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特開2024-92584赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路に用いる顔料組成物、膜、光学レンズ、光導波路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092584
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路に用いる顔料組成物、膜、光学レンズ、光導波路
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20240701BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240701BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240701BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 57/00 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 47/04 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 47/10 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 47/16 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 47/18 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 47/22 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 47/20 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 47/12 20060101ALI20240701BHJP
   C09B 7/04 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G02B5/22
G02B3/00
G02B6/12 371
C09D17/00
C09B67/20 G
C09B67/20 F
C09B57/00 X
C09B47/04
C09B47/10
C09B47/16
C09B47/18
C09B47/22
C09B47/20
C09B47/12
C09B7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208626
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三上 譲司
(72)【発明者】
【氏名】平佐 美幸
(72)【発明者】
【氏名】折原 雄也
【テーマコード(参考)】
2H147
2H148
4J037
【Fターム(参考)】
2H147EA16A
2H147EA19A
2H147FD01
2H148CA04
2H148CA12
2H148CA20
4J037AA30
4J037CC16
4J037EE08
4J037FF01
(57)【要約】
【課題】高い屈折率を有し、透明性、耐熱性、耐光性、及びナノインプリントに対する適性に優れる、ナノインプリント用顔料組成物の提供を目的とする。
【解決手段】
赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光導波路に用いる顔料組成物であって、フタロシアニン顔料、ナフタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料、およびインジゴ顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料と、樹脂型分散剤と、光重合性単量体とを含有し、23℃、波長940nmにおける屈折率が1.70以上であり、膜厚1.0μmの膜を形成した際に、700~1200nmにおける吸光度の最大値が1.0以上であるナノインプリント用顔料組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光導波路に用いる顔料組成物であって、
フタロシアニン顔料、ナフタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料、およびインジゴ顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料と、樹脂型分散剤と、光重合性単量体とを含有し、
23℃、波長940nmにおける屈折率が1.70以上であり、
膜厚1.0μmの膜を形成した際に、700~1200nmにおける吸光度の最大値が1.0以上であるナノインプリント用顔料組成物。
【請求項2】
顔料の含有率が、顔料組成物における固形分の全質量を基準として40質量%以上である、請求項1に記載のナノインプリント用顔料組成物。
【請求項3】
さらに、光重合開始剤を含有する請求項1又は2に記載のナノインプリント用顔料組成物。
【請求項4】
光重合開始剤がオキシムエステル系化合物である、請求項1又は2に記載のナノインプリント用顔料組成物。
【請求項5】
800nm~1600nmにおける高屈折率材料として用いる、請求項1又は2記載のナノインプリント用顔料組成物。
【請求項6】
請求項1記載のナノインプリント用顔料組成物を含む膜。
【請求項7】
請求項1記載のナノインプリント用顔料組成物を含む、光学材料。
【請求項8】
請求項1記載のナノインプリント用顔料組成物を含む、光学レンズ。
【請求項9】
請求項1記載のナノインプリント用顔料組成物を含む、光導波路。
【請求項10】
請求項6記載の膜、請求項7記載の光学材料、請求項8記載の光学レンズ、又は請求項9記載の光導波路を具備する、赤外線センサ。
【請求項11】
請求項6記載の膜、請求項7記載の光学材料、請求項8記載の光学レンズ、又は請求項9記載の光導波路を具備する、赤外線通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路に用いる顔料組成物、並びにその顔料組成物を含む膜、光学レンズ、及び光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD、CMOS等のセンサー素子や、ディスプレイ等の表示素子に用いられるガラス、フィルム及びシートの表面には、無機物又は有機物からなる表面保護層が設けられている。近年では、前記の表面保護層に、反射防止や光導波等の機能を付与する目的で、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層した被覆層等が用いられている。このうち高屈折率層には、チタニア、ジルコニア、アルミナ等のセラミックスを蒸着等により形成した高屈折率無機膜や、芳香族含有樹脂からなる高屈折率有機膜が、目的に応じて用いられている。しかし、高屈折率無機膜を用いた場合、基材密着性の不足や、膜の脆弱性等の課題があった。よって、近年では高屈折率有機膜が広く使用されている。
【0003】
また、次世代ディスプレイとして注目されている有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELという。)パネルは、外部からの水分やガスの浸透による有機EL素子の劣化を防止するために、酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ等からなる無機層と、アクリル樹脂やエポキシ樹脂を主成分とした有機系封止材からなる有機層との積層構造を有する。これらの無機層と有機層とは交互に積層される。ここで、無機層と有機層との屈折率差が小さいほど光の取り出し効率が向上するため、有機層の屈折率は高い方がよい。よって、高屈折率の有機系封止材が求められている。
【0004】
さらに、近年、三次元造形装置を用いた成形体が医療分野、光学分野等で広く使用されている。三次元造形に用いる造形用樹脂としては、光硬化性樹脂が用いられている(特許文献1、2)。特に医療機器、顕微鏡、各種カメラ等に用いられるレンズの成形体においては、レンズの薄型化のために、高屈折率の光造形用樹脂が求められている。
【0005】
上述のような表面保護層用の高屈折率有機材料、有機ELパネルの有機系封止剤、光造形用樹脂としては、硫黄を含有する樹脂や、芳香環が共役した構造を有するフルオレンのような樹脂が知られている(特許文献2、3、4)。
【0006】
昨今では、夜間に被写体を撮影するための固体撮像素子や、距離測定に用いるLidarなどの赤外線センサ、光導波路に光を伝搬させて使用する赤外線通信機器など、近赤外線を用いたセンシングや通信が広く普及しつつある。これらの光線を集光するためのレンズ等には、近赤外領域において高屈折率である光学材料を用いることが重要である。
【0007】
特許文献5には、可視光を遮蔽し近赤外線を透過させる、赤外線透過フィルタなどの製造に用いられる組成物と、それを用いて得られる膜が開示されており、その膜が、波長800nm以上の範囲において高屈折率となることが記載されている。しかし、特許文献5に記載された材料は、用いる色素の分散性が十分でないため、組成物により得られる膜の透明性の面で課題が残る。
【0008】
特許文献6には、近赤外領域において高屈折率及び高透過率を示す、有機色素を含む光学部材用膜状物が開示されているが、色素の添加量が非常に少なく、十分に高い屈折率は得られていない。
【0009】
特許文献7には、近赤外領域において高屈折率及び高透過率を示す、熱可塑性樹脂と色材とを含む樹脂組成物が開示されているが、耐光性や耐熱性が十分でなく、実用性の観点で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011-157543号公報
【特許文献2】特開2019-019245号公報
【特許文献3】特開2000-281787号公報
【特許文献4】特開2011-168721号公報
【特許文献5】国際公開第2019/065475号
【特許文献6】国際公開第2020/085499号
【特許文献7】国際公開第2020/138050号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近赤外線を用いたセンシングや通信の中でも、近年特に広く普及しつつある800~1600nmの光線を用いたセンシングや通信において、これらの光線を集光するための光学レンズや、これらの光線を伝搬させる光導波路には、高屈折率で、高い透明性及び耐性を持つ光学材料を用いることが重要である。
しかしながら、現状では十分な耐性を有する高屈折率材料の開発は進んでいなかった。
【0012】
さらに、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路に用いるためには、ナノインプリントに対する適性を有していると大変有用である。昨今の赤外線センサーは微細に加工されており、このための光学レンズとしてはマイクロレンズ等のように微小なレンズであることが求められる。また、赤外通信機器用の光導波路も微細な加工が要求される。
【0013】
ナノメートルオーダーの微細なパターンを形成する方法として、ナノインプリント法が知られている。ナノインプリント法は、微細パターンが施されたモールドを顔料組成物に圧着させ、顔料組成物を硬化させ、モールドを取り去ることでドーム状やストライプ状などの微細パターンを作製する方式であり、フォトリソグラフィー等の他の微細加工技術に比較して、必要な装置や設備が簡素で安価である。また、工程が簡素であることにより高いスループットで製品を製造できる。
【0014】
ナノインプリント法は、硬化方法によって、光ナノインプリント法と熱ナノインプリント法に大別される。ナノインプリント法に使用する顔料組成物は、高い熱硬化性、または高い光硬化性が必要であるほか、転写性等の適性が求められる。
【0015】
本発明は、以上の課題に鑑み、800~1600nmの光線を用いた赤外線センサ又は赤外線通信機器用の光学レンズ又は光導波路に用いる高屈折率材料の用途において、高い屈折率を有し、透明性、耐熱性、耐光性、及びナノインプリントに対する適性に優れる、ナノインプリント用顔料組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
即ち本発明は、赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器に使用する光導波路に用いる顔料組成物であって、フタロシアニン顔料、ナフタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料、およびインジゴ顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料と、樹脂型分散剤と、光重合性単量体とを含有し、
23℃、波長940nmにおける屈折率が1.70以上であり、
膜厚1.0μmの膜を形成した際に、700~1200nmにおける吸光度の最大値が1.0以上であるナノインプリント用顔料組成物である。
【発明の効果】
【0017】
上記の本発明によれば、赤外線センサ又は赤外線通信機器用の光学レンズ又は光導波路に用いる高屈折率材料の用途において、800~1600nmの波長領域において高い屈折率を有し、透明性、耐熱性、耐光性及びナノインプリントに対する適性に優れる顔料組成物を提供できる。
【0018】
このような本発明の顔料組成物は、800~1600nmの波長領域における高屈折率が要求される赤外線センサ又は赤外線通信機器に用いる光学材料に用いられ、光学レンズ、光導波路等の光学材料用として特に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態の赤外吸収スペクトルを示す。
図2図2は、本発明の一実施形態の赤外吸収スペクトルを示す。
図3図3は、本発明の一実施形態の赤外吸収スペクトルを示す。
図4図4は、本発明の一実施形態の赤外吸収スペクトルを示す。
図5図5は、本発明の一実施形態の赤外吸収スペクトルを示す。
図6図6は、本発明の一実施形態の赤外吸収スペクトルを示す。
図7図7は、本発明の一実施形態の赤外吸収スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<本発明の顔料組成物について>
本発明の顔料組成物は、フタロシアニン顔料、ナフタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料、およびインジゴ顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料と、樹脂型分散剤と、光重合性単量体とを含有し、
23℃、波長940nmにおける屈折率が1.70以上であり、
膜厚1.0μmの膜を形成した際に、700~1200nmにおける吸光度の最大値が1.0以上であるナノインプリント用顔料組成物である。
【0021】
<顔料組成物の光学特性について>
以下、本発明の顔料組成物の光学特性を説明する。
【0022】
まず、本発明の顔料組成物は、膜厚1μmの膜を形成した際に、その吸収スペクトルにおいて、700~1200nmにおける吸光度の最大値が1.0以上であることを特徴とする。
本発明者らは、鋭意検討の末、顔料組成物が形成する膜が700~1200nmにおいて非常に高い吸収を持つ場合に、800~1600nmの波長領域で高屈折率になることを見出した。これにより、高屈折率に寄与することが知られている硫黄原子やヨウ素原子を含有しなくても高屈折率の膜を得ることができる。吸収の度合いとしては、膜厚1μmの膜の吸収スペクトルにおいて、700~1200nmにおける吸光度の最大値が1.0以上であることが必要であり、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは4.0以上である。
【0023】
また、本発明の顔料組成物は、23℃、波長940nmにおける屈折率が1.70以上であり、好ましくは1.8以上であり、さらに好ましくは1.9以上であり、最も好ましいのは2.0以上である。屈折率の上限は特に限定されないが、好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2.4以下である。
【0024】
<ナノインプリント法>
また、本発明の顔料組成物は、ナノインプリント用に好適に使用されるものであり、ナノインプリントに対する適性を有する。
【0025】
熱ナノインプリント法は、硬化性組成物等をそのガラス転移温度以上、又は結晶融解温度以上に加熱した後、凹凸パターンが刻まれたモールドを数MPaの圧力で押し付けてから離型し、さらに冷却することによりパターン基板を形成する。
ただ、高温に加熱するため、モールド部分の歪みなどが発生し、微細パターンの位置が少しずれる懸念がある。
【0026】
一方、光ナノインプリント法は、光透過性のモールドに刻まれた三次元の凹凸パターンを、基板上に塗布された液状の硬化性組成物に接触させ、例えば紫外線等の活性エネルギー線を、モールドを介して照射し、硬化性組成物を光硬化させ、最後にモールドを離型することにより、モールドのパターンを転写し、微細なパターンを形成する。
光ナノインプリントは、室温もしくはそれに近い温度でモールドを圧着、露光するため、微細パターンがより高い精度で作製できることが特徴である。
【0027】
なお、ナノインプリントのさらなる工程として、エッチングが施されることがある。これは、上記工程だけではパターンの微細加工が十分でない場合、塩素ガスや三塩化ホウ素ガス等でパターンをエッチングすることで、さらに微細パターンの精度を高めることができる。
【0028】
ナノインプリント使用する顔料組成物は、一般的に室温で液状である場合が多い。溶媒に溶解させた溶液の場合もあるが、その場合、スピンコート等で溶媒を揮発させてから用いられる。光ナノインプリント用に使用する場合室温もしくはそれに近い温度でモールドを圧着させる必要があるため、顔料組成物の不揮発分がある程度柔軟でないと、モールドの圧着時にモールド内部のパターンに十分に入り込まず、転写性が悪くなる傾向にある。そのため、顔料組成物の不揮発分の成分が室温で一定の柔軟性を有することが重要である。
【0029】
<顔料>
本発明の顔料組成物は、上記の光学特性を有するために顔料を含有する。顔料は、染料に比べ耐熱性、耐光性、耐薬品性が高い。近赤外線を集光する光学レンズや、近赤外線を伝搬させる光導波路に用いる光学材料には、耐光性が不可欠となる。また、様々なデバイスに組み込まれて用いられるために、製造工程における高温のプロセスや溶剤浸漬のプロセスにも耐えうることが重要であり、耐熱性、耐薬品性が必要となる。顔料は、耐熱性、耐光性に優れるため、本発明の顔料組成物は、赤外線センサ又は赤外線通信機器における高屈折率材料への使用が可能となる。
【0030】
本発明の顔料組成物においては、顔料の含有率が、顔料組成物における固形分の全質量を基準として40質量%以上であることが好ましい。より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは65%以上である。
顔料の含有率が、顔料組成物における固形分の全質量を基準として40質量%以上であることにより、700~1200nmにおいて高い吸収を持ち、800~1600nmの波長領域で高屈折率である膜を得ることができる。
顔料の含有量の上限は特に限定されないが、95質量%未満であると、顔料の分散性に優れ、透明性の高い膜が得られる点、及び顔料組成物としての安定性に優れる点から好ましい。
なお、本明細書において、固形分とは、顔料組成物から有機溶媒等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
【0031】
なお、含有量の観点でも、顔料を用いることが重要である。染料は、通常溶剤等に溶解させて用いるが、全質量中の比率が高くなると結晶化しやすく、溶解させて使用するのが困難になる。染料と樹脂、溶剤からなる組成物について、染料を固形分の全質量中40質量%以上含有させる場合、染料を溶解させるために、染料と樹脂に対し非常に多くの溶剤が必要となり、光学材料として使用するのは困難である場合が多い。また、膜が脆弱になり、耐薬品性等の耐性に劣る場合が多い。
【0032】
また、本発明の顔料組成物は、フタロシアニン顔料、ナフタロシアニン顔料、スクアリリウム顔料、およびインジゴ顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種の顔料を含有する。これらの顔料は、700~1200nmに強い吸収を持つことを特徴とする。
【0033】
<フタロシアニン顔料もしくはナフタロシアニン顔料>
フタロシアニン顔料としては、下記一般式(1-1)で表される化合物、および、下記一般式(1-2)で表される化合物が挙げられ、式(1-1)で表される化合物が好ましい。
【化1】
【0034】
式(1-1)および式(1-2)において、X1~X16は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。式(1-1)において、M1は、金属原子もしくは無機化合物を表す。
1~X16が表す置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロアリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基などが挙げられる。例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールアルコキシ基、ヘテロアリールアルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基及びヘテロアリールチオ基が挙げられる。近赤外線に対する屈折率を高めるという観点から分極が高い方が好ましい。置換基としては電子求引性基が好ましく、F、Cl、Br、I等のハロゲンや、ニトロ基、シアノ基等が好ましい。
【0035】
1が表す金属原子としては、Li、Na、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、PbおよびPtが挙げられる。無機化合物としては、VO、TiO、AlCl、SiCl2、SnCl2等が挙げられる。また、フタロシアニン環に配位するM1は、周期表の右下に向かうほど、フタロシアニン化合物の密度を高められる。
【0036】
フタロシアニン顔料としては、近赤外線に対する屈折率を高めるという観点から分極が高い方が好ましい。このような観点から、式(1-1)および式(1-2)におけるX1~X16の少なくとも一つは、置換基であることが好ましい。また、置換基としては電子求引性基が好ましく、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等がより好ましい。
【0037】
本発明において、ナフタロシアニン顔料としては、式(2-1)で表される化合物、および、式(2-2)で表される化合物が挙げられ、式(2-1)で表される化合物が好ましい。
【化2】

【0038】
式(2-1)および式(2-2)において、X1~X24は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。式(2-1)において、M1は、金属原子もしくは無機化合物を表す。式(2-1)および式(2-2)のX1~X24における置換基は、式(2-1)のX1~X16で説明した置換基が挙げられる。式(2-1)のM1における金属原子および無機化合物は、式(1-1)のM1で説明した金属原子および無機化合物が挙げられる。ナフタロシアニン環に配位するM1は、周期表の右下に向かうほど、ナフタロシアニン化合物の密度を高められる。
ナフタロシアニン顔料としては、近赤外線に対する屈折率を高めるという観点から分極が高い方が好ましい。このような観点から、式(2-1)および式(2-2)におけるX1~X24の少なくとも一つは、置換基であることが好ましい。また、置換基としては電子求引性基が好ましく、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等がより好ましい。
【0039】
上記のフタロシアニン顔料もしくはナフタロシアニン顔料の具体例としては、フタロシアニン、リチウムフタロシアニン、ナトリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、2塩化ケイ素フタロシアニン、チタンフタロシアニン、酸化バナジウムフタロシアニン、マンガンフタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、α型銅フタロシアニン、β型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、スズフタロシアニン、スズジクロリドフタロシアニン、鉛フタロシアニン、プラチナフタロシアニン、ニトリルフタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、ナフタロシアニンなどのナフタロシアニン化合物などが挙げられる。また、フタロシアニン顔料として、C.I.Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16、C.I.Pigment Green 7,36,58,59などを用いることもできる。
【0040】
また、フタロシアニン顔料もしくはナフタロシアニン顔料として、下記一般式(3)で表される構造を有するフタロシアニン化合物またはナフタロシアニン化合物も好ましい。
【0041】
<一般式(3)で表される顔料>
一般式(3)
【化3】

一般式(4)
【化5】

【0042】
一般式(3)中、X401~X408、Y401~Y408は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、又は、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。X401~X408は、互いに結合して芳香環を形成してもよく、その芳香環は置換基を有してもよい。
Mは、アルミニウム原子を表す。
は、-OP(=O)R401402、もしくは一般式(4)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR401、R402はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。また、一般式(4)中、Xは、-CONH-R311-、-COO-R312-、-CONH-R313-O-、または-COO-R314-O-であり、R311~R314は、アルキレン基、アリーレン基、または炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、もしくは-NHCO-で連結されたアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。Yは、水素もしくはメチル基を表す。
【0043】
一般式(3)で表される構造を有する顔料は、下記一般式(3-1)で表される化合物を原料とすることが好ましい。
一般式(3-1)
【化4】
【0044】
一般式(3-1)中、X401~X408、Y401~Y408、Mについては、一般式(3)におけるX401~X408、Y401~Y408、Mについての記載を援用できる。
【0045】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基が挙げられる。
【0046】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基が挙げられる。
【0047】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基が挙げられる。
「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基が挙げられる。
【0048】
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基が挙げられ、「置換基を有する複素環基」としては、3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピロリル基が挙げられる。
【0049】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基が挙げられる。
【0050】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基が挙げられる。
「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基が挙げられる。
【0051】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基が挙げられる。
【0052】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基が挙げられる。
【0053】
置換基を有してもよい芳香環の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、カルボキシ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。
【0054】
<リン化合物及び重合体部位>
一般式(3)で表されるフタロシアニンの一形態は、HO-P(=O)R401402で示すリン化合物部位中のリン酸基と、フタロシアニン部位中のアルミニウムカチオンが塩を形成したもの、もしくは一般式(4)で表される単量体単位を含む重合体部位中のリン酸基と、ナフタロシアニン部位中のアルミニウムカチオンが塩を形成したものである。
リン化合物部位の原料は、例えば、一般式(3-2)で表すリン化合物である。
一般式(3-2)中、R429及びR430は、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R429とR430は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0055】
一般式(3-2)
【化5】
【0056】
リン化合物の代表的な例として、下記に示す構造が挙げられる。
【化6】
【0057】
次に、一般式(4)で表される単量体単位を含む重合体部位について、説明する。
当該重合体部位は、その原料である一般式(4-1)で表されるモノマーをビニル重合してなる。なお、当該重合体部位は、一般式(4-1)で表されるモノマーと、一般式(4-1)で表されるモノマー以外のその他モノマーを使用できる。
【0058】
一般式(4-1)
【化7】
【0059】
一般式(4-1)中、Xは-CONH-R311-、-COO-R312-、-CONH-R313-O-、または-COO-R314-O-であり、R311~R314は、アルキレン基、アリーレン基、または炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、もしくは-NHCO-で連結されたアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。
アルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。アリーレン基は、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アンスリレン基があげられる。R311~R314は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。Yは水素原子または、メチル基を表す。
【0060】
一般式(4)で表されるモノマーは、例えば、(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)アシッドホスフェートが挙げられる。
【0061】
その他モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリル、酸基含有モノマー、熱架橋性基含有モノマー等が挙げられる。
【0062】
(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t-オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β-フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル等が挙げられる。
【0063】
クロトン酸エステル類は、例えば、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
【0064】
ビニルエステル類は、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニル等が挙げられる。
【0065】
マレイン酸ジエステル類は、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチル等が挙げられる。
【0066】
フマル酸ジエステル類は、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチル等が挙げられる。
【0067】
イタコン酸ジエステル類は、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチル等が挙げられる。
【0068】
(メタ)アクリルアミド類は、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチルアクリル(メタ)アミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
【0069】
ビニルエーテル類は、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0070】
スチレン類は、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt-Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α-メチルスチレン等が挙げられる。
【0071】
酸基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類;こはく酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げられる。
【0072】
熱架橋性基含有モノマー中の熱架橋性基は、例えば、色素の架橋点になり、色素の耐熱性向上に寄与する。熱架橋性基は、例えば、水酸基、カルボン酸無水物、1級または2級アミノ基、イミノ基、オキセタニル基、tert-ブチル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基等が挙げられる。これらの中でも保存安定性、および反応性の面でヒドロキシル基、カルボキシル基、オキセタニル基、tert-ブチル基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基が好ましく、ヒドロキシル基がより好ましい。
【0073】
水酸基含有モノマーは、例えば、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2-ヒドロキシ―3-フェノキシプロピルアクリレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(モル数は1~5)等が挙げられる。これらの中でも2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが耐熱性の観点から好ましい。
【0074】
オキセタニル基含有モノマーは、例えば、3-(アクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン及び3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン等が挙げられる。
【0075】
tert-ブチル基含有モノマーは、例えば、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート等が挙げられる。
【0076】
イソシアネート基含有モノマーは、例えば、例えば、2-イソシアネートエチルメタクリレート、2-イソシアネートエチルアクリレート、4-イソシアネートブチルメタクリレート、4-イソシアネートブチルアクリレート等が挙げられる。なお、イソシアネート基は、例えば、ブロックイソシアネート基を含む。ブロックイソシアネート基とは、通常の条件では、イソシアネート基を他の官能基で保護することによりイソシアネート基の反応性を抑える一方で、加熱により脱保護し、活性なイソシアネート基を再生させることができる官能基である。
【0077】
ブロックイソシアネート基含有モノマーの市販品は、例えば、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI-BP、昭和電工社製);メタクリル酸2-(O-[1’-メチルプロビリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI-BM、昭和電工社製)等が挙げられる。
【0078】
これらのモノマーは、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0079】
重合体部位の合成に使用する一般式(4-1)で表されるモノマーの使用量は、全モノマー100質量%中、1~50質量%が好ましく、20~35質量%がより好ましい。適量使用すると光学特性が向上する。
【0080】
また、熱架橋性基含有モノマーの使用量は、全モノマー100質量%中、5~50質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。適量使用すると耐熱性が向上する。
【0081】
重合体部位の合成法は、例えば、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合等が挙げられる。これらの中でもフリーラジカル重合またはリビングラジカル重合が好ましい。
【0082】
フリーラジカル重合法は、重合開始剤を使用する。重合開始剤は、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物が挙げられる。
アゾ系化合物は、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0083】
重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0084】
重合温度は、40~150℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。重合時間は、3~30時間が好ましく、5~20時間がより好ましい。
【0085】
リビングラジカル重合法は、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、かつ重合の成長が均一に起こるため、ブロックポリマーや分子量分布が狭い重合体を合成できる。
【0086】
リビングラジカル重合法は、様々な重合法がある中で、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を重合開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が好ましい。この方法は、多様な構造のモノマーも重合できる点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用できる点で好ましい。原子移動ラジカル重合法は、下記の参考文献1~8等に記載された方法で行うことができる。
【0087】
(参考文献1)Fukudaら、Prog.Polym.Sci.2004,29,329
(参考文献2)Matyjaszewskiら、Chem.Rev.2001,101,2921
(参考文献3)Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614
(参考文献4)Macromolecules 1995,28,7901,Scien
ce,1996,272,866
(参考文献5)WO96/030421号
(参考文献6)WO97/018247号
(参考文献7)特開平9-208616号公報
(参考文献8)特開平8-41117号公報
【0088】
重合体部位の合成には有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は、例えば、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0089】
重合体部位の重量平均分子量は、5000~20000が好ましく、8000~15000が好ましい。適度な分子量を有することで光学特性と耐熱性が向上する。
【0090】
重合体部位のガラス転移温度(Tg)は、-50~150℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。適度なTgにより光学特性が向上する。
【0091】
有機溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0092】
一般式(3)で表される構造を有する顔料は、下記一般式(3-3)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0093】
一般式(3-3)
【化8】

【0094】
一般式(3-3)中、Y409~Y416、R408~R421は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、又は、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
Mは、アルミニウム原子を表す。
は、-OP(=O)R401402、もしくは一般式(4)で表される単量体単位を含む重合体部位で表される。ここでR401、R402はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。
【0095】
一般式(3-3)で表される構造を有する顔料は、フタロシアニン部位、及びOP(=O)R401402(リン化合物部位)もしくは一般式(4)で表される単量体単位を含む重合体部位から構成される。フタロシアニン部位は、下記一般式(3-4)で表されるフタロシアニンを原料とすることが好ましい。
【0096】
一般式(3-4)
【化9】
【0097】
一般式(3-4)中、Y409~Y416、R408~R421、Mについては、一般式(3-3)におけるY409~Y416、R408~R421、Mについての記載を援用できる。
【0098】
置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、置換基を有してもよいスルファモイル基については、一般式(3-1)における記載を援用できる。
【0099】
一般式(3-4)で表される顔料としては、分散性や色特性の観点から、Y409~Y416、R408~R421のいずれか1つ以上は、水素原子、ハロゲン原子、及び置換基を有してもよいアルコキシル基からなる群より選ばれる一種以上であることが好ましい。
【0100】
(フタロシアニン部位の合成法)
一般式(3-4)で表されるフタロシアニンの一般的な工業的製法を以下に記載する。(1)~(3)の方法を用いると、一般式(3-4)で表されるフタロシアニンとして複数の構造を含有する。顔料として複数の構造を含有すると、芳香環の会合による凝集が緩和され、分散安定性に優れた感光性組成物が得られるため、(1)~(3)の方法が好ましい。
(1)Wyler法
置換あるいは無置換の無水フタル酸及び無水ナフタレンジカルボン酸や、置換あるいは無置換の無水フタル酸イミド及び無水ナフタレンジカルボン酸イミドを用いて,尿素と金属塩存在下,高温で反応させる方法。無水フタル酸と無水ナフタレンジカルボン酸を併用、又は、無水フタル酸イミドと無水ナフタレンジカルボン酸イミドを併用することで、一般式(3-4)で表されるフタロシアニンを得ることができる。
(2)フタロジニトリル法
置換あるいは無置換フタロジニトリル及び2,3―ジシアノナフタレンを、n-アミルアルコール、n-ヘキシルアルコール、1-メトキシエタノール、1-エトキシエタノールのようなアルコール系溶媒中で、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5)、又は(金属)アルコキシドのような強塩基の存在下、金属塩と反応させる方法。フタロジニトリルと2,3―ジシアノナフタレンを併用することで、一般式(3-4)で表されるフタロシアニンを得ることができる。
(3)ジイミノイソインドリン法
置換あるいは無置換の1,3-ジイミノイソインドリン及び1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリンを、2-ジメチルアミノエタノール、キノリン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)のような強塩基の存在下、金属塩と反応させる方法。1,3-ジイミノイソインドリンと1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリン
を併用することで、一般式(3-4)で表されるフタロシアニンを得ることができる。
(4)サブフタロシアニン開環法(サブフタロシアニンからの非対称型フタロシアニン合成法)
ボロンSUB-2,3-ナフタロシアニンクロリドと置換あるいは無置換の1,3-ジイミノイソインドリンから一般式(3-5)で表される化合物を合成した後、金属塩と反応させる方法。
【0101】
一般式(3-5)
【化10】
【0102】
一般式(3-5)中、Y409~Y416、R408~R421については、一般式(3-3)におけるY409~Y416、R408~R421についての記載を援用できる。
【0103】
一般式(3-1)で表されるフタロシアニン化合物としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化11】



【化11】

【化11】


【化11】

【0104】
【化11】
【0105】
【化11】
【0106】
(一般式(3)で表される構造を有する顔料の合成法)
一般式(3)又は一般式(3-3)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば、一般式(3-1)又は一般式(3-4)で表されるフタロシアニン化合物と、一般式(3-2)で表されるリン化合物とを反応させて合成することができる。
なお、前記フタロシアニン化合物に、前記リン化合物及び前記重合体の両方を同時に反応させてもよく、逐次反応させてもよい。
【0107】
一般式(3)で表される化合物は、例えば、フタロシアニン部位、リン化合物又は重合体を有機溶媒に加え、数時間加熱攪拌した後に、反応溶液を水に投入し、析出した生成物をろ過し、水洗、乾燥させることで合成できる。
【0108】
フタロシアニン部位、及びリン化合物部位の比率については、分散性や色特性の観点から、一般式(3-2)で表されるリン化合物の添加量が、フタロシアニン部位に対して0.8~2.0モル当量であることが好ましく、1.0~1.5モル当量であることがより好ましい。
【0109】
<スクアリリウム顔料>
スクアリリウム顔料としては、下記一般式(5)で表される化合物、および、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
(一般式(5)で表される化合物)
まず、下記一般式(5)で表される構造を有するスクアリリウム顔料について述べる。

一般式(5)
【化12】
【0110】
一般式(5)中、X101~X110は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、-SONR101102、-COOR101、-CONR101102、ニトロ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。R101、R102は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。 X101~X110は、置換基同士が結合して環を形成してもよい。
【0111】
101~X110において「置換基を有してもよいアルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、2-エチルヘキシル基、ステアリル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2-メトキシエチル基、2-クロロエチル基、2-ニトロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基が挙げられる。これらの中でもメチル基、エチル基、n-プロピル基が、耐久性付与及び合成難易度の観点で好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0112】
101~X110において「置換基を有してもよいアルケニル基」は、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロぺニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基が挙げられる。これらの中でもビニル基、2-プロぺニル基が、耐久性付与及び合成難易度の観点で好ましい。
【0113】
101~X110において「置換基を有してもよいアリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、4-メチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-ジエチルアミノフェニル基、3-ニトロフェニル基、4-シアノフェニル基が挙げられる。これらの中でもフェニル基、4-メチルフェニル基が、耐久性付与及び合成難易度の観点で好ましい。
【0114】
101~X110において「置換基を有してもよいアラルキル基」は、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基が挙げられる。これらの中でもベンジル基が、耐久性付与及び合成難易度の観点で好ましい。
【0115】
101~X110において「置換基を有してもよいアルコキシ基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基が挙げられる。これらの中でもメトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基が、耐久性付与及び合成難易度の観点で好ましい。
【0116】
101~X110において「置換基を有してもよいアリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、3,5-クロロフェニルオキシ基、4-クロロ-2-メチルフェニルオキシ基、4-tert- ブチルフェニルオキシ基、4-メトキシフェニルオキシ基、4-ジエチルアミノフェニルオキシ基、4-ニトロフェニルオキシ基が挙げられる。これらの中でもフェノキシ基、ナフチルオキシ基が、耐久性付与及び合成難易度の観点で好ましい。
【0117】
101~X110において「置換アミノ基」は、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ステアリルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、4-tert-ブチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N-フェニル-N-エチルアミノ基が挙げられる。これらの中でもジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が、耐久性付与及び合成難易度の観点で好ましい。
【0118】
101~X110において「ハロゲン原子」は、例えば、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素が挙げられる。
【0119】
101~X110は、置換基同士が結合して環を形成できる。前記環は、例えば、以下の構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
【化13】
【0121】
101、R102において「置換基を有してもよいアルキル基」は、例えば、X~X10における記載を援用できる。
【0122】
101~X110は、その少なくとも一つが無置換のアルキル基であることが好ましく、X103、X104、X107及びX108のうち少なくとも一つが、無置換のアルキル基であることがより好ましく、X103及びX107が無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。無置換のアルキル基は、例えばメチル基が好ましい。
【0123】
(一般式(5)で表される化合物の製造方法)
一般式(5)で表される化合物は、例えば、下記式(5-1)で示すように、1,8-ジアミノナフタレンと、シクロヘキサノン類とを、触媒とともに溶媒中で加熱還流して縮合させた後、下記に示す3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオンを加えてさらに加熱還流させて縮合して合成できる。
【0124】
式(5-1)
【化14】
【0125】
(一般式(6)で表される化合物)
次に、下記一般式(6)で表される構造を有するスクアリリウム顔料について述べる。

一般式(6)
【化15】

【0126】
一般式6中、Q、Q、Q、Qは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Q、Q、Q又はQが窒素原子の場合、その窒素原子と結合するX201、X204、X205又はX208はないものとする。
201~R205は、それぞれ独立に、水素原子、スルホ基、-SO 又はハロゲン原子を表す。Mは無機又は有機のカチオンを表す。
201~X208は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、-NR206207、スルホ基、-SONR208209、-COOR210、-CONR211212、ニトロ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。X201~X208は、互いに結合して環を形成してもよい。
206~R212は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基、又は置換基を有してもよいピリジニル基を表す。R206とR207、R208とR209、211とR212は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0127】
、Q、Q及びQは、分光形状の観点から、炭素原子であることが好ましい。
【0128】
201~R205において「ハロゲン原子」は、例えば、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素が挙げられる。
【0129】
201~R205においてMの「無機又は有機のカチオン」は、例えば、公知のものが制限なく採用でき、有機のカチオンの場合、低分子タイプと高分子タイプのどちらでもよい。具体的には、金属原子、アンモニウム化合物、ピリジニウム化合物、イミダゾリウム化合物、ホスホニウム化合物、スルホニウム化合物等を挙げることができる。高分子タイプの場合、例えば、「4級アンモニウム塩基を有する樹脂」等を挙げることができる。これらの中でも3価の金属原子、アンモニウム化合物、4級アンモニウム塩基を有する樹脂が、耐熱性の観点で好ましい。
【0130】
201~R205は、耐性付与の観点から、全て水素原子であるか、又はR201~R205のうち4つが水素原子であり、1つがスルホ基、-SO 若しくはハロゲン原子であることが好ましい。これらの中でも、全て水素原子であるか、又はR201~R205のうち4つが水素原子であり、1つがスルホ基、若しくはハロゲン原子であることがより好ましい。
【0131】
201~X208において「置換基を有してもよいアルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、tert-アミル基、2-エチルヘキシル基、ステアリル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2-メトキシエチル基、2-クロロエチル基、2-ニトロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基が挙げられる。これらの中でもメチル基、エチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0132】
201~X208において「置換基を有してもよいアルケニル基」は、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロぺニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基が挙げられる。これらの中でもビニル基、2-プロぺニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0133】
201~X208において「置換基を有してもよいアリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、4-メチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-ジエチルアミノフェニル基、3-ニトロフェニル基、4-シアノフェニル基が挙げられる。これらの中でもフェニル基、4-メチルフェニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0134】
201~X208において「置換基を有してもよいアラルキル基」は、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基が挙げられる。これらの中でもベンジル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0135】
201~X208において「置換基を有してもアルコキシ基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-(ジエチルアミノ)エトキシ基が挙げられる。これらの中でもメトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2-(ジエチルアミノ)エトキシ基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0136】
201~X208において「置換基を有してもよいアリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、3,5-クロロフェニルオキシ基、4-クロロ-2-メチルフェニルオキシ基、4-tert- ブチルフェニルオキシ基、4-メトキシフェニルオキシ基、4-ジエチルアミノフェニルオキシ基、4-ニトロフェニルオキシ基が挙げられる。これらの中でもフェノキシ基、ナフチルオキシ基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0137】
201~X208において「ハロゲン原子」は、例えば、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素が挙げられる。
【0138】
201~X208は、置換基同士が結合して環を形成してもよい。以下、好ましい環を例示するが、これらに限定されない。
【0139】
【化16】
【0140】
201~X208は、分散性、保存安定性及び合成難易度の観点から、全て水素原子であることが特に好ましい。
【0141】
206~R212において「置換基を有してもよいアルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-アミル基、2-エチルヘキシル基、ステアリル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2-メトキシエチル基、2-クロロエチル基、2-ニトロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基が挙げられる。これらの中でもメチル基、エチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0142】
206~R212において「置換基を有してもよいアリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、4-メチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-ジエチルアミノフェニル基、3-ニトロフェニル基、4-シアノフェニル基が挙げられる。これらの中でもフェニル基、4-メチルフェニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0143】
206~R212において「置換基を有してもよいアシル基」は、例えば、アセチル基、プロピオイル基、ベンゾイル基、アクリリル基、トリフルオロアセチル基が挙げられる。これらの中でもアセチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0144】
206~R212において「置換基を有してもよいピリジニル基」は、例えば、2-ピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリジニル基、2-メチル-4-ピリジニル基が挙げられる。これらの中でも4-ピリジニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0145】
206とR207、R208とR209、211とR212はそれぞれ、置換基同士が結合して環を形成してもよい。
【0146】
(一般式(6)で表される化合物の製造方法)
一般式(6)で表される化合物は、例えば、下記式(6-1)に示す方法で合成できる。まず、1,8-ジアミノナフタレン類と、フルオレノン類とを、触媒とともに溶媒中で加熱還流して縮合させた後、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオンを加えてさらに加熱還流させて縮合して合成できる。なお、R~Rのうち少なくとも1つがSO である場合、スルホ基で置換された色素のスルホ基の水素イオンと、目的のカチオンを有する化合物とのカウンターイオン交換により、SO で置換された色素が得られる。
【0147】
式(6-1)
【化17】

【0148】
<インジゴ顔料>
インジゴ顔料としては、下記一般式(7)で表される化合物、下記一般式(8)で表される化合物、および、下記一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
【0149】
<一般式(7)で表される構造を有する顔料>
一般式(7)で表される構造を有するインジゴ顔料について説明する。

一般式(7)
【化18】


一般式(10)
【化19】


(**は窒素原子との結合手を表す)

一般式(7)中、R501とR502は、それぞれ独立して、水素原子、一般式(10)で表される基、配位子を持つ金属原子を表す。R501とR502が同時に水素であることはない。
501~X512はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、または、-SO3H、-COOH、これら酸性基の1価~3価の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を表す。X501~X512で示される基のうち隣り合う2個の基は、連結してそれぞれが結合する炭素原子と共に5員環又は6員環を形成してもよい。
【0150】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等が挙げられる。
【0151】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基(アントラセニル基)等が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0152】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0153】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
【0154】
「置換基を有してもよいアリールアルキル基」は、例えば、ベンジル基、2―フェニルプロパン―イル基、スチリル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
【0155】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0156】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0157】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0158】
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基の「アルキルアミノ基」は、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、tert-オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1-アダマンタミノ基、2-アダマンタミノ基等が挙げられる。
【0159】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基の「アリールアミノ基」は、例えば、アニリノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、o-トルイジノ基、m-トルイジノ基、p-トルイジノ基、2-ビフェニルアミノ基、3-ビフェニルアミノ基、4-ビフェニルアミノ基、1-フルオレンアミノ基、2-フルオレンアミノ基、2-チアゾールアミノ基、p-ターフェニルアミノ基等が挙げられる
【0160】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0161】
酸性基としては、-SO3H、-COOHが挙げられ、これら酸性基の1価~3価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。また、酸性基のアルキルアンモニウム塩としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の長鎖モノアルキルアミンのアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0162】
上記の置換基の内、X501~X512として好ましい置換基としては、水素原子、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0163】
501~X512で示される基のうち隣り合う2個の基は連結してそれぞれが結合する炭素原子とともに5員環又は6員環を形成してもよい。該5員環又は6員環は置換基を有していてもよい。このような5員環としては、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環等が挙げられ、また6員環としては、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ピラジン環、ピロン環、ピロリジン環等が挙げられる。
【0164】
<一般式(8)または一般式(9)で表される構造を有する顔料>
本発明の一般式(8)または一般式(9)で表される構造を有するインジゴ顔料について説明する。
【化20】


[式中、X~X40はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、または、-SO3H、-COOH、これら酸性基の1価~3価の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を表す。X~X40で示される基のうち隣り合う2個の基は、連結してそれぞれが結合する炭素原子と共に5員環又は6員環を形成してもよい。
Mは、金属原子を表す。]
【0165】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等が挙げられる。
【0166】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0167】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0168】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
【0169】
「置換基を有してもよいアリールアルキル基」は、例えば、ベンジル基、2―フェニルプロパン―イル基、スチリル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
【0170】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0171】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0172】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0173】
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基の「アルキルアミノ基」は、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、tert-オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1-アダマンタミノ基、2-アダマンタミノ基等が挙げられる。
【0174】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基の「アリールアミノ基」は、例えば、アニリノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、o-トルイジノ基、m-トルイジノ基、p-トルイジノ基、2-ビフェニルアミノ基、3-ビフェニルアミノ基、4-ビフェニルアミノ基、1-フルオレンアミノ基、2-フルオレンアミノ基、2-チアゾールアミノ基、p-ターフェニルアミノ基等が挙げられる
【0175】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0176】
酸性基としては、-SO3H、-COOHが挙げられ、これら酸性基の1価~3価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。また、酸性基のアルキルアンモニウム塩としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の長鎖モノアルキルアミンのアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0177】
~X40で示される基のうち隣り合う2個の基は連結してそれぞれが結合する炭素原子とともに5員環又は6員環を形成してもよい。該5員環又は6員環は置換基を有していてもよい。このような5員環としては、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環等が挙げられ、また6員環としては、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ピラジン環、ピロン環、ピロリジン環等が挙げられる。
【0178】
上記の置換基の内、X~X40として好ましい置換基としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、-SO3Hが挙げられる。
【0179】
Mは、金属原子を表す。金属原子としてはZn、Co、Ni、Ru、Pt、Mn、Sn、Ti等が挙げられる。中でも2価の金属原子が好ましく、Zn、Co、Niがより好ましい。一般式(8)で表される二量体、または一般式(9)で表される三量体となることで、耐熱性が良好な化合物となる。
【0180】
(一般式(7)~(9)で表される構造を有する顔料の合成法)
一般式(7)~(9)で表される構造を有する顔料の合成法を以下に記載する。
一般式(7)~(9)で表される構造を有する顔料は、原料として一般式(11)で表される化合物を使用する。一般式(11)で表される化合物は、特開2012-224593号公報に記載の合成法に従い得ることができる。
【0181】
一般式(11)
【化21】

[式中、X601~X608は、X~X40、X501~X512と同義である。]
【0182】
一般式(7)で表される化合物は、一般式(11)で表される化合物とホウ素化合物、または金属錯体とを反応させることで得ることができる。必要に応じ四塩化チタンや塩化アルミニウム等のルイス酸を添加する。
【0183】
反応温度は特に限定されないが、40~170℃の範囲が好ましく、より好ましくは50~130℃である。
【0184】
反応溶媒は特に限定されないが、中間体及びホウ素化合物または金属錯体が溶解するものが好ましい。具体例としては、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ブロモベンゼン等が挙げられる。
【0185】
ホウ素化合物を使用する場合、ボリン酸エステルが好ましく、ジフェニルボリン酸2-アミノエチルが特に好ましい。
【0186】
反応時間は特に限定されないが、反応の進行をMALDI TOF-MSスペクトルや分光光度計で確認して、原料の消失を確認すればよい。
【0187】
一般式(7)~(9)で表される構造を有する顔料は、一般式(11)で表される化合物を、溶媒中、金属塩と反応させることで得ることができる。
【0188】
原料の金属塩の例としては、酢酸塩、アセチルアセトン錯体、金属ハロゲン化物等が挙げられる。
【0189】
反応温度は特に限定されないが、20~120℃の範囲が好ましく、より好ましくは20~50℃である。
【0190】
反応溶媒は特に限定されないが、中間体及び金属塩が溶解するものが好ましい。具体例としては、テトラヒドロフラン、トルエン、N - メチルピロリドンが挙げられる。
【0191】
使用する金属塩の使用量は、一般式(11)で表される化合物1モルに対して、0.5モル以上であり、好ましくは1.0~3.0モルである。
【0192】
反応時間は特に限定されないが、反応の進行をMALDI TOF-MSスペクトルや分光光度計で確認して、原料の消失を確認すればよい。
【0193】
一般式(8)または一般式(9)で表される構造を有する顔料の製造においては、一般式(8)(以下、二量体と表記)および一般式(9)(以下、三量体と表記)で表される化合物が混合物として生成し、一般式(12)で表される化合物(以下、四量体と表記)が副成分として生成されていることが、TOF-MSスペクトルによって確認できる。二量体と、三量体、四量体の生成比は、TOF-MSスペクトルの、全分子イオンピーク強度の総和に対する各分子イオンピーク強度(相対強度)を算出し、それらの相対強度比をモル比とみなした。
【0194】
一般式(12)
【化22】

[式中、X49~X80は、X~X40と同義である。]
【0195】
合成時に、一般式(12)で表される化合物に対して金属塩のモル比が多いと、三量体の生成比が多くなる。四量体のモル比は、生成した化合物全分子に対し、30.0質量%以下が好ましい。
【0196】
一般式(8)または一般式(9)で表される構造を有する顔料は、特定の近赤外領域(700nm~800nm)に吸収を有し、可視光領域(480nm~650nm)の吸収が少ないため、近赤外線吸収性色素として用いた際に、近赤外線吸収剤としての機能に優れる。
【0197】
本発明における、一般式(7)で表される構造を有する顔料は、例えば、以下の化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【化23】

【化23】
【0198】
本発明における、一般式(8)で表される構造を有する顔料は、例えば、以下の化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0199】
【化24】




【化24】

【0200】
本発明における、一般式(9)で表される構造を有する顔料は、例えば、以下の化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0201】
【化25】

【化25】


【0202】
本発明の感光性組成物は、その他、フタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料以外の顔料を含んでもよい。
黄色顔料としては、例えばピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221が挙げられる。
【0203】
赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、97、122、123、146、149、150、168、169、170、176、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、209、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、268、270、272、273、274、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287が挙げられる。
橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、71、73が挙げられる。
【0204】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、1:3、2、2:1、2:2、3、8、9、10、10:1、11、12、18、19、22、24、24:1、53、56、56:1、57、58、59、60、61、62、64が挙げられる。
【0205】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン10、37、62、63が挙げられる。
【0206】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50が挙げられる。
【0207】
(無機顔料)
その他、無機顔料を併用することもできる。無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組合せて用いられる。
【0208】
また、染料を併用することもできる。染料は、例えば、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料が挙げられ、いずれも併用することができる。また例えば、アントラキノン系染料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料、オキサジン系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系性染料、トリフェニルメタン系性染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料が挙げられ、いずれも併用することができる。
【0209】
以下、上記の顔料及び染料を総称して、着色剤ということがある。
【0210】
さらに、紫外線吸収剤を併用することもできる。紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が挙げられ、いずれも併用することができる。
【0211】
さらに、紫外線吸収剤を併用することもできる。紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤が挙げられ、いずれも併用することができる。
【0212】
高屈折率材料としての性能だけでなく、特定の波長領域の透過、吸収を制御したい場合は、上記の染料や紫外線吸収剤が好適に用いられる。
例えば、近赤外線をセンシングする際に、その光線よりも短波長の領域をカットしたい場合は、青色顔料、赤色顔料や紫色顔料に黄色顔料や紫外線吸収剤を加え、IRパス材料としての機能を持たせることができる。
【0213】
(顔料の微細化)
本発明の顔料組成物においては、高い透過率を得る観点から、有機顔料はソルトミリング処理などにより微細化されていることが好ましい。顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、10nm以上であることが好ましい。また、散乱の少ない塗膜を形成できることから、400nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。特に好ましい範囲は、20~60nmの範囲である。
【0214】
(ソルトミリング処理)
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0215】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料の全質量を基準(100質量%)として、50~2000質量%用いることが好ましく、300~1000質量%用いることが最も好ましい。
【0216】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコールが用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料の全質量を基準(100質量%)として、5~1000質量%用いることが好ましく、50~500質量%用いることがより好ましい。
【0217】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料の全質量を基準(100質量%)として、5~200質量%の範囲であることが好ましい。
【0218】
<バインダー樹脂>
本発明の顔料組成物は、バインダー樹脂を含有することができる。バインダー樹脂としては、顔料等の物質間を結合することができるものが好ましく、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。硬化性の観点から熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が好ましい。
【0219】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。
光硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を導入したアクリル樹脂が挙げられる。
【0220】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば以下に示す(a)や(b)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0221】
[方法(a)]
方法(a)として、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシ基を付加反応させ、更に、生成したヒドロキシ基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシ基を導入する方法がある。
【0222】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0223】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0224】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。カルボキシ基の数を増やすため、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすることもできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
【0225】
方法(a)の類似の方法として、例えば、カルボキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシ基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシ基を導入する方法がある。
【0226】
[方法(b)]
方法(b)として、ヒドロキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシ基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖ヒドロキシ基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0227】
ヒドロキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0228】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0229】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0230】
バインダー樹脂としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0231】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、10,000~100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000~80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000~50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0232】
バインダー樹脂は、成膜性及び諸耐性の観点から、着色剤の全質量を基準(100質量%)として、30質量%以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度を高くし、良好な色特性を発現させる観点から、500質量%以下の量で用いることが好ましい。
【0233】
(分散剤)
分散剤は、顔料組成物中で顔料を分散安定化し分散後の再凝集を防止するはたらきをするものであり、分光透過率の高い膜が得られる。分散剤としては、樹脂型分散剤を含み、任意で色素誘導体、界面活性剤等を含んでもよい。
【0234】
《樹脂型分散剤》
樹脂型分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加顔料に吸着して着色剤担体への分散を安定化するはたらきをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシ基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0235】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155又はAnti-Terra-U、203、204、又はBYK-P104、P104S、220S、6919、又はLactimon、Lactimon-WS又はBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0236】
《ブロックアクリル型塩基性分散剤》
本発明の顔料組成物においては、樹脂型分散剤として、ブロックアクリル型塩基性分散剤を用いることが好ましい。ブロックアクリル型塩基性分散剤とは、塩基性基を有するブロックタイプのアクリル重合体である。中でも、一方のブロックが塩基性基を有するエチレン性不飽和単量体の重合体であり、他方のブロックが塩基性基を有しないエチレン性不飽和単量体の重合体であるものがより好ましい。
【0237】
ブロックアクリル型塩基性分散剤がAB型ブロックの場合、より好ましい様態は上記の通りであるが、BAB型ブロックの場合、Aブロックが塩基性基を有するエチレン性不飽和単量体の重合体であり、Bブロックが塩基性基を有しないエチレン性不飽和単量体の重合体であるものがより好ましい。
【0238】
樹脂型分散剤としてブロックアクリル型塩基性分散剤を用いることにより、塩基性基を有するブロックが顔料の表面に吸着し、塩基性基を有しないもう一方のブロックが溶媒との親和性を保ちつつ立体障害のはたらきをすることで、良好な分散性を発現すると考えられる。
【0239】
一般的に、樹脂型分散剤は色素誘導体を併用することで良好な分散性を得られる傾向にあるが、ブロックアクリル型塩基性分散剤を用いた場合、上記のメカニズムにより色素誘導体がなくても良好な分散性が得られることが多い。そして、色素誘導体は、本発明で使用する顔料とは異なる分光を有することが多いため、色素誘導体を用いないほうが、顔料組成物としてより高い屈折率を発現させることができる。
【0240】
塩基性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、4級アンモニウム塩を有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、これらを併用することが特に好ましい。
【0241】
3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジプロピルアミノエチルメタクリレートが挙げられ、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルプロピルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルブチルクロライド塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジエメチルアミノエチルプロピルクロライド塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチルブチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルプロピルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルブチルクロライド塩等が挙げられる。
【0242】
塩基性基を有するエチレン性不飽和単量体として、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体と4級アンモニウム塩を有するエチレン性不飽和単量体を併用する場合、ブロックアクリル型塩基性分散剤の代表的な合成方法は2つ挙げられる。
【0243】
1つ目の方法は、これらのエチレン性不飽和単量体を別々に合成して、塩基性基を有するブロックを重合する際に、これらを混合して使用する方法である。
【0244】
2つ目の方法は、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体を用いて塩基性基を有するブロックを重合し、塩基性基を有しないもう一方のブロックも重合させて、ブロック重合を終えた後、塩化ベンジルのような4級化剤と反応させて、3級アミノ基の一部を4級アンモニウム塩にする方法である。4級化剤としては、例えば、塩化ベンジル、ヨードブタン、ヨードプロパン、ヨードエタン、ブロモブタン、ブロモプロパン、ブロモエタン、クロロブタンのようなハロゲン化アルキルが挙げられる。
3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、4級アンモニウム塩を有するエチレン性不飽和単量体は、分子内にアミド結合を有するものであると、有機顔料の表面に吸着しやすく、より高い分散性が得られるため好ましい。
【0245】
ブロックポリマーの合成は、例えば、先にAブロックを合成し、その後にBブロックを合成することで、A-Bブロックポリマーを製造できる。また、まず、Bブロックを合成し、次いでAブロックを合成し、さらにBブロックを合成することでB-A-Bブロックポリマーを製造できる。なお、Aブロック及びBブロックの合成順は任意である。
【0246】
リビングラジカル重合に使用するラジカル重合開始剤は、アゾ系化合物、過酸化物が好ましい。
【0247】
アゾ系化合物としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2、2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]が挙げられる。
【0248】
過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシドが挙げられる。重合開始剤は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0249】
重合の反応温度は、40~150℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。反応時間は、3~30時間が好ましく、5~20時間がより好ましい。
【0250】
リビングラジカル重合は、公知の重合法で行うことができるところ、RAFT重合(可逆的付加開裂連鎖移動重合)が好ましい。RAFT重合は、RAFT剤の存在下、モノマーをラジカル重合する方法であり、ポリマーの分子量及び分子量分布を制御しやすい。
【0251】
RAFT剤は、連鎖移動効果、及び重合開始効果を有する化合物であり、例えば、ジチオベンゾエート型、トリチオカーボネート型、ジチオカルバメート型、キサンテト型、これらの前駆体であるジスルフィド型が挙げられる。
【0252】
ジチオベンゾエート型としては、例えば、ジチオ安息香酸2-シアノ-2-プロピル、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸、ベンゾジチオ酸2-フェニル-2-プロピルが挙げられる。
【0253】
トリチオカーボネート型としては、例えば、4-[(2-カルボキシエチルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]-4-シアノペンタン酸、2-{[(2-カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン、2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル、2-メチル-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸、S,S-ジベンジルトリチオ炭酸、トリチオ炭酸=ビス[4-(アリルオキシカルボニル)ベンジル]、トリチオ炭酸=ビス[4-(2,3-ジヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンジル]、トリチオ炭酸=ビス{4-[エチル-(2-アセチルオキシエチル)カルバモイル]ベンジル}、トリチオ炭酸ビス{4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}、トリチオ炭酸=ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンジル]が挙げられる。
【0254】
ジチオカルバメート型としては、例えば、4-クロロ-3,5-ジメチルピラゾ-ル-1-カルボジチオ酸2'-シアノブタン-2'-イル、3,5-ジメチルピラゾ-ル-1-カルボジチオ酸2'-シアノブタン-2'-イル、3,5-ジメチルピラゾ-ル-1-カルボジチオ酸シアノメチル、N-メチル-N-フェニルジチオカルバミン酸シアノメチルが挙げられる。
【0255】
ジスルフィド型としては、例えば、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィド、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィドが挙げられる。これらはA-Bブロックポリマーの製造に好ましい。
【0256】
これらの中でも、合成時の反応制御が容易なトリチオカーボネート型化合物が好ましく、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル、トリチオ炭酸ビス{4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル}、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィドがより好ましい。
【0257】
RAFT剤の使用量は、モノマー100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
【0258】
ブロックアクリル型塩基性分散剤の合成においては、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが挙げられる。有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0259】
(カルボキシ基を有する樹脂型分散剤)
また、本発明で使用する樹脂型分散剤は、例えば、カルボキシ基を有する樹脂型分散剤として、下記(S1)又は(S2)を含有することも好ましい。
(S1)水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂型分散剤。
(S2)水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である樹脂型分散剤。
【0260】
[樹脂型分散剤(S1)]
樹脂型分散剤(S1)は、国際公開2008/007776号、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報等の公知の方法で製造することができる。水酸基を有する重合体(p)は、末端に水酸基を有する重合体であることが好ましく、例えば、水酸基を有する化合物(q)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体として得ることができる。水酸基を有する化合物(q)としては、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物であることが好ましい。末端の水酸基は複数であることが好ましいため、中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)が好適に用いられる。
【0261】
すなわち、より好ましい一例である、片末端に2つの水酸基を有する重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体(p1)として得ることができる。水酸基を有する重合体(p)の水酸基は、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する一方、無水環は開環し、カルボン酸を生じる。
【0262】
[樹脂型分散剤(S2)]
樹脂型分散剤(S2)は、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等の公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基を有する化合物(q)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合することで得られる。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体であることが好ましい。
【0263】
(S1)と(S2)は、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
【0264】
樹脂型分散剤は、熱硬化性または光硬化性を有することが好ましい。また、光ナノインプリントに使用する場合は、転写性の観点から、樹脂型分散剤もより柔軟であることが好ましい。
【0265】
樹脂型分散剤は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0266】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、顔料の全量を基準(100重量%)として、好ましくは0.1~200重量%、さらに好ましくは0.1~150重量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が上記範囲であることにより、好ましい分散性を発現させることができる。
【0267】
《色素誘導体》
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、又は置換基を有していてもよいフタルイミドメチル基を導入した化合物が挙げられ、例えば、特開昭63-305173号公報、特公昭57-15620号公報、特公昭59-40172号公報、特公昭63-17102号公報、特公平5-9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0268】
色素誘導体の配合量は、顔料の分散性向上の観点から、顔料の全量を基準(100質量%)として、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、最も好ましくは3質量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、添加顔料の全量を基準(100質量%)として、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
【0269】
《界面活性剤》
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0270】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、顔料の全量を基準(100質量%)として、好ましくは0.1~200質量%、さらに好ましくは0.1~150質量%である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が上記範囲であることにより、好ましい分散性を発現させることができる。
【0271】
<有機溶剤>
本発明の感光性組成物には、顔料を充分に分散、浸透させ、高屈折率材料の成形を容易にするために有機溶剤を含有させることができる。
【0272】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチ
ルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステルが挙げられる。
【0273】
中でも、顔料の分散性、溶解性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。特に、安全衛生面と低粘度化の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
【0274】
これらの有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。2種以上の混合溶剤とする場合、上記の好ましい有機溶剤が65~95質量%含有されていることが好ましい。
【0275】
また有機溶剤は、感光性組成物を適正な粘度に調節し、高屈折率材料の形成性を向上させる観点から、着色剤の全質量を基準(100質量%)として、800~4000質量%の量で用いることが好ましい。
【0276】
<分散>
本発明の顔料組成物は、顔料、及び必要に応じて含有する樹脂、溶剤からなる着色剤担体中に、好ましくは色素誘導体などの分散助剤と一緒に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の顔料組成物は、顔料、染料、その他の着色剤等を別々に着色剤担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0277】
<光重合性単量体>
本発明の顔料組成物は、光重合性単量体を含有する。光重合性単量体は、熱硬化性、光硬化性をともに有するため、ナノインプリント法に好適に利用することができる。
また、光ナノインプリントに使用する場合、転写性の観点から、柔軟でかつ光硬化性を有する光重合性単量体を含有することが求められる。そのため、光重合性単量体亜は、室温(25℃)で液状であることが好ましい。
本発明の光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。光重合性単量体の配合量は、光硬化性、柔軟性を考慮すると、固形分中10~50質量%であることが好ましく、15~30質量%であることがより好ましい。10質量%より少ないと、光硬化性、柔軟性が不十分である傾向にあり、50重量%より多いと、顔料の固形分中比率が低くなり、高屈折率が発現しにくくなる傾向にある。
【0278】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリルが挙げられる。
【0279】
<光重合開始剤>
本発明の顔料組成物は、光重合開始剤を含有する感光性の顔料組成物(以下、単に感光性組成物と記載することがある)として、紫外線照射により硬化させる光ナノインプリント用に好適に使用できる。
光重合開始剤を使用する際の配合量は、固形分中0.2~20質量%であることが好ましく、光硬化性の観点から0.5~10質量%であることがより好ましい。
【0280】
光重合開始剤としては、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はO-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物が用いられる。
特に、オキシムエステル系化合物は感度が高く、少量で光硬化性を発現するため、微細パターンを形成するうえでは、オキシムエステル系化合物を使用することが好ましい。
【0281】
これらの光重合開始剤は、1種又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0282】
<増感剤>
さらに、本発明の顔料組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3'又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノンが挙げられる。
【0283】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0284】
増感剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上用いても構わない。増感剤を使用する際の配合量は、顔料組成物中に含まれる光重合開始剤の全質量を基準(100質量%)として、3~60質量%であることが好ましく、光硬化性の観点から5~50質量%であることがより好ましい。
【0285】
<アミン系化合物>
また、本発明の顔料組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、及びN,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0286】
<レベリング剤>
本発明の顔料組成物には、組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、顔料組成物の全質量を基準(100質量%)として、0.003~0.5質量%用いることが好ましい。
【0287】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、顔料組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0288】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2130、FZ-2166、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0289】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
【0290】
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルが挙げられる。
【0291】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、例えば、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0292】
<その他の添加剤成分>
本発明の顔料組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0293】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.1~10質量%の量で用いることができる。
【0294】
密着向上剤としては、例えば、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、感光性組成物中の着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.01~10質量%、好ましくは0.05~5質量%の量で用いることができる。
【0295】
<粗大粒子の除去>
本発明の顔料組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように感光性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0296】
<膜>
本発明の顔料組成物を、溶剤揮発、ナノインプリント法で露光(光硬化)又は加熱(熱硬化)によって硬化して得られる膜もまた本発明の対象であり、微細な任意の形状を有する膜を形成することができる
露光する光線としては、紫外線、電子線、X線等が挙げられる。紫外線照射に用いる光源としては、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、UV-LED等が使用できる。また、露光後、硬化物の物性を安定化させるためにポストベークを施してもよい。ポストベークの方法としては、特に限定されないが、通常、ホットプレート、オーブン等を使用して、50~260℃、1~120分間の範囲で行われる。
熱硬化における加熱条件としては、特に限定されないが、通常、50~300℃、1~120分間の範囲から適宜選択される。また、加熱手段としては、特に限定されないが、例えばホットプレート、オーブン等が挙げられる。
【0297】
上記本発明の顔料組成物により形成した膜は、800~1600nmの波長領域において高屈折率となり、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路の形成材料として好適である。
【0298】
なお、本発明の感光性組成物は、ナノインプリントにより、ドーム状やストライプ状などの微細な任意の形状に成形することができる。たとえば、マイクロレンズとして成形することもでき、また、光導波路として成形することもできる。
【0299】
本明細書において、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズとは、赤外線を集光するためのレンズを指し、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、マイクロレンズが挙げられる。
【0300】
本明細書において、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路とは、赤外線を伝搬させるための導波路を指し、シート状、板状等、その形状は限定されない。用途としては、例えば、コンピューターやセンサーデバイスの光通信等に使用するケーブルのほか、デバイス内部の光通信に用いる光インターコネクション等が挙げられ、また赤外線センサ等が赤外線をセンシングする際の光路上に使用される材料等も挙げられる。
【実施例0301】
以下に、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下「質量部」は単に「部」、「質量%」は単に「%」と記載する。
【0302】
<フタロシアニン顔料またはナフタロシアニン顔料の製造>
<銅フタロシアニン顔料の製造>
【0303】
(フタロシアニン顔料(PC-1)の製造)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部のフタロシアニン顔料(PC-1)を得た。
【0304】
(フタロシアニン顔料(PC-2)の製造)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6の代わりにC.I.ピグメントブルー15:2を用い、フタロシアニン顔料(PC-1)の製造と同様にして、フタロシアニン顔料(PC-2)を得た。
【0305】
(フタロシアニン顔料(PC-3)の製造)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6の代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を用い、フタロシアニン顔料(PC-1)の製造と同様にして、フタロシアニン顔料(PC-3)を得た。
【0306】
(フタロシアニン顔料(PC-4)の製造)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6の代わりにC.I.ピグメントブルー15:1を用い、フタロシアニン顔料(PC-1)の製造と同様にして、フタロシアニン顔料(PC-4)を得た。
【0307】
公知の方法で、下記フタロシアニン顔料(PC-5)~(PC-12)を得た。
フタロシアニン顔料(PC-5):C.I.ピグメントグリーン36
フタロシアニン顔料(PC-6):C.I.ピグメントグリーン58
フタロシアニン顔料(PC-7):C.I.ピグメントグリーン7
フタロシアニン顔料(PC-8):リチウムフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-9):マグネシウムフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-10):クロロアルミニウムフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-11):2塩化ケイ素フタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-12):チタンフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-13):マンガンフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-14):鉄フタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-15):コバルトフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-16):ニッケルフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-17):スズフタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-18):鉛フタロシアニン
フタロシアニン顔料(PC-19):プラチナフタロシアニン
【0308】
<アルミニウムフタロシアニン顔料の製造>
特開2012-155231号公報を参考にして、下記のアルミニウムフタロシアニンを製造した。
【0309】
【化26】



【化26】


【化26】


【化26】

【0310】
<ハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの製造>
特開2016-153481号公報を参考にし、下記のハロゲン化アルミニウムフタロシアニン顔料を製造した。
【0311】
【化27】
【化27】
【化27】
【0312】
<アルミニウムナフタロシアニン顔料の製造>
【0313】
アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-1)~(Cpr-21)
【化28】
【化28】
【化28】
【0314】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成)
反応容器中で、キノリン1135部に1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部と塩化アルミニウム無水物40部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、159部の下記構造式(1-1)で示されるクロロアルミニウムナフタロシアニンを得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。
【0315】
クロロアルミニウムナフタロシアニン(1-1)
【化29】
【0316】
次いで、反応容器中で、濃硫酸100部に上記クロロアルミニウムナフタロシアニン(1-1)10部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、8部のナフタロシアニン顔料(Cpr-1)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は884.74であった。
【0317】
アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-2)の合成
アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部、キノリン1135部の代わりに、それぞれ、2,3―ジシアノナフタレン178部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、125部のナフタロシアニン顔料(Cpr-2)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は756.75であった。
【0318】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-3)の合成)
濃硫酸1500部に上記ナフタロシアニン顔料(Cpr-2)100部を氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン151部を徐々に加え、25℃で6時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、170部のナフタロシアニン顔料(Cpr-3)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。得られたナフタロシアニン顔料(Cpr-3)について臭素置換数を算出したところ、平均8.4個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物を同定した。分子量は1419.51であった。
【0319】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-4)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、4,9-ジブトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン339部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、237部のナフタロシアニン顔料(Cpr-4)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1333.59であった。
【0320】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-5)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、4,9-ジクロロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン264部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、185部のナフタロシアニン顔料(Cpr-5)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1032.31であった。
【0321】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-6)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、5-ニトロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン232部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、162部のナフタロシアニン顔料(Cpr-6)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は905.08であった。
【0322】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-7)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6,7-ジカルボニトリル245部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、171部のナフタロシアニン顔料(Cpr-7)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は956.82であった。
【0323】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-8)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-5-カルボン酸239部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、167部のナフタロシアニン顔料(Cpr-8)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は932.79であった。
【0324】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-9)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-5-スルホン酸275部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、192部のナフタロシアニン顔料(Cpr-9)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1077.0であった。
【0325】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-10)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、4-フェニル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン271部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、190部のナフタロシアニン顔料(Cpr-10)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1061.13であった。
【0326】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-11)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6,7-ジメチル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン223部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、156部のナフタロシアニン顔料(Cpr-11)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は868.96であった。
【0327】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-12)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、5-(ネオペンチルオキシ)-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン281部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、197部のナフタロシアニン顔料(Cpr-12)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1101.28であった。
【0328】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-13)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6-フェノキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン287部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、201部のナフタロシアニン顔料(Cpr-13)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1125.13であった。
【0329】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-14)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6-(イソプロピルチオ)-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン269部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、188部のナフタロシアニン顔料(Cpr-14)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1053.33であった。
【0330】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-15)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6-(フェニルチオ)-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン303部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、212部のナフタロシアニン顔料(Cpr-15)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1189.39であった。
【0331】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-16)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、N-tert-ブチル-1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6-アミン266部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、186部のナフタロシアニン顔料(Cpr-16)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1041.23であった。
【0332】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-17)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-N-p-トリル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6-アミン300部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、210部のナフタロシアニン顔料(Cpr-17)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1177.3であった。
【0333】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-18)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6-シクロヘキシル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン277部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、194部のナフタロシアニン顔料(Cpr-18)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1085.32であった。
【0334】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-19)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、1,3-ジイミノ-N、N-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-6-スルホンアミド302部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、211部のナフタロシアニン顔料(Cpr-19)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1185.27であった。
【0335】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-20)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、6,7-ジクロロ-4,9-ジメトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン324部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、227部のナフタロシアニン顔料(Cpr-20)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1272.52であった。
【0336】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(Cpr-21)の合成)
ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成で使用した1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-4,9-ジオール227部の代わりに、4,9-ジブロモ-6-エトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン397部を使用した以外は、ナフタロシアニン顔料(Cpr-1)の合成と同様の操作を行い、278部のナフタロシアニン顔料(Cpr-21)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。分子量は1564.13であった。
【0337】
(アルミニウムナフタロシアニン顔料(C-1)の合成)
下記の手順でナフタロシアニン顔料(Cpr-2)とリン化合物とからなるナフタロシアニン顔料(C-1)を製造した。N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部のナフタロシアニン顔料(Cpr-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液を水2000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、12部の下記ナフタロシアニン顔料(C-1)を得た。
【0338】
アルミニウムナフタロシアニン顔料(C-1)
【化30】
【0339】
アルミニウムナフタロシアニン顔料(C-2)~(C-34)
【化30】
【0340】
【化30】
【0341】
【化30】
【0342】
組成を表1-1に示すものに変更した以外は、アルミニウムナフタロシアニン顔料(C-1)と同様にして、アルミナフタロシアニン顔料(C-2)~(C-34)を合成した。
【0343】
【表1-1】

【0344】
<アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料の製造>
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-1)の合成)
反応容器中で、フタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と三塩化アルミニウム34部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、140部のフタロシアニン顔料(apr-1)を得た(下記構造式で表される化合物の混合物)。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。
【0345】
アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(apr-1)
【化31】
【0346】
次いで、反応容器中で、濃硫酸1500部に上記フタロシアニン顔料(apr-1)140部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、120部のフタロシアニン顔料(a-1)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-1)は、下記構造式で表される化合物の混合物であり、主成分はn2体であった。
【0347】
【化32】
【0348】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-2)の合成)
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル26部、2,3―ジシアノナフタレン143部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-2)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-2)の主成分は下記構造のn3体であった。
【0349】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-3)の合成)
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル13部、2,3―ジシアノナフタレン160部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-3)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-3)の主成分は下記構造のn3体であった。
【0350】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-4)の合成)
フタロシアニン顔料(a-1)の合成で使用したフタロニトリル64部、2,3―ジシアノナフタレン89部の代わりに、それぞれ、フタロニトリル102部、2,3―ジシアノナフタレン36部を使用した以外は、フタロシアニン顔料(a-1)の合成と同様の操作を行い、フタロシアニン顔料(a-4)を147部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-4)の主成分は下記構造のn1体であった。
【0351】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(a-5)の合成)
反応容器中で、キノリン900部に3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部と、塩化アルミニウム無水物50部を混合攪拌した。昇温し、140℃で5時間加熱攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、108部のフタロシアニン顔料(apr-5)を得た。
【0352】
次いで、反応容器中で、濃硫酸1500部に上記フタロシアニン顔料(apr-5)114部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水15000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、100部のフタロシアニン顔料(a-5)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。フタロシアニン顔料(a-5)の主成分は下記構造のn3体であった。
【0353】
【化33】
【0354】
得られたアルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料の組成を表1-2に示す。なおn3体は、前記一般式(3-3)で表されるフタロシアニン顔料に該当する。
【0355】
【表1-2】
【0356】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(A-1)の製造)
N - メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部のフタロシアニン顔料(a-1)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液を水2000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、12部のフタロシアニン顔料(A-1)を得た。
【0357】
(アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(A-2)~(A-5)の製造)
アルミニウムフタロシアニン/ナフタロシアニン共合成顔料(A-1)の製造と同様にして、フタロシアニン顔料(a-2)~(a-5)についてもフタロシアニン顔料(a-1)と同様の所作を行い、フタロシアニン顔料(A-2)~(A-5)を得た。
【0358】
<顔料の平均一次粒子径の測定>
顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量) を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)を用いた。
この方法で測定した結果、フタロシアニン顔料(PC-1)の平均一次粒子径は28nmであった。
上記方法により測定した顔料及び微細化顔料の平均一次粒子径を、表2に示す。
【0359】
【表2】

【0360】
<スクアリリウム顔料の製造>
【0361】
スクアリリウム顔料(S-1)~(S-12)
【化34】
【0362】
【化34】
【0363】
(スクアリリウム顔料(S-1)の製造)
トルエン400部に、1,8-ジアミノナフタレン40.0部、シクロヘキサノン25.1部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn-ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。
反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノール及びアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、スクアリリウム顔料(S-1)61.9部(収率:92%)を得た。TOF-MS(飛行時間型質量分析計)による質量分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-1)であることを同定した。
【0364】
(スクアリリウム顔料(S-2の製造))
スクアリリウム顔料(S-1)の製造で使用したシクロヘキサノン25.1部の代わりに、2,6-ジメチルシクロヘキサノン32.2部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-1)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-2)71.9部(収率:97%)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-2)であることを同定した。
【0365】
(スクアリリウム顔料(S-3)の製造)
スクアリリウム顔料(S-1)の製造で使用したシクロヘキサノン25.1部の代わりに、3,5-ジメチルシクロヘキサノン32.2部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-1)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-3)72.6部(収率:98%)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、上記スクアリリウム顔料(AS-3)であることを同定した。
【0366】
(スクアリリウム顔料(S-4)の製造)
スクアリリウム顔料(S-1)の製造で使用したシクロヘキサノン25.1部の代わりに、4-メチルシクロヘキサノン28.6部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-1)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-4)67.2部(収率:95%)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-4)であることを同定した。
【0367】
(スクアリリウム顔料(S-5)の製造)
スクアリリウム顔料(S-1)の製造で使用したシクロヘキサノン25.1部の代わりに、3,5-ジエチルシクロヘキサノン39.4部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-1)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-5)76.9部(収率:95%)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-5)であることを同定した。
【0368】
(スクアリリウム顔料(S-6)の製造)
スクアリリウム顔料(S-1)の製造で使用したシクロヘキサノン25.1部の代わりに、2-ノルボルナノン28.1部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-1)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-6)64.6部(収率:92%)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-6)であることを同定した。
【0369】
(スクアリリウム顔料(S-7)の製造)
トルエン400部に、1,8-ジアミノナフタレン40.0部、9-フルオレノン46.0部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn-ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノール及びアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、スクアリリウム顔料(S-7)84.6部(収率:97%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-7)であることを同定した。
【0370】
(スクアリリウム顔料(S-8)の製造)
スクアリリウム顔料(S-7)の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2-メチル-9-フルオレノン49.6部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-7)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-8)86.7部(収率:96%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-8)であることを同定した。
【0371】
(スクアリリウム顔料(S-9)の製造)
スクアリリウム顔料(S-7)の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、3,6-ジエチル-9-フルオレノン60.3部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-7)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-9)95.0部(収率:94%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-9)であることを同定した。
【0372】
(スクアリリウム顔料(S-10)の製造)
スクアリリウム顔料(S-7)の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2,7-ビス(トリフルオロメチル)-9-フルオレノン80.7部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-7)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-10)109.8部(収率:91%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-10)であることを同定した。
【0373】
(スクアリリウム顔料(S-11)の製造)
スクアリリウム顔料(S-7)の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2-ヒドロキシ-9-フルオレノン50.1部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-7)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-11)83.9部(収率:92%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-11)であることを同定した。
【0374】
(スクアリリウム顔料(S-12)の製造)
スクアリリウム顔料(S-7)の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、13H-ベンゾ[g]インデノ[2,1-b]キノキサリン-13-オン72.1部を使用した以外は、スクアリリウム顔料(S-7)の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム顔料(S-12)107.1部(収率:96%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、上記スクアリリウム顔料(S-12)であることを同定した。
【0375】
(スクアリリウム顔料(S-1)の微細化)
スクアリリウム顔料(S-1)を10部、塩化ナトリウム100部、エチレングリコール12.5部をステンレス製ガロンニーダー(井上製作所製)中に仕込み、60℃ で12時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1 時間攪拌してスラリー状として、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ粉砕することにより、9.4部のスクアリリウム顔料(S-1K)を得た。
【0376】
(スクアリリウム顔料(S-2)~(S-12)の微細化)
スクアリリウム顔料(S-2)~(S-12)についても、スクアリリウム顔料(S-1)同様に微細化処理を行い、スクアリリウム顔料(S-2K)~(S-12K)を得た。
【0377】
<インジゴ顔料の製造>
(顔料(aa―1)の製造)
反応容器中で、アニリン10.7部、ブロモベンゼン120部、およびジアザビシクロオクタン25.7部を加え、攪拌した。その後、四塩化チタンの1mol/lトルエン溶液95.2部を滴下した。滴下後、インディゴ10.0部を加え、10時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、濾過し、緑色粉末を得た。これをジクロロメタンと水で分液を行い、有機層を濃縮することで、化合物(1)を14.6部得た。
【0378】
[化合物(1)]
【化34】

【0379】
反応容器中で、化合物(1)13.5部、ビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)9.0部、とテトラヒドロフラン120部を混合攪拌し、昇温後40℃で5時間攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール500部へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール500部で洗浄後、水500部で洗浄し、乾燥して、12.2部の顔料(aa―1)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-1)の主成分は化合物(aa-1-1)であり、化合物(aa-1-2)(以下、三量体と表記)、化合物(aa-1-3)(以下、四量体と表記)についてもTOF-MSで生成が確認された。顔料(aa―1)の赤外吸収スペクトルを図1に示す。
【0380】
【化35】

【0381】
(顔料(aa-2)の製造)
顔料(aa-1)の合成で使用したビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)9.0部を、25.0部に変更した以外は、顔料(aa-1)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-2)を11.7部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-2)の主成分は化合物(aa-1-2)であった。顔料(aa-2)の赤外吸収スペクトルを図2に示す。
【0382】
(顔料(aa-3)の製造)
顔料(aa-1)の合成で使用したビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)9.0部を、酢酸亜鉛2水和物15.0部に変更した以外は、顔料(aa―1)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-3)を12.3部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-3)の主成分は化合物(aa-1-1)であった。顔料(aa-3)の赤外吸収スペクトルを図3に示す。
【0383】
(顔料(aa-4)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、2,3-ジクロロアニリン18.5部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(2)を17.8部得た。
【0384】
[化合物(2)]
【化36】

【0385】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(2)15.8部に変更した以外は、顔料(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-4)を14.6部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-4)の主成分は化合物(aa-4-1)であった。顔料(aa-4)の赤外吸収スペクトルを図4に示す。
【0386】
化合物(aa-4-1)
【化37】
【0387】
(顔料(aa-5)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、3,4-ジフルオロアニリン14.6部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(3)を16.2部得た。
【0388】
[化合物(3)]
【化38】

【0389】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(3)14.7部に変更した以外は、顔料(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-5)を13.4部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-5)主成分は化合物(aa-5-1)であった。顔料(aa-5)の赤外吸収スペクトルを図5に示す。
【0390】
化合物(aa-5-1)
【化39】

【0391】
(顔料(aa-6)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、4-ブロモアニリン19.8部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(4)を20.0部得た。
【0392】
[化合物(4)]
【化40】
【0393】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(4)19.7部に変更した以外は、顔料(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-6)を15.0部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-6)主成分は化合物(aa-6-1)であった。
【0394】
化合物(aa-6-1)
【化41】
【0395】
(顔料(aa-7)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、p-トルイジン12.3部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(5)を14.9部得た。
【0396】
[化合物(5)]
【化42】
【0397】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(5)14.0部に変更した以外は、化合物(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-7)を13.2部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-7)主成分は化合物(aa-7-1)であった。
【0398】
化合物(aa-7-1)
【化43】
【0399】
(顔料(aa-8)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、4-(メチルチオ)アニリン16.0部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(6)を16.4部得た。
【0400】
[化合物(6)]
【化44】
【0401】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(6)15.0部に変更した以外は、化合物(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-8)を14.2部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-8)主成分は化合物(aa-8-1)であった。
【0402】
化合物(aa-8-1)
【化45】

【0403】
(顔料(aa-9)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部をスルファニル酸20.0部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(7)を17.5部得た。
【0404】
[化合物(7)]
【化46】
【0405】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(6)16.0部に変更した以外は、化合物(aa-2)の合成と同様の操作を行い、化合物(aa-9)を15.2部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。化合物(aa-9)の主成分は化合物(aa-9-1)であった。
【0406】
化合物(aa-9-1)
【化47】
【0407】
(顔料(aa-10)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、4-アミノ-2-メチルフェノール14.2部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(8)を17.5部得た。
【0408】
[化合物(8)]
【化48】
【0409】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(8)14.5部に変更した以外は、化合物(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-10)を13.1部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-10)の主成分は化合物(aa-10-1)であった。
【0410】
化合物(aa-10-1)
【化49】
【0411】
(顔料(aa-11)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、3-メトキシアニリン14.2部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(9)を17.3部得た。
【0412】
[化合物(9)]
【化50】
【0413】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(9)14.5部に変更した以外は、顔料(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-11)を12.8部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-11)の主成分は化合物(aa-11-1)であった。
【0414】
化合物(aa-11-1)
【化51】
【0415】
(顔料(aa-12)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、4-フェノキシアニリン21.3部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(10)を18.8部得た。
【0416】
[化合物(10)]
【化52】
【0417】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(10)16.5部に変更した以外は、化合物(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-12)を15.3部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-12)の主成分は化合物(aa-12-1)であった。
【0418】
化合物(aa-12-1)
【化53】
【0419】
(顔料(aa-13)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、N,N-ジエチル-1,4-フェニレンジアミン18.8部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(11)を18.8部得た。
【0420】
[化合物(11)]
【化54】
【0421】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(11)15.7部に変更した以外は、顔料(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-13)を14.2部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-13)の主成分は化合物(aa-13-1)であった。
【0422】
化合物(aa-13-1)
【化55】
【0423】
(化合物(aa-14)の製造)
化合物(1)の合成で使用したアニリン10.7部を、4-シアノアニリン13.7部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(12)を16.0部得た。
【0424】
[化合物(12)]
【化56】
【0425】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(12)15.2部に変更した以外は、顔料(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-14)を14.6部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-14)の主成分は化合物(aa-14-1)であった。
【0426】
化合物(aa-14-1)
【化57】
【0427】
(化合物(aa-15)の製造)
化合物(1)の合成で使用したインディゴ10.0部を、バットブルー35 16.0部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(13)を19.5部得た。
【0428】
[化合物(13)]
【化58】

【0429】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(13)18.7部に変更した以外は、顔料(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-15)を17.5部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-15)の主成分は化合物(aa-15-1)であった。
【0430】
化合物(aa-15-1)
【化59】
【0431】
(顔料(aa-16)の製造)
化合物(1)の合成で使用したインディゴ10.0部を、バットブルー5 22.0部に変更した以外は、化合物(1)の合成と同様の操作を行い、化合物(14)を24.4部得た。
【0432】
[化合物(14)]
【化60】
【0433】
顔料(aa-2)の合成で使用した化合物(1)13.5部を、化合物(14)23.9部に変更した以外は、顔料(aa-2)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-16)を21.5部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-16)の主成分は化合物(aa-16-1)であった。
【0434】
化合物(aa-16-1)
【化61】
【0435】
(顔料(aa-17)の製造)
【0436】
顔料(aa-1)の合成で使用したビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)9.0部を、ビス(2、4-ペンタンジオナト)ニッケル(II)水和物8.8部に変更した以外は、顔料(aa-1)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-17)を11.5部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-17)の主成分は化合物(aa-17-1)であった。顔料(aa-17)の赤外吸収スペクトルを図6に示す。
【0437】
化合物(aa-17-1)
【化62】
【0438】
(顔料(aa-18)の製造)
【0439】
顔料(aa-3)の合成で使用した酢酸亜鉛2水和物15.0部を、酢酸ニッケル(II)4水和物17.0部に変更した以外は、顔料(aa-3)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-18)を10.1部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-18)の主成分は化合物(aa-18-2)であった。
化合物(aa-18-2)
【化63】

【0440】
(顔料(aa-19)の製造)
顔料(aa-1)の合成で使用したビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)9.0部を、ビス(2、4-ペンタンジオナト)コバルト(II) 12.6部に変更した以外は、顔料(aa-1)の合成と同様の操作を行い、顔料(aa-19)を12.7部得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。顔料(aa-19)の主成分は化合物(aa-19-1)であった。顔料(aa-19)の赤外吸収スペクトルを図7に示す。
【0441】
化合物(aa-19-1)
【化64】

【0442】
(顔料(aa-20)の合成)
特開2012-224593公報に従い、下記構造の顔料(aa-20)を得た。
【0443】
顔料(aa-20)
【化65】

【0444】
<微細化顔料の製造>
【0445】
(黄色微細化顔料(PY-1)の製造)
イソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 139(BASF社製「Paliotol Yellow L 2146HD」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、黄色微細化顔料(PY-1)を得た。
【0446】
(紫色微細化顔料(PV-1)の製造)
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(Clariant社製「FastVioletRL」)120部、粉砕した食塩1600部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、118部の紫色微細化顔料(PV-1)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は26nmであった。
【0447】
<バインダー樹脂溶液の調製方法>
(バインダー樹脂溶液1)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート13.3部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液1を調製した。ここで、バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0448】
(バインダー樹脂溶液2)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃ に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2 時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃ で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃ で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃ で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、共重合体溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃ で3.5時間反応させ共重合体溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
バインダー樹脂溶液2は、メタアクリロイル基を有するため、熱硬化性、光硬化性を有する。
【0449】
<樹脂型分散剤溶液の調製方法>
(樹脂型分散剤溶液1):ブロックアクリル型塩基性分散剤
[モノマー(b-1)の合成]
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、メタクリル酸2-イソシアナトエチル60部、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン29部、THF120部を仕込み、室温で5時間撹拌した。FT-IRで反応が完結していることを確認したのち、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、淡黄色透明の液体として、下記のモノマー(b-1)を73部得た(収率82%)。得られた化合物の同定は、H-NMRで実施した。
【0450】
モノマー(b-1)
【化66】
【0451】
[モノマー(b-2)の合成]
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、モノマー(b-1)の合成で得られた、モノマー(b-1)6.6部、イオン交換水5部を仕込み、室温で撹拌したのち、35%塩酸水溶液8部を滴下した。アミン価測定で反応が完結していることを確認し、淡黄色透明液体として、モノマー(b-2)水溶液を20部得た。得られた化合物の同定は、H-NMRで実施した。
【0452】
モノマー(b-2)
【化67】
【0453】
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート17.7部、n-ブチルメタクリレート53.2部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、PGMAc100部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc20部、第二ブロックモノマーとしてモノマー(b-1)21.2部、モノマー(b-2)水溶液27部(不揮発分38%)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が50mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が20mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800の樹脂型分散剤溶液1を得た。
【0454】
(樹脂型分散剤溶液2):ブロックアクリル型塩基性分散剤
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート20部(以下、DMという)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が71.4mgKOH/g、重量平均分子量9900(Mw)の、ポリ(メタ)アクリレート骨格と3級アミノ基を有する樹脂型分散剤溶2を得た。
【0455】
(樹脂型分散剤溶液3):ブロックアクリル型塩基性分散剤
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液25.6部(三菱レイヨン社製「アクリエステルDMC78」)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が29.4mgKOH/g、重量平均分子量9800(Mw)の、ポリ(メタ)アクリレート骨格と4級アンモニウム塩基を有する樹脂型分散剤溶液3を得た。
【0456】
(樹脂型分散剤溶液4):ブロックアクリル型塩基性分散剤
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、4-ジメチルアミノ-1,2-エポキシブタン55部、テトラヒドロフラン(THF)120部を仕込み、70℃で加熱撹拌し、メタクリル酸35部を60分かけて滴下した。滴下完了後、70℃でさらに2時間加熱撹拌しH-NMRで反応が完結していることを確認したのち、室温に放冷した。反応溶液を、イオン交換水300部、飽和炭酸水素ナトリウム200部、飽和食塩水200部で順次洗浄後、有機層に硫酸マグネシウム20gを加え、撹拌後、ろ過を行った。得られた溶液の溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、淡黄色透明の液体として、下記のモノマー(b-3)を31部得た(収率42%)。得られた化合物の同定は、H-NMRで実施した。
【0457】
モノマー(b-3)
【化68】
【0458】
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート17.6部、n-ブチルメタクリレート52.8部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc25部、第二ブロックモノマーとして、エチレン性不飽和単量体(b-3)25.1部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。エチレン性不飽和単量体(b-3)投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認した。
さらに、この反応装置に、ベンジルクロライド4.5部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し、その後冷却した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が50mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が20mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%の樹脂型分散剤溶液4を得た。
【0459】
(樹脂型分散剤溶液5)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価43、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する樹脂型分散剤溶液5を得た。
【0460】
(樹脂型分散剤溶液6)
下記構造の樹脂型分散剤を公知の方法で得た(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=26000)。不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加し、樹脂型分散剤溶液6とした。
【化69】

(樹脂型分散剤溶液7)
下記構造の樹脂型分散剤を公知の方法で得た(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=21000)。不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加し、樹脂型分散剤溶液7とした。
【化70】
【0461】
(樹脂型分散剤溶液8)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート45部、メタクリル酸5部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価75、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する樹脂型分散剤溶液8を得た。
【0462】
(樹脂型分散剤溶液9)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価43、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する樹脂型分散剤溶液9を得た。
【0463】
(樹脂型分散剤溶液10)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物19.2部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価90、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する樹脂型分散剤溶液10を得た。
【0464】
(樹脂型分散剤溶液11)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート45部、メタクリル酸5部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール2部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物3.2部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価47、重量平均分子量18000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する樹脂型分散剤溶液11を得た。
【0465】
(酸性樹脂型分散剤溶液12)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc(メトキシプロピルアセテート)650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を固形分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、t-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。固形分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。ピーク消失の確認後、反応溶液を冷却して、PGMAcで固形分調整することにより不揮発分40%の樹脂型分散剤溶液12を得た。得られた分散剤の酸価は68、不飽和二重結合当量は1593、重量平均分子量は13000であった。
樹脂型分散剤溶液12は、メタアクリロイル基を有するため、熱硬化性、光硬化性を有する。
【0466】
(樹脂型分散剤溶液13)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、tert-ブチルアクリレート50.0部、メチルメタクリレート50.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業社製)を14.5部、PGMAc38.0部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2部を追加し、120℃で5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、酸価95mgKOH/g、重量平均分子量9500の樹脂型分散剤溶液13の溶液を得た。
【0467】
(樹脂型分散剤溶液14)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部、PMA14.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.8部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、t-ブチルアクリレート50.0部、メチルメタクリレート50.0部を仕込み、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート38.0部を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、酸価93mgKOH/g、重量平均分子量10800の樹脂型分散剤溶液14の溶液を得た。
【0468】
(樹脂型分散剤溶液15)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、大阪有機化学工業社製OXE-30((3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート)35部、メタクリル酸5部、t-ブチルメタクリレート60部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整した。このようにして、酸価75、重量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシ基を有する樹脂型分散剤溶液15を得た。
【0469】
(樹脂型分散剤溶液16)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部、PMA12部、トリメリット酸無水物11部、PGMAc35部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート80部とブチルアクリレート80部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート20部を仕込み、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したPGMAc溶液200部を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、酸価53、重量平均分子量10000の樹脂型分散剤溶液16を得た。
【0470】
(樹脂型分散剤溶液17)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部、PMA15部、ネオペンチルグリコール11部、トリメリット酸無水物14部、PGMAc52部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート80部とブチルアクリレート100部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート20部を仕込み、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したPGMAc溶液200部を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調整し、酸価63、重量平均分子量9000の樹脂型分散剤溶液17を得た。
【0471】
<比較高屈折率樹脂の製造>
(比較高屈折率樹脂溶液1)
高屈折率樹脂として、フルオレン系ポリエステルである比較高屈折率樹脂1を合成した。
1Lのセパラブルフラスコに、9-フルオレノン45g(0.25モル、大阪ガスケミカル(株)製)、エチレングリコールモノ(2-ナフチル)エーテル188g(1モル)、3-メルカプトプロピオン酸1gを投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、硫酸54gを徐々に投入して、60℃を維持しつつ5時間攪拌したところ、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて9-フルオレノンの転化率が99%以上であることを確認できた。得られた反応液に48質量%水酸化ナトリウム水溶液を投入して中和した後、キシレン400gを添加して蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらに、ろ過して乾燥したところ、87g(収率67%)の結晶として、目的とする9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(BNEF)を得た。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、98.3%であった。なお、得られたサンプルは、1H-NMR及びマススペクトルにより、9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(BNEF)であることを確認した。
【0472】
反応器に、上記のBNEF(0.80モル)、エチレングリコール(以下、EGという)(0.20モル)、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル(以下、DMNという)(0.30モル)、9,9-ジ(2-メトキシカルボニルエチル)フルオレン(9,9-ジ(カルボキシエチル)フルオレン又はフルオレン-9,9-ジプロピオン酸のジメチルエステル、以下、FDPMという)0.70モル、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水和物2×10-4モル及び酢酸カルシウム・1水和物8×10-4モルを加えて攪拌しながら徐々に加熱溶融し、250℃まで昇温した後、10000Paまで段階的に減圧した。270℃、0.13kPa以下に到達するまで徐々に昇温、減圧しながらエチレングリコールを除去した。所定の攪拌トルクに到達後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂のペレットを得た。
【0473】
なお、FDPMは、特開2005-89422号公報の実施例1において、アクリル酸t-ブチルに代えてアクリル酸メチルを用いて合成した。
【0474】
得られたペレットを、NMRにより分析したところ、ポリエステル樹脂に導入されたジオール成分の80モル%がBNEF由来、20モル%がEG由来であり、ポリエステル樹脂に導入されたジカルボン酸成分の30モル%がDMN由来、70モル%がFDPM由来であった。
【0475】
また、得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは31300、589nmにおける屈折率は1.66であった。
【0476】
得られたポリエステル樹脂を、シクロヘキサノンに不揮発分20%になるように溶解させ、比較高屈折率樹脂溶液1とした。
【0477】
<顔料組成物の製造>
(顔料組成物(D-1)の製造)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、顔料組成物(D-1)を作製した。
スクアリリウム系微細化顔料(S-1K):12.0
酸性樹脂型分散剤1溶液 :15.0部
バインダー樹脂溶液2 :10.0部
PGMAc(メトキシプロピルアセテート):63.0部
【0478】
(顔料組成物(D-2)~(D-173)の製造)
組成を表3-1~3-6に示す通りに変更した以外は(D-1)と同様にして、顔料組成物(D-2)~(D-173)を作製した。
色素誘導体1、2の構造を下記に示す。

(色素誘導体1)
【化71】

(色素誘導体2)
【化72】
【0479】
(染料組成物(DD-1)~(DD-3)の製造)
組成を表3-6に示す通りに変更した以外は(D-1)と同様にして、染料組成物(DD-1)~(DD-3)を作製した。
(DD-1)の作製には下記染料(H-1)、(DD-2)の作製には下記染料(H-2)、(DD-3)の作製には下記染料(H-3)を用いた。
【化73】

【0480】
【表3】
【0481】
【表3】
【0482】
【表3】
【0483】
【表3】
【0484】
【表3】
【0485】
【表3】

【0486】
(顔料組成物(Y-1)~(Y-5)の製造)
顔料組成物(D-33)84部、(D-172)8部、(D-173)8部を混合し、顔料組成物(Y-1)を作製した。
顔料組成物(Y-1)と同様にして、表4に示すように、顔料組成物(Y-2)~(Y-5)を作製した。
【0487】
【表4】


<感光性組成物の製造>
[実施例1]
(感光性組成物(XR-1)の製造)
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合し、感光性組成物(XR-1)を作製した。
顔料組成物(D-1):100.0部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」、室温で液状):3.52部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアーOXE02」):0.48部
PGMAc:56.0部
【0488】
[実施例2~184、比較例1~9]
(感光性組成物(XR-2)~(XR-184)、(XXR-1)~(XXR-9)の製造)
組成を表5-1~5-6に示す通りに変更した以外は、感光性組成物(XR-1)と同様に、感光性組成物(XR-2)~(XR-184)、(XXR-1)~(XXR-9)を作製した。
使用した材料を下記に示す。
・ビスコート#295:トリメチロールプロパン、大阪有機化学工業社製、室温で液状の光重合性単量体
・EBECRYL 8701:ダイセルオルネクス社製、室温で固体の光重合性単量体
・イルガキュアー907:IGM Resins B.V.社製、光重合開始剤
【0489】
【表5】
【0490】
【表5】
【0491】
【表5】
【0492】
【表5】
【0493】
【表5】
【0494】
【表5】
【0495】
<感光性組成物の評価用膜の作製>
【0496】
感光性組成物(XR-1)~(XR-184)、(XXR-1)~(XXR-9)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、70℃で20分間乾燥させた。
上記所作においてスピンコートの回転数を調整し、膜厚1.0μmの膜が形成された基板を得た。
【0497】
<感光性組成物の評価>
上記評価用膜を用い、下記の評価を行った。結果を表6に示す。
【0498】
[700~1200nmにおける吸光度の最大値]
〇++:3.0以上
〇+:2.0以上3.0未満
〇:1.0以上2.0未満
×:1.0未満
【0499】
[屈折率]
上記膜が形成された基板について、分光エリプソメトリー測定を行い、850nm及び940nm、1550nmにおける屈折率を求めた。
なお、(XR-1)~(XR-28)、(XR-157)~(XR-179)、(XXR-1)~(XXR-2)は、850nmの透過率が低かったため、850nmの屈折率測定は行わなかった。
【0500】
[耐光性]
上記膜が形成された基板について、キセノンウェザーメーターで、300~400nmが60W/mの照度で20時間暴露し、耐光性試験を行った。
400~700nmにおける極大吸収波長の吸光度の変化について、下記の基準により判定を行った。
〇:極大吸収波長の吸光度の減少率が5%未満
△:極大吸収波長の吸光度の減少率が5%以上、30%未満
×:極大吸収波長の吸光度の減少率が30%以上
【0501】
[耐熱性]
上記膜が形成された基板を250℃1時間加熱し、耐熱性試験を行った。
400~700nmにおける極大吸収波長の吸光度の変化について、下記の基準により判定を行った。
〇:極大吸収波長の吸光度の減少率が5%未満
△:極大吸収波長の吸光度の減少率が5%以上、30%未満
×:極大吸収波長の吸光度の減少率が30%以上
【0502】
[透明性]
上記膜が形成された基板について、ヘイズメーターでヘイズを測定し、下記の基準により透明性を判定した。
〇:ヘイズが0.5未満
△:ヘイズが0.5以上1.0未満
×:ヘイズが1.0以上
【0503】
〔硬化性〕
感光性組成物(XR-1)~(XR-184)、(XXR-1)~(XXR-9)を、100mm×100mm、1.1mm厚のシリコンウェハ上に、スピンコーターを用いて塗布した後、70℃で20分間乾燥させた。
上記所作においてスピンコートの回転数を調整し、膜厚1.0μmの膜が形成された基板を得た。
パターン形成用モールド(ポリジメチルシロキサン製、アスペクト比=2/1)を準備した。このモールドを上記塗膜に押圧力200Pa、押圧時間1分間で接触させながら、1j/cmの紫外線を照射し、硬化させた。さらにモールドを離型させてモールドのパターンが転写された微細パターンを得た。これを温度25℃で5秒間、アセトンに浸漬した後、目視によって硬化性を下記3段階で評価した。
〇+:微細パターンがアセトンに全く溶解せず、パターンの形状が保持された。
〇:微細パターンがアセトンにほぼ溶解せず、パターンの形状が概ね保持された。
△:微細パターンの一部がアセトンに溶解し、パターン形状の一部が喪失した。
×:微細パターンがアセトンに溶解し、パターン形状が残らなかった。
【0504】
〔転写性評価〕
硬化性評価を経た微細パターンのアスペクト比(AR=高さ/幅)を測定することにより、転写性を下記4段階で評価した。
〇+:1.9≦AR≦2であった。
〇:1.6≦AR<1.9であった。
△:1.3≦AR<1.6であった。
×:AR<1.3、又はパターン形状の少なくとも一部が失われた。
【0505】
【表6】
【0506】
【表6】
【0507】
【表6】
【0508】
【表6】
【0509】
【表6】
【0510】
【表6】

【0511】
<比較高屈折率樹脂溶液1の評価>
比較高屈折率樹脂溶液1を100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、70℃で20分間乾燥させ、次いで230℃で30分間加熱処理を行った。
上記所作においてスピンコートの回転数を調整し、膜厚1.0μmの膜が形成された基板を得て、分光エリプソメトリー測定を行い、850nm及び940nm、1550nmにおける屈折率を求めたところ、850nmにおける屈折率は1.63、940nmにおける屈折率は1.62、1550nmにおける屈折率は1.60であった。
【0512】
以上より、本発明の顔料組成物は、800~1600nmの波長領域においてとりわけ高屈折率であり、透明性、耐熱性、及び耐光性、硬化性、転写性に優れる膜となり得るため、ナノインプリント法に好適に利用でき、赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光学レンズ、又は赤外線センサもしくは赤外線通信機器用の光導波路の用途として有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7