(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092666
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】スピーカシステム及び移動体
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240701BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240701BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
B60R11/02 S
B60R11/02 W
H04R1/02 102B
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208769
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鯖戸 隆史
【テーマコード(参考)】
3D020
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
3D020BA06
3D020BA10
3D020BB01
3D020BD03
3D020BD05
3D020BD11
3D020BE03
5D017AE11
5D220AA50
(57)【要約】
【課題】移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができるスピーカシステムを提供する。
【解決手段】スピーカシステム2は、第1の前席6と第2の前席8との間に配置される第1のスピーカユニット22を備える。第1のスピーカユニット22は、ボイスコイル50が内蔵された携帯端末26を載置可能な載置部32と、載置部32に載置された携帯端末26のボイスコイル50に対向するように配置され、ボイスコイル50で発生した磁界に起因する電磁誘導により第1の音声信号を生成するセンサコイル36a,36b,36c,36dと、第1の音声信号に基づく音声を第1の前席6に向けて出力する第1のスピーカ38とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横並びの第1の座席及び第2の座席が搭載された移動体の室内に配置されるスピーカシステムであって、
前記第1の座席と前記第2の座席との間に配置されるスピーカユニットを備え、
前記スピーカユニットは、
第1のボイスコイルが内蔵された第1の携帯端末を載置可能な第1の載置部と、
前記第1の載置部に載置された前記第1の携帯端末の前記第1のボイスコイルに対向するように配置され、前記第1のボイスコイルで発生した磁界に起因する電磁誘導により第1の音声信号を生成する第1のセンサコイルと、
前記第1の音声信号に基づく音声を前記第1の座席及び前記第2の座席の少なくとも一方に向けて出力する第1のスピーカと、を有する
スピーカシステム。
【請求項2】
前記スピーカユニットは、さらに、前記第1の携帯端末を前記第1の載置部に対して位置決めするための位置決め部を有する
請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項3】
前記スピーカユニットは、さらに、前記第1のセンサコイルからの前記第1の音声信号に含まれるノイズを除去するためのフィルタを有する
請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項4】
前記第1のセンサコイルは一対設けられ、
前記第1のスピーカは、前記一対の第1のセンサコイルの一方により生成された前記第1の音声信号に基づく音声を前記第1の座席に向けて出力し、
前記スピーカユニットは、さらに、
前記一対の第1のセンサコイルの他方により生成された前記第1の音声信号に基づく音声を、前記第2の座席に向けて出力する第2のスピーカを有する
請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項5】
前記第1のスピーカは、前記第1の音声信号に基づく音声を前記第1の座席に向けて出力し、
前記スピーカユニットは、さらに、
第2のボイスコイルが内蔵された第2の携帯端末を載置可能な第2の載置部と、
前記第2の載置部に載置された前記第2の携帯端末の前記第2のボイスコイルに対向するように配置され、前記第2のボイスコイルで発生した磁界に起因する電磁誘導により第2の音声信号を生成する第2のセンサコイルと、
前記第2の音声信号に基づく音声を前記第2の座席に向けて出力する第2のスピーカと、を有する
請求項1に記載のスピーカシステム。
【請求項6】
前記移動体は車両であり、
前記スピーカユニットは、
前記第1の座席である第1の前席と、第2の前席との間に配置され且つ前記第2の座席である第1のスピーカユニットと、
前記第1の前席の後方に配置され且つ前記第1の座席である第1の後席と、前記第2の前席の後方に配置され且つ前記第2の座席である第2の後席と、の間に配置された第2のスピーカユニットと、を含む
請求項1~5のいずれか1項に記載のスピーカシステム。
【請求項7】
第1の座席と、
前記第1の座席と横並びの第2の座席と、
前記第1の座席と前記第2の座席との間に配置された、請求項1~5のいずれか1項に記載のスピーカシステムと、を備える
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スピーカシステム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の車室内に搭載されるスピーカシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のスピーカシステムは、車両のインストルメントパネルに配置されたヘッドユニットと、車両の複数のドアの各内側にそれぞれ配置された複数のスピーカとを備えている。搭乗者のスマートフォン等の携帯端末とヘッドユニットとをBluetooth(登録商標)等で無線接続することにより、携帯端末で再生された音楽等の音声が複数のスピーカから同時に出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のスピーカシステムでは、車両に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができないという課題が生じる。
【0005】
そこで、本開示は、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができるスピーカシステム及び移動体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るスピーカシステムは、横並びの第1の座席及び第2の座席が搭載された移動体の室内に配置されるスピーカシステムであって、前記第1の座席と前記第2の座席との間に配置されるスピーカユニットを備え、前記スピーカユニットは、第1のボイスコイルが内蔵された第1の携帯端末を載置可能な第1の載置部と、前記第1の載置部に載置された前記第1の携帯端末の前記第1のボイスコイルに対向するように配置され、前記第1のボイスコイルで発生した磁界に起因する電磁誘導により第1の音声信号を生成する第1のセンサコイルと、前記第1の音声信号に基づく音声を前記第1の座席及び前記第2の座席の少なくとも一方に向けて出力する第1のスピーカと、を有する。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係るスピーカシステムによれば、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るスピーカシステムが搭載された車両の車室内を示す概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る第1のスピーカユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図2とは異なる方向から見た状態での、実施の形態1に係る第1のスピーカユニットを示す斜視図である。
【
図4】携帯端末を正方向に載置した場合における、実施の形態1に係る第1のスピーカユニットを示す平面図である。
【
図5】携帯端末を逆方向に載置した場合における、実施の形態1に係る第1のスピーカユニットを示す平面図である。
【
図6】実施の形態1に係る第1のスピーカユニットの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態2に係るスピーカシステムが搭載された車両の車室内を示す概略図である。
【
図8】実施の形態2に係る第1のスピーカユニットを示す斜視図である。
【
図9】
図8とは異なる方向から見た状態での、実施の形態2に係る第1のスピーカユニットを示す斜視図である。
【
図10】携帯端末を正方向に載置した場合における、実施の形態2に係る第1のスピーカユニットを示す平面図である。
【
図11】実施の形態2に係る第1のスピーカユニットの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の態様に係るスピーカシステムは、横並びの第1の座席及び第2の座席が搭載された移動体の室内に配置されるスピーカシステムであって、前記第1の座席と前記第2の座席との間に配置されるスピーカユニットを備え、前記スピーカユニットは、第1のボイスコイルが内蔵された第1の携帯端末を載置可能な第1の載置部と、前記第1の載置部に載置された前記第1の携帯端末の前記第1のボイスコイルに対向するように配置され、前記第1のボイスコイルで発生した磁界に起因する電磁誘導により第1の音声信号を生成する第1のセンサコイルと、前記第1の音声信号に基づく音声を前記第1の座席及び前記第2の座席の少なくとも一方に向けて出力する第1のスピーカと、を有する。
【0011】
本態様によれば、第1の座席又は第2の座席に着座している搭乗者は、自分の好みの音楽等を聴きたい場合に、第1の携帯端末をスピーカユニットの第1の載置部に置くことにより、スピーカユニットの第1のスピーカからの音楽等の音声が第1の座席及び第2の座席の少なくとも一方に向けて出力される。これにより、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0012】
また、本開示の第2の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様において、前記スピーカユニットは、さらに、前記第1の携帯端末を前記第1の載置部に対して位置決めするための位置決め部を有するように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、位置決め部が第1の携帯端末を第1の載置部に対して位置決めするので、例えば移動体が移動時に振動した場合等であっても、第1の携帯端末の第1のボイスコイルと第1のセンサコイルとの位置関係を保持することができる。
【0014】
また、本開示の第3の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様又は第2の態様において、前記スピーカユニットは、さらに、前記第1のセンサコイルからの前記第1の音声信号に含まれるノイズを除去するためのフィルタを有するように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、フィルタが第1のセンサコイルからの第1の音声信号に含まれるノイズを除去するので、第1のスピーカから出力される音声をクリアに保つことができる。
【0016】
また、本開示の第4の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様~第3の態様のいずれか一態様において、前記第1のセンサコイルは一対設けられ、前記第1のスピーカは、前記一対の第1のセンサコイルの一方により生成された前記第1の音声信号に基づく音声を前記第1の座席に向けて出力し、前記スピーカユニットは、さらに、前記一対の第1のセンサコイルの他方により生成された前記第1の音声信号に基づく音声を、前記第2の座席に向けて出力する第2のスピーカを有するように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、第1の座席及び第2の座席にそれぞれ着座している第1の搭乗者及び第2の搭乗者は、自分の好みの音楽等を聴きたい場合に、第1の携帯端末をスピーカユニットの第1の載置部に置くことにより、第1のスピーカ及び第2のスピーカからの音楽等の音声がそれぞれ第1の座席及び第2の座席に向けて出力される。これにより、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0018】
また、本開示の第5の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様~第3の態様のいずれか一態様において、前記第1のスピーカは、前記第1の音声信号に基づく音声を前記第1の座席に向けて出力し、前記スピーカユニットは、さらに、第2のボイスコイルが内蔵された第2の携帯端末を載置可能な第2の載置部と、前記第2の載置部に載置された前記第2の携帯端末の前記第2のボイスコイルに対向するように配置され、前記第2のボイスコイルで発生した磁界に起因する電磁誘導により第2の音声信号を生成する第2のセンサコイルと、前記第2の音声信号に基づく音声を前記第2の座席に向けて出力する第2のスピーカと、を有するように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、第1の座席に着座している第1の搭乗者は、自分の好みの音楽等を聴きたい場合に、第1の携帯端末をスピーカユニットの第1の載置部に置くことにより、第1のスピーカからの音楽等の音声が第1の座席に向けて出力される。また、第2の座席に着座している第2の搭乗者は、自分の好みの音楽等を聴きたい場合に、第2の携帯端末をスピーカユニットの第2の載置部に置くことにより、第2のスピーカからの音楽等の音声が第2の座席に向けて出力される。これにより、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0020】
また、本開示の第6の態様に係るスピーカシステムでは、第1の態様~第5の態様のいずれか一態様において、前記移動体は車両であり、前記スピーカユニットは、前記第1の座席である第1の前席と、第2の前席との間に配置され且つ前記第2の座席である第1のスピーカユニットと、前記第1の前席の後方に配置され且つ前記第1の座席である第1の後席と、前記第2の前席の後方に配置され且つ前記第2の座席である第2の後席と、の間に配置された第2のスピーカユニットと、を含むように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、例えば車両の第1の前席及び第2の前席にそれぞれ第1の搭乗者及び第2の搭乗者が着座している場合に、第1のスピーカユニットからの音楽等の音声を第1の前席及び第2の前席の少なくとも一方に向けて出力することができる。また、例えば車両の第1の後席及び第2の後席にそれぞれ第3の搭乗者及び第4の搭乗者が着座している場合に、第2のスピーカユニットからの音楽等の音声を第1の後席及び第2の後席の少なくとも一方に向けて出力することができる。これにより、車両に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0022】
また、本開示の第7の態様に係る移動体は、第1の座席と、前記第1の座席と横並びの第2の座席と、前記第1の座席と前記第2の座席との間に配置された、第1の態様~第6の態様のいずれか一態様に係るスピーカシステムと、を備える。
【0023】
本態様によれば、移動体に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0024】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0025】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0027】
(実施の形態1)
[1-1.スピーカシステムの概要]
まず、
図1を参照しながら、実施の形態1に係るスピーカシステム2の概要について説明する。
図1は、実施の形態1に係るスピーカシステム2が搭載された車両4の車室内を示す概略図である。
【0028】
なお、
図1において、車両4の左右方向をX軸、車両4の前後方向をY軸、車両4の上下方向をZ軸とする。また、本明細書において、X軸のプラス側を「右」、X軸のマイナス側を「左」、Y軸のプラス側を「前」、Y軸のマイナス側を「後」、Z軸のプラス側を「上」、Z軸のマイナス側を「下」とする。
【0029】
図1に示すように、スピーカシステム2は、例えば自動車等の車両4(移動体の一例)の車室内(移動体の室内の一例)に配置されている。本実施の形態では、車両4は、右ハンドルの自動車である。
【0030】
車両4の車室内における前方には、第1の前席6(第1の座席の一例)及び第2の前席8(第2の座席の一例)が横並びで搭載されている。第1の前席6は例えば運転席であり、第1の前席6には第1の搭乗者10(運転者)が着座している。第2の前席8は例えば助手席であり、第2の前席8には第2の搭乗者12が着座している。
【0031】
なお、本明細書において、「横並び」とは、第1の前席6に着座している第1の搭乗者10と、第2の前席8に着座している第2の搭乗者12とがともに同じ方向(例えばY軸のプラス側)を向くように、第1の前席6と第2の前席8とが横方向(例えばX軸方向)に並ぶ配置をいう。
【0032】
また、車両4の車室内における後方には、第1の後席14(第1の座席の一例)及び第2の後席16(第2の座席の一例)が横並びで搭載されている。第1の後席14は第1の前席6の後方に配置され、第1の後席14には第3の搭乗者18が着座している。第2の後席16は第2の前席8の後方に配置され、第2の後席16には第4の搭乗者20が着座している。
【0033】
スピーカシステム2は、第1の前席6と第2の前席8との間に配置された第1のスピーカユニット22(スピーカユニットの一例)と、第1の後席14と第2の後席16との間に配置された第2のスピーカユニット24(スピーカユニットの一例)とを備えている。なお、第1のスピーカユニット22及び第2のスピーカユニット24は、同一の構成を有している。
【0034】
第1のスピーカユニット22は、例えばフロントセンターコンソールと一体化されており、第1の前席6及び第2の前席8の各々に向けて第1の音声を出力する。第1の音声は、第1の搭乗者10又は第2の搭乗者12が携帯しているスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末26(第1の携帯端末の一例)で実行された第1のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第1のアプリケーションは音楽プレーヤであり、第1の音声は音楽の音声である。
【0035】
また、第2のスピーカユニット24は、例えばリアセンターコンソールと一体化されており、第1の後席14及び第2の後席16の各々に向けて第2の音声を出力する。第2の音声は、第3の搭乗者18又は第4の搭乗者20が携帯しているスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末28(第1の携帯端末の一例)で実行された第2のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第2のアプリケーションはラジオであり、第2の音声はラジオ番組の音声である。なお、第1の音声及び第2の音声は、互いに異なる音声である。
【0036】
[1-2.第1のスピーカユニットの構成]
上述したように、第1のスピーカユニット22及び第2のスピーカユニット24は同一の構成を有しているので、以下、
図2~
図5を参照しながら、第1のスピーカユニット22の構成についてのみ説明する。
【0037】
図2は、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22を示す斜視図である。
図3は、
図2とは異なる方向から見た状態での、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22を示す斜視図である。
【0038】
図4は、携帯端末26を正方向に載置した場合における、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22を示す平面図である。具体的には、
図4の(a)は、携帯端末26を正方向に載置する前における、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22を示す平面図であり、
図4の(b)は、携帯端末26を正方向に載置した後における、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22を示す平面図である。
【0039】
図5は、携帯端末26を逆方向に載置した場合における、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22を示す平面図である。具体的には、
図5の(a)は、携帯端末26を逆方向に載置する前における、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22を示す平面図であり、
図5の(b)は、携帯端末26を逆方向に載置した後における、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22を示す平面図である。
【0040】
図2及び
図3に示すように、第1のスピーカユニット22は、筐体30と、載置部32(第1の載置部の一例)と、位置決め部34と、複数のセンサコイル36a,36b,36c,36d(第1のセンサコイルの一例)と、第1のスピーカ38と、第2のスピーカ40とを備えている。
【0041】
筐体30は、中空状の箱状に形成されている。筐体30は、例えば車両4(
図1参照)の車室内のフロントセンターコンソールと一体化されている。すなわち、筐体30は、車両4の第1の前席6と第2の前席8との間に配置されている。
図2に示すように、筐体30の第1の前席6に面する側面には、円形状の第1の開口部42が形成されている。また、
図3に示すように、筐体30の第2の前席8に面する側面には、円形状の第2の開口部44が形成されている。
【0042】
載置部32は、筐体30の上面に形成された平面状の載置面である。載置部32には、携帯端末26を載置可能である。
【0043】
図2に示すように、携帯端末26は、長方形の板状に形成されている。携帯端末26の主面には、タッチパネルディスプレイ46が配置されている。また、携帯端末26の主面の長手方向(Y軸方向)における手前側(Y軸のマイナス側)には、物理ボタン48が配置されている。
【0044】
携帯端末26の内部には、マイクロスピーカを構成するボイスコイル50(第1のボイスコイルの一例)及び振動板(図示せず)が収容されている。ボイスコイル50は、携帯端末26の長手方向における中央部よりも手前側に偏った位置に配置されている。ボイスコイル50に音声信号を示す電流が流れた際に、ボイスコイル50が音声信号に応じて振動する。なお、この時、ボイスコイル50で磁界が発生する。ボイスコイル50の振動が振動板に伝達されることにより、携帯端末26のマイクロスピーカから音声が出力される。なお、携帯端末28(
図1参照)は、携帯端末26と同一の構成を有している。
【0045】
位置決め部34は、携帯端末26を載置部32に対して位置決めするためのものである。位置決め部34は、携帯端末26の四隅にそれぞれ対応して、載置部32に4か所配置されている。4つの位置決め部34の各々は、XY平面視で略L字状に形成され、載置部32から上方に突出している。携帯端末26の四隅がそれぞれ4つの位置決め部34に接触するようにして、且つ、タッチパネルディスプレイ46が上側を向くようにして、携帯端末26を載置部32に載置することにより、携帯端末26が載置部32に対して位置決めされる。
【0046】
このように携帯端末26が載置部32に対して位置決めされた状態では、携帯端末26のボイスコイル50は、一対のセンサコイル36a,36b(又は一対のセンサコイル36c,36d)に対向するように配置される。これにより、例えば車両4が走行時に振動した場合等であっても、携帯端末26が載置部32上を滑るのを抑制することができ、ボイスコイル50と一対のセンサコイル36a,36b(又は一対のセンサコイル36c,36d)との位置関係を保持することができる。
【0047】
複数のセンサコイル36a,36b,36c,36dは、筐体30の内部に配置されている。具体的には、一対のセンサコイル36a,36bは、載置部32の中央部よりも車両4の後方(Y軸のマイナス側)に偏った位置に配置され、且つ、車両4の左右方向(X軸方向)に間隔を置いて配置されている。また、一対のセンサコイル36c,36dは、載置部32の中央部よりも車両4の前方(Y軸のプラス側)に偏った位置に配置され、且つ、車両4の左右方向に間隔を置いて配置されている。
【0048】
図4の(a)及び(b)に示すように、携帯端末26を正方向に載置部32に載置した際には、携帯端末26のボイスコイル50は、一対のセンサコイル36a,36bに対向するように配置される。なお、「正方向」とは、車両4の後方から前方に向かって見た場合に、物理ボタン48(ボイスコイル50)が手前側となる携帯端末26の向きをいう。この状態で、携帯端末26のマイクロスピーカから音声が出力された際には、ボイスコイル50で発生した磁界に起因して、一対のセンサコイル36a,36bの各々で電磁誘導が発生する。この時、携帯端末26のマイクロスピーカから出力される音声の音量は、例えば最小の音量(ミュートを除く)でも構わない。
【0049】
これにより、一対のセンサコイル36a,36bの各々には、電磁誘導によって音声信号(第1の音声信号の一例)を示す電流が流れる。すなわち、一対のセンサコイル36a,36bの各々は、電磁誘導により、携帯端末26のマイクロスピーカから出力されている音声を示す音声信号を生成する。センサコイル36aは、生成した音声信号を第1のスピーカ38に出力する。また、センサコイル36bは、生成した音声信号を第2のスピーカ40に出力する。
【0050】
一方、
図5の(a)及び(b)に示すように、携帯端末26を逆方向に載置部32に載置した際には、携帯端末26のボイスコイル50は、一対のセンサコイル36c,36dに対向するように配置される。なお、「逆方向」とは、車両4の後方から前方に向かって見た場合に、物理ボタン48(ボイスコイル50)が奥側となる携帯端末26の向きをいう。この状態で、携帯端末26のマイクロスピーカから音声が出力された際には、ボイスコイル50で発生した磁界に起因して、一対のセンサコイル36c,36dの各々で電磁誘導が発生する。この時、携帯端末26のマイクロスピーカから出力される音声の音量は、例えば最小の音量(ミュートを除く)でも構わない。
【0051】
これにより、一対のセンサコイル36c,36dの各々には、電磁誘導によって音声信号(第1の音声信号の一例)を示す電流が流れる。すなわち、一対のセンサコイル36c,36dの各々は、電磁誘導により、携帯端末26のマイクロスピーカから出力されている音声を示す音声信号を生成する。センサコイル36cは、生成した音声信号を第1のスピーカ38に出力する。また、センサコイル36dは、生成した音声信号を第2のスピーカ40に出力する。
【0052】
図2及び
図4に示すように、第1のスピーカ38は、例えばモノラルスピーカであり、筐体30の内部に配置されている。第1のスピーカ38の放音面52は、筐体30の第1の開口部42を通して筐体30の外部に露出され、第1の前席6を向くように配置されている。これにより、第1のスピーカ38の放音面52からの音声(第1の音声)は、第1の前席6に向けて出力される。なお、第1のスピーカ38の放音面52からの音声は、第1の前席6に向けて強い指向性を有するようにしてもよい。
【0053】
図3及び
図4に示すように、第2のスピーカ40は、例えばモノラルスピーカであり、筐体30の内部に配置されている。第2のスピーカ40の放音面54は、筐体30の第2の開口部44を通して筐体30の外部に露出され、第2の前席8を向くように配置されている。これにより、第2のスピーカ40の放音面54からの音声(第1の音声)は、第2の前席8に向けて出力される。なお、第2のスピーカ40の放音面54からの音声は、第2の前席8に向けて強い指向性を有するようにしてもよい。
【0054】
次に、
図6を参照しながら、第1のスピーカユニット22の機能構成について説明する。
図6は、実施の形態1に係る第1のスピーカユニット22の機能構成を示すブロック図である。
【0055】
図6に示すように、第1のスピーカユニット22は、機能構成として、複数のセンサコイル36a,36b,36c,36dと、フィルタ56と、アンプ58と、第1のスピーカ38と、第2のスピーカ40とを備えている。なお、フィルタ56およびアンプ58は、筐体30(
図2参照)の内部に再生ユニットとして配置される。
【0056】
携帯端末26を正方向に載置部32に載置した状態で、携帯端末26のマイクロスピーカから音声が出力された際には、一対のセンサコイル36a,36bの各々は、電磁誘導により音声信号を生成し、生成した音声信号をフィルタ56に出力する。
【0057】
一方、携帯端末26を逆方向に載置部32に載置した状態で、携帯端末26のマイクロスピーカから音声が出力された際には、一対のセンサコイル36c,36dの各々は、電磁誘導により音声信号を生成し、生成した音声信号をフィルタ56に出力する。
【0058】
フィルタ56は、複数のセンサコイル36a,36b,36c,36dの各々からの音声信号に含まれるノイズを除去する。フィルタ56は、ノイズを除去した音声信号をアンプ58に出力する。
【0059】
アンプ58は、フィルタ56からの音声信号を増幅し、第1のスピーカ38及び第2のスピーカ40の各々に出力する。
【0060】
すなわち、携帯端末26を正方向に載置部32に載置した状態で、携帯端末26のマイクロスピーカから音声が出力された際には、センサコイル36aは、フィルタ56及びアンプ58を介して第1のスピーカ38に音声信号を出力し、センサコイル36bは、フィルタ56及びアンプ58を介して第2のスピーカ40に音声信号を出力する。これにより、第1のスピーカ38及び第2のスピーカ40はそれぞれ、一対のセンサコイル36a,36bの各々により生成された音声信号に基づく音声を出力する。
【0061】
また、携帯端末26を逆方向に載置部32に載置した状態で、携帯端末26のマイクロスピーカから音声が出力された際には、センサコイル36cは、フィルタ56及びアンプ58を介して第1のスピーカ38に音声信号を出力し、センサコイル36dは、フィルタ56及びアンプ58を介して第2のスピーカ40に音声信号を出力する。これにより、第1のスピーカ38及び第2のスピーカ40はそれぞれ、一対のセンサコイル36c,36dの各々により生成された音声信号に基づく音声を出力する。
【0062】
[1-3.効果]
図1に示すように、例えば第1の搭乗者10及び第2の搭乗者12が音楽を鑑賞したい場合には、携帯端末26を第1のスピーカユニット22に載置し、携帯端末26で音楽プレーヤの第1のアプリケーションを実行する。これにより、第1のスピーカユニット22から第1の前席6及び第2の前席8の各々に向けて、第1のアプリケーションにより再生された音楽の音声(第1の音声)が出力される。
【0063】
また、例えば第3の搭乗者18及び第4の搭乗者20がラジオを聴きたい場合には、携帯端末28を第2のスピーカユニット24に載置し、携帯端末28でラジオの第2のアプリケーションを実行する。これにより、第2のスピーカユニット24から第1の後席14及び第2の後席16の各々に向けて、第2のアプリケーションにより再生されたラジオ番組の音声(第2の音声)が出力される。
【0064】
したがって、本実施の形態では、車両4に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽やラジオ番組等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0065】
(実施の形態2)
[2-1.スピーカシステムの概要]
図7を参照しながら、実施の形態2に係るスピーカシステム2Aの概要について説明する。
図7は、実施の形態2に係るスピーカシステム2Aが搭載された車両4の車室内を示す概略図である。なお、本実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0066】
図7に示すように、スピーカシステム2Aは、第1の前席6と第2の前席8との間に配置された第1のスピーカユニット22A(スピーカユニットの一例)と、第1の後席14と第2の後席16との間に配置された第2のスピーカユニット24A(スピーカユニットの一例)とを備えている。なお、第1のスピーカユニット22A及び第2のスピーカユニット24Aは、同一の構成を有している。
【0067】
第1のスピーカユニット22Aは、第1の前席6に向けて第1の音声を出力し、且つ、第2の前席8に向けて第2の音声を出力する。第1の音声は、第1の搭乗者10が携帯している携帯端末26a(第1の携帯端末の一例)で実行された第1のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第1のアプリケーションは音楽プレーヤであり、第1の音声は音楽の音声である。また、第2の音声は、第2の搭乗者12が携帯している携帯端末26b(第2の携帯端末の一例)で実行された第2のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第2のアプリケーションはラジオであり、第2の音声はラジオ番組の音声である。
【0068】
第2のスピーカユニット24Aは、第1の後席14に向けて第3の音声を出力し、且つ、第2の後席16に向けて第4の音声を出力する。第3の音声は、第3の搭乗者18が携帯している携帯端末28a(第1の携帯端末の一例)で実行された第3のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第3のアプリケーションはテレビであり、第3の音声はテレビ番組の音声である。また、第4の音声は、第4の搭乗者20が携帯している携帯端末28b(第2の携帯端末の一例)で実行された第4のアプリケーションにより再生された音声である。例えば、第4のアプリケーションはゲームであり、第4の音声はゲームの音声である。
【0069】
なお、第1の音声、第2の音声、第3の音声及び第4の音声は、互いに異なる音声である。
【0070】
[2-2.第1のスピーカユニットの構成]
上述したように、第1のスピーカユニット22A及び第2のスピーカユニット24Aは同一の構成を有しているので、以下、
図8~
図10を参照しながら、第1のスピーカユニット22Aの構成についてのみ説明する。
【0071】
図8は、実施の形態2に係る第1のスピーカユニット22Aを示す斜視図である。
図9は、
図8とは異なる方向から見た状態での、実施の形態2に係る第1のスピーカユニット22Aを示す斜視図である。
【0072】
図10は、携帯端末26a,26bを正方向に載置した場合における、実施の形態2に係る第1のスピーカユニット22Aを示す平面図である。具体的には、
図10の(a)は、携帯端末26a,26bを正方向に載置する前における、実施の形態2に係る第1のスピーカユニット22Aを示す平面図であり、
図10の(b)は、携帯端末26a,26bを正方向に載置した後における、実施の形態2に係る第1のスピーカユニット22Aを示す平面図である。
【0073】
図8に示すように、第1のスピーカユニット22Aでは、筐体30Aの第1の前席6(
図7参照)に面する側面には、円形状の一対の第1の開口部42が形成されている。一対の第1の開口部42は、車両4(
図7参照)の前後方向(Y軸方向)に間隔を置いて配置されている。また、
図9に示すように、筐体30Aの第2の前席8(
図7参照)に面する側面には、円形状の一対の第2の開口部44が形成されている。一対の第2の開口部44は、車両4の前後方向に間隔を置いて配置されている。
【0074】
また、
図8に示すように、筐体30Aの上面には、第1の載置部32a及び第2の載置部32bが形成されている。第1の載置部32a及び第2の載置部32bは、車両4の左右方向に間隔を置いて配置されている。具体的には、第1の載置部32aは第1の前席6側に配置され、第2の載置部32bは第2の前席8側に配置されている。
【0075】
また、
図8に示すように、第1の載置部32a及び第2の載置部32bにはそれぞれ、第1の位置決め部34Aa及び第2の位置決め部34Ab(ともに位置決め部の一例)が形成されている。第1の位置決め部34Aa及び第2の位置決め部34Abの各々は、XY平面視で矩形状の凹部である。
【0076】
第1の位置決め部34Aaは、携帯端末26aを第1の載置部32aに対して位置決めするためのものである。第1の位置決め部34Aaの大きさ(XY平面における大きさ)は、携帯端末26aの大きさと略同一である。また、第1の位置決め部34Aaの深さ(Z軸方向における深さ)は、携帯端末26aの厚みよりも小さい。
図9に示すように、携帯端末26aの外周面が第1の位置決め部34Aaの内周面に接触するようにして、携帯端末26aを第1の載置部32aに載置することにより、携帯端末26aが第1の載置部32aに対して位置決めされる。
【0077】
第2の位置決め部34Abは、携帯端末26bを第2の載置部32bに対して位置決めするためのものである。第2の位置決め部34Abの大きさ(XY平面における大きさ)は、携帯端末26bの大きさと略同一である。また、第2の位置決め部34Abの深さ(Z軸方向における深さ)は、携帯端末26bの厚みよりも小さい。
図9に示すように、携帯端末26bの外周面が第2の位置決め部34Abの内周面に接触するようにして、携帯端末26bを第2の載置部32bに載置することにより、携帯端末26bが第2の載置部32bに対して位置決めされる。
【0078】
また、
図8に示すように、筐体30Aの内部には、複数の第1のセンサコイル36e,36f,36g,36hが配置されている。具体的には、一対の第1のセンサコイル36e,36fは、第1の載置部32aの中央部よりも車両4の後方に偏った位置に配置され、且つ、車両4の左右方向に間隔を置いて配置されている。また、一対の第1のセンサコイル36g,36hは、第1の載置部32aの中央部よりも車両4の前方に偏った位置に配置され、且つ、車両4の左右方向に間隔を置いて配置されている。
【0079】
図10の(a)及び(b)に示すように、携帯端末26aを正方向に第1の載置部32aに載置した際には、携帯端末26aのボイスコイル50a(第1のボイスコイルの一例)は、一対の第1のセンサコイル36e,36fに対向するように配置される。この状態で、携帯端末26aのマイクロスピーカから音声が出力された際には、ボイスコイル50aで発生した磁界に起因して、一対の第1のセンサコイル36e,36fの各々で電磁誘導が発生する。
【0080】
これにより、一対の第1のセンサコイル36e,36fの各々には、電磁誘導によって音声信号(第1の音声信号の一例)を示す電流が流れる。すなわち、一対の第1のセンサコイル36e,36fの各々は、電磁誘導により、携帯端末26aのマイクロスピーカから出力されている音声を示す音声信号を生成する。第1のセンサコイル36eは、生成した音声信号を第1のスピーカ38Rに出力する。また、第1のセンサコイル36fは、生成した音声信号を第1のスピーカ38Lに出力する。
【0081】
一方、図示しないが、携帯端末26aを逆方向に第1の載置部32aに載置した際には、携帯端末26aのボイスコイル50aは、一対の第1のセンサコイル36g,36hに対向するように配置される。この状態で、携帯端末26aのマイクロスピーカから音声が出力された際には、ボイスコイル50aで発生した磁界に起因して、一対の第1のセンサコイル36g,36hの各々で電磁誘導が発生する。
【0082】
これにより、一対の第1のセンサコイル36g,36hの各々には、電磁誘導によって音声信号(第1の音声信号の一例)を示す電流が流れる。すなわち、一対の第1のセンサコイル36g,36hの各々は、電磁誘導により、携帯端末26aのマイクロスピーカから出力されている音声を示す音声信号を生成する。第1のセンサコイル36gは、生成した音声信号を第1のスピーカ38Rに出力する。また、第1のセンサコイル36hは、生成した音声信号を第1のスピーカ38Lに出力する。
【0083】
図8に示すように、筐体30Aの内部には、さらに、複数の第2のセンサコイル36i,36j,36k,36lが配置されている。具体的には、一対の第2のセンサコイル36i,36jは、第2の載置部32bの中央部よりも車両4の後方に偏った位置に配置され、且つ、車両4の左右方向に間隔を置いて配置されている。また、一対の第2のセンサコイル36k,36lは、第2の載置部32bの中央部よりも車両4の前方に偏った位置に配置され、且つ、車両4の左右方向に間隔を置いて配置されている。
【0084】
図10の(a)及び(b)に示すように、携帯端末26bを正方向に第2の載置部32bに載置した際には、携帯端末26bのボイスコイル50b(第2のボイスコイルの一例)は、一対の第2のセンサコイル36i,36jに対向するように配置される。この状態で、携帯端末26bのマイクロスピーカから音声が出力された際には、ボイスコイル50bで発生した磁界に起因して、一対の第2のセンサコイル36i,36jの各々で電磁誘導が発生する。
【0085】
これにより、一対の第2のセンサコイル36i,36jの各々には、電磁誘導によって音声信号(第2の音声信号の一例)を示す電流が流れる。すなわち、一対の第2のセンサコイル36i,36jの各々は、電磁誘導により、携帯端末26bのマイクロスピーカから出力されている音声を示す音声信号を生成する。第2のセンサコイル36iは、生成した音声信号を第2のスピーカ40Rに出力する。また、第2のセンサコイル36jは、生成した音声信号を第2のスピーカ40Lに出力する。
【0086】
一方、図示しないが、携帯端末26bを逆方向に第2の載置部32bに載置した際には、携帯端末26bのボイスコイル50bは、一対の第2のセンサコイル36k,36lに対向するように配置される。この状態で、携帯端末26bのマイクロスピーカから音声が出力された際には、ボイスコイル50bで発生した磁界に起因して、一対の第2のセンサコイル36k,36lの各々で電磁誘導が発生する。
【0087】
これにより、一対の第2のセンサコイル36k,36lの各々には、電磁誘導によって音声信号(第2の音声信号の一例)を示す電流が流れる。すなわち、一対の第2のセンサコイル36k,36lの各々は、電磁誘導により、携帯端末26bのマイクロスピーカから出力されている音声を示す音声信号を生成する。第2のセンサコイル36kは、生成した音声信号を第2のスピーカ40Rに出力する。また、第2のセンサコイル36lは、生成した音声信号を第2のスピーカ40Lに出力する。
【0088】
図8及び
図10に示すように、一対の第1のスピーカ38R,38Lは、例えばステレオスピーカであり、筐体30Aの内部に配置されている。なお、一対の第1のスピーカ38R,38Lはそれぞれ、Rチャンネル用スピーカ及びLチャンネル用スピーカである。一対の第1のスピーカ38R,38Lの各放音面52はそれぞれ、筐体30Aの一対の第1の開口部42を通して筐体30Aの外部に露出され、第1の前席6を向くように配置されている。これにより、一対の第1のスピーカ38R,38Lの各放音面52からの音声(第1の音声)は、第1の前席6に向けて出力される。
【0089】
図9及び
図10に示すように、一対の第2のスピーカ40R,40Lは、例えばステレオスピーカであり、筐体30Aの内部に配置されている。なお、一対の第2のスピーカ40R,40Lはそれぞれ、Rチャンネル用スピーカ及びLチャンネル用スピーカである。一対の第2のスピーカ40R,40Lの各放音面54はそれぞれ、筐体30Aの一対の第2の開口部44を通して筐体30Aの外部に露出され、第2の前席8を向くように配置されている。これにより、一対の第2のスピーカ40R,40Lの各放音面54からの音声(第2の音声)は、第2の前席8に向けて出力される。
【0090】
次に、
図11を参照しながら、第1のスピーカユニット22Aの機能構成について説明する。
図11は、実施の形態2に係る第1のスピーカユニット22Aの機能構成を示すブロック図である。
【0091】
図11に示すように、第1のスピーカユニット22Aは、機能構成として、複数の第1のセンサコイル36e,36f,36g,36hと、複数の第2のセンサコイル36i,36j,36k,36lと、フィルタ56と、アンプ58と、一対の第1のスピーカ38R,38Lと、一対の第2のスピーカ40R,40Lとを備えている。
【0092】
携帯端末26aを正方向に第1の載置部32aに載置した状態で、携帯端末26aのマイクロスピーカから音声が出力された際には、一対の第1のセンサコイル36e,36fの各々は、電磁誘導により音声信号を生成し、生成した音声信号をフィルタ56に出力する。
【0093】
一方、携帯端末26aを逆方向に第1の載置部32aに載置した状態で、携帯端末26aのマイクロスピーカから音声が出力された際には、一対の第1のセンサコイル36g,36hの各々は、電磁誘導により音声信号を生成し、生成した音声信号をフィルタ56に出力する。
【0094】
フィルタ56は、複数の第1のセンサコイル36e,36f,36g,36hの各々からの音声信号に含まれるノイズを除去する。フィルタ56は、ノイズを除去した音声信号をアンプ58に出力する。
【0095】
アンプ58は、フィルタ56からの音声信号を増幅し、一対の第1のスピーカ38R,38Lの各々に出力する。なお、第1のスピーカ38Rに出力される音声信号は、Rチャンネル用の音声信号であり、第1のスピーカ38Lに出力される音声信号は、Lチャンネル用の音声信号である。
【0096】
すなわち、携帯端末26aを正方向に第1の載置部32aに載置した状態で、携帯端末26aのマイクロスピーカから音声が出力された際には、第1のセンサコイル36eは、フィルタ56及びアンプ58を介して第1のスピーカ38Rに音声信号を出力し、第1のセンサコイル36fは、フィルタ56及びアンプ58を介して第1のスピーカ38Lに音声信号を出力する。
【0097】
また、携帯端末26aを逆方向に第1の載置部32aに載置した状態で、携帯端末26aのマイクロスピーカから音声が出力された際には、第1のセンサコイル36gは、フィルタ56及びアンプ58を介して第1のスピーカ38Rに音声信号を出力し、第1のセンサコイル36hは、フィルタ56及びアンプ58を介して第1のスピーカ38Lに音声信号を出力する。
【0098】
携帯端末26bを正方向に第2の載置部32bに載置した状態で、携帯端末26bのマイクロスピーカから音声が出力された際には、一対の第2のセンサコイル36i,36jの各々は、電磁誘導により音声信号を生成し、生成した音声信号をフィルタ56に出力する。
【0099】
一方、携帯端末26bを逆方向に第2の載置部32bに載置した状態で、携帯端末26bのマイクロスピーカから音声が出力された際には、一対の第2のセンサコイル36k,36lの各々は、電磁誘導により音声信号を生成し、生成した音声信号をフィルタ56に出力する。
【0100】
フィルタ56は、複数の第2のセンサコイル36i,36j,36k,36lの各々からの音声信号に含まれるノイズを除去する。フィルタ56は、ノイズを除去した音声信号をアンプ58に出力する。
【0101】
アンプ58は、フィルタ56からの音声信号を増幅し、一対の第2のスピーカ40R,40Lの各々に出力する。なお、第2のスピーカ40Rに出力される音声信号は、Rチャンネル用の音声信号であり、第2のスピーカ40Lに出力される音声信号は、Lチャンネル用の音声信号である。
【0102】
すなわち、携帯端末26bを正方向に第2の載置部32bに載置した状態で、携帯端末26bのマイクロスピーカから音声が出力された際には、第2のセンサコイル36iは、フィルタ56及びアンプ58を介して第2のスピーカ40Rに音声信号を出力し、第2のセンサコイル36jは、フィルタ56及びアンプ58を介して第2のスピーカ40Lに音声信号を出力する。
【0103】
また、携帯端末26bを逆方向に第2の載置部32bに載置した状態で、携帯端末26bのマイクロスピーカから音声が出力された際には、第2のセンサコイル36kは、フィルタ56及びアンプ58を介して第2のスピーカ40Rに音声信号を出力し、第2のセンサコイル36lは、フィルタ56及びアンプ58を介して第2のスピーカ40Lに音声信号を出力する。
【0104】
[2-3.効果]
図7に示すように、例えば第1の搭乗者10が音楽を鑑賞したい場合には、携帯端末26aを第1のスピーカユニット22Aに載置し、携帯端末26aで音楽プレーヤの第1のアプリケーションを実行する。これにより、第1のスピーカユニット22Aから第1の前席6に向けて、第1のアプリケーションにより再生された音楽の音声(第1の音声)が出力される。
【0105】
また、例えば第2の搭乗者12がラジオを聴きたい場合には、携帯端末26bを第1のスピーカユニット22Aに載置し、携帯端末26bでラジオの第2のアプリケーションを実行する。これにより、第1のスピーカユニット22Aから第2の前席8に向けて、第2のアプリケーションにより再生されたラジオ番組の音声(第2の音声)が出力される。
【0106】
また、例えば第3の搭乗者18がテレビを視聴したい場合には、携帯端末28aを第2のスピーカユニット24Aに載置し、携帯端末28aでテレビの第3のアプリケーションを実行する。これにより、第2のスピーカユニット24Aから第1の後席14に向けて、第3のアプリケーションにより再生されたテレビ番組の音声(第3の音声)が出力される。
【0107】
また、例えば第4の搭乗者20がゲームで遊びたい場合には、携帯端末28bを第2のスピーカユニット24Aに載置し、携帯端末28bでゲームの第4のアプリケーションを実行する。これにより、第2のスピーカユニット24Aから第2の後席16に向けて、第4のアプリケーションにより再生されたゲームの音声(第4の音声)が出力される。
【0108】
したがって、本実施の形態では、上記実施の形態1と同様に、車両4に複数の搭乗者が搭乗している場合に、各搭乗者が自分の好みの音楽やラジオ番組等をそれぞれ同時に楽しむことができる。
【0109】
(他の変形例等)
以上、一つ又は複数の態様に係るスピーカシステム及び移動体について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記各実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を上記各実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0110】
上記各実施の形態では、移動体が車両4である場合について説明したが、これに限定されず、例えば航空機、電車又は船舶等であってもよい。
【0111】
また、上記実施の形態1では、第1のスピーカユニット22が複数のスピーカ(第1のスピーカ38及び第2のスピーカ40)を備えるようにしたが、これに限定されず、単一の第1のスピーカを備えるようにしてもよい。この場合、単一の第1のスピーカは、第1の前席6及び第2の前席8の少なくとも一方に向けて音声を出力する。
【0112】
同様に、上記実施の形態2では、第1のスピーカユニット22Aが複数のスピーカ(一対の第1のスピーカ38R,38L及び一対の第2のスピーカ40R,40L)を備えるようにしたが、これに限定されず、単一の第1のスピーカを備えるようにしてもよい。この場合、単一の第1のスピーカは、第1の前席6及び第2の前席8の少なくとも一方に向けて音声を出力する。
【0113】
また、上記実施の形態1では、位置決め部34を携帯端末26の外周面に接触させることにより、携帯端末26を載置部32に対して位置決めしたが、これに限定されない。例えば、位置決め部を、摩擦係数の高い材料で形成された載置部32の表面で構成してもよい。
【0114】
また、上記各実施の形態において、各搭乗者が自分の好みの音楽やラジオ番組等をそれぞれ同時に楽しむ場合に、他の音が自分のエリアに入ってこないように強い指向性を有する指向性スピーカを用いる以外に、車室内の各エリアを透明なアクリル板等を用いて仕切ることにより、音響的に隔離できる構成としてもよい。
【0115】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したコンピュータプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0116】
また、上記実施の形態に係るスピーカシステム2(2A)の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0117】
上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしても良い。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0118】
本開示は、上記に示す方法であるとしても良い。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、前記コンピュータプログラムを含むデジタル信号であるとしても良い。また、本開示は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ等に記録したものとしても良い。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしても良い。また、本開示は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしても良い。また、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示は、例えば自動車等の車両の車室内に配置されるスピーカシステム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0120】
2,2A スピーカシステム
4 車両
6 第1の前席
8 第2の前席
10 第1の搭乗者
12 第2の搭乗者
14 第1の後席
16 第2の後席
18 第3の搭乗者
20 第4の搭乗者
22,22A 第1のスピーカユニット
24,24A 第2のスピーカユニット
26,26a,26b,28,28a,28b 携帯端末
30,30A 筐体
32 載置部
32a 第1の載置部
32b 第2の載置部
34 位置決め部
34Aa 第1の位置決め部
34Ab 第2の位置決め部
36a,36b,36c,36d センサコイル
36e,36f,36g,36h 第1のセンサコイル
36i,36j,36k,36l 第2のセンサコイル
38,38R,38L 第1のスピーカ
40,40R,40L 第2のスピーカ
42 第1の開口部
44 第2の開口部
46 タッチパネルディスプレイ
48 物理ボタン
50,50a,50b ボイスコイル
52,54 放音面
56 フィルタ
58 アンプ