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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092677
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】フォイル軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 27/02 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
F16C27/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208783
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠田 史也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文博
【テーマコード(参考)】
3J012
【Fターム(参考)】
3J012AB20
3J012BB01
3J012CB05
3J012DB05
3J012EB10
3J012GB10
3J012HB01
(57)【要約】
【課題】部品点数を増加させたり軸受ハウジングを大型化させたりすることなく、バンプフォイルが軸受ハウジングから抜け落ちることを規制できるフォイル軸受を提供する。
【解決手段】回転軸14が挿通される筒状の軸受ハウジング40には、トップフォイル50の一部と薄板部材70の一部とが挿入され、トップフォイル50と薄板部材70との回転軸14の周方向への移動を規制する第1溝41a及び第4溝41dが形成されている。第1溝41a及び第4溝41dには、トップフォイル50と薄板部材70との回転軸14の軸方向への移動を規制する規制部材80が設けられている。薄板部材70は、内周面71aに開口する開口部としての貫通孔74を有している。バンプフォイル60は、バンプフォイル60の一部が貫通孔74に挿入係合されることによって軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向と軸方向への移動が規制されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が挿通される筒状の軸受ハウジングと、
前記回転軸と前記軸受ハウジングとの間に設けられ、前記回転軸に対して前記回転軸の周方向に延在する軸受面を構成するトップフォイルと、
前記トップフォイルの外周側に設けられ、伸長することで前記トップフォイルを弾性的に支持する複数のバンプフォイルと、
前記バンプフォイルと前記軸受ハウジングとの間に設けられ、前記周方向に延在する薄板部材と、
を有し、
前記軸受ハウジングには、前記トップフォイルの一部と前記薄板部材の一部とが挿入され、前記トップフォイルと前記薄板部材との前記周方向への移動を規制する規制溝が形成されているフォイル軸受であって、
前記規制溝には、前記トップフォイルと前記薄板部材との前記回転軸の軸方向への移動を規制する規制部材が設けられ、
前記薄板部材は、内周面に開口する開口部を有し、
前記バンプフォイルは、前記バンプフォイルの一部が前記開口部に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向と前記軸方向への移動が規制されていることを特徴とするフォイル軸受。
【請求項2】
前記開口部は、前記薄板部材を前記回転軸の径方向に貫通する貫通孔であり、
前記軸受ハウジングには、前記径方向に前記貫通孔に重なる重合溝が形成されており、
前記バンプフォイルは、前記バンプフォイルの一部が前記貫通孔を貫通し、前記重合溝に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向と前記軸方向への移動が規制されている請求項1に記載のフォイル軸受。
【請求項3】
前記薄板部材は、前記貫通孔を区画し、前記軸受ハウジングに向けて突出する突出部を有し、
前記薄板部材は、前記突出部が前記重合溝に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向への移動が規制されている請求項2に記載のフォイル軸受。
【請求項4】
前記バンプフォイルは、前記トップフォイルに当接する山部と、前記薄板部材に当接する谷部とを有し、前記山部と前記谷部とは、前記周方向において交互に並んでおり、
前記薄板部材は、前記回転軸の径方向に貫通し、前記軸方向に冷媒が流れる複数の冷媒流路を有し、
前記山部と前記冷媒流路とは、前記径方向に並んでおり、前記谷部と前記冷媒流路とは、前記周方向に並んでいる請求項1~3の何れか一項に記載のフォイル軸受。
【請求項5】
前記周方向における隣り合う前記冷媒流路に挟まれる前記薄板部材の幅は、前記周方向における前記谷部の幅よりも広い請求項4に記載のフォイル軸受。
【請求項6】
前記薄板部材は、前記軸方向において前記冷媒流路の両端で、前記冷媒流路を跨ぐ接続部を有している請求項4に記載のフォイル軸受。
【請求項7】
前記軸方向における前記冷媒流路の寸法は、前記軸方向における前記バンプフォイルの寸法よりも短く、
前記軸方向における前記山部の両端は、前記接続部と前記径方向に並んでいる請求項6に記載のフォイル軸受。
【請求項8】
前記軸方向における前記冷媒流路の寸法は、前記軸方向における前記バンプフォイルの寸法よりも長く、
前記軸方向における前記山部の全体が前記冷媒流路と前記径方向に並んでいる請求項4に記載のフォイル軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォイル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のフォイル軸受は、筒状の軸受ハウジングと、トップフォイルと、複数のバンプフォイルと、薄板部材とを備えている。軸受ハウジングには回転軸が挿通される。トップフォイルは、回転軸と軸受ハウジングとの間に設けられている。トップフォイルは、回転軸に対して回転軸の周方向に延在する軸受面を構成している。バンプフォイルは、トップフォイルの外周側に設けられている。バンプフォイルは、伸長することでトップフォイルを弾性的に支持する。薄板部材は、軸受ハウジングとバンプフォイルとの間に設けられている。薄板部材は、回転軸の周方向に延在している。軸受ハウジングには、トップフォイルの一部と薄板部材の一部とが挿入される規制溝が形成されている。トップフォイルの一部と薄板部材の一部とが規制溝に挿入されることによって、トップフォイルと薄板部材との回転軸の周方向への移動が規制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-21137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように複数のバンプフォイルを有するフォイル軸受では、各バンプフォイルが軸受ハウジングに対して回転軸の軸方向に移動することによって軸受ハウジングから抜け落ちることを規制する必要がある。
【0005】
例えば、回転軸の周方向に複数の規制部材を配置することによって、複数のバンプフォイルの移動を個別に規制することが考えられる。しかしながら、この場合には複数の規制部材が必要になるため、フォイル軸受の部品点数が増加する。
【0006】
例えば、サークリップなどの環状の規制部材によって、複数のバンプフォイルの移動をまとめて規制することが考えられる。この場合、フォイル軸受の部品点数の増加を回避できる。しかしながら、軸受ハウジングに環状の規制部材を嵌め込むための溝を形成する必要があるため、軸受ハウジングは回転軸の径方向に大型化する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するためのフォイル軸受は、回転軸が挿通される筒状の軸受ハウジングと、前記回転軸と前記軸受ハウジングとの間に設けられ、前記回転軸に対して前記回転軸の周方向に延在する軸受面を構成するトップフォイルと、前記トップフォイルの外周側に設けられ、伸長することで前記トップフォイルを弾性的に支持する複数のバンプフォイルと、前記バンプフォイルと前記軸受ハウジングとの間に設けられ、前記周方向に延在する薄板部材と、を有し、前記軸受ハウジングには、前記トップフォイルの一部と前記薄板部材の一部とが挿入され、前記トップフォイルと前記薄板部材との前記周方向への移動を規制する規制溝が形成されているフォイル軸受であって、前記規制溝には、前記トップフォイルと前記薄板部材との前記回転軸の軸方向への移動を規制する規制部材が設けられ、前記薄板部材は、内周面に開口する開口部を有し、前記バンプフォイルは、前記バンプフォイルの一部が前記開口部に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向と前記軸方向への移動が規制されていることを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、薄板部材は、内周面に開口する開口部を有している。バンプフォイルは、バンプフォイルの一部が開口部に挿入係合されることによって、軸受ハウジングに対する回転軸の軸方向への移動が規制されている。これにより、バンプフォイルが軸受ハウジングから抜け落ちることが規制される。この場合、軸受ハウジングの周方向に複数の規制部材を配置したり、円環状の規制部材を嵌め込むための溝を軸受ハウジングに形成したりする必要がない。したがって、フォイル軸受の部品点数を増加させたり軸受ハウジングを大型化させたりすることなく、バンプフォイルが軸受ハウジングから抜け落ちることを規制できる。
【0009】
上記フォイル軸受において、前記開口部は、前記薄板部材を前記回転軸の径方向に貫通する貫通孔であり、前記軸受ハウジングには、前記径方向に前記貫通孔に重なる重合溝が形成されており、前記バンプフォイルは、前記バンプフォイルの一部が前記貫通孔を貫通し、前記重合溝に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向と前記軸方向への移動が規制されていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、例えば、開口部が薄板部材の内周面から凹む凹部である場合と比較して、バンプフォイルの一部が開口部から抜けにくくなる。
上記フォイル軸受において、前記薄板部材は、前記貫通孔を区画し、前記軸受ハウジングに向けて突出する突出部を有し、前記薄板部材は、前記突出部が前記重合溝に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向への移動が規制されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、薄板部材は、突出部が重合溝に挿入係合されることによっても、軸受ハウジングに対する回転軸の周方向への移動が規制されている。したがって、薄板部材が軸受ハウジングに対して回転軸の周方向へ移動することをより規制できる。
【0012】
上記フォイル軸受において、前記バンプフォイルは、前記トップフォイルに当接する山部と、前記薄板部材に当接する谷部とを有し、前記山部と前記谷部とは、前記周方向において交互に並んでおり、前記薄板部材は、前記回転軸の径方向に貫通し、前記軸方向に冷媒が流れる複数の冷媒流路を有し、前記山部と前記冷媒流路とは、前記径方向に並んでおり、前記谷部と前記冷媒流路とは、前記周方向に並んでいてもよい。
【0013】
フォイル軸受は、バンプフォイルの山部と軸受ハウジングとの間の隙間を流れる冷媒によって冷却される。上記構成によれば、バンプフォイルの山部と薄板部材の冷媒流路とは、回転軸の径方向に並んでいる。したがって、山部と冷媒流路とが回転軸の径方向に並ぶ部分では、山部と軸受ハウジングとの間には薄板部材が配置されないため、薄板部材の厚さの分だけ、冷媒が流れる隙間が広くなる。つまり、冷媒流路によって、冷媒が流れる隙間が広くなる。その結果、フォイル軸受の冷却効果が増大する。
【0014】
なお、薄板部材に冷媒流路を設ける代わりに軸受ハウジングの内周面を凹ませることによっても冷媒が流れる隙間を広げることが可能であるが、軸受ハウジングを加工するよりも薄板部材を加工する方が製造コストを削減できる。
【0015】
上述したように、突出部が重合溝に挿入係合されることによって薄板部材の周方向への移動が規制されている場合には、周方向におけるバンプフォイルと薄板部材との位置関係がよりずれにくい。したがって、山部と冷媒流路とが回転軸の径方向に並ぶことによって冷媒が流れる隙間が広くなる状態が維持されやすい。
【0016】
上記フォイル軸受において、前記周方向における隣り合う前記冷媒流路に挟まれる前記薄板部材の幅は、前記周方向における前記谷部の幅よりも広くてもよい。
上記構成によれば、谷部と軸受ハウジングとの間には、薄板部材が介在する。このため、バンプフォイルが回転軸の周方向に移動しても、谷部が軸受ハウジングに接触しにくくなる。したがって、バンプフォイルが軸受ハウジングに対して摺動することによる軸受ハウジングの摩耗を抑制できる。
【0017】
上記フォイル軸受において、前記薄板部材は、前記軸方向において前記冷媒流路の両端で、前記冷媒流路を跨ぐ接続部を有していてもよい。
上記構成によれば、冷媒流路は、回転軸の軸方向における薄板部材の両端において開口していない。したがって、例えば、冷媒流路が回転軸の軸方向における薄板部材の一端において開口するスリットである場合と比較して、薄板部材の耐久性が向上する。また、薄板部材が変形しにくいため、フォイル軸受の組み付け時の薄板部材の取り扱いが容易になる。
【0018】
上記フォイル軸受において、前記軸方向における前記冷媒流路の寸法は、前記軸方向における前記バンプフォイルの寸法よりも短く、前記軸方向における前記山部の両端は、前記接続部と前記径方向に並んでいてもよい。
【0019】
上記構成によれば、回転軸の軸方向における冷媒流路の両側では、山部と軸受ハウジングとの間には接続部が配置されている。このため、冷媒が流れる隙間は、回転軸の軸方向における冷媒流路の両側で狭くなっている。これにより、隙間を流れる冷媒の流れが回転軸の軸方向における冷媒流路の両側で変化することによって、フォイル軸受の冷却効果をさらに増大させることができる。
【0020】
上記フォイル軸受において、前記軸方向における前記冷媒流路の寸法は、前記軸方向における前記バンプフォイルの寸法よりも長く、前記軸方向における前記山部の全体が前記冷媒流路と前記径方向に並んでいてもよい。
【0021】
例えば、回転軸の軸方向における山部の一部が薄板部材と回転軸の径方向に並んでいる場合、山部と薄板部材とが並んでいる部分では冷媒が流れる隙間が狭くなる。これに対し、上記構成では、回転軸の軸方向における山部の全体が冷媒流路と回転軸の径方向に並んでいるため、冷媒が流れる隙間には狭くなる部分が生じない。したがって、冷媒は隙間を流れやすくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、部品点数を増加させたり軸受ハウジングを大型化させたりすることなく、バンプフォイルが軸受ハウジングから抜け落ちることを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】遠心圧縮機を示す断面図である。
図2】第1実施形態におけるフォイル軸受を示す分解斜視図である。
図3】第1実施形態におけるフォイル軸受を示す断面図である。
図4】第1実施形態における薄板部材を示す展開図である。
図5】第1実施形態におけるフォイル軸受を示す図3の5-5線に沿う断面図である。
図6】第1実施形態におけるフォイル軸受を示す図3の6-6線に沿う断面図である。
図7】第2実施形態における薄板部材を示す展開図である。
図8】第2実施形態におけるフォイル軸受を示す断面図である。
図9】第2実施形態におけるフォイル軸受を示す図8の9-9線に沿う断面図である。
図10】変更例における薄板部材を示す部分斜視図である。
図11】変更例におけるフォイル軸受を示す部分断面図である。
図12】変更例における薄板部材を示す展開図である。
図13】変更例におけるフォイル軸受を示す断面図である。
図14】変更例における薄板部材を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、フォイル軸受を具体化した第1実施形態を図1図6にしたがって説明する。本実施形態のフォイル軸受は、遠心圧縮機に適用される。
【0025】
<遠心圧縮機の構成>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、ハウジング12と、モータ13と、回転軸14と、インペラ15と、タービンホイール16と、2つのフォイル軸受17とを備えている。
【0026】
ハウジング12は、モータ13、回転軸14、インペラ15、及びタービンホイール16を収容している。ハウジング12は、金属製である。本実施形態のハウジング12は、アルミニウム製である。
【0027】
本実施形態のハウジング12は、筒状のモータハウジング21と、筒状のコンプレッサハウジング22、筒状のタービンハウジング23と、円環状の第1プレート24と、円環状の第2プレート25とを有している。モータハウジング21は、コンプレッサハウジング22とタービンハウジング23との間に配置されている。第1プレート24は、モータハウジング21とコンプレッサハウジング22との間に配置されている。第1プレート24は、内周縁からモータハウジング21側に突出する筒状の第1ボス26を有している。第2プレート25は、モータハウジング21とタービンハウジング23との間に配置されている。第2プレート25は、内周縁からモータハウジング21側に突出する筒状の第2ボス27を有している。
【0028】
モータ13は、モータハウジング21の内側に収容されている。モータ13は、ステータ31と、ロータ32とを有している。
ステータ31は、ステータコア33とコイル34とを有している。ステータコア33は、円筒形状である。ステータコア33の外周面は、モータハウジング21の内周面に固定されている。コイル34は、ステータコア33に巻回されている。コイル34は、ステータコア33の軸方向の両端面から突出する一対のコイルエンド34aを有している。本実施形態では、一方のコイルエンド34aは第1ボス26を取り囲んでいるとともに、他方のコイルエンド34aは第2ボス27を取り囲んでいる。言い換えると、第1ボス26及び第2ボス27はそれぞれ、コイルエンド34aの内側に位置している。
【0029】
ロータ32は、ステータ31の内側に配置されている。本実施形態のロータ32は、筒部材35と、磁性体である永久磁石36とを有している。筒部材35は、円筒状である。筒部材35は、例えば、チタン合金製である。永久磁石36は、円柱状である。永久磁石36の軸方向の寸法は、筒部材35の軸方向の寸法よりも短い。永久磁石36は、筒部材35の内側に配置されている。永久磁石36の軸方向は、筒部材35の軸方向と一致している。筒部材35は、永久磁石36の軸方向の両端面よりも軸方向の両側に突出している。コイル34に電力が供給されることによりステータ31に回転磁界が生じると、ロータ32は回転する。
【0030】
回転軸14は、第1軸部材14a及び第2軸部材14bを有している。第1軸部材14a及び第2軸部材14bは、例えば、鉄製である。第1軸部材14aは、筒部材35の軸方向の一端部に挿入されるとともに、第2軸部材14bは、筒部材35の軸方向の他端部に挿入されている。第1軸部材14a及び第2軸部材14bは、筒部材35の軸方向において永久磁石36を挟んだ両側に設けられている。回転軸14は、ロータ32に固定されている。回転軸14は、ロータ32と一体的に回転する。
【0031】
第1軸部材14aは、第1ボス26に挿通されるとともに第1プレート24を貫通している。第1軸部材14aは、コンプレッサハウジング22の内側に突出している。インペラ15は、コンプレッサハウジング22の内側において第1軸部材14aに連結されている。インペラ15は、コンプレッサハウジング22の内側に収容されている。回転軸14が回転すると、インペラ15は回転軸14と一体的に回転する。インペラ15が回転することによって、ハウジング12の外部からコンプレッサハウジング22の内側に空気が吸入される。コンプレッサハウジング22の内側に吸入された空気は、インペラ15の回転に伴って圧縮される。圧縮された空気は、例えば、図示しない燃料電池スタックに供給される。
【0032】
第2軸部材14bは、第2ボス27に挿通されるとともに第2プレート25を貫通している。第2軸部材14bは、タービンハウジング23の内側に突出している。タービンホイール16は、タービンハウジング23の内側において第2軸部材14bに連結されている。タービンホイール16は、タービンハウジング23の内側に収容されている。回転軸14が回転すると、タービンホイール16は回転軸14と一体的に回転する。また、燃料電池スタックの排気は、タービンハウジング23の内側に導入される。タービンホイール16は、タービンハウジング23の内側に導入された排気によっても回転する。
【0033】
2つのフォイル軸受17は、回転軸14をラジアル方向に支持している。ラジアル方向とは、回転軸14の軸方向と直交する方向である。2つのフォイル軸受17のうち、一方のフォイル軸受17は、第1軸部材14aを回転可能に支持するとともに、他方のフォイル軸受17は、第2軸部材14bを回転可能に支持している。
【0034】
本実施形態では、第1軸部材14aを支持するフォイル軸受17の一部は、第1ボス26によって構成されている。第2軸部材14bを支持するフォイル軸受17の一部は、第2ボス27によって構成されている。上述したように、第1ボス26及び第2ボス27はそれぞれ、コイルエンド34aの内側に配置されている。したがって、フォイル軸受17は、コイルエンド34aの内側に配置されている。
【0035】
<フォイル軸受>
フォイル軸受17について詳述する。
図2及び図3に示すように、フォイル軸受17は、筒状の軸受ハウジング40と、トップフォイル50と、複数のバンプフォイル60と、薄板部材70と、規制部材80とを備えている。本実施形態では、フォイル軸受17は、3つのバンプフォイル60を備えている。
【0036】
軸受ハウジング40の内周面40aは、円筒面である。回転軸14は、軸受ハウジング40に挿通されている。軸受ハウジング40の軸方向は、回転軸14の軸方向と一致している。本実施形態では、軸受ハウジング40は第1ボス26又は第2ボス27である。したがって、本実施形態の軸受ハウジング40は、アルミニウム製である。
【0037】
軸受ハウジング40は、4つの溝41を有している。各溝41は、軸受ハウジング40の内周面40aから凹んでいる。4つの溝41は、軸受ハウジング40の周方向において間隔を空けて配置されている。各溝41は、軸受ハウジング40の軸方向に延びている。本実施形態では、各溝41は、軸受ハウジング40の軸方向の一端面であるボス26,27の先端面26a,27aにおいて開口している。
【0038】
以下では、4つの溝41を区別する必要がある場合には、第1溝41a、第2溝41b、第3溝41c、第4溝41dとする。第1溝41a、第2溝41b、第3溝41c、及び第4溝41dは、軸受ハウジング40の周方向においてこの順に並んでいる。軸受ハウジング40の周方向における第1溝41aの幅は、第2溝41b、第3溝41c、及び第4溝41dの各々の幅よりも大きい。軸受ハウジング40の周方向における第1溝41aと第2溝41bとの間隔、第2溝41bと第3溝41cとの間隔、及び第3溝41cと第4溝41dとの間隔はそれぞれ、第4溝41dと第1溝41aとの間隔よりも広い。
【0039】
トップフォイル50は、フォイル筒部51と、自由端52と、固定端53とを有している。フォイル筒部51は、周方向の一部が途切れた円筒形状をなしている。自由端52は、フォイル筒部51の周方向の第1端部からフォイル筒部51の径方向外側に向けて突出している。固定端53は、フォイル筒部51の周方向の第2端部からフォイル筒部51の径方向外側に向けて突出している。自由端52及び固定端53は、トップフォイル50の一部である。
【0040】
トップフォイル50は、可撓性を有する帯状の金属板材を湾曲させることによって形成されている。トップフォイル50を形成する金属板材は、例えば、SUS301やSUS304などのステンレス鋼からなる板材である。フォイル筒部51は、帯状の金属板材の一部を筒状に湾曲させることによって形成されている。本実施形態では、トップフォイル50を形成する金属板材の長手方向は、フォイル筒部51の周方向と一致している。トップフォイル50を形成する金属板材の短手方向は、フォイル筒部51の軸方向と一致している。自由端52及び固定端53は、金属板材の長手方向の両端部をフォイル筒部51の径方向外側に向けて折り曲げることによって形成されている。
【0041】
図3に示すように、トップフォイル50は、回転軸14と軸受ハウジング40との間に設けられている。フォイル筒部51の軸方向は、回転軸14の軸方向と一致している。フォイル筒部51の内周面51aは、回転軸14の外周面と対向している。フォイル筒部51の内周面51aは、回転軸14に対して回転軸14の周方向に延在する軸受面である。自由端52及び固定端53は、フォイル筒部51の周方向の両端部から軸受ハウジング40に向かって突出している。自由端52は、第1溝41aに挿入されている。固定端53は、第4溝41dに挿入されている。トップフォイル50は、自由端52が第1溝41aに挿入されるとともに、固定端53が第4溝41dに挿入されることによって、軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向への移動が規制されている。
【0042】
3つのバンプフォイル60はそれぞれ、トップフォイル50の外周側に設けられている。3つのバンプフォイル60はそれぞれ、伸長することでトップフォイル50を弾性的に支持する。3つのバンプフォイル60は、回転軸14の周方向において間隔を空けて並んでいる。以下、3つのバンプフォイル60を区別する必要がある場合には、第1バンプフォイル60a、第2バンプフォイル60b、第3バンプフォイル60cとする。
【0043】
図2及び図3に示すように、バンプフォイル60は、本体部61と係止部62とを有している。
本体部61は、波型である。本体部61は、複数の山部61aと複数の谷部61bとを有している。山部61aと谷部61bとは、回転軸14の周方向において交互に並んでいる。山部61aは、トップフォイル50のフォイル筒部51の外周面に当接している。本体部61は、山部61aが回転軸14の周方向に伸長するように弾性変形することによって、トップフォイル50を弾性的に支持可能である。谷部61bは、薄板部材70の内周面71aに当接している。
【0044】
係止部62は、回転軸14の周方向における本体部61の一端部から軸受ハウジング40に向けて突出している。詳しくは、第1バンプフォイル60aの係止部62は、回転軸14の周方向における本体部61の両端部のうち、第2バンプフォイル60bに近い方の端部から軸受ハウジング40に向けて突出している。第2バンプフォイル60bの係止部62は、回転軸14の周方向における本体部61の両端部のうち、第3バンプフォイル60cに近い方の端部から軸受ハウジング40に向けて突出している。第3バンプフォイル60cの係止部62は、回転軸14の周方向における本体部61の両端部のうち、第1バンプフォイル60aに近い方の端部から軸受ハウジング40に向けて突出している。
【0045】
第1バンプフォイル60a及び第2バンプフォイル60bでは、回転軸14の軸方向における係止部62の寸法は、回転軸14の軸方向における本体部61の寸法よりも短い。第3バンプフォイル60cでは、回転軸14の軸方向における係止部62の寸法は、回転軸14の軸方向における本体部61の寸法と同じである。
【0046】
バンプフォイル60は、可撓性を有する帯状の金属板材を湾曲させることにより形成されている。バンプフォイル60を形成する金属板材は、SUS301やSUS304などのステンレス鋼からなる板材である。したがって、本実施形態のバンプフォイル60の硬度は、トップフォイル50の硬度と同等である。また、バンプフォイル60の硬度は、軸受ハウジング40の硬度よりも高い。
【0047】
本体部61は、帯状の金属板材の一部を波型に成形することによって形成されている。本実施形態では、バンプフォイル60を形成する金属板材の長手方向は、軸受ハウジング40の周方向と一致している。バンプフォイル60を形成する金属板材の短手方向は、軸受ハウジング40の軸方向と一致している。係止部62は、軸受ハウジング40の周方向における金属板材の一端部を径方向外側に折り曲げることによって形成されている。
【0048】
図3に示すように、第1バンプフォイル60aの係止部62は、第2溝41bに挿入されている。第2バンプフォイル60bの係止部62は、第3溝41cに挿入されている。第3バンプフォイル60cの係止部62は、トップフォイル50の固定端53とともに第4溝41dに挿入されている。
【0049】
図2及び図3に示すように、薄板部材70は、筒部71と、第1突出部72と、第2突出部73とを有している。筒部71は、周方向の一部が途切れた円筒形状をなしている。本実施形態では、筒部71の軸方向の寸法は、回転軸14の軸方向におけるバンプフォイル60の本体部61の寸法とほぼ同じである。第1突出部72は、筒部71の周方向の第1端部から筒部71の径方向外側に向けて突出している。第2突出部73は、筒部71の周方向の第2端部から筒部71の径方向外側に向けて突出している。第1突出部72及び第2突出部73は、薄板部材70の一部である。
【0050】
薄板部材70は、可撓性を有する帯状の金属板材を湾曲させることにより形成されている。薄板部材70を形成する金属板材は、SUS301やSUS304などのステンレス鋼からなる板材である。したがって、本実施形態の薄板部材70の硬度は、バンプフォイル60の硬度と同等である。
【0051】
筒部71は、帯状の金属板材の一部を筒状に湾曲させることによって形成されている。本実施形態では、薄板部材70を形成する金属板材の長手方向は、筒部71の周方向と一致している。薄板部材70を形成する金属板材の短手方向は、筒部71の軸方向と一致している。第1突出部72及び第2突出部73は、金属板材の長手方向の両端部を筒部71の径方向外側に向けて折り曲げることによって形成されている。
【0052】
図3に示すように、薄板部材70は、軸受ハウジング40とバンプフォイル60との間に配置されている。筒部71の軸方向は、回転軸14の軸方向と一致している。筒部71は、回転軸14の周方向に延在している。したがって、薄板部材70は、回転軸14の周方向に延在している。薄板部材70の外周面は、軸受ハウジング40の内周面40aに当接している。薄板部材70の内周面71aは、バンプフォイル60の谷部61bに当接する一方、バンプフォイル60の山部61aからは離れている。したがって、バンプフォイル60の山部61aと軸受ハウジング40との間には、隙間Sが形成されている。本実施形態では、隙間Sは、バンプフォイル60の山部61aと薄板部材70の内周面71aとの間に形成されている。フォイル軸受17は、この隙間Sを流れる冷媒によって冷却される。
【0053】
第1突出部72及び第2突出部73は、筒部71の周方向の両端部から軸受ハウジング40に向かって突出している。第1突出部72は、トップフォイル50の自由端52とともに第1溝41aに挿入されている。第2突出部73は、トップフォイル50の固定端53及び第3バンプフォイル60cの係止部62とともに第4溝41dに挿入されている。薄板部材70は、第1突出部72が第1溝41aに挿入されるとともに、第2突出部73が第4溝41dに挿入されることによって、軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向への移動が規制されている。第1溝41a及び第4溝41dは、トップフォイル50と薄板部材70との回転軸14の周方向への移動を規制する規制溝である。第3バンプフォイル60cの係止部62は、軸受ハウジング40の周方向においてトップフォイル50の固定端53と薄板部材70の第2突出部73との間に位置している。
【0054】
図2及び図3に示すように、薄板部材70は、薄板部材70の内周面71aに開口する開口部としての貫通孔74を有している。本実施形態では、薄板部材70は、2つの貫通孔74を有している。2つの貫通孔74は、筒部71の周方向において間隔を空けて配置されている。2つの貫通孔74を区別する必要がある場合には、一方の貫通孔74を第1貫通孔74aといい、他方の貫通孔74を第2貫通孔74bという。
【0055】
本実施形態の各貫通孔74は、筒部71を板厚方向に貫通している。すなわち、各貫通孔74は、筒部71を回転軸14の径方向に貫通している。各貫通孔74は、回転軸14の軸方向に延びている。回転軸14の軸方向における貫通孔74の寸法は、回転軸14の軸方向におけるバンプフォイル60a,60bの係止部62の寸法よりも大きく設定されている。
【0056】
図4は、薄板部材70の展開図である。なお、図4では、第1突出部72及び第2突出部73を形成する際の折り曲げ位置を破線で示している。したがって、薄板部材70において一対の破線の内側に位置する部分は、筒部71となる部分である。薄板部材70において一対の破線の外側に位置する部分は、第1突出部72及び第2突出部73となる部分である。
【0057】
図4に示すように、薄板部材70は、一対の第1対向面741と一対の第2対向面742とを有している。一対の第1対向面741及び一対の第2対向面742は、貫通孔74を区画する面である。一対の第1対向面741は、回転軸14の軸方向において互いに対向する対向面である。一対の第2対向面742は、回転軸14の周方向において互いに対向している。
【0058】
図3及び図5に示すように、第1バンプフォイル60aの係止部62は、第1貫通孔74aに挿入係合されている。本実施形態では、第1貫通孔74aは、軸受ハウジング40の第2溝41bと回転軸14の径方向に重なっている。第2溝41bは、回転軸14の径方向において第1貫通孔74aと重なる重合溝である。本実施形態の第1バンプフォイル60aの一部は、第1貫通孔74aを貫通した後、第2溝41bに挿入係合されている。第1バンプフォイル60aの係止部62は、回転軸14の軸方向において第1貫通孔74aを区画する一対の第1対向面741の間に位置している。第1バンプフォイル60aの係止部62は、回転軸14の周方向において第1貫通孔74aを区画する一対の第2対向面742の間に位置している。
【0059】
第2バンプフォイル60bの係止部62は、第2貫通孔74bに挿入係合されている。本実施形態では、第2貫通孔74bは、軸受ハウジング40の第3溝41cと回転軸14の径方向に重なっている。第3溝41cは、回転軸14の径方向において第2貫通孔74bと重なる重合溝である。本実施形態の第2バンプフォイル60bの一部は、第2貫通孔74bを貫通した後、第3溝41cに挿入係合されている。第2バンプフォイル60bの係止部62は、回転軸14の軸方向において第2貫通孔74bを区画する一対の第1対向面741の間に位置している。第2バンプフォイル60bの係止部62は、軸受ハウジング40の周方向において第2貫通孔74bを区画する一対の第2対向面742の間に位置している。
【0060】
図6に示すように、第1溝41a及び第4溝41dには、トップフォイル50と薄板部材70との回転軸14の周方向への移動を規制する規制部材80が設けられている。本実施形態では、規制部材80は、軸受ハウジング40の軸方向の一端面であるボス26,27の先端面26a,27aに設けられている。規制部材80は、図示しないボルトによってボス26,27に固定されている。規制部材80は、ボス26,27の先端面26a,27aに開口する第1溝41a及び第4溝41dの開口部を覆うように配置されることによって、第1溝41a及び第4溝41dに設けられている。
【0061】
トップフォイル50の自由端52及び薄板部材70の第1突出部72は、軸受ハウジング40の軸方向において第1溝41aを区画する面と規制部材80との間に位置している。トップフォイル50の固定端53、第3バンプフォイル60cの係止部62、及び薄板部材70の第2突出部73は、軸受ハウジング40の軸方向において第4溝41dを区画する面と規制部材80との間に位置している。
【0062】
このため、トップフォイル50が回転軸14の軸方向に移動しようとすると、自由端52は、第1溝41aを区画する面又は規制部材80に接触する。固定端53は、第4溝41dを区画する面又は規制部材80に接触する。これにより、トップフォイル50が軸受ハウジング40に対して回転軸14の軸方向に移動することが規制される。したがって、トップフォイル50が軸受ハウジング40から抜け落ちることが規制される。
【0063】
また、薄板部材70が回転軸14の軸方向に移動しようとすると、第1突出部72は、第1溝41aを区画する面又は規制部材80に接触する。第2突出部73は、第4溝41dを区画する面又は規制部材80に接触する。これにより、薄板部材70が軸受ハウジング40に対して回転軸14の軸方向に移動することが規制される。したがって、薄板部材70が軸受ハウジング40から抜け落ちることが規制される。このように規制部材80は、軸受ハウジング40に対するトップフォイル50及び薄板部材70の回転軸14の軸方向への移動を規制する。
【0064】
さらに、第3バンプフォイル60cが回転軸14の軸方向に移動しようとすると、係止部62は第4溝41dを区画する面又は規制部材80に接触する。これにより、第3バンプフォイル60cが軸受ハウジング40に対して回転軸14の軸方向に移動することが規制される。したがって、第3バンプフォイル60cが軸受ハウジング40から抜け落ちることが規制される。本実施形態の規制部材80は、軸受ハウジング40に対する第3バンプフォイル60cの回転軸14の軸方向への移動も規制する。
【0065】
遠心圧縮機10が駆動すると、回転軸14が回転する。回転軸14が回転する方向を回転方向Rとする。回転軸14が回転すると、回転軸14の外周面とフォイル筒部51の内周面51aとの間に空気が引き込まれる。当該空気は、回転軸14とフォイル筒部51との間を回転軸14の回転方向Rに流れる。トップフォイル50の固定端53は、回転軸14とフォイル筒部51との間を流れる空気の流れにより、第4溝41dを区画する面のうち、回転軸14の回転方向Rに先行した面、すなわち第1溝41aに近い面に押し付けられる。これにより、固定端53は、回転軸14の回転時において、第4溝41dの内部で回転方向Rに移動することが規制される。
【0066】
そして、回転軸14の回転数が所定の回転数に到達すると、回転軸14とフォイル筒部51との間に引き込まれた空気により流体膜17aが形成される。回転軸14は、流体膜17aの動圧によってトップフォイル50に対して浮上する。回転軸14は、流体膜17aによってトップフォイル50と接触しない状態でラジアル方向に支持される。
【0067】
流体膜17aが形成されると、トップフォイル50は、フォイル筒部51が回転軸14の径方向外側に向けて膨らむように弾性変形する。このとき、トップフォイル50の自由端52は、第1溝41aの内部を回転方向Rに移動する。軸受ハウジング40の周方向における第1溝41aの幅は、フォイル筒部51が弾性変形しても自由端52が第1溝41aを区画する面に接触しない程度の幅に設定されている。これにより、自由端52は、フォイル筒部51が弾性変形したとき、第1溝41aの内部での回転方向Rへの移動が規制されない。よって、フォイル筒部51の弾性変形が許容されている。
【0068】
フォイル筒部51が弾性変形すると、フォイル筒部51からバンプフォイル60の各山部61aに荷重が入力される。各山部61aは、フォイル筒部51から入力される荷重によって、回転軸14の周方向に伸長するように弾性変形する。これにより、トップフォイル50は、バンプフォイル60の本体部61によって弾性的に支持される。各山部61aが弾性変形する際、谷部61bは薄板部材70の内周面71aに対して摺動する。
【0069】
[第1実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
薄板部材70は、薄板部材70の内周面71aに開口する第1貫通孔74aを有している。第1バンプフォイル60aの係止部62は、第1貫通孔74aに挿入係合されている。第1バンプフォイル60aは、第1バンプフォイル60aの一部が第1貫通孔74aに挿入係合されることにより、軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向と軸方向への移動が規制されている。
【0070】
詳しくは、第1バンプフォイル60aが回転軸14の軸方向に移動しようとすると、係止部62は、第1貫通孔74aを区画する第1対向面741に接触する。これにより、第1バンプフォイル60aが軸受ハウジング40に対して回転軸14の軸方向に移動することが規制される。よって、第1バンプフォイル60aが軸受ハウジング40から抜け落ちることが規制される。また、第1バンプフォイル60aが回転軸14の周方向に移動しようとすると、係止部62は、第1貫通孔74aを区画する第2対向面742に接触する。これにより、第1バンプフォイル60aが軸受ハウジング40に対して回転軸14の周方向に移動することが規制される。
【0071】
薄板部材70は、薄板部材70の内周面71aに開口する第2貫通孔74bを有している。第2バンプフォイル60bの係止部62は、第2貫通孔74bに挿入係合されている。第2バンプフォイル60bは、第2バンプフォイル60bの一部が第2貫通孔74bに挿入係合されることにより、軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向と軸方向への移動が規制されている。
【0072】
詳しくは、第2バンプフォイル60bが回転軸14の軸方向に移動しようとすると、係止部62は、第2貫通孔74bを区画する第1対向面741に接触する。これにより、第2バンプフォイル60bが軸受ハウジング40に対して回転軸14の軸方向に移動することが規制される。よって、第2バンプフォイル60bが軸受ハウジング40から抜け落ちることが規制される。また、第2バンプフォイル60bが回転軸14の周方向に移動しようとすると、係止部62は、第2貫通孔74bを区画する第2対向面742に接触する。これにより、第2バンプフォイル60bが軸受ハウジング40に対して回転軸14の周方向に移動することが規制される。
【0073】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)軸受ハウジング40には、トップフォイル50の一部と薄板部材70の一部とが挿入されることによって、トップフォイル50と薄板部材70との回転軸14の周方向への移動を規制する第1溝41a及び第4溝41dが形成されている。第1溝41a及び第4溝41dには、トップフォイル50と薄板部材70との回転軸14の軸方向への移動を規制する規制部材80が設けられている。
【0074】
薄板部材70は、薄板部材70の内周面71aに開口する貫通孔74を有している。バンプフォイル60は、バンプフォイル60の一部が貫通孔74に挿入係合されることによって、軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向と軸方向への移動が規制されている。したがって、バンプフォイル60が軸受ハウジング40に対して回転軸14の軸方向に移動することにより軸受ハウジング40から抜け落ちることが規制される。この場合、軸受ハウジング40の周方向に複数の規制部材を配置したり、円環状の規制部材を嵌め込むための溝を軸受ハウジング40に形成したりする必要がない。したがって、フォイル軸受17の部品点数を増加させたり軸受ハウジング40を大型化させたりすることなく、バンプフォイル60が軸受ハウジング40から抜け落ちることを規制できる。
【0075】
(1-2)薄板部材70は、回転軸14の径方向に貫通する第1貫通孔74aを有している。第1貫通孔74aは、薄板部材70の内周面71aに開口する開口部である。軸受ハウジング40には、第1貫通孔74aと回転軸14の径方向に重なる第2溝41bが形成されている。第1バンプフォイル60aは、係止部62が第1貫通孔74aを貫通した後、第2溝41bに挿入係合されることによって軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向と軸方向への移動が規制されている。この場合、例えば、開口部が薄板部材70の内周面71aから凹む凹部である場合と比較して、係止部62が開口部から抜けにくくなる。
【0076】
同様に、薄板部材70は、回転軸14の径方向に貫通する第2貫通孔74bを有している。第2貫通孔74bは、薄板部材70の内周面71aに開口する開口部である。軸受ハウジング40には、第2貫通孔74bと回転軸14の径方向に重なる第3溝41cが形成されている。第2バンプフォイル60bは、係止部62が第2貫通孔74bを貫通した後、第3溝41cに挿入係合されることによって軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向と軸方向への移動が規制されている。この場合、例えば、開口部が薄板部材70の内周面71aから凹む凹部である場合と比較して、係止部62が開口部から抜けにくくなる。
【0077】
(1-3)軸受ハウジング40の硬度は、バンプフォイル60の硬度よりも低い。このため、軸受ハウジング40とバンプフォイル60との間に薄板部材70が配置されていない場合には、バンプフォイル60が軸受ハウジング40に対して摺動することによって、軸受ハウジング40が摩耗する。これに対し、本実施形態では、軸受ハウジング40とバンプフォイル60との間には薄板部材70が配置されている。したがって、バンプフォイル60が軸受ハウジング40に対して摺動することによる軸受ハウジング40の摩耗を抑制できる。なお、薄板部材70の硬度は、バンプフォイル60の硬度と同等である。このため、バンプフォイル60が薄板部材70に対して摺動しても、バンプフォイル60及び薄板部材70は摩耗しにくい。
【0078】
(1-4)軸受ハウジング40と複数のバンプフォイル60との間には、1つの薄板部材70が配置されている。したがって、複数の薄板部材70が軸受ハウジング40とバンプフォイル60との間において回転軸14の周方向に並ぶように配置される場合と比較して、フォイル軸受17の部品点数を削減できる。
【0079】
(1-5)本実施形態では、軸受ハウジング40であるボス26,27は、ステータ31のコイルエンド34aの内側に位置している。このため、ボス26,27が大型化すると、ボス26,27がコイルエンド34aに干渉するおそれがある。また、ボス26,27がコイルエンド34aに干渉しないとしても、例えば、冷却流路等を配置するスペースのために、ボス26,27とコイルエンド34aとの間の隙間は確保しておくのが好ましい。本実施形態では、薄板部材70に貫通孔74を設けることによって、ボス26,27を大型化させることなく、バンプフォイル60が軸受ハウジング40から抜け落ちることを規制できる。したがって、ボス26,27がコイルエンド34aに干渉することを回避できる。また、ボス26,27とコイルエンド34aとの隙間も確保しやすくなる。
【0080】
[第2実施形態]
以下、フォイル軸受を具体化した第2実施形態を図7図9にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0081】
図7及び図8に示すように、薄板部材70は、複数の冷媒流路75を有している。各冷媒流路75は、筒部71を回転軸14の径方向に貫通している。各冷媒流路75は、回転軸14の軸方向に延びている。複数の冷媒流路75は、筒部71の周方向において間隔を空けて配置されている。本実施形態では、冷媒流路75の形状及び大きさは、全ての冷媒流路75で同じである。薄板部材70は、当接部70aを有している。当接部70aは、薄板部材70において回転軸14の周方向に隣り合う冷媒流路75に挟まれる部分である。また、薄板部材70は、接続部70bを有している。接続部70bは、回転軸14の軸方向において冷媒流路75の両端で冷媒流路75を跨ぐ部分である。冷媒流路75は、回転軸14の軸方向における薄板部材70の両端において開口していない。
【0082】
図8及び図9に示すように、薄板部材70の冷媒流路75とバンプフォイル60の山部61aとは、回転軸14の径方向に並んでいる。冷媒流路75と山部61aとが回転軸14の径方向に並ぶ部分では、山部61aと軸受ハウジング40との間に薄板部材70が配置されていないため、薄板部材70の厚さの分だけ、山部61aと軸受ハウジング40との間の隙間Sは広くなっている。つまり、冷媒流路75によって、山部61aと軸受ハウジング40との間の隙間Sは広くなっている。隙間Sに流入した冷媒は、冷媒流路75を回転軸14の軸方向に流れる。
【0083】
図8に示すように、薄板部材70の冷媒流路75とバンプフォイル60の谷部61bとは、回転軸14の周方向に並んでいる。薄板部材70の当接部70aとバンプフォイル60の谷部61bとは、回転軸14の径方向に並んでいる。当接部70aは、谷部61bと当接している。本実施形態では、回転軸14の周方向における当接部70aの幅W70aは、回転軸14の周方向における谷部61bの幅W61bよりも広い。回転軸14の周方向における当接部70aの幅W70aは、回転軸14の周方向における隣り合う冷媒流路75に挟まれる薄板部材70の幅である。したがって、回転軸14の周方向における隣り合う冷媒流路75に挟まれる薄板部材70の幅W70aは、回転軸14の周方向における谷部61bの幅W61bよりも広い。当接部70aは、回転軸14の周方向における谷部61bの全体と当接している。
【0084】
図9に示すように、回転軸14の軸方向における冷媒流路75の寸法L75は、回転軸14の軸方向におけるバンプフォイル60の本体部61の寸法L61よりも短い。回転軸14の軸方向における山部61aの両端は、薄板部材70の接続部70bと回転軸14の径方向に並んでいる。回転軸14の軸方向における隙間Sの両端部は、回転軸14の軸方向において冷媒流路75の両側に位置している。回転軸14の軸方向における隙間Sの両端部では、山部61aと軸受ハウジング40との間には薄板部材70の接続部70bが配置されている。このため、隙間Sは、回転軸14の軸方向における両端部で狭くなっている。
【0085】
[第2実施形態の作用及び効果]
第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)~(1-5)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0086】
(2-1)バンプフォイル60は、トップフォイル50に当接する山部61aと、薄板部材70に当接する谷部61bとを有している。山部61aと谷部61bとは、回転軸14の周方向において交互に並んでいる。フォイル軸受17は、バンプフォイル60の山部61aと軸受ハウジング40との間の隙間Sを流れる冷媒によって冷却される。
【0087】
本実施形態では、薄板部材70は、回転軸14の径方向に貫通する冷媒流路75を有している。隙間Sに流入した冷媒は、冷媒流路75を回転軸14の軸方向に流れる。バンプフォイル60の山部61aと薄板部材70の冷媒流路75とは、回転軸14の径方向に並んでいる。このため、山部61aと冷媒流路75とが回転軸14の径方向に並ぶ部分では、山部61aと軸受ハウジング40との間には薄板部材70が配置されないため、薄板部材70の厚さの分だけ、隙間Sが広くなっている。つまり、冷媒流路75によって、隙間Sが広くなっている。その結果、フォイル軸受17の冷却効果が増大する。
【0088】
なお、薄板部材70に冷媒流路75を設ける代わりに軸受ハウジング40の内周面40aを凹ませることによっても隙間Sを広げることが可能だが、軸受ハウジング40を加工するよりも薄板部材70を加工する方が製造コストを削減できる。
【0089】
(2-2)回転軸14の周方向における隣り合う冷媒流路75に挟まれる薄板部材70の幅W70aは、回転軸14の周方向における谷部61bの幅W61bよりも広い。この構成によれば、谷部61bと軸受ハウジング40との間には、薄板部材70が介在する。このため、バンプフォイル60が回転軸14の周方向に移動しても、谷部61bが軸受ハウジング40に接触しにくくなる。したがって、バンプフォイル60が軸受ハウジング40に対して摺動することによる軸受ハウジング40の摩耗をより抑制できる。
【0090】
(2-3)薄板部材70は、回転軸14の軸方向において冷媒流路75の両端で、冷媒流路75を跨ぐ接続部70bを有している。この構成によれば、冷媒流路75は、回転軸14の軸方向における薄板部材70の両端において開口していない。したがって、例えば、冷媒流路75が回転軸14の軸方向における薄板部材70の一端において開口するスリットである場合と比較して、薄板部材70の耐久性が向上する。また、薄板部材70が変形しにくいため、フォイル軸受17の組み付け時の薄板部材70の取り扱いが容易になる。
【0091】
(2-4)回転軸14の軸方向における冷媒流路75の寸法L75は、回転軸14の軸方向におけるバンプフォイル60の本体部61の寸法L61よりも短い。回転軸14の軸方向における山部61aの両端は、接続部70bと回転軸14の径方向に並んでいる。
【0092】
この構成によれば、回転軸14の軸方向における冷媒流路75の両側では、山部61aと軸受ハウジング40との間には接続部70bが配置されている。このため、隙間Sは、回転軸14の軸方向における冷媒流路75の両側で狭くなっている。これにより、隙間Sを流れる冷媒の流れが回転軸14の軸方向における冷媒流路75の両側で変化することによって、フォイル軸受17の冷却効果をさらに増大させることができる。
【0093】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0094】
○ バンプフォイル60の一部が挿入係合される開口部は、薄板部材70を回転軸14の径方向に貫通する貫通孔74でなくてもよい。開口部は、薄板部材70の内周面71aに開口していれば、薄板部材70の内周面71aから凹む凹部であってもよい。
【0095】
○ 薄板部材70は次のように構成されていてもよい。
図10及び図11に示すように、薄板部材70は、突出部としての第3突出部76を有していてもよい。第3突出部76は、貫通孔74を区画している。第3突出部76は、軸受ハウジング40に向けて突出している。具体的には、第3突出部76は、一対の第2対向面742のうち、一方の第2対向面742を構成している。
【0096】
図11に示すように、第3突出部76は、バンプフォイル60の係止部62が挿入される重合溝としての溝41に挿入係合されている。薄板部材70は、第3突出部76が溝41に挿入係合されることによって軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向への移動が規制されている。
【0097】
この構成によれば、薄板部材70は、規制溝である第1溝41a及び第4溝41dに挿入されることに加えて、第3突出部76が溝41に挿入係合されることによっても、軸受ハウジング40に対する回転軸14の周方向への移動が規制される。したがって、薄板部材70が軸受ハウジング40に対して回転軸14の周方向へ移動することをより規制できる。
【0098】
第2実施形態のように、山部61aと冷媒流路75とが回転軸14の径方向に並ぶとともに谷部61bと冷媒流路75とが回転軸14の周方向に並ぶように、バンプフォイル60と薄板部材70とが配置されている場合、上記構成が特に効果的である。軸受ハウジング40に対する薄板部材70の周方向へ移動がより規制されると、回転軸14の周方向におけるバンプフォイル60と薄板部材70との位置関係がよりずれにくくなる。したがって、山部61aと冷媒流路75とが回転軸14の径方向に並ぶ状態を維持しやすくなるため、冷媒流路75により隙間Sが広くなった状態を維持しやすくなる。
【0099】
なお、第3突出部76は、貫通孔74を区画するのであれば、第1対向面741を構成してもよい。
図12及び図13に示すように、冷媒流路75は、筒部71の軸方向の第1端面71bに開口しているスリットであってもよい。回転軸14の軸方向における冷媒流路75の寸法L75は、回転軸14の軸方向におけるバンプフォイル60の本体部61の寸法L61よりも長い。回転軸14の軸方向における山部61aの全体が冷媒流路75と回転軸14の径方向に並んでいる。
【0100】
例えば、回転軸14の軸方向における山部61aの一部が薄板部材70と回転軸14の径方向に並んでいる場合、山部61aと薄板部材70とが並んでいる部分では、隙間Sが狭くなる。これに対し、上記構成では、回転軸14の軸方向における山部61aの全体が冷媒流路75と回転軸14の径方向に並んでいるため、隙間Sには狭くなる部分が生じない。したがって、冷媒は隙間Sを流れやすくなる。
【0101】
なお、図14に示すように、筒部71の軸方向の第1端面71bに開口するスリットである第1冷媒流路75aと、筒部71の軸方向の第2端面71cに開口するスリットである第2冷媒流路75bとが、混在していてもよい。第1冷媒流路75aと第2冷媒流路75bとは、例えば、筒部71の周方向において交互に配置されている。
【0102】
○ 薄板部材70が複数の冷媒流路75を有する場合、第2実施形態のような孔状の冷媒流路75と、図12図14に示すスリット状の冷媒流路75とが混在していてもよい。
【0103】
○ 第1実施形態の第1バンプフォイル60a及び第2バンプフォイル60bにおいて、回転軸14の軸方向における係止部62の寸法は、回転軸14の軸方向における本体部61の寸法と同じでもよい。この場合、回転軸14の軸方向におけるバンプフォイル60の寸法は、回転軸14の軸方向における貫通孔74の寸法未満に設定される。
【0104】
○ 第2実施形態において、回転軸14の軸方向における冷媒流路75の寸法L75は、回転軸14の軸方向におけるバンプフォイル60の本体部61の寸法L61以上であってもよい。回転軸14の軸方向における山部61aの全体が冷媒流路75と回転軸14の径方向に並んでいてもよい。
【0105】
○ 回転軸14の周方向における冷媒流路75の幅は、適宜変更されてもよい。回転軸14の周方向における冷媒流路75の幅は、例えば、フォイル軸受17の周方向において高温になりやすい部分では広く設定されるとともに、フォイル軸受17の周方向において高温になりにくい部分では狭く設定されていてもよい。
【0106】
○ 冷媒流路75の数は、適宜変更されてもよい。冷媒流路75の数は、例えば、フォイル軸受17の周方向において高温になりやすい部分では多く設定されるとともに、フォイル軸受17の周方向において高温になりにくい部分では少なく設定されていてもよい。
【0107】
○ 軸受ハウジング40は、ボス26,27でなくてもよい。軸受ハウジング40は、ボス26,27とは別体の部材であってもよい。
○ 軸受ハウジング40の各溝41は、軸受ハウジング40の軸方向の両端面において開口していてもよい。この場合、規制部材80は、軸受ハウジング40の軸方向の両端面に設けられる。
【0108】
○ フォイル軸受17が有するバンプフォイル60の数は、3つに限定されない。フォイル軸受17は、2つのバンプフォイル60を有していてもよいし、4つ以上のバンプフォイル60を有していてもよい。
【0109】
○ フォイル軸受17が有する薄板部材70の数は、1つに限定されない。フォイル軸受17は、2つ以上の薄板部材70を有していてもよい。
○ 薄板部材70の硬度は、バンプフォイル60の硬度よりも低くてもよい。この場合、薄板部材70の内周面71aには、バンプフォイル60が薄板部材70に対して摺動した際の薄板部材70の摩耗を抑制するためのコーティングが施される。
【0110】
○ 薄板部材70の材質は、バンプフォイル60の材質と全く同じでなくてもよい。薄板部材70の硬度とバンプフォイル60の硬度とが同程度であれば、バンプフォイル60が薄板部材70に対して摺動した際に、バンプフォイル60及び薄板部材70の双方の摩耗が抑制される。つまり、薄板部材70の硬度とバンプフォイル60の硬度とが同程度になるのであれば、薄板部材70の材質とバンプフォイル60の材質は異なっていてもよい。
【0111】
○ 規制部材80によって、軸受ハウジング40に対するトップフォイル50及び薄板部材70の回転軸14の軸方向への移動を規制可能であれば、軸受ハウジング40に対する規制部材80の固定方法は適宜変更されてもよい。例えば、規制部材80は、第1溝41a内及び第4溝41d内に圧入されることによって、軸受ハウジング40に固定されていてもよい。
【0112】
○ フォイル軸受17の適用先は遠心圧縮機10に限定されない。
[付記]
上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0113】
[1]回転軸が挿通される筒状の軸受ハウジングと、前記回転軸と前記軸受ハウジングとの間に設けられ、前記回転軸に対して前記回転軸の周方向に延在する軸受面を構成するトップフォイルと、前記トップフォイルの外周側に設けられ、伸長することで前記トップフォイルを弾性的に支持する複数のバンプフォイルと、前記バンプフォイルと前記軸受ハウジングとの間に設けられ、前記周方向に延在する薄板部材と、を有し、前記軸受ハウジングには、前記トップフォイルの一部と前記薄板部材の一部とが挿入され、前記トップフォイルと前記薄板部材との前記周方向への移動を規制する規制溝が形成されているフォイル軸受であって、前記規制溝には、前記トップフォイルと前記薄板部材との前記回転軸の軸方向への移動を規制する規制部材が設けられ、前記薄板部材は、内周面に開口する開口部を有し、前記バンプフォイルは、前記バンプフォイルの一部が前記開口部に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向と前記軸方向への移動が規制されていることを特徴とするフォイル軸受。
【0114】
[2]前記開口部は、前記薄板部材を前記回転軸の径方向に貫通する貫通孔であり、前記軸受ハウジングには、前記径方向に前記貫通孔に重なる重合溝が形成されており、前記バンプフォイルは、前記バンプフォイルの一部が前記貫通孔を貫通し、前記重合溝に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向と前記軸方向への移動が規制されている[1]に記載のフォイル軸受。
【0115】
[3]前記薄板部材は、前記貫通孔を区画し、前記軸受ハウジングに向けて突出する突出部を有し、前記薄板部材は、前記突出部が前記重合溝に挿入係合されることによって前記軸受ハウジングに対する前記周方向への移動が規制されている[2]に記載のフォイル軸受。
【0116】
[4]前記バンプフォイルは、前記トップフォイルに当接する山部と、前記薄板部材に当接する谷部とを有し、前記山部と前記谷部とは、前記周方向において交互に並んでおり、前記薄板部材は、前記回転軸の径方向に貫通し、前記軸方向に冷媒が流れる複数の冷媒流路を有し、前記山部と前記冷媒流路とは、前記径方向に並んでおり、前記谷部と前記冷媒流路とは、前記周方向に並んでいる[1]~[3]の何れか1つに記載のフォイル軸受。
【0117】
[5]前記周方向における隣り合う前記冷媒流路に挟まれる前記薄板部材の幅は、前記周方向における前記谷部の幅よりも広い[4]に記載のフォイル軸受。
[6]前記薄板部材は、前記軸方向において前記冷媒流路の両端で、前記冷媒流路を跨ぐ接続部を有している[4]又は[5]に記載のフォイル軸受。
【0118】
[7]前記軸方向における前記冷媒流路の寸法は、前記軸方向における前記バンプフォイルの寸法よりも短く、前記軸方向における前記山部の両端は、前記接続部と前記径方向に並んでいる[6]に記載のフォイル軸受。
【0119】
[8]前記軸方向における前記冷媒流路の寸法は、前記軸方向における前記バンプフォイルの寸法よりも長く、前記軸方向における前記山部の全体が前記冷媒流路と前記径方向に並んでいる[4]~[6]の何れか1つに記載のフォイル軸受。
【符号の説明】
【0120】
14…回転軸、17…フォイル軸受、40…軸受ハウジング、41a…規制溝としての第1溝、41b…重合溝としての第2溝、41c…重合溝としての第3溝、41d…規制溝としての第4溝、50…トップフォイル、51a…軸受面としての内周面、60…バンプフォイル、61a…山部、61b…谷部、70…薄板部材、70b…接続部、71a…内周面、76…突出部としての第3突出部、74…開口部としての貫通孔、75…冷媒流路、80…規制部材、L61…バンプフォイルの寸法、L75…冷媒流路の寸法、W61b…谷部の幅、W70a…薄板部材の幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14