(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092664
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】発破パターン抽出装置
(51)【国際特許分類】
E21D 9/00 20060101AFI20240701BHJP
E21B 7/02 20060101ALI20240701BHJP
E21C 25/66 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
E21D9/00 C
E21B7/02
E21C25/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208762
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591284601
【氏名又は名称】株式会社演算工房
(71)【出願人】
【識別番号】507240510
【氏名又は名称】株式会社ジャペックス
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】井手 康夫
(72)【発明者】
【氏名】大矢 剛大
(72)【発明者】
【氏名】邊見 涼
(72)【発明者】
【氏名】鐘築 遥
(72)【発明者】
【氏名】志澤 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】林 稔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文香
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康博
(72)【発明者】
【氏名】長澤 潤平
【テーマコード(参考)】
2D065
2D129
【Fターム(参考)】
2D065AB21
2D129AA02
2D129AA04
2D129AA08
2D129AB05
2D129AB13
2D129AC04
2D129BA01
2D129BA09
2D129DC15
(57)【要約】
【課題】過度な掘削の発生を抑制することが可能な発破パターン抽出装置を提供する。
【解決手段】切羽における穿孔エネルギーを取得する穿孔エネルギー取得部と、穿孔エネルギーに基づいて切羽の地山状況を推定する地山状況推定部と、地山状況に応じた複数の発破パターンを記憶する記憶部と、地山状況推定部の推定結果に基づいて複数の発破パターンから最適発破パターンを選択する発破パターン選択部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切羽における穿孔エネルギーを取得する穿孔エネルギー取得部と、
前記穿孔エネルギーに基づいて前記切羽の地山状況を推定する地山状況推定部と、
前記地山状況に応じた複数の発破パターンを記憶する記憶部と、
前記地山状況推定部の推定結果に基づいて前記複数の発破パターンから最適発破パターンを選択する発破パターン選択部と
を備える発破パターン抽出装置。
【請求項2】
前記穿孔エネルギー取得部は、前記切羽の区分領域毎に前記穿孔エネルギーを取得し、
前記地山状況推定部は、前記区分領域毎に前記地山状況を推定し、
前記発破パターン選択部は、前記区分領域毎に最適発破パターンを選択する請求項1に記載の発破パターン抽出装置。
【請求項3】
前記最適発破パターンを外部に送信する通信部を備える請求項1又は2に記載の発破パターン抽出装置。
【請求項4】
前記地山状況推定部は、前記地山状況として地山等級を推定する請求項1又は2に記載の発破パターン抽出装置。
【請求項5】
前記発破パターンは、削孔間隔と装薬量とを要素とする請求項1又は2に記載の発破パターン抽出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発破パターン抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、装薬孔をより適切な位置に穿孔可能な穿孔ナビゲーション装置が開示されている。この穿孔ナビゲーション装置は、現在穿孔作業の対象となっている切羽(現在切羽)の1つ前に穿孔作業の対象となっていた切羽(直前切羽)を含む他の切羽の岩盤の強度を取得し、取得した強度から現在切羽の岩盤の強度を推定し、記憶している発破パターンのうちから、取得した強度に対応する発破パターンを選択し、選択した発破パターンが表す計画孔の位置及び予測装薬孔の位置を切羽の正面図に重ね合わせてモニターに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トンネル掘削の最先端箇所である切羽(切端)は、箇所によって岩質が異なるため、従来の方法で発破を行った場合に場所によっては過度な掘削が生じる。この過度な掘削は、周辺地山の緩みの発生(地山の不安定化)を招来させる虞がある。また、上記過度な掘削は、余掘り量が大きくなるので、トンネル掘削におけるコストが増大するという問題もある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、過度な掘削の発生を抑制することが可能な発破パターン抽出装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、発破パターン抽出装置に係る第1の解決手段として、切羽における穿孔エネルギーを取得する穿孔エネルギー取得部と、前記穿孔エネルギーに基づいて前記切羽の地山状況を推定する地山状況推定部と、前記地山状況に応じた複数の発破パターンを記憶する記憶部と、前記地山状況推定部の推定結果に基づいて前記複数の発破パターンから最適発破パターンを選択する発破パターン選択部とを備える
、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、発破パターン抽出装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記穿孔エネルギー取得部は、前記切羽の区分領域毎に前記穿孔エネルギーを取得し、前記地山状況推定部は、前記区分領域毎に前記地山状況を推定し、前記発破パターン選択部は、前記区分領域毎に最適発破パターンを選択する、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、発破パターン抽出装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記最適発破パターンを外部に送信する通信部を備える、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、発破パターン抽出装置に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記地山状況推定部は、前記地山状況として地山等級を推定する、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、発破パターン抽出装置に係る第5の解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段において、前記発破パターンは、削孔間隔と装薬量とを要素とする、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、過度な掘削の発生を抑制することが可能な発破パターン抽出装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る発破パターン抽出装置Aの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る発破パターン抽出装置Aの動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態に係る発破パターン抽出装置Aの動作を示す模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る発破パターン抽出装置Aにおける初期発破パターンE0の組替を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る発破パターン抽出装置Aは、トンネル掘削における切羽の発破に適用される装置であり、発破パターン抽出プログラム(アプリケーションプログラム)が搭載された汎用コンピュータである。
【0014】
この発破パターン抽出装置Aは、
図1に示すように、通信部1、記憶部2、操作部3、演算部4及び表示部5を備え、穿孔装置Jに電気的に接続されている。なお、これら通信部1、記憶部2、操作部3、演算部4及び表示部5は、ハードウエア要素とソフトウエア要素とが協働することによって実現される機能構成要素である。
【0015】
先に穿孔装置Jについて説明すると、この穿孔装置Jは、上記切羽に穿孔(削孔)を形成する穴あけ機である。穿孔装置Jは、切羽(切端)の発破に先立って、切羽に仮想的に設定された複数のブロックに穿孔を形成する。このような穿孔装置Jは、例えば切羽のブロックに全自動で穿孔を形成するコンピューター制御のドリルジャンボである。なお、上記ブロックは、本発明の区分領域に相当する。
【0016】
この穿孔装置Jは、上記ブロックに穿孔を形成する際のエネルギー(穿孔エネルギーC)を示すエネルギー信号を発破パターン抽出装置Aに出力する。この穿孔エネルギーCは、切羽の地盤(岩盤)の性質に相関を有する物理量である。すなわち、穿孔エネルギーCは、例えば切羽の地盤(岩盤)が比較的硬い場合は比較的大きな値となり、切羽の地盤(岩盤)が比較的柔らかい場合には比較的小さな値となる。
【0017】
なお、穿孔装置Jが切羽に形成する穿孔の穿孔長は、切羽を実際に発破する際の装薬孔の穿孔長と同一である。すなわち、穿孔エネルギーCは、切羽に装薬孔を形成する際の掘削エネルギ-に略同一である。
【0018】
通信部1は、外部の穿孔装置Jと電気的に接続され、当該穿孔装置Jからブロック毎(区分領域毎)のエネルギーCを取り込む。発破パターン抽出装置Aでは、通信部1において上記エネルギー信号を受信して演算部4に出力する。すなわち、通信部1は、発破パターン抽出装置Aにおけるブロック毎の穿孔エネルギーCの取得部であり、エネルギー信号からブロック毎の穿孔エネルギーCを取出して演算部4に出力する。
【0019】
このような通信部1は、本発明の穿孔エネルギー取得部に相当する。通信部1は、予め設定された通信プロトコルに準拠して穿孔装置Jと有線通信又は無線通信を行う。すなわち、通信部1と穿孔装置Jとは共有の通信プロトコルに従った相互通信が可能であり、例えば演算部4から穿孔エネルギーCの取得要求が入力されると、当該取得要求を穿孔装置Jに送信することによってブロック毎の穿孔エネルギーCを取得する。
【0020】
また、詳細については後述するが、通信部1は、演算部4から入力される最適発破パターンEaを穿孔装置J等の外部に送信する。すなわち、発破パターン抽出装置Aにおけるブロック毎の穿孔エネルギーCの取得タイミング及び最適発破パターンEaの穿孔装置J等への送信タイミングは、演算部4によって支配される。
【0021】
記憶部2は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等、複数の記憶装置からなり、上述した発破パターン抽出プログラムを記憶すると共に演算部4から入力されたブロック毎の穿孔エネルギーCを記憶する。
【0022】
また、記憶部2は、各種のデータや演算部4による発破パターン抽出プログラムの実行過程で生成される演算結果を一時的に記憶すると共に、各種のデータや演算結果を演算部4からの読出要求に応じて演算部4に出力する。
【0023】
上記各種のデータには、穿孔エネルギーCと装薬孔の形成箇所における地山等級D(地山状況)との対応関係を示す地山等級データが含まれる。また、各種のデータには、地山等級Dに応じた複数の発破パターンEが登録された発破パターンデータが含まれる。この発破パターンデータは、切羽の発破における削孔間隔(装薬孔間隔)と装薬量(火薬量)とを要素として含むデータである。
【0024】
操作部3は、キーボードやマウス等によって構成されており、操作者の指示(操作指示)を受け付けて演算部4に出力する。この操作指示は、例えば発破パターン抽出プログラムの実行開始指示や発破パターン抽出プログラムの実行結果(最適発破パターンEa)の出力指示である。操作者は、操作部3を手動操作することによって、自身の指示を操作部3つまり発破パターン抽出装置Aに入力する。
【0025】
演算部4は、所定のOS(Operating System:基本ソフト)上で発破パターン抽出プログラム(アプリケーションプログラム)を実行することにより、穿孔エネルギーCに基づくブロック毎の最適発破パターンEaを抽出する。この演算部4は、発破パターン抽出プログラムの実行過程で生成される各種のデータや演算結果を記憶部2に出力して一時的に記憶させる。また、この演算部4は、発破パターン抽出プログラムの実行結果であるブロック毎の最適発破パターンEaを表示部5に出力する。
【0026】
また、演算部4は、ハードウエア要素とソフトウエア要素とが協働によって形成される機能構成要素として、地山状況推定部4aと発破パターン選択部4bとを備えている。地山状況推定部4aは、ブロック毎の最適発破パターンEaの取得過程において、穿孔エネルギーCに基づいて記憶部2の地山等級データを検索することにより切羽の各ブロックにおける地山等級Dを推定する機能構成要素である。
【0027】
発破パターン選択部4bは、上記地山状況推定部4aの推定結果つまり各ブロックの地山等級Dに基づいて記憶部2の発破パターンデータを検索することにより各ブロックの最適発破パターンEaを選択する機能構成要素である。
【0028】
さらに、演算部4は、操作部3から各ブロックの最適発破パターンEaの外部機器への送信指示が入力された場合には、各ブロックの最適発破パターンEaを通信部1に出力して外部機器に送信させる。例えば、最適発破パターンEaの穿孔装置Jへの送信が指示されると、演算部4は、各ブロックの最適発破パターンEaを通信部1に出力することにより穿孔装置Jに送信させる。
【0029】
表示部5は、演算部4から入力された各ブロックの最適発破パターンEaを画像として表示する。すなわち、この表示部5は、演算部4から入力される画像信号に基づいて各ブロックの最適発破パターンEaを画像表示する。このような表示部5は、例えば液晶表示装置である。
【0030】
次に、本実施形態に係る発破パターン抽出装置Aの動作、つまり当該発破パターン抽出装置Aを用いた各ブロックの最適発破パターンEaの選択方法について、
図2及び
図3を参照して詳しく説明する。
【0031】
この発破パターン抽出装置Aは、演算部4が発破パターン抽出プログラムに基づいて
図2に示す一連の処理を実行することにより、最終的な成果物である各ブロックの最適発破パターンEaを出力する。以下では、発破パターン抽出プログラムに基づいて穿孔装置Jから各ブロックの穿孔エネルギーCを取得して各ブロックの最適発破パターンEaを抽出するまでの各種処理について説明する。
【0032】
演算部4は、操作部3から発破パターン抽出プログラムの実行指示が入力されると、最初に当該発破パターン抽出プログラムに基づいて穿孔エネルギーCの取得処理を実行する(ステップS1)。演算部4は、例えば穿孔エネルギーCの取得要求を通信部1に出力することにより、通信部1を介して穿孔装置Jから各ブロックの穿孔エネルギーCを取得する。
【0033】
そして、演算部4は、穿孔エネルギーCを記憶部2に記憶させた後、各ブロックの穿孔エネルギーCに基づいて切羽における各ブロックの地山等級Dを推定する(ステップS2)。すなわち、演算部4における地山状況推定部4aは、穿孔エネルギーCを使って記憶部2の地山等級データを検索することにより、各ブロックの穿孔エネルギーCに対応する各ブロックの地山等級Dを抽出する。
【0034】
そして、演算部4は、地山状況推定部4aが推定した各ブロックの地山等級Dを記憶部2に記憶させた後、当該各ブロックの地山等級Dに対応する各ブロックの最適発破パターンEaを選択する(ステップS3)。すなわち、演算部4における発破パターン選択部4bは、各ブロックの地山等級Dを用いて発破パターンデータを検索することにより、各ブロックの地山等級Dに対応する各ブロックの最適発破パターンEaを抽出する。
【0035】
図3は、切羽Hに設定されるブロック(区分領域)の一例である。この図では、切羽Hを6つのブロックB1~B6に区分している。穿孔装置Jは、これら6つのブロックB1~B6の中心付近に所定穿孔長の穿孔を形成することにより各ブロックB1~B6の穿孔エネルギーC1~C6を取得し、発破パターン抽出装置Aに出力する。
【0036】
そして、地山状況推定部4aは、穿孔エネルギーC1~C6を用いて地山等級データを検索することにより、各ブロックB1~B6の穿孔エネルギーC1~C6に対応する各ブロックB1~B6の地山等級D1~D6を取得する。そして、発破パターン選択部4bは、各ブロックB1~B6の地山等級D1~D6を用いて発破パターンデータを検索することにより、各ブロックB1~B6の地山等級D1~D6に対応する各ブロックB1~B6の最適発破パターンEa1~Ea6を取得する。
【0037】
最適発破パターンEa1は、切羽HのブロックB1における最適な削孔間隔と装薬量とを示すものである。最適発破パターンEa2は、切羽HのブロックB2における最適な削孔間隔と装薬量とを示すものである。最適発破パターンEa3は、切羽HのブロックB3における最適な削孔間隔と装薬量とを示すものである。最適発破パターンEa4は、切羽HのブロックB4における最適な削孔間隔と装薬量とを示すものである。最適発破パターンEa5は、切羽HのブロックB5における最適な削孔間隔と装薬量とを示すものである。最適発破パターンEa6は、切羽HのブロックB6における最適な削孔間隔と装薬量とを示すものである。
【0038】
ここで、発破パターン選択部4bは、記憶部2に予め設定された発破パターン(現発破パターンE0)が記憶されていた場合、この現発破パターンE0における各ブロックB1~B6の穿孔パターンを組み替えることにより、各ブロックB1~B6の最適発破パターンEa1~Ea6を設定する。
【0039】
図4は、このような現発破パターンE0の組替の一例を示す模式図である。この
図4では、現発破パターンE0の地山等級と地山状況推定部4aが推定した地山等級との違いに応じて穿孔パターンを組み替えている。例えば、現発破パターンE0の地山等級DIに対して地山状況推定部4aが地山等級CIIを推定した場合、地山等級DIに対応する現パターンDIは、地山等級CIIに対応する1.1m穿孔パターンに変更される。
【0040】
また、現発破パターンE0の地山等級CIIに対して地山状況推定部4aが地山等級CIを推定した場合、地山等級CIIに対応する現パターンCIIは、地山等級CIに対応する1.4m穿孔パターンに変更される。さらに、現発破パターンE0の地山等級CIに対して地山状況推定部4aが地山等級CIIを推定した場合、地山等級CIに対応する現パターンCIは、地山等級CIIに対応する1.7m穿孔パターンに変更される。
【0041】
すなわち、最適発破パターンEaは、切羽の各ブロックについて過度な掘削の発生を抑制し得る削孔間隔及び装薬量を示すものである。演算部4は、このようにして得られた各ブロックB1~B6の最適発破パターンEa1~Ea6を通信部1に出力することにより穿孔装置J等の外部装置に送信させる(ステップS4)。
【0042】
このような発破パターン抽出装置Aによれば、地山等級Dに応じた最適発破パターンEaが選択されるので、過度な掘削の発生を抑制して切羽の適切な発破を実現することが可能である。したがって、本実施形態によれば、過度な掘削の発生を抑制することが可能な発破パターン抽出装置Aを提供することが可能である。
【0043】
また、本実施形態によれば、切羽のブロック(区分領域)毎に穿孔エネルギーCを取得することによりブロック毎に最適発破パターンEaを選択するので、ブロック毎に過度な掘削の発生を抑制して切羽の適切な発破を実現することが可能である。したがって、本実施形態によれば、切羽の各ブロックに対して適切な発破を実現することが可能である。
【0044】
また、本実施形態によれば、各ブロックの最適発破パターンEaを穿孔装置Jに送信するので、余掘り量を縮減かつ周辺地山の緩みを抑制しつつトンネル施工を効率よく行わせることが可能である。なお、上記余掘り量の低減は、吹付け量を低減させることにつながるので、本実施形態によれば、コストの削減をも実現することが可能である。
【0045】
さらに、本実施形態によれば、穿孔装置Jから得られる穿孔エネルギーC並びに記憶部2に予め記憶された地山等級データ及び発破パターンデータによって最適発破パターンEaが選択されるので、当該最適発破パターンEaを短時間に取得することが可能である。したがって、本実施形態によれば、切羽現場の発破作業の効率を低下させることなく、切羽の適切な発破を実現することが可能である。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、トンネル掘削における切羽の発破に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、トンネル切羽以外の様々な切羽の発破に適用することが可能である。
【0047】
(2)上記実施形態では、切羽のブロック(区分領域)毎に最適発破パターンEaを取得したが、本発明はこれに限定されない。例えば、トンネルの掘削径が比較的小さいために切羽面積が比較的小さい場合には、切羽に1点だけ設定した代表点のみの穿孔エネルギーCを取得し、当該代表点における最適発破パターンEaを取得してもよい。
【0048】
(3)上記実施形態では、切羽の地山状況として地山等級を推定してが、本発明はこれに限定されない。切羽の地盤(岩盤)の性質を示す指標として地山等級以外の指標を推定してもよい。
【符号の説明】
【0049】
A 地質評価装置
J 穿孔装置
C 穿孔エネルギー
1 通信部(穿孔エネルギー取得部)
2 記憶部
3 操作部
4 演算部
4a 地山状況推定部
4b 発破パターン選択部
5 表示部