(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092556
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】電子機器およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240701BHJP
G01N 1/02 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
G01N1/02 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208586
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】302031454
【氏名又は名称】東海電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】石澤 毅
(72)【発明者】
【氏名】大平 健治
【テーマコード(参考)】
2G052
5G503
【Fターム(参考)】
2G052AA34
2G052AB13
2G052AD02
2G052BA14
2G052CA12
2G052GA21
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503EA08
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】 電池の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる電子機器およびプログラムを提供する。
【解決手段】 アルコール測定装置は、電池によって出力された電気を消費することが可能である吸引ポンプと、電池の消耗の状態を判定する電池状態判定部とを備え、電池状態判定部は、電池によって出力された電気を吸引ポンプが消費中である状態としての高負荷状態での電池の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し(S83~S88)、高負荷時判定において、高負荷時判定のための時間としての高負荷時判定用時間以内に、高負荷状態での電池の電圧が、高負荷時判定のための電圧としての高負荷時判定用電圧未満になった場合に(S85でNO)、電池が特定の程度以上に消耗していると判定し(S90)、電池の消耗の状態の判定の結果を通知することを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電池によって出力された電気によって動作する電子機器であって、
前記電池によって出力された電気を消費することが可能である特定の負荷と、
前記電池の消耗の状態を判定する電池状態判定部と
を備え、
前記電池状態判定部は、前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷が消費中である状態としての高負荷状態での前記電池の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し、
前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記高負荷時判定のための時間としての高負荷時判定用時間以内に、前記高負荷状態での前記電池の電圧が、前記高負荷時判定のための電圧としての高負荷時判定用電圧未満になった場合に、前記電池が特定の程度以上に消耗していると判定し、
前記電池状態判定部は、前記電池の消耗の状態の判定の結果を通知することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電池状態判定部は、前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷が消費中ではない状態としての低負荷状態での前記電池の消耗の状態の判定としての低負荷時判定を前記高負荷時判定より前に実行し、
前記電池状態判定部は、前記低負荷時判定において、前記低負荷状態での前記電池の電圧が、前記低負荷時判定のための電圧としての低負荷時判定用電圧未満である場合に、前記電池が特定の程度以上に消耗していると判定して、前記高負荷時判定を実行しないことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
直列に接続された複数の前記電池によって出力された電気によって動作し、前記電池が着脱可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
特定の動作を実行する動作実行部を備え、
前記動作実行部は、前記高負荷時判定において前記高負荷状態での前記電池の電圧が前記高負荷時判定用時間以内に前記高負荷時判定用電圧未満にならなかった場合に、前記特定の動作を実行し、
前記動作実行部は、前記特定の動作において前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷に消費させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記高負荷時判定用時間は、前記動作実行部が前記特定の動作において前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷に消費させる継続時間未満であることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は、呼気中のアルコール濃度を測定するアルコール測定装置であって、
前記特定の負荷は、電気が供給されることによって呼気を吸引する吸引ポンプであり、
前記アルコール測定装置は、前記吸引ポンプによって吸引された呼気中のアルコール濃度を検出するアルコールセンサーを備え、
前記特定の動作は、前記吸引ポンプによって呼気を吸引し、前記吸引ポンプによって吸引された呼気中のアルコール濃度を前記アルコールセンサーによって検出する動作であることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に前記吸引ポンプに呼気を吸引させないことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記吸引ポンプは、前記吸引ポンプが呼気を吸引するための最低の電圧としての駆動最低電圧以上の電圧の電気が供給されることによって呼気を吸引し、
前記動作実行部は、前記特定の動作において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に、前記駆動最低電圧以上の電圧の電気を前記吸引ポンプに供給することによって、前記吸引ポンプに呼気を吸引させ、
前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に、前記駆動最低電圧未満の電圧の電気を前記吸引ポンプに供給することによって、前記吸引ポンプに呼気を吸引させないことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記吸引ポンプは、前記吸引ポンプが呼気を吸引するための最低の電圧としての駆動最低電圧以上の電圧としての特定の電圧の電気が供給され、
前記吸引ポンプは、前記特定の電圧の電気が供給された場合に前記吸引ポンプが呼気を吸引するための最低の時間としての駆動最低時間以上、前記特定の電圧の電気が供給されることによって呼気を吸引し、
前記動作実行部は、前記特定の動作において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に、前記特定の電圧の電気を、前記駆動最低時間以上、前記吸引ポンプに供給することによって、前記吸引ポンプに呼気を吸引させ、
前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に、前記特定の電圧の電気を、前記駆動最低時間未満、前記吸引ポンプに供給することによって、前記吸引ポンプに呼気を吸引させないことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
少なくとも1つの電池によって出力された電気によって動作する電子機器に、前記電池の消耗の状態を判定する電池状態判定部を実現させ、
前記電子機器は、前記電池によって出力された電気を消費することが可能である特定の負荷を備え、
前記電池状態判定部は、前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷が消費中である状態としての高負荷状態での前記電池の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し、
前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記高負荷時判定のための時間としての高負荷時判定用時間以内に、前記高負荷状態での前記電池の電圧が、前記高負荷時判定のための電圧としての高負荷時判定用電圧未満になった場合に、前記電池が特定の程度以上に消耗していると判定し、
前記電池状態判定部は、前記電池の消耗の状態の判定の結果を通知することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池によって出力された電気によって動作する電子機器およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池によって出力された電気によって動作する電子機器として、呼気中のアルコール濃度を測定するアルコール測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたアルコール測定装置においては、アルコール測定装置が正常に動作するために必要な電圧を、電池の電圧が電池の消耗によって下回ってしまうことによって、正常に動作することができない場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、電池の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる電子機器およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、少なくとも1つの電池によって出力された電気によって動作する電子機器であって、前記電池によって出力された電気を消費することが可能である特定の負荷と、前記電池の消耗の状態を判定する電池状態判定部とを備え、前記電池状態判定部は、前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷が消費中である状態としての高負荷状態での前記電池の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し、前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記高負荷時判定のための時間としての高負荷時判定用時間以内に、前記高負荷状態での前記電池の電圧が、前記高負荷時判定のための電圧としての高負荷時判定用電圧未満になった場合に、前記電池が特定の程度以上に消耗していると判定し、前記電池状態判定部は、前記電池の消耗の状態の判定の結果を通知することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の電子機器は、電池によって出力された電気を特定の負荷が消費中である状態としての高負荷状態での電池の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し、高負荷時判定において、高負荷時判定のための時間としての高負荷時判定用時間以内に、高負荷状態での電池の電圧が、高負荷時判定のための電圧としての高負荷時判定用電圧未満になった場合に、電池が特定の程度以上に消耗していると判定し、電池の消耗の状態の判定の結果を通知するので、電池の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【0008】
本発明の電子機器において、前記電池状態判定部は、前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷が消費中ではない状態としての低負荷状態での前記電池の消耗の状態の判定としての低負荷時判定を前記高負荷時判定より前に実行し、前記電池状態判定部は、前記低負荷時判定において、前記低負荷状態での前記電池の電圧が、前記低負荷時判定のための電圧としての低負荷時判定用電圧未満である場合に、前記電池が特定の程度以上に消耗していると判定して、前記高負荷時判定を実行しなくても良い。
【0009】
この構成により、本発明の電子機器は、電池によって出力された電気を特定の負荷が消費中ではない状態としての低負荷状態での電池の消耗の状態の判定としての低負荷時判定を高負荷時判定より前に実行し、低負荷時判定において、低負荷状態での電池の電圧が、低負荷時判定のための電圧としての低負荷時判定用電圧未満である場合に、電池が特定の程度以上に消耗していると判定して、高負荷時判定を実行しないので、電池が特定の程度以上に消耗していると低負荷時判定において判定した場合に、電池によって出力された電気を特定の負荷が消費することによって電池が消耗する高負荷時判定の不必要な実行を回避することができる。
【0010】
本発明の電子機器は、直列に接続された複数の前記電池によって出力された電気によって動作し、前記電池が着脱可能であっても良い。
【0011】
この構成により、本発明の電子機器は、電池が着脱可能であるので、直列に接続された複数の電池の中に、残量の異なる電池が混在する可能性があるが、直列に接続された複数の電池の中に、残量の異なる電池が混在している場合であっても、高負荷時判定によって電池の消耗の状態を判定することができる。
【0012】
本発明の電子機器は、特定の動作を実行する動作実行部を備え、前記動作実行部は、前記高負荷時判定において前記高負荷状態での前記電池の電圧が前記高負荷時判定用時間以内に前記高負荷時判定用電圧未満にならなかった場合に、前記特定の動作を実行し、前記動作実行部は、前記特定の動作において前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷に消費させても良い。
【0013】
この構成により、本発明の電子機器は、特定の動作において電池によって出力された電気を消費する負荷を、高負荷時判定においても使用するので、高負荷時判定において電池によって出力された電気を消費するための専用の負荷を備えなくても、電池の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【0014】
本発明の電子機器において、前記高負荷時判定用時間は、前記動作実行部が前記特定の動作において前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷に消費させる継続時間未満であっても良い。
【0015】
この構成により、本発明の電子機器は、高負荷時判定において電池によって出力された電気を特定の負荷に消費させる時間である高負荷時判定用時間が、特定の動作において電池によって出力された電気を特定の負荷に消費させる継続時間未満であるので、電池によって出力された電気を特定の負荷が消費することによって電池が消耗する高負荷時判定による電池の消耗を低減することができる。
【0016】
本発明の電子機器において、前記電子機器は、呼気中のアルコール濃度を測定するアルコール測定装置であって、前記特定の負荷は、電気が供給されることによって呼気を吸引する吸引ポンプであり、前記アルコール測定装置は、前記吸引ポンプによって吸引された呼気中のアルコール濃度を検出するアルコールセンサーを備え、前記特定の動作は、前記吸引ポンプによって呼気を吸引し、前記吸引ポンプによって吸引された呼気中のアルコール濃度を前記アルコールセンサーによって検出する動作であっても良い。
【0017】
この構成により、本発明の電子機器は、特定の動作において電池によって出力された電気を消費する吸引ポンプを、高負荷時判定においても使用するので、高負荷時判定において電池によって出力された電気を消費するための専用の負荷を備えなくても、電池の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【0018】
本発明の電子機器において、前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に前記吸引ポンプに呼気を吸引させなくても良い。
【0019】
この構成により、本発明の電子機器は、高負荷時判定において電池によって出力された電気を吸引ポンプに消費させる場合に吸引ポンプに呼気を吸引させないので、吸引ポンプによって吸引された呼気中のアルコール濃度がアルコールセンサーによって検出されることが高負荷時判定において生じることを防止することができる。
【0020】
本発明の電子機器において、前記吸引ポンプは、前記吸引ポンプが呼気を吸引するための最低の電圧としての駆動最低電圧以上の電圧の電気が供給されることによって呼気を吸引し、前記動作実行部は、前記特定の動作において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に、前記駆動最低電圧以上の電圧の電気を前記吸引ポンプに供給することによって、前記吸引ポンプに呼気を吸引させ、前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に、前記駆動最低電圧未満の電圧の電気を前記吸引ポンプに供給することによって、前記吸引ポンプに呼気を吸引させなくても良い。
【0021】
この構成により、本発明の電子機器は、高負荷時判定において、電池によって出力された電気を吸引ポンプに消費させる場合に、吸引ポンプの駆動最低電圧未満の電圧の電気を吸引ポンプに供給することによって、吸引ポンプに呼気を吸引させないので、高負荷時判定において吸引ポンプが誤作動によって呼気を吸引する可能性を低減することができる。
【0022】
本発明の電子機器において、前記吸引ポンプは、前記吸引ポンプが呼気を吸引するための最低の電圧としての駆動最低電圧以上の電圧としての特定の電圧の電気が供給され、前記吸引ポンプは、前記特定の電圧の電気が供給された場合に前記吸引ポンプが呼気を吸引するための最低の時間としての駆動最低時間以上、前記特定の電圧の電気が供給されることによって呼気を吸引し、前記動作実行部は、前記特定の動作において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に、前記特定の電圧の電気を、前記駆動最低時間以上、前記吸引ポンプに供給することによって、前記吸引ポンプに呼気を吸引させ、前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記電池によって出力された電気を前記吸引ポンプに消費させる場合に、前記特定の電圧の電気を、前記駆動最低時間未満、前記吸引ポンプに供給することによって、前記吸引ポンプに呼気を吸引させなくても良い。
【0023】
この構成により、本発明の電子機器は、高負荷時判定において、電池によって出力された電気を吸引ポンプに消費させる場合に、吸引ポンプの駆動最低電圧以上の特定の電圧の電気を、駆動最低時間未満、吸引ポンプに供給することによって、吸引ポンプに呼気を吸引させないので、高負荷時判定において吸引ポンプが誤作動によって呼気を吸引する可能性を低減することができる。
【0024】
本発明のプログラムは、少なくとも1つの電池によって出力された電気によって動作する電子機器に、前記電池の消耗の状態を判定する電池状態判定部を実現させ、前記電子機器は、前記電池によって出力された電気を消費することが可能である特定の負荷を備え、前記電池状態判定部は、前記電池によって出力された電気を前記特定の負荷が消費中である状態としての高負荷状態での前記電池の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し、前記電池状態判定部は、前記高負荷時判定において、前記高負荷時判定のための時間としての高負荷時判定用時間以内に、前記高負荷状態での前記電池の電圧が、前記高負荷時判定のための電圧としての高負荷時判定用電圧未満になった場合に、前記電池が特定の程度以上に消耗していると判定し、前記電池状態判定部は、前記電池の消耗の状態の判定の結果を通知することを特徴とする。
【0025】
この構成により、本発明のプログラムを実行する電子機器は、電池によって出力された電気を特定の負荷が消費中である状態としての高負荷状態での電池の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し、高負荷時判定において、高負荷時判定のための時間としての高負荷時判定用時間以内に、高負荷状態での電池の電圧が、高負荷時判定のための電圧としての高負荷時判定用電圧未満になった場合に、電池が特定の程度以上に消耗していると判定し、電池の消耗の状態の判定の結果を通知するので、電池の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の電子機器およびプログラムは、電池の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るアルコール測定装置のブロック図である。
【
図2】
図1に示すアルコール測定装置の電気回路図の一部を示す図である。
【
図3】電池から出力された電気の、
図1に示すアルコール測定装置における主な流れを示す図である。
【
図4】(a)ベローズポンプが圧縮されていない状態での
図1に示す吸引ポンプの平面図である。 (b)ベローズポンプが圧縮されている状態での
図1に示す吸引ポンプの平面図である。
【
図5】
図1に示すアルコール測定装置の動作のフローチャートである。
【
図6】
図5に示す電池状態判定処理のフローチャートである。
【
図7】(a)
図6に示す電池状態判定処理において合格と判定される場合の電池の電圧の推移の一例を示す図である。 (b)
図6に示す電池状態判定処理において不合格と判定される場合の電池の電圧の推移の一例を示す図である。
【
図8】(a)
図6に示す電池状態判定処理において不合格と判定される場合の電池の電圧の推移の、
図7(b)に示す例とは異なる一例を示す図である。 (b)
図6に示す電池状態判定処理において不合格と判定される場合の電池の電圧の推移の、
図7(b)および
図8(a)に示す例とは異なる一例を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態に係るアルコール測定装置のブロック図である。
【
図10】電池から出力された電気の、
図9に示すアルコール測定装置における主な流れを示す図である。
【
図11】
図9に示すアルコール測定装置の動作のフローチャートである。
【
図12】本発明の第3の実施の形態に係るアルコール測定装置のブロック図である。
【
図13】電池から出力された電気の、
図12に示すアルコール測定装置における主な流れを示す図である。
【
図14】
図12に示すアルコール測定装置の動作のフローチャートである。
【
図15】
図14に示す電池状態判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器としてのアルコール測定装置の構成について説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係るアルコール測定装置10のブロック図である。
【0031】
図1に示すように、アルコール測定装置10は、利用者によって交換可能である電池11と、電池11から電気が供給されて特定の電圧(以下「電源電圧」という。)の電気を出力する安定化電源回路である電源回路12と、種々の操作が入力される例えばボタンなどの操作デバイスである操作部13と、種々の情報を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部14と、被測定者によって吹き込まれた呼気の強さとしての呼気圧を検出する呼気圧センサー15と、被測定者によって吹き込まれた呼気を吸引する吸引ポンプ30と、吸引ポンプ30を駆動させるための電圧(以下「駆動電圧」という。)の電気を生成する動作(以下「駆動電圧生成動作」という。)を実行する駆動電圧生成回路16と、吸引ポンプ30を駆動する動作(以下「駆動動作」という。)を実行する駆動回路17と、吸引ポンプ30によって吸引された呼気中のアルコール濃度を検出するアルコールセンサー18と、各種のデータを記憶している半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部19と、アルコール測定装置10全体を制御する制御部20とを備えている。
【0032】
アルコール測定装置10は、電池11によって出力された電気によって動作する。
【0033】
吸引ポンプ30は、吸引ポンプ30が呼気を吸引するための最低の電圧としての駆動最低電圧以上の電圧の電気が供給されることによって呼気を吸引する。吸引ポンプ30の駆動最低電圧は、電源回路12から出力される電源電圧より高い。吸引ポンプ30は、電池11によって出力された電気を消費することが可能であり、本発明における特定の負荷を構成している。
【0034】
駆動電圧生成回路16は、電源回路12から電気が供給されて駆動最低電圧より高い駆動電圧の電気を出力する昇圧回路16aと、昇圧回路16aから供給された、駆動電圧の電気を蓄えるキャパシター16bとを備えている。
【0035】
アルコールセンサー18は、例えば、気体中のアルコールを燃料にした発電による電気の発生量に基づいて気体中のアルコール濃度を検出する燃料電池センサーでも良い。アルコールセンサー18は、吸引ポンプ30によって呼気が吸引された場合に、吸引ポンプ30によって吸引された呼気中のアルコール濃度を検出する位置に配置されている。
【0036】
記憶部19は、アルコール測定装置10の動作を制御するためのプログラム19aを記憶している。
【0037】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、制御部20のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部20のCPUは、記憶部19または制御部20のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0038】
制御部20は、プログラム19aを実行することによって、特定の動作、すなわち、吸引ポンプ30によって呼気を吸引し、吸引ポンプ30によって吸引された呼気中のアルコール濃度をアルコールセンサー18によって検出する動作を実行する動作実行部20aと、電池11の消耗の状態を判定する電池状態判定部20bとを実現する。
【0039】
図2は、アルコール測定装置10の電気回路図の一部を示す図である。
【0040】
アルコール測定装置10は、
図2に示すように、直列に接続された2つの電池11a、11bを、電池11として備えるようになっている。電池11a、11bは、アルコール測定装置10に対して着脱可能である。電池11a、11bは、例えば、単3形の電池でも良い。電池11a、11bは、例えば、アルカリ乾電池などの乾電池でも良いし、充電池でも良い。
【0041】
図3は、電池11から出力された電気の、アルコール測定装置10における主な流れを示す図である。
【0042】
図3に示すように、電池11から出力された電気は、電源回路12に供給される。電源回路12に供給された電気は、電源回路12によって電圧が電源電圧に変更された後、電源回路12から表示部14、駆動電圧生成回路16および制御部20に供給される。駆動電圧生成回路16に供給された電気は、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中である場合に、昇圧回路16aによって駆動電圧に変更された後、キャパシター16bに蓄えられる。駆動回路17が駆動動作の実行中である場合にキャパシター16bに電気が蓄えられているとき、キャパシター16bに蓄えられた電気は、駆動回路17を介して吸引ポンプ30に供給される。駆動回路17が駆動動作の実行中である場合にキャパシター16bに電気が蓄えられていないとき、駆動電圧生成回路16に供給された電気は、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中であるか否かにかかわらず、駆動電圧生成回路16および駆動回路17を介して吸引ポンプ30に供給される。
【0043】
図4(a)は、ベローズポンプ31が圧縮されていない状態での吸引ポンプ30の平面図である。
図4(b)は、ベローズポンプ31が圧縮されている状態での吸引ポンプ30の平面図である。
【0044】
図4に示すように、吸引ポンプ30は、ゴムによって形成されているベローズポンプ31と、ベローズポンプ31を押すためのプッシュソレノイド32と、ベローズポンプ31に対するプッシュソレノイド32の位置を固定するための枠33とを備えている。プッシュソレノイド32は、一端がベローズポンプ31に連結されたプッシュプランジャー32aと、プッシュプランジャー32aの他端に配置されたスプリング32bとを備えている。
【0045】
吸引ポンプ30は、プッシュソレノイド32に電気が供給されていない場合、
図4(a)に示すように、ベローズポンプ31が圧縮されていない状態になっている。
【0046】
プッシュソレノイド32は、
図4(a)に示す状態において、駆動最低電圧以上の電圧の電気が供給されると、プッシュプランジャー32aをベローズポンプ31側に押し出す。プッシュプランジャー32aがベローズポンプ31側に押し出されると、ベローズポンプ31は、プッシュプランジャー32aに押されて圧縮される。したがって、吸引ポンプ30は、
図4(b)に示すように、ベローズポンプ31が圧縮されている状態になる。
【0047】
プッシュソレノイド32は、
図4(b)に示す状態において、電気が供給されなくなると、スプリング32bの付勢力と、ベローズポンプ31のゴムの反力とによって、プッシュプランジャー32aを元の位置に戻す。したがって、吸引ポンプ30は、
図4(a)に示す状態になる。
【0048】
吸引ポンプ30は、
図4(b)に示す状態から
図4(a)に示す状態に移行する場合に、ベローズポンプ31によって呼気を吸引する。
【0049】
次に、アルコール測定装置10の動作について説明する。
【0050】
図5は、アルコール測定装置10の動作のフローチャートである。
【0051】
被測定者は、電源をオンにする指示(以下「電源オン指示」という。)を操作部13に入力することができる。電源回路12は、電源オン指示が操作部13に入力されると、電池11から電源回路12に供給された電気の電圧を電源電圧に変更した後、電源電圧の電気を表示部14、駆動電圧生成回路16および制御部20に供給する。なお、駆動電圧生成回路16は、電源電圧の電気が供給されても、駆動電圧生成動作の実行が制御部20から指示されない限り、駆動電圧生成動作を実行しない。制御部20は、電源電圧の電気が供給されると、
図5に示す動作を実行する。
【0052】
図5に示すように、動作実行部20aは、アルコールセンサー18によって検出されたアルコール濃度が特定の濃度未満であると判断するまで、アルコールセンサー18によって検出されたアルコール濃度が特定の濃度未満であるか否かを判断する(S51)。ここで、特定の濃度は、例えば、0.05mg/Lである。
【0053】
動作実行部20aは、アルコールセンサー18によって検出されたアルコール濃度が特定の濃度未満であるとS51において判断すると、電源をオフにする指示(以下「電源オフ指示」という。)が操作部13に入力されたか否かを判断する(S52)。
【0054】
動作実行部20aは、電源オフ指示が操作部13に入力されていないとS52において判断すると、呼気中のアルコール濃度の測定の開始の指示(以下「測定開始指示」という。)が操作部13に入力されたか否かを判断する(S53)。
【0055】
動作実行部20aは、測定開始指示が操作部13に入力されていないとS53において判断すると、S52の処理を実行する。
【0056】
動作実行部20aは、測定開始指示が操作部13に入力されたとS53において判断すると、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中であるか否かを判断する(S54)。
【0057】
電池状態判定部20bは、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中ではないとS54において判断されると、電池11の消耗の状態を判定する電池状態判定処理を実行する(S55)。S55の電池状態判定処理における判定の結果は、合格および不合格のいずれか一方である。合格とは、電池11の消耗の程度が特定の程度未満であるという意味である。不合格とは、合格ではないという意味、すなわち、電池11が特定の程度以上に消耗しているという意味である。S55の電池状態判定処理については、後で詳細に説明する。
【0058】
電池状態判定部20bは、S55の電池状態判定処理が終了すると、S55の電池状態判定処理における判定の結果が合格であるか否かを判断する(S56)。
【0059】
動作実行部20aは、S55の電池状態判定処理における判定の結果が合格であるとS56において判断されると、駆動電圧生成回路16に駆動電圧生成動作を開始させる(S57)。
【0060】
動作実行部20aは、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中であるとS54において判断するか、S57の処理が終了すると、例えば「呼気を吹き込んでください。」というメッセージの表示など、呼気の吹き込みを被測定者に指示するための通知を表示部14による表示によって実行する(S58)。被測定者は、S58において実行された、表示部14における表示を見て、アルコール測定装置10への呼気の吹き込みを開始することができる。
【0061】
動作実行部20aは、S58の処理が終了すると、呼気圧センサー15によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であると判断するまで、呼気圧センサー15によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であるか否かを判断する(S59)。
【0062】
動作実行部20aは、呼気圧センサー15によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であるとS59において判断すると、直前のS59において特定の呼気圧以上であると動作実行部20aによって判断されてからアルコール測定装置10に吹き込まれた呼気の流量が特定の流量に到達したか否かを判断する(S60)。動作実行部20aは、呼気圧センサー15によって検出された呼気圧に基づいて流量を算出する。
【0063】
動作実行部20aは、直前のS59において特定の呼気圧以上であると動作実行部20aによって判断されてからアルコール測定装置10に吹き込まれた呼気の流量が特定の流量に到達していないとS60において判断すると、呼気圧センサー15によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であるか否かを判断する(S61)。S61における「特定の呼気圧」は、S59における「特定の呼気圧」と同一である。
【0064】
動作実行部20aは、呼気圧センサー15によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上ではないとS61において判断すると、S59の処理を実行する。
【0065】
動作実行部20aは、呼気圧センサー15によって検出されている呼気圧が特定の呼気圧以上であるとS61において判断すると、S60の処理を実行する。
【0066】
動作実行部20aは、直前のS59において特定の呼気圧以上であると動作実行部20aによって判断されてからアルコール測定装置10に吹き込まれた呼気の流量が特定の流量に到達しているとS60において判断すると、駆動回路17に駆動動作の実行を開始させる(S62)。駆動回路17が駆動動作の実行を開始すると、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中であるので、吸引ポンプ30には、駆動電圧生成回路16のキャパシター16bによって蓄えられていた、駆動電圧の電気が駆動回路17を介して供給される。駆動電圧は、駆動最低電圧以上の電圧である。したがって、
図4(a)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されていない状態であった吸引ポンプ30は、
図4(b)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されている状態になる。なお、キャパシター16bによって蓄えられていた電気は、短時間で消費される。したがって、キャパシター16bによって蓄えられていた電気が消費された後、吸引ポンプ30には、電源回路12から出力された電源電圧の電気が駆動電圧生成回路16および駆動回路17を順に介して供給される。吸引ポンプ30は、
図4(b)に示す状態になった後は、電源電圧の電気が供給されているだけでも、
図4(b)に示す状態を維持することができる。
【0067】
動作実行部20aは、S62の処理が終了すると、直前のS62の処理からの経過時間が特定の時間(以下「通常時駆動時間」という。)を超えたと判断するまで、直前のS62の処理からの経過時間が通常時駆動時間を超えたか否かを判断する(S63)。通常時駆動時間は、例えば、数十m秒から数百m秒までの間の特定の長さの時間である。
【0068】
動作実行部20aは、直前のS62の処理からの経過時間が通常時駆動時間を超えたとS63において判断すると、駆動回路17に駆動動作の実行を終了させる(S64)。駆動回路17が駆動動作の実行を終了すると、吸引ポンプ30には、電気が供給されなくなる。したがって、
図4(b)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されている状態であった吸引ポンプ30は、
図4(a)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されていない状態になる。
【0069】
吸引ポンプ30は、S62~S64の処理によって、アルコール測定装置10に吹き込まれた呼気を吸引する。なお、アルコール測定装置10は、S59~S64の処理によって、被測定者の肺の中に取り込まれることなく被測定者の口の中に存在していた空気など、被測定者の肺の中に存在していなかった空気を吸引ポンプ30によって吸引することなく、被測定者の肺の中に存在していた空気を吸引ポンプ30によって吸引することが可能である。
【0070】
動作実行部20aは、S64の処理が終了すると、S64において吸引した呼気に対してアルコールセンサー18によって検出されたアルコール濃度を例えば日時などの情報と関連付けて記憶部19に保存する(S65)。
【0071】
動作実行部20aは、S65の処理が終了すると、S65において保存したアルコール濃度を表示部14に表示して(S66)、S51の処理を実行する。
【0072】
電池状態判定部20bは、S55の電池状態判定処理における判定の結果が合格ではない、すなわち、不合格であるとS56において判断すると、例えば「電池が消耗しています。電池を交換してください。」というメッセージの表示など、電池11の交換を被測定者に指示するための通知を表示部14による表示によって実行する(S67)。
【0073】
動作実行部20aは、電源オフ指示が操作部13に入力されたとS52において判断するか、S67の処理が終了すると、表示部14、駆動電圧生成回路16および動作実行部20aへの電気の供給を電源回路12に停止させる処理を電源回路12に開始させて(S68)、
図5に示す動作を終了する。したがって、表示部14、駆動電圧生成回路16および動作実行部20aは、動作を終了する。
【0074】
図6は、
図5に示す電池状態判定処理のフローチャートである。
【0075】
図6に示すように、電池状態判定部20bは、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30が消費中ではない状態としての低負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての低負荷時判定を実行する(S81~S82)。
【0076】
具体的には、電池状態判定部20bは、まず、電池11の電圧を取得する(S81)。S81において取得した電圧は、吸引ポンプ30による高い負荷が電池11にかかっていない状態での電圧である。
【0077】
電池状態判定部20bは、S81において取得した電圧が、低負荷時判定のための電圧としての低負荷時判定用電圧以上であるか否かを判断する(S82)。
【0078】
電池状態判定部20bは、S81において取得した電圧が低負荷時判定用電圧以上であるとS82において判断すると、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30が消費中である状態としての高負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行する(S83~S88)。
【0079】
具体的には、電池状態判定部20bは、まず、駆動回路17に駆動動作の実行を開始させる(S83)。駆動回路17が駆動動作の実行を開始すると、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中ではない(S54でNO(
図5参照。))ので、吸引ポンプ30には、電源回路12から出力された電源電圧の電気が駆動電圧生成回路16および駆動回路17を順に介して供給される。ここで、電源電圧は、吸引ポンプ30が呼気を吸引するために必要な駆動最低電圧より低い。したがって、
図4(a)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されていない状態であった吸引ポンプ30は、
図4(a)に示す状態のままである。
【0080】
電池状態判定部20bは、S83の処理が終了すると、電池11の電圧を取得する(S84)。S84において取得した電圧は、吸引ポンプ30による高い負荷が電池11にかかっている状態での電圧である。
【0081】
電池状態判定部20bは、S84において取得した電圧が、高負荷時判定のための電圧としての高負荷時判定用電圧以上であるか否かを判断する(S85)。高負荷時判定用電圧は、電源回路12が正常に駆動するために必要な最低限の電圧に特定の大きさの電圧を加算した電圧である。高負荷時判定用電圧は、低負荷時判定用電圧より低い。
【0082】
電池状態判定部20bは、S84において取得した電圧が高負荷時判定用電圧以上であるとS85において判断すると、直前のS83の処理からの経過時間が、高負荷時判定のための時間としての高負荷時判定用時間を超えたか否かを判断する(S86)。高負荷時判定用時間は、通常時駆動時間以下の特定の時間でも良い。
【0083】
電池状態判定部20bは、直前のS83の処理からの経過時間が高負荷時判定用時間を超えていないとS86において判断すると、S84の処理を実行する。
【0084】
電池状態判定部20bは、直前のS83の処理からの経過時間が高負荷時判定用時間を超えたとS86において判断すると、駆動回路17に駆動動作の実行を終了させる(S87)。駆動回路17が駆動動作の実行を終了すると、吸引ポンプ30には、電気が供給されなくなる。したがって、
図4(a)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されていない状態であった吸引ポンプ30は、
図4(a)に示す状態のままである。
【0085】
電池状態判定部20bは、S84において取得した電圧が高負荷時判定用電圧以上ではないとS85において判断すると、駆動回路17に駆動動作の実行を終了させる(S88)。駆動回路17が駆動動作の実行を終了すると、吸引ポンプ30には、電気が供給されなくなる。したがって、
図4(a)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されていない状態であった吸引ポンプ30は、
図4(a)に示す状態のままである。
【0086】
電池状態判定部20bは、S87の処理が終了すると、電池11の消耗の状態を合格と判定する(S89)。
【0087】
電池状態判定部20bは、S81において取得した電圧が低負荷時判定用電圧以上ではないとS82において判断するか、S88の処理が終了すると、電池11の消耗の状態を不合格と判定する(S90)。
【0088】
電池状態判定部20bは、S90の処理が終了すると、電池11の消耗の状態が不合格であるという判定結果を例えば日時などの情報と関連付けて記憶部19に保存する(S91)。
【0089】
電池状態判定部20bは、S89またはS91の処理が終了すると、
図6に示す電池状態判定処理を終了する。
【0090】
図7(a)は、電池状態判定処理において合格と判定される場合の電池11の電圧の推移の一例を示す図である。
図7(b)は、電池状態判定処理において不合格と判定される場合の電池11の電圧の推移の一例を示す図である。
図8(a)は、電池状態判定処理において不合格と判定される場合の電池11の電圧の推移の、
図7(b)に示す例とは異なる一例を示す図である。
図8(b)は、電池状態判定処理において不合格と判定される場合の電池11の電圧の推移の、
図7(b)および
図8(a)に示す例とは異なる一例を示す図である。
【0091】
図7(a)に示す例において、電池11aおよび電池11bは、新品の状態でアルコール測定装置10に同時にセットされた後、一度も入れ替えられていない。
図7(a)に示す例において、電池11aおよび電池11bは、容量の半分程度が消費されている。
図7(a)に示す例において、S81の処理が実行された時点t1における電池11の電圧は、低負荷時判定用電圧以上である(S82でYES)。
図7(a)に示す例において、S83の処理が実行された時点t2から、経過時間が高負荷時判定用時間を超えたとS86において判断された時点t3までの期間における電池11の電圧は、高負荷時判定用電圧以上である(S85でYES)。したがって、
図7(a)に示す例は、電池状態判定処理において合格と判定される(S89)。
【0092】
なお、
図7(a)に示す例において、時点t2から暫くの期間T1は、電池11の電圧が微分波形を形成している。期間T1では、急激な電流の増加によって、電池11aおよび電池11bの化学変化が追い付いていない。
図7(a)に示す例において、期間T1の後から時点t3までの期間T2は、電池11の電圧が直線的に下降している。期間T2では、電流の要求に電池11aおよび電池11bの化学変化が追い付いている。
【0093】
図7(b)に示す例において、電池11aおよび電池11bは、新品の状態でアルコール測定装置10に同時にセットされた後、一度も入れ替えられていない。
図7(b)に示す例において、電池11aおよび電池11bは、容量の大部分が消費されている。電池は、残量に比例して電圧が低下する特性を有している。そのため、
図7(b)に示す例において、S81の処理が実行された時点t1における電池11の電圧は、低負荷時判定用電圧以上ではない(S82でNO)。したがって、
図7(b)に示す例は、電池状態判定処理において不合格と判定される(S90)。
【0094】
図8(a)に示す例において、電池11aおよび電池11bは、新品の状態でアルコール測定装置10に同時にセットされた後、一度も入れ替えられていない。
図8(a)に示す例において、電池11aおよび電池11bは、容量の大部分が消費されている。具体的には、
図8(a)に示す例における電池11aおよび電池11bの容量の消費量は、
図7(a)に示す例より多く、
図7(b)に示す例より少ない。
図8(a)に示す例において、S81の処理が実行された時点t1における電池11の電圧は、
図7(a)に示す例よりは低いが、低負荷時判定用電圧以上である(S82でYES)。
図8(a)に示す例において、S83の処理が実行された時点t2の後であって経過時間が高負荷時判定用時間を超える前の時点t4における電池11の電圧は、高負荷時判定用電圧以上ではない(S85でNO)。したがって、
図8(a)に示す例は、電池状態判定処理において不合格と判定される(S90)。
【0095】
図8(b)に示す例において、電池11aおよび電池11bは、アルコール測定装置10にセットされた時期が互いに異なる。電池11aは、ほぼ新品であって、容量の大部分が消費されていない。電池11bは、既に長い期間使用されており、容量の大部分が消費されている。
図8(b)に示す例において、S81の処理が実行された時点t1における電池11の電圧は、
図7(a)に示す例よりは低いが、低負荷時判定用電圧以上である(S82でYES)。時点t1における電池11の電圧は、
図8(b)に示す例が、
図8(a)に示す例より高い。この理由は、ほぼ新品である電池11aの電圧の影響である。
図8(b)に示す例において、S83の処理が実行された時点t2の後であって経過時間が高負荷時判定用時間を超える前の時点t5における電池11の電圧は、高負荷時判定用電圧以上ではない(S85でNO)。したがって、
図8(b)に示す例は、電池状態判定処理において不合格と判定される(S90)。なお、
図8(b)に示す例において電池11の電圧が高負荷時判定用電圧を下回る時点t5は、
図8(a)に示す例において電池11の電圧が高負荷時判定用電圧を下回る時点t4より早い。この理由は、既に長い期間使用されている電池11bの内部抵抗の影響から電池11の電圧が一気に下がるからである。
【0096】
以上に説明したように、アルコール測定装置10は、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30が消費中である状態としての高負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し(S83~S88)、高負荷時判定において高負荷状態での電池11の電圧が高負荷時判定用時間以内に高負荷時判定用電圧未満になった場合に(S85でNO)、電池11の消耗の状態が不合格である、すなわち、電池11が特定の程度以上に消耗していると判定し(S90)、電池11の消耗の状態の判定の結果を通知する(S67)ので、電池11の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池11の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【0097】
アルコール測定装置10は、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30が消費中ではない状態としての低負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての低負荷時判定(S81~S82)を高負荷時判定(S83~S88)より前に実行し、低負荷時判定において、低負荷状態での電池11の電圧が、低負荷時判定のための電圧としての低負荷時判定用電圧未満である場合に(S82でNO)、電池11の消耗の状態が不合格である、すなわち、電池11が特定の程度以上に消耗していると判定して(S90)、高負荷時判定(S83~S88)を実行しないので、電池11が特定の程度以上に消耗していると低負荷時判定において判定した場合に、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30が消費することによって電池11が消耗する高負荷時判定の不必要な実行を回避することができる。
【0098】
アルコール測定装置10は、電池11が着脱可能であるので、直列に接続された2つの電池11a、11bの中に、残量の異なる電池が混在する可能性があるが、直列に接続された2つの電池11a、11bの中に、残量の異なる電池が混在している場合であっても、
図8(b)に示すように、高負荷時判定によって電池11の消耗の状態を判定することができる。
【0099】
アルコール測定装置10は、高負荷時判定において高負荷状態での電池11の電圧が高負荷時判定用時間以内に高負荷時判定用電圧未満にならなかった場合に(S86でYES)、特定の動作、すなわち、吸引ポンプ30によって呼気を吸引し(S62~S64)、吸引ポンプ30によって吸引された呼気中のアルコール濃度をアルコールセンサー18によって検出する動作を実行し、特定の動作において電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30に消費させる。アルコール測定装置10は、特定の動作において電池11によって出力された電気を消費する負荷である吸引ポンプ30を、高負荷時判定においても使用するので、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を消費するための専用の負荷を備えなくても、電池11の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池11の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【0100】
アルコール測定装置10は、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30に消費させる時間である高負荷時判定用時間が、特定の動作、すなわち、吸引ポンプ30によって呼気を吸引し(S62~S64)、吸引ポンプ30によって吸引された呼気中のアルコール濃度をアルコールセンサー18によって検出する動作において電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30に消費させる継続時間、すなわち、通常時駆動時間未満である場合、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30が消費することによって電池11が消耗する高負荷時判定による電池11の消耗を低減することができる。なお、アルコール測定装置10は、高負荷時判定用時間が通常時駆動時間以上であっても良い。
【0101】
アルコール測定装置10は、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30に消費させる場合に吸引ポンプ30に呼気を吸引させないので、吸引ポンプ30によって吸引された呼気中のアルコール濃度がアルコールセンサー18によって検出されることが高負荷時判定において生じることを防止することができる。
【0102】
アルコール測定装置10は、高負荷時判定において、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ30に消費させる場合に、吸引ポンプ30の駆動最低電圧未満の電圧の電気を吸引ポンプ30に供給することによって、吸引ポンプ30に呼気を吸引させないので、高負荷時判定において吸引ポンプ30が誤作動によって呼気を吸引する可能性を低減することができる。
【0103】
なお、アルコール測定装置10は、高負荷時判定において吸引ポンプ30に呼気を吸引させたとしても、S62~S64の処理によって吸引ポンプ30に呼気の吸引を開始させる時点でアルコールセンサー18によって検出されるアルコール濃度が特定の濃度未満であるようにするための仕組みを別途備えていれば、高負荷時判定において吸引ポンプ30に呼気を吸引させても良い。
【0104】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器としてのアルコール測定装置の構成について説明する。
【0105】
本実施の形態に係るアルコール測定装置の構成要素のうち、第1の実施の形態に係るアルコール測定装置10(
図1参照。)の構成要素と同様の構成要素については、アルコール測定装置10の構成要素と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0106】
図9は、本実施の形態に係るアルコール測定装置110のブロック図である。
【0107】
図9に示すように、アルコール測定装置110の構成は、アルコール測定装置10が吸引ポンプ30(
図1参照。)に代えて吸引ポンプ130を備えるとともに駆動電圧生成回路16(
図1参照。)を備えていない構成と同様である。
【0108】
吸引ポンプ130の構成は、吸引ポンプ130が呼気を吸引するための最低の電圧としての駆動最低電圧が、電源回路12から出力される電源電圧以下であることを除いて、吸引ポンプ30の構成と同様である。吸引ポンプ130は、駆動最低電圧以上の特定の電圧としての電源電圧の電気が供給される。吸引ポンプ130は、電源電圧の電気が供給された場合に吸引ポンプ130が呼気を吸引するための最低の時間としての駆動最低時間以上、電源電圧の電気が供給されることによって呼気を吸引するものである。吸引ポンプ130は、電池11によって出力された電気を消費することが可能であり、本発明における特定の負荷を構成している。
【0109】
アルコール測定装置110は、電池11によって出力された電気によって動作する。
【0110】
記憶部19は、アルコール測定装置110の動作を制御するためのプログラム119aを記憶している。
【0111】
制御部20は、プログラム119aを実行することによって、特定の動作、すなわち、吸引ポンプ130によって呼気を吸引し、吸引ポンプ130によって吸引された呼気中のアルコール濃度をアルコールセンサー18によって検出する動作を実行する動作実行部120aと、電池11の消耗の状態を判定する電池状態判定部120bとを実現する。動作実行部120aは、後述する動作を除いて動作実行部20a(
図1参照。)と同様の動作を実行する。電池状態判定部120bは、後述する動作を除いて電池状態判定部20b(
図1参照。)と同様の動作を実行する。
【0112】
図10は、電池11から出力された電気の、アルコール測定装置110における主な流れを示す図である。
【0113】
図10に示すように、電池11から出力された電気は、電源回路12に供給される。電源回路12に供給された電気は、電源回路12によって電圧が電源電圧に変更された後、電源回路12から表示部14、駆動回路17および制御部20に供給される。駆動回路17に供給された電気は、駆動回路17が駆動動作の実行中である場合、駆動回路17を介して吸引ポンプ30に供給される。
【0114】
次に、アルコール測定装置110の動作について説明する。
【0115】
図11は、アルコール測定装置110の動作のフローチャートである。
【0116】
被測定者は、電源オン指示を操作部13に入力することができる。電源回路12は、電源オン指示が操作部13に入力されると、電池11から電源回路12に供給された電気の電圧を電源電圧に変更した後、電源電圧の電気を表示部14、駆動回路17および制御部20に供給する。制御部20は、電源電圧の電気が供給されると、
図11に示す動作を実行する。
【0117】
図11に示すように、動作実行部120aは、
図5に示すS51~S53の処理と同様のS151~S153の処理を実行する。
【0118】
電池状態判定部120bは、測定開始指示が操作部13に入力されたとS53において判断されると、
図5に示すS55~S56の処理と同様のS154~S155の処理を実行する。
【0119】
動作実行部120aは、S154の電池状態判定処理における判定の結果が合格であるとS155において判断されると、
図5に示すS58~S66の処理と同様のS156~S164の処理を実行する。なお、動作実行部120aは、S160において、駆動回路17に駆動動作の実行を開始させる。駆動回路17が駆動動作の実行を開始すると、吸引ポンプ130には、電源電圧の電気が駆動回路17を介して供給される。ここで、吸引ポンプ130の駆動最低電圧は、電源電圧以下である。また、S161における通常時駆動時間は、駆動最低時間以上の時間である。したがって、
図4(a)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されていない状態であった吸引ポンプ30は、
図4(b)に示すようにベローズポンプ31が圧縮されている状態になる。
【0120】
動作実行部120aは、S164の処理が終了すると、S151の処理を実行する。
【0121】
電池状態判定部120bは、S154の電池状態判定処理における判定の結果が合格ではない、すなわち、不合格であるとS155において判断すると、電池11の交換を被測定者に指示するための通知を表示部14による表示によって実行する(S165)。
【0122】
動作実行部120aは、電源オフ指示が操作部13に入力されたとS152において判断するか、S165の処理が終了すると、表示部14、駆動回路17および制御部20への電気の供給を電源回路12に停止させる処理を電源回路12に開始させて(S166)、
図11に示す動作を終了する。したがって、表示部14、駆動回路17および制御部20は、動作を終了する。
【0123】
図11に示す電池状態判定処理は、
図6に示す電池状態判定処理と同様である。ただし、S83の処理の結果として吸引ポンプ130に供給される電源電圧は、吸引ポンプ130が呼気を吸引するために必要な駆動最低電圧以上である。したがって、S86における高負荷時判定用時間は、電源電圧の電気が吸引ポンプ130に供給されても吸引ポンプ130のプッシュプランジャー32aがベローズポンプ31を圧縮しない程度に短い必要がある。すなわち、S86における高負荷時判定用時間は、駆動最低時間未満である必要がある。
【0124】
以上に説明したように、アルコール測定装置110は、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130が消費中である状態としての高負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し(S83~S88)、高負荷時判定において高負荷状態での電池11の電圧が高負荷時判定用時間以内に高負荷時判定用電圧未満になった場合に(S85でNO)、電池11の消耗の状態が不合格である、すなわち、電池11が特定の程度以上に消耗していると判定し(S90)、電池11の消耗の状態の判定の結果を通知する(S165)ので、電池11の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池11の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【0125】
アルコール測定装置110は、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130が消費中ではない状態としての低負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての低負荷時判定(S81~S82)を高負荷時判定(S83~S88)より前に実行し、低負荷時判定において、低負荷状態での電池11の電圧が、低負荷時判定のための電圧としての低負荷時判定用電圧未満である場合に(S82でNO)、電池11の消耗の状態が不合格である、すなわち、電池11が特定の程度以上に消耗していると判定して(S90)、高負荷時判定(S83~S88)を実行しないので、電池11が特定の程度以上に消耗していると低負荷時判定において判定した場合に、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130が消費することによって電池11が消耗する高負荷時判定の不必要な実行を回避することができる。
【0126】
アルコール測定装置110は、電池11が着脱可能であるので、直列に接続された2つの電池11a、11bの中に、残量の異なる電池が混在する可能性があるが、直列に接続された2つの電池11a、11bの中に、残量の異なる電池が混在している場合であっても、高負荷時判定によって電池11の消耗の状態を判定することができる。
【0127】
アルコール測定装置110は、高負荷時判定において高負荷状態での電池11の電圧が高負荷時判定用時間以内に高負荷時判定用電圧未満にならなかった場合に(S86でYES)、特定の動作、すなわち、吸引ポンプ130によって呼気を吸引し(S160~S162)、吸引ポンプ130によって吸引された呼気中のアルコール濃度をアルコールセンサー18によって検出する動作を実行し、特定の動作において電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130に消費させる。アルコール測定装置110は、特定の動作において電池11によって出力された電気を消費する負荷である吸引ポンプ130を、高負荷時判定においても使用するので、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を消費するための専用の負荷を備えなくても、電池11の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池11の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【0128】
アルコール測定装置110は、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130に消費させる時間である高負荷時判定用時間が、特定の動作、すなわち、吸引ポンプ130によって呼気を吸引し(S160~S162)、吸引ポンプ130によって吸引された呼気中のアルコール濃度をアルコールセンサー18によって検出する動作において電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130に消費させる継続時間、すなわち、通常時駆動時間未満である場合、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130が消費することによって電池11が消耗する高負荷時判定による電池11の消耗を低減することができる。なお、アルコール測定装置110は、高負荷時判定用時間が通常時駆動時間以上であっても良い。
【0129】
アルコール測定装置110は、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130に消費させる場合に吸引ポンプ130に呼気を吸引させないので、吸引ポンプ130によって吸引された呼気中のアルコール濃度がアルコールセンサー18によって検出されることが高負荷時判定において生じることを防止することができる。
【0130】
アルコール測定装置110は、高負荷時判定において、電池11によって出力された電気を吸引ポンプ130に消費させる場合に、吸引ポンプ130の駆動最低電圧以上の特定の電圧としての電源電圧の電気を、駆動最低時間未満、吸引ポンプ130に供給することによって、吸引ポンプ130に呼気を吸引させないので、高負荷時判定において吸引ポンプ130が誤作動によって呼気を吸引する可能性を低減することができる。
【0131】
なお、アルコール測定装置110は、高負荷時判定において吸引ポンプ130に呼気を吸引させたとしても、S160~S162の処理によって吸引ポンプ130に呼気の吸引を開始させる時点でアルコールセンサー18によって検出されるアルコール濃度が特定の濃度未満であるようにするための仕組みを別途備えていれば、高負荷時判定において吸引ポンプ130に呼気を吸引させても良い。
【0132】
(第3の実施の形態)
まず、本発明の第3の実施の形態に係る電子機器としてのアルコール測定装置の構成について説明する。
【0133】
本実施の形態に係るアルコール測定装置の構成要素のうち、第1の実施の形態に係るアルコール測定装置10(
図1参照。)の構成要素と同様の構成要素については、アルコール測定装置10の構成要素と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0134】
図12は、本実施の形態に係るアルコール測定装置210のブロック図である。
【0135】
図12に示すように、アルコール測定装置210の構成は、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を消費するための特定の負荷としての専用の負荷211と、負荷211に電気を供給する動作(以下「負荷有効化動作」という。)を実行する負荷有効化回路212とをアルコール測定装置10が備えた構成と同様である。負荷211は、例えば、単なる電気抵抗素子である。
【0136】
アルコール測定装置210は、電池11によって出力された電気によって動作する。
【0137】
記憶部19は、アルコール測定装置210の動作を制御するためのプログラム219aを記憶している。
【0138】
制御部20は、プログラム219aを実行することによって、特定の動作、すなわち、吸引ポンプ30によって呼気を吸引し、吸引ポンプ30によって吸引された呼気中のアルコール濃度をアルコールセンサー18によって検出する動作を実行する動作実行部220aと、電池11の消耗の状態を判定する電池状態判定部220bとを実現する。動作実行部220aは、後述する動作を除いて動作実行部20a(
図1参照。)と同様の動作を実行する。電池状態判定部220bは、後述する動作を除いて電池状態判定部20b(
図1参照。)と同様の動作を実行する。
【0139】
図13は、電池11から出力された電気の、アルコール測定装置210における主な流れを示す図である。
【0140】
図13に示すように、電池11から出力された電気は、電源回路12に供給される。電源回路12に供給された電気は、電源回路12によって電圧が電源電圧に変更された後、電源回路12から表示部14、駆動電圧生成回路16、制御部20および負荷有効化回路212に供給される。駆動電圧生成回路16に供給された電気は、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中である場合に、昇圧回路16aによって駆動電圧に変更された後、キャパシター16bに蓄えられる。駆動回路17が駆動動作の実行中である場合にキャパシター16bに電気が蓄えられているとき、キャパシター16bに蓄えられた電気は、駆動回路17を介して吸引ポンプ30に供給される。駆動回路17が駆動動作の実行中である場合にキャパシター16bに電気が蓄えられていないとき、駆動電圧生成回路16に供給された電気は、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中であるか否かにかかわらず、駆動電圧生成回路16および駆動回路17を介して吸引ポンプ30に供給される。負荷有効化回路212が負荷有効化動作の実行中である場合、負荷有効化回路212に供給された電気は、負荷有効化回路212を介して負荷211に供給される。
【0141】
次に、アルコール測定装置210の動作について説明する。
【0142】
図14は、アルコール測定装置210の動作のフローチャートである。
【0143】
被測定者は、電源オン指示を操作部13に入力することができる。電源回路12は、電源オン指示が操作部13に入力されると、電池11から電源回路12に供給された電気の電圧を電源電圧に変更した後、電源電圧の電気を表示部14、駆動電圧生成回路16、制御部20および負荷有効化回路212に供給する。なお、駆動電圧生成回路16は、電源電圧の電気が供給されても、駆動電圧生成動作の実行が制御部20から指示されない限り、駆動電圧生成動作を実行しない。同様に、負荷有効化回路212は、電源電圧の電気が供給されても、負荷有効化動作の実行が制御部20から指示されない限り、負荷有効化動作を実行しない。制御部20は、電源電圧の電気が供給されると、
図14に示す動作を実行する。
【0144】
図14に示すように、動作実行部220aは、
図5に示すS51~S53の処理と同様のS251~S253の処理を実行する。
【0145】
電池状態判定部220bは、測定開始指示が操作部13に入力されたとS253において判断されると、
図5に示すS55~S56の処理と同様のS254~S255の処理を実行する。
【0146】
動作実行部220aは、S254の電池状態判定処理における判定の結果が合格であるとS255において判断されると、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中であるか否かを判断する(S256)。
【0147】
動作実行部220aは、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中ではないとS256において判断すると、駆動電圧生成回路16に駆動電圧生成動作を開始させる(S257)。
【0148】
動作実行部220aは、駆動電圧生成回路16が駆動電圧生成動作を実行中であるとS256において判断するか、S257の処理が終了すると、
図5に示すS58~S66の処理と同様のS258~S266の処理を実行する。
【0149】
動作実行部220aは、S266の処理が終了すると、S251の処理を実行する。
【0150】
電池状態判定部220bは、S254の電池状態判定処理における判定の結果が合格ではない、すなわち、不合格であるとS255において判断すると、電池11の交換を被測定者に指示するための通知を表示部14による表示によって実行する(S267)。
【0151】
動作実行部220aは、電源オフ指示が操作部13に入力されたとS252において判断するか、S267の処理が終了すると、表示部14、駆動電圧生成回路16、制御部20および負荷有効化回路212への電気の供給を電源回路12に停止させる処理を電源回路12に開始させて(S268)、
図14に示す動作を終了する。したがって、表示部14、駆動電圧生成回路16、制御部20および負荷有効化回路212は、動作を終了する。
【0152】
図15は、
図14に示す電池状態判定処理のフローチャートである。
【0153】
図15に示すように、電池状態判定部220bは、電池11によって出力された電気を負荷211が消費中ではない状態としての低負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての低負荷時判定を実行する(S281~S282)。
【0154】
具体的には、電池状態判定部20bは、まず、電池11の電圧を取得する(S281)。S281において取得した電圧は、負荷211による高い負荷が電池11にかかっていない状態での電圧である。
【0155】
電池状態判定部220bは、S281において取得した電圧が低負荷時判定用電圧以上であるか否かを判断する(S282)。
【0156】
電池状態判定部220bは、S281において取得した電圧が低負荷時判定用電圧以上であるとS282において判断すると、電池11によって出力された電気を負荷211が消費中である状態としての高負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行する(S283~S288)。
【0157】
具体的には、電池状態判定部220bは、まず、負荷有効化回路212に負荷有効化動作の実行を開始させる(S283)。負荷有効化回路212が負荷有効化動作の実行を開始すると、負荷211には、電源回路12から出力された電源電圧の電気が負荷有効化回路212を介して供給される。
【0158】
電池状態判定部220bは、S283の処理が終了すると、電池11の電圧を取得する(S284)。S284において取得した電圧は、負荷211による高い負荷が電池11にかかっている状態での電圧である。
【0159】
電池状態判定部220bは、S284において取得した電圧が高負荷時判定用電圧以上であるか否かを判断する(S285)。高負荷時判定用電圧は、電源回路12が正常に駆動するために必要な最低限の電圧に特定の大きさの電圧を加算した電圧である。高負荷時判定用電圧は、低負荷時判定用電圧より低い。
【0160】
電池状態判定部220bは、S284において取得した電圧が高負荷時判定用電圧以上であるとS285において判断すると、直前のS283の処理からの経過時間が高負荷時判定用時間を超えたか否かを判断する(S286)。高負荷時判定用時間は、通常時駆動時間以下の特定の時間でも良い。
【0161】
電池状態判定部220bは、直前のS283の処理からの経過時間が高負荷時判定用時間を超えていないとS286において判断すると、S284の処理を実行する。
【0162】
電池状態判定部220bは、直前のS283の処理からの経過時間が高負荷時判定用時間を超えたとS286において判断すると、負荷有効化回路212に負荷有効化動作の実行を終了させる(S287)。負荷有効化回路212が負荷有効化動作の実行を終了すると、負荷211には、電気が供給されなくなる。
【0163】
電池状態判定部220bは、S284において取得した電圧が高負荷時判定用電圧以上ではないとS285において判断すると、負荷有効化回路212に負荷有効化動作の実行を終了させる(S288)。負荷有効化回路212が負荷有効化動作の実行を終了すると、負荷211には、電気が供給されなくなる。
【0164】
電池状態判定部220bは、S287の処理が終了すると、電池11の消耗の状態を合格と判定する(S289)。
【0165】
電池状態判定部220bは、S281において取得した電圧が低負荷時判定用電圧以上ではないとS282において判断するか、S288の処理が終了すると、電池11の消耗の状態を不合格と判定する(S290)。
【0166】
電池状態判定部220bは、S290の処理が終了すると、電池11の消耗の状態が不合格であるという判定結果を例えば日時などの情報と関連付けて記憶部19に保存する(S291)。
【0167】
電池状態判定部220bは、S289またはS291の処理が終了すると、
図15に示す電池状態判定処理を終了する。
【0168】
以上に説明したように、アルコール測定装置210は、電池11によって出力された電気を負荷211が消費中である状態としての高負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての高負荷時判定を実行し(S283~S288)、高負荷時判定において高負荷状態での電池11の電圧が高負荷時判定用時間以内に高負荷時判定用電圧未満になった場合に(S285でNO)、電池11の消耗の状態が不合格である、すなわち、電池11が特定の程度以上に消耗していると判定し(S290)、電池11の消耗の状態の判定の結果を通知する(S267)ので、電池11の消耗によって正常に動作することができなくなる前に電池11の消耗を利用者に認識させることができる可能性を向上することができる。
【0169】
アルコール測定装置210は、電池11によって出力された電気を負荷211が消費中ではない状態としての低負荷状態での電池11の消耗の状態の判定としての低負荷時判定(S281~S282)を高負荷時判定(S283~S288)より前に実行し、低負荷時判定において、低負荷状態での電池11の電圧が、低負荷時判定のための電圧としての低負荷時判定用電圧未満である場合に(S282でNO)、電池11の消耗の状態が不合格である、すなわち、電池11が特定の程度以上に消耗していると判定して(S90)、高負荷時判定(S283~S288)を実行しないので、電池11が特定の程度以上に消耗していると低負荷時判定において判定した場合に、電池11によって出力された電気を負荷211が消費することによって電池11が消耗する高負荷時判定の不必要な実行を回避することができる。
【0170】
アルコール測定装置210は、電池11が着脱可能であるので、直列に接続された2つの電池11a、11bの中に、残量の異なる電池が混在する可能性があるが、直列に接続された2つの電池11a、11bの中に、残量の異なる電池が混在している場合であっても、高負荷時判定によって電池11の消耗の状態を判定することができる。
【0171】
上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、電池の消耗の状態の判定として低負荷時判定を実行する。しかしながら、上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、低負荷時判定を実行しなくても良い。
【0172】
上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、直列に接続した状態の2つの電池11a、11bを電池11として備えている。しかしながら、上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、直列に接続した状態の2つの電池を電池11として備える構成以外の構成でも良い。例えば、上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、1つの電池のみを電池11として備える構成でも良いし、直列に接続した状態の3つ以上の電池を電池11として備える構成でも良い。
【0173】
上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、電池11が着脱可能である。しかしながら、上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、電池11が着脱可能でなくても良い。例えば、上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、アルコール測定装置から取り外されることなく充電可能である内蔵式の充電池を電池11として備えても良い。
【0174】
第1の実施の形態におけるアルコール測定装置10は、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を消費するための負荷として吸引ポンプ30を採用している。第2の実施の形態におけるアルコール測定装置110は、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を消費するための負荷として吸引ポンプ130を採用している。第3の実施の形態におけるアルコール測定装置210は、高負荷時判定において電池11によって出力された電気を消費するための負荷として専用の負荷211を採用している。しかしながら、本発明のアルコール測定装置は、高負荷時判定以外の特定の動作に使用する、吸引ポンプ以外の負荷を、高負荷時判定において電池によって出力された電気を消費するための負荷として採用しても良い。
【0175】
上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、電池の消耗の状態の判定の結果の通知の方法として、表示を採用している(S67、S165およびS267)。しかしながら、上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、電池の消耗の状態の判定の結果の通知の方法として、表示以外の方法を採用しても良い。例えば、上述の各実施の形態におけるアルコール測定装置は、電池の消耗の状態の判定の結果を音で通知しても良いし、電池の消耗の状態の判定の結果を例えばスマートフォンなどの外部の機器に通知しても良い。
【0176】
本発明の電子機器は、上述の各実施の形態において、アルコール測定装置である。しかしながら、本発明の電子機器は、電池によって出力された電気によって動作する電子機器であれば、アルコール測定装置以外の電子機器でも良い。
【符号の説明】
【0177】
11、11a、11b 電池
10 アルコール測定装置(電子機器)
18 アルコールセンサー
19a プログラム
20a 動作実行部
20b 電池状態判定部
30 吸引ポンプ(特定の負荷)
110 アルコール測定装置(電子機器)
119a プログラム
120a 動作実行部
120b 電池状態判定部
130 吸引ポンプ(特定の負荷)
210 アルコール測定装置(電子機器)
211 負荷(特定の負荷)
219a プログラム
220a 動作実行部
220b 電池状態判定部