(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092643
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】不要波の増幅を抑制する無線レピータ、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/15 20060101AFI20240701BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20240701BHJP
【FI】
H04B7/15
H04W88/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208728
(22)【出願日】2022-12-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 裕
(72)【発明者】
【氏名】梅原 雅人
(72)【発明者】
【氏名】柴山 昌也
【テーマコード(参考)】
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5K067AA24
5K067DD43
5K067DD45
5K067EE06
5K067GG08
5K072AA01
5K072AA22
5K072BB13
5K072BB25
5K072EE19
5K072GG08
5K072GG22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無線レピータに起因する無線品質の劣化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】無線通信システムにおいて、無線レピータは、電波の中継先の通信装置から送信S401された、測定対象の信号(電波)の送信電力の情報を取得し、通信装置から送出S402された無線信号(電波)を測定して、その受信電力を取得しS403、送信電力の情報を取得することで得られた送信電力の情報と、受信電力を測定することで得られた受信電力の情報とに基づいて、伝送路損失を推定してその伝送路損失に基づいて、増幅率を決定しS404、決定した増幅率に従って、端末装置から到来した電波を増幅して、通信装置の方向へ送出するS405。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線レピータであって、
前記無線レピータから出力された電波を受信する通信装置までの間の伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定する特定手段と、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力する増幅手段と、
を有することを特徴とする無線レピータ。
【請求項2】
前記通信装置から送出された電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定する測定手段と、
前記通信装置における前記電波の送信電力の情報を取得する取得手段と、
前記受信電力と前記通信装置における前記電波の送信電力の情報とに基づいて、前記伝送路損失の大きさを推定する推定手段と、
をさらに有し、
前記特定手段は、前記推定手段によって推定された前記伝送路損失の大きさに基づいて前記増幅率を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線レピータ。
【請求項3】
前記通信装置は基地局装置であり、
前記取得手段は、前記通信装置における前記電波の送信電力の情報を、前記基地局装置が送信したシステム情報から取得する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線レピータ。
【請求項4】
前記通信装置は、前記通信装置における前記電波の送信電力の情報を、前記無線レピータと異なる所定の装置へ通知し、
前記取得手段は、前記通信装置における前記電波の送信電力の情報を、前記所定の装置から取得する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線レピータ。
【請求項5】
前記特定手段は、前記通信装置における第1の雑音指数と前記無線レピータにおける第2の雑音指数とにさらに基づいて前記増幅率を決定する、ことを特徴とする請求項2に記載の無線レピータ。
【請求項6】
前記通信装置は、前記第1の雑音指数の情報を、前記無線レピータと異なる所定の装置へ通知し、
前記取得手段は、前記所定の装置から前記第1の雑音指数の情報を取得する、ことを特徴とする請求項5に記載の無線レピータ。
【請求項7】
前記通信装置は、前記通信装置から送出される電波の送信電力の情報を、前記無線レピータと異なる所定の装置へ通知し、
前記無線レピータは、
前記通信装置から送出された前記電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定する測定手段と、
前記受信電力の情報を前記所定の装置へ通知する通知手段と、
前記所定の装置から、前記受信電力及び前記通信装置における前記電波の送信電力に基づいて特定された前記伝送路損失の大きさ又は前記増幅率を示す情報を取得する取得手段と、
をさらに有し、
前記特定手段は、前記取得手段によって前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合に当該伝送路損失の大きさに基づいて前記増幅率を決定し、
前記増幅手段は、前記取得手段によって前記増幅率を示す情報を取得した場合には当該増幅率で電波を増幅して出力し、前記取得手段によって前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合には前記特定手段によって特定された前記増幅率で電波を増幅して出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線レピータ。
【請求項8】
前記増幅率は、前記通信装置における第1の雑音指数と前記無線レピータにおける第2の雑音指数とにさらに基づいて決定される、ことを特徴とする請求項7に記載の無線レピータ。
【請求項9】
前記通信装置は、さらに、前記第1の雑音指数の情報を、前記所定の装置へ通知し、
前記通知手段は、さらに、前記第2の雑音指数の情報を前記所定の装置へ通知し、
前記取得手段は、前記所定の装置から、前記受信電力と、前記通信装置における前記電波の送信電力と、前記第1の雑音指数と、前記第2の雑音指数に基づいて特定された前記伝送路損失の大きさ又は前記増幅率を示す情報を取得する、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線レピータ。
【請求項10】
無線レピータによって実行される制御方法であって、
前記無線レピータから出力された電波を受信する通信装置までの間の伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定することと、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
無線レピータに備えられたコンピュータに、
前記無線レピータから出力された電波を受信する通信装置までの間の伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定させ、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線レピータにおける不要波の増幅抑制技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムにおいて、通信可能エリアを低コストで拡大するための有望な候補として、無線レピータを用いることが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無線レピータは、入力された電波を増幅して出力する単純な構成を有するため、雑音や干渉波をも増幅して出力してしまう。この結果、例えば、無線レピータによって増幅された信号を受信する通信装置(例えば基地局装置や他の無線レピータ)において、不必要な雑音がその通信装置におけるノイズフロアを超えるレベルで受信されうる。また、この通信装置において、干渉波も想定以上に大きい電力レベルで受信され、十分な無線品質の確保が困難となりうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、無線レピータに起因する無線品質の劣化を抑制する技術を提供する。
【0005】
本発明の一態様による無線レピータは、前記無線レピータから出力された電波を受信する通信装置までの間の伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定する特定手段と、決定された前記増幅率で電波を増幅して出力する増幅手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、無線レピータに起因する無線品質の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】無線レピータのハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】システムにおいて実行される処理の流れの例を示す図である。
【
図5】システムにおいて実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、第5世代(5G)規格やその後継規格に準拠したセルラ通信システムである。本無線通信システムでは、基地局装置101と、端末装置121~端末装置122とが接続を確立して無線通信を行う。ここで、基地局装置101と、端末装置121~端末装置122との間の通信は、無線レピータによって中継される。例えば、基地局装置101と端末装置121との間の通信は、無線レピータ111によって中継され、基地局装置101と端末装置122との間の通信は、無線レピータ112及び無線レピータ113によって中継される。無線レピータは、入力された電波を増幅して出力するように構成される。例えば、端末装置121が送信した無線信号は、無線レピータ111に到達し、無線レピータ111は、この無線信号を増幅して、基地局装置101の方向へ放射する。また、端末装置122が送信した無線信号は、無線レピータ112に到達し、無線レピータ112は、この無線信号を増幅して無線レピータ113の方向へ放射する。そして、無線レピータ113は、無線レピータ112から到来した無線信号を増幅して、基地局装置101の方向へ放射する。これにより、基地局装置101と直接通信することができない位置に存在する端末装置121~端末装置122が、基地局装置101と通信することが可能となる。
【0010】
無線レピータは、入力された電波を増幅して出力する単純な構成を有する。このため、無線レピータは、受信した雑音や干渉波をも増幅して出力してしまい、中継先の通信装置(例えば基地局装置101や、他の無線レピータ)において、不必要に大きい電力でその雑音や干渉が受信されてしまいうる。例えば、無線レピータ111における所定の周波数範囲(例えば5G規格における物理リソースブロック(PRB)6個分の周波数範囲)における雑音の入力レベルがX[dBm]であり、電波がAMP[dB]だけ増幅されるものとする。ここで、無線レピータ111から電波が放射される際のアンテナ利得がGa[dBi]であり、基地局装置101において電波を受信する際のアンテナ利得がGb[dBi]であるものとする。この場合、基地局装置101において、受信雑音レベルXrは、Xr=X+AMP+Ga+Gb-PL[dBm]となる。ここで、PL[dB]は、伝送路損失である。PLは、例えば、自由空間損失にフェージングマージンを加算した値でありうる。
【0011】
ここで、例えば、X=-98[dBm/6PRB]であり、AMP=83[dB]、Ga=23[dBi]、Gb=23[dBi]、PL=122[dB]であるものとする。この場合、Xr=-98+83+23-122+23=-91[dBm/6PRB]となり、受信雑音レベルXrが、無線レピータ111における受信雑音レベルXより大きくなってしまう。すなわち、増幅率が高く、AMP>PL-Ga-Gbであるならば、Xr>Xとなってしまう。このような事情に鑑み、本実施形態では、無線レピータから、その無線レピータによって増幅されて出力された電波を受信する通信装置(基地局装置又は他の無線レピータ)までの間の伝送路損失の大きさに基づいて、増幅率を制御する。すなわち、本実施形態の無線レピータは、増幅率を一定の範囲内で変更することができるように構成され、電波の中継先の通信装置との間の伝送路損失の大きさに応じた増幅率で、電波を中継するようにする。例えば、上述のAMPが、AMP=PL-Ga-Gbとなるように増幅率が決定される。この場合、Xr=X+AMP+Ga+Gb-PL=Xとなるため、無線レピータと中継先の通信装置とにおいて雑音の受信電力レベルが等しくなる。
【0012】
なお、無線レピータと、電波の中継先の通信装置における雑音指数(NF)のレベルが異なることがありうる。この場合、無線レピータにおいて、雑音指数をNFaとし、電波の中継先の通信装置の雑音指数をNFbとしたときに、AMP=PL-Ga-Gb-NFa+NFbとなるような増幅率が設定されるようにする。例えば、Ga=23[dBi]、Gb=23[dBi]、PL=122[dB]、NFa=7dB、NFb=4dBであるものとする。なお、無線レピータにおけるノイズフロアが-98[dBm/6PRB]であり、電波の中継先の通信装置におけるノイズフロアが-101[dBm/6PRB]であるものとする。この場合、AMP=122-23-23-7+4=73[dB]となる。このようにして算出されたAMPの値に従って、電波の増幅が行われることにより、雑音指数を考慮した上で、無線レピータと中継先の通信装置とにおいて雑音の電力レベルを等しくすることができる。また、例えば、上述のような無線レピータ及び通信装置に関して、無線レピータにおいてノイズフロア以下の電力の雑音が、電波の中継先の通信装置においてノイズフロアを超えた電力で受信されてしまうことを防ぐことができる。なお、上述のようにしてAMPの値が設定されることにより、干渉波の不必要な増幅を防ぐこともできる。また、伝送路損失に基づいてAMPの値が設定されることにより、少なくとも無線レピータにおいて十分な電力で受信された希望信号については、中継先の通信装置において十分な電力で受信されることとなり、無線品質の劣化を生じさせることもない。
【0013】
このようにして、本実施形態に係る無線レピータにより、希望信号については適切に中継しながら、雑音や干渉を不必要に増幅して中継することがなくなり、無線通信システム全体としての周波数利用効率が改善し、通信の効率を向上させることができる。なお、例えば無線レピータと電波の中継先の通信装置との間の距離が短い場合など、十分に無線品質が良好に保てる場合は、上述の説明で定めたAMPの値より小さい値に従って電波の増幅および中継が行われてもよい。すなわち、雑音の影響が増大するのを防ぐためには、AMP≦PL-Ga-Gb、又は、AMP≦PL-Ga-Gb-NFa+NFbを満たすように、AMPの値が定められれば足りる。
【0014】
なお、上述の伝送路損失の大きさは、無線レピータによって推定されてもよいし、無線レピータ以外の所定の装置によって推定されてもよい。無線レピータによって伝送路損失の大きさが推定される場合、無線レピータは、例えば、電波の中継先の通信装置が送信する電波の受信電力(受信強度)を測定するように構成される。また、このときに、無線レピータは、その中継先の通信装置が電波を送信する際の送信電力の情報を取得するように構成される。そして、無線レピータは、電波の送信電力から、その電波の受信電力を減じることにより、伝送路損失の大きさを推定することができる。無線レピータは、伝送路損失の大きさを推定すると、その推定値に基づいて、増幅率(上述のAMPの値)を決定することができる。
【0015】
この場合、無線レピータは、例えば、通信装置が基地局装置である場合、その基地局装置が送信したシステム情報(例えばSystemInformationBlockType1(SIB1)メッセージ)から、その通信装置における電波の送信電力の情報を取得しうる。SIB1には、ss-PBCH-blockpowerと呼ばれる情報が含まれており、この情報は、リソースエレメントあたりの送信電力(電力密度)を示す。なお、ここで、電波の送信電力の平均値(平均送信電力)が通知されてもよい。無線レピータは、この情報に基づいて、基地局装置が送出した電波の送信電力を特定し、その電波の受信電力とその送信電力とを比較することにより、伝送路損失の大きさを推定することができる。なお、SIB1は一例であり、他の情報要素によって、送信電力が特定されてもよい。なお、この場合、無線レピータは、少なくとも送信電力を特定可能とする情報を復調及び復号するための処理回路を含むこととなる。この構成によれば、無線レピータは、基地局装置からの電波の送信電力を、その基地局装置が送信した信号から取得することができ、さらにその基地局装置が送信した電波に基づいて伝送路損失の大きさを推定することができる。すなわち、この場合、無線レピータは、他の装置の補助なく、独自に増幅率を決定して、中継処理を行うことができる。
【0016】
また、無線レピータは、電波の中継先の通信装置における電波の送信電力の情報を、その通信装置と異なる所定の装置から取得してもよい。この場合、通信装置は、送信電力の情報をその所定の装置へ通知し、無線レピータは、その所定の装置から、送信電力の情報を取得しうる。この場合、例えば、無線レピータは、5Gの信号を中継する一方で、ロングタームエボリューション(LTE)、Bluetooth(登録商標)、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)などの通信機能を用いて所定の装置と通信を行うように構成されうる。また、無線レピータは、例えば、有線通信機能を用いて所定の装置と通信を行ってもよい。このような外部の所定の装置が介在する方法では、例えば、電波の中継先の通信装置が他の無線レピータなど、自発的に信号を送出しない装置であってもよい。この場合、無線レピータは、自装置における電波の出力強度の情報を、所定の装置へ通知する機能を有することとなる。電波の中継先の通信装置が基地局装置であれば、通信装置はシステム情報などを送出しなければならないため、無線レピータはこの情報を復号することにより、送信電力の情報を取得することができる。一方で、電波の中継先の通信装置が他の無線レピータである場合には、その無線レピータは他の装置から受信した電波を増幅して中継するのみであるため、中継伝送の際の出力電力を特定可能な信号を送信しない。これに対して、所定の装置が介在して、各無線レピータにおける電波の出力強度の情報を収集及び配信することにより、無線レピータは、他の無線レピータの電波の出力強度の情報を取得することができ、その他の無線レピータまでの間の伝送路損失の大きさを推定することができるようになる。
【0017】
なお、無線レピータは、例えば、LTEのSidelink通信機能などを用いて他の無線レピータと通信し、その通信により、5Gの電波の中継の際の出力強度の情報を他の無線レピータから取得するようにしてもよい。この場合、無線レピータがLTEの端末装置としての機能(少なくとも他の端末装置と直接通信する機能)を有する必要があるが、外部の装置は介在しなくてもよい。
【0018】
無線レピータは、上述のように、電波の中継先の通信装置の第1の雑音指数と、自装置の第2の雑音指数とにさらに基づいて、増幅率を決定してもよい。この場合、無線レピータは、通信装置又は外部の所定の装置から、第1の雑音指数を示す情報を取得しうる。なお、外部の所定の装置が用いられる場合、電波の中継先の通信装置(基地局装置又は他の無線レピータ)は、自装置の雑音指数の情報を通知する。また、この場合、上述のように、通信装置は、電波の送信電力の情報を外部の所定の装置に対して通知しうる。これにより、無線レピータは、電波の中継先の通信装置における電波の送信電力と雑音指数の情報とを取得することができる。なお、電波の送信電力を収集及び配信する所定の装置と、雑音指数の情報を収集及び配信する所定の装置とが、同一の装置であってもよいし、別個の装置であってもよい。また、電波の送信電力の情報と雑音指数の情報とのいずれかが通信装置から無線レピータへ直接通知され、他方が所定の装置から通知されるようにしてもよい。
【0019】
一方で、外部の所定の装置によって伝送路損失の大きさが推定される場合、無線レピータは、電波の中継先の通信装置から送出された電波の測定結果(受信電力)を、その所定の装置へ通知する。また、所定の装置は、電波の中継先の通信装置における電波の送信電力の情報を、その通信装置から取得する。そして、所定の装置は、通信装置における送信電力の値と、無線レピータにおける受信電力の値とから伝送路損失の大きさを推定する。そして、所定の装置は、無線レピータに対して、伝送路損失の大きさを示す情報を通知する。また、所定の装置は、無線レピータが使用すべき増幅率を特定して、その増幅率の情報を無線レピータへ通知してもよい。無線レピータは、伝送路損失の大きさを示す情報を受信した場合、上述のように伝送路損失の大きさPLを用いて増幅率(AMP)を算出し、その算出したAMPの値を用いて、受信した電波を増幅し、通信装置の方向へ向けて出力する。一方で、無線レピータは、増幅率を示す情報を受信した場合、通知された増幅率を用いて、受信した電波を増幅し、通信装置の方向へ向けて出力する。このように外部の所定の装置によって伝送路損失の大きさや増幅率の値が算出される場合、無線レピータは、それらの算出のための演算能力を有しなくてもよくなる。また、外部の所定の装置の豊富な演算能力を用いて、例えば、一定の時間範囲での伝送路損失の大きさの平均や忘却係数を用いた加重平均を算出して、その算出結果を、増幅率を決定する際の伝送路損失の大きさとして使用してもよい。また、同様に、一定の時間範囲での増幅率の値の平均や忘却係数を用いた加重平均を算出して、その算出結果を、無線レピータにおいて使用されるべき増幅率の値として決定してもよい。また、所定の装置は、例えば人工知能(AI)を用いて、伝送路損失の時間的推移などに基づいて、増幅率の算出のために用いる伝送路損失の大きさや、増幅率の値を算出してもよい。
【0020】
また、増幅率は、上述の場合と同様に、無線レピータと通信装置のそれぞれにおける雑音指数の値を用いて決定されてもよい。この場合、通信装置は自身の第1の雑音指数の情報を所定の装置へ通知し、無線レピータは自身の第2の雑音指数の情報を所定の装置へ通知しうる。そして、所定の装置は、通信装置における電波の送信電力及び第1の雑音指数の値と、無線レピータにおける電波の受信電力及び第2の雑音指数の値とに基づいて、増幅率の値、又は、増幅率の値の算出のために用いるべき伝送路損失の大きさを決定し、その決定した値を無線レピータへ通知しうる。なお、この場合の増幅率の値の算出のために用いるべき伝送路損失の大きさPLは、実際の伝送路損失の値に対して、雑音指数の差分によるオフセットを加算した値である。無線レピータは、この値を受信した場合、計算式AMP=PL-Ga-Gbを用いて、増幅率を決定する。この場合、PLの値に雑音指数の差が反映されているため、この計算により、雑音指数の差を考慮した増幅率の決定を行うことができる。
【0021】
なお、無線レピータは、例えば、基地局装置から送信された同期信号および物理ブロードキャストチャネル(SSB/PBCH)の受信電力を測定してもよいし、基地局装置から送信された参照信号を測定してもよい。なお、無線レピータは、電波の中継先の通信装置が他の無線レピータである場合にも、その他の無線レピータによって中継されたSSB/PBCHや参照信号を測定しうる。また、これら以外の信号(電波)が測定されてもよい。
【0022】
ここで、上述の実施形態では、上りリンクの信号を中継する際の増幅率の決定方法について説明したが、これに限られない。すなわち、下りリンクの信号を中継する際の増幅率を同様にして決定してもよい。例えば、
図1の無線レピータ113は、無線レピータ112から送信される信号を測定し、その信号が送信される際の送信電力に基づいて無線レピータ112と無線レピータ113との間の伝送路損失を推定する。そして、無線レピータ113は、その推定値に基づいて増幅率を決定し、基地局装置101から受信した電波をその増幅率を用いて増幅して、無線レピータ112の方向へ信号を中継しうる。なお、この時の増幅率の算出にも雑音指数の情報が考慮されてもよい。
【0023】
(装置構成)
図2を用いて、無線レピータのハードウェア構成例について説明する。無線レピータは、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び、通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201、ROM202、RAM203、及び記憶装置204は、上述の増幅率を決定する処理と増幅率を用いて、中継伝送の際の増幅率を制御する処理とを実行するためのハードウェア部分である。ここで、プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、DU及びRICが実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。一方で、通信回路205は、例えば、アンテナ並びに可変増幅器、及び、必要に応じて周波数変換器など、無線レピータとしての基本的な機能を実装したハードウェア部分である。また、通信回路205は、例えば、外部の所定の装置と通信するための、LTE通信や有線通信のためのハードウェア部分を含んでもよい。なお、通信回路205は、例えば、中継伝送の対象の信号(例えば5Gの信号)の一部(例えばシステム情報)を復調及び復号することが可能なハードウェア部分を含んでもよい。
【0024】
図3は、無線レピータの機能構成例を示す図である。無線レピータは、その機能として、測定部301、情報取得部302、増幅率特定部303、及び増幅制御部304を含む。これらの機能部は、例えば、プロセッサ201が、ROM202に記憶されたプログラムを実行して通信回路205と協働することにより、実現されうる。なお、これらの機能構成は一例であり、例えば1つの機能ブロックが複数の機能ブロックに分割されてもよいし、複数の機能ブロックが1つの機能ブロックに集約されてもよい。また、一部の機能ブロックが省略されてもよいし、図示されていない他の機能ブロックが追加されてもよい。
【0025】
測定部301は、電波の中継先の通信装置から送出された無線信号を測定し、受信電力(受信強度)を取得する。情報取得部302及び増幅率特定部303は、外部の所定の装置や電波の中継先の通信装置から必要な情報を取得し、その情報と測定部301における測定結果とに基づいて決定される、中継伝送時に使用する増幅率を特定する。
【0026】
例えば、情報取得部302が、電波の中継先の通信装置から送信された無線信号を復調及び復号することにより、測定部301において測定した電波の通信装置における送信電力を示す情報を取得する。そして、増幅率特定部303が、その送信電力と、測定部301において取得された受信電力とから、伝送路損失の大きさを推定し、その伝送路損失の大きさに基づいて、上述のようにして増幅率を算出する。なお、このときに、情報取得部302は、通信装置の雑音指数の値を取得し、増幅率特定部303は、通信装置及び自装置の雑音指数の値にさらに基づいて、増幅率を算出してもよい。
【0027】
また、例えば、情報取得部302が、測定部301における測定結果の受信電力を示す情報を所定の装置へ通知し、その所定の装置から、伝送路損失や増幅率の情報を取得してもよい。増幅率特定部303は、伝送路損失の情報が取得された場合に、その情報に基づいて、上述のようにして増幅率を算出する。また、増幅率特定部303は、増幅率の情報が取得された場合に、その増幅率の情報によって示される値を使用する増幅率として特定しうる。なお、この場合、情報取得部302は、所定の装置へ自装置の雑音指数の情報を通知し、通信装置との雑音指数の差を考慮した伝送路損失の大きさや増幅率の情報を取得してもよい。
【0028】
増幅制御部304は、増幅率特定部303によって特定された増幅率を用いて、受信した電波を増幅するように、通信回路205を制御する。
【0029】
(処理の流れ)
続いて、無線通信システムにおいて実行される処理の流れの例について説明する。
図4は、無線レピータが伝送路損失を推定して増幅率を決定する場合の処理の流れの例を示している。
【0030】
本処理では、無線レピータは、電波の中継先の通信装置から、測定対象の信号(電波)の送信電力の情報を取得する(S401)。なお、
図4の例では、通信装置が、外部の所定の装置(サーバ)へ送信電力の情報を通知し、無線レピータがそのサーバから送信電力の情報を取得する場合の例について示しているが、無線レピータは、通信装置から送出された信号を復調及び復号することにより、この情報を直接取得してもよい。また、通信装置は、自身の雑音指数(第1の雑音指数)の情報をサーバに提供し、無線レピータはその第1の雑音指数の情報を取得してもよい。なお、この第1の雑音指数の情報についても、無線レピータは、通信装置から送出された信号を復調及び復号することによって直接取得してもよい。
【0031】
そして、無線レピータは、通信装置から送出された無線信号(電波)を測定して、その受信電力を取得する(S402、S403)。なお、送信電力の情報の取得と、無線信号の測定は並行して行われてもよいし、無線信号の測定後に送信電力の情報の取得が行われてもよい。無線レピータは、S401で得られた送信電力の情報と、S403で得られた受信電力の情報とに基づいて、伝送路損失を推定し、その伝送路損失に基づいて、増幅率を決定する(S404)。なお、無線レピータは、このときに、受信電力に対する平均値や忘却係数を用いた加重平均値などの統計処理を行った値を特定して、その値に基づいて伝送路損失の大きさを推定してもよい。また、無線レピータは、例えば通信装置に関する第1の雑音指数の情報を取得した場合、この第1の雑音指数の値と自装置に関する第2の雑音指数の値とにさらに基づいて、増幅率を決定してもよい。そして、無線レピータは、決定した増幅率に従って、例えば端末装置から到来した電波を増幅して、通信装置の方向へ送出する(S405)。
【0032】
続いて、
図5は、無線レピータ及び通信装置と異なる所定の装置(サーバ)が伝送路損失を推定する場合の処理の流れの例について説明する。この処理では、無線レピータによる電波の中継先の通信装置から送出される電波の送信電力の情報が、サーバへ提供される(S501)。ここで、通信装置は、自身の第1の雑音指数の値をサーバへ通知してもよい。なお、本処理例では、この送信電力の情報が無線レピータへ通知される必要がない。無線レピータは、通信装置から送出された無線信号(電波)を測定して、その受信電力を取得する(S502、S503)と、その受信電力を示す値を含んだ情報をサーバへ送信する(S504)。ここで、無線レピータは、自身の第2の雑音指数の値をサーバへ通知してもよい。
【0033】
サーバは、取得した情報に基づいて、通信装置と無線レピータとの間の伝送路損失を推定する(S505)。例えば、無線レピータは、S501において受信した送信電力の情報と、S504において受信した受信電力の情報との差分を、伝送路損失の値として推定しうる。なお、サーバは、このときに、受信電力に対する平均値や忘却係数を用いた加重平均値などの統計処理を行った値を特定して、その値に基づいて伝送路損失の大きさを推定してもよい。また、サーバは、例えば通信装置に関する第1の雑音指数の情報と無線レピータに関する第2の雑音指数の情報とを取得した場合、この第1の雑音指数の値と第2の雑音指数の値とにさらに基づいて、伝送路損失の大きさを調整してもよい。例えば、S501において受信した送信電力の情報とS504において受信した受信電力の情報とに基づいて特定された伝送路推定値に対して、第1の雑音指数の値と第2の雑音指数の値との差分の大きさに対応するオフセットを加算したものを、調整後の伝送路損失の大きさの値として特定してもよい。
【0034】
サーバは、特定した伝送路損失の情報を、無線レピータへ提供する(S506)。無線レピータは、その伝送路損失の情報を用いて、通信装置への電波の中継の際に用いる増幅率を決定する(S507)。そして、無線レピータは、決定した増幅率に従って、例えば端末装置から到来した電波を増幅して、通信装置の方向へ送出する(S508)。なお、
図5の処理では、サーバが伝送路損失の大きさを推定して、その推定値を無線レピータへ提供する例を示したが、サーバが、増幅率まで決定して、その増幅率の値を無線レピータへ提供するようにしてもよい。この場合、無線レピータは、通知された増幅率で電波を増幅して、通信装置の方向へ送出することとなる。
【0035】
以上のようにして、増幅率可変の無線レピータにおいて、必要以上の増幅率が設定されることを防ぐことにより、雑音や干渉波の過剰な増幅を防ぐことができ、無線通信システム全体としての周波数利用効率が改善し、通信の効率を向上させることができる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0036】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線レピータであって、
前記無線レピータから出力された電波を受信する基地局装置が電波を送出する際の送信電力の情報を、当該基地局装置が送信したSystemInformationBlockType1(SIB1)から取得する取得手段と、
前記基地局装置から送出された電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定する測定手段と、
前記受信電力と前記基地局装置における前記送信電力の情報とに基づいて、前記基地局装置までの間の伝送路損失の大きさの推定を行う推定手段と、
前記推定によって得られた前記伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定する特定手段と、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力する増幅手段と、
を有することを特徴とする無線レピータ。
【請求項2】
前記特定手段は、前記基地局装置における第1の雑音指数と前記無線レピータにおける第2の雑音指数とにさらに基づいて前記増幅率を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線レピータ。
【請求項3】
前記基地局装置は、前記第1の雑音指数の情報を、前記無線レピータと異なる所定の装置へ通知し、
前記取得手段は、前記所定の装置から前記第1の雑音指数の情報を取得する、ことを特徴とする請求項2に記載の無線レピータ。
【請求項4】
無線レピータであって、
前記無線レピータから出力された電波を受信する通信装置までの間の伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定する特定手段と、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力する増幅手段と、
を有し、
前記通信装置は、前記通信装置から送出される電波の送信電力の情報を、前記無線レピータと異なる所定の装置へ通知し、
前記無線レピータは、
前記通信装置から送出された前記電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定する測定手段と、
前記受信電力の情報を前記所定の装置へ通知する通知手段と、
前記所定の装置から、前記受信電力及び前記通信装置における前記送信電力に基づいて特定された前記伝送路損失の大きさ又は前記増幅率を示す情報を取得する取得手段と、
をさらに有し、
前記特定手段は、前記取得手段によって前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合に当該伝送路損失の大きさに基づいて前記増幅率を決定し、
前記増幅手段は、前記取得手段によって前記増幅率を示す情報を取得した場合には当該増幅率で電波を増幅して出力し、前記取得手段によって前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合には前記特定手段によって特定された前記増幅率で電波を増幅して出力する、
ことを特徴とする無線レピータ。
【請求項5】
前記増幅率は、前記通信装置における第1の雑音指数と前記無線レピータにおける第2の雑音指数とにさらに基づいて決定される、ことを特徴とする請求項4に記載の無線レピータ。
【請求項6】
前記通信装置は、さらに、前記第1の雑音指数の情報を、前記所定の装置へ通知し、
前記通知手段は、さらに、前記第2の雑音指数の情報を前記所定の装置へ通知し、
前記取得手段は、前記所定の装置から、前記受信電力と、前記通信装置における前記電波の送信電力と、前記第1の雑音指数と、前記第2の雑音指数に基づいて特定された前記伝送路損失の大きさ又は前記増幅率を示す情報を取得する、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線レピータ。
【請求項7】
無線レピータによって実行される制御方法であって、
前記無線レピータから出力された電波を受信する基地局装置が電波を送出する際の送信電力の情報を、当該基地局装置が送信したSystemInformationBlockType1(SIB1)から取得することと、
前記基地局装置から送出された電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定することと、
前記受信電力と前記基地局装置における前記送信電力の情報とに基づいて、前記基地局装置までの間の伝送路損失の大きさの推定を行うことと、
前記推定によって得られた前記伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定することと、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
無線レピータによって実行される制御方法であって、
前記無線レピータから出力された電波を受信する通信装置までの間の伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定することと、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力することと、
を含み、
前記通信装置は、前記通信装置から送出される電波の送信電力の情報を、前記無線レピータと異なる所定の装置へ通知し、
前記制御方法は、
前記通信装置から送出された前記電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定することと、
前記受信電力の情報を前記所定の装置へ通知することと、
前記所定の装置から、前記受信電力及び前記通信装置における前記送信電力に基づいて特定された前記伝送路損失の大きさ又は前記増幅率を示す情報を取得することと、
前記増幅率を特定する際に、前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合に当該伝送路損失の大きさに基づいて前記増幅率を決定することと、
前記増幅率を示す情報を取得した場合には当該増幅率で電波を増幅して出力し、前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合には特定された前記増幅率で電波を増幅して出力することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
無線レピータに備えられたコンピュータに、
前記無線レピータから出力された電波を受信する基地局装置が電波を送出する際の送信電力の情報を、当該基地局装置が送信したSystemInformationBlockType1(SIB1)から取得させ、
前記基地局装置から送出された電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定させ、
前記受信電力と前記基地局装置における前記電波の送信電力の情報とに基づいて、前記基地局装置までの間の伝送路損失の大きさの推定を行わせ、
前記推定によって得られた前記伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定させ、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力させる、
ためのプログラム。
【請求項10】
無線レピータに備えられたコンピュータに、
前記無線レピータから出力された電波を受信する通信装置までの間の伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定させ、
特定された前記増幅率で電波を増幅して出力させる、
ためのプログラムであって、
前記通信装置は、前記通信装置から送出される電波の送信電力の情報を、前記無線レピータと異なる所定の装置へ通知し、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
前記通信装置から送出された前記電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定させ、
前記受信電力の情報を前記所定の装置へ通知させ、
前記所定の装置から、前記受信電力及び前記通信装置における前記電波の送信電力に基づいて特定された前記伝送路損失の大きさ又は前記増幅率を示す情報を取得させ、
前記増幅率を特定する際に、前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合に当該伝送路損失の大きさに基づいて前記増幅率を決定させ、
前記増幅率を示す情報を取得した場合には当該増幅率で電波を増幅して出力させ、前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合には特定された前記増幅率で電波を増幅して出力させる、
ことを特徴とするプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の一態様による無線レピータは、前記無線レピータから出力された電波を受信する基地局装置における前記電波の送信電力の情報を、当該基地局装置が送信したSystemInformationBlockType1(SIB1)から取得する取得手段と、前記基地局装置から送出された電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定する測定手段と、前記受信電力と前記基地局装置における前記電波の送信電力の情報とに基づいて、前記基地局装置までの間の伝送路損失の大きさの推定を行う推定手段と、前記推定によって得られた前記伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定する特定手段と、特定された前記増幅率で電波を増幅して出力する増幅手段と、を有する。
また、本発明の別の一態様による無線レピータは、前記無線レピータから出力された電波を受信する通信装置までの間の伝送路損失の大きさに基づいて決定される増幅率を特定する特定手段と、特定された前記増幅率で電波を増幅して出力する増幅手段と、を有し、前記通信装置は、前記通信装置から送出される電波の送信電力の情報を、前記無線レピータと異なる所定の装置へ通知し、前記無線レピータは、前記通信装置から送出された前記電波の前記無線レピータにおける受信電力を測定する測定手段と、前記受信電力の情報を前記所定の装置へ通知する通知手段と、前記所定の装置から、前記受信電力及び前記通信装置における前記電波の送信電力に基づいて特定された前記伝送路損失の大きさ又は前記増幅率を示す情報を取得する取得手段と、をさらに有し、前記特定手段は、前記取得手段によって前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合に当該伝送路損失の大きさに基づいて前記増幅率を決定し、前記増幅手段は、前記取得手段によって前記増幅率を示す情報を取得した場合には当該増幅率で電波を増幅して出力し、前記取得手段によって前記伝送路損失の大きさを示す情報が取得された場合には前記特定手段によって特定された前記増幅率で電波を増幅して出力する。