時部28の計時結果は、制御部27や後述の異常検知部29に送信されてもよい。
【0024】
異常検知部29は、輸送用冷凍車両又は輸送用冷凍機の運転状態の目標値と、この運転状態の実測値との偏差を算出し、異常検知を行う。例えば、偏差が予め設定された閾値以上である場合に、輸送用冷凍機において異常が発生していると判定する。また、所定の運転状態における各制御量の目標値と、運転状態における各制御量の実測値とに基づいて異常の度合いを算出することにより異常検知を行うこととしてもよい。また、異常検知部29による異常の判定は、計時部28の計時結果に基づいて行われてもよい。異常検知部29が輸送用冷凍車両又は輸送用冷凍機の異常を検知した場合、検知結果は、制御部27へ送信される。
【0025】
報知部30は、異常検知部29により異常が検知された場合に、ドライバー又は作業者に輸送用冷凍車両又は輸送用冷凍機に異常があることを報知する。また、報知部30は、異常検知部29より輸送用冷凍車両又は輸送用冷凍機に異常がある旨の検知結果を受信した制御部27により、検知された異常の内容に対応して異なる異常報知を行うよう指令を受ける。
【0026】
異常の内容に対応した異なる異常報知とは、例えば、報知部30がブザーである場合には、異常を検知した場合に音を出力する。異常の内容に応じて、異なる音色の音を出力してもよい。また、報知部30が、警告灯や警告表示である場合には、異常の内容に応じて、警告灯や警告表示を出力する。警告灯や警告表示が明滅する場合は、異常内容により明滅の間隔を変更しよも良い。警告灯や警告表示が発行色を変更できる場合は、異常内容により発光色を変更してもよい。異常を報知する報知手段については、これらの例に限らず、輸送用冷凍車両及び輸送用冷凍機の利用環境に応じて、適宜変更されてもよい。また、複数の報知手段を組み合わせてもよい。
【0027】
(バックアップ制御について)
本実施形態における冷却システムは、上述の輸送用冷凍車両、輸送用冷凍機及び制御装置のそれぞれが備える構成を組み合わせることにより構成される。そして、該冷却システムは、メインコンプレッサの停止時においても、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく収納庫内の空気温度が低下することを抑制するものである。
【0028】
具体的には、輸送用冷凍機が備える制御装置に備えられた制御部は、メインコンプレッサの停止時又は故障時において、メインコンプレッサの代わりにサブコンプレッサを駆動して、輸送用冷凍機の冷凍能力を維持するバックアップ制御を行う。
メインコンプレッサが駆動する場合の冷凍サイクルでは、メインコンプレッサがコンデンサ及びエバポレータのそれぞれと接続されている(例えば、
図4)。また、メインコンプレッサが停止し、バックアップ制御が実行される場合、メインコンプレッサに代わってサブコンプレッサがコンデンサ及びエバポレータのそれぞれと接続されるように、冷凍サイクルの回路が切換えられる。
【0029】
また、バックアップ制御が実行される場合、メインコンプレッサと接続されていた発電機やインバータを含む発電モジュールが、サブコンプレッサと接続されるように、輸送用冷凍機の電力系統の接続状態が切換えられる。また、輸送用冷凍機が複数の発電機やインバータを備える場合、すなわち、複数の発電モジュールを備える場合、制御部は、バックアップ制御の実行とともに駆動する発電モジュールをサブコンプレッサに対応するものに切替えることとしてもよい。
【0030】
なお、電気的な接続状態や冷媒流路の接続状態の切換手段については、FET素子を有するインバータ制御や、冷媒が搬送される配管に設けられる四方弁の制御等、公知の技術を適宜採用すればよい。
【0031】
以下、
図4~
図10を参照して、本実施形態の冷却システムの制御内容を説明する。なお、
図4~
図10における各構成要素の接続線について、破線は電気系統の接続状態を示し、実線は冷凍サイクルの接続状態を示し、二点鎖線は未接続状態であることを示す。また、各構成要素を示すブロックの枠線が二点鎖線である構成要素については停止状態であることを示す。
【0032】
図4は、ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
図4に示すように、エンジン9とメインコンプレッサ5は、ベルトを介して連結されている。したがって、エンジン9が駆動することによって発生するエネルギーが、ベルトを介してメインコンプレッサ5へ伝達され、メインコンプレッサ5が駆動される。
【0033】
ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61と接続されたメインコンプレッサ5がエンジン9によって駆動される。この場合、メインコンプレッサ5によって冷凍サイクルを循環する冷媒が圧縮され、メインコンプレッサ5によって圧縮された冷媒がコンデンサ61へ供給される。このように、メインコンプレッサ5が駆動されることにより、冷凍サイクルの冷却機能を維持することができる。
なお、メインコンプレッサ5が駆動できる期間においては、発電機11及びインバータ12は停止している。
【0034】
図5は、ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが停止し、サブコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
なお、ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、エンジン9と発電機11は、ベルトを介して連結されている。そして、エンジン9が駆動することによって発生するエネルギーが、ベルトを介して発電機11へ伝達され、発電機11が駆動される。このように、発電機11がエンジン9によって駆動されることにより、発電が行われる。
【0035】
制御部は、ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサ5が停止し、サブコンプレッサが駆動する場合にバックアップ制御を実行する。この場合、冷凍サイクルの接続状態は、メインコンプレッサ5の代わりにサブコンプレッサ8がコンデンサ61及びエバポレータと接続されるように切替えられる。また、電気系統の接続状態は、メインコンプレッサ5の代わりにサブコンプレッサ8がインバータ12を介して発電機11と接続されるように切換えられる。
【0036】
このように、発電機11がエンジン9によって駆動されることにより、発電が行われる。そして、発電機11によって発電された電力が、インバータ12を介して、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61及びエバポレータのそれぞれと接続されたサブコンプレッサ8に供給される。この場合、停止したメインコンプレッサ5に代わって駆動するサブコンプレッサ8によって冷凍サイクルを循環する冷媒が圧縮され、サブコンプレッサ8によって圧縮された冷媒がコンデンサ61へ供給される。このように、メインコンプレッサ5が停止した場合においても冷凍サイクルの冷却機能を維持することができる。
【0037】
また、メインコンプレッサ5が停止する原因がメインコンプレッサ5の故障である場合には、異常検知部は、メインコンプレッサ5の異常を特定するとともに、制御部へ検知結果を送信する。
【0038】
制御部は、異常検知部が検知した異常結果に対応して、異常の内容ごとに異なる指令を報知部へ送信する。報知部は、制御部より受信した指令に対応した異常報知を行い、ドライバー又は作業者に輸送用冷凍車両又は輸送用冷凍機に異常があることを報知する。
【0039】
メインコンプレッサ5の故障例は、例えば、メインコンプレッサ5のマグネットクラッチ、その他の可動部が焼き付き等によって動かなくなる(ロック状態)場合が挙げられる。メインコンプレッサ5の駆動回路は、保護装置としてヒューズを備えている。メインコンプレッサ5の駆動により焼き付きが発生すると、メインコンプレッサ5の駆動回路に過電流が流れ、保護装置であるヒューズ内部の電線が溶解する。これにより、メインコンプレッサ5の駆動回路への電力供給が遮断され、メインコンプレッサ5が停止してしまう。
【0040】
また、他のメインコンプレッサ5の故障例では、メインコンプレッサ5が駆動しているが、メインコンプレッサ5が冷媒を圧縮できない場合が挙げられる。具体的には、例えば、メインコンプレッサ5が駆動しているにも関わらず収納庫内の温度が目標温度達しない場合、又は、メインコンプレッサ5から吐出される冷媒の圧力値が目標値と大きく異なる場合である。
【0041】
また、メインコンプレッサ5駆動時において、正常に駆動している場合は、メインコンプレッサ5の高圧側において冷媒が高圧化し、メインコンプレッサ5の低圧側において冷媒が低圧化する。これに対して、常用運転圧力範囲外に運転点が逸脱した場合、コンプレッサの保護のためメインコンプレッサ5を停止することがある。具体的には、例えば、外気温度が高いことで高圧圧力が高くなり、運転点がコンプレッサの常用運転範囲逸脱する場合が挙げられる。常用運転圧力範囲の逸脱は、車両エンジンの回転数が高いことでメインコンプレッサ5が必要以上に冷媒を圧縮することや、外気温度が低いことによる低圧圧力の逸脱も含む。
【0042】
次に、
図6は、ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の停車時において、冷却システムのメインコンプレッサが停止する場合の状態図である。
制御部は、ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の停車に伴って、冷却システムのメインコンプレッサ5が停止する場合にバックアップ制御を実行する。
【0043】
ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の停車時において、輸送用冷凍車両が停車する場合、エンジン9が停止するためメインコンプレッサ5を駆動することができない。そのため、メインコンプレッサ5に代わって、サブコンプレッサ8を駆動する。なお、サブコンプレッサ8は、輸送用冷凍車両又は輸送用冷凍機と外部接続可能な商用電源(外部電源)13と、インバータ12を介して接続される。
【0044】
制御部は、ベルト駆動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の停止に伴って、冷却システムのメインコンプレッサ5が停止する場合にバックアップ制御を実行する。この場合、冷凍サイクルの接続状態は、メインコンプレッサ5の代わりにサブコンプレッサ8がコンデンサ61及びエバポレータ71と接続されるように切替えられる。また、電気系統の接続状態は、サブコンプレッサ8がインバータ12を介して商用電源13と接続されるように切換えられる。
【0045】
このように、商用電源13から供給された電力が、インバータ12を介して、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61及びエバポレータ71のそれぞれと接続されたサブコンプレッサ8に供給される。この場合、停止したメインコンプレッサ5に代わって駆動するサブコンプレッサ8によって冷凍サイクルを循環する冷媒が圧縮され、サブコンプレッサ8によって圧縮された冷媒がコンデンサ61へ供給される。このように、輸送用冷凍車両の停車に伴って、メインコンプレッサ5が停止した場合においても冷凍サイクルの冷却機能を維持することができる。
【0046】
図7は、電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが駆動する場合の状態図である。なお、
図7は、輸送用冷凍機が備える発電機の台数が1台の場合の例である。
なお、電動式の輸送用冷凍機においては、エンジン9がメインコンプレッサ5と連結されていない。また、電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、エンジン9と発電機11は、ベルトを介して連結されている。そして、エンジン9が駆動することによって発生するエネルギーがベルトを介して、発電機11へ伝達され発電機11が駆動される。
【0047】
電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、エンジン9が駆動することによって発生するエネルギーがベルトを介して、発電機11へ伝達され、発電機11が駆動される。そして、発電機11によって発電された電力が、インバータ12を介して、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61及びエバポレータ71のそれぞれと接続されたメインコンプレッサ5へ供給される。
【0048】
このように、発電機11がエンジン9によって駆動されることにより、発電が行われる。そして、発電機11によって発電された電力が、インバータ12を介して、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61及びエバポレータ71のそれぞれと接続されたメインコンプレッサ5に供給される。この場合、メインコンプレッサ5によって冷凍サイクルを循環する冷媒が圧縮され、メインコンプレッサ5によって圧縮された冷媒がコンデンサ61へ供給される。このように、メインコンプレッサ5が駆動されることにより、冷凍サイクルの冷却機能を維持することができる。
【0049】
図8は、電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが停止する場合の状態図である。
なお、電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、エンジン9と発電機11は、ベルトを介して連結されている。そして、エンジン9が駆動することによって発生するエネルギーが、ベルトを介して発電機11へ伝達され、発電機11が駆動される。このように、発電機11がエンジン9によって駆動されることにより、発電が行われる。なお、
図8は、輸送用冷凍機が備える発電機の台数が1台の場合の例である。
【0050】
制御部は、電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサ5が停止する場合にバックアップ制御を実行する。この場合、冷凍サイクルの接続状態は、メインコンプレッサ5の代わりにサブコンプレッサ8がコンデンサ61及びエバポレータ71と接続されるように切替えられる。また、電気系統の接続状態は、メインコンプレッサ5の代わりにサブコンプレッサ8がインバータ12を介して発電機11と接続されるように切換えられる。
【0051】
このように、発電機11によって発電された電力が、インバータ12を介して、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61及びエバポレータ71のそれぞれと接続されたサブコンプレッサ8に供給される。この場合、停止したメインコンプレッサ5に代わって駆動するサブコンプレッサ8によって冷凍サイクルを循環する冷媒が圧縮され、サブコンプレッサ8によって圧縮された冷媒がコンデンサ61へ供給される。このように、メインコンプレッサ5が停止した場合においても冷凍サイクルの冷却機能を維持することができる。
【0052】
図9は、インバータ及び発電機を2台備えた電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが駆動する場合の状態図である。
図9に示すように、輸送用冷凍機が発電機及びインバータを2台備える場合、例えば、1台目のメイン発電機11’及びメインインバータ12’はメインコンプレッサ5に対応するものであり、2台目の発電機及びインバータであるサブ発電機15及びサブインバータ16はサブコンプレッサ8にのみ対応するものである。なお、サブインバータ16及びサブ発電機15は、それぞれメインインバータ12’及びメイン発電機11’と同じ機能を有するものである。また、その他の構成については、
図7と同様である。
【0053】
発電機及びインバータを2台備える電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、エンジン9が駆動することによって発生するエネルギーがベルトを介して、メイン発電機11’へ伝達され、メイン発電機11’が駆動される。そして、メイン発電機11’によって発電された電力が、メインインバータ12’を介して、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61及びエバポレータ71のそれぞれと接続されたメインコンプレッサ5へ供給される。なお、メインコンプレッサ5、メインインバータ12’及びメイン発電機11’が駆動できる期間においては、サブコンプレッサ8、サブインバータ16及びサブ発電機15は停止状態となる。
【0054】
このように、メイン発電機11’がエンジン9によって駆動されることにより、発電が行われる。そして、メイン発電機11’によって発電された電力が、メインインバータ12’を介して、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61及びエバポレータ71のそれぞれと接続されたメインコンプレッサ5に供給される。この場合、メインコンプレッサ5によって冷凍サイクルを循環する冷媒が圧縮され、メインコンプレッサ5によって圧縮された冷媒がコンデンサ61へ供給される。このように、メインコンプレッサ5が駆動されることにより、冷凍サイクルの冷却機能を維持することができる。
【0055】
図10は、インバータ及び発電機を2台備えた電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサが停止する場合の状態図である。
以下に説明するように、インバータ及び発電機を2台備えた電動式の輸送用冷凍機疎備えた輸送用冷凍車両において、バックアップ制御を行う場合、メインコンプレッサ5の代わりにサブコンプレッサ8を駆動するのみに限らず、メインインバータ12’及びメイン発電機11’の代わりに、サブコンプレッサ8と接続されたサブインバータ16及びサブ発電機15を駆動する。
【0056】
制御部は、発電機及びインバータを2台備える電動式の輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の走行時において、冷却システムのメインコンプレッサ5が停止する場合にバックアップ制御を実行する。この場合、冷凍サイクルの接続状態は、メインコンプレッサ5の代わりにサブコンプレッサ8がコンデンサ61及びエバポレータ71と接続されるように切替えられる。また、電気系統の接続状態は、メインコンプレッサ5、メインインバータ12’、及びベルトを介してエンジン9と連結されるメイン発電機11’が停止状態となり、これらに代わって、サブコンプレッサ8、サブインバータ16、及びベルトを介してエンジン9と連結されるサブ発電機15と接続されるように切換えられる。
【0057】
このように、サブ発電機15がエンジン9によって駆動されることにより、発電が行われる。そして、サブ発電機15によって発電された電力が、サブインバータ16を介して、冷媒搬送が可能なようにコンデンサ61及びエバポレータ71のそれぞれと接続されたサブコンプレッサ8に供給される。この場合、停止したメインコンプレッサ5、メインインバータ12’及びメイン発電機11’に代わって、サブコンプレッサ8、サブインバータ16及びサブ発電機15が駆動する。そして、サブコンプレッサ8によって冷凍サイクルを循環する冷媒が圧縮され、サブコンプレッサ8によって圧縮された冷媒がコンデンサ61へ供給される。このように、輸送用冷凍機が、予備の構成を備えていることにより、メインコンプレッサ5、メインインバータ12’及びメイン発電機11’のいずれかが停止した場合においても冷凍サイクルの冷却機能を維持することができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、メインコンプレッサの停止時にバックアップ制御が行われる例を説明したが、この例に限らず、メインインバータ12’又はメイン発電機11’が停止した際にバックアップ制御を行うこととしてもよい。また、メインコンプレッサ5、メインインバータ12’及びメイン発電機11’のいずれかが停止した時に、停止した機器に対応する機器のみが代替的に駆動されるように制御されてもよい。この場合、冷却システムの電気系統の接続状態が各機器の接続状態を適宜切替えられるように設計される。
【0059】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の冷却システムにおいて、制御装置20に備えられた制御部27は、メインコンプレッサ5が停止する場合にバックアップ制御を実行する。バックアップ制御が実行されることにより、メインコンプレッサ5が駆動出来ない場合においても、サブコンプレッサ8が駆動することにより、冷凍サイクルにおける冷媒の圧縮が賄われる。すなわち、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく冷凍能力が低下することを抑制することができるため、冷却対象の温度及び品質を維持することができる。したがって、輸送に携わるユーザの信頼性を向上することができる。また、新たに別の冷凍サイクルを追加する必要がないため、イニシャルコスト、ランニングコスト及び車両重量が増加することを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態の冷却システムにおいて、制御装置20は、メインコンプレッサ5の異常を検知する異常検知部29を備えることとしてもよい。制御部27は、異常検知部29がメインコンプレッサ5の異常を検知した場合に、メインコンプレッサ5に代わってサブコンプレッサ8を運転する。制御装置20が異常検知部29を備えることにより、メインコンプレッサ5に異常が発生した場合に異常検知部29によって直ちに異常を検知できるとともに、メインコンプレッサ5が正常に運転できない場合には、直ちにサブコンプレッサ8を運転することにより、冷凍サイクルの能力低下を抑制し、冷却対象の温度及び品質を維持することができる。
【0061】
また、本実施形態の冷却システムにおいて、制御装置20は、異常検知部29が検知するメインコンプレッサ5の異常の内容に応じて異なる異常報知を行う報知部30を備えることとしてもよい。これにより、冷却システムが搭載された輸送用冷凍車両1の利用者又はメンテナンス作業者は、メインコンプレッサ5の異常の内容を迅速に把握及び修理をすることができるため、メインコンプレッサ5の復旧を迅速に行うことができる。
メインコンプレッサ5の異常の内容に応じた異常報知とは、例えば、報知部30がブザーである場合には、異常の内容に応じて音を出力する。ブザーが出力する音は異常内容に応じて異なる音色の音を出力してもよい。また、報知部30が、警告灯や警告表示である場合には、異常の内容に応じて、警告灯や警告表示を行う。異常内容に応じて、警告灯の明滅の間隔および/または発光色を変更してもよい。また、異常内容に応じて警告表示は明滅の間隔および/または表示を変更してもよい。
【0062】
また、本実施形態の冷却システムにおいて、輸送用冷凍車両1の停車時において、商用電源13から供給される電力を用いてサブコンプレッサ8が駆動されることとしてもよい。輸送用冷凍車両1の停止時において、商用電源13の電力を用いてサブコンプレッサ8を駆動することにより、輸送用冷凍車両1に搭載しているバッテリの蓄電量が低減することを抑制することができる。さらに、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく冷凍能力が低下することを抑制することができるため、冷却対象の温度及び品質を維持することができる。
【0063】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0064】
上述した実施形態に記載の冷却システム、これを備えた輸送用冷凍機及び冷却システムの制御方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る冷却システムは、車両走行用のエンジン(9)と、前記エンジンの動力によって駆動する発電機(11)とを備える輸送用冷凍車両(1)に搭載可能な輸送用冷凍機(4)の冷却システムであって、前記エンジンの動力又は前記発電機から供給される電力によって駆動されて冷媒を圧縮するメインコンプレッサ(5)と、冷媒を凝縮させるコンデンサ(61)と、冷媒を蒸発させるエバポレータ(71)とを備える冷凍サイクルと、前記発電機から供給される電力によって駆動されるとともに、前記冷凍サイクルに接続されたサブコンプレッサ(8)と、前記メインコンプレッサの停止時において、前記メインコンプレッサに代わって前記サブコンプレッサを運転するように制御する制御部(27)と、を備える。
【0065】
本開示に係る冷却システムによれば、制御部は、メインコンプレッサの停止時において、メインコンプレッサに代わってサブコンプレッサを運転する。具体的には、サブコンプレッサは、メインコンプレッサ停止時において、発電機から供給される電力を用いて駆動する。これにより、メインコンプレッサの停止時においても、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく冷凍能力が低下することを抑制することができるため、冷却対象の温度及び品質を維持することができる。したがって、輸送に携わるユーザの信頼性を向上することができる。また、新たに別の冷凍サイクルを追加する必要がないため、イニシャルコスト、ランニングコスト及び車両重量が増加することを抑制することができる。
【0066】
本開示の第2態様に係る冷却システムは、前記第1態様において、前記メインコンプレッサの異常を検知する異常検知部(29)を備え、前記制御部は、前記異常検知部が前記メインコンプレッサの異常を検知した場合に、前記メインコンプレッサに代わって前記サブコンプレッサを運転する。
【0067】
本開示に係る冷却システムによれば、メインコンプレッサの異常を検知する異常検知部を備え、制御部は、異常検知部がメインコンプレッサの異常を検知した場合に、メインコンプレッサに代わってサブコンプレッサを運転する。これにより、メインコンプレッサに異常が発生した場合に異常検知部によって直ちに異常を検知できるとともに、メインコンプレッサが正常に運転できない場合には、直ちにサブコンプレッサを運転することにより、冷凍サイクルの能力低下を抑制し、冷却対象の温度及び品質を維持することができる。
【0068】
本開示の第3態様に係る冷却システムは、前記第2態様において、前記異常検知部によって検知された前記メインコンプレッサの異常の内容に応じて、異なる異常報知を行う報知部(30)を備える。
【0069】
本開示に係る冷却システムによれば、メインコンプレッサの異常の内容に応じて異なる異常報知を行う報知部を備える。これにより、冷却システムが搭載された車両の利用者又はメンテナンス作業者は、メインコンプレッサの異常の内容を迅速に把握及び修理をすることができるため、メインコンプレッサの復旧を迅速に行うことができる。メインコンプレッサの異常の内容としては、例えば、制御条件としてはメインコンプレッサの低圧側圧力が低下するはずであるにも関わらず、メインコンプレッサの低圧側圧力が低下していない場合等が挙げられる。
【0070】
本開示の第4態様に係る冷却システムは、前記第1態様から前記第3態様のいずれかにおいて、前記サブコンプレッサは、輸送用冷凍車両停車時において、外部電源(13)から供給される電力を用いて駆動される。
【0071】
本開示に係る冷却システムによれば、輸送用冷凍車両停車時において、外部電源から供給される電力を用いてサブコンプレッサが駆動される。例えば、外部電源は、発電機が有する発電機の代わりにサブコンプレッサへ電力を供給することができる後付け可能な商用電源である。輸送用冷凍車両停止時において、外部電源の電力を用いてサブコンプレッサを駆動することにより、輸送用冷凍車両に搭載しているバッテリの蓄電量が低減することを抑制することができるとともに、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく冷凍能力が低下することを抑制することができるため、冷却対象の温度及び品質を維持することができる。
【0072】
本開示の第5態様に係る冷却システムは、前記第1態様から前記第4態様のいずれかにおいて、前記サブコンプレッサへ電力供給可能であるとともに、前記エンジンの動力によって駆動するサブ発電機(15)を備え、前記制御部は、前記発電機の停止時において、前記発電機に代わって前記サブ発電機を運転するように制御する。
【0073】
本開示に係る冷却システムによれば、発電機の他にサブ発電機を備え、発電機の停止時において、発電機に代わってサブ発電機を運転する。これにより、発電機に異常が発生し所望の機能を満たせない場合においても、発電機に代わってサブ発電機を運転することにより、サブコンプレッサに電力を供給することができる。これにより、メインコンプレッサ及び発電機の両方が停止した場合においても、サブコンプレッサを駆動することができる。したがって、新たに別の冷凍サイクルを追加することなく冷凍能力が低下することを抑制することができるため、冷却対象の温度及び品質を維持することができる。
【0074】
本開示の第6態様に係る輸送用冷凍機によれば、前記第1態様から前記第5態様のいずれかの冷却システムを備える。
【0075】
本開示に係る冷却システムの制御方法は、車両走行用のエンジン(9)と、前記エンジンの動力によって駆動する発電機(11)とを備える輸送用冷凍車両に搭載可能な輸送用冷凍機の冷却システムの制御方法であって、前記冷却システムは、前記エンジンの動力又は前記発電機から供給される電力によって駆動されて冷媒を圧縮するメインコンプレッサ(5)と、冷媒を凝縮させるコンデンサ(61)と、冷媒を蒸発させるエバポレータ(71)とを備える冷凍サイクルと、前記発電機から供給される電力によって駆動されるとともに、前記冷凍サイクルに接続されたサブコンプレッサ(8)と、を備え、前記メインコンプレッサの停止時において、前記メインコンプレッサに代わって前記サブコンプレッサを運転するように制御する。
【符号の説明】
【0076】
1 輸送用冷凍車両
2 トラクタ
3 収納庫
4 輸送用冷凍機
5 メインコンプレッサ
6 コンデンシングユニット
7 エバポレータユニット
8 サブコンプレッサ
9 エンジン
10 発電モジュール
11 発電機
11’ メイン発電機
12 インバータ
12’ メインインバータ
13 商用電源
14 膨張弁
15 サブ発電機
16 サブインバータ
20 制御装置
21 CPU
22 補助記憶装置
23 主記憶装置
24 通信インターフェース
25 入出力部
26 バス
27 制御部
28 計時部
29 異常検知部
30 報知部
61 コンデンサ
71 エバポレータ