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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092638
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】作業車両の作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240701BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A01B69/00 303F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208720
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有村 浪漫
(72)【発明者】
【氏名】小野 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】石田 智之
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043AB20
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB03
2B043DA04
2B043DC03
2B043EA06
2B043EA34
2B043EB05
2B043EB08
2B043EB15
2B043EB17
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043EC16
2B043EC18
2B043EC20
2B043ED02
2B043ED12
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設定された圃場情報を安価な構成で修正することができる作業車両の作業管理システムを提供する。
【解決手段】自己位置を測定する測位装置174を備え、圃場外形情報を記憶し、圃場外形情報に基づいて予定走行経路R1を作成し、作成した予定走行経路R1上を走行するように制御する制御部150を備え、圃場外形情報は複数の圃場外形に沿った点を繋いだ情報であり、複数の点のうち一つの代表点の位置を修正すると、その他の点の位置も代表点と平行に移動して修正される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己位置を測定する測位装置を備え、
圃場外形情報を記憶し、
圃場外形情報に基づいて予定走行経路を作成し、
作成した予定走行経路上を走行するように制御する制御部を備え、
圃場外形情報は複数の圃場外形に沿った点を繋いだ情報であり、
複数の点のうち一つの代表点の位置を修正すると、その他の点の位置も代表点と平行に移動して修正される
作業車両の作業管理システム。
【請求項2】
代表点と異なる副代表点を修正すると、代表点と副代表点の位置関係を基準にして全体の圃場外形情報が移動、回転して修正される
請求項1に記載の作業車両の作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用トラクタ等の作業車両の作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の頂点に地上に固定して位置を計測する地上測位装置を設け、地上測位装置が移動したことを検知すると対応する予定走行経路を圃場の移動に合わせて移動することで地震等に起因する地殻変動により圃場が移動した場合に前回設定した予定走行経路を再利用しても圃場に対してずれてしまうことを防止する作業車両の自動運転システムが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-115280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記技術では圃場の各頂点に、地上に固定する地上測位装置が必要になるが、高価である精密な測位装置が複数台必要なうえ、地上測位装置はそれぞれ通信装置や電源が必要になるため、コストが高くなる問題があった。
【0005】
本発明は一度設定された圃場情報を安価な構成で修正することができる作業車両の作業管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0007】
自己位置を測定する測位装置を備え、圃場外形情報を記憶し、圃場外形情報に基づいて予定走行経路を作成し、作成した予定走行経路上を走行するように制御する制御部を備え、圃場外形情報は複数の圃場外形に沿った点を繋いだ情報であり、複数の点のうち一つの代表点の位置を修正すると、その他の点の位置も代表点と平行に移動して修正される
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、一度設定された圃場情報を安価な構成で修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るトラクタの側面図である。
図2】実施形態に係るセンサの検出範囲を表すトラクタ側面の簡略図である。
図3】実施形態に係るセンサの検出範囲を表すトラクタ平面の簡略図である。
図4】実施形態に係るトラクタの制御システムを示すブロック図である。
図5】実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける圃場形状取得の概要図である。
図6】実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける予定走行経路作成の概要図である。
図7】実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける携帯端末装置の簡略図である。
図8】(A)実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける修正点が1つの場合の圃場外形情報修正の概要図である。(B)実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける修正点が2つの場合の圃場外形情報修正の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の作業車両についての実施例を図面に基づき説明する。
【0011】
図1は、作業車両の一例として示す走行車体2に作業機200を装着した実施形態に係るトラクタ1の全体側面図で、トラクタ1の前部のボンネット18内に搭載したエンジンEの動力をミッションケース3で適宜に変速して前輪軸4と後輪軸5に伝動して前輪6と後輪7の両方或は後輪7のみを駆動し、前輪6を操向して進行方向を制御しながら走行する。機体の後方へ突出するロワリンク9には、ロータリ耕うん機などの作業機200を装着し、ミッションケース3から後方へ向かって突出するPTO軸を介して作業機200を駆動する。
【0012】
ミッションケース3内部には油圧クラッチ(図示しない)が構成され、接続時の圧力は制御部150により制御される。クラッチ接続時は油圧クラッチの油室に全圧で作動油を供給するイニシャル時間経過後に低圧から予め設定された昇圧カーブに沿って圧力を上げるように制御することで変速時のショックを抑制する。また、クラッチ接続時にクラッチ接続前のエンジン停止時間を計測し、エンジン停止時間に応じてイニシャル時間を延長する。これにより、エンジン停止に伴う油圧ポンプ停止により油圧クラッチの油室から作動油が抜けてもクラッチ接続完了までの時間を適切に短くすることができる。この時、前進側と後進側で油室の容量が異なる場合は、容量に合わせてイニシャル時間を調整することで、より精度よくクラッチ接続の時間を適切に短くしつつ、運転時の違和感を抑制できる。
【0013】
キャビンルーフ27の上面には測位装置(GNSSアンテナユニット)174が設けられており、この測位装置174が複数のGNSS衛星から送信される測位信号を受信することにより自己位置を測定することができる。測位装置174は、キャビンルーフ27の左右にわたって設けられた桁部173aとキャビンルーフ27の後端からルーフ形状に沿って上面まで前方に伸びるアンテナ固定部173bとで構成される測位装置ステー173によりキャビンルーフ27に取り付けられる。また、桁部173aには積層灯ステー181が設けられており、積層灯180がどこからでも確認できる位置に取付けられている。さらに積層灯ステー181の下面には側方カメラ182が取り付けられている。
【0014】
前方カメラ102はキャビンルーフ27の前方中央部に取り付けられてトラクタ1の前方を撮影する。後方カメラ103は測位装置ステー173のアンテナ固定部173bの後部に取り付けられ、キャビンルーフ27の後方中央部からトラクタ1の後方を撮影する。アンテナ固定部173bの後部には後方障害物センサ107が、後方カメラ103よりも後方かつ上方に位置するように取り付けられており、後方に向けて赤外線を照射し、その反射を受信して、トラクタ1の後方に障害物が存在すれば、障害物までの距離と形状を検出する。
【0015】
ボンネット18の下方には前輪軸4を取り付ける車体フレーム12を備え、車体フレーム12の前端には車両の重量バランスを保つためのウェイト14を取り付けるウェイトブラケット13が取り付けられている。ウェイトブラケット13から上方かつ前方に向けて障害物センサステー108が取り付けられ、前方障害物センサ105がウェイト14の後端よりも前方かつウェイト14の上方に取り付けられている。これにより前方障害物センサ105の検知範囲を、ウェイト14を避けて上下の広範囲に設定することが可能となる。
【0016】
前方障害物センサ105は前方に向けて赤外線を照射し、その反射を受信して、トラクタ1の前方に障害物が存在すれば、障害物までの距離と形状を検出する前方第一障害物センサ105aと、音波を発信し、その反射を受信して、トラクタ1の前方に障害物が存在すれば、障害物までの距離を検出する前方第二障害物センサ105bとが備えられている。前方第一障害物センサ105aは障害物センサステー108のセンサ取付部108aの下部中央に取り付けられ、前方第二障害物センサ105bは側方に向けて上方にあがる形状のセンサ取付部108aの左右の側部に前方第一障害物センサ105aよりも左右外側かつ上方に左右一対で取り付けられる。
【0017】
障害物センサステー108は支持フレーム108bでウェイトブラケット13の外側面に着脱自在に固定されている。支持フレーム108bは下部で左右方向に延び、車両中央で上下方向に延びて、正面視でボンネット18の下部に設けられた前照灯と重ならないような形状になっている。また、障害物センサステー108はボンネット18の上部に設けられた作業灯16に対しては、正面視および側面視にて重ならない位置に固定される。
【0018】
トラクタ1の側部には側方障害物センサ109が設けられる。前部側方障害物センサ109aを取り付ける側方ステー110は燃料タンクの下面と、下部ステップ22に着脱自在に取り付けられ、下部で前方に伸び、上方に曲げられた側方ステー110により燃料タンク21の前方かつ上方で、前輪6と後輪7の間に、人が搭乗する搭乗部26の床部を構成するフロア面28や前輪6の上端よりも下方に設けられる。これにより、前部側方障害物センサ109aが搭乗部26内部から見る前方下部の視界を妨げないように構成しつつ、ステップ22近傍の障害物を検知できる。また、前部側方障害物センサ109aは下部ステップ22や燃料タンク21のステップ部21a、給油口21bに対して、側面視で干渉しない位置に設けられる。これにより、側方から乗降、給油等を円滑に行うことができる。
【0019】
後部側方第一障害物センサ109bと後部側方第二障害物センサ109cは、後輪7の前方および上方を覆う後輪フェンダ17に固定された後部ステー111の前側凸部111aと後側凸部111bにほぼ90°異なる向きに取り付けている。前側凸部111aと後側凸部111bの間は中間凹部111cを設けることにより、後輪7の着脱等メンテナンスを容易にできるよう構成している。後部側方第一障害物センサ109bと後部側方第二障害物センサ109cは側面視で後輪軸5を挟んで、後輪フェンダ17よりも外側で前後に取り付けられ、後部側方第二障害物センサ109cは後部側方第一障害物センサ109bよりも後方かつ上方に取り付けられる。
【0020】
後部ステー111は上部の形状が後輪フェンダ17の形状に略沿うような曲線形状をしており、取付部111dの両端部で後輪フェンダ17の下面に固定されるが、取付部111dは後輪フェンダ17の側方で上方に曲げられており、後部側方ステー111の上部は後輪フェンダ17の外側端面の対向する部分と比較して上方に位置する。これにより、後輪7を避けて後輪7の上方に後部側方第一障害物センサ109bと後部側方第二障害物センサ109cを配置することができる。
【0021】
キャビン内には集音マイク131と指向性スピーカ132を備える。集音マイク131は運転席近傍や運転席前方に設けられ、集音した音とノイズ源となるエンジンとの位置関係から運転者に到達するノイズを算出し、逆位相の音を指向性スピーカ132から運転者の耳付近に発することでノイズを軽減する。この時、エンジン回転数やエンジンの負荷率に応じて音圧や周波数を調整することにより、作業運転の負荷等の変化を音から自然に感じ取れるように調整すると、ノイズを低減しつつ耳から運転者が得られる情報を活かすことができる。
【0022】
図2は実施形態に係る障害物センサの検知範囲を示す側面図である。図3は実施形態に係る障害物センサの検知範囲を示す平面図である。前方第二障害物センサ105bの障害物検知範囲115b、前部側方障害物センサ109aの障害物検知範囲119a、後部側方第一障害物センサ109bの障害物検知範囲119b、後部側方第二障害物センサ109cの障害物検知範囲119c、はそれぞれ扁平なボリュームのある形状をしており、前方第二障害物センサ105bの障害物検知範囲115b、前部側方障害物センサ109aの障害物検知範囲119a、後部側方第一障害物センサ109bの障害物検知範囲119bの長径はほぼ水平に設定されているのに対し、後部側方第二障害物センサ109cの障害物検知範囲119cの長径はほぼ上下に垂直になるよう、他のセンサと取り付ける向きを変更している。これにより検知範囲の後方への飛び出しを抑制して、トラクタ1の後方に装着した作業機200を障害物と誤検知することを防止できる。
【0023】
前部側方障害物センサ109aは平面視で前輪6が少なくとも直進姿勢のときに内側端部よりも外側に設けられる。これにより、操向される前輪6を障害物として誤検知するのを回避しつつ、広範囲に障害物を検知することができる。また、ボンネット18内部のエンジンEから側方に距離をとることにより、エンジンEからの熱風の影響を抑制できる。
【0024】
なお、本実施例では側方ステー110をステップ部21aを有する燃料タンク21の下面に取り付ける構成を示したが、通常の乗降ステップに取り付ける構成としてもよい。また、前方障害物センサ105や側方障害物センサ109は障害物センサステー108、側方ステー110、後部ステー111ごと着脱自在に構成されており、既存の作業車両に後付することができる。
【0025】
図4は、実施形態に係る作業車両の制御システムを示すブロック図である。図4に示すように、制御部150は、エンジンECU(Electronic Control Unit)151と、走行系ECU152と、作業機昇降系ECU153と、自動運転ECU154と、通信部155を備える。
【0026】
エンジンECU151は、エンジンEの回転数を制御する。走行系ECU152は、駆動輪(後輪4)の回転を制御することで、走行車体2(図1参照)の走行速度を制御する。作業機昇降系ECU153は、昇降装置13を制御して作業機200を昇降駆動する。自動運転ECU154は、自動運転モードにおいて、自己位置と予定走行経路R1を比較し、エンジンECU151、走行系ECU152、作業機昇降系ECU153と通信して各装置を制御する。
【0027】
制御部150は、電子制御によって各部を制御することが可能であり、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部をはじめ、各種プログラムや圃場ごとに予め設定された走行車体2の予定走行経路R1などの必要なデータ類が記憶される、たとえば、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される記憶部などを備える。
【0028】
図4に示すように、制御部150には、測位装置174、方位角センサ170、エンジン回転センサ110、車速センサ111、変速センサ112、切れ角センサ113などが接続される。また、制御部150には、エンジンE、変速装置121、ステアリング装置122、昇降装置13などが接続される。
【0029】
エンジン回転センサ110は、エンジンEの回転数を検出する。車速センサ111は、走行車体2(図1参照)の走行速度(車速)を検出する。変速センサ112は、変速装置121において複数の変速段のうちいずれの変速段であるかを検出する。切れ角センサ113は、操舵輪である前輪6(図1参照)の切れ角を検出する。
【0030】
制御部150には、測位装置150から圃場などにおける走行車体2の位置(自己位置)情報、エンジン回転センサ110からエンジンEの回転数、車速センサ111から走行車体2の車速、変速センサ112から現在の変速段、切れ角センサ113から前輪6の切れ角がそれぞれ入力される。なお、制御部150は、走行車体2を自律走行させる場合、上記したように、切れ角センサ113の検出値を用いて、前輪6の切れ角をフィードバックしながらステアリングホイール8(図1参照)に連結されたステアリングシリンダを制御することで、ステアリングホイール8を操舵する。
【0031】
また、制御部150においては、エンジンECU101がエンジンEに接続され、走行系ECU102が変速装置121やステアリング装置122に接続され、作業機昇降系ECU103が昇降装置13に接続される。なお、作業機昇降系ECU103は、昇降装置13を介して作業機を昇降させる。
【0032】
また、制御部150においては、走行車体2を自律走行させる場合には、作業機6による作業内容に応じた予定走行経路R1(図3参照)が予め圃場ごとに定められ、データ化されて記憶部に記憶される。制御部150は、測位装置150の測定結果に基づいて、記憶部に記憶された予定走行経路R1に沿って走行しながら作業を行うように、エンジンE、変速装置121、ステアリング装置122、昇降装置13などを制御する。予定走行経路R1は、圃場の形状、大きさ、圃場内に形成された畝の幅、長さおよび本数、さらには、作物の種類などに応じて設定される。また、制御部150は、トラクタ1(走行車体2)の圃場内における移動時の旋回半径を予め設定する。
【0033】
また、上記したように、制御部150は、たとえば、作業者が携行可能な携帯端末装置160と通信部155により無線接続される。制御部150は、作業者の操作による携帯端末装置160からの指示信号に基づいて、トラクタ1の各部を制御する。なお、制御部150は、トラクタ1の機体情報データベースを有し、型式などの情報の受け渡しを携帯端末装置160などから行えるように構成されてもよい。
【0034】
さらに、制御部はデータレコーダ190と信号を送受信する。データレコーダ190はロール角、ピッチ角の2軸傾斜センサ191と規定のサイクル(例えば、1秒)毎に必要なデータを記録、更新するメモリ部192と所定の条件発生によりメモリ部192に記録した条件発生前後の所定時間分の情報を保存する記録部193を有する。例えば、2軸傾斜センサ191により転倒を検知したときや故障等の異常を検知したとき、その前後1分程度の情報(たとえば、測位装置174の軌跡や車速、カメラ102,103,182の映像など)を記録することで、異常発生時の状況を後に分析することができる。カメラ102,103,182の映像と同時に時刻を記録するようにすると、事故発生時車両の運転状況とカメラ映像を同時刻で比較しやすくなる。
【0035】
また、記録したデータを情報端末装置160やインターネット上のサーバー(図示せず)などに送信しても良い。情報を記録するときは取得しているセンサ類の情報をそのまま或いは加工し、収集用の既定のIDを付与してドライブデータレコーダユニットに接続されるCANラインに流しておくことにより車両やメーカーが異なっても収集するデータの一元管理が出来る。
【0036】
図5は実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける圃場形状取得の概要図である。圃場形状情報作成モードは、圃場形状情報を生成するためにトラクタ1に設定される走行モードであり、本実施態様においては、圃場の形状情報を作成するときは、搭乗者によって、モード設定手段(図示せず)が操作され、圃場形状情報作成モードに設定される。
【0037】
トラクタ1は、管理通路301に面した出入り口302から圃場Fに出入りすることができる。トラクタ1は、圃場F内に進入すると、作業走行を開始する前に、通信部155を介して、携帯端末装置160にアクセスし、携帯端末装置160に保存された圃場Fの形状を示すデータである圃場形状情報を取得するように構成されている。
【0038】
圃場形状情報には、圃場Fの形状が囲う土地の平面的な位置、大きさ、範囲などの情報が含まれているので、トラクタ1は、圃場形状情報を取得することによって、圃場Fとの位置関係を認識でき、圃場F内を自律走行することができる。
【0039】
携帯端末装置160に圃場Fの圃場形状情報が登録されていない場合には、搭乗者によってモード設定手段(図示せず)が操作されて、トラクタ1が圃場形状情報作成モードに設定され、圃場Fの圃場形状情報を作成することができる。圃場形状情報作成モードは、トラクタ1を走行させている間に、所定の時間間隔で図1の位置情報取得部301により自機の位置情報を取得して、取得した位置情報を通過地点303(P1,P2,P3,・・・)としてプロットしていき、携帯端末装置160が隣接する通過地点303の位置情報をそれぞれつなぐことにより、各通過地点303(P1,P2,P3,・・・)で囲まれた範囲の座標データを作成するように構成されている。すなわち、圃場形状情報作成モードで、トラクタ1を手動操縦により、圃場内周Faに沿って走行させることによって、トラクタ1は、圃場Fの圃場形状情報を取得することができる。
【0040】
図6は、実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける予定走行経路作成の概要図である。トラクタ1は、携帯端末装置160により、圃場Fの圃場形状情報を取得すると、各通過地点303の中から4つの通過点を選択する。これらの4点を結ぶことによって、トラクタ1が作業走行を行う所定の形状の作業範囲304が設定される。作業範囲304の形状は限定されるものではないが、長方形または平行四辺形をなし、面積が最大となるように、4つの通過点を選択することができる。
【0041】
また、携帯端末装置160により、トラクタ1の作業幅と作業範囲304の位置情報に基づいて、作業範囲304内の全域を、直進と旋回を繰り返すことにより、満遍なく走行できるように設定された走行予定経路305を算定するように構成されている。そして、トラクタ1は、圃場F内の作業範囲304を、走行予定経路305に沿って、作業走行するように構成されている。
【0042】
作業範囲304を四角形に設定することによって、作業走行が行われる走行予定経路305を直進と旋回の繰り返しによってなる単純な経路を設定するにあたり計算量を抑制でき、トラクタ1を自律走行により効率よく作業走行させることができる。
【0043】
図7は実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける携帯端末装置の簡略図である。圃場外形情報と圃場外形情報を形成する各通過地点303(P1,P2,P3,・・・)が携帯端末装置160に表示され、圃場外形情報修正時にはこの複数の点P1,P2,P3,・・・から修正する点を選ぶ。点を選んだあとはトラクタ1を実際に運転して、修正点まで移動して修正地点を決定すると、選択した点(例えば角の点P13)が修正地点(例えば角の修正点P13‘)に修正される。また、修正地点を決定した後の修正は携帯端末装置160上で行っても良い。
【0044】
図8(A)は実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける修正点が1つの場合の圃場外形情報修正の概要図である。(B)は実施形態に係るトラクタの作業管理システムにおける修正点が2つの場合の圃場外形情報修正の概要図である。修正点が1つの代表点(例えば、点P13)によって行う場合は、1つの修正代表点P13‘の修正でもって圃場外形情報の修正を確定すると、その他の点も代表点P13から修正代表点P13‘の移動と同じように平行移動して圃場外形情報全体を修正する。
【0045】
修正地点が2つの場合(例えば、点P12と点P13)は、代表点P12と副代表点P13を結んで形成される線分と点P12‘と点P13’ を結んで形成される線分の比較から修正圃場の回転角も算出して元の圃場外形情報から角度を回転させたうえで位置を修正する。圃場外形情報は反転する可能性は除外できるので、圃場が変形していない場合、点P12‘と点P13’の位置情報によって修正後の圃場外形情報を確定できる。
【0046】
以上の構成により、トラクタ1の作業管理システムは、圃場全体が地殻変動や経年変化により移動した場合でも、地上に固定する測位装置を複数用意したり、圃場全体の測量をやり直したりすることなく一度設定された圃場情報を安価な構成かつ容易に修正することができる。
【0047】
上記実施形態では農用のトラクタについて説明したが、田植機やコンバインなど特定の領域内で作業を行う作業車両にも適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 トラクタ(作業車両)
174 測位装置
R1 予定走行経路
150 制御部
303 点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8