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特開2024-9258細胞を数えるためのシステムおよび方法
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  • 特開-細胞を数えるためのシステムおよび方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009258
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】細胞を数えるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240112BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20240112BHJP
【FI】
C12M1/34 D
C12M1/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023199821
(22)【出願日】2023-11-27
(62)【分割の表示】P 2019563599の分割
【原出願日】2018-05-18
(31)【優先権主張番号】62/508,953
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518155982
【氏名又は名称】スライブ バイオサイエンス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カム リン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】メラニー スカリー
(57)【要約】
【課題】細胞を数えるためのシステムおよび方法の提供。
【解決手段】少なくとも一側面によると、容器内の細胞を数えるように構成されるシステムが、提供される。本システムは、容器内の細胞を撮像するように構成される、撮像システムと、撮像システムに結合される、コントローラとを備える。コントローラは、細胞の焦点画像を捕捉するように、撮像システムを制御し、焦点画像内の細胞数を推定するように構成される。コントローラは、少なくとも部分的に、細胞の複数の画像を複数の焦点面内で捕捉するように撮像システムを制御し、複数の画像のそれぞれの中の少なくとも1つの細胞の面積を判定し、複数の画像内の少なくとも1つの細胞の面積を使用して、複数の画像から1つの画像を焦点画像として選択することによって、細胞の焦点画像を捕捉するように、撮像システムを制御するように構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年5月19に出願された“SYSTEMS AND METHODS FOR COUNTING CELLS”と題する米国仮出願番号第62/508,953号に基づく米国特許法第119条(e)項の下の利益を主張しており、この仮出願は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
分野
本明細書に説明される技術の種々の側面は、容器内の細胞を自動的に数えるための技法に関する。いくつかの側面は、自動細胞計数器および細胞培養インキュベータにおけるこれらの技法の実装に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ある科学的実験は、最低濃度(例えば、1ミリリットルあたり1,300,000個の細胞)および/または最小数(例えば、10,000,000個の細胞)の細胞を用いた細胞培養を要求し得る。これらの実験に関して、手動の細胞計数が、典型的には、実験のために使用されている細胞培養物が十分な濃度および/または数の細胞を含むことを確認するために、血球計を使用して実施される。血球計は、例えば、細胞培養物からサンプルを受容するように構成される、所定のサイズの箱を形成する、グリッド線を伴うチャンバを有し得る。オペレータは、顕微鏡下で血球計を視認し、グリッド線によって形成される1つまたはそれを上回る箱内の細胞数を数え得る。それによって、オペレータは、箱の既知のサイズと組み合わせて、手動で数えられた細胞数を使用し、サンプル内の細胞濃度を識別し得る。サンプル内の総細胞数は、識別された細胞濃度をサンプルのサイズ(例えば、体積)で乗算することによって識別され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
少なくとも一側面によると、あるシステムが、提供される。本システムは、容器内の複数の細胞を複数の焦点面で撮像するように構成される、撮像システムと、撮像システムに結合される、少なくとも1つのコントローラとを備える。少なくとも1つのコントローラは、実行されると、少なくともいくつかの細胞の複数の画像であって、複数の画像はそれぞれ、複数の焦点面の個別の焦点面内で捕捉される、画像を捕捉するように、撮像システムを制御し、複数の画像のそれぞれの中の少なくともいくつかの細胞からの少なくとも1つの細胞の面積を判定し、複数の画像のうちの少なくともいくつかのものの中の少なくとも1つの細胞の面積を使用して、複数の画像から1つの画像を焦点画像として選択し、焦点画像内の細胞数を推定する、命令を含む、メモリに結合される。
【0005】
少なくとも一側面によると、ある方法が、提供される。本方法は、容器内に複数の細胞を受容することと、複数の細胞内の少なくともいくつかの細胞の焦点画像を捕捉することと、少なくとも1つのコントローラを使用して、焦点画像内の細胞数を推定することとを含む。複数の細胞内の少なくともいくつかの細胞の焦点画像を捕捉することは、撮像システムを使用して、少なくともいくつかの細胞の複数の画像を捕捉することであって、複数の画像はそれぞれ、複数の焦点面の個別の焦点面内で捕捉される、ことと、少なくとも1つのコントローラを使用して、複数の画像のそれぞれの中の少なくともいくつかの細胞からの少なくとも1つの細胞の面積を判定することと、少なくとも1つのコントローラを使用して、複数の画像のうちの少なくともいくつかのものの中の少なくとも1つの細胞の面積を使用して、複数の画像から1つの画像を焦点画像として選択することとを含む。
【0006】
少なくとも一側面によると、ある自動細胞計数器が、提供される。自動細胞計数器は、複数の細胞を収容する容器を受容するように構成される、容器搭載部と、複数の細胞を複数の焦点面内で撮像するように構成される、撮像システムと、撮像システムに結合される、少なくとも1つのコントローラとを備える。少なくとも1つのコントローラは、実行されると、少なくともいくつかの細胞の複数の画像であって、複数の画像はそれぞれ、複数の焦点面の個別の焦点面内で捕捉される、画像を捕捉するように、撮像システムを制御し、複数の画像のそれぞれの中の少なくともいくつかの細胞からの少なくとも1つの細胞の面積を判定し、複数の画像のうちの少なくともいくつかのものの中の少なくとも1つの細胞の面積を使用して、複数の画像から1つの画像を焦点画像として選択し、焦点画像内の細胞数を推定する、命令を含む、メモリに結合される。
【0007】
少なくとも一側面によると、あるシステムが、提供される。本システムは、容器内の複数の細胞を撮像するように構成される、撮像システムと、撮像システムに結合される、少なくとも1つのコントローラとを備える。少なくとも1つのコントローラは、実行されると、複数の細胞内の少なくともいくつかの細胞の複数の焦点画像を捕捉するように、撮像システムを制御し、少なくとも部分的に、焦点画像内の複数の物体を識別し、複数の物体の亜集合を細胞として分類し、細胞として分類された複数の物体の亜集合内の細胞数を数えることによって、焦点画像内の細胞数を判定する、命令を含む、メモリに結合される。
【0008】
少なくとも一側面によると、ある細胞培養インキュベータが、提供される。細胞培養インキュベータは、複数の細胞を貯蔵する容器を受容するように構成される、インキュベータキャビネットと、複数の細胞を撮像するように構成される、撮像システムと、撮像システムに結合される、少なくとも1つのコントローラとを備える。少なくとも1つのコントローラは、実行されると、少なくともいくつかの細胞の複数の画像であって、複数の画像はそれぞれ、複数の焦点面の個別の焦点面内で捕捉される、画像を捕捉するように、撮像システムを制御し、複数の画像のそれぞれの中の少なくともいくつかの細胞からの少なくとも1つの細胞の面積を判定し、複数の画像のうちの少なくともいくつかのものの中の少なくとも1つの細胞の面積を使用して、複数の画像から1つの画像を焦点画像として選択し、焦点画像内の細胞数を推定する、命令を含む、メモリに結合される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
種々の側面および実施形態が、以下の図を参照して説明される。図が、必ずしも正確な縮尺率に描かれていないことを理解されたい。複数の図内に出現するアイテムは、それらが出現する全ての図において同一または類似の参照番号によって示される。
【0010】
図1A図1Aは、本明細書に説明される技術のいくつかの実施形態による、細胞を収容する容器の上面図を図示する略図である。
【0011】
図1B図1Bは、本明細書に説明される技術のいくつかの実施形態による、細胞を収容する容器の断面図を図示する略図である。
【0012】
図2図2は、本明細書に説明される技術のいくつかの実施形態による、画像内の細胞を数えるための例示的プロセスを図示する略図である。
【0013】
図3図3は、本明細書に説明される技術のいくつかの実施形態による、容器内の細胞を数えるための例示的プロセスのフローチャートである。
【0014】
図4図4は、本明細書に説明される技術のいくつかの実施形態による、例示的細胞培養インキュベータの略図である。
【0015】
図5図5は、本明細書に説明される技術のいくつかの実施形態による、例示的自動細胞計数器の略図である。
【0016】
図6図6Aおよび6Bは、本明細書に説明される技術のいくつかの実施形態による、例示的撮像システムを図示する略図である。
【0017】
図7図7は、本明細書に説明される技術のいくつかの実施形態による、例示的コントローラの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
上記で議論されるように、細胞培養物内の細胞の細胞濃度および/または細胞数が、ある実験のために識別される必要があり得る。従来、オペレータは、培養物から代表的なサンプルを採り、サンプル内の細胞数を数えることによって、細胞培養物内の細胞数を数え得る。小サイズの個々の細胞を前提として、オペレータは、典型的には、容器(血球計等)内にサンプルを設置し、顕微鏡下で容器(細胞を含め)を視認する。しかしながら、オペレータは、典型的には、サンプル内に、空気泡および/またはデブリ等の異物を観察するであろう。それによって、オペレータは、典型的には、サンプル内の細胞と異物とを視覚的に区別しなければならない。オペレータによって見られ得る容器内のサンプルの例示的図が、図1Aに示される。示されるように、図は、容器102の表面上に、生細胞104と、空気泡106と、死細胞108と、デブリ110とを含む。さらに、オペレータは、典型的には、顕微鏡を生細胞104に焦点を合わせ、図1Aに示されるようなサンプルのそのようなビューを得なければならない。小サイズの生細胞104を前提として、オペレータは、顕微鏡の焦点が10ミクロンだけずれている場合、生細胞104を見ることが可能でないかも知れない。図1Bは、サンプルと、オペレータによって選択され得る例示的焦点面112のセットとを収容する、容器102の断面図を示す。示されるように、焦点面112のセット内の焦点面の大部分は、生細胞104と交差しない。
【0019】
本発明者は、容器(血球計等)内の細胞を手動で数えることが、典型的には、検査技師の判断を要求し、人的過誤を受ける、時間のかかるプロセスであることを理解している。例えば、人間は、あるタイプのデブリが生細胞に類似しているように見え、総細胞数にデブリを含める、不正確な焦点面を選択し得る。さらに、細胞培養物内の細胞数の過小計数および/または過大計数が、科学者らに実験にわたって不適切な細胞培養物を使用させ得、これは、実験を失敗させ得る。故に、本開示の側面は、容器内の細胞を自動的に数えるための技法に関する。例えば、これらの技法の使用によって生産される、結果として生じる細胞数は、手動の計数から±5%のみだけ逸脱する計数を生産し得る。これらの技法は、細胞(例えば、細胞培養物内の細胞)を数えるための迅速かつ正確な方法を提供することによって、従来の細胞計数技法に優って改善し、これは、人的過誤を低減させ、成功実験の完了を助長する。
【0020】
本発明者は、不正確な焦点面(例えば、細胞が焦点合わせされていない平面)内で捕捉される細胞の画像を分析することが、結果として生じる細胞計数の正確度に悪影響を及ぼし得ることを理解している。故に、本発明者は、細胞が焦点合わせされるように、焦点面(またはさらに、焦点距離)を識別するための新しい技法を考案している。本発明者は、細胞の面積が、選択される焦点面に基づいて変動し得ることを理解している。例えば、細胞の縁は、細胞が焦点合わせされていないとき、焦点面内で不鮮明に見え、それによって、細胞をより大きく見せ得る。逆に、細胞の縁は、細胞が焦点合わせされている焦点面では鮮明に見え、それによって、細胞をより小さく見せ得る。それによって、細胞が焦点合わせされている焦点面は、細胞の面積が最小である焦点面であり得る。
【0021】
いったん適切な焦点面が識別されると、本発明者によって考案される1つまたはそれを上回る画像処理技法が、焦点画像内の細胞数を推定するために採用され得る。例えば、1つまたはそれを上回る物体が、焦点画像内で識別され得る。これらの物体は、例えば、画像の前景内のピクセルの連続的領域であってもよい。いったん物体が識別されると、1つまたはそれを上回る特徴が、サイズならびに/もしくは形状等、物体のうちの1つまたはそれを上回るものに関して識別され、物体を分類するために使用されてもよい。物体は、例えば、物体の1つまたはそれを上回る特徴に基づいて、生細胞、死細胞、もしくはデブリとして分類されてもよい。いったん物体が分類されると、細胞(例えば、生細胞または死細胞)として分類された物体の数が、数えられ、焦点画像内の総細胞数を推定してもよい。
【0022】
本明細書に説明される技術のいくつかの側面は、容器内の細胞を自動的に数えるように構成される、システム(自動細胞計数器または細胞培養インキュベータ等)に関する。容器は、流体内の細胞を受容するように構成されてもよい。例示的容器は、フラスコ、瓶、バッグ、およびプレートを含む。本システムは、容器内の複数の細胞を複数の焦点面内で撮像するように構成される、撮像システムを備えてもよい。撮像システムは、例えば、顕微鏡(例えば、明視野顕微鏡)として実装されてもよい。撮像システムは、光を検出するように構成される、撮像部と、光の特性を変化させるための1つまたはそれを上回る光学要素(例えば、レンズ、ミラー、光フィルタ、および光源)とを備えてもよい。
【0023】
本システムは、撮像システムに結合される(例えば、通信可能に結合される)、コントローラを備えてもよい。コントローラは、例えば、メモリおよび/または不揮発性記憶装置に結合される、プロセッサを使用して実装されてもよい。コントローラは、撮像システムを使用して複数の細胞の焦点画像(例えば、焦点明視野画像)を捕捉するように、撮像システムを制御するように構成されてもよい。例えば、コントローラは、撮像撮像システムに命令を送信し、撮像システムが複数の画像を異なる焦点面(またはさらに、焦点距離)内で捕捉するようにトリガしてもよい。そのような複数の画像は、これが、撮像システム内の撮像デバイス(例えば、カメラ)に対して異なる焦点距離(異なる「z」座標)で2次元(x/y)画像を含み得るため、「Zスタック」と称され得る。次いで、コントローラは、異なる焦点面内で捕捉される複数の画像を分析し、複数の画像内の、焦点画像である画像を識別してもよい。識別された画像は、いくつかの実施形態では、画像が、画像が「焦点合わせされ」得る程度の定量的推定に基づいて複数の画像から識別されるため、焦点画像と称され得る。例えば、複数の画像内の、焦点画像である画像は、最小面積の細胞を有し得る。それによって、焦点画像は、例えば、複数の画像のそれぞれの中の少なくとも1つの細胞の面積を判定し、複数の画像から1つの画像を、最小面積の細胞を伴う焦点画像として選択することによって選択されてもよい。
【0024】
いったん焦点画像が識別されると、コントローラは、焦点画像内の細胞(例えば、生細胞、死細胞、またはそれらの組み合わせ)の数を推定するように構成されてもよい。例えば、コントローラは、焦点画像内の複数の物体を識別し、焦点画像内の物体を、例えば、単一の生細胞、生細胞塊、死細胞、またはデブリとして分類するように構成されてもよい。いったん物体が分類されると、生細胞(例えば、生存細胞)の数は、生細胞(例えば、単一の生細胞および生細胞塊)として分類された物体数を数えることによって推定され得る。同様に、死細胞数もまた、死細胞数として分類された物体数を数えることによって識別され得る。さらに、総細胞数は、死細胞数と、生細胞数とを組み合わせることによって識別され得る。コントローラは、種々の方法のいずれかにおいて物体を分類するように構成されてもよい。例えば、コントローラは、物体の1つまたはそれを上回る特徴を識別し、1つまたはそれを上回る特徴を入力として分類器に提供することによって、物体を分類してもよい。分類器は、入力された特徴に基づいて物体が属するクラスのインジケーションを提供するように構成(例えば、訓練)されてもよい。採用され得る例示的分類器は、決定木、ニューラルネットワーク、判別関数、ベイジアンネットワーク、およびサポートベクタマシンを含む。
【0025】
本明細書に説明される実施形態が、多数の方法のいずれかにおいて実装され得ることを理解されたい。具体的な実装の実施例が、例証の目的のみのために下記に提供される。これらの実施形態および提供される特徴/能力が、本明細書に説明される技術の側面がこの点において限定されないため、個々に、全てともに、または2つまたはそれを上回るものの任意の組み合わせにおいて使用され得ることを理解されたい。
【0026】
上記で議論されるように、容器内の細胞数は、容器内の細胞の焦点画像を捕捉し、自動画像処理技法を使用して焦点画像を分析することによって数えられ得る。図2は、容器内の細胞数を推定するために実施され得る、例示的プロセス200を示す略図である。プロセス200は、例えば、細胞培養インキュベータ(例えば、細胞培養インキュベータ400)または自動細胞計数器(例えば、自動細胞計数器500)を含む種々のシステムのうちのいずれかによって実施されてもよい。示されるように、容器内の細胞の、異なる焦点面内の複数の画像201が、捕捉されてもよい。次いで、前景206が、細胞を含む画像の一部を含み、かつ背景204が、細胞を含まない画像の一部を含むように、焦点画像202が、複数の画像201から選択されてもよく、焦点画像202の前景206が、焦点画像204の背景204から分離されてもよい。いったん前景206が背景204から分離されると、物体208が、分類(例えば、生細胞塊210として分類)され得る焦点画像202内(例えば、前景206内)で識別され得る。いったん物体208が分類されると、物体208内の細胞数が、数えられ得る。
【0027】
複数の画像201は、複数の異なる焦点面内で捕捉されてもよい(例えば、複数の画像201は、Zスタックであってもよい)。焦点面は、均一(例えば、各焦点面が、2ミクロンだけ分離される)または非均一(例えば、いくつかの焦点面が、1ミクロンだけ分離される一方、他のものが、3ミクロンだけ分離される)に離間されてもよい。複数の画像201は、例えば、それぞれ、図6Aおよび6Bに示される撮像部600Aまたは600B等の撮像システムによって捕捉される、明視野画像であってもよい。
【0028】
焦点画像202は、複数の画像のそれぞれの中の細胞の面積を分析することによって、複数の画像201から選択されてもよい。例えば、細胞の面積は、焦点画像内で最も小さく、残りの画像内でより小さくあり得る。それによって、焦点画像は、複数の画像から、最小面積の細胞(または逆に、最大の非細胞面積)を伴う画像を選択することによって選択され得る。画像内の細胞の面積は、種々の方法のうちのいずれかにおいて識別されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞の面積は、(1)前景206から背景204を分離し、(2)ある寸法(例えば、単一の細胞の典型的寸法)内である前景206内の物体を識別し、(3)物体の面積を合計することによって、複数の画像201内の画像毎に識別され得る。
【0029】
背景204は、焦点画像202に1つまたはそれを上回る閾値を適用する等、縁検出技法を使用して、焦点画像内の前景206から区画化され得る。閾値は、それらの強度値に基づいてピクセルを分離し得る。例えば、閾値を下回る強度値を有するピクセルは、前景206として分類され得、閾値を上回る強度値を有するピクセルは、背景204として分類され得る。種々の方法のうちのいずれかが、当業者によって理解されるように使用するように特定の閾値を識別するために採用されてもよい。例えば、閾値は、Otsu閾値化方法を使用して識別されてもよい。1つを上回る閾値が、背景204から前景206を分離するために採用され得ることを理解されたい。例えば、画像は、複数の区分に細分されてもよく、別個の閾値が、複数の区分毎に識別され、前景206から背景204を分離してもよい。いくつかの実施形態では、前景206からの背景204の区画化の結果が、例えば、ピクセルが前景206に属するかまたは背景204に属するかを画像内のピクセル毎に示す、バイナリマスク等のマスクによって表されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、画像を閾値化し、マスクを完成させた後、1つまたはそれを上回る行為が、実施されてもよい。例えば、閾値化動作は、それらの薄い色のため、生細胞の中心を背景204として分類している場合がある。それによって、生細胞の外縁のみが、前景206の一部として分類され得る。本実施例では、前景206内の面積の中央における孔が、マスクに追加されてもよい(例えば、前景として再分類される)。加えて(または代替として)、最初に前景206の一部として検出されたアーチファクトが、背景204に移動され、ならびに/もしくは焦点画像202から完全に除去されてもよい。例えば、閾値数より少ないピクセル(例えば、5個のピクセル、10個のピクセル等)を有する前景206内のピクセルの群は、アーチファクトである可能性が高く、背景204に移動されてもよい。別の実施例では、ピクセル間の強度変動を低減させる、平滑化フィルタが、焦点画像202(または前景206のみ)に適用されてもよい。2つの隣接するピクセル間の大きい強度変化は、雑音によってもたらされる可能性が高く、それによって、低減されてもよい。
【0031】
物体208は、例えば、(例えば、マスクによって示されるような)前景204内のピクセルの連続的領域を物体として識別することによって、焦点画像206内で識別されてもよい。いったん物体208が識別されると、物体208は、例えば、物体208の1つまたはそれを上回る特徴を識別し、物体208の識別された特徴を入力として分類器に提供することによって分類されてもよい。識別され得る物体208の例示的特徴は、形態的特徴、光強度特徴、およびテクスチャ特徴を含む。形態的特徴は、例えば、物体208のサイズおよび/または形状に関連し得る。光強度特徴は、例えば、物体208を損なわせるピクセルの強度値の特性に関連し得る。テクスチャ特徴は、例えば、物体208の表面および/または断面の外観に関連し得る。いったん物体208の特徴が識別されると、これらの特徴は、物体の異なるクラスを区別するように構成(例えば、訓練)される分類器への入力として使用され得る。採用され得る例示的分類器は、決定木、ニューラルネットワーク、判別関数、ベイジアンネットワーク、およびサポートベクタマシンを含む。分類器の出力は、物体208が属するクラスのインジケーションであり得る。例えば、分類器の出力は、物体208が単一の生細胞、細胞塊、死細胞、またはアーチファクトであるかどうかを示し得る。分類器が区別するように構成され得る特定のクラスのセットが、特定の実装に基づいて変動し得ることを理解されたい。
【0032】
結果212は、例えば、細胞として分類された物体208の数を数えることによって生成されてもよい。いくつかの実施形態では、分類された物体は、1つを上回る細胞(例えば、生細胞塊210)を含み得、分類された物体内の細胞数が、数えられ、総細胞数に追加されてもよい。生細胞塊210内の細胞数は、例えば、生細胞塊210と関連付けられる強度輪郭を分析することによって識別されてもよい。生細胞塊210内の細胞の中心は、画像内で輝点のように見え得る。輝点は、生細胞塊210内の各細胞の中心に、強度輪郭内の鋭いピークとして出現し得る。それによって、生細胞塊212の強度輪郭内のピーク数が、数えられ、生細胞塊210内の細胞数を識別してもよい。
【0033】
図3は、容器内の細胞を数えるための例示的プロセス300を示す。プロセスは、例えば、細胞の画像を異なる焦点面で捕捉するように構成される、撮像システムと、捕捉された画像を分析し、焦点画像を分析し、焦点画像内の細胞数を推定するように構成される、撮像システムに結合される、コントローラとを備える、システムによって実施されてもよい。本システムは、それぞれ、図4および5に示される、細胞培養インキュベータまたは自動細胞計数器として実装されてもよい。示されるように、プロセス300は、容器内に細胞を受容する行為302と、細胞の焦点画像を捕捉する行為303と、焦点画像を使用して細胞数を推定する行為305とを含む。細胞の焦点画像を捕捉する行為303は、細胞の画像を捕捉する行為304と、捕捉された画像内の細胞の面積を判定する行為306と、判定された面積を使用して、1つの画像を焦点画像として選択する行為308とを含んでもよい。焦点画像を使用して細胞数を推定する行為305は、焦点画像内の物体を識別する行為310と、焦点画像内の物体を分類する行為312と、焦点画像内の細胞として分類された物体の数を数える行為314とを含んでもよい。
【0034】
行為302では、撮像システムが、容器内に細胞を受容してもよい。例えば、撮像システムは、撮像システムが細胞の画像を捕捉し得るように、撮影場所(例えば、撮像場所405)において細胞を受容してもよい。いくつかの実施形態では、容器内の細胞は、選択的に死細胞を標識する薬品に暴露されてもよい。薬品は、例えば、トリパンブルーおよびヨウ化プロピジウム等の、選択的に死細胞を染色する染料であってもよい。薬品を使用して死細胞を標識することは、コントローラが、それらの間のコントラストを強調することによって生細胞から死細胞をより容易に区別することを可能にし得る。加えて(または代替として)、撮像システムは、生細胞と死細胞との間のコントラストをさらに強調するための光フィルタを備えてもよい。そのような撮像システムの実施例が、図6Aおよび6Bに示される。
【0035】
行為303では、コントローラは、容器内の細胞の焦点画像(例えば、焦点明視野画像)を捕捉するように、撮像システムを制御してもよい。焦点画像は、例えば、容器内の細胞が焦点合わせされている画像であり得る。焦点画像は、種々の方法のうちのいずれかにおいて捕捉されてもよい。焦点画像を捕捉するための例示的プロセスが、行為304、306、および308によって図3に示される。
【0036】
行為304では、コントローラは、細胞の複数の画像を複数の異なる焦点面内で捕捉する(例えば、Zスタックを捕捉する)ように、撮像システムを制御してもよい。例えば、コントローラは、複数の明視野画像を複数の異なる焦点面内で捕捉するように、撮像システムを制御してもよい。複数の焦点面は、均一(または非均一)に離間されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の焦点面は、数えられている細胞の特定のタイプに基づいて選択されてもよい。例えば、撮像されている細胞の上面の上方にある焦点面が、複数の焦点面から省略されてもよい。他の実施形態では、複数の焦点面は、数えられている細胞のタイプにかかわらず使用される、固定された焦点面のセットであってもよい。
【0037】
行為306では、コントローラは、捕捉された画像内の細胞の面積を判定してもよい。画像のそれぞれの中の細胞の面積は、例えば、画像内の細胞(例えば、単一の細胞)を識別し、識別された細胞の面積を推定することによって識別されてもよい。細胞は、各画像内の背景から前景を分離し、単一の細胞の特性(例えば、形状、サイズ、および/または色)を有する、前景内の物体を識別することによって識別されてもよい。例えば、大域的閾値が、画像全体に適用され、暗ピクセル(前景)から明ピクセル(背景)を分離してもよい。大域的閾値は、例えば、Otsu閾値化アルゴリズムを使用して識別されてもよい。いったん大域的閾値が適用されると、局所的閾値が、暗ピクセルの連続的セットを含む、画像内の境界された領域(例えば、境界された長方形)に適用され、前景と背景との間の描写を微調整してもよい。局所的閾値は、例えば、閾値として選択された領域内のピクセル値の平均強度を使用することによって識別されてもよい。いったん局所的閾値が適用されると、前景ピクセルの連続的領域によって完全(または部分的)に囲繞される背景の面積が、前景に追加され得る。結果として生じる前景内の連続的領域が、物体として識別され得る。単一の細胞の特性(例えば、サイズ、形状、および/または色)を有する物体が、細胞の面積の計算に使用されてもよい。前景内の他の物体が、完全に無視され、それによって、フィルタリングされ除去されてもよい。識別された単一の細胞の面積は、例えば、識別された単一の細胞と関連付けられるピクセル数を数え、および/または識別された単一の細胞の軸の長さを推定することによって推定されてもよい。
【0038】
行為308では、コントローラは、細胞の判定された面積を使用して、(例えば、行為304で捕捉された)複数の画像から1つの画像を焦点画像として選択してもよい。例えば、コントローラは、最小面積の細胞を伴う画像を焦点画像として選択してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、選択された画像が1つまたはそれを上回る所定の要件(例えば、面積が、閾値を上回る)を満たさない場合、行為304ならびに/もしくは306を繰り返してもよい。例えば、コントローラは、行為304において捕捉された複数の画像内の最良画像が不十分であると判定し、行為304を繰り返し、第2の複数の画像を(前述の複数の画像と関連付けられる前述の焦点面のセットに対して)異なる焦点面のセット内で捕捉してもよい。第2の複数の画像内の細胞の面積が、行為306で識別されてもよく、コントローラは、行為308で第2の複数の画像から1つの画像を焦点画像として選択してもよい。
【0039】
行為305では、コントローラは、焦点画像内の細胞数を推定してもよい。細胞数は、例えば、自動画像処理技法を使用して推定されてもよい。焦点画像を推定するための例示的プロセスが、行為310、312、および314によって図3に示される。
【0040】
行為310では、コントローラは、焦点画像内の物体を識別してもよい。コントローラは、(例えば、行為306に説明されるものと類似するまたは同一の方式で)焦点画像の前景から背景を分離し、前景(例えば、前景の一部)内のピクセルの連続的領域を物体として識別することによって、焦点画像内の物体を識別してもよい。背景は、例えば、縁検出技法(閾値化ならびに/もしくは反復的閾値)を使用して前景から分離されてもよい。
【0041】
行為312では、コントローラは、焦点画像内の識別された物体を分類してもよい。コントローラは、例えば、物体の1つまたはそれを上回る特徴を識別し、物体の1つまたはそれを上回る特徴を入力として分類器に提供することによって、物体を分類してもよい。分類器は、入力された特徴に基づいて、物体が属するクラスを識別するように構成(例えば、訓練)されてもよい。分類器が区別するように構成される特定のクラスのセットは、特定の実装に基づいて変動し得る。例示的クラスは、単一の生細胞クラス、生細胞塊クラス、単一の死細胞クラス、死細胞塊クラス、およびデブリクラスを含む。
【0042】
コントローラは、物体の種々の特徴のうちの任意のものを識別し、分類のために使用してもよい。識別され得る例示的特徴は、形態的特徴、光強度特徴、およびテクスチャ特徴を含む。形態的特徴は、例えば、物体のサイズおよび/または形状に関連し得る。例示的形態的特徴は、物体の等高線面積、物体の凸面形のハル面積、物体の等高線面積と凸面形のハル面積の比率、物体の真円度、および物体の周囲の外接矩形の面積と物体の面積の比率を含む。光強度特徴は、例えば、物体を含むピクセルの強度値の特性に関連し得る。例示的光強度特徴は、物体内の最も明るいピクセル(例えば、上位10個の最も明るいピクセル)の平均ピクセル強度値、物体の濃淡値特徴(例えば、物体の濃淡値の合計、平均値、標準偏差、および分散)、ならびに物体の光学密度特徴(例えば、物体の光学密度の合計、平均値、標準偏差、および分散)を含む。テクスチャ特徴は、例えば、物体の表面および/または断面の外観に関連し得る。例示的テクスチャ特徴は、物体のエントロピーおよび物体のコントラストを含む。
【0043】
コントローラは、種々の分類器および/または分類技法のうちのいずれかを採用し、焦点画像内の物体を分類してもよい。例えば、決定木分類器が、使用されてもよい。別の実施例として、線形分類器(例えば、Fischerの線形判定分類器、ロジスティック回帰分類器、単純ベイズ分類器、プロビット回帰分類器等)が、使用されてもよい。さらに別の実施例として、ベイジアン分類器(例えば、ベイジアンネットワークまたは他のグライックモデルベースの分類器)が、使用されてもよい。さらに別の実施例として、ニューラルネットワーク分類器(例えば、単層ニューラルネットワーク、多層ニューラルネットワーク、深部ニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク等)が、使用されてもよい。分類器は、画像特徴、および1人またはそれを上回る検査技師によって手動で判定される対応する計数を含む、訓練データを用いて訓練されてもよい。
【0044】
行為314では、コントローラは、焦点画像内の細胞として分類された物体の数を数えてもよい。例えば、コントローラは、単一の生細胞として分類された物体の数を数え、生細胞塊として分類された各物体内の細胞数を数え、焦点画像内の総生細胞数をもたらしてもよい。死細胞数もまた、数えられ、焦点画像内の総(生および死)細胞数を識別してもよい。コントローラは、種々の方法のいずれかで生細胞塊内の生細胞数を数えてもよい。例えば、コントローラは、例えば、細胞塊と関連付けられる強度輪郭を分析することによって識別され得る生細胞塊内の細胞数を数えてもよい。生細胞塊内の細胞の中心は、焦点画像内に輝点として出現し得る。輝点は、塊内の各細胞の中心において、強度輪郭内の鋭いピークとして出現し得る。それによって、生細胞塊の強度輪郭内のピーク数が、数えられ、生細胞塊内の細胞数を識別してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、容器内の細胞の一部のみが、撮像システムによって捕捉される(例えば、行為304で捕捉される)画像内で視認可能であり得る。これらの実施形態では、本システムは、容器を複数の区分に分割し、行為303および/または305を実施することによって各区分内で視認可能である細胞の数を数えてもよい。いったん各区分内の細胞が数えられると、総細胞数が、各区分内の細胞を合計することによって識別され得る。
【0046】
種々の発明の概念が、その実施例が提供されている、1つまたはそれを上回るプロセスとして具現化され得る。各プロセスの一部として実施される行為は、任意の好適な方法で順序付けられてもよい。したがって、例証的実施形態では順次行為として示されたとしても、いくつかの行為を同時に実施することを含み得る、図示されるものと異なる順序で行為が実施される、実施形態が構築されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される技法が、細胞培養インキュベータ内に採用されてもよい。細胞培養インキュベータは、手動の取扱を殆どまたは全く伴わずに細胞を培養するように構築されてもよい。それによって、細胞が汚染される可能性は、低減または排除され得る。そのような細胞培養インキュベータの実施例が、細胞培養インキュベータ400によって図4に示される。細胞培養インキュベータ400は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器内での細胞のインキュベーションのための内部チャンバ408を有する、インキュベータキャビネット409を含む。インキュベータキャビネット409は、開閉し、外部環境とインキュベータキャビネット409との間の通信を可能にする、外部ドア401を含む。いくつかの実施形態では、外部ドア401は、開閉し、外部環境と内部チャンバ408との間の通信を可能にする。内部チャンバ408は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を保持するように構成される。1つまたはそれを上回る細胞培養容器は、貯蔵場所402内で貯蔵される。いくつかの実施形態では、貯蔵場所402は、自立構造である。例えば、貯蔵場所402は、培養容器の装填および装填解除のために内部チャンバ408から除去され得る、試験管または培養フラスコラックであってもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所402は、内部チャンバ408の表面に添着される。例えば、貯蔵場所402は、内部チャンバ408の壁または床に接続され、したがって、インキュベータキャビネット409から除去されることが可能ではない、一連のラックもしくは棚であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、細胞培養インキュベータ400は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を移動させるための移送デバイス403を含む。移送デバイス403は、内部チャンバ408の任意の適切な表面に添着されてもよい。例えば、移送デバイス403は、内部チャンバ408の上面または天井に添着されてもよい。代替として、移送デバイス403は、内部チャンバ408の側壁に添着されてもよい。いくつかの実施形態では、移送デバイス403は、内部チャンバ408の壁に添着されない。例えば、移送デバイス403は、内部チャンバ408の周囲に移動し得る、車輪付き三脚または他のモバイル構造上に静置してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、移送デバイス403は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を貯蔵場所402から撮像システム410内の撮像場所405、または操作システム411内の操作場所407に移動させる。移送デバイス403は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を撮像場所405から操作場所407に、または操作場所407から撮像場所105に移動させることができる。撮像または操作が完了すると、移送デバイス403は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を撮像場所405もしくは操作場所407から貯蔵場所402に移動させる。
【0050】
いくつかの実施形態では、移送デバイス403は、弁(例えば、電磁または空気圧弁)、歯車、モータ(例えば、電気またはステッパモータ)、段(例えば、xyまたはxyz段)、ピストン、ブレーキ、ケーブル、ボールねじアセンブリ、ラックピニオン配列、グリッパ、アーム、枢動点、継手、平行移動要素、または他の機械的もしくは電気的要素等の1つまたはそれを上回る要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、移送デバイス403は、1つまたはそれを上回るロボット要素を含んでもよい。例えば、移送デバイス403は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を把持する、持ち上げる、押動する、握持する、摺動する、回転させる、並進させる、解放する、上昇させる、降下させる、および/または傾斜させることが可能なロボットアームを含んでもよい。ある場合には、移送デバイス403は、選択的かつ解放可能に、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を把持する。ある実施形態では、移送デバイス403は、機械的グリッパに結合されるアームを含んでもよい。例えば、アームは、機械的グリッパを、細胞培養容器を解放可能に把持するための一端またはその近傍に含み、他端またはその近傍においてインキュベータの表面または要素に固着して結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、機械的グリッパがアームおよびアームに沿った1つまたはそれを上回る枢動および/または平行移動継手に結合し、アームの一部の可撓性回転および平行移動を可能にする、枢動点を含む。このように、ロボットアームは、インキュベータキャビネット(例えば、内部チャンバ内の貯蔵アレイ)内の異なる水平および垂直位置において、1つまたはそれを上回る細胞培養容器にアクセスしてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネット409は、撮像場所405と、操作場所407とを含む。いくつかの実施形態では、撮像場所405は、撮像デバイス404と反対の内部チャンバ408の表面上に位置する。いくつかの実施形態では、撮像場所405は、プラットフォーム、自立式であるか、または内部チャンバの表面408に添着されるかのいずれかである。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、移動可能である。例えば、可動プラットフォームが、プラットフォームが、撮像デバイス404に関連して左、右、前方、後方、上、または下に移動されることを可能にする、2つまたはそれを上回るロッドに添着されてもよい。いくつかの実施形態では、可動プラットフォームは、モータ式である。
【0052】
いくつかの実施形態では、撮像システム410は、容器が撮像場所408にあるとき、細胞培養容器内の細胞の画像を捕捉するように構成されてもよい。例えば、撮像システムは、細胞培養容器内の細胞の位相コントラスト画像および/または明視野画像を捕捉するように構成されてもよい。撮像システム410は、光(例えば、透過または散乱光)、色、形態、および/または他の検出可能なパラメータを測定するように構成される、撮像デバイス404を備えてもよい。撮像デバイス404は、例えば、モノクロ撮像デバイス、赤/緑/青色(RGB)撮像デバイス、スペクトル撮像デバイス、蛍光撮像デバイス、および/または多重チャネル撮像デバイスであってもよい。ある実施形態では、撮像システム410は、1つまたはそれを上回るレンズ、ファイバ、開口、ミラー、光源(例えば、レーザもしくはランプ)、または他の光学要素を含む。撮像システム410は、例えば、顕微鏡として実装されてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、マニピュレータシステム411は、容器が操作場所407にあるとき、細胞培養容器の細胞を操作する、マニピュレータ406を含む。いくつかの実施形態では、マニピュレータ406は、ニードル、毛細管、ピペット、および/またはマイクロマニピュレータのアレイを有する。例えば、マニピュレータ406は、細胞ピッカを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マニピュレータ406は、1つまたはそれを上回る細胞ピッカを備える。いくつかの実施形態では、マニピュレータ406は、表面の細胞を掻爬して除去するために好適な掻爬縁を備える、細胞掻爬器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、掻爬縁は、細胞培養容器の表面または他の表面と接触可能であり、表面を清掃するために表面から物質を掻爬し、ならびに/もしくは例えば、機械的に細胞を溶解することによって実質的に細胞を殺すことなく表面に粘着する細胞を掻爬するために適切に構成される、細胞掻爬器の一部である。いくつかの実施形態では、掻爬縁または掻爬縁アセンブリが、細胞培養物間の相互汚染を防止するために、使い捨てであることが望ましい。したがって、いくつかの実施形態では、掻爬縁または掻爬縁アセンブリは、使い捨てである。
【0054】
いくつかの実施形態では、細胞培養インキュベータ400は、撮像システム410、マニピュレータシステム411、および/または移送デバイス403等の、細胞培養インキュベータ400内の1つまたはそれを上回る構成要素の動作を制御するように構成される、コントローラ412を含む。コントローラ412は、上記に説明される方法で1つまたはそれを上回る行為を実施するように構成されてもよい。例えば、コントローラ412は、移送デバイス403に命令を提供し、移送デバイスに細胞培養容器を撮像場所405に移動させ、撮像システム410に命令を提供し、細胞培養容器内の細胞の画像を捕捉してもよい。
【0055】
本開示の側面は、制御条件(例えば、無菌および/または殺菌された条件)下で細胞を培養、操作、ならびに/もしくは監視するためのインキュベータおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、細胞培養物は、本開示のインキュベータ内の培養容器内で成長される。本明細書で使用されるように、「細胞培養容器」は、筐体と、細胞を培養するための1つまたはそれを上回るチャンバとを含む、デバイスである。いくつかの実施形態では、筐体は、フレームである。フレームは、蓋に結合されてもよい。1つまたはそれを上回るチャンバは、1つまたはそれを上回る膜を含む、細胞培養培地を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、細胞の成長を助長するための栄養素を含んでもよい。ある実施形態では、細胞培養容器は、1つまたはそれを上回る細胞もしくはその群を完全に封入してもよい。細胞培養容器の筐体は、1つまたはそれを上回る細孔もしくは開口部を含み、細胞培養容器とその周囲環境との間のガスの移送を可能にしてもよい。ある実施形態では、細胞培養容器は、透明または光学的にクリアな窓を含む。例えば、細胞培養容器の筐体に結合される蓋は、例えば、撮像システムを用いて、細胞を視認するための光学的にクリアな部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、実質的に非反射性である、1つまたはそれを上回る部分を含む。
【0056】
細胞培養容器は、真核または原核細胞を含む、異なるタイプの細胞を培養するために構成されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞、イヌ細胞、ウシ細胞、ヒツジ細胞、ネコ細胞、またはウサギ、マウス、もしくはラット細胞等の齧歯類細胞)である。いくつかの実施形態では、細胞は、昆虫細胞、鳥類細胞、微生物細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Kluyveromyces lactis、またはPischia pastoris細胞等の酵母細胞、またはEscherichia coli、Bacillus subtilis、またはCorynebacterium細胞等の細菌細胞)、昆虫細胞(例えば、Drosophila細胞またはSf9もしくはSf21細胞)、植物細胞(例えば、藻類細胞)、または任意の他のタイプの細胞である。
【0057】
いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、特定の目的のため、例えば、細胞を成長させる、細胞を分化する、細胞を特定のアッセイ条件に曝す等のために、所望の1つまたはそれを上回る試薬とともに事前にキット化されてもよい。いくつかの実施形態では、事前にキット化された細胞培養容器は、実験に先立って、細胞培養上で特定の実験を実施するために有用な試薬(例えば、細胞成長培地、成長因子、選択剤、標識剤等)を含む。事前にキット化された細胞培養容器は、試薬の添加を要求しない、細胞培養の準備ができた容器を提供することによって、実験プロトコルを促進し得る。例えば、患者からの前駆細胞が、自家細胞療法のために分化された細胞の集団を増殖させる目的のために、細胞分化のための試薬で事前にキット化された細胞培養容器に添加されてもよい。事前にキット化された細胞培養容器は、任意の適切な温度で貯蔵されることができ、これは、事前にキット化された細胞培養容器内の試薬の推奨される貯蔵パラメータによって判定される。いくつかの実施形態では、事前にキット化された細胞培養貯蔵容器は、使用に先立って約-80℃~約37℃の温度で貯蔵される。いくつかの実施形態では、事前にキット化された細胞培養貯蔵容器は、使用に先立って約-80℃~約-20℃の温度で貯蔵される。いくつかの実施形態では、事前にキット化された細胞培養貯蔵容器は、使用に先立って約-20℃~約4℃の温度で貯蔵される。いくつかの実施形態では、事前にキット化された細胞培養貯蔵容器は、使用に先立って約4℃~約37℃の温度で貯蔵される。いくつかの実施形態では、事前にキット化された細胞培養容器は、使い捨てである。いくつかの実施形態では、事前にキット化された細胞培養容器は、再使用可能および/または再充填可能である。
【0058】
いくつかの実施形態では、細胞は、天然生成物(例えば、タキソール、顔料、脂肪酸、バイオ燃料等)を生成するために培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、組み換え生成物(例えば、抗体、ホルモン、成長因子、または他の治療用ペプチドもしくはタンパク質等の組み換えタンパク質生成物)を発現させるために培養される。いくつかの実施形態では、細胞は、対象内の欠失または欠乏している細胞、組織、もしくは器官機能を提供または補完するために、対象(例えば、ヒト対象)の中への埋込等の治療用の使用のために増殖および/または分化される。
【0059】
いくつかの実施形態では、細胞は、不死化細胞株に由来する。細胞株の非限定的実施例は、ヒト細胞、例えば、HeLa細胞、前立腺癌細胞(例えば、DU145、PC3、および/またはLncap細胞)、乳癌細胞(例えば、MCF-7、MDA-MB-438、および/またはT47D細胞)、急性骨髄性白血病細胞(例えば、THP-1細胞)、膠芽腫細胞(例えば、U87細胞)、神経芽腫細胞(例えば、SHSY5Y細胞)、骨癌細胞(例えば、Saos-2細胞)、および慢性骨髄性白血病細胞(例えば、KBM-7細胞)を含む。いくつかの実施形態では、細胞株は、霊長類細胞株、齧歯類細胞株(例えば、ラットまたはマウス細胞株)、イヌ細胞株、ネコ細胞株、Zebrafish細胞株、Xenopus細胞株、植物細胞株、または任意の他の細胞株を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト293細胞(例えば、293-TまたはHEK293細胞)、ネズミ3T3細胞、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、CML T1細胞、またはJurkat細胞である。
【0060】
いくつかの実施形態では、細胞は、初代細胞、フィーダ細胞、または幹細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、対象(例えば、ヒト対象)から単離される。いくつかの実施形態では、細胞は、組織または生検サンプルから単離された初代細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、造血細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、幹細胞、例えば、胚性幹細胞、間葉系幹細胞、癌幹細胞等である。いくつかの実施形態では、細胞は、限定ではないが、固形組織および器官を含む、組織または器官(例えば、ヒト組織または器官)から単離される。いくつかの実施形態では、細胞は、胎盤、臍帯、骨髄、肝臓、臍帯血を含む血液、または任意の他の好適な組織から単離されることができる。いくつかの実施形態では、患者特異的細胞が、培養(例えば、細胞増殖および随意に分化のために)および同一患者または異なる患者の中への後続再埋込のために患者から単離される。故に、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるインキュベータ内で成長される細胞は、同種または自家療法のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるインキュベータ内で成長される細胞は、免疫療法を提供する目的のために、遺伝子的に修飾され、増殖され、および患者の中に再導入されてもよい(例えば、キメラ抗原受容体療法(CAR-T)またはCRISPR/Cas修飾細胞の送達)。
【0061】
いくつかの実施形態では、初代細胞培養は、上皮細胞(例えば、角膜上皮細胞、乳房上皮細胞等)、線維芽細胞、筋芽細胞(例えば、ヒト骨格筋筋芽細胞)、ケラチノサイト、内皮細胞(例えば、微小血管内皮細胞)、経細細胞、平滑筋細胞、造血細胞、胎盤細胞、またはその2つもしくはそれを上回るものの組み合わせを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、細胞は、組み換え細胞(例えば、ハイブリドーマ細胞または1つまたはそれを上回る組み換え生成物を発現する細胞)。いくつかの実施形態では、細胞は、1つまたはそれを上回るウイルスに感染している。
【0063】
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に提供されるインキュベータ内でのエクスビボ培養のために組織または生物学的サンプルから単離される。いくつかの実施形態では、細胞(例えば、白血球)が、血液から単離される。いくつかの実施形態では、細胞は、物理的および/または酵素的崩壊を使用して、組織または生物学的サンプルから解放される。いくつかの実施形態では、コラゲナーゼ、トリプシン、またはプロナーゼ等の1つまたはそれを上回る酵素が、細胞外基質を消化させるために使用される。いくつかの実施形態では、組織または生物学的サンプルは、培養培地内に設置され(例えば、物理的または酵素的崩壊の有無を問わず)、解放され、培養培地中で成長される、細胞は、さらなる培養のために単離されることができる。
【0064】
本明細書で使用されるように、細胞培養は、制御条件(例えば、エクスビボ)下で細胞を維持および/または成長させるための手順を指す。いくつかの実施形態では、細胞は、細胞成長および複製を助長するための条件、組み換え生成物の発現を助長するための条件、分化を助長するための条件(例えば、1つまたはそれを上回る組織特異的細胞タイプに)、またはその2つもしくはそれを上回るの組み合わせ下で培養される。
【0065】
いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、懸濁液中の細胞を培養するために構成される。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、粘着細胞を培養するために構成される。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、2Dまたは3D細胞培養のために構成される。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、1つまたはそれを上回る表面またはマイクロ担体を含み、細胞成長を支持する。いくつかの実施形態では、これらは、細胞外基質成分(例えば、コラーゲン、フィブリン、および/またはラミニン成分)でコーティングされ、接着性質を増加させ、成長および分化のために必要とされる他の信号を提供する。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、ポリアクリルアミドまたはポリエチレングリコール(PEG)ゲル等の1つまたはそれを上回る合成ヒドロゲルを含み、細胞成長を支持する。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、埋設された栄養素(例えば、ある細菌または酵母培養のために、例えば、ゲルまたは藻類)を伴う、固体支持体を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養容器は、液体培養培地を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、細胞は、任意の好適な培養培地のうちの1つ内で培養される。異なる範囲のpH、グルコース濃度、成長因子、および他のサプリメントを有する、異なる培養培地が、異なる細胞タイプまたは異なる用途のために使用されることができる。いくつかの実施形態では、Dulbecco’s Modified Eagle培地、Minimum Essential培地、RPMI培地、HAもしくはHAT培地、またはLife Technologiesもしくは他の商業的供給源から利用可能な他の培地等のカスタム細胞培養培地または市販の細胞培養培地が、使用されることができる。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、血清(例えば、ウシ胎児血清、仔ウシ血清、ウマ血清、ブタ血清、または他の血清)を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、血清がない。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、ヒト血小板溶解物(hPL)を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、1つまたはそれを上回る抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、アンピシリン、カルベニシリン、セフォタキシム、ホスミドマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリン、ペニシリンストレプトマイシン、ポリミキシンB、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、または任意の他の好適な抗生物質もしくはその2つもしくはそれを上回る任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、1つまたはそれを上回る塩類(例えば、平衡塩類、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等)を含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、炭酸水素ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、細胞培養培地は、1つまたはそれを上回る緩衝剤(例えば、HEPESまたは他の好適なバッファ)を含む。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るサプリメントが、含まれる。サプリメントの非限定的実施例は、還元剤(例えば、2-メルカプトエタノール)、アミノ酸、コレステロールサプリメント、ビタミン、トランスフェリン、界面活性剤(例えば、非イオン界面活性剤)、CHOサプリメント、初代細胞サプリメント、酵母溶液、またはその2つもしくはそれを上回るものの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る成長または分化因子は、細胞培養培地に添加される。成長または分化因子(例えば、WNT系タンパク質、BMP系タンパク質、IGF系タンパク質等)は、個々にまたは組み合わせて、例えば、特定系統への分化を引き起こす異なる因子を含む分化混合物として、添加されることができる。成長または分化因子および液体培地の他の側面は、本明細書に提供されるインキュベータの一部として統合される自動化された液体ハンドラを使用して添加されることができる。
【0067】
いくつかの側面では、本明細書に説明されるインキュベータおよび方法は、細胞成長のために適切な温度およびガス混合物を提供および維持する。細胞成長条件は、異なる細胞タイプに関して異なり、本明細書に説明されるインキュベータは、異なる条件を維持するようにプログラムされることができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、約37℃および5%COの条件が、哺乳類細胞に関して使用される。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるデバイスおよび方法は、栄養の消耗、pHの変化、アポトーシス性または壊死性細胞の温度蓄積の変化、ならびに/もしくは細胞密度に関して培養培地を監視または評価するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるデバイスおよび方法は、適切であるとき、培養培地または条件を修正もしくは変化させるために、ならびに/もしくは細胞培養物を通過させるために使用される。いくつかの実施形態では、これらの手順は、自動化されている。
【0069】
いくつかの実施形態では(例えば、付着細胞培養のため)、培養培地は、直接、吸引によって除去され、新しい培地と交換されることができる。いくつかの実施形態では(例えば、非付着/懸濁液培養のために)、培地変更は、細胞培養物を遠心分離し、古い培養培地を除去し、それと新しい培地を交換することを伴うことができる。いくつかの実施形態では、遠心分離機が、インキュベータの内部チャンバ内に位置する。いくつかの実施形態では、培養容器は、連続培地交換を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるインキュベータは、培養培地の異なる側面を処理、交換、供給、および/または維持し、細胞を支持するために使用され得る、1つまたはそれを上回る構成要素を含んでもよい。インキュベータは、廃棄培地を含むリザーバおよび/または新しい培地を含むリザーバを含んでもよい。そのようなリザーバは、(例えば、一時的貯蔵のために)インキュベータの内側の冷蔵庫またはインキュベータの冷蔵区分内に存在してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るリザーバが、インキュベータの外側に提供され、液体ハンドラユニット(例えば、吸引器を有する液体ハンドルユニット)またはインキュベータ内の一時的リザーバから供給または引出するために、配管が、インキュベータ空間の内外に提供され、細胞給送、培地変更、および他の関連必要性を促進する。懸濁細胞に関して、デバイス(例えば、細胞分画を促進するための遠心分離機)が、インキュベータ内に提供され、細胞を廃棄培地から分離し、本明細書に提供されるインキュベータの一部として自動化された培地変更を促進してもよい。いくつかの実施形態では、本書は、細胞培養の最適成長のために、細胞培養条件を自動的に監視および調節可能である、コンピュータに結合された細胞培養インキュベータを備える、システムを提供する。
【0070】
いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に説明されるインキュベータキャビネット内で継代される。いくつかの実施形態では、細胞培養物は、分裂され、細胞培養物のサブセットは、さらなる成長のために、新しい培養容器に移送される。いくつかの実施形態では(例えば、付着細胞培養のために)、細胞は、新しい培養容器に移送されることに先立って、表面から剥離される(例えば、機械的に、例えば、優しい掻爬を使用して、および/または酵素的に、例えば、トリプシン-EDTAもしくは1つまたはそれを上回る他の酵素を使用して)。いくつかの実施形態では(例えば、懸濁細胞培養のために)、小体積の細胞培養が、新しい培養容器に移送される。
【0071】
いくつかの実施形態では、細胞培養物は、本明細書におけるインキュベータのインキュベータキャビネット内での培養の間、他の方法で操作される。例えば、細胞培養物は、例えば、本明細書に提供されるインキュベータのインキュベータキャビネット内に留まる間、核酸(例えば、DNAまたはRNA)でトランスフェクトされる、もしくはウイルス感染に暴露され(例えば、組み換えウイルス粒子を使用して、DNAまたはRNAを送達し)得る。
【0072】
無菌技法は、使用され、成長および操作の間、細胞培養の汚染を防止または最小限にすることができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、細胞培養のために使用される機器(例えば、ピペット、流体取扱デバイス、操作デバイス、他の自動化、またはロボットデバイス等)は、適切な技法を使用して滅菌される。非限定的技法は、本明細書に説明されるように、熱暴露(例えば、高圧蒸気殺菌)、表面消毒(例えば、アルコール、漂白剤、または他の消毒剤を使用して)、照射、および/または消毒ガス(例えば、オゾン、過酸化水素等)への暴露を含む。いくつかの実施形態では、培地は、適切な技法を使用して滅菌される。非限定的技法は、熱暴露(例えば、高圧蒸気殺菌)、抗菌/抗ウイルス処置、濾過、および/または照射を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、細胞培養の操作は、無菌条件下、例えば、消毒され、空気が濾過され、潜在的汚染物質を除去した環境(例えば、インキュベータチャンバ)内で実施される。
【0074】
いくつかの実施形態では、細胞培養物は、GMP準拠培地またはGMP準拠液体取扱機器を使用することを含むものを含む、GMP準拠条件下で成長および維持される。ある場合には、細胞培養物は、標準作業手順(SOP)と併せて方法を実施することによって成長および維持される。
【0075】
いくつかの実施形態では、細胞培養は、監視および/または評価され、汚染を検出することができる。いくつかの実施形態では、異なるタイプの微生物からの細胞による汚染が、検出されることができる。いくつかの実施形態では、マイコプラズマ、細菌、酵母、またはウイルスによる哺乳類細胞培養の汚染は、任意の好適な技法を使用して検出されることができる。いくつかの実施形態では、細胞培養汚染は、汚染(例えば、細菌または酵母による)の特性であって、培養物中で成長されている細胞(例えば、哺乳類細胞)の特性ではない、pH、濁度等の1つまたはそれを上回る培養性質の変化または変化率をアッセイすることによって検出されることができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る分子検出アッセイ(例えば、PCR、ELISA、RNA標識、または他の酵素技法)または細胞ベースのアッセイが、汚染(例えば、マイコプラズマ、細菌、酵母、ウイルス、または他の汚染)を検出するために使用されることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、細胞培養は、類似タイプの細胞による汚染(例えば、異なるヒト細胞または異なる哺乳類細胞によって汚染されたヒト細胞株)を検出するように監視および/または評価されることができる。いくつかの実施形態では、細胞培養およびその潜在的汚染は、DNAシーケンシングまたはDNAフィンガプリント法(例えば、短鎖縦列反復配列-STR-フィンガプリント法)、アイソザイム分析、ヒトリンパ球抗原(HLA)判定、染色体分析、核型分析、細胞形態、または他の技法を使用して評価されることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるインキュベータまたは方法を使用して生成される細胞は、後の使用および/または輸送のために、それらを冷凍して保存することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、成長および/または分化後、凍結に先立って、凍結保存組成物と混合される。凍結保存組成物は、細胞培養容器に添加されることができる、または細胞は、細胞培養容器から凍結保存容器に凍結保存組成物とともに移送されることができる。凍結保存組成物中に含まれる得る凍結保護物質の非限定的実施例は、DMSO、グリセロール、PEG、スクロース、トレハロース、およびデキストロースを含む。いくつかの実施形態では、凍結装置が、インキュベータの構成要素として提供され、細胞培養物から単離された細胞の凍結を促進してもよい。例えば、1つまたはそれを上回る凍結装置が、内部チャンバ内に位置し、ならびに/もしくはインキュベータキャビネットの中(例えば、インキュベータキャビネットの壁の中)に統合されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、本書は、制御条件下(例えば、無菌および/または滅菌条件下)で細胞を培養、操作、ならびに/もしくは監視するためのインキュベータおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、細胞培養インキュベータは、1つまたはそれを上回る細胞培養容器内での細胞のインキュベーションのための内部チャンバを有する、インキュベータキャビネットを含む。ある場合には、移送チャンバから内部チャンバへの内部ドアに加え、インキュベータは、外部環境から直接内部チャンバに開放し、例えば、インキュベータが動作していない時間周期の間、例えば、インキュベータの保守の間、内部チャンバへの代替アクセスを提供する、少なくとも1つの外部ドア(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれを上回る外部ドア)を含む。いくつかの実施形態では、インキュベータは、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を貯蔵するための、内部チャンバ内の貯蔵場所を含む。
【0079】
本明細書で使用されるように、「インキュベータキャビネット」は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を保持するように構成される1つまたはそれを上回るチャンバを含む、筐体である。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、移送チャンバと、内部チャンバとを含み、その一方または両方は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を保持するように構成される。いくつかの実施形態では、インキュベータは、1つまたはそれを上回るガス源(例えば、ガスシリンダまたはオゾン発生器)、管類(例えば、水、蒸留水、脱イオン水、細胞培養培地、空気、二酸化炭素、オゾン、および酸素等の1つまたはそれを上回る液体もしくはガスを伝達する)、空気流量機構(例えば、弁、解放弁、ピン孔、ガス調整器、および質量流量調整器)、圧力機構(例えば、乾燥スクロールポンプ、回転式ポンプ、運動量移送ポンプ、拡散ポンプ、またはダイヤフラムポンプ等のポンプ;吸引管;真空システム;および空気送風機)、環境モニタおよび制御(例えば、二酸化炭素、酸素、およびオゾン等のガスの濃度を感知および/または制御するためのガスセンサおよび/またはモニタ;熱源またはシンク;温度モニタおよび制御;湿度モニタ;ガススクラバ;空気フィルタ;粒子状物質を測定するための器具類;圧力ゲージ;および流量計)、ドア(例えば、開口部またはパネル)、窓(例えば、インキュベータの内側の面積を視認するためのガラス、プラスチック、複合材、または他の実質的に透明材料から作製される光学窓)、ポート(例えば、1つまたはそれを上回るガスもしくは液体の導入または除去を可能にする)、光源(例えば、ランプ、電球、レーザ、およびダイオード)、光学要素(例えば、顕微鏡対物レンズ、ミラー、レンズ、フィルタ、開口、波プレート、窓、偏光器、ファイバ、ビームスプリッタ、およびビームコンバイナ)、撮像要素(例えば、カメラ、バーコード読取機)、電気要素(例えば、回路、ケーブル、電源コード、ならびにバッテリ、ジェネレータ、および直流または交流電流供給源等の電力供給源)、コントローラ、機械的要素(例えば、モータ、ホイール、歯車、ロボット要素、ならびに空気圧アクチュエータ、電磁アクチュエータ、カムを伴うモータ、圧電アクチュエータ、および送りねじを伴うモータ等のアクチュエータ)、および制御要素(例えば、スピンホイール、ボタン、キー、トグル、スイッチ、カーソル、ねじ、ダイヤル、画面、およびタッチ画面)等の1つまたはそれを上回る他の要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの他の要素のうちの1つまたはそれを上回るものは、インキュベータの一部であるが、インキュベータキャビネットの外部にある。いくつかの実施形態では、これらの他の要素のうちの1つまたはそれを上回るものは、インキュベータキャビネット内に含まれる。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、直方体形状である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、1フィート~16フィートの範囲内の長方形占有面積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、最大約1フィート、2フィート、3フィート、4フィート、5フィート、6フィート、7フィート、8フィート、9フィート、10フィート、11フィート、12フィート、13フィート、14フィート、15フィート、または16フィートの長方形占有面積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、1フィート~100フィートの範囲内の総チャンバ体積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、最大約1フィート、5フィート、10フィート、25フィート、50フィート、または100フィートのチャンバ体積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、0.09m~1.78mの範囲内の長方形占有面積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、最大約0.1m、0.2m、0.3m、0.4m、0.5m、0.6m、0.7m、0.8m、0.9m、1.0m、1.1m、1.2m、1.3m、1.4m、1.5m、1.6m、または1.7mの長方形占有面積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、0.03m~3mの範囲内の総チャンバ体積を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータまたはインキュベータキャビネットは、最大約0.03m、0.1m、0.3m、1m、または3mのチャンバ体積を有する。
【0081】
本明細書で使用されるように、「貯蔵場所」は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器が貯蔵される場所(例えば、インキュベータキャビネット内)を指す。例えば、1つまたはそれを上回る細胞培養容器は、貯蔵場所に貯蔵され、後に、異なる場所(例えば、撮像場所)に移送されてもよい。貯蔵場所は、インキュベータの内部チャンバキャビネット内に配置されてもよい。貯蔵場所は、複数の細胞培養容器を貯蔵するために構成されてもよい。例えば、貯蔵場所は、1つまたはそれを上回る貯蔵アレイ、ラック、棚、分類棚、整理棚、トレイ、スロット、または他の位置もしくは機構を含んでもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所は、細胞培養容器を水平に貯蔵するように構成されてもよい一方、他の実施形態では、細胞培養容器を垂直に貯蔵するように構成されてもよい。例えば、貯蔵場所は、相互にわたって垂直にスタックされた細胞培養容器を受容するための複数のスロットを含んでもよい。貯蔵場所は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、または任意の他の数の細胞培養容器を保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所は、100を上回る細胞培養容器を保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所は、1つまたはそれを上回る貯蔵アレイ、ラック、棚、分類棚、整理棚、トレイ、スロット、または他の位置もしくは機構を移動させるための機構を含んでもよい。例えば、貯蔵場所は、1つまたはそれを上回るモータおよび可動段(例えば、xyまたはxyz段)を含み、貯蔵ラックを内部チャンバ内の1つの位置から内部チャンバ内の別の位置に移動させ、例えば、異なる場所内に貯蔵される1つまたはそれを上回る細胞培養容器へのアクセスを促進してもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を移動させるための1つまたはそれを上回る細胞培養容器移送デバイスを含んでもよい。
【0082】
貯蔵場所は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を固着して保持もしくは受容するように構成されてもよい。例えば、貯蔵場所の1つまたはそれを上回る構成要素は、1つまたはそれを上回る接着剤、磁気、電気、および/または機械的構成要素(例えば、スナップ、締結具、ロック、留め金、ガスケット、Oリング、隔壁、ばね、および他の係合部材)を有する、1つまたはそれを上回るロック機構を含んでもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵場所および/または細胞培養容器は、1つまたはそれを上回る溝もしくは凹部を含んでもよい、および/または成型プラスチック片を伴ってもよい。例えば、細胞培養容器は、貯蔵場所における1つまたはそれを上回る対応する溝、孔、または凹部の中への挿入のために成型される、1つまたはそれを上回る突出特徴(例えば、リムまたはノブ)を含んでもよい。ある場合には、細胞培養容器は、貯蔵場所における1つまたはそれを上回る対応する突出特徴に嵌合するように成型される、1つまたはそれを上回る溝、孔、もしくは凹部を含んでもよい。
【0083】
本明細書で使用されるように、「基準マーク」は、1つまたはそれを上回る構成要素の整合を促進する、特徴を指す。いくつかの実施形態では、基準マークは、蛍光性培地または印刷もしくはエンボス加工された蛍光性材料にわたって1つまたはそれを上回る孔開口を含んでもよい。他の実施形態では、基準マークは、グリッド、ライン、または記号を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る細胞培養容器は、1つまたはそれを上回る基準マークを含み、1つまたはそれを上回る細胞培養容器と撮像機の整合を促進する。
【0084】
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、単壁式である。いくつかの実施形態では、インキュベータは、二重壁式である。いくつかの実施形態では、断熱材が、インキュベータのキャビネットの二重壁間に提供され、インキュベータキャビネットからの熱損失を制御し、インキュベータキャビネット内の温度制御を促進する。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの外壁は、シート金属、例えば、14~20の冷間圧延鋼を備える。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの内壁(例えば、チャンバ表面)は、電解研磨ステンレス鋼を含む。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの内壁(例えば、チャンバ表面)は、チタン、コバルト-クロム、タンタル、白金、ジルコニウム、ニオブ、ステンレス鋼、およびその合金等の耐腐食性材料を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットのチャンバ表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリマー材料、またはパリレンの商標名で公知のポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、チャンバ表面は、ポリマー表面コーティングの中に組み込まれる銅または銀もしくは抗微生物化合物等、抗微生物性を有してもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、インキュベータの内側の環境は、インキュベータの内側の(例えば、1つまたはそれを上回る内部チャンバ内の)温度、湿度、二酸化炭素、酸素、および他のガス状成分(例えば、オゾンおよび過酸化水素等の滅菌ガス)を制御するように構成され得る、制御システムによって制御される。いくつかの実施形態では、制御システムは、各内部チャンバ内の環境条件(例えば、温度、湿度、二酸化炭素、酸素および他のガス状成分)を別個に制御する。例えば、敏感な機械的、電子的、および光学構成要素を保護するために、内部チャンバの湿度は、貯蔵場所を有する内部チャンバより低いレベルに維持されてもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータはさらに、所定のセンサを伴う監視システムを具備する。監視デバイスの実施例は、限定ではないが、酸素モニタ、二酸化炭素モニタ、オゾンガス検出器、過酸化水素モニタ、およびマルチガスモニタを含む。例えば、いくつかの実施形態では、インキュベータは、有利には、温度、空気純度、汚染レベル、pH、湿度、N、CO、O、および光を含み得る、細胞成長に関連する異なるパラメータに応答する複数のセンサを含む。本監視システムを用いて、インキュベータ内のパラメータは、センサを使用して、培養またはプロセスの持続時間にわたって測定されることができる。いくつかの実施形態では、センサによって測定されたパラメータは、本明細書のどこかに議論されるように、さらなる処理のために、監視システムによって、回線を介して、コンピュータ制御式監視および制御システムに伝送される。
【0086】
いくつかの実施形態では、環境監視システムは、本明細書に説明されるインキュベータと併用されることができる。いくつかの実施形態では、温度、空気組成物(例えば、CO濃度、O濃度等)、および/またはシステムの湿度の測定を提供する、1つまたはそれを上回るセンサが、インキュベータと関連付けられる(例えば、インキュベータキャビネット内に嵌合される)ことができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るそのようなセンサは、インキュベータの一部として組み込まれる(例えば、インキュベータの内壁またはドアに取り付けられる、それと一体型である、またはそれに別様に接続される)ことができる。ある場合には、1つまたはそれを上回るセンサは、インキュベータキャビネットの外側または内側の任意の好適な場所に位置付けられることができる(例えば、移送チャンバおよび/または内部チャンバ内、例えば、内壁および/または上側または下側内部表面に取り付けられる)。
【0087】
いくつかの実施形態では、ガスセンサが、リアルタイムで、センサと接触するガス(例えば、キャビネット内のガスまたは周囲空気)の濃度をパーセント、百分率、または任意の他の標準的単位で読取値を提供することができるように提供される。本明細書に提供される方法およびインキュベータにおいて使用するためのガスセンサは、COセンサ、Oセンサ、Nセンサ、オゾンガス検出器、過酸化水素モニタ、マルチガスモニタ、およびCOセンサを含む。そのようなセンサは、いくつかの商業的供給源から利用可能である。ある場合には、インキュベータの環境は、本明細書に説明されるセンサによって提供される情報に基づいて変調または制御されてもよい。例えば、インキュベータ内のCOのレベルは、望ましい濃度より低いCOがインキュベータ内に存在することのCOセンサからのインジケーションに応じて増加されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る加熱または冷却要素が、インキュベータ内の温度を制御する目的のために、インキュベータ内に組み込まれることができる(例えば、キャビネットまたはドアの内側表面上に、および/またはキャビネットの壁ならびに/もしくは基部のうちの1つまたはそれを上回るもの内に統合される)。いくつかの実施形態では、加熱要素が、液体、例えば、細胞培養培地または他の試薬を解凍するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る空気もしくは酸素源、炭素フィルタ、および/または1つまたはそれを上回る加湿もしくは脱湿システムが、インキュベータに接続され、インキュベータ内の酸素、二酸化炭素、および/または湿度のレベルを制御するように構成される(例えば、インキュベータ内またはそこに取り付けられる、1つまたはそれを上回るセンサからの信号に応答して)。
【0089】
いくつかの実施形態では、インキュベータは、1つまたはそれを上回る光源(例えば、白熱電球、LED、UVまたは他の光源)を含むことができる。これらは、インキュベータ内に設置され、キャビネット内の領域を照明することができる。いくつかの実施形態では、培養システム動作は、インキュベータ内または外側に設置され得る、カメラまたは他の光敏感なデバイスを使用して監視される。いくつかの実施形態では、光源は、殺菌光源である。例えば、UVランプが、本明細書に説明される移送チャンバおよび/またはインキュベータの内部チャンバ内に位置してもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、インキュベータは、インキュベータ内からの可視光または他の光波長がインキュベータの外側に設置されたカメラまたは他の光敏感なデバイスによって検出されることを可能にする、透明オブジェクト(例えば、窓)を含む。いくつかの実施形態では、透明オブジェクトの内側表面は、内側表面上に蓄積し(例えば、空気インキュベータの内側の湿った空気に起因する)、システムの監視に干渉し得る、結露を防止または除去するために、払拭されることができる(例えば、キャビネットの内側から)。いくつかの実施形態では、表面は、コントローラによって自動的に制御される、ワイパーによって払拭されることができる。
【0091】
本明細書で使用されるように、「ドア」は、開放されると、2つまたはそれを上回る環境もしくは領域間の連通を可能にし、閉鎖されると、2つまたはそれを上回る環境もしくは領域間の連通を防止する、要素である。ドアは、スライドドア、ポケットドア、スイングドア、ヒンジドア、回転ドア、枢動ドア、または折畳ドア等の任意のタイプであってもよい。ドアは、手動で、機械的に、または電気的に動作されてもよい。例えば、オペレータは、ドアまたはその要素(例えば、ハンドル)を手動で握持する、引動する、押動する、および/またはそれと別様に物理的に相互作用することによって、または機械的制御(例えば、ボタン、トグル、スピンホイール、キー、スイッチ、カーソル、ねじ、ダイヤル、画面、またはタッチ画面)を動作させることによって、ドアを開閉してもよい。ある実施形態では、ドアは、コントローラ等によって、電気またはデジタル制御によって制御されてもよい。ドアは、自動的開放式ドアであってもよい。例えば、ドアは、ドアが開放または閉鎖しているかどうかを検出する、および/またはドアが開閉するときを制御する、圧力、赤外線、運動、または遠隔センサ等のセンサを含んでもよい。ドアは、機械的、空気圧、電気、または他の手段によって開放してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るドアは、1つまたはそれを上回るロック機構を含んでもよい。特定の環境では、1つまたはそれを上回るドアは、1つまたはそれを上回るインターロック(例えば、ピン、バー、またはロック等の機械的インターロックもしくはスイッチ等の電気的インターロック)を含み、1つまたはそれを上回るドアが望ましくない時間に開放しないように防止する(例えば、1つまたはそれを上回るチャンバが外側環境に開放されるとき)。
【0092】
いくつかの実施形態では、インキュベータ(例えば、内部チャンバおよび/またはインキュベータキャビネットの移送チャンバ)は、閉鎖されると、シールされ、無菌状態を保持する(例えば、インキュベータの1つまたはそれを上回るチャンバが殺菌された後)、1つまたはそれを上回る窓ならびに/もしくはドアを備える。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットの各シールは、閾値レベルの圧力(例えば、最大1atm)まで気密である。いくつかの実施形態では、ガスケットが、所望のレベルのシール能力を確実にするために提供される。一般に、「ガスケット」は、概して、圧縮下にある間、2つの物体間の漏出を防止するために、2つの物体間の空間を充填する、機械的シールとして理解される。ガスケットは、一般に、ガスケットペーパー、ゴム、シリコーン、金属、コルク、フェルト、ネオプレン、ニトリルゴム、ガラス繊維、またはプラスチックポリマー(ポリクロロトリフルオロエチレン等)等のシート材料から切断することによって生成される。多くの場合、ガスケットは、変形し、任意の若干の不規則性を含むために設計される空間を緊密に充填可能であるように、ある程度の降伏を提供する材料から作製されることが望ましい。いくつかの実施形態では、ガスケットは、適切に機能するために、シーラントのガスケット表面への直接塗布と併用されることができる。いくつかの実施形態では、ガスケット材料は、二酸化炭素またはオゾンと反応しない独立気泡ネオプレンフォームを含むことができる。
【0093】
本明細書で使用されるように、「1つまたはそれを上回るアイテムを移動させるための移送デバイス」は、1つまたはそれを上回るアイテムを第1の場所から第2の場所に移送し得るデバイスを指す。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るアイテムは、1つまたはそれを上回る細胞培養容器である。他の実施形態では、1つまたはそれを上回るアイテムは、1つまたはそれを上回る細胞培養容器の保守のために有用であって、限定ではないが、ピペット、毛細管、液体(例えば、細胞培養培地)、栄養素、および他の材料を含む。ある実施形態では、移送デバイスは、1つまたはそれを上回るアイテムをインキュベータ内の複数の場所へもしくはそこから移送してもよい。例えば、移送デバイスは、1つまたはそれを上回る細胞培養容器の保守のために、ピペットを内部チャンバ内の保守場所に移動させるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータは、1つまたはそれを上回るアイテムを移動させるための1つを上回る移送デバイス(例えば、アイテムをチャンバ間およびその中で移送するための2つまたはそれを上回る別個の移送デバイス)を含む。
【0094】
移送デバイスは、弁(例えば、電磁または空気圧弁)、歯車、モータ(例えば、電気もしくはステッパモータ)、段(例えば、xyまたはxyz段)、ピストン、ブレーキ、ケーブル、ボールねじアセンブリ、ラックピニオン配列、グリッパ、アーム、枢動点、継手、平行移動要素、もしくは他の機械的もしくは電気的要素等の1つまたはそれを上回る要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、移送デバイスは、1つまたはそれを上回るロボット要素を含んでもよい。例えば、移送デバイスは、1つまたはそれを上回るアイテム(例えば、ピペット)を把持する、持ち上げる、押動する、握持する、摺動する、回転させる、平行移動する、解放する、上昇させる、降下させる、ならびに/もしくは傾斜させることが可能なロボットアームを含んでもよい。好ましい実施形態では、移送デバイスは、選択的かつ解放可能に、1つまたはそれを上回るピペットを把持する。ある実施形態では、移送デバイスは、機械的グリッパに結合されるアームを含んでもよい。例えば、アームは、機械的グリッパをピペットを解放可能に把持するための一端またはその近傍に含み、他端もしくはその近傍においてインキュベータの表面または要素に固着して結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、機械的グリッパがアームおよびアームに沿った1つまたはそれを上回る枢動ならびに/もしくは平行移動継手に結合し、アームの一部の柔軟な回転および平行移動を可能にする、枢動点を含む。このように、ロボットアームは、インキュベータ(例えば、内部チャンバ内の貯蔵アレイ)内の異なる水平および垂直位置において、1つまたはそれを上回るアイテム(例えば、ピペット)にアクセスしてもよい。
【0095】
本明細書で使用されるように、「細胞培養容器移送デバイス」は、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を第1の場所から第2の場所に移送し得るデバイスを指す。ある実施形態では、移送デバイスは、1つまたはそれを上回るアイテムをインキュベータ内の複数の場所へもしくはそこから移送してもよい。例えば、細胞培養容器移送デバイスは、細胞培養容器を移送チャンバから内部チャンバ、および/または貯蔵場所から撮像場所に移動させるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、インキュベータは、1つまたはそれを上回るアイテムを移動させるための1つを上回る移送デバイス(例えば、アイテムをチャンバ間およびその中で移送するための別個の手段)を含む。細胞培養容器移送デバイスは、弁(例えば、電磁または空気圧弁)、歯車、モータ(例えば、電気もしくはステッパモータ)、段(例えば、xyまたはxyz段)、ピストン、ブレーキ、ケーブル、ボールねじアセンブリ、ラックピニオン配列、グリッパ、アーム、枢動点、継手、平行移動要素、もしくは他の機械的もしくは電気的要素等の1つまたはそれを上回る要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細胞培養容器移送デバイスは、1つまたはそれを上回るロボット要素を含んでもよい。例えば、細胞培養容器移送デバイスは、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を把持する、持ち上げる、押動する、握持する、摺動する、回転させる、平衡移動する、解放する、上昇させる、降下させる、ならびに/もしくは傾斜させることが可能なロボットアームを含んでもよい。好ましい実施形態では、細胞培養容器移送デバイスは、選択的かつ解放可能に、1つまたはそれを上回る細胞培養容器を把持する。ある実施形態では、細胞培養容器移送デバイスは、機械的グリッパに結合されるアームを含んでもよい。例えば、アームは、機械的グリッパを細胞培養容器を解放可能に把持するための一端またはその近傍に含み、他端もしくはその近傍においてインキュベータの表面または要素に固着して結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、機械的グリッパがアームおよびアームに沿った1つまたはそれを上回る枢動ならびに/もしくは平行移動継手に結合し、アームの一部の柔軟な回転および平行移動を可能にする、枢動点を含む。このように、ロボットアームは、インキュベータ(例えば、内部チャンバ内の貯蔵アレイ)内の異なる水平および垂直位置において、1つまたはそれを上回る細胞培養容器にアクセスしてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、移送デバイスは、ロボットアームを含む。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、インキュベータキャビネットの内側表面(例えば、内壁、基部等)に沿って種々の方向に延設されるレールまたはコンベヤに沿って移動し得る、インキュベータキャビネット内のプラットフォームを含む。いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、1つを上回る(例えば、2、3、4、または5つ、またはそれを上回る)ロボットアームとともに構成され、器具のスループットを増加させ、ロボットアームのうちの1つの故障の場合、冗長性を提供してもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、移送デバイスはさらに、ロボットアームに結合される、グリッパアセンブリを含むことができる。いくつかの実施形態では、グリッパアセンブリは、ロボットアームの端部または端部付近に搭載される、1つまたはそれを上回るグリッパを含み、各グリッパは、2つまたはそれを上回る(例えば、3、4、5、またはそれを上回る)グリッパフィンガを備える。いくつかの実施形態では、ロボットアームのグリッパフィンガはそれぞれ、溝、摩擦プレート、ゴムパッド、または他の把持表面を有する。把持表面は、フィンガが、キャビネット内の種々のタイプのコンテナ(例えば、培養容器)を把持および輸送することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、グリッパアセンブリ、プラットフォームのいずれかに結合される絶対エンコーダ、またはグリッパアセンブリ、プラットフォーム毎の別個の絶対エンコーダを有し、ロボットアームが、障害物に衝打せずに、安全にホームに戻り得る位置にある(例えば、静置または貯蔵構成および/または場所もしくは動作座標系の起点に戻される)かどうかを判定してもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、ある状況では、ロボットアームの到達範囲は、インキュベータキャビネットのある面積まで延在しないことが望ましくあり得るため、ロボットアームは、代わりに、例えば、軸(例えば、x-軸、y-軸)に沿って移動し、ロボットアームが到達することができない、それらの場所の少なくともいくつかへのアクセスを提供する、インキュベータキャビネット床または他の表面上に位置する、シャトルまたはコンベヤベルトの中にコンテナを挿入する、もしくはそこからコンテナを除去することによって、これらの場所に到達してもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、外部アッセイまたは実験室自動化システムと併用されるように設計される。例えば、いくつかの実施形態では、インキュベータキャビネットは、フィンガが、培養容器または他のコンテナもしくは構成要素を実験室自動化システムの輸送ラインとインキュベータキャビネットまたはインキュベータキャビネットの外部アッセイ構成要素との間で輸送するために十分な到達範囲を伴って、グリッパアームがインキュベータのキャビネットの外側を枢動することを可能にするために十分に大きい開口部を有する、ドアを有してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、ロボットアームは、とりわけ、培養容器を搬送するように設計されており、その場合、ロボットアームの移動は、そのような容器の急激な動きもしくは加速または容器からのサンプルの溢流を生じさせ得る他の移動を防止するように制御される。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、とりわけ、培養容器を搬送するように設計され、その場合、ロボットアームの移動は、新しく播種された細胞を培養容器の具体的面積内に凝集/集中させるようなそのような容器の移動を防止するように制御される。
【0101】
いくつかの実施形態では、ロボットアームは、容器または他のコンテナをインキュベータキャビネット内の具体的位置間で輸送するため、ロボットアームまたはインキュベータの他の構成要素は、容器または他のコンテナが位置する場所を精密に追跡するように設計されることができる。ある場合には、ロボットアームが使用され得る、インキュベータキャビネット内には、インキュベータキャビネットの他の構成要素またはインキュベータキャビネットの壁が位置する、したがって、ロボットアームのある移動が限定され得るような面積が存在する可能性が高い。これらの場合、ホーム機構が、アームの種々のモータ(例えば、x-モータ、シータ-モータおよびz-モータ)毎に使用され、電源投入された後、またはロボットアームが別のオブジェクトと衝突する場合、動作を再開する前に、ロボットアームを既知の場所に適切に位置付けることができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、無停電電力供給源(「UPS」)が、インキュベータキャビネットにもしくはその中に取り付けられるか、またはそれとともに含有され、種々の自動化およびサンプル情報の保存ならびに進行中の任意の輸送または移送プロセス(例えば、ロボットアームによってその目的地に搬送されているコンテナまたは容器の輸送)の完了を含む、インキュベータ動作の正常シャットダウンを可能にする。オペレータは、可聴信号、視覚的信号、電子信号(例えば、電子メールまたはテキストメッセージ)によって、またはある他の様式において、インキュベータの無許可開放に対してアラートされてもよい。いくつかの実施形態では、センサまたは他の特徴が、インキュベータの1つまたはそれを上回るドアが開放されると(例えば、外部または内部ドア等のインキュベータキャビネットドアが開放されると)、それを検出するために提供される。そのような特徴は、オペレータが、無菌性を脅かす、生成物を駄目にする、アッセイまたは実験を損なわせ得る等、インキュベータ(例えば、インキュベータキャビネット)の任意の予定外または無許可の開放を追跡もしくは警告されることを可能にするため、有用である。いくつかの実施形態では、無線周波数ビーコンまたは他の信号源が、インキュベータキャビネット内の1つまたはそれを上回るデバイス内の場所を判定するために使用され得る、インキュベータ(例えば、インキュベータキャビネット)内に位置する(例えば、信号を検出し、それを使用して、その場所を判定することができる、センサを有するデバイス)。いくつかの実施形態では、デバイスは、信号源を有し得、センサは、インキュベータキャビネットのチャンバのうちの1つまたはそれを上回るもの内に位置し得る(例えば、内部チャンバの内部表面上に位置する)。
【0103】
いくつかの実施形態では、光信号またはレーザ(例えば、レーザ信号のグリッド)が、インキュベータキャビネット内の1つまたはそれを上回るデバイスもしくは構成要素の場所を判定するために使用されることができる。そのような情報は、例えば、有線または無線で、外部コンピュータまたは監視ステーションに通信されることができる。情報は、インキュベータキャビネット内の移送デバイス、例えば、ロボットアームの動作を制御し、移送デバイスが、インキュベータキャビネット内でデバイスまたはアイテムを適切に握持、操作、または操縦し得ることを確実にするために使用されることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、コンテナまたは容器がインキュベータキャビネット内に運ばれる前に、ユーザは、インキュベータキャビネットの中に挿入されている特定のコンテナ、容器、原料、または細胞に基づいて、自動化システムプロトコルを選択することができる。インキュベータおよび/または1つもしくはそれを上回るインキュベータ構成要素ならびに成長されている細胞に関連する関連情報が、データシステムの中に打ち込まれることができる。例えば、バーコード(例えば、1Dまたは2Dバーコード)等の1つまたはそれを上回る識別子が、コンテナまたは容器上に設置されることができ、コンテナのタイプ、コンテナの内容物、コンテナ内のサンプル上で実施されるべきアッセイまたは操作等の他の有意な情報が、規定されることができる。いくつかの実施形態では、インキュベータシステムおよび/または細胞に関連する情報は、別個のデータシステム上の1つまたはそれを上回るバーコードまたはそれらの組み合わせ内に含有されることができる。ユーザはまた、容器もしくは他のコンテナの寸法(例えば、高さ、直径)を識別する情報を打ち込んでもよい、またはシステム自体が、容器もしくは他のコンテナの高さの尺度を決定することができる。本情報を使用して、ロボットアームは、分析モジュールがアッセイもしくは他の操作を容器内で成長される細胞に実施する準備ができるとき、またはアッセイもしくは操作の実施が完了するとき等、特定のコンテナを輸送するように要求されてもよいも。
【0105】
本明細書に提供されるインキュベータは、センサ、環境制御システム、ロボット等を含む、いくつかの構成要素を含み、これは、コンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、または他のコントローラの指示でともに動作してもよい。構成要素は、例えば、移送デバイス(例えば、ロボットアーム)、液体取扱デバイス、培養容器を送達するための送達システム、インキュベータキャビネットへもしくはそこからの他の構成要素、インキュベータキャビネットの温度および他の環境側面を制御するための環境制御システム、ドア動作システム、撮像または検出システム、および細胞培養アッセイシステムを含んでもよい。
【0106】
ある場合には、細胞培養インキュベータおよび/またはその中に提供されるか、もしくはそれとインターフェースをとる構成要素の動作の制御等の動作は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装されてもよい。ソフトウェア内に実装されると、ソフトウェアコードは、単一構成要素内に提供される、または複数の構成要素間に分散されるかどうかにかかわらず、任意の好適なプロセッサまたはプロセッサの集合上で実行されることができる。そのようなプロセッサは、1つまたはそれを上回るプロセッサを集積回路構成要素内に伴う、集積回路として実装されてもよい。プロセッサは、任意の好適な形式における回路を使用して実装されてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、構成要素(例えば、コントローラ)は、インキュベータの内側で実施される種々のプロセスを制御する。例えば、コントローラは、制御機器(例えば、マニピュレータ、撮像機、流体取扱システム等)に指示してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、細胞培養の撮像、細胞の取り上げ、細胞の間引き(例えば、細胞集塊の除去)、細胞培養条件の監視、細胞培養条件の調節、インキュベータ内の細胞培養容器移動の追跡、および/または前述のプロセスのいずれかのスケジューリングを制御する。細胞アッセイ
【0108】
ある実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータは、1つまたはそれを上回るアッセイが、インキュベータキャビネットまたはインキュベータキャビネットに動作可能に接続されるチャンバ、例えば、インキュベータの一部である別個のアッセイチャンバ内で実施されることを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータは、細胞計数アッセイ、複製標識化アッセイ、細胞膜統合性アッセイ、細胞ATPに基づく生存率アッセイ、ミトコンドリアレダクターゼ活性アッセイ、カスパーゼ活性アッセイ、アネキシンV染色アッセイ、DNA含有量アッセイ、DNA分解アッセイ、核断片化アッセイ、またはそれらの組み合わせの実施を可能にするように構成される。他の例示的アッセイは、BrdU、EdU、またはH3-チミジン組み込みアッセイ;ヘキスト染色、DAPI、アクチノマイシンD、7-アミノアクチノマイシンD、またはヨウ化プロピジウム等の核酸染色を使用するDNA含有量アッセイ;AlamarBlue、MTT、XTT、およびCellTitre Glo等の細胞代謝アッセイ;核断片化アッセイ;細胞質ヒストン関連DNA断片化アッセイ;PARP切断アッセイ;ならびにTUNEL染色アッセイを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータは、細胞のデジタル識別およびマーキングを可能にするように構成される。例えば、細胞または複数の細胞が、本明細書に説明されるインキュベータ内で培養され、蛍光顕微鏡検査法を介して撮像され、着目細胞(例えば、蛍光発光に関して陽性である細胞)もしくは複数の細胞(例えば、細胞集団)を(例えば、インキュベータに結合される撮像ソフトウェアを有するコンピュータを介して)デジタル的にマーキングしてもよい。マーキングされた細胞の場所は、コンピュータのメモリ上に記憶され、後の時点にアクセスされることができる。細胞集団のデジタルマーキングは、マーキングされた細胞が続いて視認または操作されることを可能にし得る。後続の視認および/または操作することは、細胞がデジタル的にマーキングされた場所と同一の場所(例えば、撮像場所)もしくは細胞がデジタル的にマーキングされた場所から遠隔の場所(例えば、撮像場所ではない操作場所)で実施されてもよい。ある場合には、細胞または複数の細胞のデジタルマーキングは、1つまたはそれを上回る基準マークを介した、該細胞を収容する細胞培養容器の撮像器への整合によって促進され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるようなインキュベータは、複数のワークステーション(例えば、1台、または2台、または3台、または4台、または5台、またはそれを上回るワークステーション)を備え、各ワークステーションは、細胞のデジタル識別およびマーキングを可能にするように構成される。
【0110】
ある実施形態では、本明細書に提供されるインキュベータは、インキュベータキャビネット内の高スループットスクリーニング(HTS)を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、HTSは、最大で100,000化合物/日の、そしてそれを含む試験を指す。いくつかの実施形態では、スクリーニングアッセイは、マルチウェルフォーマット、例えば、96-ウェル、384-ウェルフォーマット、または1,536-ウェルフォーマットで実施されてもよく、自動化されたプロトコルを使用して実施されることができる。そのような高スループットアッセイでは、1日で数千個の異なる化合物または組成物をスクリーニング可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルは、選択された試験化合物に対して別個のアッセイを起動するために使用されることができる、または濃度もしくはインキュベーション時間効果が観察されるべき場合、複数のウェルが、単一化合物の試験サンプルを含むことができる。1日あたり多くのプレートをアッセイすることが可能であって、最大約6,000、20,000、50,000、または100,000個を上回る異なる化合物のためのアッセイスクリーニングが、アッセイを使用して可能である。典型的には、本明細書に開示されるアッセイのHTS実装は、自動化の使用を伴う。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るロボットアームを含む、統合されたロボットシステムが、化合物、細胞、および/または試薬添加、混合、インキュベーション、および最後に、読取または検出のために、複数のアッセイステーション間でアッセイマイクロプレートを輸送する。いくつかの側面では、HTSアッセイは、多くのプレートを同時に調製、インキュベート、および分析することを含み、データ収集プロセスをさらに加速させてもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、アッセイは、試験細胞、対照細胞、および1つまたはそれを上回る試験化合物、例えば、10、100、1000、10,000個、またはそれを上回る試験化合物を含むことができる。細胞および試験剤が、細胞に及ぼす試験化合物の影響を査定するために好適な様式において、1つまたはそれを上回る容器内に配列されることができる。これらのアッセイは、本明細書に説明される1つまたはそれを上回るインキュベータの1つまたはそれを上回るインキュベータキャビネット内で実施されることができる。典型的には、容器は、好適な組織培養培地を含有し、試験化合物が、組織培養培地内に存在し、自動化された方式において、本明細書に提供されるインキュベータのインキュベータキャビネット内の培養培地に送達されてもよい。特定の細胞タイプを培養するために適切な培地が、使用のために選択されることができる。いくつかの実施形態では、培地は、血清または組織抽出物がない、もしくは本質的にないが、他の実施形態では、そのような成分が、存在する。いくつかの実施形態では、細胞は、プラスチックまたはガラス表面上で培養される。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される技法が、自動細胞計数器内に採用されてもよい。自動細胞計数器は、細胞を含む容器を受容し、容器内の細胞数を数えるように構成される、デバイスとして構築されてもよい。自動細胞計数器は、独立型デバイスとして実装されてもよい、または別のデバイス(細胞培養インキュベータ等)の中に統合されてもよい。そのような自動細胞計数器の実施例が、自動細胞計数器500によって図5に示される。示されるように、自動細胞計数器は、容器内に細胞(例えば、容器内の流体内に懸濁される)を受容するように構成される、容器搭載部510を備える。容器搭載部510は、撮像システム508による撮像のために定位置に容器を保持(例えば、撮像場所に容器を保持)してもよい。撮像システム508は、図4を参照して上記に説明される撮像システム410に類似していて(またはそれと同一であって)もよい。例えば、撮像システム508は、容器内の細胞の画像を複数の焦点面内で捕捉するように構成されてもよい。コントローラ506は、撮像システム508に結合され、撮像システム508に容器搭載部510内の容器の画像を捕捉するように指示するように構成されてもよい。コントローラ506は、上記に説明されるプロセスの1つまたはそれを上回る行為を実施し、容器内の細胞数を数えることによって、撮像システム508によって捕捉された容器の画像を分析するように構成されてもよい。コントローラ506は、コントローラ506に結合されるディスプレイ504を介して容器内の細胞数に関する結果として生じる数を表示してもよい。ディスプレイ504は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、および/または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイとして実装されてもよい。ディスプレイ504が、タッチスクリーンディスプレイとして実装され、コントローラ506がオペレータから入力されたコマンドを受信することを可能にし得ることを理解されたい。例えば、コントローラ506は、ディスプレイ504を介して自動細胞計数器500のオペレータからコマンドを受信し、細胞計数プロセスを開始してもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、自動細胞計数器500の1つまたはそれを上回る構成要素が、エンクロージャ502の中に統合されてもよい。例えば、撮像システム508および506は、エンクロージャ502内に少なくとも部分的に封入されてもよい。加えて(または代替として)、ディスプレイ504ならびに/もしくは容器搭載部510は、エンクロージャ502の側壁の中に統合され、オペレータがディスプレイ504および/または容器搭載部510にアクセスすることを可能にしてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、上記に説明される撮像システム(例えば、撮像システム410および撮像システム508)は、容器の捕捉された画像内の生細胞と死細胞との間のコントラストを強調するための、光フィルタを備えてもよい。それによって、死細胞は、生細胞からより容易に区別され得る。光フィルタを備える撮像システムの例示的実装が、撮像システム600Aによって図6Aに示される。撮像システム600Aは、容器606内の細胞の明視野画像を捕捉するように構成されてもよい。示されるように、撮像システム600Aは、光源602と、光フィルタ604と、撮像デバイス608とを備える。撮像デバイス608は、容器606を通過する光を検出し、容器606内の細胞の画像を捕捉するように構成されてもよい。光源602は、広域スペクトルの光(白色光等)を放出し、容器606を照明するように構成されてもよい。発光ダイオード(LED)、白熱灯、および/またはハロゲンランプを使用する光源602が、実装されてもよい。光フィルタ604は、光源602からの光の少なくとも一部をフィルタリングするように構成されてもよい。例えば、光フィルタ604は、少なくともある光の強度を波長の規定される範囲内に低減し得る。光フィルタ604がフィルタリングするように構成される光の波長の特定の範囲は、例えば、撮像されている細胞のタイプ、撮像デバイス608の構成、光源602によって放出される光のスペクトル、光フィルタ604の場所、および/または選択的に死細胞を標識するように構成される、容器606内の薬品の存在に依存し得る。例証のための一実装では、光源602は、広域スペクトル光源であってもよく、撮像デバイス608は、モノクロ撮像デバイスであってもよく、容器606内の細胞は、トリパンブルーに暴露されてもよい。本実装では、光フィルタ604は、光源602と容器606との間に位置付けられ、約510ナノメートル(nm)~約650nmの光をフィルタリングする(例えば、510nm~650nmの光強度を低減させ、および/または510nm~650nmの光を完全に遮断する)ように構成されてもよい。
【0115】
種々の改造が、本開示の範囲から逸脱することなく、撮像システム600Aに成され得ることを理解されたい。例えば、光フィルタ604は、光源602と容器606との間の代わりに、撮像システム600Bによって図6Bに示されるように、容器606と撮像デバイス608との間に設置されてもよい。さらに、撮像システム600Aおよび/または600Bは、光の特性を変化させる、付加的な要素を備えてもよい。例えば、撮像システム600Aおよび/または600Bは、容器606内の細胞を拡大するための1つまたはそれを上回る光学要素を備えてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、撮像システム600Aおよび/または600Bは、光フィルタ604を用いることなく、容器の捕捉された画像内の生細胞と死細胞との間のコントラストを強調してもよい。例えば、光源602は、光フィルタ604を通過している広域スペクトル光として類似するスペクトルを伴う光を放出するように構成される、狭スペクトル光源(例えば、サイズが350nm未満、サイズが300nm未満、サイズが250nm未満、サイズが200nm未満、サイズが150nm未満、サイズが100nm未満、および/またはサイズが50nm未満であるスペクトルを伴う光を放出する光源)であってもよい。例えば、光源602は、白色光を放出し、フィルタ604を用いて白色光をフィルタリングし、黄色光を生産するように構成される白色LEDとして光源602を実装することへの代替として、黄色光を放出するように構成される黄色発光ダイオード(LED)として実装されてもよい。それによって、同一のコントラスト強調が、光フィルタ604を用いることなく達成され得る。狭スペクトル光が、着色LED(例えば、黄色LED、青色LED、緑色LED、赤色LED等)および着色レーザ(例えば、黄色レーザ、青色レーザ、緑色レーザ、赤色レーザ)等の種々の光源のうちのいずれかによって生成され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、黄色LEDまたは黄色レーザは、570nm~590nmの波長範囲内の光を放出する。いくつかの実施形態では、青色LEDまたは青色レーザは、450nm~500nmの波長範囲内の光を放出する。いくつかの実施形態では、緑色LEDまたは緑色レーザは、500nm~570nmの波長範囲内の光を放出する。いくつかの実施形態では、赤色LEDまたは赤色レーザは、610nm~760nmの波長範囲内の光を放出する。
【0117】
上記に説明されるコントローラ(例えば、コントローラ412および506)は、種々の方法のうちのいずれかにおいて実装されてもよい。コントローラの例証的実装が、コントローラ700によって図7に示される。示されるように、コントローラ700は、1つまたはそれを上回るコンピュータハードウェアプロセッサ702と、非一過性コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ704および1つまたはそれを上回る不揮発性記憶デバイス706)を含む、1つまたはそれを上回る製造品とを含んでもよい。プロセッサ702は、任意の好適な様式でメモリ704および不揮発性記憶デバイス706にデータを書き込むことと、それからデータを読み取ることとを制御してもよい。本明細書に説明される機能性のうちのいずれかを実施するために、プロセッサ702は、プロセッサ702による実行のためのプロセッサ実行可能命令を記憶する非一過性コンピュータ可読記憶媒体としての役割を果たし得る、1つまたはそれを上回る非一過性コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ704)内に記憶される、1つまたはそれを上回るプロセッサ実行可能命令を実行してもよい。
【0118】
種々の改造が、本書の範囲から逸脱することなく、コントローラ700に成され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、図7に示されるコントローラ700の1つまたはそれを上回る構成要素は、コントローラ700と別個であってもよく、コントローラ700に通信可能に結合されてもよい。例えば、メモリ704ならびに/もしくは1つまたはそれを上回る不揮発性記憶デバイス706は、コントローラ700と別個であってもよい。
【0119】
用語「プログラム」または「ソフトウェア」は、本明細書では、コンピュータもしくは他のプロセッサをプログラムし、上記で議論されるような実施形態の種々の側面を実装するために採用され得る、任意のタイプのコンピュータコードまたはプロセッサ実行可能命令のセットを指すために一般的意味で使用される。加えて、一側面によると、実行されると、本明細書に提供される開示の方法を実施する、1つまたはそれを上回るコンピュータプログラムは、単一コンピュータもしくはプロセッサ上に常駐する必要はなく、異なるコンピュータまたはプロセッサ間にモジュール式方式で分散され、本明細書に提供される開示の種々の側面を実装してもよい。
【0120】
プロセッサ実行可能命令は、1つまたはそれを上回るコントローラもしくは他のデバイスによって実行される、プログラムモジュール等の多くの形態にあってもよい。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを行う、または特定の抽象データタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造等を含む。典型的には、プログラムモジュールの機能性は、種々の実施形態では、所望に応じて組み合わせられる、または分散されてもよい。
【0121】
本明細書および本請求項で使用されるような、1つまたはそれを上回る要素の一覧を参照した「少なくとも1つ」という語句は、要素の一覧中の要素のうちのいずれか1つまたはそれを上回るものから選択される、少なくとも1つの要素を意味するが、要素の一覧内で具体的に記載される、あらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むとは限らず、要素の一覧中の要素の任意の組み合わせを除外しないことを理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つ」という語句が指す要素の一覧内で具体的に識別される要素と関係するか、無関係であるかにかかわらず、それらの具体的に識別される要素以外の要素が必要に応じて存在してもよいことも許容する。したがって、例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、必要に応じて1つを上回るものを含む、少なくとも1つのA(必要に応じてB以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Aが存在しない、必要に応じて1つを上回るものを含む、少なくとも1つのB(必要に応じてA以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、必要に応じて1つを上回るものを含む、少なくとも1つのA、および、必要に応じて1つを上回るものを含む、少なくとも1つのB(必要に応じて他の要素を含む)等を指すことができる。
【0122】
本明細書および本請求項で使用されるような、「および/または」という語句は、そのように結合される要素、すなわち、ある場合では接合的に存在し、他の場合では離接的に存在する要素の「いずれか一方または両方」を意味すると理解されたい。「および/または」を用いて列挙される複数の要素、すなわち、そのように結合される要素の「1つまたはそれを上回る」ものが、同一の方式で解釈されるべきである。「および/または」という節によって具体的に識別される要素以外に、他の要素が、それらの具体的に識別される要素に関係するか、無関係であるかにかかわらず、随意に存在してもよい。したがって、非限定的実施例として、「Aおよび/またはB」の言及は、「~を備える」等の非制約的な用語と併せて使用されると、一実施形態では、Aのみ(随意に、B以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Bのみ(随意に、A以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(随意に、他の要素を含む)等を指すことができる。
【0123】
請求項要素を修飾するための請求項における「第1」、「第2」、「第3」等の序数用語の使用自体は、任意の優先順位、先行、または別のものに先行する1つの請求項要素の順序、または方法の作用が行われる時間的順序を示すものではない。そのような用語は、単に、ある名称を有する1つの請求項要素を(序数用語の使用がない場合)同一名称を有する別の要素から区別するための標識として使用される。本明細書に使用される語法および専門用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものとして見なされるべきではない。「含む」「備える」「有する」「含有する」「伴う」、およびその変形例の使用は、その後列挙されるアイテムと、付加的なアイテムとを包含するように意図される。
【0124】
用語「略」および「約」は、いくつかの実施形態では、標的寸法の±20%以内、いくつかの実施形態では、標的寸法の±10%以内、いくつかの実施形態では、標的寸法の±5%以内、さらに、いくつかの実施形態では、標的寸法の±2%以内を意味するために使用されてもよい。用語「略」および「約」は、標的寸法を含み得る。
【0125】
本明細書に説明される技法のいくつかの実施形態を詳細に説明しているため、種々の修正および改良が、当業者に容易に想起されるであろう。そのような修正および改良は、本開示の精神ならびに範囲内であることが意図される。故に、前述の説明は、実施例にすぎず、限定しているものと意図されない。技法は、以下の請求項およびその均等物によって定義されるようにのみ限定される。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
システムであって、
容器内の複数の細胞を複数の焦点面内で撮像するように構成される、撮像システムと、
前記撮像システムに結合される、少なくとも1つのコントローラであって、
実行されると、
少なくともいくつかの細胞の複数の画像であって、前記複数の画像はそれぞれ、前記複数の焦点面の個別の焦点面内で捕捉される、画像を捕捉するように、前記撮像システムを制御し、
前記複数の画像のそれぞれの中の前記少なくともいくつかの細胞からの少なくとも1つの細胞の面積を判定し、
前記複数の画像のうちの少なくともいくつかの中の前記少なくとも1つの細胞の面積を使用して、前記複数の画像から1つの画像を焦点画像として選択し、
前記焦点画像内の細胞数を推定する、
命令を含むメモリに結合される、少なくとも1つのコントローラと、
を備える、システム。
(項目2)
前記複数の細胞は、選択的に死細胞を標識する薬品に暴露されている、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記薬品は、選択的に前記死細胞を着色する染料を含み、前記撮像システムは、少なくともある可視光をフィルタリングするように構成される、光フィルタを備える、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記撮像システムは、モノクロ撮像デバイスと、可視光を放出するように構成される、光源とを備え、前記フィルタは、前記光源と前記モノクロ撮像デバイスとの間に配置される、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記フィルタは、510ナノメートル(nm)を上回る波長を伴う少なくともある可視光をフィルタリングするように構成される、項目3に記載のシステム。
(項目6)
前記フィルタは、650ナノメートル(nm)を下回る波長を伴う少なくともある可視光をフィルタリングするように構成される、項目3に記載のシステム。
(項目7)
前記染料は、トリパンブルーを含む、項目5または6に記載のシステム。
(項目8)
少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの細胞の最小面積を伴う前記複数の画像からの画像を使用することによって、前記複数の画像から前記1つの画像を前記焦点画像として選択する、項目1に記載のシステム。
(項目9)
少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの細胞と関連付けられるピクセル数を数えることによって、前記少なくとも1つの細胞の面積を識別する、項目1に記載のシステム。
(項目10)
少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの細胞の軸の長さを推定することによって、前記少なくとも1つの細胞の面積を識別する、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記焦点画像内の前記細胞数を推定することは、
前記焦点画像内の複数の物体を識別することと、
前記複数の物体の第1の亜集合を生細胞として分類することと、
前記複数の物体の第1の亜集合内の生細胞数を数えることと、
を含む、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記焦点画像内の前記細胞数を推定することは、
前記複数の物体の第2の亜集合を死細胞として分類することと、
前記複数の物体の第2の亜集合内の死細胞数を数えることと、
を含む、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記複数の物体を識別することは、前記焦点画像の背景から前記焦点画像の前景を分離することと、前記焦点画像の前景内の少なくとも1つの部分を物体として識別することとを含む、項目11に記載のシステム。
(項目14)
前記焦点画像の背景から前記焦点画像の前景を分離することは、前記焦点画像を閾値化することを含む、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記焦点画像内の前記細胞数を推定することは、前記複数の物体の第2の亜集合をデブリとして分類することを含む、項目11に記載のシステム。
(項目16)
前記複数の物体の第1の亜集合を生細胞として分類することは、
前記複数の物体の第1の亜集合からの第1の物体を単一の生細胞として分類することと、
前記複数の物体の第1の亜集合からの第2の物体を生細胞塊として分類することと、
少なくとも部分的に、前記第2の物体と関連付けられる強度輪郭に基づいて、前記第2の物体内の生細胞数を推定することと、
を含む、項目11に記載のシステム。
(項目17)
前記複数の物体の第1の亜集合からの前記第1の物体を前記単一の生細胞として分類することは、決定木と、ニューラルネットワークと、判別関数と、ベイジアンネットワークと、サポートベクタマシンとから成る群から選択される、分類器に入力を提供することを含む、項目16に記載のシステム。
(項目18)
前記複数の物体の第1の亜集合からの前記第2の物体を前記生細胞塊として分類することは、決定木と、ニューラルネットワークと、判別関数と、ベイジアンネットワークと、サポートベクタマシンとから成る群から選択される、分類器に入力を提供することを含む、項目16に記載のシステム。
(項目19)
前記システムはさらに、容器を備え、前記容器は、血球計である、項目1に記載のシステム。
(項目20)
前記撮像システムは、モノクロ撮像デバイスと、赤/緑/青色(RGB)撮像デバイスと、スペクトル撮像デバイスと、蛍光撮像デバイスと、多重チャネル撮像デバイスとから成る群から選択される、少なくとも1つの撮像デバイスを備える、項目1に記載のシステム。
(項目21)
前記複数の画像は、少なくとも1つの明視野画像を含む、項目1に記載のシステム。
(項目22)
方法であって、
容器内に複数の細胞を受容することと、
前記複数の細胞内の少なくともいくつかの細胞の焦点画像を捕捉することであって、前記焦点画像を捕捉することは、
前記撮像システムを使用して、前記少なくともいくつかの細胞の複数の画像を捕捉することであって、前記複数の画像はそれぞれ、複数の焦点面の個別の焦点面内で捕捉される、ことと、
少なくとも1つのコントローラを使用して、前記複数の画像のそれぞれの中の前記少なくともいくつかの細胞からの少なくとも1つの細胞の面積を判定することと、
前記少なくとも1つのコントローラを使用して、前記複数の画像のうちの少なくともいくつかのものの中の前記少なくとも1つの細胞の面積を使用して、前記複数の画像から1つの画像を前記焦点画像として選択することと、
前記少なくとも1つのコントローラを使用して、前記焦点画像内の細胞数を推定することと、
を含む、方法。
(項目23)
前記焦点画像内の前記細胞数を推定することは、
前記焦点画像内の複数の物体を識別することと、
前記複数の物体の第1の亜集合を生細胞として分類することと、
前記複数の物体の第1の亜集合内の前記生細胞数を数えることと、
を含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記複数の物体を識別することは、
前記焦点画像の背景から前記焦点画像の前景を分離することと、
前記焦点画像の前景内の少なくとも1つの部分を物体として識別することと、
を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記少なくともいくつかの細胞内の前記細胞数を推定することは、前記複数の物体の第2の亜集合をデブリとして分類することを含む、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記複数の物体の第1の亜集合を生細胞として分類することは、
前記複数の物体の第1の亜集合からの第1の物体を単一の生細胞として分類することと、
前記複数の物体の第1の亜集合からの第2の物体を生細胞塊として分類することと、
少なくとも部分的に、前記第2の物体と関連付けられる強度輪郭に基づいて、前記第2の物体内の前記生細胞数を推定することと、
を含む、項目23に記載の方法。
(項目27)
自動細胞計数器であって、
複数の細胞を収容する容器を受容するように構成される、容器搭載部と、
前記複数の細胞を複数の焦点面内で撮像するように構成される、撮像システムと、
前記撮像システムに結合される、少なくとも1つのコントローラと、
実行されると、
少なくともいくつかの細胞の複数の画像を捕捉するように、前記撮像システムを制御し、
前記複数の画像のそれぞれの中の前記少なくともいくつかの細胞からの少なくとも1つの細胞の面積を判定し、
前記複数の画像のうちの少なくともいくつかの中の前記少なくとも1つの細胞の面積を使用して、前記複数の画像から1つの画像を前記焦点画像として選択し、
前記焦点画像内の細胞数を推定する、
命令を含むメモリに結合される、少なくとも1つのコントローラと、
を備える、自動細胞計数器。
(項目28)
前記焦点画像内の前記細胞数を推定することは、
前記焦点画像内の複数の物体を識別することと、
前記複数の物体の第1の亜集合を生存細胞として分類することと、
前記複数の物体の第1の亜集合内の生存細胞数を数えることと、
を含む、項目27に記載の自動細胞計数器。
(項目29)
前記焦点画像内の前記細胞数を推定することは、
前記複数の物体の第2の亜集合を死細胞として分類することと、
前記複数の物体の第2の亜集合内の死細胞数を数えることと、
を含む、項目28に記載の自動細胞計数器。
(項目30)
システムであって、
容器内の複数の細胞を撮像するように構成される、撮像システムと、
前記撮像システムに結合される、少なくとも1つのコントローラと、
実行されると、
前記複数の細胞内の少なくともいくつかの細胞の複数の焦点画像を捕捉するように、前記撮像システムを制御し、
少なくとも部分的に、
前記焦点画像内の複数の物体を識別し、
前記複数の物体の亜集合を細胞として分類し、
細胞として分類された前記複数の物体の亜集合内の細胞数を数える、
ことによって、前記焦点画像内の細胞数を推定する、
命令を含むメモリに結合される、少なくとも1つのコントローラと、
を備える、システム。
(項目31)
前記複数の物体の亜集合を細胞として分類することは、前記複数の物体の亜集合を生存細胞として分類することを含む、項目30に記載のシステム。
(項目32)
細胞として分類される、前記複数の物体の亜集合内の前記細胞数を数えることは、前記複数の物体の亜集合内の生存細胞数を数えることを含む、項目31に記載のシステム。
(項目33)
細胞培養インキュベータであって、
複数の細胞を貯蔵する容器を受容するように構成される、インキュベータキャビネットと、
前記複数の細胞を撮像するように構成される、撮像システムと、
前記撮像システムに結合される、少なくとも1つのコントローラと、
実行されると、
少なくともいくつかの細胞の複数の画像を捕捉するように、前記撮像システムを制御し、
前記複数の画像のそれぞれの中の前記少なくともいくつかの細胞からの少なくとも1つの細胞の面積を判定し、
前記複数の画像のうちの少なくとも1つの中の前記少なくとも1つの細胞の面積を使用して、前記複数の画像から1つの画像を前記焦点画像として選択し、
前記焦点画像内の細胞数を推定する、
命令を含むメモリに結合される、少なくとも1つのコントローラと、
を備える、細胞培養インキュベータ。
(項目34)
前記インキュベータキャビネットの内部チャンバ内に、前記容器を貯蔵するための、貯蔵場所をさらに備える、項目33に記載の細胞培養インキュベータ。
(項目35)
前記貯蔵場所から前記撮像システムの撮像場所、または前記撮像場所から前記貯蔵場所まで前記容器を移動するように構成される、容器移送デバイスをさらに備える、項目34に記載の細胞培養インキュベータ。
(項目36)
前記焦点画像内の前記細胞数を推定することは、
前記焦点画像内の複数の物体を識別することと、
前記複数の物体の前記第1の亜集合を生存細胞として分類することと、
前記複数の物体の第1の亜集合内の生存細胞数を数えることと、
を含む、項目33に記載の細胞培養インキュベータ。
(項目37)
前記焦点画像内の前記細胞数を推定することは、
前記複数の物体の第2の亜集合を死細胞として分類することと、
前記複数の物体の第2の亜集合内の死細胞数を数えることと、
を含む、項目36に記載の細胞培養インキュベータ。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】